説明

ピリダジン化合物及びその用途

【課題】
植物病害防除効力を有する化合物を提供すること。
【解決手段】
式(1)


〔式中、R1はC1−C4アルキル基を表し、R2はC1−C4アルキル基を表し、R3はハロゲン原子、ニトロ基等を表し、mは0〜5の整数を表し、R4はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等を表し、R5はハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基を表し、nは0〜4の整数を表す。〕で示されるピリダジン化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はピリダジン化合物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、植物病害防除剤の有効成分として多くの化合物が開発され、いくつかは実用に供されている。
また、ある種のフェニル置換ピリダジノン化合物が知られている(例えば、特許文献1に記載される化合物)。
【特許文献1】特表2003−516925号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、植物病害防除効力を有する化合物及びその用途を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者等は、植物病害防除効力を有する化合物を見出すべく鋭意検討した結果、式(1)で示されるピリダジン化合物が植物病害防除効力を有することを見出した。
即ち、本発明は式(1)

〔式中、R1はC1−C4アルキル基を表し、R2はC1−C4アルキル基を表し、R3はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキルチオ基を表し、mは0〜5の整数を表し、mが2以上の整数である場合、R3は同一又は相異なる。R4はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基を表し、R5はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基を表し、nは0〜4の整数を表し、nが2以上の整数である場合、R5は同一又は相異なる。〕
で示されるピリダジン化合物(以下、本発明化合物と記す。)、本発明化合物を有効成分として含有することを特徴とする植物病害防除剤及び本発明化合物の有効量を植物又は植物を栽培する土壌に施用することを特徴とする植物病害の防除方法を提供する。
また、更に本発明化合物を製造するにおいて有用な中間体である、式(3)

〔式中、R1、R2、R3、m、R4、R5及びnは前記と同じ意味を表す。〕
で示される化合物、式(2−1)

〔式中、R1、R2、R3、m、R5及びnは前記と同じ意味を表し、R41はハロゲン原子を表す。〕
で示される化合物をも提供する。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、植物病害防除効力を有する化合物及びその用途を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明において、R1、R2、R3、R4、R41及びR5としては、下記の基が挙げられる。
1及びR2で示されるC1−C4アルキル基としては、例えばメチル基及びエチル基があげられる。
3で示されるハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基及びフルオロメチル基があげられ、
ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、フルオロメトキシ基、クロロジフルオロメトキシ基、ブロモジフルオロメトキシ基、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基及び2,2,2−トリフルオロエトキシ基があげられ、
ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキルチオ基としては、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基及び1,1,2,2−テトラフルオロエチルチオ基があげられる。
3、R4、R41及びR5で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及び沃素原子があげられる。
4及びR5で示される、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基及びフルオロメチル基があげられ、
ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基及びフルオロメトキシ基があげられる。
【0007】
式(1)において、
4および(R5nで置換されたフェニル基としては、例えばnが0である2−クロロフェニル基、2−フルオロメチル基、2−ニトロフェニル基、2−シアノフェニル基、2−メチルフェニル基、2−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−メトキシフェニル基、2−(ジフルオロメトキシ)フェニル基、2−(トリフルオロメトキシ)フェニル基;nが1である2,3−ジフルオロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2−クロロ−4−フルオロフェニル基、4−クロロ−2−フルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2−クロロ−6−フルオロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、
2−フルオロ−6−メチルフェニル基、2−フルオロ−6−ニトロフェニル基、2−シアノ−6−フルオロフェニル基、2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−(ジフルオロメトキシ)−6−フルオロフェニル基、2−フルオロ−6−(トリフルオロメトキシ)フェニル基、2−フルオロ−6−メトキシフェニル基;nが2である2,3,4−トリフルオロフェニル基、2,3,5−トリフルオロフェニル基、2,4,5−トリフルオロフェニル基、2,3,6−トリフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、2−クロロ−4,6−ジフルオロフェニル基、4−クロロ−2,6−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロ−4−エトキシフェニル基、2,6−ジフルオロー4−メトキシフェニル基、2,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル基、2,6−ジクロロ−4−フルオロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、2,6−ジフルオロ−4−シアノフェニル基、2,6−ジフルオロ−4−ニトロフェニル基、2,6−ジフルオロ−4−クロロフェニル基、2,6−ジフルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル基、2,3−ジフルオロ−6−(トリフルオロメチル)フェニル基、2,6−ジフルオロ−3−クロロフェニル基;nが3である2,3,4,5−テトラフルオロフェニル基、2,3,4,6−テトラフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基;nが4である2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、4−メトキシ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、4−エトキシ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、4−シアノ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、4−ニトロ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基及び4−クロロ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基があげられる。
【0008】
(R3mで置換されたフェニル基としては、例えばmが0であるフェニル基;mが1である4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−(トリフルオロメチル)フェニル基、3−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、2−フルオロフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、4−(トリフルオロメトキシ)フェニル基、4−ニトロフェニル基、4−シアノフェニル基、4−(メチルチオ)フェニル基、4−(トリフルオロメチルチオ)フェニル基;mが2である2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、4−クロロ−2−フルオロフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基及び3,4−ジメトキシフェニル基があげられる。
【0009】
本発明化合物の態様としては、例えば以下のピリダジン化合物があげられる。
式(1)において、R1がメチル基であるピリダジン化合物;
式(1)において、R2がメチル基であるピリダジン化合物;
式(1)において、R1及びR2がメチル基であるピリダジン化合物;
【0010】
式(1)において、R3がハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基又はハロゲン原子であるピリダジン化合物;
式(1)において、R3がC1−C4アルキル基又はハロゲン原子であるピリダジン化合物;
式(1)において、R3がメチル基、トリフルオロメチル基、塩素原子、フッ素原子又はメトキシ基であるピリダジン化合物;
式(1)において、R3がメチル基、塩素原子又はフッ素原子であるピリダジン化合物;
【0011】
式(1)において、mが1又は2であるピリダジン化合物;
式(1)において、mが1であるピリダジン化合物;
式(1)において、mが2であるピリダジン化合物;
式(1)において、mが1であり、R3がベンゼン環4位の置換基であるピリダジン化合物;
式(1)において、mが1であり、R3がハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基であり、かつR3がベンゼン環4位の置換基であるピリダジン化合物;
式(1)において、mが1であり、R3がハロゲン原子又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキル基であり、かつR3がベンゼン環4位の置換基であるピリダジン化合物;
式(1)において、mが1であり、R3がハロゲン原子又はC1−C4アルキル基であり、かつR3がベンゼン環4位の置換基であるピリダジン化合物;
式(1)において、mが1であり、R3がメチル基、トリフルオロメチル基、塩素原子、フッ素原子又はメトキシ基であり、かつR3がベンゼン環4位の置換基であるピリダジン化合物;
式(1)において、mが1であり、R3がメチル基、塩素原子又はフッ素原子であり、かつR3がベンゼン環4位の置換基であるピリダジン化合物;
【0012】
式(1)において、R4がハロゲン原子であるピリダジン化合物;
式(1)において、R4がフッ素原子であるピリダジン化合物;
式(1)において、R4が塩素原子であるピリダジン化合物;
式(1)において、R4がフッ素原子又は塩素原子であるピリダジン化合物;
式(1)において、nが1又は2であるピリダジン化合物;
式(1)において、nが1であるピリダジン化合物;
式(1)において、nが2であるピリダジン化合物;
式(1)において、nが1又は2であり、R5がハロゲン原子であるピリダジン化合物;
式(1)において、nが1であり、R5がハロゲン原子であり、かつR5がベンゼン環4位又は6位の置換基であるピリダジン化合物;
式(1)において、nが2であり、R5がハロゲン原子であり、かつR5がベンゼン環4位及び6位の置換基であるピリダジン化合物;
式(1)において、nが1であり、R5がフッ素原子であり、かつR5がベンゼン環4位又は6位の置換基であるピリダジン化合物;
式(1)において、nが2であり、R5がフッ素原子であり、かつR5がベンゼン環4位及び6位の置換基であるピリダジン化合物;
【0013】
式(1)において、R4がハロゲン原子であり、nが1又は2であり、R5が各々ハロゲン原子であるピリダジン化合物;
式(1)において、nが1であり、R4がハロゲン原子であり、R5がハロゲン原子であり、かつR5がベンゼン環4位又は6位の置換基であるピリダジン化合物;
式(1)において、nが2であり、R4がハロゲン原子であり、R5がハロゲン原子であり、かつR5がベンゼン環4位及び6位の置換基であるピリダジン化合物;
式(1)において、nが1であり、R4がフッ素原子であり、R5がフッ素原子であり、かつR5がベンゼン環4位又は6位の置換基であるピリダジン化合物;
式(1)において、nが2であり、R4がフッ素原子であり、R5がフッ素原子であり、かつR5がベンゼン環4位又は6位の置換基であるピリダジン化合物;
式(1)において、nが0であるピリダジン化合物;
式(1)において、nが0、1又は2であり、mが1又は2であるピリダジン化合物;
式(1)において、各々のR1及びR3がメチル基であり、R4がハロゲン原子であるピリダジン化合物;
式(1)において、nが0、1又は2であり、mが1又は2であり、各々のR1及びR3がメチル基であり、R4がハロゲン原子であるピリダジン化合物。
【0014】
本発明化合物の中間体である式(2−1)で示される化合物、及び式(3)で示される化合物の態様としては、例えば以下のものが挙げられる。
式(2−1)において、nが0、1又は2であり、mが1又は2である化合物;
式(2−1)において、各々のR1及びR2がメチル基である化合物;
式(2−1)において、nが0、1又は2であり、mが1又は2であり、各々のR1及びR2がメチル基である化合物;
【0015】
式(3)において、nが0、1又は2であり、mが1又は2である化合物;
式(3)において、各々のR1及びR2がメチル基であり、R4がハロゲン原子である化合物;
式(3)において、nが0、1又は2であり、mが1又は2であり、各々のR1及びR2がメチル基であり、R4がハロゲン原子である化合物。
【0016】
次に、本発明化合物の製造法について説明する。
本発明化合物は、例えば以下の(製造法1)、(製造法2)又は(製造法3)により製造することができる。
【0017】
(製造法1)
本発明化合物は、式(2)で示される化合物から、以下のルートにより製造することができる。

〔式中、R1、R2、R3、m、R4、R5及びnは前記と同じ意味を表す。〕
【0018】
工程(I−a)
式(3)で示される化合物は、式(2)で示される化合物とヒドラジンとを反応させることにより製造することができる。
該反応は、通常溶媒中で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類及びこれらの混合物があげられる。
該反応において、ヒドラジンとしてはヒドラジンの水和物を用いることができる。
該反応に用いられるヒドラジンの量は、式(2)で示される化合物1モルに対して通常1〜5モルの割合である。
該反応の反応温度は通常0〜80℃の範囲であり、反応時間は通常1〜24時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を濃縮する等の操作を行うことにより、式(3)で示される化合物を単離することができる。また、反応混合物をそのまま工程(I-b)に用いることもできる。
【0019】
工程(I−b)
本発明化合物は、式(3)で示される化合物を酸化白金(PtO2)、二酸化鉛(PbO2)等の酸化剤と反応させることにより製造することができる。
該反応は、通常溶媒中で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、水及びこれらの混合物があげられる。
該反応に用いられる酸化剤の量は、式(3)で示される化合物1モルに対して、通常1〜5モルの割合である。
該反応の反応温度は通常40〜80℃の範囲であり、反応時間は通常1〜48時間の範囲である。
反応終了後は、例えば反応混合物を濾過し、得られた濾液を濃縮する等の操作を行うことより、本発明化合物を単離することができる。単離された本発明化合物は、クロマトグラフィー、再結晶等の操作によりさらに精製することもできる。
【0020】
(製造法2)
本発明化合物は、式(4)で示される化合物を塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。

〔式中、R1、R2、R3、m、R4、R5及びnは前記と同じ意味を表す。〕
該反応は、通常溶媒中で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert-ブタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類及びこれらの混合物があげられる。
該反応に用いられる塩基としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物類があげられる。
該反応に用いられる塩基の量は、式(4)で示される化合物1モルに対して、通常1〜2モルの割合である。
該反応の反応温度は通常0〜100℃の範囲であり、反応時間は通常0.1〜8時間の範囲である。
反応終了後は、例えば反応混合物と水とを混合し、有機溶媒抽出し、得られた有機層を乾燥、濃縮する等の操作を行うことにより、本発明化合物を単離することができる。単離された本発明化合物はクロマトグラフィー、再結晶等によりさらに精製することもできる。
【0021】
(製造法3)
本発明化合物のうち、式(1−2)で示される化合物は、例えば式(1−1)で示される化合物と式
NaR10
〔式中、R10はメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基又はブチルオキシ基を表す。〕
で示されるアルコラート化合物と反応させることにより製造することができる。

〔式中、R1、R2及びR10は前記と同じ意味を表し、R32は塩素原子、臭素原子、ニトロ基、シアノ基、C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシ基及びC1−C4アルキルチオ基を表し、pは0、1または2を表す。〕
該反応は、通常溶媒中で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類及びこれらの混合物があげられる。
該反応に用いられるアルコラート化合物の量は、式(1−1)で示される化合物1モルに対して、通常1〜20モルの割合である。
該反応の反応温度は通常0〜100℃の範囲であり、反応時間は通常0.1〜8時間の範囲である。
反応終了後は、例えば反応混合物と水とを混合し、有機溶媒抽出し、得られた有機層を乾燥、濃縮する等の操作を行うことにより、式(1−2)で示される化合物を単離することができる。単離された式(1−2)で示される化合物はクロマトグラフィー、再結晶等によりさらに精製することもできる。
【0022】
次に、本発明化合物の中間体の製造法に関して、参考製造法を示す。
(参考製造法1)
式(2)で示される化合物は、例えば式(6)で示される化合物と式(7)で示される化合物とから、以下のスキームにより製造することができる

〔式中、R1、R2、R3、m、R4、R5及びnは前記と同じ意味を表す。〕
【0023】
工程(ii-a)
式(5)で示される化合物は、式(7)で示される化合物と式(8)で示される化合物とを反応させることにより製造することができる。
該反応は溶媒の存在下又は非存在下で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、トルエン、キシレン等の炭化水素類があげられる。
反応に用いられる式(7)で示される化合物の量は、式(6)で示される化合物1モルに対して、通常0.8〜1.3モルの割合である。
該反応の反応温度は通常0〜50℃の範囲であり、反応時間は通常1〜48時間の範囲である。
反応終了後は、通常、反応混合物を濃縮し、得られる残査をそのまま工程(ii-b)の反応に用いられる。
【0024】
工程(ii−b)
式(2)で示される化合物は、式(5)で示される化合物と酸とを反応させることにより行われる。
該反応は通常、水及び溶媒の存在下で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類及びこれらの混合物があげられる。
該反応は通常、pHが2付近で行われる。用いられる酸としては、例えば塩酸があげられる。
該反応の反応温度は通常0〜30℃の範囲であり、反応時間は通常1〜48時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物をそのまま濃縮することにより、式(2)で示される化合物を単離することができる。単離された式(2)で示される化合物は再結晶、クロマトグラフィー等によりさらに精製することもできる。
【0025】
式(6)で示される化合物は例えばJ. Org. Chem.,32, pp.213-214 (1967) に記載される方法に準じて製造することができる。
式(7)で示される化合物は例えばJ. Med. Chem., 29, pp.924-939 (1986) に記載される方法に準じて製造することができる。
【0026】
(参考製造法2)
式(4)で示される化合物は式(8)で示される化合物と式(9)で示される化合物とを、酸の存在下で反応させることにより製造することができる。

〔式中、R1、R2、R3、m、R4、R5及びnは前記と同じ意味を表す。〕
該反応は通常溶媒の存在下で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類があげられる。
該反応に用いられる酸としては、例えばパラトルエンスルホン酸等の有機スルホン酸類があげられる。
反応に用いられる式(9)で示される化合物の量は、式(8)で示される化合物1モルに対して通常0.8〜1.3モルの割合であり、酸の量は、式(8)で示される化合物1モルに対して通常0.001〜0.05モルの割合である。
該反応の反応温度は通常20〜120℃の範囲であり、反応時間は通常1〜8時間の範囲である。
該反応は通常、反応中に生ずる水を、例えばディーンスタークトラップ等を用いて系中より除去しながら、行われる。
反応終了後は、例えば反応混合物をそのまま濃縮する、或いは反応混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液と混合し、有機溶媒抽出し、得られた有機層を乾燥、濃縮する等の操作を行うことにより式(4)で示される化合物を単離することができる。単離された式(4)で示される化合物はクロマトグラフィー、再結晶等の操作によりさらに精製することもできる。
【0027】
(参考製造法3)
式(8)で示される化合物は、式(10)で示される化合物とヒドラジンとを反応させることにより製造することができる。

〔式中、R2、R3及びmは前記と同じ意味を表す。〕
該反応は溶媒の存在下で行われる。
反応に用いられる溶媒としては、例えばエタノール等のアルコール類があげられる。
該反応において、ヒドラジンとしてはヒドラジンの水和物を用いることができる。
該反応に用いられるヒドラジンの量は、式(10)で示される化合物1モルに対して通常0.8〜1.3モルの割合である。
該反応の反応温度は通常0〜80℃の範囲であり、反応時間は通常1〜48時間の範囲である。
反応終了後は、反応混合物を濃縮する等の操作を行うことにより、式(8)で示される化合物を単離することができる。単離された式(8)で示される化合物は、クロマトグラフィー、再結晶等の操作によりさらに精製することもできる。
【0028】
式(10)で示される化合物は市販されているものを用いるか、あるいは、例えばJ. Org. Chem.,43, pp.2933-2935 (1978) 又は Synthesis, pp.403404, (1977)に記載される方法に準じて製造することができる。式(9)で示される化合物は市販されているものを用いるか、あるいは、例えばJ. Med. Chem., 29, pp.924-939 (1986)に記載される方法に準じて製造することができる。
【0029】
次に、本発明化合物の具体例を示す。
式(1−a)で示されるピリダジン化合物。

式(1−a)において、(R3m及びYは〔表1〕〜〔表5〕に示される置換基の組合わせのうちの一つである。
(但し、表中の(R3)mのカラムにおいて”−”のみでの記載は、mが0であることを表す。)
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
【表3】

【0033】
【表4】

【0034】
【表5】

【0035】
次に、本発明化合物の製造中間体の具体例を以下に示す。
式(2−a)で示される化合物;

式(3−a)で示される化合物;

式(4−a)で示される化合物;

式(5−a)で示される化合物;

式(2−a)、式(3−a)、式(4−a)及び式(5−a)における、(R3m及びYは〔表6〕〜〔表10〕に示される置換基の組み合わせのうちの一つである。
【0036】
【表6】

【0037】
【表7】

【0038】
【表8】

【0039】
【表9】

【0040】
【表10】

【0041】
式(7−a)で示される化合物;

式(9−a)で示される化合物;

式(7−a)及び式(9−a)において、Yは〔表11〕および〔表12〕に示される置換基のうちの一つである。
【0042】
【表11】

【0043】
【表12】

【0044】
式(6−a)で示される化合物;

式(8−a)で示される化合物;

式(10−a)で示される化合物;

式(6−a)、式(7−a)、式(8−a)及び式(10−a)にいて、(R3mは〔表13〕に示される置換基のうちの一つである。
【0045】
【表13】

【0046】
本発明化合物が防除効力を有する植物病害としては例えば次のものがあげられる。
イネのいもち病(Pyricularia oryzae)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、紋枯病(Rhizoctonia solani);
ムギ類のうどんこ病(Erysiphe graminis)、赤かび病(Gibberella zeae)、さび病(Puccinia striiformis, P. graminis, P. recondita, P. hordei)、雪腐病(Typhula sp.,Micronectriella nivalis)、裸黒穂病(Ustilago tritici, U. nuda)、なまぐさ黒穂病(Tilletia caries)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、葉枯病(Septoria tritici)、ふ枯病(Leptosphaeria nodorum);
カンキツ類の黒点病(Diaporthe citri)、そうか病(Elsinoe fawcetti)、果実腐敗病(Penicillium digitatum, P. italicum);
リンゴのモニリア病(Sclerotinia mali)、腐らん病(Valsa mali)、うどんこ病(Podosphaera leucotricha)、斑点落葉病(Alternaria mali)、黒星病(Venturia inaequalis);
【0047】
ナシの黒星病(Venturia nashicola, V. pirina)、黒斑病(Alternaria kikuchiana)、赤星病(Gymnosporangium haraeanum);
モモの灰星病(Sclerotinia cinerea)、黒星病(Cladosporium carpophilum)、フォモプシス腐敗病(Phomopsis sp.);
ブドウの黒とう病(Elsinoe ampelina)、晩腐病(Glomerella cingulata)、うどんこ病(Uncinula necator)、さび病(Phakopsora ampelopsidis)、ブラックロット病(Guignardia bidwellii)、べと病(Plasmopara viticola);
カキの炭そ病(Gloeosporium kaki)、落葉病(Cercospora kaki, Mycosphaerella nawae);
【0048】
ウリ類の炭そ病(Colletotrichum lagenarium)、うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、つる枯病(Mycosphaerella melonis)、つる割病(Fusarium oxysporum)、べと病(Pseudoperonospora cubensis)、疫病(Phytophthora sp.)、苗立枯病(Pythium sp.);
トマトの輪紋病(Alternaria solani)、葉かび病(Cladosporium fulvum)、疫病(Phytophthora infestans);
ナスの褐紋病(Phomopsis vexans)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum);
アブラナ科野菜の黒斑病(Alternaria japonica)、白斑病(Cercosporella brassicae);
ネギのさび病(Puccinia allii)、ダイズの紫斑病(Cercospora kikuchii)、黒とう病(Elsinoe glycines)、黒点病(Diaporthe phaseolorum var. sojae);
インゲンの炭そ病(Colletotrichum lindemthianum);
ラッカセイの黒渋病(Cercospora personata)、褐斑病(Cercospora arachidicola);
エンドウのうどんこ病(Erysiphe pisi);
【0049】
ジャガイモの夏疫病(Alternaria solani)、疫病(Phytophthora infestans);
イチゴのうどんこ病(Sphaerotheca humuli);
茶の網もち病(Exobasidium reticulatum);白星病(Elsinoe leucospila)、タバコの赤星病(Alternaria longipes)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、炭そ病(Colletotrichum tabacum)、べと病(Peronospora tabacina)、疫病(Phytophthora nicotianae);
テンサイの褐斑病(Cercospora beticola);
バラの黒星病(Diplocarpon rosae)、うどんこ病(Sphaerotheca pannosa);
キクの褐班病(Septoria chrysanthemi−indici)、白さび病(Puccinia horiana);
種々の作物の灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum);
ダイコンの黒すす病(Alternaria brassicicola);
シバのダラースポット病(Sclerotinia homeocarpa)、シバのブラウンパッチ病及びラージパッチ病(Rhizoctonia solani)。
【0050】
本発明化合物は、そのものを植物または土壌に施用することによっても、植物病害防除効力を発揮する。通常は本発明化合物と適当な担体と、必要に応じて用いられる適当な添加物からなる組成物の形態にて用いられる。本発明の植物病害防除剤は通常、本発明化合物と固体担体および/または液体担体とを混合し、必要に応じて界面活性剤その他の製剤用補助剤を添加して、乳剤、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤、粉剤、粒剤等の製剤として調製して、使用される。
これらの製剤において、本発明化合物は通常0.1〜90重量%含有される。
製剤化の際に用いられる固体担体としては、例えばカオリンクレー、アッタパルジャイトクレー、ベントナイト、モンモリロナイト、酸性白土、パイロフィライト、タルク、珪藻土、方解石等の鉱物、トウモロコシ穂軸粉、クルミ殻粉等の天然有機物、尿素等の合成有機物、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム等の塩類、合成含水酸化珪素等の合成無機物等からなる微粉末あるいは粒状物等が挙げられ、液体担体としては、例えばキシレン、アルキルベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、セロソルブ等のアルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、ダイズ油、綿実油等の植物油、石油系脂肪族炭化水素類、エステル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル及び水が挙げられる。
界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル塩、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホネートホルモアルデヒド重縮合物等の陰イオン界面活性剤及びポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルポリオキシプロピレンブロックコポリマ−、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤が挙げられる。
その他の製剤用補助剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、アラビアガム、アルギン酸及びその塩、CMC(カルボキシメチルセルロ−ス)、ザンサンガム等の多糖類、アルミニウムマグネシウムシリケート、アルミナゾル等の無機物、防腐剤、着色剤及びPAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT等の安定化剤が挙げられる。
【0051】
本発明の植物病害防除剤を植物体に処理することにより、該植物を植物病害から保護する、即ち植物病害を防除することができる。また、本発明の植物病害防除剤を土壌に処理することにより、該土壌に生育する植物を植物病害から保護する、即ち植物病害を防除することができる。
本発明の植物病害防除剤を植物体に茎葉処理する場合、又は本発明の植物病害防除剤を土壌に処理する場合、その処理量は、防除対象植物である作物等の種類、防除対象病害の種類、防除対象病害の発生程度、製剤形態、処理時期、気象条件等によって変化させ得るが、10000m2あたり本発明化合物として通常1〜5000g、好ましくは5〜1000gである。
乳剤、水和剤、フロアブル剤等は通常を水で希釈して散布することにより処理する。この場合、本発明化合物の濃度は通常0.0001〜3重量%、好ましくは0.0005〜1重量%の範囲である。粉剤、粒剤等は通常希釈することなくそのまま処理する。
また、本発明の植物病害防除剤を植物体に処理する場合、該植物の種子の時期に処理することにより、該植物を植物病害から保護することができる。その具体的な方法としては、例えば植物の種子を本発明化合物の濃度が1〜1000ppmに調製した本発明の植物病害防除剤に種子を浸漬する方法、植物の種子に本発明化合物の濃度が1〜1000ppmの本発明の植物病害防除剤を噴霧もしくは塗沫する方法、及び植物の種子に本発明の植物病害防除剤を粉衣する方法があげられる。
本発明の植物病害防除方法は、通常本発明化合物の有効量を病害の発生が予測される植物又はその植物が生育する土壌に処理することにより行われる。
本発明の植物病害防除剤は通常、農園芸用作物の植物病害防除剤、即ち畑地、水田、果樹園、茶園、牧草地、芝生地等における植物病害を防除するための植物病害防除剤として用いられる。
【0052】
本発明の植物病害防除剤は他の植物病害防除剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、除草剤、植物生長調節剤及び/又は肥料と共に用いることもできる。
かかる植物病害防除剤の有効成分化合物としては、例えば、プロピコナゾール、トリアジメノール、プロクロラズ、ペンコナゾール、テブコナゾール、フルシラゾール、ジニコナゾール、ブロムコナゾール、エポキシコナゾール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、メトコナゾール、トリフルミゾール、テトラコナゾール、マイクロブタニル、フェンブコナゾール、ヘキサコナゾール、フルキンコナゾール、トリティコナゾール、ビテルタノール、イマザリル及びフルトリアホール等のアゾール系殺菌化合物;フェンプロピモルフ、トリデモルフ及びフェンプロピジン等の環状アミン系殺菌化合物;カルベンダジム、ベノミル、チアベンダゾール、チオファネートメチル等のベンズイミダゾール系殺菌化合物;プロシミドン;シプロディニル;ピリメタニル;ジエトフェンカルブ;チウラム;フルアジナム;マンコゼブ;イプロジオン;ビンクロゾリン;クロロタロニル;キャプタン;メパニピリム;フェンピクロニル;フルジオキソニル;ジクロフルアニド;フォルペット;クレソキシムメチル;アゾキシストロビン;トリフロキシストロビン;ピコキシストロビン;ピラクロストロビン;N−メチル−α−メトキシイミノ−2−〔(2,5−ジメチルフェノキシ)メチル〕フェニルアセトアミド;スピロキサミン;キノキシフェン;フェンヘキサミド;ファモキサドン;フェナミドン(RP−407213);イプロヴァリカルブ;ベンチアバリカルブ;シアゾファミド;ボスカリド;メトラフェノン及びシフルフェナミドが挙げられる。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を製造例、製剤例及び試験例等によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。
まず、本発明化合物の製造例を示す。
製造例1

式(2−i)で示される化合物0.39g、ヒドラジン一水和物56.0mg及びエタノール2mlを混合し、室温で4時間攪拌した。反応混合物に酸化白金(PtO2)0.33gを加え、室温で一日、60℃で一晩、さらに加熱還流条件下で4時間攪拌した。その後、反応混合物を室温まで放冷し、セライトを通して濾過した。濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、4−(4−クロロフェニル)−2,6−ジメチル−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)ピリダジン(以下、本発明化合物(i)と記す。)0.11gを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):2.51(6H,s),6.61(2H,t,J=7.0Hz),6.99(2H,d,J=8.3Hz),7.28(2H,d,J=8.3Hz)
【0054】
製造例2

式(3−i)で示される化合物の未精製物1.09g、二酸化鉛(PbO2)1.52g及びエタノール10mlを混合し、60℃で6時間攪拌した。その後、反応混合物を室温まで放冷し、セライトを通して濾過した。濾液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、2,6−ジメチル−4−(4−メチルフェニル)−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)ピリダジン(以下、本発明化合物(ii)と記す。)0.84gを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):2.31(3H,s),2.50(3H,s),2.51(3H,s),6.58(2H,t,J=7.0Hz),6.91(2H,d,J=8.0Hz),7.08(2H,d,J=8.0Hz)
【0055】
製造例3

式(4−i)で示される化合物の未精製物3.52gをtert−ブタノール30mlに溶かし、ここに粉末状の水酸化カリウム0.67gを加え、窒素雰囲気下、加熱還流条件下で4時間攪拌した。室温まで放冷した反応混合物を、食塩水及び氷の混合物中に注加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、4−(4−クロロフェニル)−2,6−ジメチル−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)ピリダジン(本発明化合物(i))0.54gを得た。
【0056】
製造例4

式(4−ii)で示される化合物の未精製物2.75gをtert−ブタノール20mlに溶かし、ここに粉末状の水酸化カリウム0.56gを加え、窒素雰囲気下、加熱還流条件下で4時間攪拌した。室温まで放冷した反応混合物を食塩水及び氷の混合物中に注加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、2,6−ジメチル−4−フェニル−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)ピリダジン(以下、本発明化合物(iii)と記す。)0.36gを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):2.51(6H,s),6.58(2H,t,J=8.4Hz),7.0−7.1(2H,m),7.2−7.35(3H,m)
【0057】
製造例5

式(4−iii)で示される化合物の未精製物1.34gをエタノール10mlに溶かし、ここに粉末状の水酸化カリウム30mgを加え、窒素雰囲気下、加熱還流条件下で3時間攪拌した。その後、該混合液に粉末状の水酸化カリウム200mgを加え、窒素雰囲気下、加熱還流条件下で4時間攪拌した。室温まで放冷した反応混合物を食塩水及び氷の混合物中に注加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、4−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−5−(4−クロロフェニル)−2,6−ジメチルピリダジン(以下、本発明化合物(iv)と記す。)0.18gを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):2.46(3H,s),2.51(3H,s),6.9−7.0(1H,m), 7.0−7.1(2H,m),7.1−7.3(4H,m)
【0058】
製造例6

本発明化合物(i)174mgをエタノール6mlに溶かし、ここにナトリウムエチラート(20%エタノール溶液)1.70gを加え、窒素雰囲気下、加熱還流条件下で2時間攪拌した。室温まで放冷した反応混合物を食塩水及び氷の混合物に注加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、4−(4−クロロフェニル)−5−(4−エトキシ−2,6−ジフルオロフェニル)−2,6−ジメチルピリダジン(以下、本発明化合物(v)と記す。)0.13gを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.39(3H,t,J=8Hz),2.49(3H,s),2.51(3H,s),3.95(2H,q,J=8Hz),6.3−6.4(2H,m),7.00(2H,d,J=8Hz),7.27(2H,d,J=8Hz)
【0059】
製造例7

式(4−iv)で示される化合物の未精製物3.44gをエタノール25mlに溶かし、ここに粉末状の水酸化カリウム0.79gを加え、窒素雰囲気下、加熱還流条件下で3時間攪拌した。室温まで放冷した反応混合物を食塩水及び氷の混合物中に注加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、4−(4−クロロフェニル)−5−(2,6−ジフルオロフェニル)−2,6−ジメチルピリダジン(以下、本発明化合物(vi)と記す。)0.58gを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):2.51(6H,s),6.83(2H,t,J=7.6Hz),6.99(2H,d,J=8.4Hz),7.2−7.4(3H)
【0060】
製造例8

式(4−v)で示される化合物の未精製物3.64gをtert−ブタノール25mlに溶かし、ここに粉末状の水酸化カリウム0.79gを加え、窒素雰囲気下、加熱還流条件下で3時間攪拌した。室温まで放冷した反応混合物を食塩水及び氷の混合物中に注加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジフルオロフェニル)−2,6−ジメチルピリダジン(以下、本発明化合物(vii)と記す。)0.72gを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):2.49(3H,s),2.50(3H,s),6.7−6.9(3H),6.94(2H,d,J=8.0Hz),7.25(2H,d,J=8.0Hz)
【0061】
製造例9

式(4−vi)で示される化合物の未精製物3.71gをエタノール25mlに溶かし、ここに粉末状の水酸化カリウム0.79gを加え、窒素雰囲気下、加熱還流条件下で3時間攪拌した。室温まで放冷した反応混合物を食塩水及び氷の混合物中に注加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、4−(4−クロロフェニル)−5−(2−クロロフェニル)−2,6−ジメチルピリダジン(以下、本発明化合物(viii)と記す。)0.58gを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):2.44(3H,s),2.51(3H,s),6.90(1H,dd,J=7.6Hz,J=1.6Hz),6.95−7.05(2H,br),7.15(2H,td,J=7.6Hz,J=1.6Hz),7.2−7.4(3H)
【0062】
製造例10

式(4−vii)で示される化合物の未精製物3.30gをエタノール25mlに溶かし、ここに粉末状の水酸化カリウム0.79gを加え、窒素雰囲気下、加熱還流条件下で4時間攪拌した。室温まで放冷した反応混合物を食塩水及び氷の混合物中に注加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、4−(4−クロロフェニル)−2,6−ジメチル−5−(2−フルオロフェニル)ピリダジン(以下、本発明化合物(ix)と記す。)0.42gを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):2.49(3H,s),2.51(3H,s),6.85−7.05(5H)、7.2−7.3(3H)

製造例11

本発明化合物(i)174mgをメタノール6mlに溶かし、ここにナトリウムメチラート(28%メタノール溶液)0.96gを加え、窒素雰囲気下、加熱還流条件下で3時間攪拌した。該混合物にナトリウムメチラート(28%メタノール溶液)0.96gを加え、窒素雰囲気下、加熱還流条件下で8.5時間攪拌した。室温まで放冷した反応混合物を食塩水及び氷の混合物に注加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、乾燥し、減圧下濃縮して、4−(4−クロロフェニル)−5−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−2,6−ジメチルピリダジン(以下、本発明化合物(x)と記す。)147mgを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):2.50(3H,s),2.51(3H,s),3.76(3H,s),6.35−6.4(2H,m),7.00(2H,d,J=8Hz),7.27(2H,d,J=8Hz)
【0063】
次に、本発明化合物の中間体の製造について参考製造例として示す。
参考製造例1

2,4,6−トリフルオロベンズアルデヒド4.80g、酢酸アンモニウム0.72g及びニトロエタン19.34gの混合物を窒素雰囲気下、7時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷してから、反応混合物を減圧下濃縮した。残渣に酢酸エチルを加え、飽和食塩水で2回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、式(7−i)で示される化合物4.80gを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):2.23(3H,s),6.7−6.8(2H,m),7.77(1H,s)
【0064】
参考製造例2

式(A−i)で示される化合物3.45g、トルエン20mlに溶解したモルホリン6.24g及びトルエン100mlの混合物を、窒素雰囲気下、0℃に冷却した。該混合物にトルエン10mlと四塩化チタン(1.0Mトルエン溶液)11.5mlとの混合溶液を、50分間かけて滴下し、室温で一晩攪拌した。反応混合物をセライトを通して濾過した。濾液を減圧下濃縮した。残渣にヘキサンを加え、生じた固体を濾過により集めた。該固体をヘキサンで2度洗浄し、減圧下で乾燥して、式(6−i)で示される化合物3.46gを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.95(3H,s),3.00(4H,t,J=4.8Hz),3.78(4H,t,J=4.8Hz),5.48(1H,s),7.09(2H,d,J=8.5Hz),7.23(2H,d,J=8.5Hz)
【0065】
参考製造例3

式(6−i)で示される化合物3.34gをトルエン5mlに溶解し、窒素雰囲気下、0℃に冷却した。該溶液に式(7−i)で示される化合物3.05gを加え、同温で40分間、室温で一晩攪拌した。その後、反応混合物を減圧下濃縮した。残渣にエタノール15ml及び1モル/L塩酸10mlを加え、一晩攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮した。得られた固体残渣をろ過により集め、該固体をヘキサンとtert−ブチルメチルエーテルとの混合物で洗浄した。得られた固体を減圧下乾燥し、式(5−i)で示される化合物の未精製物1.82gを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.52(3H,s),1.93(3H,s),3.32(2H,d,J=11.7Hz),4.56(2H,d,J=11.7Hz),6.60(2H,br),7.18−7.28(4H,m)
【0066】
参考製造例4

式(5−i)で示される化合物の未精製物1.82gをエタノール:ジオキサン(1:1)の混合溶媒20mlに溶解し、ここに1モル/L塩酸10mlを加え、室温で6時間攪拌した。その後、反応混合物を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、式(2−i)で示される化合物0.76gを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):2.06(3H,s),2.22(3H,s),4.52(1H,d,J=11.0Hz),4.90(1H,d,J=11.0Hz),6.52(2H,t,J=8.5Hz),7.01(2H,d,J=8.3Hz),7.13(2H,d,J=8.3Hz)
【0067】
参考製造例5

式(A−ii)で示される化合物7.41g、トルエン30mlに溶解したモルホリン14.37g及びトルエン200mlの混合物を窒素雰囲気下、0℃に冷却した。該混合物にトルエン30mlと四塩化チタン(1.0Mトルエン溶液)28mlとの混合溶液を、1時間かけて滴下し、室温で一晩攪拌した。反応混合物をセライトを通して濾過した。濾液を減圧下濃縮した。残渣にヘキサンを加え、生じた固体を濾過により集めた。該固体をヘキサンで2度洗浄し、減圧下で乾燥して、式(6−ii)で示される化合物5.38gを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.97(3H,s),2.32(3H,s),2.99(4H,t,J=4.9Hz),3.79(4H,t,J=4.9Hz),5.54(1H,s),7.08(4H,m)
【0068】
参考製造例6

式(6−ii)で示される化合物5.38gをトルエン6mlに溶解し、窒素雰囲気下、0℃に冷却した。該溶液に式(7−i)で示される化合物4.30gを加え、同温で40分間、室温で3時間攪拌した。その後、反応混合物を減圧下濃縮した。残渣にエタノール12ml及び1モル/L塩酸5mlを加え、3時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮した。得られた固体残渣をろ過により集め、該固体をヘキサンとtert−ブチルメチルエーテルとの混合物で洗浄した。得られた固体を減圧下乾燥し、式(5−ii)で示される化合物の未精製物4.93gを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.54(3H,s),1.92(3H,s),2.27(3H,s),3.28(1H,d,J=11.0Hz),4.56(1H,d,J=11.0Hz),6.54(2H,br),6.97(2H,d,J=8.0Hz),7.12(2H,br)
【0069】
参考製造例7

式(5−ii)で示される化合物の未精製物4.93gをエタノール、メタノール及びジオキサンの混合液(混合比:エタノール/メタノール/ジオキサン=1/1/1)60mlに溶解し、ここに1モル/L塩酸20mlを加え、室温で4時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、式(2−ii)で示される化合物1.16gを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):2.07(3H,s),2.20(3H,s),2.22(3H,s),4.51(1H,d,J=11.0Hz),4.92(1H,d,J=11.0Hz),6.50(2H,t,J=8.5Hz),6.94(4H,s)
【0070】
参考製造例8

式(2−ii)で示される化合物1.05g、ヒドラジン一水和物0.16g及びエタノール12mlを混合し、室温で3時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、式(3−i)で示される化合物の未精製物1.09gを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):1.95(3H,s),2.00(3H,s),2.29(3H,s),3.62(1H,d,J=12.0Hz),3.93(1H,d,J=12.0Hz),6.59(2H,t,J=8.3Hz),6.96(2H,d,J=8.0Hz),7.07(2H,d,J=8.0Hz)
【0071】
参考製造例9

式(10−i)で示される化合物21.90gをエタノール100mlに溶かし、窒素雰囲気下、氷冷しながら、ここにヒドラジン1水和物6.00gとエタノール20mlとの混合物を滴下した。この混合物を同温で1時間、室温で2時間撹拌した後、室温で一晩放置した。反応混合物にクロロホルム80mlを加えて、濾過した。濾液を減圧下濃縮して、式(8−i)で示される化合物23.52gを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):2.05(3H,s),6.09(2H,br s),7.38(2H,d,J=8Hz),7.81(2H,d,J=8Hz)
【0072】
参考製造例10

2,4,6−トリフルオロベンズアルデヒド29.08g、酢酸アンモニウム4.34g及びニトロエタン112mlの混合物を窒素雰囲気下、5時間加熱還流した。室温まで放冷した反応混合物を減圧下濃縮した。残渣にクロロホルムを加え、飽和食塩水で2回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮し、式(7−i)で示される化合物の未精製物38.53gを得た。
式(7−i)で示される化合物の未精製物35.84g、100−メッシュの鉄粉35.58g、塩化鉄(III)6水和物1.09g及び水79mlの混合物に濃塩酸64mlを100℃の油浴上で撹拌しながら3時間かけて滴下した。これを同温で4時間撹拌した。室温まで放冷した反応混合物に水及びクロロホルムを加え、セライトを通して濾過した。濾液を分液した。水層をクロロホルムで抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、式(9−i)で示される化合物15.09gを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):2.27(3H,s),3.74(2H,s),6.6−6.7(2H,m)
【0073】
参考製造例11

式(8−i)で示される化合物1.92g及び式(9−i)で示される化合物1.88gをトルエン50mlに溶かし、パラトルエンスルホン酸1水和物60mgを加え、ディーンスタークトラップにより脱水しながら加熱還流下で1時間撹拌した。室温まで放冷した反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和重曹水で洗浄した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、乾燥した後、減圧下濃縮して、式(4−i)で示される化合物の未精製物3.52gを得た。
【0074】
参考製造例12

式(10−ii)で示される化合物29.63gをエタノール100mlに溶かし、窒素雰囲気下、氷冷しながら、ここにヒドラジン1水和物10.00gとエタノール30mlとの混合物を滴下した。この混合液を同温度で1.5時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下濃縮して、式(8−ii)で示される化合物32.95gを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):2.03(3H,s),6.09(2H,br s),7.35−7.50(3H,m),7.80−7.85(2H,m)
【0075】
参考製造例13

式(8−ii)で示される化合物1.78g及び式(9−i)で示される化合物1.88gをトルエン50mlに溶かし、パラトルエンスルホン酸1水和物60mgを加え、ディーンスタークトラップにより脱水しながら加熱還流下で1時間撹拌した。室温まで放冷した反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和重曹水で洗浄した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、式(4−ii)で示される化合物の未精製物2.75gを得た。
【0076】
参考製造例14

式(8−i)で示される化合物0.68g及び式(9−ii)で示される化合物0.65gをトルエン20mlに溶かし、パラトルエンスルホン酸1水和物20mgを加え、ディーンスタークトラップにより脱水しながら加熱還流下で1時間撹拌した。室温まで放冷した反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和重曹水で洗浄した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、乾燥した後、減圧下濃縮して、式(4−iii)で示される化合物1.34gを得た。
【0077】
参考製造例15

式(8−i)で示される化合物1.97g及び式(9−iii)で示される化合物1.70gをトルエン50mlに溶かし、パラトルエンスルホン酸1水和物10mgを加え、ディーンスタークトラップにより脱水しながら加熱還流下で1.5時間撹拌した。室温まで放冷した反応混合物を減圧下濃縮して、式(4−iv)で示される化合物の未精製物3.44gを得た。
【0078】
参考製造例16

式(8−i)で示される化合物1.97g及び式(9−iv)で示される化合物1.70gをトルエン50mlに溶かし、パラトルエンスルホン酸1水和物10mgを加え、ディーンスタークトラップにより脱水しながら加熱還流下で1.5時間撹拌した。室温まで放冷した反応混合物を減圧下濃縮して、式(4−v)で示される化合物の未精製物3.64gを得た。
【0079】
参考製造例17

式(8−i)で示される化合物1.97g及び式(9−v)で示される化合物1.69gをトルエン25mlに溶かし、パラトルエンスルホン酸1水和物10mgを加え、ディーンスタークトラップにより脱水しながら加熱還流下で1.5時間撹拌した。室温まで放冷した反応混合物を減圧下濃縮して、式(4−vi)で示される化合物の未精製物3.71gを得た。
【0080】
参考製造例18

式(8−i)で示される化合物1.97g及び式(9−vi)で示される化合物1.52gをトルエン30mlに溶かし、パラトルエンスルホン酸1水和物10mgを加え、ディーンスタークトラップにより脱水しながら加熱還流下で1.5時間撹拌した。室温まで放冷した反応混合物を減圧下濃縮して、式(4−vii)で示される化合物の未精製物3.30gを得た。
【0081】
参考製造例19

式(9−vi)で示される化合物4.99gを酢酸20mlに溶解し、活性化ニ酸化マンガン1.70gを加え、窒素雰囲気下で、7時間加熱還流した。室温まで放冷した反応混合物を、食塩水及び氷の混合物に注加し、トルエンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル)に付し、式(2−iii)で示される化合物0.84gを得た。
1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm):2.16(6H,s),4.92(2H,s),6.8−7.2(8H)
【0082】
次に製剤例を示す。なお、部は重量部を表す。
製剤例1
本発明化合物(i)〜(x)の各々50部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸マグネシウム2部及び合成含水酸化珪素45部をよく粉砕混合することにより、各々の水和剤を得る。
製剤例2
本発明化合物(i)〜(x)の各々20部とソルビタントリオレエート1.5部とを、ポリビニルアルコール2部を含む水溶液28.5部と混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中に、キサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケート0.1部を含む水溶液40部を加え、さらにプロピレングリコ−ル10部を加えて攪拌混合し各々のフロアブル製剤を得る。
製剤例3
本発明化合物(i)〜(x)の各々2部、カオリンクレー88部及びタルク10部をよく粉砕混合することにより、各々の粉剤を得る。
製剤例4
本発明化合物(i)〜(x)の各々5部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル14部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム6部及びキシレン75部をよく混合することにより、各々の乳剤を得る。
製剤例5
本発明化合物(i)〜(x)の各々2部、合成含水酸化珪素1部、リグニンスルホン酸カルシウム2部、ベントナイト30部及びカオリンクレー65部をよく粉砕混合した後、水を加えてよく練り合せ、造粒乾燥することにより、各々の粒剤を得る。
製剤例6
本発明化合物(i)〜(x)の各々10部、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩50部を含むホワイトカーボン35部及び水55部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕することにより、各々の製剤を得る。
【0083】
次に本発明化合物が植物病害の防除に有効であることを、試験例により示す。
試験例1
プラスチックポットに砂壌土を詰め、キュウリ(品種:相模半白)を播種し、温室内で10日間生育させた。本発明化合物(i)〜(x)の各々を製剤例6に準じて製剤とした後、水で500ppmの濃度に希釈した。得られた希釈液を各々、前記のキュウリ子葉面に十分付着するように茎葉散布した。散布後植物を風乾し、キュウリの子葉面上に灰色かび病菌(Botrytis cinerea)の胞子を含有するPDA培地を置いた。次いでそのキュウリを12℃多湿下に5日間放置した後、植物の病斑面積を肉眼にて観察した。その結果、本発明化合物(i)〜(x)を処理したキュウリの病斑面積は、無処理のキュウリの病斑面積の10%以下であった。
【0084】
試験例2
プラスチックポットに砂壌土を詰め、イネ(品種:日本晴)を播種し、温室内で15日間生育させた。本発明化合物(i)〜(x)の各々を製剤例6に準じて製剤とした後、水で500ppmの濃度に希釈した。得られた希釈液の各々を、前記のイネ葉面に十分付着するように散布した。散布後、植物を風乾し、該イネのプラスチックポットの周りにいもち病(Pyricularia oryzae)に罹病したイネを植えたプラスチックポットを置いた状態で22℃、多湿下に6日間放置した。その後、防除効果を調査した。その結果、本発明化合物(i)〜(x)を処理したイネの病斑面積は、無処理のイネの病斑面積の10%以下であった。
【0085】
試験例3
プラスチックポットに砂壌土を詰め、ダイコン(品種:早生40日)を播種し、温室内で5日間生育させた。本発明化合物(i)〜(x)の各々を製剤例6に準じて製剤とした後、水で500ppmの濃度に希釈した。得られた希釈液の各々を、前記のダイコンに十分付着するように茎葉散布した。散布後、植物を風乾し、黒すす病菌(Alternaria brassicicola)の胞子を接種した。次いでこのダイコンを接種後23℃、多湿下に一晩放置し、さらに温室内で3日間放置した。その後、防除効果を調査した。その結果、本発明化合物(i)〜(x)を処理したダイコンの病斑面積は、無処理のダイコンの病斑面積の10%以下であった。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明化合物を用いることにより、植物病害を防除することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

〔式中、
1はC1−C4アルキル基を表し、
2はC1−C4アルキル基を表し、
3はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキルチオ基を表し、
mは0〜5の整数を表し、mが2以上の整数である場合、R3は同一又は相異なる。
4はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基を表し、
5はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基を表し、
nは0〜4の整数を表し、nが2以上の整数である場合、R5は同一又は相異なる。〕
で示されるピリダジン化合物。
【請求項2】
式(1)において、nが0、1又は2であり、mが1又は2である請求項1に記載されるピリダジン化合物。
【請求項3】
式(1)において、R1がメチル基であり、R2がメチル基であり、R4がハロゲン原子である請求項1または2に記載されるピリダジン化合物。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載されるピリダジン化合物を有効成分として含有することを特徴とする植物病害防除剤。
【請求項5】
請求項1、2又は3に記載されるピリダジン化合物の有効量を植物又は植物を栽培する土壌に施用することを特徴とする植物病害の防除方法。
【請求項6】
式(3)

〔式中、
1はC1−C4アルキル基を表し、
2はC1−C4アルキル基を表し、
3はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキルチオ基を表し、
mは0〜5の整数を表し、mが2以上の整数である場合、R3は同一又は相異なる。
4はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基を表し、
5はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基を表し、
nは0〜4の整数を表し、nが2以上の整数である場合、R5は同一又は相異なる。〕
で示される化合物。
【請求項7】
式(3)において、nが0、1又は2であり、mが1又は2である請求項6に記載される化合物。
【請求項8】
式(3)において、R1がメチル基であり、R2がメチル基であり、R4がハロゲン原子である請求項6または7に記載される化合物。
【請求項9】
式(2−1)

〔式中、
1はC1−C4アルキル基を表し、
2はC1−C4アルキル基を表し、
3はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキルチオ基を表し、
mは0〜5の整数を表し、mが2以上の整数である場合、R3は同一又は相異なる。
41はハロゲン原子を表し、
5はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキル基又はハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基を表し、
nは0〜4の整数を表し、nが2以上の整数である場合、R5は同一又は相異なる。〕
で示される化合物。
【請求項10】
式(2−1)において、nが0、1又は2であり、mが1又は2である請求項9に記載される化合物。
【請求項11】
式(2−1)において、R1がメチル基であり、R2がメチル基である請求項9または10に記載される化合物。

【公開番号】特開2006−45192(P2006−45192A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−158566(P2005−158566)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】