説明

ピペットチップ供給装置、検体分析装置及びピペットチップ供給方法

【課題】より確実にピペットチップを一つずつ供給することができるピペットチップ供給装置、検体分析装置及びピペットチップ供給方法を提供する。
【解決手段】ピペットチップAを貯留するチップ貯留部20と、このチップ貯留部20内のピペットチップAを当該チップ貯留部20外に供給するチップ供給部21と、ピペットチップ塊Bを検知する検知部22と、この検知部22がチップ貯留部20内のピペットチップ塊Bを検知した場合に、チップ貯留部20内のピペットチップ塊Bを当該チップ貯留部20外に排出するチップ排出部23とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピペットチップ供給装置、検体分析装置及びピペットチップ供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や尿等の検体の分注にピペットチップが使用されており、このピペットチップを、検体分析のために自動供給するチップ供給装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1には、ユーザにより複数のピペットチップが投入されるチップ貯留ボックスと、このチップ貯留ボックスの底部が備えているテーパー面の最低部に収集されたピペットチップを一本ずつ上方へ押し上げるチップ個別送り出し機構と、このチップ個別送り出し機構によってチップ貯留ボックス外に搬出されたピペットチップを搬送するコンベアとを備えた分注チップ自動供給装置が開示されている。
【0003】
チップ貯留ボックス内において、一のピペットチップの先端が他のピペットチップ内に挿入された状態で重なったピペットチップ塊が存在することがある。前記チップ個別送り出し機構は、ピペットチップを1本だけ横臥した状態で載置可能であって上下方向に駆動される押し上げプレートを有しており、特許文献1には、チップ個別送り出し機構の押し上げプレートによって上方に押し上げられたピペットチップのうち、上記のようなピペットチップ塊は、押し上げプレートが下降するとチップ貯留ボックスの底部へと再度落下することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−184182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のごとく構成した分注チップ供給装置においても、ピペットチップ塊が押し上げプレートによってチップ貯留ボックス外に搬出されてしまうことを完全に防ぐことは困難である。
【0006】
そこで、本発明は、より確実にピペットチップを一つずつ供給することができるピペットチップ供給装置、検体分析装置及びピペットチップ供給方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のピペットチップ供給装置は、ピペットチップを貯留するチップ貯留部と、前記チップ貯留部内のピペットチップを当該チップ貯留部外に供給するチップ供給部と、一のピペットチップの先端が他のピペットチップ内に挿入された状態で重なったピペットチップ塊を検知する検知部と、前記検知部が前記チップ貯留部内のピペットチップ塊を検知した場合に、前記チップ貯留部内のピペットチップ塊を当該チップ貯留部外に排出するチップ排出部と、を備える。
【0008】
本発明によれば、チップ貯留部内にピペットチップ塊が存在していることを検知部が検知すると、チップ排出部が当該ピペットチップ塊をチップ貯留部外に排出する。このため、ピペットチップ塊がチップ貯留部外に搬出されることが抑制され、より確実にピペットチップを一つずつチップ貯留部外に供給することができる。
【0009】
前記検知部は、単一のピペットチップとピペットチップ塊の長さの違いに基づいて、ピペットチップ塊を検知することが好ましい。
これにより、ピペットチップ塊のみを容易に検知することができる。
【0010】
前記チップ供給部は、前記チップ貯留部内のピペットチップを押し上げるための押し上げ部材を備え、前記検知部は、前記押し上げ部材が前記チップ貯留部内のピペットチップを押し上げた際に、ピペットチップ塊を検知可能な位置に配置されていることが好ましい。
これにより、チップ供給部によるピペットチップ供給動作を利用して、ピペットチップ塊を検知することができる。
【0011】
前記チップ貯留部は、単一のピペットチップの長手方向の長さよりも大きく、前記ピペットチップ塊の長手方向の長さよりも小さい幅方向長さを有して構成されることが好ましい。
この場合、単一のピペットチップは、その長手方向をチップ貯留部の幅方向に向けて貯留されるが、ピペットチップ塊は、その長手方向をチップ貯留部の幅方向とは異なる方向に向けて貯留される。このため、押し上げ部材による押し上げ動作の際に、単一のピペットチップとピペットチップ塊を異なった状態で押し上げることができ、ピペットチップ塊のみをより容易に検知することができる。
【0012】
前記押し上げ部材は、前記チップ貯留部に貯留されている単一のピペットチップを、当該ピペットチップの長手方向を前記チップ貯留部の前記幅方向に向けた状態で押し上げるよう構成され、前記押し上げ部材による押し上げ動作によって前記ピペットチップ塊の一端が上方に持ち上げられ他端が前記チップ貯留部の底部で支えられて起立した場合に、当該ピペットチップ塊を検知可能な位置に、前記検知部は配置されているのが好ましい。
これにより、単一のピペットチップは、その全体が、押し上げ部材によって押し上げられるが、ピペットチップ塊は、その一部のみが持ち上げられ、他端がチップ貯留部の底部で支えられてチップ貯留部内で起立した状態となる。そのため、より容易にピペットチップ塊のみを検知することができる。
【0013】
上記押し上げ部材の押し上げ動作によってピペットチップ塊を起立させる構成において、さらに、前記チップ貯留部は、当該チップ貯留部に収容されたピペットチップが前記押し上げ部材に向かって移動するように構成され、前記検知部は、前記押し上げ部材に対して、前記チップ貯留部におけるピペットチップの移動方向の上流側に配置されていることが好ましい。
押し上げ部材の前記上流側にピペットチップ塊は起立するため、より確実にピペットチップ塊を検知することができる。
【0014】
前記検知部は、前記チップ貯留部内で起立した状態にある単一のピペットチップよりも高い位置であり、かつ、前記チップ貯留部内で起立した状態にあるピペットチップ塊よりも低い位置に配置されているのが好ましい。
この場合、単一のピペットチップとピペットチップ塊との長さの違いを利用してピペットチップ塊だけを検知することができ、単一のピペットチップをピペットチップ塊として誤検知してしまうことをより確実に抑制することができる。
【0015】
また、前記ピペットチップ供給装置は、前記押し上げ部材に載っている単一のピペットチップを検知する第2の検知部を備え、前記チップ排出部は、前記チップ貯留部内のピペットチップ塊を検知する第1の前記検知部によってピペットチップ塊が検知され、かつ、前記第2の検知部によって単一のピペットチップが検知されなかった場合に、前記チップ貯留部からピペットチップを排出するのが好ましい。
押し上げ部材に単一のピペットチップが載っている場合に排出動作を行うと、ピペットチップ塊以外に、この単一のピペットチップも同時に排出されてしまう可能性がある。そこで、第2の検知部が押し上げ部材に載っている単一のピペットチップを検知していない場合にチップ排出部が排出動作を行うことにより、ピペットチップ塊以外の単一のピペットチップまでもが、ピペットチップ塊と共に排出されることを抑制することができる。
【0016】
前記チップ排出部は、前記押し上げ部材の複数回の押し上げ動作に伴って、前記検知部が複数回連続してピペットチップ塊を検知した場合に、前記チップ貯留部からピペットチップ塊を排出するのが好ましい。
この場合、押し上げ部材の複数回の押し上げ動作によって、ピペットチップ塊が、一つずつのピペットチップにばらけた場合は、排出動作がされず、一つずつにばらけたピペットチップを排出してしまうのを抑制できる。
【0017】
前記チップ排出部は、前記チップ貯留部の底部の少なくとも一部を構成し、当該底部の少なくとも一部を開放することによりピペットチップ塊を前記チップ貯留部の底部から排出するのが好ましい。
この場合、ピペットチップ塊の自重を利用して、容易にピペットチップ塊をチップ貯留部から排出することができる。
【0018】
また、前記チップ貯留部よりも下方の位置に、前記チップ排出部によって排出されたピペットチップ塊を収容するための収容部を備えるのが好ましい。
前記収容部をピペットチップ塊専用のものとした場合、排出されたピペットチップ塊を単一のピペットチップにばらしてから、再利用することが可能となる。又は、前記収容部を、廃棄物を収容するためのボックスと兼用としてもよい。
【0019】
また、前記ピペットチップ供給装置は、前記チップ貯留部よりもピペットチップの貯留容量が大きく複数のピペットチップが投入されるチップ投入部と、前記チップ投入部に貯留されたピペットチップを前記チップ貯留部に搬入するためのチップ搬入部と、をさらに備えるのが好ましい。
この場合、チップ投入部に予め多くのピペットチップを貯留させ、チップ搬入部によってピペットチップをチップ貯留部に搬入することで、チップ貯留部内のピペットチップの数を(チップ投入部よりも)少なくすることが可能となるので、チップ貯留部において、より精度良くピペットチップ塊を検出することができる。
【0020】
また、本発明の検体分析装置は、ピペットチップを装着する吸引ノズルを有し、当該ピペットチップが当該吸引ノズルに装着された状態で検体を分注する分注部と、前記分注部により分注された検体を分析する分析部と、ピペットチップを貯留するチップ貯留部と、前記チップ貯留部内のピペットチップを前記吸引ノズルによるチップ装着位置に供給するチップ供給部と、一のピペットチップの先端が他のピペットチップ内に挿入された状態で重なったピペットチップ塊を検知する検知部と、前記チップ貯留部内のピペットチップ塊を当該チップ貯留部外に排出するためのチップ排出部と、前記検知部がピペットチップ塊を検知すると、当該ピペットチップ塊を前記チップ貯留部から排出するように前記チップ排出部を制御する制御部とを備える。
【0021】
本発明では、チップ貯留部内にピペットチップ塊が存在していることを検知部が検知すると、制御部がチップ排出部を制御することによって、当該ピペットチップ塊をチップ貯留部外に排出するので、より確実にピペットチップを一つずつチップ装着位置に供給することができる。この結果、分注部による検体の分注及び分析部による検体の分析を、効率良く行うことが可能となる。
【0022】
また、本発明は、ピペットチップを貯留可能なチップ貯留部内に、一のピペットチップの先端が他のピペットチップ内に挿入された状態で重なったピペットチップ塊が存在するか否かを判定する工程と、前記チップ貯留部内にピペットチップ塊が存在すると判定すると、当該ピペットチップ塊を当該チップ貯留部からその外へ排出する工程と、前記チップ貯留部内のピペットチップをチップ貯留部外に供給する工程とを備える。
【0023】
本発明によれば、チップ貯留部内にピペットチップ塊が存在していることを検知すると、当該ピペットチップ塊をチップ貯留部外に排出するので、より確実にピペットチップを一つずつチップ貯留部外に供給することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、より確実にピペットチップを一つずつ供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の検体分析装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】検体分析装置の平面図である。
【図3】(a)はピペットチップの説明図であり、(b)はピペットチップ塊の説明図である。
【図4】ピペットチップ供給装置の斜視図である。
【図5】ピペットチップ供給装置の一部の斜視図である。
【図6】チップ貯留部内の説明図である。
【図7】第1押し上げ駆動部の説明図である。
【図8】チップ移送機構部の平面図である。
【図9】チップ貯留部内の説明図である。
【図10】第1押し上げ部材の動作を説明するフロー図である。
【図11】第1押し上げ部材の上下動作を説明するフロー図である。
【図12】チップ排出部の動作を説明するフロー図である。
【図13】チップ排出部のチップ排出動作を説明するフロー図である。
【図14】第2押し上げ部材の動作を説明するフロー図である。
【図15】チップ移送機構部の動作を説明するフロー図である。
【図16】制御装置の構成を示すブロック図である。
【図17】チップ貯留部の幅とピペットチップの長さを比較するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔1. 検体分析装置の全体構成について〕
本発明の検体分析装置1は、例えば、測定対象である血液等の検体に含まれる抗原や抗体などを定量測定または定性測定する装置である。この検体分析装置1は、図1と図2とに示すように、測定機構部2と、この測定機構部2に隣接して配置された検体搬送部3と、測定機構部2に電気的に接続された制御装置4とを備えている。
【0027】
検体搬送部3は、検体を収容した図示しない複数の試験管を保持したラックを搬送可能であり、検体を収容した試験管を検体分注アーム5による検体吸引位置まで搬送する。
制御装置4は、パーソナルコンピュータからなり、制御部4aと、表示部(モニタ)4bと、キーボード4cとを有している。制御部4aは、図16に示すように、CPU401a、記憶部401b等を含み、測定機構部2の各部および検体搬送部3に動作開始信号を送信するとともに、測定機構部2で得られた検体の情報を分析処理する機能を有している。記憶部401bは、ROM,RAM,ハードディスク等からなり、CPU401aによる処理に使用されるコンピュータプログラム、データ等を格納している。また、CPU401aは、後述する各検知部22、32〜37からの検出信号を受信するように構成されている。また、表示部4bは、各種の情報を表示することができ、制御部4aで得られた分析結果や、ユーザへの報知情報等を表示する。
【0028】
測定機構部2は、検体分注アーム(分注部)5と、ピペットチップ供給装置13と、分析部14とを備えている。また、本実施形態の測定機構部2は、R1試薬分注アーム6と、R2試薬分注アーム7と、R3試薬分注アーム8と、反応部9と、キュベット供給部10と、1次BF分離部11と、2次BF分離部12と、R4/R5試薬供給部15と、試薬設置部16とを備えている。
【0029】
ピペットチップ供給装置13は、ユーザによって投入された複数のピペットチップAを1つずつチップ装着用の第1位置P1へと供給する機能を有している。第1位置P1は、検体分注アーム5(吸引ノズル5a)によるチップ装着のための準備位置である。さらに、ピペットチップ供給装置13が備えている搬送供給部40(図4参照)は、第1位置P1に供給されたピペットチップAを、チップ装着用の第2位置P2へ搬送する。第2位置P2は、検体分注アーム5(吸引ノズル5a)による実際のチップ装着位置である。
なお、第1位置P1には、落下させたピペットチップAを受け取るホルダ41(図4参照)が待機しており、前記搬送供給部は、このホルダ41を第2位置P2へと移動させ、ピペットチップAを第2位置P2へ搬送する。
【0030】
検体分注アーム5は、一端に開口を有するピペットチップA(図3参照)を装着する吸引ノズル5aを有している。チップ装着用の第2位置P2において、ピペットチップAは、検体分注アーム5が有する吸引ノズル5aの先端に取り付けられる。そして、検体分注アーム5は、ピペットチップAが吸引ノズル5aに装着された状態で検体を分注する。つまり、検体分注アーム5は、チップ装着用の第2位置においてピペットチップを装着した後、検体搬送部3により検体吸引位置に搬送された試験管内の検体を吸引し、R1試薬分注アーム6によりR1試薬(捕捉抗体)が分注された検体吐出位置のキュベットに検体を分注(吐出)する。その後、R2試薬分注アーム7がキュベットにR2試薬(磁性粒子)を分注し、キュベット内の検体に含まれる抗原に結合した捕捉抗体に磁性粒子を結合させる。結合(Bound)した抗原、捕捉抗体および磁性粒子の複合体は1次BF分離部11の磁気により捕集され、未反応(Free)の捕捉抗体を含むR1試薬がキュベットから除去される。次に、R3試薬分注アーム8がキュベットに第3試薬(標識抗体)を分注し、キュベット内の抗原に標識抗体を結合させる。結合した磁性粒子、抗原および標識抗体の複合体は2次BF分離部12の磁気により捕集され、未反応の標識抗体を含む第3試薬がキュベットから除去される。キュベット内にさらにR4試薬(分散液)および第5試薬(発光基質)が分注された後、キュベットは分析部14に移送される。
【0031】
分析部14は、検体分注アーム5により分注された検体を分析する機能を有している。本実施形態では、所定の処理が行なわれた検体の抗原に結合する標識抗体と発光基質との反応過程で生じる光を、光電子増倍管(Photo Multiplier Tube)で取得することにより、その検体に含まれる抗原の量を測定する。
【0032】
〔2. ピペットチップAについて〕
図3(a)は、ピペットチップAの側面図である。ピペットチップAは、ピペットチップA内の検体を吐出するための開口を先端17cに有するとともに、基端に開口17aを有している。また、胴部17bは開口17aと通じている中空の筒部であり、他端(17c)は開口17a(胴部17b)よりも細い先細り形状である。このため、図3(b)に示すように、一つのピペットチップAの先端17cが、他のピペットチップAの開口17aに挿入された状態となってこれらピペットチップA,Aが重なったピペットチップ塊Bとなり得る。
ピペットチップAの1本の長さL1は53mm程度であり、2本のピペットチップA,Aからなるピペットチップ塊Bの長さL2は78mm程度となる。また、このピペットチップ塊Bは、ユーザがピペットチップ供給装置13の投入口にピペットチップAを投入する時点で既に生じていたり、又は、投入後に生じたりする。なお、本実施形態におけるピペットチップ塊Bは、3つ以上のピペットチップAが重なったピペットチップ塊であってもよい。
【0033】
〔3. ピペットチップ供給装置13について〕
図4は、ピペットチップ供給装置13の斜視図である。図5は、ピペットチップ供給装置13の一部の斜視図であり、内部構造を説明するために、側壁の一部18a(図4参照)を取り外した状態として示している。ピペットチップ供給装置13は、ユーザにより投入口28aを介して複数のピペットチップAが投入されるチップ投入部28と、ピペットチップAを複数貯留するチップ貯留部20と、チップ投入部28に貯留されているピペットチップAをチップ貯留部20に搬入するためのチップ搬入部29と、チップ貯留部20内のピペットチップAを一つずつチップ貯留部20外の第1位置P1に供給するチップ供給部21とを備えている。なお、後に説明するが、チップ供給部21は、チップ押し上げ機構部24とチップ移送機構部25とを有している。
また、このピペットチップ供給装置13では、チップ投入部28からピペットチップAをチップ貯留部20へ送り出す方向(図5の矢印Yの方向)を、前後方向の前方とし、この前後方向に直交する水平方向を左右方向としている。そして、チップ貯留部20におけるこの左右方向をチップ貯留部20の幅方向とする。
【0034】
図5において、ピペットチップ供給装置13は、更に、ピペットチップ塊Bがチップ貯留部20内に存在するか否かを検知する検知部22と、チップ貯留部20内のピペットチップ塊Bを当該チップ貯留部20外に排出するためのチップ排出部23とを備えている。検知部22がピペットチップ塊Bを検知すると、制御装置4のCPU401aによって、当該ピペットチップ塊Bをチップ貯留部20から排出するようにチップ排出部23が制御される。
本実施形態の検知部22は、発光素子及び受光素子を有するセンサからなる。また、本実施形態のチップ排出部23は、チップ貯留部20の底の一部を構成している矩形板状の排出板30と、この排出板30を駆動する排出駆動部31(図4参照)とを有している。
【0035】
図5に示すように、チップ貯留部20は、右側の側壁18bと、左側の側壁18a(図5では省略されている側壁)と、後壁18cと、前壁18dと、底部18eとで囲まれた空間を有し、この空間において、複数のピペットチップAを貯留することができる。なお、底部18eの上面は、チップ排出部23の前記排出板30の上面と、装置に固定された状態にある固定底部材18e−1の上面と、下限位置にある第1押し上げ部材26の上面38とによって構成されている。なお、チップ貯留部20の底面は、前壁18dへ向かって低くなるように傾斜している。このため、チップ貯留部20に投入されたピペットチップAは、第1押し上げ部材26の上面へ自重によって載ることができる。第1押し上げ部材26は、後に説明するが上下方向に移動可能な部材である。そして、前壁18dは、第2押し上げ部材27と、装置に固定された状態にある固定壁部材18d−1とによって構成されている。第2押し上げ部材27は、後に説明するが上下方向に移動可能な部材である。
【0036】
後壁18c、前壁18d及び底部18eそれぞれを構成する各部材は、左右の側壁18a,18b間に配設されており、各部材の左右方向の幅は、チップ貯留部20の左右方向の幅と同じ寸法W(図4、図17参照)に設定されている。
そして、図17に示すように、この寸法Wは、単一のピペットチップAの長手方向の長さL1よりも大きく、2つのピペットチップA,Aが重なったピペットチップ塊Bの長手方向の長さL2よりも小さくなるように構成されている。
このため、図5に示すように、単一のピペットチップAは、その長手方向がチップ貯留部20の左右の幅方向と一致して底部18e上に横臥した状態となるが、ピペットチップ塊Bは、その長手方向がチップ貯留部20の左右の幅方向と一致しないで、左右方向に対して斜めを長手方向として底部18e上に載った状態となる。
【0037】
また、チップ投入部28は、前記後壁18cを挟んでチップ貯留部20に隣接している。チップ投入部28は、複数のピペットチップAがユーザによって投入される部分であり、チップ貯留部20よりも容積が大きく、チップ貯留部20よりもピペットチップAの貯留容量が大きい。ピペットチップAが投入される投入口28aは、チップ投入部28の上部に設けられている。
【0038】
また、チップ搬入部29は、上下方向に移動可能な板状の搬入用押し上げ部材29aと、この搬入用押し上げ部材29を上下駆動する搬入駆動部29bとを有している。搬入用押し上げ部材29aの上面は、チップ投入部28の底面の一部を構成しており、複数のピペットチップAをその上面に載せることができ、チップ投入部28の底面は、チップ貯留部20側へ向かって低くなるように傾斜している。このため、チップ投入部28に投入されたピペットチップAは、搬入用押し上げ部材29aの上面へ自重によって載ることができる。搬入駆動部29bの具体的な構成は、後述する第1押し上げ駆動部26aと同様の構成であり(図7参照)ここでは説明を省略する。
【0039】
そして、搬入駆動部29bを駆動させ搬入用押し上げ部材29aを上昇させることで、その上面に載っているピペットチップAは、後壁18cを超えてチップ貯留部20へ搬入される。搬入駆動部29bの駆動は、前記制御装置4からの制御信号に基づく。
このチップ投入部28及びチップ搬入部29によれば、チップ投入部28に予め多くのピペットチップAを貯留させることができ、また、チップ搬入部29によって所定のタイミングで所定量のピペットチップAをチップ貯留部20に搬入することで、チップ貯留部20内のピペットチップAの数をチップ投入部28よりも少ない数に維持することが可能となる。このため、後に説明するが、チップ貯留部20において、より精度良くピペットチップ塊Bを検出することが可能となる。
【0040】
チップ押し上げ機構部24は、上記のとおり、チップ移送機構部25と共に、チップ貯留部20内に貯留されているピペットチップAを一つずつチップ貯留部20外の第1位置P1に供給するための機能を有している。
チップ押し上げ機構部24は、上下方向に移動可能な前記第1押し上げ部材26と、この第1押し上げ部材26を上下駆動する第1押し上げ駆動部26a(図4参照)とを有している。第1押し上げ部材26は、上下方向に長い矩形板状の部材であり、その幅方向が、チップ貯留部20の幅方向に沿って設けられている。そして、単一のピペットチップAを、その長手方向をチップ貯留部20の幅方向に向けた状態として載せる上面38を有している。このため、チップ貯留部20に貯留されていたピペットチップAを、その長手方向をチップ貯留部20の幅方向に一致させた状態として、上面38に載せて上方に押し上げることができる。なお、この際、ピペットチップAは、第2押し上げ部材27の鉛直面に沿って(ガイドされて)上昇する。
【0041】
さらに、チップ押し上げ機構部24は、第1押し上げ部材26によって所定高さまで押し上げられたピペットチップAを受け取って上面に載せてさらに上方に押し上げるために、上下方向に移動可能な第2押し上げ部材27と、この第2押し上げ部材27を上下駆動する第2押し上げ駆動部27a(図4参照)とを有している。第2押し上げ部材27は、上下方向に長い矩形板状の部材であり、その幅方向が、チップ貯留部20の幅方向に沿って設けられている。そして、第2押し上げ部材27は、単一のピペットチップAを、その長手方向をチップ貯留部20の幅方向に向けた状態として載せる上面を有している。このため、ピペットチップAを、その長手方向をチップ貯留部20の幅方向に一致させた状態として、上面に載せて上方に押し上げることができる。なお、この第2押し上げ部材27の上面には一本のピペットチップAのみが載ることができ、このピペットチップAは、固定壁部材18d−1の鉛直面に沿って(ガイドされて)上昇する。
【0042】
また、上記のとおり、単一のピペットチップAは、その長手方向がチップ貯留部20の左右の幅方向と一致して、底部18eのうちの第1押し上げ部材26の上面38に載った状態となる(図5参照)。そして、最も降下した状態にある第1押し上げ部材26の上面38は、前記排出板30の上面と同一平面を成し、第2押し上げ部材27側に向かって下方に傾斜している。
そして、第1押し上げ駆動部26aの駆動により、第1押し上げ部材26が上昇すると、単一のピペットチップAを押し上げ、下限位置にある第2押し上げ部材27の上面の高さ(第1押し上げ部材26の上限位置)に到達すると、当該ピペットチップAは、自重により、前記第2押し上げ部材27の上面に乗り移る。第2押し上げ部材27の上面は、第1押し上げ部材26の上面38と同様に傾斜している。
【0043】
そして、第2押し上げ駆動部27aの駆動により、第2押し上げ部材27が上限位置まで上昇すると、その上面に載っていたピペットチップAは、前記固定壁部材18d−1を超えて、チップ移送機構部25側へ供給される。なお、第1及び第2押し上げ駆動部の駆動は、前記制御装置4からの制御信号に基づく。
【0044】
また、チップ貯留部20には、下限位置にある第2押し上げ部材27の上面にピペットチップAが存在しているか否かを検知する検知部36(第6の検知部36)が設けられている。この検知部36は、第1の検知部22と同様に光学センサであり、発光素子から受光素子への光がピペットチップによって遮られることで、下限位置にある第2押し上げ部材27の上面にピペットチップAが存在しているか否かを検知することができる。
さらに、チップ貯留部20には、第2押し上げ部材27の上面にピペットチップAが複数存在していることを検知するための検知部37(第7の検知部37)が設けられている。この検知部37は、第1の検知部22と同様に光学センサであり、第2押し上げ部材27の上昇途中の所定位置(複数のピペットチップが第2押し上げ部材27に載っている場合にのみ発光素子から受光素子への光がピペットチップによって遮られる位置)でピペットチップを検知することで、第2押し上げ部材27の上面にピペットチップAが複数存在していることを検知することができる。
なお、これらピペットチップAの存在は、検知部36,37からの信号を受けた前記制御装置4のCPU401aによって判定することができる。
【0045】
これに対して、図5に示すように、上記のとおり、ピペットチップ塊Bは、その長手方向がチップ貯留部20の左右の幅方向と一致しないで、左右方向に対して斜めを長手方向として底部18e上に載った状態となる。
このため、第1押し上げ部材26が上昇しても、ピペットチップ塊Bはその全体が上に搬送されず、図6に示すように、その一部(本実施形態では一方のピペットチップAの胴部17b)のみが持ち上げられ、全体として起立した状態となる。
【0046】
第1押し上げ駆動部26a及び第2押し上げ駆動部27aの具体的な構成を、図7により説明する。なお、両駆動部26a,27aの構成は同様であるため、代表として第1押し上げ駆動部26aを説明する。
第1押し上げ駆動部26aは、正逆回転可能なモータ26a−1と、モータ26a−1によって回転する駆動プーリ26a−2と、駆動プーリ26a−2と上下方向離れて設けられた従動プーリ26a−3と、両プーリ26a−2,26a−3間に架けられたベルト26a−4と、ベルト26a−4と第1押し上げ部材26とを連結固定している連結部材26a−5とを有している。
モータ26a−1は減速器部(図示せず)を有しており、一方向に回転すると、ベルト26a−4は一方向(図7の実線の矢印)に回転する。これにより、第1押し上げ部材26を降下させることができる。これに対して、モータ26a−1が他方向に回転すると、ベルト26a−4は他方向(図7の破線の矢印)に回転する。これにより、第1押し上げ部材26を上昇させることができる。
モータ26a−1の駆動は、前記制御装置4からの制御信号に基づく。
【0047】
図5において、第1検知部22は、チップ貯留部20内に存在するピペットチップ塊Bを検知するために、発光素子及び受光素子が左右の側壁18a,18bに設けられており、本実施形態では、発光素子から受光素子への光がピペットチップ塊Bの一部によって遮られることで、検知部22はピペットチップ塊Bの存在を検知することができる。なお、存在しているか否かの判定は、検知部22からの信号を受けた前記制御装置4のCPU401aが実行することができる。
【0048】
そこで、この発光素子22aの位置について図6により説明する。発光素子22aは、第1押し上げ部材26による押し上げ動作によってピペットチップ塊Bの一端が上方に持ち上げられた際に当該ピペットチップ塊Bを検知可能な位置である。具体的に説明すると、第1押し上げ部材26の動作によってチップ貯留部20内で鉛直線に沿って起立した状態にある単一のピペットチップAよりも高い位置であり、かつ、第1押し上げ部材26の動作によってチップ貯留部20内で鉛直線に沿って起立した状態にあるピペットチップ塊Bよりも低い位置に配置されている。また、発光素子22aは、第1押し上げ部材26に対して、チップ貯留部20におけるピペットチップの移動方向(図5の矢印Yの方向)の上流側に配置されている。これにより、第1押し上げ部材26の動作によって起立したピペットチップ塊を検知部22が確実に検知することができるとともに、排出板30を開放することによって、排出板30上に位置するピペットチップ塊を容易にチップ貯留部20の外に排出することができる。
そして、受光素子は、発光素子22aと同じ高さであり、発光素子22aと対向する位置に設けられている。
【0049】
この位置に発光素子22a及び受光素子を設けることで、単一のピペットチップAがチップ貯留部20内で起立した状態では、当該ピペットチップAは検知されない。一方、ピペットチップ塊Bがチップ貯留部20内で鉛直線に沿って起立した状態又は斜め方向に起立した状態(図6の状態)では、当該ピペットチップ塊Bは検知される。すなわち、単一のピペットチップAをピペットチップ塊Bとして誤検知してしまうことを抑制することができる。
【0050】
また、図5に示しているように、ピペットチップ供給装置13は、第1押し上げ部材26の上面38に正規に載っている単一のピペットチップAを検知する第2の検知部32を備えている。なお、前記「正規に」とは、ピペットチップAの長手方向が第1押し上げ部材26(チップ貯留部20)の左右の幅方向と一致してその上面38に載った状態を意味する。第2の検知部32は、第1の検知部22と同様に光学センサであり、発光素子から受光素子への光がピペットチップによって遮られることで、ピペットチップAの存在を検知することができる。なお、存在しているか否かの判定は、検知部32からの信号を受けた前記制御装置4のCPU401aが実行することができる。
【0051】
チップ移送機構部25は、前記チップ押し上げ機構部24によって供給されたピペットチップAを一つずつチップ貯留部20外の第1位置P1(図4参照)に供給するための機能を有している。
チップ移送機構部25は、図8に示すように、プーリ25−1と、このプーリ25−1によって回転する回転軸25−2と、この回転軸25−2と前後方向に間隔を有して平行に設けられた左右方向に長いガイド部材25−3と、プーリ25−1を回転させるモータ25−4(図4参照)とを有している。回転軸25−2には、螺旋状の溝が形成されている。
【0052】
上記のとおり、第2押し上げ部材27(図5参照)の上昇により、その上面に載っていたピペットチップAが固定壁部材18d−1を超えると、当該ピペットチップAは、回転軸25−2とガイド部材25−3との間に落下する。すると、ピペットチップAの重心は胴部17bよりも先端部17c側に位置するため、先端部17cが下向きに垂れ下がった状態となって、胴部17bが回転軸25−2とガイド部材25−3との間で支持され、ピペットチップAは回転軸25−2の螺旋溝に嵌った状態となる。
【0053】
そして、プーリ25−1を回転させると、螺旋溝に沿ってピペットチップAは、左右方向の一方側(図8では上側)に移動することができる(矢印X)。回転軸25−2とガイド部材25−3との間は、ピペットチップAの胴部17bよりも狭い第1領域K1と、胴部17bよりも広い第2領域K2とを有し、ピペットチップAが第2領域K2に到達すると、当該ピペットチップAは自重により第1位置P1(図4参照)へと落下することができる。
【0054】
また、このチップ移送機構部25には、第3検知部33及び第4検知部34が設けられている。第3検知部33及び第4検知部34は、前記検知部22,32と同様に光学センサであり、発光素子から受光素子への光がピペットチップによって遮られることで、ピペットチップAの存在を検知することができる。
第3検知部33は、回転軸25−2とガイド部材25−3との間にピペットチップAが存在しているか否かを検知する。第4検知部34は、第1領域K1のうちの第2領域K2の直前位置に、ピペットチップAが存在しているか否かを検知する。なお、ピペットチップAが存在しているか否かの判定は、検知部33,34からの信号を受けた前記制御装置4のCPU401aが実行することができる。
【0055】
図6に示すように、チップ排出部23は、チップ貯留部20の底の一部を構成している矩形板状の排出板30と、この排出板30を駆動する排出駆動部31(図4参照)とを有している。排出板30は、水平軸の中心線C1回りに揺動可能としてチップ貯留部20の後壁18cに取り付けられている。排出駆動部31は、正逆回転可能なモータ31−1(図4参照)と、このモータ31−1の回転と連動する動作軸31−2(図6参照)とを有しており、排出板30はこの動作軸31−2と一体回転する。
【0056】
モータ31−1が一方向に回転すると、排出板30は、図6に示すようにチップ貯留部20の底を閉じた状態から、図9に示すように底を開放した状態となる。これにより、チップ貯留部20に存在しているピペットチップ塊Bは、チップ貯留部20から落下し、ピペットチップ塊Bをチップ貯留部20から排出することができる。
このように、チップ排出部23の排出板30は、チップ貯留部20の底部の一部を構成しており、底部の一部を下方に開放可能として設けられている。そして、モータ31−1は、前記制御装置4からの制御信号に基づいて動作し、制御装置4は、このチップ排出部23によってチップ貯留部20の底部を開放することによりピペットチップ塊Bを、チップ貯留部の底部から排出させることができる。
【0057】
そして、図9に示すように、底が開放された状態から、前記モータ31−1が他方向に回転すると、排出板30は、チップ貯留部20の底を閉じた状態に戻る。また、チップ排出部23には第5の検知部35が設けられており、この第5の検知部35は、排出板30が完全に閉状態となっているか否かを検知することができる。第5の検知部35は、前記の各検知部と同様に非接触式センサ(光学センサ)であってもよく、接触式のリミットスイッチ等であってもよい。なお、閉状態であるか否かの判定は、検知部35からの信号を受けた前記制御装置4のCPU401aが実行することができる。
【0058】
チップ排出部23の排出板30は、前記のとおり、チップ貯留部20の底部の一部を開放可能に設けられており、また、第1押し上げ部材26の上面38に向かって下方に傾斜している。このため、チップ貯留部20内に搬入されたピペットチップAを、第1押し上げ部材26の上面38に、その自重によって移動させることができる。
一方、上記のとおりチップ貯留部20及び第1押し上げ部材26の左右方向の幅は、ピペットチップ塊Bの長手方向の長さよりも小さいため、ピペットチップ塊Bについては、その全体を第1押し上げ部材26の上面38ではなく、排出板30上に横臥した状態で位置させておくことができる。
以上より、チップ排出部23によるピペットチップ塊Bの排出動作に伴って、ピペットチップ塊Bはチップ貯留部20の下方へと排出されるが、第1押し上げ部材26の上面38に載っている単一のピペットチップAが排出されてしまうことを抑制できる。
【0059】
ピペットチップ供給装置13は、図9に示すように、チップ貯留部20の底部よりも下方の位置に、チップ排出部23によって排出されたピペットチップ塊Bを収容するための収容部19を備えている。本実施形態の収容部19は、使用済みのピペットチップA及びキュベット等の廃棄物を収容するボックスであり、この場合、収容部19は、ピペットチップ塊B用と廃棄物用とに兼用される。なお、収容部19をピペットチップ塊専用のものとしてもよく、この場合、排出されたピペットチップ塊Bを単一のピペットチップA,Aにばらしてから、投入口28a(図4参照)に再投入してもよい。
【0060】
〔4. ピペットチップの供給方法について〕
以上のように構成されたピペットチップ供給装置13によって実行されるピペットチップの供給方法について説明する。なお、以下の供給方法において、特に主体が記載されていない処理は、制御装置4のCPU401aが行う処理である。
【0061】
図5において、ユーザによって、チップ投入部28に多数のピペットチップAが投入され、当該チップ投入部28にピペットチップAが貯留されると、搬入押し上げ部材29aが上昇し、その上面に載っているピペットチップAがチップ貯留部20に搬入される。この搬入は所定のタイミングで繰り返し実行され、チップ貯留部20には、チップ投入部28よりも少ない複数本のピペットチップAが貯留された状態となる。この際、チップ貯留部20において、ピペットチップ塊Bが存在することがある。単一のピペットチップAは、傾斜面を成すチップ貯留部20の底面によって、第1押し上げ部材26の上面38に転がり落ちる。
【0062】
図10は、第1押し上げ部材26の動作を説明するフロー図である。はじめ第1押し上げ部材26は下限位置にある(図5の状態)。この状態で、CPU401aは、第2検知部32からの信号に基づいて、下限位置にある第1押し上げ部材26の上面38にピペットチップAが存在しているか否かを判定する(図10のステップS1)。
第2検知部32の発光素子および受光素子間で遮光状態であり、ピペットチップAが存在していると判定された場合(ステップS1でNoの場合)、CPU401aは、第6検知部36からの信号に基づいて、下限位置にある第2押し上げ部材27の上面にピペットチップAが存在しているか否かを判定する(ステップS2)。
【0063】
このステップS2において、第6検知部36の発光素子および受光素子間で透光状態であり、第2押し上げ部材27の上面にピペットチップAが存在していないと判定された場合(ステップS2でYesの場合)、第1押し上げ部材26の上下動作が開始される(ステップS3)。一方、ステップS2において、第6検知部36の発光素子および受光素子間で遮光状態であり、第2押し上げ部材27の上にピペットチップAが存在していると判定された場合(ステップS2でNoの場合)、第1押し上げ部材26の上昇動作は行わず、待機状態となる。
なお、ステップS1において、下限位置にある第1押し上げ部材26の上面38にピペットチップAが存在していない場合、チップ貯留部20にはピペットチップAが無くなっていると考えられるので、チップ搬入部29によるピペットチップAの搬入動作の要求が制御装置4に対して行われ(ステップS4)、制御装置4からの指令信号により、搬入押し上げ部材29aを上昇させ、その上面に載っているピペットチップAをチップ貯留部20に搬入させる。
【0064】
図11において、第1押し上げ部材26の上下動作が開始されると、CPU401aは、第1押し上げ駆動部26aを動作させ、第1押し上げ部材26を上限位置まで上昇させる(ステップS22)。そして、CPU401aは、チップ貯留部20内におけるピペットチップ塊Bの存在を、第1検知部22からの検出信号に基づいて判定する(ステップS23)。つまり、第1検知部22の発光素子および受光素子間で透光状態であるか遮光状態であるか判定する。
ピペットチップ塊Bが存在している場合は遮光状態であり(ステップS23でYes)、制御装置4が備えている検知カウンタをインクリメントし(ステップS24)、第1押し上げ部材26を下限位置まで降下させる(ステップS25)。この降下は上昇時よりも加速度を高めて降下させる。これは、第1押し上げ部材26の降下動作及び再度の上昇動作(後のステップS22)により、ピペットチップ塊Bが一つ一つのピペットチップAにばらけることを期待して行うものである。
【0065】
そして、CPU401aは、検知カウンタが2より大きいか否かを判断する(ステップS26)。前記ステップS24は初回であるため、つまり、検知カウンタは「1」であるため、ステップS26の判定では「No」となり、図11のフローを終了し、図10に示しているフローに戻る。
そして、第1押し上げ部材26の上下動作が再び開始されると(図10のステップS3)、第1押し上げ部材26を上限位置まで上昇させ(図11のステップS22)、チップ貯留部20内におけるピペットチップ塊Bの存在を、第1検知部22によって再び判定する(ステップS23)。ピペットチップ塊Bが解消されておらず、未だピペットチップ塊Bが存在している場合、遮光状態であると判定され(ステップS23でYes)、前記検知カウンタをインクリメントし(ステップS24)、第1押し上げ部材26を下限位置まで降下させる(ステップS25)。以上より、検知カウンタは「2」となっている。
【0066】
ステップS26の判定では「No」となり、図11のフローを終了し、図10に示しているフローに戻る。
そして、第1押し上げ部材26の三回目の上下動作が開始されると(図10のステップS3)、図11のステップS22及びステップS23が実行され、未だピペットチップ塊Bが存在している場合、遮光状態であると判定され(ステップS23でYes)、検知カウンタをインクリメントし(ステップS24)、第1押し上げ部材26を下限位置まで降下させる(ステップS25)。以上より、検知カウンタは「3」となる。すると、ステップS26の判定では「Yes」となり、第2検知部32の発光素子および受光素子間で透光状態であることを確認すると(ステップS27でYes)、つまり、第1押し上げ部材26の上にピペットチップAが存在していないことを確認すると、検知カウンタをクリアし(ステップS28)、チップ排出部23の動作フラグをオンにする(ステップS29)。
【0067】
なお、上記のとおり、本実施形態では、第1押し上げ部材26の複数回(3回)の押し上げ動作に伴って、第1検知部22が複数回(3回)連続してピペットチップ塊Bを検知した場合に、制御装置4は、チップ貯留部20から当該ピペットチップ塊Bをチップ排出部23によって排出させる制御を行うように構成されている。
これは、上記のとおり、第1押し上げ部材26が降下及び押し上げ動作を行うことで、ピペットチップ塊Bが、一つずつのピペットチップAにばらける可能性があるためであり、ピペットチップ塊Bが、一つずつのピペットチップにばらけた場合は、排出動作を実行せず、ばらけたピペットチップAがチップ排出部23によって排出されてしまうのを抑制するためである。
なお、第1押し上げ部材26の上下方向の動作により、ピペットチップ塊Bがばらけた場合、ステップS23では「No」の判定となり、検知カウンタが「3」未満であると(ステップS23−1)、検知カウンタをクリアし(ステップS23−2)、ステップS25へ進む。
【0068】
さらに、本実施形態では、第2検知部32は、第1押し上げ部材26の上面38に正規に載っている単一のピペットチップAを検知することができるセンサであり、上記のとおり、制御装置4は、第1検知部22によってピペットチップ塊Bが検知され、かつ、ステップS27において、第2の検知部32によってピペットチップAが検知されなかった場合に(ステップS27のYesの場合に)、チップ排出部23による排出動作を行わせるように構成されている。
これは、第1押し上げ部材26に単一のピペットチップAが載っている場合に排出動作を行ってしまうと、ピペットチップ塊B以外にこのピペットチップAも同時に排出されてしまうのを抑制するためである。つまり、本実施形態のように、第1押し上げ部材26にピペットチップAが載っていない場合に排出動作を行わせることにより、ピペットチップ塊B以外の他のピペットチップAまでもが、ピペットチップ塊Bと共に排出されることを抑制できる。
【0069】
チップ排出部23の動作を図12に沿って説明する。CPU401aは、チップ排出部23の動作フラグがオンになっていることを確認すると(ステップS31のYes)、チップ搬入部29の動作及びチップ押し上げ機構部24の動作が終了(停止)しているか否かを判定し(ステップS32)、終了(停止)している場合(ステップS32のYes)、実際のチップ排出の動作を実行する(ステップS33)。
【0070】
図13は、実際のチップ排出の動作のフロー図である。まず、ピペットチップ塊Bを落下させやすくするために、第1押し上げ部材26を上昇させ、また、新たなピペットチップAがチップ貯留部20に搬入されないように、搬入用押し上げ部材29aを下降させる(ステップS41)。そして、図9に示すように排出板30を下方へ揺動させ、チップ貯留部20の底部を開放する(ステップS42)。これにより、チップ貯留部20に存在していたピペットチップ塊Bは落下する。
排出板30を下方へ揺動させた状態で、所定時間待機させ(ステップS43)、その後、排出板30を上方に揺動させて閉じる(ステップS44)。
【0071】
そして、CPU401aは、第5検知部35からの信号に基づいて、排出板30が完全に閉状態となっているか否かを検知する(ステップS45)。これは、ピペットチップA(ピペットチップ塊B)が排出板30に挟まれている場合、排出板30は完全に閉状態とならず、その確認のために行う工程であり、完全に閉状態となっていない場合(ステップS45でNo)、排出板30を再び下方へ揺動させる(ステップS42)。
以上より、ピペットチップ塊Bがチップ貯留部20に存在している場合であっても、そのピペットチップ塊Bをチップ貯留部20外に排出することができる。
【0072】
図10のフローにおいて、第1押し上げ部材26の上にピペットチップAが載った状態にあり、第1押し上げ部材26の上昇動作が開始され、図11のフローにおいて、第1押し上げ部材26を上限位置まで上昇させると(ステップS22)、前記ピペットチップAは、第2押し上げ部材27上に転がって乗り移る。
【0073】
図14は、第2押し上げ部材27の動作を示すフローチャートである。まず、CPU401aは、第6検知部36からの信号に基づいて、下限位置にある第2押し上げ部材27の上面にピペットチップAが存在しているか否かを判定する(図14のステップS51)。第6検知部36の発光素子および受光素子間で遮光状態であり、ピペットチップAが存在していると判定された場合(ステップS51でYesの場合)、第2押し上げ部材27を上昇させる(ステップS52)。
【0074】
そして、CPU401aは、第2押し上げ部材27の上昇途中で、第7検知部37により、この第2押し上げ部材27の上面にピペットチップAが複数(2個)存在しているかを判定する(ステップS53)。これは、複数のピペットチップAがまとめて、次のチップ移送機構部25へ供給されてしまうのを防ぐためである。
【0075】
第7検知部37からの信号に基づいて、CPU401aにより、ピペットチップAが複数存在していると判定されると(ステップS53でYes)、第2押し上げ部材27を下限まで降下させ(ステップS55)、ステップS51に戻る。このように第2押し上げ部材27を降下させることで、上のピペットチップAをチップ貯留部20の底部に落下させ、単一のピペットチップAのみが第2押し上げ部材27上に載った状態とさせる。
これに対して、ピペットチップAが複数存在していないと判定されると(ステップS53でNo)、第2押し上げ部材27を上限まで上昇させ(ステップS52)、ピペットチップAを固定壁部材18d−1を超えてチップ移送機構部25側へ供給する。
【0076】
チップ移送機構部25の動作を説明する。図15において、CPU401aは、第4検知部34(図8参照)からの信号に基づいて、ピペットチップAが前記第1位置P1(図4参照)に落下可能となる第2領域K2の直前位置に、ピペットチップAが存在しているか否かを判定する(ステップS61)。ピペットチップAが存在していると判定された場合(ステップS61でYes)、CPU401aは、前記搬送供給部40がピペットチップAを受け取り可能な状態にあるか否かの判定を行う(ステップS62)。つまり、図4に示すように、上記のとおり、第1位置P1には、落下するピペットチップAを受け取るホルダ41が待機しており、CPU401aは、ホルダ41がピペットチップを受け取り可能な状態であるか否かを判定する。ホルダ41がピペットチップを受け取り可能な状態にある場合、図8のチップ移送機構部25の回転軸25−2を回転させて、第2領域K2の直前位置に存在していた前記ピペットチップAを、当該第2領域K2から落下させ、ホルダ41がこれを受け取る(ステップS63)。
【0077】
ステップS61において、ピペットチップAが存在していないと判定すると(ステップS61でNo)、第3検知部33(図8参照)により、ピペットチップAが回転軸25−2とガイド部材25−3との間に存在しているか否かを判定する(ステップS64)。
ピペットチップAが存在していると判定された場合(ステップS64でYes)、回転軸25−2を回転させ、そのピペットチップAを第2領域K2側へ向かって移送する(ステップS65)。そして、第4検知部34によってピペットチップAの存在が検知されると(ステップS66でYes)、つまり、第2領域K2の直前位置まで、ピペットチップAが移送されると、回転軸25−2の回転を停止して移送を停止させる(ステップS67)。そして、ステップS62に移行し、以下、同様の処理を行う。
【0078】
そして、図4に示すように、搬送供給部40は、第1位置P1のホルダ41に供給されたピペットチップを、当該ホルダ41を移動させることで、チップ装着用の第2位置P2へ搬送する。この第2位置P2は、図1に示す検体分注アーム5(吸引ノズル5a)による実際のチップ装着位置である。
以上より、本発明のピペットチップの供給方法は、ユーザによってチップ投入部28に投入されたピペットチップAをチップ貯留部20に搬入する工程と、チップ貯留部20内のピペットチップAを一つずつチップ貯留部20外のチップ装着位置(所定位置)に供給する工程とを備えている他に、チップ貯留部20内にピペットチップ塊Bが存在するか否かを検知する工程と、ピペットチップ塊Bが検知されると、当該ピペットチップ塊Bをチップ貯留部20からその外へ排出する工程とを備えている。
【0079】
このように、本実施形態に係るピペットチップ供給装置13によれば、チップ貯留部20内にピペットチップ塊Bが存在していることを検知すると、このピペットチップ塊Bをチップ貯留部20外に排出するので、ピペットチップ塊Bがチップ貯留部外に搬出されることが抑制され、より確実にピペットチップを一つずつチップ貯留部20外に供給することができる。また、例えば、図5に示すように、第1押し上げ部材26の上に正規に載っている単一のピペットチップAに、ピペットチップ塊Bが干渉して、当該ピペットチップAの供給が阻害されることを抑制することができ、ピペットチップAを一つずつ円滑に前記チップ装着位置に供給することができる。
そして、このピペットチップ供給装置13を備えた検体分析装置1では、当該ピペットチップ供給装置13によれば、ピペットチップAの供給に滞りが生じることを抑制することができるため、検体分注アーム5による検体の分注、及び、分析部14による検体の分析を、効率良く行うことが可能となる。
【0080】
前記実施形態では、チップ貯留部20の幅及び第1押し上げ部材26等の幅は、ピペットチップ塊Bの長手方向の長さL2よりも小さく、また、第1押し上げ部材26は、チップ貯留部20内に設けられている。そして、第1押し上げ部材26の上面38は、ピペットチップAを、その長手方向をチップ貯留部20の幅方向に向けた状態として載せることができるが、ピペットチップ塊Bを、その長手方向をチップ貯留部20の幅方向に向けた状態で載せることができない。このため、ピペットチップ塊Bの全体は、チップ貯留部20の幅方向に沿って当該第1押し上げ部材26の上に載ることができず、図6に示すように、この第1押し上げ部材26によってピペットチップ塊Bは、その一部が持ち上げられチップ貯留部20内で傾斜して起立した状態となる。そして、この状態で、第1検知部22はピペットチップ塊Bを検知することができる。すなわち、第1押し上げ部材26の動作を利用して、第1検知部22は、ピペットチップ塊Bの存在を検知している。
【0081】
本発明のピペットチップ供給装置13及び検体分析装置1は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。
【0082】
例えば、図示しないが、チップ貯留部20の上部に、チップ貯留部20内を撮像するカメラを設け、画像解析によってピペットチップ塊Bを検知してもよい。または、第1検知部22を、単一のピペットチップAでは接触しない位置に配置され、ピペットチップ塊Bのみが接触する位置に配置された接触式のセンサとしてもよい。また、チップ貯留部20内のピペットチップを持ち上げてピペットチップの重さを計測し、単一のピペットチップAとピペットチップ塊Bの重さの違いを利用してピペットチップ塊Bを検知してもよい。
【0083】
また、前記実施形態では、第1押し上げ部材26によってピペットチップ塊Bを起立させて検知部22にピペットチップ塊Bを検知させているが、他の機構によってピペットチップ塊Bを起立させてもよい。例えば、ピペットチップ塊の基端開口に係合する係合部材を用いてピペットチップ塊Bを持ち上げてもよい。
【0084】
また、前記実施形態では、第1押し上げ部材26によってピペットチップを起立させ、単一のピペットチップAとピペットチップ塊Bとの長さの差を利用してピペットチップ塊のみを検知しているが、本発明はこれに限られない。例えば、チップ貯留部20内のピペットチップを第1押し上げ部材26側から後壁18c側に所定距離だけ押し出して移動させる移動機構を設け、後壁18c側の所定位置(移動機構によって移動されたピペットチップがピペットチップ塊Bであれば検知できる位置)に検知部を配置し、単一のピペットチップAとピペットチップ塊Bとの長さの差を利用してピペットチップ塊のみを検知してもよい。
【0085】
また、第1及び第2の押し上げ部材26,27によってチップ貯留部20からピペットチップAを持ち上げて外部へ供給しているが、ピペットチップAをベルトコンベア等によって搬出してもよい。
また、図11により説明したように、ピペットチップ塊Bを複数回連続して検知した場合にピペットチップ塊の排出動作を行っているが、ピペットチップ塊Bを1回検知した時点で排出動作を行ってもよい。また、複数回とする場合、その回数を3回以外としてもよい。
【0086】
また、前記実施形態では、第1押し上げ部材26にピペットチップAが載っている場合にはピペットチップ塊Bの排出動作を直ぐに行わない構成であるが(図11のステップS27でNo)、第1押し上げ部材26にピペットチップAが載っている状態であってもピペットチップ塊Bの排出動作を行ってもよい。
また、チップ排出部23は、チップ貯留部20の底部の少なくとも一部を構成し、当該底部の少なくとも一部を下方に開放可能に設けられていればよく、図示しないが、底部の全部を構成していてもよい。
【0087】
また、チップ排出部は他の構成であってもよい。例えば、チップ貯留部20の側壁を開放可能に構成し、チップ貯留部20内のピペットチップ塊Bを側壁の開放部分からチップ貯留部20外に押し出す押し出し機構を設けてもよい。また、チップ貯留部内のピペットチップ塊Bをつかんでチップ貯留部20外に排出可能なキャッチャ部材を設けてもよい。
【0088】
また、前記実施形態では、検体中の抗原や抗体を測定する免疫分析装置に設けられたピペットチップ供給装置に本発明を適用した例を示したが、ピペットチップを使用する検体分析装置に適用すればよく、例えば遺伝子増幅検出装置などに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 検体分析装置
4 制御装置
5 検体分注アーム
5a 吸引ノズル
13 ピペットチップ供給装置
14 分析部
17a 開口
17c 先端
19 収容部
20 チップ貯留部
21 チップ供給部
22 検知部
23 チップ排出部
26 第1押し上げ部材
28 チップ投入部
29 チップ搬入部
32 第2の検知部
38 上面
A ピペットチップ
B ピペットチップ塊

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピペットチップを貯留するチップ貯留部と、
前記チップ貯留部内のピペットチップを当該チップ貯留部外に供給するチップ供給部と、
一のピペットチップの先端が他のピペットチップ内に挿入された状態で重なったピペットチップ塊を検知する検知部と、
前記検知部が前記チップ貯留部内のピペットチップ塊を検知した場合に、前記チップ貯留部内のピペットチップ塊を当該チップ貯留部外に排出するチップ排出部と、
を備えるピペットチップ供給装置。
【請求項2】
前記検知部は、単一のピペットチップとピペットチップ塊の長さの違いに基づいて、ピペットチップ塊を検知する、請求項1に記載のピペットチップ供給装置。
【請求項3】
前記チップ供給部は、前記チップ貯留部内のピペットチップを押し上げるための押し上げ部材を備え、
前記検知部は、前記押し上げ部材が前記チップ貯留部内のピペットチップを押し上げた際に、ピペットチップ塊を検知可能な位置に配置されている、請求項1または2に記載のピペットチップ供給装置。
【請求項4】
前記チップ貯留部は、単一のピペットチップの長手方向の長さよりも大きく、前記ピペットチップ塊の長手方向の長さよりも小さい幅方向長さを有して構成される、請求項3に記載のピペットチップ供給装置。
【請求項5】
前記押し上げ部材は、前記チップ貯留部に貯留されている単一のピペットチップを、当該ピペットチップの長手方向を前記チップ貯留部の前記幅方向に向けた状態で押し上げるよう構成され、
前記押し上げ部材による押し上げ動作によって前記ピペットチップ塊の一端が上方に持ち上げられ他端が前記チップ貯留部の底部で支えられて起立した場合に、当該ピペットチップ塊を検知可能な位置に、前記検知部は配置されている請求項4に記載のピペットチップ供給装置。
【請求項6】
前記チップ貯留部は、当該チップ貯留部に収容されたピペットチップが前記押し上げ部材に向かって移動するように構成され、
前記検知部は、前記押し上げ部材に対して、前記チップ貯留部におけるピペットチップの移動方向の上流側に配置されている、請求項5に記載のピペットチップ供給装置。
【請求項7】
前記検知部は、前記チップ貯留部内で起立した状態にある単一のピペットチップよりも高い位置であり、かつ、前記チップ貯留部内で起立した状態にあるピペットチップ塊よりも低い位置に配置されている請求項5または6に記載のピペットチップ供給装置。
【請求項8】
前記押し上げ部材に載っている単一のピペットチップを検知する第2の検知部を備え、
前記チップ排出部は、前記チップ貯留部内のピペットチップ塊を検知する第1の前記検知部によってピペットチップ塊が検知され、かつ、前記第2の検知部によって単一のピペットチップが検知されなかった場合に、前記チップ貯留部からピペットチップ塊を排出する、請求項5〜7のいずれか1項に記載のピペットチップ供給装置。
【請求項9】
前記チップ排出部は、前記押し上げ部材の複数回の押し上げ動作に伴って、前記検知部が複数回連続してピペットチップ塊を検知した場合に、前記チップ貯留部からピペットチップ塊を排出する、請求項3〜8のいずれか1項に記載のピペットチップ供給装置。
【請求項10】
前記チップ排出部は、前記チップ貯留部の底部の少なくとも一部を構成し、当該底部の少なくとも一部を開放することによりピペットチップ塊を前記チップ貯留部の底部から排出する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のピペットチップ供給装置。
【請求項11】
前記チップ貯留部よりも下方の位置に、前記チップ排出部によって排出されたピペットチップ塊を収容するための収容部を備える請求項10に記載のピペットチップ供給装置。
【請求項12】
前記チップ貯留部よりもピペットチップの貯留容量が大きく複数のピペットチップが投入されるチップ投入部と、
前記チップ投入部に貯留されたピペットチップを前記チップ貯留部に搬入するためのチップ搬入部と、をさらに備える請求項1〜11のいずれか1項に記載のピペットチップ供給装置。
【請求項13】
ピペットチップを装着する吸引ノズルを有し、当該ピペットチップが当該吸引ノズルに装着された状態で検体を分注する分注部と、
前記分注部により分注された検体を分析する分析部と、
ピペットチップを貯留するチップ貯留部と、
前記チップ貯留部内のピペットチップを前記吸引ノズルによるチップ装着位置に供給するチップ供給部と、
一のピペットチップの先端が他のピペットチップ内に挿入された状態で重なったピペットチップ塊を検知する検知部と、
前記チップ貯留部内のピペットチップ塊を当該チップ貯留部外に排出するためのチップ排出部と、
前記検知部がピペットチップ塊を検知すると、当該ピペットチップ塊を前記チップ貯留部から排出するように前記チップ排出部を制御する制御部と、
を備える検体分析装置。
【請求項14】
ピペットチップを貯留可能なチップ貯留部内に、一のピペットチップの先端が他のピペットチップ内に挿入された状態で重なったピペットチップ塊が存在するか否かを判定する工程と、
前記チップ貯留部内にピペットチップ塊が存在すると判定すると、当該ピペットチップ塊を当該チップ貯留部からその外へ排出する工程と、
前記チップ貯留部内のピペットチップをチップ貯留部外に供給する工程と、
を備えるピペットチップ供給方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−154835(P2012−154835A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15138(P2011−15138)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】