説明

ファイルタイプおよび/またはファイルフォーマットの変換を伴うMMSメッセージの伝送方法、加入者端末装置

【課題】データもしくはメッセージの送信側に対し、データおよびデータフォーマットのいかなる組み合わせにおいても所定の通信システムおよび/またはMMSユーザアプリケーションに対しエラーのない整合を行えるよう、高いフレキシビリティでデータ送信の付加的なオプションを提供する。
【解決手段】受信側(B)のプロファイルに従いファイルタイプおよび/またはファイルフォーマットの変換(KONV)が行われる。その際、各データにおいておよび/またはそれぞれ異なるデータ要素間で個々のリンク(LK)の有効性が維持されるよう、個々のリンク(LK)がファイルタイプおよび/またはファイルの変換(KONV)に応じて変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載のデータ伝送方法、送信ユニットおよび/または受信ユニット、コンピュータプログラム製品ならびに通信システムに関する。ここでデータという用語は本発明においては、個々の構成要素からまとめられたあらゆる形式の情報のことも意味する。それら個々の構成要素またはエレメントを様々な標準に従い構築されたもの、編成されたもの、および/または符号化されたものとすることができる。したがってこの意味においてデータとは、それぞれ異なる標準による種々の要素を含むマルチメディアメッセージのことも表す。
【背景技術】
【0002】
データの様々なフォームまたはフォーマットを伝送するための方法および装置が知られている。Global System for Mobile Communications Standard 略してGSMによる移動無線システムによれば、たとえば音声による電話のほかにもすでに現在、160キャラクタの長さまでの短いテキストメッセージの形態で情報を送受信することもできる。このサービスをショートメッセージサービス Short Message Service 略してSMSとも称する。
【0003】
たとえば Universal Mobile Telecommunication System UMTS などのような次世代の移動無線システムに関しては目下、移動メッセージサービスのマルチメディア対応バリエーションの標準化作業が行われており、これはいわゆるマルチメディアメッセージサービス Multimedia Messaging Service MMS と呼ばれるものである。マルチメディアメッセージサービスMMSは、任意のコンテンツをあるサービス加入者からネットワークを介して別の加入者へ伝送するメカニズムの仕様を規定するものである。SMSのテキストメッセージとはっきり区別するため、以下ではマルチメディアコンテンツをもつメッセージとしての情報をマルチメディアメッセージ略してMMと称する。SMSとは異なりマルチメディアメッセージサービスMMSであると、内容を純粋なテキストとするという制約がなくなる。MMSの場合であると、個々の好みに合わせてテキストに書式を与えることも可能となるし、任意のコンテンツをメッセージに埋め込むこともできるようになる。例として挙げると、オーディオコンテンツやビデオコンテンツ、静止画、グラフィック、テキスト等である。マルチメディアメッセージMMの個々のマルチメディア構成要素(MM要素とも称する)には、他のデータを指す参照いわゆるリンクも含ませることができる。そのようにしてリンクされたデータを同様にマルチメディアメッセージ内に別のMM要素として組み込むこともできるけれども、あるいはダウンロード用として外部の記憶場所に用意しておくこともでき、たとえばネットワークにおけるサーバに用意しておくこともできる。
【0004】
本発明の重要な適用分野がたとえ上述の標準に準拠したアプリケーションにあると見込まれているにしても、以下で説明する本発明が係わるのは一般的にいって、音声付きまたは音声なしのテキストデータおよび/または画像データの個々の要素からまとめられ、それぞれ同じ標準または異なる標準に従って符号化されているデータないしはデータのかたまりである。
【0005】
この種のデータを伝送するための通信システムには基本的に3つの階層が含まれている。すなわち、MMSユーザアプリケーションもしくはMMSユーザエージェントをもつデータ送信側の階層、ネットワーク要素によりサービスを実行する少なくとも1つのサービス提供側もしくはプロバイダの階層(以下ではMMSコネクションユニットもしくはMMSリレー/サーバと称する)、さらには対応するMMSユーザアプリケーションをもつ受信側の階層の3つである。ここでMMSユーザアプリケーションという用語は、たとえば移動無線機器などにおいてそれぞれ送信側および受信側でMMS機能を実現するアプリケーションのことである。
【0006】
通常、MMSユーザアプリケーションを備えた端末機器は、既存のファイルタイプやファイルフォーマットないしはデータタイプやデータフォーマットのすべてはサポートしていない。現在行われている開発によって示唆されていることは、将来はマルチメディアメッセージの要素としても関心を集める可能性のある様々な専用アプリケーション用の種々異なるデータフォーマットの個数が著しく増加し続けていることである。しかしながら加入者端末機器等のアップグレートは、その個数が膨大であること、開発に起因してかなりのソフトウェアメンテナンス期間がかかることから、実質的に不可能にせざるを得ない。したがってここで前提としなければならないのは、加入者端末機器におけるMMSユーザアプリケーションは量の増え続ける種々のデータフォーマットのうちの一部分だけしかどうしても処理できないことである。特定のMMSユーザアプリケーションがどのファイルタイプおよびファイルフォーマットをサポートしているのかに関する情報は、MMSユーザアプリケーションの他の個々のサービス機能と同様、いわゆるMMSユーザアプリケーションプロファイルもしくはMMSユーザエージェントプロファイルの構成部分であり、これはマルチメディアメッセージを交換する前にMMSサービスプロバイダが把握していなければならない。この目的で、MMSセッションを開始するたびに個々の端末機器からネットワークへこの情報が伝送されて、そこに格納される。MMSユーザアプリケーションプロファイルからの情報をMMSサービスプロバイダのMMSリレー/サーバが把握することによって、MMSリレー/サーバはファイルタイプ変換もしくは符号変換もファイルフォーマット変換も行うことができるようになる。その後、MMSユーザアプリケーションに対し、自身も処理可能なファイルタイプおよびファイルフォーマットだけが送達されることになる。マルチメディアメッセージが2つのMM要素から成り、第1のMM要素が第2のMM要素を指すリンクを含み、かつ第2のMM要素のファイルタイプまたはファイルフォーマットを受信側へのマルチメディアメッセージ送達前にMMSユーザエージェントプロファイルに基づき変換する必要がある場合、MMSリレー/サーバがこのような2つのMM要素から成る1つのマルチメディアメッセージを受信すると、第1のMM要素内のリンクが変換後にエラーとなり、リンク先をもはや辿ることができなくなってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、データとデータフォーマットのいかなる組み合わせであっても所定の通信システムおよび/またはMMSユーザアプリケーションに対して誤りなく整合させるためにいっそう高いフレキシビリティをもたせながら、データもしくはメッセージの送信側にデータ送信の付加的な可能性を与えるようにした方法、送信ユニットおよび/または受信ユニット、コンピュータプログラム製品ならびに通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によればこの課題は、ファイルタイプ変換および/またはファイルフォーマット変換を受信側のプロファイルに従って行い、個々のリンクを、データ内でおよび/または異なるデータ要素間で該リンクの有効性を維持するため、前記ファイルタイプ変換および/またはファイルフォーマット変換(KONV)に応じて変化させることにより解決される。さらに上記の課題は、請求項7記載の特徴を備えた送信ユニットおよび/または受信ユニット、請求項10記載の特徴を備えた通信システムにより解決される。従属請求項には本発明の有利な実施形態がそれぞれ示されている。
【0009】
伝達すべきデータがそれぞれ同じ標準または異なる標準に従い符号化される個々の要素から成る、本発明による通信システムにおけるデータ伝送方法たとえばテキストデータおよび/または音声付きまたは音声なしの画像データの伝送方法によれば、受信側のプロファイルに従いファイルタイプおよび/またはファイルフォーマットの変換が行われる。データ内でおよび/またはそれぞれ異なるデータ要素間で個々のリンクの有効性を維持するため、個々のリンクがファイルタイプおよび/またはファイルフォーマットの変換に応じて変更される。換言すれば、受信側のプロファイルに従いファイルタイプおよび/またはファイルフォーマットを変換する際、それぞれ異なるデータ要素間でデータ内の1つまたは複数のリンクの有効性を維持するため、少なくとも1つのリンクの更新も行われる。このように本発明によればファイルタイプおよび/またはファイルフォーマットの変換後に自動的なリンク更新が行われることから、ファイルタイプおよび/またはファイルフォーマットの変換後も内部リンクを引き続き有効なまま保持できるようになり、マルチメディアメッセージを常に送信側の意図したとおり受信側において完全に整合されたかたちで表示させることができるようになる。その際に本発明によれば、内部リンクのほかにどのような外部のリンクであっても考慮され、これについてはあとで図面を参照しながら実施例に基づき説明する。
【0010】
本発明の1つの実施形態によれば、変換は受信側のプロバイダにおいて行われる。したがってこの種の処理に必要とされるリソースはメッセージ伝送ネットワーク内に設けられており、たとえば必要とされる計算能力に関して殊に端末機器の負担が軽減され、エネルギー消費の低減に寄与する。
【0011】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、異なる要素間におけるデータ内のリンクがチェックされる。このようにすればデータ構造におけるエラーを発見することができ、必要に応じて取り除くことができるし、いずれにせよ送信側に通知することができる。その場合に1つの実施形態によれば、このようなダメージのあるまたはエラーのあるデータセットを伝送すべきか、あるいは消去して送信側が再送信すべきかを判定することができる。
【0012】
有利にはデータは送信のため、編成情報を伝送するためのヘッダと個々の有効情報を伝送するためのボディとがデータに含まれるよう準備処理される。その際、有効情報には有利には複数のデータパケットの形態で複数の要素が含まれる。さらに有利には、ある加入者のユーザアプリケーションからネットワークを介して別の加入者のユーザアプリケーションへデータが伝送され、その場合に伝送はトランザクションおよび/またはデータに付加された伝送プロトコルの情報要素によって制御され、この情報要素にはフィールド名と個々のフィールド値が含まれている。本発明による方法は有利には、マルチメディアメッセージサービスMMSにおけるマルチメディアメッセージMMとして伝送されるデータのために利用され、たとえば移動体加入者端末機器または殊にGSM標準、GPRS標準、EDGE標準またはUMTS標準またはそれらの混合形態に準拠するWAP対応移動電話機へ伝送されるデータのために利用される。
【0013】
本発明の有利な適用分野として挙げたこのようなマルチメディアメッセージサービスMMSに対し、アプリケーション等のリンクを簡単にするための上述の外部リンクを捕捉しチェックして確実に変換するための手段については、これまで触れてこなかった。本発明の実施形態によれば、完全かつ確実な送達がすでに保証されているといえるよう、送信側のアプリケーションによって内部リンクも外部リンクも高い信頼性を伴って受信側の条件に整合させることのできる構成が示されている。
【0014】
次に、図面を参照しながら実施例に基づき本発明について説明する。図1〜図4中、同じ機能および同じ作用をもつ要素には全体を通して同じ参照符号または略語を付してある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】3GPPによるMMSネットワークアーキテクチャの概略図
【図2】第2のMM要素のファイルフォーマット変換後も第1のMM要素におけるリンクを整合させる必要のある様子を示す図
【図3】MMSEに到来したものであり外部のサーバに存在するファイルを指すリンクを含むMMを示す図
【図4】ファイルタイプ変換ないしはデータタイプ変換および/またはファイルフォーマット変換ないしはデータフォーマット変換後にリンクがMMSサービスプロバイダのMMSE内における記憶場所を指している様子を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
冒頭で述べたようにマルチメディアメッセージMMSによれば、たとえば書式付きテキストならびに音声付きおよび音声なしの画像が含まれている可能性のあるマルチメディアメッセージを伝送することができる。SMSの場合には存在する160キャラクタというメッセージ長までという制約はない。いろいろあるなかで殊に音声メッセージやビデオメッセージの伝送が可能であるけれども、さらにここでは非常に頻繁に利用されるSMSメッセージを引き続き本発明によるシステム内において整合されたコストで、従来技術に関連して説明するやり方で処理される。
【0017】
MMSはWAPを利用することによって実現することができる。この場合、データの無線伝送たとえばマルチメディアメッセージMMなどの無線伝送のために、図1に示されている通信システム1が適用される。図1には3GPPの視点で見た現在の技術水準による図が描かれており、この場合、関与する3つのインスタンス間でマルチメディアメッセージMMの送信または受信が行われる場合のマルチメディアメッセージMMの交換について示されている。この通信システム1はデータ送信側の階層2を有しており、これはMMSユーザアプリケーションAもしくはMMSユーザエージェントA M−UA_Aと称する。ここでMMSユーザアプリケーションという用語は、移動無線装置においてMMS機能を実現するアプリケーションのことである。さらにネットワーク要素によってサービスを実行するプロバイダSproの階層3が設けられており、これを以下ではMMSコネクションユニットもしくはMMSリレー/サーバMMS−RSと称する。MMSリレー/サーバMMS−RSは、MMSサービスプロバイダSProの管轄領域もしくはマルチメディアメッセージサービス環境MMSEにおいてMMSユーザアプリケーションMMS−UAに対しネットワークを介した通信を可能にし、MMS無線機能を提供するネットワーク要素である。この実施例の場合、階層2と階層3の間のインタフェースは固定回線接続ではなく、マルチメディアメッセージMM1伝送用の無線ネットワークRN Aとして構成されている。さらに受信側の階層として階層4が設けられており、これはMMSユーザアプリケーションB M−UA_Bとも称する。ここでもマルチメディアメッセージMM1を伝送するために無線ネットワークRN Bが設けられている。
【0018】
当然ながら、階層3においてただ1つのプロバイダSProよりも多くのプロバイダが設けられている可能性がある。図1に示されているようにこのことはたとえば、データ送信側M−UA_Aおよび選択された受信側M−UA_Bがそれぞれ異なるプロバイダSPro AとSPro Bと契約している場合に生じる可能性がある。さらにこれらそれぞれ異なるプロバイダが、さらにネットワーク業者としての第3のプロバイダを通して互いに接続されている可能性もある。しかしここでは簡単な描き方を採用した。なぜならば階層3における詳細な構造ならびにたとえばMM1からMM4へのメッセージの転送整合の各々の形式は、本発明の説明にとって重要ではないからである。
【0019】
一般に、MMSユーザエージェントMMS−UAを装備した端末機器は、既存のファイルタイプおよびファイルフォーマットをすべてはサポートしていない。どのファイルタイプおよびどのファイルフォーマットが特定のMMSユーザエージェントMMS−UAによってサポートされているのかという情報は、MMSユーザエージェントにおける他の固有のフィーチャと並んでいわゆるMMSユーザエージェントプロファイルの構成要素であり、これはマルチメディアメッセージMMの交換前にMMSサービスプロバイダSProが把握していなければならない。この目的で、端末機器からネットワークへのMMSセッション各々の開始前にこのプロファイルが伝送され、そこに記憶される。MMSユーザエージェントプロファイルからの情報をMMSサービスプロバイダSProのMMSリレー/サーバMMS−RSが把握していることによって、MMSリレー/サーバMMS−RSは、ファイルタイプ変換ないしは符号変換もファイルフォーマット変換も行うことができるようになる。このようにすることでMMSユーザエージェントMMS−UAには、自身でも処理可能なファイルタイプおよびファイルフォーマットだけしか送達されない。ファイルサイズは変換によって部分的に著しく変化する可能性がある。データをファイルタイプに細区分することは、たとえばオーディオ、テキストまたは静止画といった様々な媒体に基本的に属するデータを大雑把に分類することを表している。これに対しファイルフォーマットによって与えられるのは特定のファイルタイプの符号化に関する具体的な情報であり、たとえばMP3として符号化されたオーディオファイルまたはJPEGとして符号化された静止画といった情報である。あるファイルのファイルフォーマットは、ファイル名に添えられた拡張子によって一義的に識別することができる。たとえばJPEG標準に従い符号化された静止画は、ファイル名の後ろに拡張子"jpg"をもっている。ファイル名と拡張子は一般にドットによって前後が分けられており、たとえば"holiday.jpg"という具合である。
【0020】
マルチメディアメッセージMMが2つのMM要素MM−E1,MM−E2から成り、第1のMM要素MM−E1が第2のMM要素MM−E2を指すリンクを含み、かつ受信側へMMを送達する前に第2のMM要素MM−E2のファイルタイプまたはファイルフォーマットをMMSユーザエージェントプロファイルに従い変換する必要がある場合に、MMSリレー/サーバMMS−RSがこのようなマルチメディアメッセージMMを受け取ると、第1のMM要素MM−E1内のリンクが変換後にエラーとなり、リンク先をもはや辿ることができなくなってしまう。
【0021】
従来、外部に格納されておりMM要素MM−Eから参照されるファイルも、受信側BのMMSユーザエージェントプロファイルにおける情報に従って変換し、マルチメディアメッセージにおけるリンクを変換後に相応に整合させるようには構成されていなかった。
【0022】
この場合、マルチメディアメッセージMMは基本的にヘッダ部分から成り、さらにオプションとしてデータ本体部分いわゆるボディから成り、この部分にマルチメディアメッセージMM−Eが含まれている。各マルチメディアメッセージMM自体もマルチメディアメッセージMMの個々の要素MM−E各々も基本的にヘッダとボディによって構成されているので、マルチメディアメッセージMMのヘッダ内および/または個々のMM要素のヘッダ内および/またはデータ本体部分内に、あるファイルを参照させるリンクLKを含めることができる。その際に本発明によれば、マルチメディアメッセージMM内にリンクがあるときには、すなわちそれぞれ異なるMM要素MM−Eの間にリンクがあるときには、受信側の現在のMMSユーザエージェントプロファイルに従いMM要素のファイルタイプおよび/またはファイルフォーマットが変換されるだけでなく、MM内に存在しそのMM要素を参照しているリンクも変換される。本発明による方法の1つの実施形態によれば、上述の方式を外部に格納されているファイルならびにそのリンクについても適用することができ、すなわちたとえばサーバEXT上に存在しMMの構成要素ではないファイルならびにそのリンクについても適用することができる。
【0023】
次に図面を参照しながら、ファイルタイプおよび/またはファイルフォーマットの変換後にリンクを整合させる上述のメカニズムについて2つの例を挙げて説明する。最初に考慮するケースは、あるマルチメディアメッセージMM内のリンクがそれぞれ異なるMM要素間で変換後も引き続き有効に保持される事例である。2番目に扱うケースは、サーバに格納されているファイルを指すリンクであって、そのファイルがマルチメディアメッセージMMから参照される事例である。この場合、媒体オブジェクトを結びつけるリンクは、たとえばUniform Resource Location つまりURLリンクとして表される。理論的には別の種類のリンクも考えられるけれども、それらは実装にあたり比較的煩雑となることからここではこれ以上言及しない。
1.マルチメディアメッセージMM内のリンク:
2つのMM要素MM−E1,MM−E2を含むマルチメディアメッセージMMが受信側のMMSリレー/サーバMMS−RSに到来した。第1のMM要素MM−E1をSMILプレゼンテーションとし、つまりWorld Wide Web Consortium W3C により標準化されたマルチメディアコンテンツの同期のための言語(文献[4]参照)で記述されたプレゼンテーションとする。ここで第1のMM要素MM−E1は第2のMM要素MM−E2を指すリンクを含んでおり、この例では"GIF"というファイルフォーマットDFをもつ「静止画」というファイルタイプDTのファイルを指すリンクを含んでおり、このファイルは固有のファイル識別子ないしは拡張子"gif"によって表されている。ただし受信側のMMSユーザエージェントは、このフォーマットのファイルを表示させることができない。したがってMMSリレー/サーバはマルチメディアメッセージMM全体をMMSユーザエージェントへ送達する前に、リンクされているファイルのフォーマットDFをMMSユーザエージェントプロファイルに従い別のフォーマットDFここではたとえばJPEGに変換する。JPEGはファイル名に添えられた拡張子"jpg"で表される。図2にはこの関係が略示されている。
【0024】
さて、本発明によれば第2のMM要素MM−E2を指すリンクLK1も変換後に整合される。この事例ではその目的でリンク中の拡張子を整合するだけでよく、したがって変換済みの要素MM−E2を指す新たなリンクLK2と元のリンクLK1とは拡張子の点で相違するだけである:
変換前:LK1="/privat/holiday.gif"
変換後:LK2="/privat/holiday.jpg"
2.外部のリンク:
図3の参照符号1で示されているように受信側のMMSリレー/サーバMMS−RSに到来するマルチメディアメッセージMMには、参照符号2で示されているように外部の記憶場所を指すリンクLK2が含まれている。さて、本発明によれば受信側のMMSユーザエージェントへマルチメディアメッセージMMが送達される前に、リンクによって参照されるファイルのファイルタイプおよび/またはファイルフォーマットをMMSユーザエージェントプロファイルに従い場合によっては変換する必要があるか否かについて調べられる。MMSリレー/サーバMMS−RSが変換の必要性を検出すると、MMSリレー/サーバMMS−RSは最初にファイルを指定記憶場所から読み出し、参照符号3に示されているように変換の目的でMMSサービスプロバイダSProのMMSEに一時記憶させる。
【0025】
ただしMMSユーザエージェントプロファイルに従い変換されたファイルをその後、もう一度外部のサーバEXTに記憶させることはできない。なぜならば一般的に、MMSサービスプロバイダSProは外部のサーバEXTへの書き込み権限をもたないことを前提としなければならないからである。その代わり、変換されたファイルはMMSリレー/サーバにおいてMMSサービスプロバイダSProのMMSE内に格納する必要があり、あるいはMMSリレー/サーバと接続されておりここには図示されていない他のサーバに格納しなければならない。
【0026】
上述のケース1とは異なりこの場合にはリンク中の拡張子の整合だけでは不十分である。その理由は、変換済みファイルの記憶場所が新しくなったことでパス全体が変化したからである。そこで元のリンクLK1を、MMSサービスプロバイダSProのMMSE内の新たな記憶場所を指す新たなリンクと置き換える必要がある。リンクのこのような整合は、受信側のMMSユーザエージェントへマルチメディアメッセージMMを送達する前に行われなければならない(図4の参照符号4を参照)。
変換前のリンクLK1:
http://www.external_server.de/public/pictures/holiday.gif
変換後のリンクLK2:
http://www.MMS_service_provider/pics/holiday.jpg
択一的な実施形態として以下の方法を挙げておく。すなわちこの方法によれば、あるマルチメディアメッセージMM内に存在するどのような外部のリンクであってもそれがMMSサービスプロバイダSProのMMSE内に到来すると、いわゆるプレースホルダー(placeholder)としてMMSサービスプロバイダSProのMMSサービスのMMSE内における可能な記憶場所を指す新たなリンクLKによって自動的に置き換えられる。MMSE内のこの記憶場所に、あとからすなわち問い合わせに応じて変換済みファイルを格納することができる。この実施形態によれば変換自体は選択的に、リンクLKを用いて端末装置もしくはそこで実行されるMMSユーザアプリケーションMMS−UAによりファイルのダウンロードが行われるときにははじめて実施することもできる。
【0027】
以上要約すると本発明によれば、受信側のMMSリレー/サーバに到来する各々のMMが最初に、他のファイルを指すリンクがその中に含まれているか否かについてチェックされる。この目的で、必要に応じてMMのヘッダ内ならびに個々のMM要素のヘッダ内におけるすべてのヘッダフィールドを調べる必要がある。さらに上述の方法が一般に前提としているのは、たとえばSMIL,htmlまたはテキストなどリンクを含んでいる可能性のあるMM要素MM−Eのオープンである。リンクを含んでいる可能性のない他のMM要素MM−Eをオープンする必要はない。これが該当するのはたとえばオーディオファイルや静止画などである。オープンする必要のあるMM要素MM−Eは通常、オープンの不要なMM要素MM−Eよりも著しく小さいので、MMSリレー/サーバMMS−RSにおいて余分にかかる処理の手間はごく僅かにすぎない。既述の方法によればMMSサービスプロバイダSProは自身の顧客に対し、マルチメディアメッセージMMに含まれるあらゆるリンクを受信側BのMMSユーザエージェントプロファイルからの情報に従って辿ることができること、つまり内部リンクであっても外部リンクであってもこのことが可能であることを保証できる。
【0028】
本発明による方法の利点は以下の通り多岐にわたる:
・その1つは、あるマルチメディアメッセージMM内のリンクは異なるMM要素間であっても、受信側のMMSユーザエージェントプロファイルに従い受信側のMMSリレー/サーバにおいて場合によってはファイルタイプおよび/またはファイルフォーマットの変換が実行された後、その有効性を保持することができるようになることである。
・他方、MMから外部に格納されたファイルを指すようリンクされている場合、そのファイルに対してもファイルタイプおよび/またはファイルフォーマットの変換を受信側のMMSユーザエージェントの情報に従い受信側のMMSリレー/サーバによって行う必要があるのか、ならびにそのリンクも変換実行後に相応に整合させる必要があるのかについて調べることが提案される。
【0029】
つまり一例としてこれまで説明してきた形式の方法によれば、内部のリンクLKをもつマルチメディアメッセージMM内においてファイルタイプおよび/またはファイルフォーマットの変換後もそのリンクLKが引き続き有効なまま保持されることが保証される。さらに、外部のサーバEXT上に存在しMMの構成要素ではないファイルを指す外部のリンクをもつマルチメディアメッセージMMであってもMMSユーザエージェントは、受信側アプリケーションとして処理できるファイルタイプもしくはファイルフォーマットをもつファイルをダウンロードできるよう保証される。このようにすることによってのみ、受信装置においてMMを常に完全にしかも送信側の意図した形式で呈示することができる。
【0030】
マルチメディアメッセージサービスMMSによれば、任意のコンテンツをあるサービス加入者からネットワークを介して別の加入者へ伝送するメカニズムの仕様が規定されており、その際、メッセージ伝送に利用できるメッセージの情報要素つまりヘッダフィールドを著しくフレキシブルに利用することができる。要約すれば、すでに知られている種々のメッセージ形式のための魅力的なアプリケーションをサポートするための上述の可能性がMMSにおいても実現されており、その際、メッセージの流れの効率は以下のようにして改善される。すなわち本発明によればマルチメディアメッセージMMを個々の受信側のオプションに整合させて処理したり、もしくは送信側の規則に応じて構築して表示させたりすることができる。さらにたとえばショートメッセージサービスSMSのメッセージなど短いテキストメッセージを他のソースを指すリンクとともに、つまりたとえば外部のインターネットページを指しておりたとえばインターネットブラウザなど外部のアプリケーションにより呼び出すことのできるリンクとともに伝送することも、問題なく行うことができる。しかも本発明によれば、すべての既知のデータフォーマットさらには将来の新しいデータフォーマットのための公知のメッセージ流へ、個々の利点を伴いながら整合されたかたちで構造的にコンフォーマルに組み入れることができる。
【0031】
WAP,MMSについてのバックグラウンド情報ならびに引用した新しいコード言語は、たとえば以下のドキュメントにまとめられている:
[1] 3GPP TS 23.040 version 5.3.0, Release 5; Third Generation Partnership Project; Technical Specification Group Terminals; Technical realization of the Short Message Service (SMS).
[2] 3GPP TS 22.140 version 5.1.0, Release 5; Third Generation Partnership Project; Technical Specification Group Services and System Aspects; Multimedia Messaging Service (MMS); Service Aspects; Stage 1.
[3] 3GPP TS 23.140 version 5.2.0, Release 5; Third Generation Partnership Project; Technical Specification Group Terminals; Multimedia Messaging Service (MMS); Functional Description; Stage 2.
[4] Synchronized Multimedia Integration Language, SMIL version 2.0; World Wide Web Consortium; W3C Recommendation; 07 August 2001.
なお、本発明の実施形態において、以下の略語を用いた:
GSM Global System for Mobile Communication
SMS Short Message Service
UMTS Universal Mobile Telecommunication System
WAP Wireless Application Protocol
WSP Wireless Session Protocol
MM Multimedia Message
MMS Multimedia Messaging Service
MMSE Multimedia Messaging Service Environment
SMIL Synchronized Multimedia Integration Language
SMTP Simple Mail Transfer Protocol
LK Link
F file
MMS−RS MMS Relay/Server
RN Radio Network
【符号の説明】
【0032】
1 通信システム
2 データ送信側の階層
3 プロバイダの階層
4 受信側の階層
MM マルチメディアメッセージ
MM1〜4 伝送整合されるマルチメディアメッセージ
MM−E マルチメディアメッセージの要素
SMIL SMILによるプレゼンテーション
LK リンク
F 外部のファイル
DT ファイルタイプないしはデータタイプ
DF ファイルフォーマットないしはデータフォーマット
EXT 外部のサーバ
MMS−UA MMSユーザアプリケーション
MMS−UA A MMSユーザエージェントA、図1においてMMの送信側
MMS−UA B MMSユーザエージェントB、図1においてMMの受信側
MMS−RS MMSコネクションユニット MMSリレー/サーバ
KONV 変換
RN 無線ネットワーク
SPro サービスプロバイダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝達すべきデータがそれぞれ同じ標準または異なる標準に従い符号化される個々の要素から構成されている、
通信システムにおけるデータ伝送方法たとえばテキストデータおよび/または音声付きまたは音声なし画像データの伝送方法において、
ファイルタイプ変換および/またはファイルフォーマット変換(KONV)を受信側(B)のプロファイルに従って行い、
個々のリンク(LK)を、データ内でおよび/または異なるデータ要素間で該リンク(LK)の有効性を維持するため、前記ファイルタイプ変換および/またはファイルフォーマット変換(KONV)に応じて変化させることを特徴とする、
データ伝送方法。
【請求項2】
受信側のプロバイダにおいて変換(KONV)を行う、請求項1記載の方法。
【請求項3】
異なる要素間でのデータ内のリンク(LK)を調べる、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
データを送信するために準備処理をして、構成情報を伝送するためのヘッダおよび個々の有効情報を伝送するためのボディを各要素として有利には複数のデータパケットの形態でデータに含ませる、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
データをマルチメディアメッセージサービス(MMS)におけるマルチメディアメッセージ(MM)として伝送する、請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
データを移動体加入者端末機器たとえばWAP対応移動電話機へ伝送する、請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
伝達すべきデータの要素として同じ標準または異なる標準に従って符号化されているテキストデータおよび/または音声付きまたは音声なしの画像データの形態でデータを伝送および/または表示する加入者端末装置において、
請求項1から6のいずれか1項記載の方法を実施するために構成されていることを特徴とする加入者端末装置。
【請求項8】
移動電話機として構成されており、たとえばGSM標準、GPRS標準、EDGE標準またはUMTS標準またはそれらの混合形式に従い構成されている、請求項1から7のいずれか1項記載の加入者端末装置。
【請求項9】
コンピュータで読み出し可能な記憶媒体を有しており、該記憶媒体にプログラムが格納されており、
該プログラムがコンピュータの記憶装置にロードされるとデータ処理装置またはコンピュータによって、通信システムおよびたとえば移動無線ネットワークのデータ伝送においてファイルタイプおよび/またはファイルフォーマットの変換(KONV)後、受信側(B)のプロファイルに従い種々のデータ要素間でデータ内におけるリンク(LK)の有効性を維持するために、自動的なリンク更新を可能にさせることを特徴とする、
コンピュータプログラム製品。
【請求項10】
移動無線ネットワークにおけるデータ送信時に請求項1から6のいずれか1項記載の方法を実施する、請求項9記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項11】
通信システムにおいて、該通信システムにおける少なくとも1つのコンポーネントが請求項1から6のいずれか1項記載の方法に従い動作し、および/または請求項7または8記載の加入者端末装置を有しており、および/または請求項9または10記載のコンピュータプログラム製品が含まれていることを特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−257465(P2010−257465A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99897(P2010−99897)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【分割の表示】特願2004−512364(P2004−512364)の分割
【原出願日】平成15年6月2日(2003.6.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】