説明

ピストン・シリンダーユニットを備えた圧媒体制御カウンターボアツール

【課題】外旋回したカッターへのより大きな引き込み力が得られるカウンターボアツールを提供する。
【解決手段】金属切削用の、1つ以上のカッター8を備えた圧媒体制御のカウンターボアツール1であって、該ツールは、圧媒体14を供給することにより、旋回位置で動作し、少なくとも1つのカッターの動作が、少なくとも1つのカッターによって実行され、それは、前記圧媒体で動作する、少なくとも1つのピストン・シリンダーユニットによって実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載された、ピストン・シリンダーユニットを備えた圧媒体制御されたカウンターボアツールに関する。
【背景技術】
【0002】
ピストンのない、圧媒体制御されたカウンターボアツールは、DE 10 2009 012 996 A1(特許文献1)によって知られており、これは同一出願人に由来するものである。
【0003】
DE
10 2009 012 996 A1に従った、ピストンのない、圧媒体制御されたカウンターボアツールを用いて、カッターが、回転するカウンターボアツールの遠心力によって旋回され、その遠心力はカッターを旋回位置に安定に保持し、一方で、内側に向けられる旋回動作はそのカッターを非切削受動位置へ運び、それは圧媒体によって誘導される。
【0004】
圧媒体、好ましくは冷却材(クーラント)は、そのカッターの流入領域に直接流れ、カッターを受動的な非切削位置へ、カッターハウジング構造内へ旋回させる。
【0005】
そうしたDE 10 2009 012 996 A1に従った圧媒体制御されたカウンターボアツールは、広範囲で実績を上げてきた。しかし、内旋回の力は比較的小さく、その圧媒体、即ち冷却材の圧力に特に依存し、その結果、カッターのきちんとした逆の旋回は必ずしも確保されないことが分かっている。
【0006】
しかし、この既知の圧媒体制御されたカウンターボアツールは、その特別な簡潔さと処理の安全性の点で優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】DE 10 2009 012 996 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
こうした理由により、本発明の目的は、DE 10 2009 012 996 A1(特許文献1)の主題に従ったカウンターボアツールを更に開発することであり、そうして、外旋回したカッターへのより大きな引き込み力が得られるという意味で、処理の安全性を更に向上する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この問題を解決するため、本発明は請求項1の技術的教示によって特徴付けられる。
【0010】
本発明の本質的な特徴は、カッターの操作(動作)が、圧媒体の流入により直接に生じることはなく、ピストンにより、非直接的で間接的に生じ、ピストンそれ自体が圧媒体によって動作され、ピストンの変位が、1つ以上の方向制御ピン又は他のアクチュエータによって、カッターの自由回転可能な端部に作用することである。
【0011】
それは、少なくとも1つのピストン・シリンダーユニットによる、1つ以上のカッターの間接的な駆動動作を含み、そのユニットは、ピストンとそのピストンにより動作する方向制御ピンとを含む。
【0012】
ピン形状の方向制御ピンに代わって、制御ディスクのような他のアクチュエータを用いることもでき、そのディスクは、対応する切欠きを備えたカムディスク状の形態であり、その外周によって、カッターの自由に回転できる端部と直接向き合い、負荷を変換する。
【0013】
本発明で重要なことは、カッターの内旋回の間接的な動作がピストンにより実行される点であり、そのピストンは対向する圧媒体のフローにより変位され得る。
【0014】
それ故、ピストンはシリンダーチャンバー内に配置され、そこでは、ピストンは変位可能に取り付けられており、そのピストンの引っ込み力はバネ、又は、他のエネルギー保存デバイスによって生成される。
【0015】
本発明の特に単純な一実施形態では、以下のように供給される。即ち、そのバネは圧縮バネとして設計され、方向制御ピンに備え付けられる。一方の側で、それは、限界ストップと向き合って自分自身を支持し、その限界ストップはハウジングに固定され、方向制御ピンを常にピストンに対向して引っ込み位置でバネ負荷の状態に保持し、従って、流入する圧媒体と逆方向に同じく予め負荷がかけられている。
【0016】
しかし、本発明の他の実施形態では、以下のように供給される。圧縮バネは方向制御ピンの周囲には配置されず、方向制御ピンを包囲し、しかし、代わりに、バネは、ねじりバネ、圧縮コイルバネ、又は、弾性バッファのような分離した部品として設計され、ピストンの前方端部に対抗して作用する。エネルギー保存デバイスは、ピストンが常にその引っ込んだ位置において保持されることを確保する。
【0017】
先行する特許出願DE 10 2009 012 996 A1(特許文献1)の適用範囲内では、クーラントフローがカッターの自由回転端部に向かって直接流れ、こうしてカッターがカッターハウジング内に旋回することができることが開示されていた。従って、カッターの外への旋回は、本質的には、遠心力によって生じていた。
【0018】
本発明は、これには限定されない。なぜなら、本発明は、以下の改良をもたらすからであり、即ち、(カッターの自由回転端部に向かい合って位置する)方向制御ピン、又は、他のアクチュエータの前方自由端が、その自由回転端部にゆったりともたれかかることがなくなるが、カッターに対して関節をなして且つ能動的に連結される。
【0019】
そうした能動的な連結は、柔軟なジョイント(ボールジョイント)又はラック歯車の歯によって実施可能である。方向制御ピンの前方自由端部は、ラック歯車として設計され、その歯は、歯を有するカッターの背面と係り合い、その結果、そのカッターは、方向制御ピンの動作により、外旋回位置及び引っ込み位置の両方に旋回されることができる。
【0020】
それ故、これは、カッターの旋回動作のデスモドロミックな制御を含み、そのカッターは、外旋回位置と引っ込み位置との両方で方向制御ピンによって動作され、その方向制御ピンと非能動的及び能動的に常に連結している。
【0021】
好ましい一実施形態では、本発明は、エネルギー保存デバイスのバネ負荷の下でピストンの引っ込みを説明するが、本発明はこれに制限されない。
【0022】
本発明の他の実施形態では、ピストンの引っ込みはクーラントの動作により行われることが提案される。
【0023】
このため、クーラント供給ダクト、又は、圧媒体ダクトの中にバルブを配置することが必要であり、そのピストンの異なる、又は、反対の接面に作用する。
【0024】
このため、一方では、クーラントダクトは第1ピストン面に圧力をかけ、そのピストンを能動的な変位位置の方向へ前にプッシュし、他方、そのクーラントダクトは、バルブの切替の間、方向転換されて、そうして、第1ピストン面と反対の第2ピストン面(例えば、ピストンの背面)に対向するフローがピストンを引っ込んだ休止位置に戻すようになる。
【0025】
それ故、本発明は、ピストンを引っ込めるための、エネルギー保存デバイスの構成に限定されず、しかし、そのピストンは、方向転換できる圧媒体の作用により、休止位置に引っ込められることが了解される。
【0026】
本発明の利点は、ピストンの構成を用いて、カッターの間接的な旋回動作により、ピストンの動作面が圧媒体の流れと対向して位置し、非常に大きな作動力をカッターに及ぼすことにある。その作動力の大きさは、圧媒体の圧力には依存せず、ピストン面のサイズによって完全に決定される。
【0027】
それ故、圧媒体が直接的に対向して流れるカッターに比べて、そのカッターの作動力を20倍に増大することが可能である。
【0028】
作動力の接触は、圧媒体に対向して作用するピストン面の設計によって、広範囲にわたって変化することができる。
【0029】
このことは、カッター(又は複数のカッター)の安全な旋回動作の利点をもたらすだけでなく、加えて、カッター(又は複数のカッター)が受動的な位置に戻るように旋回するだけでなく、カッターがカッターチャンバーから外へ能動的な位置に旋回するという可能性をもたらす。圧媒体がカッター(又は複数のカッター)に対向して直接的に流れるなら、両方向の旋回動作は実現困難であろう。
【0030】
さらに、バイパスフローが、ピストンを含むシリンダーチャンバーに存在する場合は、有利である。
【0031】
こうして、カウンターボアツールと、特にカッターハウジングを連続的に洗い流すという先行技術の利点が本発明による利点と組み合わされる。なぜなら、本発明はカウンターボアツール、特に、カッターハウジングを洗い流すことを提案し、それは、カッター(又は複数のカッター)の非常に大きな作動力によって達成されるからである。
【0032】
第1実施形態においては、ピストンがシリンダーチャンバー内にシーリングされずに配置されることが提案される。それ故、シリンダーチャンバーは、ピストンの低減した直径に対して非常に大きく、所望の圧媒体のバイパスフローが生成され、そのバイパスフローは、シリンダーチャンバーを通って、長手方向軸の方向に、ピストンの外周に沿っていく。
【0033】
同様に、溝を配置することが可能であり、その溝は、一方の側が開いており、シリンダーチャンバーの内側で長手方向に走り、その溝は、所望のバイパスフローを容易にする。
【0034】
他の実施形態では、ピストンは、その外周に一連のバイパス穴を長手方向に整列して有し、その結果、圧媒体の流入は、シリンダーチャンバーに関してシールされていないピストンに対向しなくなる。圧媒体の一部はバイパス穴を介してピストンを流れ過ぎる。
【0035】
同様に提案されるように、ピストンはシリンダーチャンバー内で移動できるようにシーリングされて(又はシーリングされずに)配置されるが、そのピストンは1つ以上の長手方向の穴を有し、その穴はピストンを貫通し、そのピストンを通って圧媒体のバイパスフローを生成する。
【0036】
双方の実施形態でも、圧媒体のバイパスフローは、カウンターボアツール内で長手方向に配置されるバイパス穴に、カッターチャンバーの方向の前方へ流れ込む。従って、カッターチャンバーは、バイパス穴を介して洗い流されるが、ピストンは圧媒体の圧力によって動かされる。
【0037】
上記の実施形態による、シリンダーチャンバー内のピストンの意図した漏れは、有利な点を有し、即ち、クーラントと一緒に運ばれる如何なる切り屑もピストンの付着をもたらさない。なぜなら、この切り屑はバイパス穴(又は、ピストンとシリンダー壁の間に供給される半径方向の遊び)を介してピストンを流れすぎ、構造内のバイパス穴へ流れ、カッターチャンバーへ供給され、そこからカウンターボアツールを再び出る。
【0038】
他方、シリンダーチャンバー内のピストンの意図的な漏れは、一定のクーラントフローがカッターハウジングを洗い流すのに使用されるという利点を更に有する。
【0039】
このことは、低摩耗で、ピストンの長寿命を保証するだろう。なぜなら、ピストンは、クーラントと一緒に運ばれたかもしれない切り屑のために、シリンダーチャンバーで詰まることがないからである。強制的な洗い流しが常に生じる。
【0040】
本発明の主題は、個々の請求項の主題から生じるだけでなく、請求項相互の組合せからも生じる。
【0041】
本願の書類(要約を含む)で開示されたあらゆる事項及び特徴、特に、図面で表される空間的構成は、それらが個々に又は組み合わされて、従来技術に対して新規である限りにおいて、本発明に必要なものとして請求される。
【0042】
以下では、本発明が図面を用いて詳細に説明されるが、その図面は本発明を実施する一例を表すに過ぎない。この例では、本発明の本質をなす、更なる特徴と有利な点が図面と説明とから明白になる。


【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、圧媒体制御のカウンターボアツールの断面図である。
【図2】図2は、図1の矢印IIの方向の面からみた平面図である。
【図3】図3は、カッターの斜視図である。
【図4】図4は、引っ込んだカッターを備えた、図1によるカウンターボアツールである。
【図5】図5は、カッターが展開している、図4と同じカウンターボアツールである。
【図6】操作中のカッターの旋回動作と関連した、クーラント供給の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、カウンターボアツール1の単純な形状を示し、そのカウンターボアツールは、円筒状構造体2を実質的に含み、その円筒状構造体は長手方向の中心線の方向に駆動され、そうして、図示の実施形態では、例えば矢印21の方向に回転する。
【0045】
この文脈では、圧媒体のフィードボア(供給穴)15は構造体2の内部に配置される。
【0046】
簡潔性のため、以下の説明では、この圧媒体はクーラントであり、そのクーラントはカッター8の圧媒体を制御することと、同時に、カッターチャンバー5とカッター開口部6を冷却し、洗い流すことの両方に使用される。
【0047】
固定ネジ4を用いて、凡そ円筒状なカッターハウジング3は、また、その構造体の前面に配置され、その内部には、制御ダクト13の形態で長手方向の穴が走っている。この図面は、圧媒体14がこの制御ダクト13の中で、矢印16の方向に流れていることを示している。
【0048】
カッターハウジング3の前方側には、カッターチャンバー5が配置され、その上部範囲にはベアリングボルト10が配置され、そこにカッターが位置づけられ、そうしてそのカッターが単一方向に旋回する。カッター窓6は、カッターチャンバーを後方へ展開し、そして、カッターチャンバー5の上部境界はカッターハウジング3の面7によって形成される。
【0049】
展開された動作位置では、図1によるカッター8は、逆カッティングの手順内にあり、そうして、低いカッティング端部9は、ボアのエッジと対向して位置し(詳細に図示しない)、カッティングしチップを除去する。
【0050】
図1によれば、カッターは、矢印12の方向へその動作位置へ旋回し、一方で、矢印11の方向へは、その休止位置へ旋回し、そうして、少なくともカッティング端部9はカッターチャンバー5の中へ旋回し、そして、そのカッターは受動的な非カッティング位置へセットされる。
【0051】
図1で見られるように、圧媒体14はフィードボア15を介して、シリンダーチャンバー50の中へ、矢印16の方向に流れ、そこでは、ピストン49は、圧縮バネ57のバネ負荷の下で、所定の位置で自由に変位できる状態に保持される。
【0052】
ピストン49の引っ込んだ位置は、ストップスクリュー62と対向する接触によってストップされる結果であり、そのストップスクリューは構造体2の中へ横方向にねじ込まれ、その前方の自由端はピストン49の限界ストップ63に対向して位置する。
【0053】
圧媒体14がピストン49の前方自由面に作用するとすぐに、そのピストンは、圧縮バネ57のスプリング力と正反対に動き、圧縮バネ57の一端は、ヘッドピース54の背中で方向制御ピン55に対向して位置し、一方、圧縮バネ57の他端は、ハウジング内に固定された限界ストップ58に対向して位置する。
【0054】
ピストン49を右に移動させることにより、圧力がヘッドピース54に及ぼされ、その結果、圧縮バネ57のスプリング力を克服することにより、方向制御ピン55が右にシフトされ、そのピン自由端56はカッター8の回転可能な端部に対向して位置し、それを旋回する。
【0055】
方向制御ピン55が右へ動く間、カッター8が、矢印11の方向にカッターチャンバー5の中へ旋回し、従って、受動的な位置に至る。
【0056】
同時に、図1から分かるように、圧媒体14がないときは、圧縮バネ57は緩められ、ピストン49は再び左にシフトされるだろう。
【0057】
圧媒体14がないときは、ピストン49は矢印16の方向と反対に位置し、それにより、カッターを可動にし、それをベアリングボルト10の周りに、矢印12の方向に遠心力によって動作位置に旋回させる。
【0058】
本明細書の総論部分では、ピン端部56が、問題を解決するためは、割り当てられた制御面18,20(図3参照)に少しだけ対向して位置していることは必ずしも必要でないことが指摘される。
【0059】
他の実施形態では、図では表さなかったが、ピン端部56がカッター8の自由に回転可能な端部にジョイントによって直接接続され、そうして、カッターのカッティング位置への動作外旋回と同様に、内旋回も確保することが実際に提案される。
【0060】
こうして、方向制御ピン55をカッター8の自由に回転可能な端部と能動的に連結することは、両方の方向で確保される。
【0061】
他方、圧媒体フローの一部だけが、バイパス穴19を介して、カッターチャンバー5に入り込み、カッターチャンバー5を洗い流し、同時に、その穴の割り当てられた端部でカッティング端部9の加工面を冷却する。こうして、カッターチャンバー5とカッター開口部6は、チップ除去プロセスの間、圧媒体14で洗い流される。
【0062】
この例では、長手方向に走る一連のバイパスダクト51が円筒チャンバー50,52の領域で利用可能であることが想定され、そのバイパスダクトは、ピストン49がシリンダーチャンバー50,52にシールを供給するように取り付けられることを防ぎ、その結果、圧媒体は、ピストン49を流れすぎるようになり、そうして、円筒チャンバー52を圧媒体で満たすことができ、そして、前述のバイパス穴19を介してカッターチャンバー5へ流れる。
【0063】
バイパスダクトに代わって、シリンダーチャンバー50,52内のピストンが小型化されることが単純に提案され、その結果、そのピストンはシリンダーチャンバー50,52の中に小さく配置され、幾らかの遊びを残す変位を確保し、同時に、圧媒体14がピストン49を過ぎて、円筒チャンバー52に流れることを確保し、そこからバイパス穴19に行く。
【0064】
同時に、圧媒体14は、また、長手方向穴13の中へ入り込み、そこでは、方向制御ピン55が移動可能に取り付けられる。こうして、方向制御ピン55は、滑らかにされ、洗い流されるだろう。圧媒体14は、また、方向制御ピン55のピン端部56を介して、カッター8の制御面18,20へ方向付けられ、これらを洗い流す。
【0065】
図2は、全体構成の前方正面図を示し、そこから、動作位置で、カッター8はカッターチャンバー5から外旋回することが見て取れる。
【0066】
図3は、カッター8の斜視図を示し、そこから、カッティング端9がカッティング面の領域内に位置し、全部で2つの制御面18、20が存在し、それらの制御面は方向制御ピン55のピン端部56で接することが見て取れる。
【0067】
加えて、図3からは以下の点が見て取れる。即ち、図1の実施形態の図において、方向制御ピン55のピン端部56が単にカッター8の自由に回転可能な端部と反対に位置しており、さらに、カッター8の旋回の間、このピン端部56が、矢印11,12の方向に、位置59から位置61までの経路を移動することである。
【0068】
それ故、ピン端部56の移動は、矢印60の方向に、位置59から位置61まで発生する。
【0069】
制御面20を概略アーチ状又はキャンバー状のように設計することにより、カッター8の旋回の特徴、及び、引っ込みの動作は、広範囲にわたって変化することができる。
【0070】
制御面20は多少キャンバーに設計することができ、その制御面は凹面の中間領域、又は、凸面の隆起した領域を有することができ、そうして場合によってはカッター8の内旋回の特徴の変化がもたらされる。
【0071】
このために、制御面18は好ましくは水平に設計される。しかし、キャンバー状又は凸面若しくは凹面に設計されてもよい。
【0072】
ピストン49の前面ピストンベース53での方向制御ピン55のヘッドピース54の緩やかな接触に代わって、ここにジョイントが配置されてもよく、その結果、ヘッドピース54とピストン49との間に接続が得られる。
【0073】
ジョイントに代わって、ボルト連結のような固定的な連結が供給されてもよい。
【0074】
別の実施形態では、ピン端部は、ラック歯車として設計され、そのラック歯車は外部の歯を備え、カッター8に割り当てられた歯と係合する。
【0075】
ピストン49は、同じ材料を用いて、方向制御ピン55と一体的に結合し、従って、単一の連続的な要素を形成することが同様に提案される。
【0076】
図4と5は、方向制御ピン55のボルトの前方端部56が、空間的に離れている制御面18,20にそれぞれ作用することを示しており、その結果、カッターを図4に示されるように矢印11の方向にカッターチャンバー5の中に引っ込めるか、又は、図5に示される位置にカッターを保持することができ、この場合は、カッター8は遠心力で広げられる。
【0077】
しかし、図4と5において、ピン端部56とカッター8の自由に回転できる部分との間に柔軟な接続、又は、噛み合わせ、又は、硬い接続が存在する場合は、ピストン−シリンダーユニットの方向制御ピン55の作用によって、カッター8を矢印11の方向にカッターチャンバー5の中へ旋回し、同様に、カッターを、矢印12の方向に、カッターハウジング5の外へ旋回させ、図5に示される位置へ至ることが可能である。
【0078】
図6は、カッター8が動作する間、典型的な動きの順序をフローチャートの形態で表している。
【0079】
クーラント圧が縦座標の上側にプロットされ、一方、カッターの旋回経路が縦座標の下側にプロットされる。
【0080】
図6では、下に向かう旋回経路はカッターの引っ込んだ位置を表し、一方、上に向かう旋回経路(旋回経路の正の値)は、カッターの広がった位置を表している。
【0081】
位置23から出発すると、初めに想定されるのは、いずれのクーラント圧も存在せず、カッターは未定義の中間的な位置にあるということである。
【0082】
位置23と24の間の曲線枝では、圧力媒体がスイッチオンされ、その圧力媒体は、矢印16の方向に圧力面18に作用し、その結果、位置23と25の間の曲線枝の範囲において、カッターは引っ込められ、位置25で完全に引っ込んだ位置に至る。
【0083】
位置25と位置26の間の移行においては、カッターは穴を通って進み、そこでは位置24と27の間でクーラント圧が維持される。
【0084】
位置28から始まり、引っ込んだ位置にあるカッターは穴の外へ移動し、穴の後方端部に到達する。
【0085】
このため、クーラントは位置27でスイッチオフされ、位置32に達するとき全ての圧を失う。
【0086】
カッター8にかかる圧力負荷はもう無いので、位置29では、カッターは遠心力で外に旋回し、その際、カウンターボアツールの回転式アクチュエータが開始され、遠心力でカッターチャンバー5の外に移動し、その結果、それは、値が正である曲線枝30の位置32で外旋回経路を開始する。
【0087】
外旋回は位置31まで上昇し続け、本質的には、この位置ではクーラント圧はもう存在せず、その結果、完全な外旋回が実現される。
【0088】
位置31では、カッター8は、金属切削(メタルカッティング)のため、詳細には図示されていないワークピースに接し、曲線枝33の上方にあって、クーラント圧は位置34まで最大値へ上昇し、そうして、金属切削が開始された後、完全なクーラント供給が利用可能になる。
【0089】
カッターの実際の動作位置は、34、35、及び、36の間の位置で生じ、そこでは、カッターは、詳細には図示されていない金属切削用のワークピースに接するだろう。
【0090】
金属切削のプロセスが完了した後、カッター8は同様の方法でカッターチャンバー5の中に逆旋回するだろう。
【0091】
それ故、クーラント圧は位置31で可能な限り低くあるべきであり、その結果、カッターを安定した、外旋回位置におくことができる。
【0092】
金属切削操作の完了後、全体の手順が逆に同じく実行され、即ち、初めにクーラントが除去され、そして、カッターは金属切削のワークピースにはもう接触せず、そして、カウンターボアツールの回転式アクチュエータは停止し、その後、クーラントはスイッチオンされ、カッターはカッター開口部6の中に納まり、その後、カッター8はカッターハウジング3に旋回されてカウンターボアツールは貫通穴を通って再び引っ込む。

[符号の説明]
1 カウンターボアツール
2 構造体
3 カッターハウジング
4 固定ネジ
5 カッターチャンバー
6 カッター開口部
7 正面
8 カッター
9 カッティング端部
10 ベアリングボルト
11 矢印の方向
12 矢印の方向
13 長手方向穴
14 圧媒体
15 供給穴
16 矢印の方向
17 穴
18 制御面
19 バイパス穴
20 制御面
21 回転方向
22 矢印の方向
23 位置
24 位置
25 位置
26 位置
27 位置
28 位置
29 位置
30 曲線枝
31 位置
32 位置
33 曲線枝
34 位置
35 曲線枝
36 曲線枝
49 ピストン
50 シリンダーチャンバー
51 バイパスダクト
52 シリンダーチャンバー
53 ピストンベース
54 (55の)ヘッドピース
55 方向制御ピン
56 (55の)ピン端部
57 圧縮バネ
58 限界ストップ
59 位置
60 矢印の方向
61 位置
62 ストップスクリュー
63 限界ストップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属切削用の1つ又は複数のカッターを備えた圧媒体制御カウンターボアツールであって、該圧媒体制御カウンターボアツールは、圧媒体を供給することにより旋回位置で動作され、少なくとも1つのカッターの動作が、前記圧媒体で動作される少なくとも1つのピストン−シリンダーユニットにより実行される、カウンターボアツール。
【請求項2】
前記圧媒体は、前記ピストン−シリンダーユニットを用いて、前記カッターの旋回移動を制御し、前記カウンターボアツールの長手方向に配置された少なくとも1つのバイパス穴を用いて、前記カッターの洗い流しと冷却を確保する、請求項1記載のカウンターボアツール。
【請求項3】
前記カウンターボアツールは、単一の旋回式カッターを有し、該カッターは、カッターハウジングの前方のカッター開口部内にベアリングボルトで偏心して支持されて、旋回できるようになっている、請求項1又は2記載のカウンターボアツール。
【請求項4】
前記カウンターボアツールは、複数のカッターを有し、該カッターは、相並んで、又は、重なり合って配置され、割り当てられたピストン−シリンダーユニットによって駆動され、そうして、それぞれ外旋回及び内旋回されるようになる、請求項1乃至3のうち何れか1項記載のカウンターボアツール。
【請求項5】
前記カッターは、引っ込んだ休止位置で、及び/又は、広げられた動作位置でバネ負荷がかけられている状態である、請求項1乃至4のうち何れか1項に記載のカウンターボアツール。
【請求項6】
前記バネは、圧縮バネとして設計され、該バネはバネ負荷を方向制御ピンに与えて、引っ込んだ位置でピストンに対向してその方向制御ピンを保持し、その結果、流入する圧媒体に対向して予め負荷がかけられる、請求項1乃至5のうち何れか1項に記載のカウンターボアツール。
【請求項7】
前記カッターは、遠心力及び/又はバネ力で外旋回され、そして、前記カッターは前記ピストン−シリンダーユニットによって内旋回される、請求項1乃至6のうち何れか1項に記載のカウンターボアツール。
【請求項8】
前記カッターは、前記ピストン−シリンダーユニットの動作によって内旋回及び外旋回される、請求項1乃至7のうち何れか1項に記載のカウンターボアツール。
【請求項9】
前記圧媒体は、切替バルブを用いて、第1制御ダクトと第2制御ダクトの間にわたってスイッチされることができ、そうして、両方向に前記ピストン−シリンダーユニットを動作することが可能になり、前記カッターを選択的に引っ込め、又は、展開する、請求項1乃至8のうち何れか1項に記載のカウンターボアツール。
【請求項10】
前記ピストンは小さく前記シリンダーチャンバー内に移動可能に取り付けられ、その結果、前記圧媒体のバイパスフローが前記ピストンの周囲の長手方向穴を通過して洗い流し、そこに前記方向制御ピンは移動可能に取り付けられる、請求項1乃至9のうち何れか1項に記載のカウンターボアツール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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