説明

ビーズ用糸通し具

【課題】ビーズへの挿通作業が容易で作業時間を短縮でき、作業者に疲れが溜まり難いビーズ用糸通し具を提供する。
【解決手段】直線状に延びる本体部2を備える。本体部2一端に環状部3を介して間接に糸11を繋いだ状態で、ビーズ10の貫通孔10aに本体部2を他端から挿通させる。ビーズ10を本体部2の一端側に移動させて本体部2の一端及び環状部3を通過させることによりビーズ10の貫通孔10aに糸11が通される。本体部2の他端側には、ビーズ10の貫通孔10aに挿通する際に撓み変形してビーズ10の本体部2への外嵌を許容し、貫通孔10aを通過した状態で復元してビーズ10の本体部2他端側からの脱落を規制する鈎状部4が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾に用いるビーズの貫通孔に糸を通すためのビーズ用糸通し具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、手芸等において装飾にビーズを用いる場合、ビーズの貫通孔に糸を通すためにビーズ用糸通し具が用いられる。例えば、特許文献1に開示されているビーズ用糸通し具は、針状の本体部と、該本体部の一端に形成された環状部とを備えていて、該環状部には糸が通されるようになっている。そして、上記ビーズの貫通孔に上記本体部を他端から挿通させ、且つ、上記ビーズを上記本体部の一端側に移動させて糸を通した状態の環状部を通過させることにより、当該ビーズに糸が通されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3089195号公報(段落0007〜0010欄、図1,2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のビーズ用糸通し具では、ビーズの貫通孔1つ1つに狙いを定めながら上記本体部を上記貫通孔に挿通させる必要があるので、ビーズの貫通孔への本体部の挿通作業に多くの時間を費やしてしまう。また、当該挿通作業は高い集中力を必要とするので作業者に疲れが溜まり易い。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ビーズへの挿通作業が容易で作業時間を短縮でき、作業者に疲れが溜まり難いビーズ用糸通し具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、ビーズ用糸通し具のビーズ挿入側に撓み変形可能な鈎状部を設けたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、直線状に延びる本体部を備え、該本体部一端に直接又は間接に糸を繋いだ状態で、ビーズの貫通孔に上記本体部を他端から挿通させ、且つ、上記ビーズを上記本体部の一端側に移動させて本体部の一端を通過させることにより上記ビーズの貫通孔に糸が通されるように構成されたビーズ用糸通し具において、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明では、上記本体部の他端側には、上記ビーズの貫通孔に挿通する際に撓み変形して該ビーズの上記本体部への外嵌を許容し、当該貫通孔を通過した状態で復元して上記ビーズの上記本体部他端側からの脱落を規制する鈎状部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、上記本体部の一端には、環状部が形成され、該環状部は、当該環状部に糸を通した状態で、上記ビーズを通過させる際に撓み変形して該ビーズの上記糸への挿通を許容し、当該貫通孔を通過した状態で復元して上記糸から上記本体部へのビーズの戻りを規制するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明では、第1の発明において、上記本体部の一端には、針取付穴が形成され、該針取付穴には、基端に針孔を有する縫い針の先端側が取り付け・取り外し可能に挿入され、該縫い針は、上記針孔に糸を通した状態で、上記ビーズを本体部から糸に移動させるようになっていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明では、第2の発明において、上記ビーズ用糸通し具は、1本の直線状ワイヤを折り曲げて一体に形成され、上記ワイヤの直線状中途部を上記本体部として、上記ワイヤの一方側を環状に折り曲げて上記環状部を形成する一方、上記ワイヤの他方側を折り返して上記鈎状部を形成し、上記本体部には、折り返された上記ワイヤの一方側を当該ワイヤの直線状中途部に螺旋状に巻き掛けることにより把持部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、上記鈎状部は、上記本体部他端に該本体部一端側に向かって延びるように一体に連続し、先端部が上記本体部との間で鋭角をなすとともに基端部又は中途部が上記ビーズの貫通孔の径以上に本体部から側方に張り出していることを特徴とする。
【0013】
第6の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、上記鈎状部は、上記本体部他端に環状に形成され、先端部が尖鋭をなすとともに中途部が上記本体部を中心に線対称をなすように当該本体部の両側に上記貫通孔の径以上に本体部から張り出していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明では、複数のビーズが溜められたケース内にビーズ用糸通し具の鈎状部を挿入するだけで、ケース内のビーズの中で、上記鈎状部に対向する位置のビーズの貫通孔に上記鈎状部が挿通し、該鈎状部により上記ビーズが上記本体部他端側から脱落しなくなる。したがって、特許文献1のように、ビーズの貫通孔1つ1つに狙いを定めながら本体部を上記貫通孔に挿通させる必要はなく、挿通作業が極めて簡単容易であり、作業者が疲れない。
【0015】
第2の発明では、環状部がビーズを通過させる際に撓み変形するほどに大きな環状をなしているので、作業者は環状部に容易に糸を通すことができる。また、ビーズを移動させて環状部を通過させると、ビーズが糸側からビーズ用糸通し具の本体部側に戻ろうとしても上記環状部に引っ掛かるようになる。したがって、ビーズの挿通作業時に既に糸を通したビーズが邪魔になることがなく挿通作業がし易い。
【0016】
第3の発明では、縫い針の針孔に糸を通したままの状態で容易にビーズの貫通孔に糸を通せるようになるので、裁縫中にビーズを使用する場合において、針孔から糸を一度外してビーズ用糸通し具に糸を繋ぎかえるといった手間が省けて作業時間を短縮できる。
【0017】
第4の発明では、把持部と作業者の指先との間の摩擦抵抗が高くなるので、作業時に本体部が滑り難く、作業を効率良く行うことができる。
【0018】
第5の発明では、複数のビーズが溜められたケース内にビーズ用糸通し具の鈎状部を挿入する際に、当該鈎状部に対向する位置のビーズの貫通孔に鈎状部が挿通し易くなり、上記ビーズの本体部への挿通作業を確実に行うことができる。
【0019】
第6の発明では、ビーズの貫通孔に鈎状部が挿通し易くなって上記ビーズの本体部への挿通作業を確実に行うことができる。また、ビーズを本体部に外嵌した状態で、鈎状部とビーズの貫通孔周縁との接触部分が多くなるので、上記ビーズの本体部からの脱落を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態1に係るビーズ用糸通し具の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るビーズ用糸通し具を複数のビーズが溜まるケース内に挿入する直前の状態を示した図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るビーズ用糸通し具を複数のビーズが溜まるケース内に挿入した直後の状態を示した図である。
【図4】ビーズの貫通孔に鈎状部を挿通する工程を示した断面図であり、(a)は、鈎状部が1つめのビーズの貫通孔に挿通する直前の状態を、(b)は、鈎状部が1つめのビーズの貫通孔に挿通した直後の状態を、(c)は、鈎状部が2つめのビーズの貫通孔に挿通した直後の状態を、(d)は、1つめのビーズが鈎状部を通過した直後の状態を、(e)は、2つめのビーズが鈎状部を通過した直後の状態を示す図である。
【図5】本発明の実施形態1に係るビーズ用糸通し具を複数のビーズが溜まるケース内から引き抜いた直後の状態を示した図である。
【図6】本発明の実施形態1に係るビーズ用糸通し具の把持部に挿通しているビーズを移動させて環状部を通過させている状態を示す図である。
【図7】ビーズの貫通孔に糸が通された状態を示す図である。
【図8】本発明の実施形態2に係る図1相当図である。
【図9】本発明の実施形態3に係る図1相当図である。
【図10】(a)は、本発明の実施形態4に係る図9相当図であり、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図11】本発明の実施形態5に係る図9相当図であり、ビーズ用糸通し具の把持部を部分的に断面にした図である。
【図12】本発明の実施形態6に係る図1相当図であり、ビーズ用糸通し具の把持部を部分的に断面にした図である。
【図13】本発明の実施形態7に係るビーズ用糸通し具の斜視図であり、ビーズ用糸通し具の把持部を部分的に断面にした図である。
【図14】本発明の実施形態8に係る図13相当図であり、縫い針をビーズ用糸通し具に取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係るビーズ用糸通し具1を示す。該ビーズ用糸通し具1は、ビーズ10(図2〜7に示す)を使用して小物を制作したり、衣服にビーズ10を縫い付けて加工したりする際に、上記ビーズ10の貫通孔10aに糸11を通し易くするものである。
【0022】
上記ビーズ用糸通し具1は、直線状に延びる本体部2と、該本体部2の一端に形成された環状部3と、上記本体部2の他端に形成された鈎状部4とで構成されていて、上記環状部3に糸11を通すことにより、上記本体部2一端に間接に糸11が繋がるようになっている。上記ビーズ用糸通し具1は、1本の直線状鉄製ワイヤを折り曲げて一体に形成され、ワイヤの直線状中途部を上記本体部2として、ワイヤの一方側を略菱形形状をなす環状に折り曲げて上記環状部3を形成し、且つ、ワイヤの一方側の折り返した部分を上記ワイヤの中途部外周に螺旋状に巻き掛けてワイヤ巻掛部5を形成し、当該ワイヤ巻掛部5が本発明の作業者が把持する部分となる把持部6を構成する一方、ワイヤの他方側を略Jの字状に折り返すことにより鈎状部4を形成するようになっている。
【0023】
該鈎状部4は、上記本体部2の他端に一体に連続していて、上記本体部2一端側に向かって延びるように形成されている。上記鈎状部4の先端部4aは、上記本体部2との間で鋭角をなし、上記鈎状部4の基端部4bは、上記貫通孔10aの径以上に本体部2から側方に張り出している。
【0024】
そして、上記鈎状部4は、上記ビーズ10の貫通孔10aに挿通する際に撓み変形して該ビーズ10の上記本体部2への外嵌を許容し、当該貫通孔10aを通過した状態で復元して上記ビーズ10の上記本体部2他端側からの脱落を規制するようになっている。
【0025】
また、上記本体部2及びワイヤ巻掛部5の外径は、上記ビーズ10の貫通孔10aの内径より小さい寸法で形成されていて、上記ビーズ10を上記本体部2及びワイヤ巻掛部5に沿って当該本体部2の一端側に移動させることができるようになっている。
【0026】
さらに、上記環状部3は、ビーズ10を通過させる際に撓み変形するほどに大きな環状をなしていて、上記環状部3に糸11を通した状態で、上記本体部2から上記糸11へとビーズ10を通過させる際に撓み変形して上記ビーズ10の上記糸11への挿通を許容し、当該貫通孔10aを通過した状態で復元して上記糸11から上記本体部2(ワイヤ巻掛部5)へのビーズ10の戻りを規制するようになっていて、上述の通り、鈎状部4、本体部2、ワイヤ巻掛部5及び環状部3が上記ビーズ10の貫通孔10aを順次通過してビーズ10の貫通孔10aに糸が通されるように構成されている。
【0027】
次に、上記ビーズ用糸通し具1を用いて、ビーズ10の貫通孔10aに糸11を通す方法について説明する。
【0028】
まず、作業者は、図2に示すように、複数のビーズ10が溜められた円柱状ケース12を用意する。
【0029】
次に、上記ビーズ用糸通し具1の環状部3に糸11を通し、上記ケース12の上方において、上記鈎状部4が下方に位置するように上記ビーズ用糸通し具1を指先で持つ。
【0030】
そして、作業者は、図3に示すように、上記ケース12内にビーズ用糸通し具1の鈎状部4を挿入する。すると、例えば、図4(a)、(b)に示すように、まず、ケース12内のビーズ10の中で、上記鈎状部4に対向する位置の1つめのビーズ10の貫通孔10aに上記鈎状部4の先端部4aが挿通する。
【0031】
しかる後、図4(c)に示すように、上記鈎状部4の基端部4bが撓み変形しながら上記1つめのビーズ10の貫通孔10aを通過しつつ、2つめのビーズ10の貫通孔10aに上記鈎状部4の先端部4aが挿通し始める。
【0032】
その後、図4(d)に示すように、1つめのビーズ10が上記鈎状部4を通過した後、当該鈎状部4が復元して上記ビーズ10の本体部2他端側からの脱落を規制する。
【0033】
そして、図5(e)に示すように、上記鈎状部4の基端部4bが撓み変形しながら上記2つめのビーズ10の貫通孔10aを通過し、2つめのビーズ10が上記鈎状部4を通過した後、当該鈎状部4が復元して上記ビーズ10の本体部2他端側からの脱落を規制する。このとき、2つめのビーズ10は、1つめのビーズ10を上方に押しのけながら上記鈎状部4を通過する。
【0034】
尚、ビーズ用糸通し具1をケース12内に挿入した際、上述の例の如き2つのビーズ10が本体部2に挿通される場合に限らず、ビーズ10が3つ以上挿通される場合や、1つだけ挿通される場合もある。
【0035】
しかる後、作業者が、図5に示すように、上記ケース12内から上記ビーズ用糸通し具1を引き抜く。そして、図6に示すように、左手で本体部2の他端側を持ちつつ、右手でビーズ10を本体部2(ワイヤ巻掛部5)の一端側に移動させて上記環状部3を通過させる。すると、当該環状部3が撓み変形して上記ビーズ10の上記糸11への挿通を許容し、上記貫通孔10aを通過した状態で復元して上記糸11から本体部2(ワイヤ巻掛部5)へのビーズ10の戻りを規制する。
【0036】
その後、図7に示すように、ビーズ10の貫通孔10aに糸11が通される。そして、上記一連の動作を繰り返して糸11に複数のビーズ10を通す。
【0037】
以上より、本発明の実施形態1によれば、複数のビーズ10が溜められたケース12内にビーズ用糸通し具1の鈎状部4を挿入するだけで、ケース12内のビーズ10の中で、上記鈎状部4に対向する位置のビーズ10の貫通孔10aに上記鈎状部4が挿通し、該鈎状部4により上記ビーズ10が上記本体部2他端側から脱落しなくなる。したがって、特許文献1のように、ビーズ10の貫通孔10a1つ1つに狙いを定めながら本体部2を上記貫通孔10aに挿通させる必要はなく、挿通作業が極めて簡単容易であり、作業者が疲れない。
【0038】
また、環状部3がビーズ10を通過させる際に撓み変形するほどに大きな環状をなしているので、作業者は環状部3に容易に糸11を通すことができる。また、ビーズ10を移動させて環状部3を通過させると、ビーズ10が糸11側からビーズ用糸通し具1の本体部2側に戻ろうとしても上記環状部3に引っ掛かるようになる。したがって、ビーズ10の挿通作業時に既に糸11を通したビーズ10が邪魔になることがなく挿通作業がし易い。
【0039】
さらに、先端部4aが上記本体部2との間で鋭角をなしているので、複数のビーズ10が溜められたケース12内にビーズ用糸通し具1の鈎状部4を挿入する際に、上記鈎状部4に対向する位置のビーズ10の貫通孔10aに鈎状部4が挿通し易くなり、上記ビーズ10の本体部2への挿通作業を確実に行うことができる。
【0040】
それに加えて、把持部6は、ワイヤが螺旋状に巻き掛けられて形成されているので、上記把持部6と作業者の指先との間の摩擦抵抗が高くなり、作業時に把持部6が滑り難く、作業を効率良く行うことができる。
《発明の実施形態2》
図8は、本発明の実施形態2に係るビーズ用糸通し具1を示す。この実施形態2では、鈎状部4の中途部4cが、上記貫通孔10aの径以上に本体部2から略V字状に側方に張り出して鈎状部4の基端部4bが本体部2側に向いている構造が実施形態1と異なっているだけで、その他の構造とビーズ10に糸11を通す方法とは実施形態1と同じであるため、以下、詳細な説明を省略する。
【0041】
以上より、本発明の実施形態2では、実施形態1と同様の効果が得られるとともに、鈎状部4の基端部4bが本体部2側に向いているので、基端部4bが作業者の指先に接触し難くなり、作業者が安全に作業することができる。
《発明の実施形態3》
図9は、本発明の実施形態3に係るビーズ用糸通し具1を示す。この実施形態3では、鈎状部4の構造が実施形態1と異なっているだけで、その他の構造とビーズ10に糸11を通す方法とは実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同様の部分には同一の符号を付し、異なる部分のみを詳細に説明する。
【0042】
実施形態3に係る鈎状部4は、1本のワイヤの他方側を略矢印形状をなす環状に折り曲げることにより形成され、当該部分で鈎状部4が構成されている。該鈎状部4の先端部4aは尖鋭をなし、上記鈎状部4の中途部4cは、上記本体部2を中心に線対称をなすように当該本体部2の両側に上記貫通孔10aの径以上に本体部2から張り出している。
【0043】
以上より、本発明の実施形態3によれば、実施形態1と同様の効果が得られるとともに、ビーズ10を本体部2に外嵌した状態で、鈎状部4とビーズ10の貫通孔10a周縁との接触部分が多くなるので、上記ビーズ10の本体部2からの脱落を確実に防止することができる。
《発明の実施形態4》
図10は、本発明の実施形態4に係るビーズ用糸通し具1を示す。この実施形態4では、本体部2及び把持部6が実施形態3と異なっているだけで、その他の構造とビーズ10に糸11を通す方法とは実施形態3と同じであるため、以下、実施形態3と同様の部分には同一の符号を付し、異なる部分のみを詳細に説明する。
【0044】
実施形態4に係る本体部2は、1本のワイヤの一方側及び他方側をそれぞれ折り曲げて、折り返した部分を上記ワイヤの中央部分に沿わせることにより形成されるようになっている。そして、上記本体部2の並列するワイヤ部分は、長筒状部材7で覆って当該長筒状部材7の断面形状が略楕円形状となるようにかしめることにより固定されていて、上記長筒状部材7が本発明の実施形態4に係る把持部6を構成し、実施形態1〜3とは異なり本体部2と把持部6とが別体構造となっている。
【0045】
以上より、本発明の実施形態4によれば、実施形態3と同様の効果が得られるとともに、外観見栄えが良くなり、意匠性を高めることができる。
《発明の実施形態5》
図11は、本発明の実施形態5に係るビーズ用糸通し具1を示す。この実施形態5では、把持部6が実施形態3と異なっているだけで、その他の構造とビーズ10に糸11を通す方法とは実施形態3と同じであるため、以下、実施形態3と同様の部分には同一の符号を付し、異なる部分のみを詳細に説明する。
【0046】
実施形態5に係るワイヤ巻掛部5は、端部が鈎状部4に近接する位置にまで達していて、把持部6は、長筒状部材7で上記ワイヤ巻掛部5全部を覆い、且つ、当該長筒状部材7の長手方向両端部分をかしめることにより形成されていて、実施形態1〜3とは異なり本体部2と把持部6とが別体構造となっている。
【0047】
以上より、本発明の実施形態5によれば、実施形態3と同様の効果が得られるとともに、把持部6が断面略円状をなしているので、実施形態4に比べてさらに外観見栄えが良くなり、意匠性を高めることができる。
《発明の実施形態6》
図12は、本発明の実施形態6に係るビーズ用糸通し具1を示す。この実施形態6では、ビーズ用糸通し具1が一体構造でない点が実施形態1と異なっていて、以下、実施形態1と同様の部分には同一の符号を付し、異なる部分のみを詳細に説明する。
【0048】
実施形態6のビーズ用糸通し具1は、環状部3を有する第1部材8及び鈎状部4を有する第2部材9を上記長筒状部材7に組み付けることにより形成されるようになっている。
【0049】
上記第1部材8及び第2部材9は、実施形態1のビーズ用糸通し具1をワイヤ巻掛部5長手方向略中央で分離させたものであり、上記第1部材8は、環状部3及び環状部側巻掛部8bで構成され、上記第2部材9は、鈎状部4、直線状部分の針状部9a及び鈎状部側巻掛部9bで構成されている。
【0050】
そして、ビーズ用糸通し具1は、長筒状部材7の長手方向一方側に上記第1部材8の環状部側巻掛部8bを挿入してかしめるとともに長手方向他方側に上記第2部材9の鈎状部側巻掛部9bを挿入してかしめることにより形成されるようになっていて、上記長筒状部材7が本発明の実施形態6に係る把持部6を構成し、上記環状部側巻掛部8b、針状部9a、鈎状部側巻掛部9b及び長筒状部材7が本発明の実施形態6に係る本体部2を構成している。
【0051】
以上より、本発明の実施形態6によれば、実施形態1と同様の効果が得られるとともに外観見栄えの良い意匠性の高いビーズ用糸通し具1とすることができる。
【0052】
尚、実施形態6の第1部材8及び第2部材9は、実施形態1のビーズ用糸通し具1を2つに分離して形成しているが、それぞれをワイヤから別々に形成して長筒状部材7に組み付けるようにしてもよい。
《発明の実施形態7》
図13は、本発明の実施形態7に係るビーズ用糸通し具1を示す。この実施形態7では、実施形態6の如き第1部材8が長筒状部材7に組み付けられておらず、該長筒状部材7の一端側が実施形態6と異なっていて、その他の構造とビーズ10に糸11を通す際に環状部3を通過させない点を除いて実施形態6と同じであるため、以下、実施形態6と同様の部分には同一の符号を付し、異なる部分のみを詳細に説明する。
【0053】
実施形態7の長筒状部材7一端側には、当該長筒状部材7の中心軸に交差するように貫通する貫通孔7aが形成されている。上記長筒状部材7が本発明の実施形態7に係る把持部6を構成し、上記針状部9a、鈎状部側巻掛部9b及び長筒状部材7が本発明の実施形態7に係る本体部2を構成している。そして、上記貫通孔7aに糸11を通すことにより、上記本体部2一端に直接に糸11が繋がるようになっている。
【0054】
以上より、本発明の実施形態7によれば、実施形態6の如き本体部2に第1部材8を組み付ける必要がなく、組立コストを抑えることができる。
《発明の実施形態8》
図14は、本発明の実施形態8に係るビーズ用糸通し具1を示す。この実施形態8では、長筒状部材7の一端側の構造が実施形態7と異なっていて、その他の構造は実施形態7と同じであるため、以下、実施形態7と同様の部分には同一の符号を付し、異なる部分のみを詳細に説明する。
【0055】
実施形態8の長筒状部材7一端側には、端部に開口を有する針取付穴7bが形成されていて、該針取付穴7bには、基端に針孔N1を有する縫い針Nの先端側が取り付け・取り外し可能に挿入されるようになっている。そして、上記縫い針Nは、上記針孔N1に糸11を通した状態で、上記ビーズ10を本体部2から糸11に移動させるようになっている。
【0056】
尚、上記ビーズ用糸通し具1を用いて、ビーズ10の貫通孔10aに糸11を通す方法は、ビーズ10を実施形態1〜6の如き環状部3を通過させるのではなく、縫い針Nを通過させることにより、ビーズ10の貫通孔10aに上記縫い針Nに通された糸11が通されるようになっている点が実施形態7と異なるだけなので、詳細な説明は省略する。
【0057】
以上より、本発明の実施形態8によれば、縫い針Nの針孔N1に糸11を通したままの状態で容易にビーズ10の貫通孔10aに糸11を通せるようになるので、裁縫中にビーズ10を使用する場合において、針孔N1から糸11を一度外してビーズ用糸通し具1に糸11を繋ぎかえるといった手間が省けて作業時間を短縮できる。
【0058】
尚、本発明の実施形態1〜8では、ビーズ用糸通し具1を鉄製ワイヤで製作したが、これに限らず、鈎状部4が撓み変形可能であれば、材質にこだわらない。
【0059】
また、実施形態8では、針取付穴7bに縫い針Nの先端側を取り付けるようにしているが、上記針取付穴7bに糸11を直接挿入し、長筒状部材7の一端側をかしめることにより糸11を本体部2一端に繋げるようにしてもよい。この場合、ビーズ10の貫通孔10aに糸11を通した後で本体部2一端と糸11とをハサミ等で切り離す必要があり、ビーズ用糸通し具1は使い捨てとなる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、装飾に用いるビーズの貫通孔に糸を通すためのビーズ用糸通し具に適している。
【符号の説明】
【0061】
1 ビーズ用糸通し具
2 本体部
2e 針取付用穴
3 環状部
4 鈎状部
10 ビーズ
10a 貫通孔
11 糸
N 縫い針
N1 針孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状に延びる本体部を備え、
該本体部一端に直接又は間接に糸を繋いだ状態で、ビーズの貫通孔に上記本体部を他端から挿通させ、且つ、上記ビーズを上記本体部の一端側に移動させて本体部の一端を通過させることにより上記ビーズの貫通孔に糸が通されるように構成されたビーズ用糸通し具であって、
上記本体部の他端側には、上記ビーズの貫通孔に挿通する際に撓み変形して該ビーズの上記本体部への外嵌を許容し、当該貫通孔を通過した状態で復元して上記ビーズの上記本体部他端側からの脱落を規制する鈎状部が設けられていることを特徴とするビーズ用糸通し具。
【請求項2】
請求項1に記載のビーズ用糸通し具であって、
上記本体部の一端には、環状部が形成され、
該環状部は、当該環状部に糸を通した状態で、上記ビーズを通過させる際に撓み変形して該ビーズの上記糸への挿通を許容し、当該貫通孔を通過した状態で復元して上記糸から上記本体部へのビーズの戻りを規制するように構成されていることを特徴とするビーズ用糸通し具。
【請求項3】
請求項1に記載のビーズ用糸通し具であって、
上記本体部の一端には、針取付穴が形成され、該針取付穴には、基端に針孔を有する縫い針の先端側が取り付け・取り外し可能に挿入され、
該縫い針は、上記針孔に糸を通した状態で、上記ビーズを本体部から糸に移動させるようになっていることを特徴とするビーズ用糸通し具。
【請求項4】
請求項2に記載のビーズ用糸通し具であって、
上記ビーズ用糸通し具は、1本の直線状ワイヤを折り曲げて一体に形成され、
上記ワイヤの直線状中途部を上記本体部として、上記ワイヤの一方側を環状に折り曲げて上記環状部を形成する一方、上記ワイヤの他方側を折り返して上記鈎状部を形成し、
上記本体部には、折り返された上記ワイヤの一方側を当該ワイヤの直線状中途部に螺旋状に巻き掛けることにより把持部が形成されていることを特徴とするビーズ用糸通し具。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載のビーズ用糸通し具であって、
上記鈎状部は、上記本体部他端に該本体部一端側に向かって延びるように一体に連続し、先端部が上記本体部との間で鋭角をなすとともに基端部又は中途部が上記ビーズの貫通孔の径以上に本体部から側方に張り出していることを特徴とするビーズ用糸通し具。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1つに記載のビーズ用糸通し具であって、
上記鈎状部は、上記本体部他端に環状に形成され、先端部が尖鋭をなすとともに中途部が上記本体部を中心に線対称をなすように当該本体部の両側に上記貫通孔の径以上に本体部から張り出していることを特徴とするビーズ用糸通し具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−219390(P2012−219390A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83931(P2011−83931)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000253433)萬国製針株式会社 (3)
【Fターム(参考)】