説明

ピエゾクロミックデバイス

本発明は、ピエゾクロミックデバイスに関するものであり、前記デバイスは、力を外部から加えることによって始まる外観の可逆変化を呈し、次に、外力が取り除かれると、落ち着くまでの緩和時間に亘ってデバイスの元の外観に戻る。1つの実施形態では、デバイスは、透明または半透明カバー層および磁性層を備え、カバー層と磁性層との間に、磁場配向性顔料を含有する液体媒質が介在される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は本明細書において、2009年10月21日に出願された同じ名称の仮特許出願第61/253,533号の利益を主張するものであり、この米国仮特許出願の開示内容を本明細書において参照することにより、内容全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0002】
ピエゾクロミックデバイスは、デバイスが、力を外部から加えることによって始まる外観の可逆変化を呈し、次に、外力が取り除かれると、落ち着くまでの緩和時間(set relaxation time)に亘ってデバイスの元の外観に戻るような構成である。
【0003】
1つの実施形態では、デバイスは、透明または半透明カバー層および磁性層を備え、カバー層と磁性層との間に、磁場配向性顔料を含有する液体媒質が介在される。
【0004】
これらの目的および利点、および他の目的および利点は、添付の図面およびこれらの図面についての説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書の一部に組み込まれ、かつ本明細書の一部を構成する添付の図面は、種々の実施形態を示し、上に与えられる概要説明、および以下に与えられるこれらの実施形態についての詳細な説明とともに、本開示の原理を説明するために利用される。
【0006】
【図1】図1は、例1において形成されるピエゾクロミックデバイスの模式図(断面図)である。
【図2】図2は、例1において形成されるデバイスのピエゾクロミック応答である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ピエゾクロミックデバイスの1つの実施形態は、透明または半透明カバー層と、磁性層とを備え、カバー層と磁性層との間には、磁場配向性顔料を含有する液体媒質が介在する。1つの実施形態では、裏打ち層が液体媒質と磁性層との間に介在する。
【0008】
磁場配向性顔料は、これらの顔料の配向によって異なる外観色を有し、磁場の影響を受け易い。多種多様な磁場配向性顔料は、単独で、または組み合わせて、粒子状顔料またはフレーク状顔料として使用することができる。例として、鉄、ニッケル、コバルト、これらの金属の合金、ステンレス鋼、および同様の材料によって構成される単板の金属フレークのような非干渉色顔料を挙げることができる。更に、磁場の影響を受け易い材料から成る層を含む非干渉色顔料を利用することができる。また、磁場の影響を受け易い層を含む多層薄膜フレークのような非干渉色顔料を使用することもできる。例えば、米国特許出願公開第2008/0110372号、および米国特許出願公開第2009/0255442号(これらの米国特許出願公開公報は、本明細書において参照されることにより、これらの米国特許出願公開公報の内容全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている顔料のような、磁場の影響を受け易い層を含む多色の光沢のある血小板状真珠光沢顔料を使用することができる。また、入射光の角度の変化、または見る角度の変化とともに劇的に色が移行する(彩度および色相)顔料フレークを使用することができる。カラーシフト効果によって、本発明の液体媒質内に生じる3次元的効果を高めることができる。有機および/または無機顔料および色素を磁場配向性顔料と混合して、カスタマイズした色または外観色を創出することができる。1つの実施形態では、磁場配向性顔料は、常磁性材料、反磁性材料、または永久磁性材料から成る層を含むことができる。1つの実施形態では、磁場配向性顔料の例として、酸化鉄コーティング雲母顔料または酸化チタンコーティング雲母顔料を挙げることができる。磁場配向性顔料の例として、SunGEM(登録商標)顔料商品コード290−7203、−7242、−7253、−7263、−7402、およびSunPRIZMA(登録商標)顔料商品コードC90−7201、−7241、−7251、−7261、−7401を挙げることができる。顔料の質量磁化率は、約0.110−5/kg〜約6010−5/kgの範囲、または約1.810−5/kg〜約1010−5/kgの範囲とすることができる。
【0009】
1つの実施形態では、磁場配向性顔料は、ニードル(針)、フレーク(薄片)、またはプレートレット(血小板)、あるいはプレートレット状のような非球形である。したがって、磁場配向性顔料が磁場の影響を受けると、これらの磁場配向性顔料は、これらの磁場配向性顔料の最長部が磁力線の方向に揃うように配向しようとし、配向の変化の影響を受ける可能性があり、これによって、液体媒質の外観色が変化することになる。
【0010】
1つの実施形態では、液体媒質中の磁場配向性顔料の量は、平衡状態にある液体媒質の外観と、続いて外力を加えたときの外観との差が目に見えるようにするために十分な量とすることができる。
【0011】
磁場配向性顔料は、多種多様なプロセスにより調製することができる。顔料フレークは、ウエッブコーティングプロセスにより形成することができ、このウエッブコーティングプロセスでは、複数層、すなわち磁気感受材料を含有する少なくとも1つの層を順番にウエッブ材料に、従来の堆積方法により積層する。別の方法では、磁場配向性顔料または粒子を、連続カプセル化プロセスを使用してコーティングすることができる。薄膜堆積プロセスの例として、物理気相堆積、化学気相堆積、プラズマ支援気相堆積または物理堆積、スパッタリング、電解析出、および薄膜磁気感受層を形成する他の同様の方法を挙げることができる。
【0012】
デバイスの外観は、磁場配向性顔料の配向によって異なる。1つの実施形態では、液体媒質は、磁場配向性顔料が、外部から力を加えていない状態では再配向しないような十分に高い粘性を示す。力の例が、機械圧力または磁力である。圧力を、デバイスの表面の法線方向または接線(せん断)方向に加えると、液体媒質および磁場配向性顔料による発色を阻害してデバイスの外観を変化させることができる。磁場配向性顔料は、平衡状態から無秩序状態に、力を加えることにより変化させることができる。圧力を取り除くと、磁性層によって顔料が、これらの顔料の磁場配向状態に戻るようになる。異なるデバイスは、加える力の大きさ、および力を加える期間に対して、異なる態様で応答する。1つの実施形態では、デバイスは、デバイスの外観を、特定の圧力閾値に達するまで変えない。
【0013】
1つの実施形態では、磁力を使用して、磁場配向性顔料の配向を平衡位置に戻すことができる。磁力は、磁性層によって生成することができる。
【0014】
デバイス内に使用される液体媒質は、所望の用途によって異なる。ポリジメチルシロキサンのようなシリコーン油が、デバイスに有用となり得るが、その理由は、これらのシリコーン油を、広範囲の粘度を持つように調製することができ、粘度が、温度に対して比較的安定しているからである。これによって、均一なデバイス特性(緩和時間など)を、広範囲の温度に亘って得ることができる。液体媒質として使用することができる他の液体の例として、炭化水素油または鉱油、ポリアルファオレフィン類(PAOs)、ポリオールエステル類、グリコール類、およびグリセロール類を挙げることができる。液体媒質は、液体の混合物としてもよい。
【0015】
液体媒質の厚さは、約5ミル〜約100ミル、または約10ミル〜約50ミルとすることができる。液体媒質の厚さは、デバイスの全ての部分において同じ厚さとする必要はない。
【0016】
液体媒質の粘度は、平衡状態を壊すために、緩和時間を変更するために必要な圧力に影響する。粘度が高くなると普通、液体媒質の外観色の変化を生じさせるために加える外力を大きくする必要がある。更に、粘度が高くなると普通、緩和時間がより長くなって現われる。したがって、粘度をカスタマイズして、デバイスが外観を、特定範囲の外力を加えたときにしか変えないようにすることができる。1つの実施形態では、粘度は、約50P〜約1,000,000P(ポイズ)、または約50,000P〜約200,000Pとすることができる。液体媒質を封入して、圧力が作動中に増大するようにすることができる、または液体媒質を封入した態を解除して、空気が逃げることができるようにする。後出の実施形態によって、より小さい力による作動が可能になる。
【0017】
緩和時間(磁場配向性顔料をこれらの磁場配向性顔料の平衡位置に戻すために必要な時間)も、磁性層の磁場強度、磁場配向性顔料の磁気感受性、および磁性層と顔料との間の距離の影響を大きく受ける。磁場強度または磁気感受性が大きくなると、緩和時間が短くなる。しかしながら、これらの2つの要素は、平衡状態を壊すために必要な圧力にほとんど影響しない。したがって、良好に制御される(平衡状態を壊すために必要な圧力、および緩和時間を変更するために必要な圧力の両方に関して)挙動を示すデバイスは、磁界の強度、磁性顔料の磁気感受性、および液体媒質の粘度を細心に操作することにより形成することができる。緩和時間は、約1秒〜約15秒、約15秒〜約30秒、約1分、約5分、約10分、約15分、約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約10時間、約12時間、または約1日とすることができる。緩和時間は、これらの例示値の間のいずれの時間とすることもでき、またはこれらの例示値を上回る時間とすることもできる。
【0018】
3次元画像は、高い磁気感受性により特徴付けられる顔料を用いた硬化コーティング、硬化インク、および硬化プラスチックにより得られる。このような用途では、顔料は、未硬化インクまたは未硬化ペイントを磁場内に置くことにより、好ましい向きに揃う。これにより、顔料配向を制御性良く操作することができ、この顔料配向を利用して3次元画像を注目する深度で形成することができる。所望の顔料配向が得られた後、コーティングを次に硬化させて、画像を所定の位置で固化させる。
【0019】
デバイスの1つの実施形態では、磁場配向のメカニズムを、磁場配向性顔料を含有する未硬化液体媒質に利用する。液体媒質はデバイス内に封入され、デバイスは、少なくとも1つの透明面または半透明面、および磁性材料を含む。
【0020】
透明面または半透明面によって、デバイス内に含まれる液体媒質の目視検査が可能になる。透明面または半透明面は、非常に多種多様な有機材料、例えば透明または半透明ポリマー材料により構成する、または無機材料、例えばガラスにより構成することができる。例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル、Teflon FEP(テフロンFEP)、PVC(塩化ポリビニル)、アクリル類、ポリスチレン、およびPETG(アモルファスコポリエステル)を挙げることができる。透明面または半透明面は、ポリマー類の混合物により形成することができる。
【0021】
透明面または半透明面は、デバイス全体のほんの一部分しか占めないようにすることができる。液体媒質の目視検査を可能にして、液体媒質の外観色の変化が、外力を加え、次に、外力を取り除いたときに見えることを主たる目的としている。
【0022】
一般的に、磁性材料は光を通さない。したがって、磁性材料をデバイスの内部に配置することにより、液体媒質を見ることが完全に妨げられることがないようにすることができる。磁性材料は、可撓性材料または剛性材料とすることができ、いずれかの従来の組成とすることができる。
【0023】
磁性材料は、磁性粒子群を天然バインダまたは合成樹脂バインダに分散させた分散体を含むことができる。磁性材料は、磁性粒子群を未硬化状態または未硬化処理状態の樹脂バインダに分散させ、次に混合物を、シート状の、または他の適切な形状の磁性体に成形し、バインダを硬化させる、または硬化処理することにより形成することができる。例えば、これらの磁性粒子は、未硬化ゴムまたは可塑化樹脂に、高せん断ミキサで分散させ、次に普通、高温で適切な形状の金型またはノズルで押し出し成形してシート状材料を形成することができる。シートは、押出成形直後の状態で、すなわち未硬化のままで使用することができる、または硬化剤または加硫剤を混合物に加えることにより、または約室温にまで冷却することにより硬化させることができる。押出成形、カレンダー処理などにより調製される場合、磁性層は、例えば約0.25mm〜約25.4mm、約0.3mm〜約20mm、約0.38mm〜約12.7mmの厚さを有することができ、かつ最終の使用形態によって異なるが、それよりも厚い、または薄い厚さとすることもできる。磁性層は、粒子磁性材料および粒子磁性材料用の樹脂バインダを揮発性担体に分散させた分散体を形成することにより調製することもできる。次に、分散体を可撓性基板に、所望の厚さにコーティングし、揮発性担体を蒸発させて、樹脂バインダ中に分散した粒子磁性材料を含む層を残留させる。磁性粒子群を樹脂バインダ中に分散した磁性粒子層を形成した後、層を従来の手順で磁化させる、例えば層を、多極着磁装置上を通過させることにより磁化させることができる。磁性層は、約40重量%〜約92重量%、約55重量%〜約92重量%、または約75重量%〜約92重量%の磁性粒子材料、および約8重量%〜約60重量%のバインダ、約8重量%〜約40重量%のバインダ、または約8重量%〜約25重量%のバインダを含むことができる。
【0024】
磁性材料は、磁性コーティングに十分な量だけ加えることができ、かつ十分な磁場強度に永久的に磁化して、磁気吸着面に自己接着する磁性層を形成することができるようないずれの材料とすることもできる。適切な磁性材料は、可撓性磁性層または高剛性磁性層に従来から使用されているあらゆる磁化可能な粒子を含む。したがって、大きい磁化力、および高保磁力を有するストロンチウム/バリウムフェライトのような磁性材料、アルミニウム、ニッケル、およびコバルト(ALINICO)からなる系の合金、ネオジミウム、鉄、硼素などを加えた材料のような希土類磁性材料を使用することができる。広く用いられる高剛性磁性材料の特性に関する表1を参照されたい。
【0025】
1つの実施形態では、磁性層は電磁石を含むことができる。
【表1】

【0026】
磁性材料は、液体媒質に隣接させることができる、またはスペーサ層または裏打ち層を挟んで分離することができる。磁性材料と液体媒質との間の距離を利用して、磁場の強度を操作することができるので、距離を利用して緩和時間を操作することができる。
【0027】
特定のパターン、画像、またはロゴを液体媒質内に磁性層によって生成することができる。1つの実施形態では、永久磁石を磁性層として使用することができる。これらの永久磁石を計画的に配置して、磁場配向粒子または顔料を特定の位置に引き付ける、または特定の配向方向に引き付ける、あるいは両方の状態になるように引き付けることができる。1つの画像は、磁性材料を削り出し加工して、削り出し加工領域の磁石の磁場強度を変化させることにより形成することができる。1つの画像は、磁場を遮断することができるマスキング材料を、磁性層と磁場配向性顔料との間に使用することにより形成することができる。固定磁石の組み合わせを用いて、非常に多種多様な3次元パターンを、液体媒質が液体媒質の平衡状態になっているときに形成することができる。これらの画像、ロゴ、またはパターンは、外力を加えることにより見えなくなるが、外力を取り除いたときから所定の緩和時間が経過した後に再形成される。1つの実施形態では、磁性層は、永久磁石および磁性コーティングの両方を含む。
【0028】
ピエゾクロミックデバイスは、非常に多種多様な用途に使用することができる。例として、装飾機能向けの、またはセキュリティ機能向けの用途を挙げることができる。圧力によって変化するロゴであって、フィルムのロゴ、または熱収縮チューブのロゴの使用は、次世代の包装デザインに関して理想的となり得る。更に、デバイスは、眼に見えるセキュリティ機能として使用されて、機密文書または最終製品を、不当な処理、または偽造から保護することができる。
【0029】
ピエゾクロミックデバイスは、可逆圧力センサとして使用することもできる。1つの例として、急激な圧力変化を示唆する圧力検出フィルムを挙げることができる。これは、例えば物体が境界線に触れたかどうかを判断することが難しいようなスポーツコート(例えば、テニスコート)またはスポーツ競技場で使用される境界を直接的に示す手段として有用となり得る。別の例では、このデバイスを使用して、飲料容器のような可撓性物体の内部のわずかな圧力変化を表示する。
【0030】
ピエゾクロミックデバイスは、薬剤を正規の計画にしたがって投与する必要があるが、さほど頻繁には投与する必要がない場合のような備忘録として使用することができる。デバイスに加わる圧力で、薬剤を投与すると同時に、磁場配向顔料の発色を阻害することができる。所定の時間が経過した後、磁場配向性顔料は、これらの顔料の平衡状態に戻ってしまうことになる。これらの顔料が平衡状態になっていない場合、薬剤が所定の時間内に投与されてしまっており、これらの顔料がこれらの顔料の平衡状態に戻ってしまった後の時点になるまで、薬剤を再び投与する必要がないことが明らかになる。
【0031】
本開示を幾つかの実施形態について説明することにより示し、かつ例示的な実施形態についてかなり詳細に説明してきたが、本出願人の意図するところは、添付の請求項の範囲をこのような詳細に限定することではない、または決して制限することではない。付加的な利点および変形は、この技術分野の当業者であれば容易に想到し得る。
【実施例】
【0032】
例1−磁場配向を利用したピエゾクロミックデバイス
磁場配向を利用したピエゾクロミックデバイスは、図1に示す一連のフィルムの積層構造から成るモジュール式構造を使用することにより有用であることを示すことができた。調製は、25mm×38mmの2つの矩形の磁性シート部材(例えば、ProMAG(登録商標) Adhes−A−MAGTM,12382)を切り出すことから始まった。これらの矩形磁性体の一方の矩形磁性体(該当する面は、接着剤を含んでいない)の上に、両面テープ(例えば、Shurtape DF 65)の長さ部分を配置する。直径約8mmの孔を、両面テープを接着させた状態の矩形磁性体を貫通するように穿孔した。適切なスペーサ材料を切り出して、約12mm×12mmの寸法の方形のスペーサ材料(例えば、PETE、ポリエチレン、ポリプロピレン、繊維板、またはカードストックなど)とした。この矩形磁性体は、磁性材料としなくても良かった。
【0033】
方形のスペーサ材料を、全体が磁化している部材の上に配置し、中央に位置させた(1種類よりも多くの種類のスペーサ部材を積層多重層の状態で使用して、所望の厚さが得られるようにする)。孔を空けた磁性シートの上の裏打ち紙を剥がし、磁性シートを、常磁性シートおよびスペーサに固く固定して、スペーサで、裏打ち接着剤が封入されている縁部を有する井戸の底面を形成した(図1参照)。
【0034】
浅い井戸(井戸の厚さ=磁性シートの厚さ)に、ポリジメチルシロキサン(Clearco Products Co., 100,000 cSt)中に2重量%の磁性顔料(例えば、SunGEMTM 290−7203, SunChemical)を含む懸濁液を充填した。この井戸には、約28mgの懸濁液を充填した。次に、両面テープの裏打ち材を剥がし、透明ビニールシート部材を接着剤にカバー層として取り付けた。シートを、細心に取り付けて、大量の空気が絶対に、井戸の内部に捕捉されることがないようにした。
【0035】
約45分が経過した後、懸濁液に含まれる磁場配向粒子が、磁性シートから放出される磁力線に沿って配向して、良好に画定された3次元画像が生成された。
【0036】
ピエゾクロミック応答は、10N/cmの力を6秒間に亘って、懸濁液を含む浅い井戸の法線方向に加えることにより始まった。加えた外力を取り除いた直後、画像が完全に見えなくなって、純銀の真珠光沢外観が、例えばSunGEMTM 290−7203に固有の外観が現われた。
【0037】
約45分の期間に亘って、デバイスの可視部分が、純銀の真珠光沢外観から、磁力線によって生じる良好に画定された3次元画像に戻った(図2参照)。
【0038】
上の例において説明したように、外観の変化を実現するために要する時間長は、材料の種類、および本発明によるデバイスに使用される構成に応じて大幅に変えることができる。このように、外観変化に影響を及ぼすために要する時間は、数ミリ秒〜数分の範囲とすることができる、またはそのようにすることが望ましい場合には、数時間、数日、数か月、または数年の範囲とすることもできる。別の実施形態では、デバイスは、外観の永久的な変化に影響を、この変化が、不当な処理の証拠を示すセキュリティ機能として有用となり得るので、与えるように構成することができる。デバイスを力を最初に加えた後の経過時間の正確な長さを反映するように構成することができるようにすることも可能である。
【0039】
ピエゾクロミックデバイスは、非常に多種多様な用途に使用することができる。例として、玩具、ゲーム、タイミングデバイス、機器アセンブリ公差インジケータ、装飾機能、安全機能、またはセキュリティ機能を挙げることができる。フィルムまたは収縮チューブの形態の圧力検出デバイスの使用は、次世代の包装デザインに関して理想的となり得る。ピエゾクロミックタイミングデバイスは、コンシューマ製品およびコンシューマ用包装に使用することもできる。このようなデバイスは、このような包装がされる瓶、缶、ジャー(jar)、および蓋のような物品に関する医薬包装または市販薬包装に使用することができる。他の医薬器具として、インスリンおよび他の薬剤の注射ペンだけでなく、他の薬剤投与器具を挙げることができる。更に、デバイスは、眼に見えるセキュリティ機能として使用されて、機密文書または最終製品を、不当な処理または偽造から保護することができる。他に潜在的には、床張り、壁紙、またはタイル、および他の装飾面のような装飾目的に使用することができる。特定の用途の例として、バスケットボールコートまたはテニスコート、または他のスポーツアリーナの線引きをするスポーツテープのようなテープを挙げることができる。他の例として、医薬包装およびコンシューマ用包装−包装紙、バイアル瓶、箱、バッグ(IVバッグおよび他のバッグ)、吸入器、薬剤払い出し機、ブリスター包装、噴霧器、医薬用チューブ、軟質材料製容器(パウチ)を挙げることができ、この場合、タイミングデバイスを使用して、薬剤または製品を投与または摂取すべき時点を明確に確認する、または洗浄剤または調整剤、あるいは色素を表面または他の投与部位から除去する時点を明確に確認することができる。
【0040】
これまでに説明してきた本発明の示唆の恩恵を受けるこの技術分野の当業者であれば、非常に多くの変形を本発明に加えることができる。これらの変形は、添付の請求項に開示される本発明の範囲に含まれるものとして解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明または半透明カバー層および磁性層を備えるデバイスであって、前記カバー層と前記磁性層との間に、磁場配向性顔料を含有する液体媒質が介在される、デバイス。
【請求項2】
前記カバーは可撓性を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
更に、裏打ち層を前記カバー層と前記磁性層との間に備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記裏打ち層は可撓性を有する、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
圧力を請求項1に記載のデバイスに加える方法であって、前記圧力で前記顔料の配向を乱す、方法。
【請求項6】
前記磁性層によって前記磁場配向性顔料を配向させる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記磁性層は電磁石である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記磁性層は永久磁石である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記顔料は真珠光沢顔料である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記顔料は酸化鉄層を含む、請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記顔料の形状は血小板状である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
特定の長さの時間が、1つのイベントから経過したかどうかを判断する方法であって、請求項5に記載のプロセスを使用するステップを含み;前記イベントは、圧力を前記カバー層に加えることであり;前記液体媒質は、前記顔料を前記磁性層の磁場内で再配向させるために十分高い粘度を有し、前記イベントからの経過時間を、前記顔料が前記磁性層の磁場内で完全に再配向した時点によって求める、方法。
【請求項13】
前記液体媒質の粘度、前記磁場の強度、および前記顔料の磁気感受性は、前記イベントから経過した時間が、1分よりも長くなるように選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記液体媒質は、シリコーン油、炭化水素油、または鉱油、ポリアルファオレフィン類、ポリオールエステル類、グリセロール類、およびグリコール類から成るグループから選択される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記顔料は酸化鉄を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記顔料は、約0.110−5/kg〜約6010−5/kgの範囲の磁気質量感受性を有する、請求項1に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−508776(P2013−508776A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535354(P2012−535354)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/053474
【国際公開番号】WO2011/050128
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
2.テフロン
【出願人】(506165128)サン ケミカル コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】