説明

ファイル及びその製造方法

【課題】用紙やカード等を挟み込んだときに、取り外し易いファイルを得る。
【解決手段】この発明にかかるファイル10は、被挟体Xを挟む保挟シート30が並んで固着され、保挟シート30は、被挟体Xの厚さに対応した間隔をおいて、背表紙14側の端縁において互いに熱溶着されて並んで連結され、保挟シート30の前記連結された連結部30aは、被挟体を挟むときには並んだ保挟シートの対向面の間に被挟体を保挟する形状を維持されるように保型され、且つ被挟体を取り外すときには、保挟シートののびる側に向けてわん曲されるように柔軟に形成され、連結部30aの領域における隣接する他の保挟シート30との間隔が広がり、被挟体を指先で挟み持ち取り外すことができるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ファイル及びその製造方法に関し、特にたとえば、手帳型の複数の保挟シートの間に書類やカード類を挟みこんで保持することができるファイル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、熱可塑性樹脂からなる背部と被綴じシートとを溶着することにより製本されたアルバムなどがある。このようなアルバムを作製するには、多数枚の被綴じシートが重合して保持される。これらの被綴じシートの重なり端面に表紙の背部の内側が近付けられ、被綴じシートの重なり端面と表紙の背部との間に発熱体が挿入される。発熱体による加熱により、被綴じシートの重なり端面と表紙の背部が同時に溶融する。この状態で、被綴じシートと表紙の背部との間から発熱体を引き抜き、被綴じシートの重なり端面と表紙の背部とを接触させることにより、被綴じシートと表紙とが溶着される。
【0003】
このような製本方法で作製されるものとしては、アルバム以外に、名刺ホルダーやはがき整理用ファイルなどがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2523261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の製本方法で作製されたファイルなどでは、多数枚の被綴じシートの間に用紙やカード等を挟むことがあるが、被綴じシートの間に無理に用紙やカード等を挟み込むと、それを取り外すときに取り外しにくい。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、用紙等を挟み込んだときに取り外し易いファイルと、そのようなファイルの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の請求項1にかかるファイルは、被挟体を挟む保挟シートが並んで固着されたファイルであって、保挟シートは、被挟体の厚さに対応した間隔をおいて、背表紙側の端縁において互いに熱溶着されて並んで連結され、保挟シートの前記連結された連結部は、被挟体を挟むときには並んだ保挟シートの対向面の間に被挟体を保挟する形状を維持されるように保型され、且つ被挟体を取り外すときには、保挟シートののびる側に向けてわん曲されるように柔軟に形成され、保挟シートは、被挟体を挟むときには、連結部の領域において、隣接する他の保挟シートとの間に被挟体を保持し、連結部から突き出た領域において被挟体の表面に接し合うように形成され、被挟体を取り外すときには、連結部の領域における隣接する他の保挟シートとの間隔が広がり、被挟体を指先で挟み持ち取り外すことができるように形成された、ファイルである。
この発明の請求項2にかかるファイルは、被挟体を挟む保挟シートが並んで固着されたファイルであって、保挟シートは、被挟体の厚さに対応した間隔をおいて、背表紙側の端縁において溶着連結体に溶着されて並んで連結され、溶着連結体は、被挟体を挟むときには並んだ保挟シートの対向面の間に被挟体を保挟する形状を維持されるように保型され、且つ被挟体を取り外すときには、保挟シートののびる側に向けてわん曲されるように柔軟に形成され、保挟シートは、被挟体を挟むときには、溶着連結体の領域において、隣接する他の保挟シートとの間に被挟体を保持し、溶着連結体から突き出た領域において被挟体の表面に接し合うように形成され、被挟体を取り外すときには、溶着連結体に固着された領域における隣接する他の保挟シートとの間隔が広がり、被挟体を指先で挟み持ち取り外すことができるように形成された、ファイルである。
この発明の請求項3にかかるファイルにおいては、前記保挟シートの連結部及び溶着連結体は、幅方向における一端において表表紙に接続され且つ幅方向における他端において裏表紙に接続されて、背表紙部を形成したファイルの表紙体を形成し、表表紙及び裏表紙より全体的に柔軟であり、被挟体を挟むときには、平面状又は保挟シートののびる側若しくは保挟シートののびる側とは反対側に向けてわん曲した形状を維持されるように保型され、且つ表表紙及び裏表紙を開くときに、表表紙と裏表紙との間の間隔は縮まり、保挟シートののびる方向に向けてわん曲するように形成された、請求項1又は請求項2に記載のファイルである。
この発明の請求項4にかかるファイルにおいては、前記保挟シートの連結部及び溶着連結体は、幅方向における一端において表表紙に接続され且つ幅方向における他端において裏表紙に接続されて、背表紙部を形成したファイルの表紙体を構成し、背表紙部は、表表紙の内側と裏表紙の内側との間に形成された架設連結部に前記保挟シートの連結部及び溶着連結体を熱溶着されて、ファイル表紙体の幅方向における中間の領域において、高さ方向に連続する一定の幅のわん曲部を形成され、背表紙部を構成するように形成された、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のファイルである。
この発明の請求項5にかかるファイルにおいては、前記保挟シートの連結部及び溶着連結体は、幅方向における一端において表表紙に接続され且つ幅方向における他端において裏表紙に接続されて、背表紙部を形成したファイルの表紙体を構成し、表表紙の内側と裏表紙の内側との間において接続されて、ファイル表紙体の幅方向における中間の領域において、高さ方向に連続する一定の幅のわん曲部を形成され、閉じられた表表紙の内側面と裏表紙の内側面との間の距離よりわん曲部の幅の方が短くなるように構成され、被挟体を挟むときには、平面状又は保挟シートののびる側若しくは保挟シートののびる側とは反対側に向けてわん曲した形状を維持されるように保型され、且つ表表紙及び裏表紙を開くときに、保挟シートののびる方向に向けてわん曲するように形成された、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のファイルである。
この発明の請求項6にかかるファイルにおいては、前記保挟シートの連結部及び溶着連結体は、幅方向における一端において表表紙に接続され且つ幅方向における他端において裏表紙に接続されて、背表紙部を形成したファイルの表紙体を形成し、表表紙及び裏表紙より全体的に柔軟であり、被挟体を挟むときには、平面状又は保挟シートののびる側若しくは保挟シートののびる側とは反対側に向けてわん曲した形状を維持されるように保型され、且つ表表紙及び裏表紙を開くときに、保挟シートののびる方向に向けてわん曲するように形成された、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のファイルである。
この発明の請求項7にかかるファイルの製造方法は、被挟体を挟む保挟シートが並んで固着されたファイルの製造方法であって、保挟シートを、被挟体の厚さに対応した間隔をおいて、背表紙側の端縁において互いに並んで熱溶着して連結して連結部を形成する、溶着工程と、被挟体を挟むときには並んだ保挟シートの対向面の間に被挟体を保持する形状を維持されるように保型され、且つ被挟体を取り外すときには、保挟シートののびる側に向けてわん曲するように柔軟に形成されたわん曲部を背表紙領域に形成する、わん曲部形成工程とを含み、保挟シートは、被挟体を挟むときには、連結部の領域において、隣接する他の保挟シートとの間に被挟体を保持し、連結部から突き出た領域において被挟体の表面に接し合うように形成され、被挟体を取り外すときには、連結部に固着された領域における隣接する他の保挟シートとの間隔が広がり、被挟体を指先で挟み持ち取り出すことができるように形成された、ファイルを製造する、ファイルの製造方法である。
この発明の請求項8にかかるファイルの製造方法は、被挟体を挟む保挟シートが並んで固着されたファイルの製造方法であって、保挟シートを、被挟体の厚さに対応した間隔をおいて、背表紙側の端縁において互いに並んで溶着連結体に溶着して連結する、溶着工程と、被挟体を挟むときには並んだ保挟シートの対向面の間に被挟体を保持する形状を維持されるように保型され、且つ被挟体を取り外すときには、保挟シートののびる側に向けてわん曲するように柔軟に形成されたわん曲部を背表紙領域に形成する、わん曲部形成工程とを含み、保挟シートは、被挟体を挟むときには、溶着連結体に固着された領域において、隣接する他の保挟シートとの間に被挟体を保持し、溶着連結体から突き出た領域において被挟体の表面に接し合うように形成され、被挟体を取り外すときには、溶着連結体に固着された領域における隣接する他の保挟シートとの間隔が広がり、被挟体を指先で挟み持ち取り出すことができるように形成された、ファイルを製造する、ファイルの製造方法である。
この発明の請求項9にかかるファイルの製造方法においては、前記保挟シート及び表表紙の内側と裏表紙の内側との間に形成された架設連結部は、熱可塑性合成樹脂シートであり、保挟シートの端縁を熱溶融して架設連結部に固着され、保挟シートの端縁を熱溶融するときに同時に又は後に保挟シートの連結部の領域及び前記架設連結部をわん曲してわん曲部を形成する、請求項7又は請求項8に記載のファイルの製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
この発明にかかるファイルによれば、用紙やカード等を挟み込んだときに、取り外し易いファイルを得ることができる。
請求項3の発明によれば、前記保挟シートの連結部及び溶着連結体は、幅方向における一端において表表紙に接続され且つ幅方向における他端において裏表紙に接続されて、背表紙部を形成したファイルの表紙体を形成し、表表紙及び裏表紙より全体的に柔軟であり、被挟体を挟むときには、平面状又は保挟シートののびる側若しくは保挟シートののびる側とは反対側に向けてわん曲した形状を維持されるように保型され、且つ表表紙及び裏表紙を開くときに、表表紙と裏表紙との間の間隔は縮まり、保挟シートののびる方向に向けてわん曲するように形成されているので、用紙やカード等を挟み込んだときに、取り外し易いファイルを得ることができる。
請求項4の発明によれば、前記保挟シートの連結部及び溶着連結体が、幅方向における一端において表表紙に接続され且つ幅方向における他端において裏表紙に接続されて、背表紙部を形成したファイルの表紙体を構成し、背表紙部は、表表紙の内側と裏表紙の内側との間に形成された架設連結部に前記保挟シートの連結部及び溶着連結体を熱溶着されて、ファイル表紙体の幅方向における中間の領域において、高さ方向に連続する一定の幅のわん曲部を形成され、背表紙部を構成するように形成されているので、背表紙部は、被挟体を挟むときには、連結部及び溶着連結体の領域において、隣接する他の保挟シートとの間に被挟体を保持し、連結部及び溶着連結体から突き出た領域において被挟体の表面に接し合うように形成され、被挟体を取り外すときには、連結部及び溶着連結体に固着された領域における隣接する他の保挟シートとの間隔が広がり、被挟体を指先で挟み持ち取り外すことができる。
請求項5の発明によれば、前記保挟シートの連結部及び溶着連結体は、幅方向における一端において表表紙に接続され且つ幅方向における他端において裏表紙に接続されて、背表紙部を形成したファイルの表紙体を構成し、表表紙の内側と裏表紙の内側との間において接続されて、ファイル表紙体の幅方向における中間の領域において、高さ方向に連続する一定の幅のわん曲部を形成され、閉じられた表表紙の内側面と裏表紙の内側面との間の距離よりわん曲部の幅の方が短くなるように構成され、被挟体を挟むときには、平面状又は保挟シートののびる側若しくは保挟シートののびる側とは反対側に向けてわん曲した形状を維持されるように保型され、且つ表表紙及び裏表紙を開くときに、保挟シートののびる方向に向けてわん曲するように形成されているので、被挟体を挟むときには、連結部及び溶着連結体の領域において、隣接する他の保挟シートとの間に被挟体を保持し、連結部及び溶着連結体から突き出た領域において被挟体の表面に接し合うように形成され、被挟体を取り外すときには、連結部及び溶着連結体に固着された領域における隣接する他の保挟シートとの間隔が広がり、被挟体を指先で挟み持ち取り外すことができる。
請求項6の発明によれば、前記保挟シートの連結部及び溶着連結体は、幅方向における一端において表表紙に接続され且つ幅方向における他端において裏表紙に接続されて、背表紙部を形成したファイルの表紙体を形成し、表表紙及び裏表紙より全体的に柔軟であり、被挟体を挟むときには、平面状又は保挟シートののびる側若しくは保挟シートののびる側とは反対側に向けてわん曲した形状を維持されるように保型され、且つ表表紙及び裏表紙を開くときに、保挟シートののびる方向に向けてわん曲するように形成されているので、被挟体を挟むときには、連結部及び溶着連結体の領域において、隣接する他の保挟シートとの間に被挟体を保持し、連結部及び溶着連結体から突き出た領域において被挟体の表面に接し合うように形成され、被挟体を取り外すときには、連結部及び溶着連結体に固着された領域における隣接する他の保挟シートとの間隔が広がり、被挟体を指先で挟み持ち取り外すことができる。
この発明にかかるファイルの製造方法によれば、用紙やカード等を挟み込んだときに、取り外し易いファイルを得ることができる。
請求項9の発明によれば、前記保挟シート及び表表紙の内側と裏表紙の内側との間に形成された架設連結部が、熱可塑性合成樹脂シートであり、保挟シートの端縁を熱溶融して架設連結部に固着され、保挟シートの端縁を熱溶融するときに同時に又は後に保挟シートの連結部の領域及び前記架設連結部をわん曲してわん曲部を形成するので、わん曲部は、被挟体を挟むときには、連結部及び溶着連結体の領域において、隣接する他の保挟シートとの間に被挟体を保持し、連結部及び溶着連結体から突き出た領域において被挟体の表面に接し合うように形成され、被挟体を取り外すときには、連結部及び溶着連結体に固着された領域における隣接する他の保挟シートとの間隔が広がり、被挟体を指先で挟み持ち取り外すことができる。
【0009】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明にかかるファイルの一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示すファイルに用いられる表紙を示す平面図である。
【図3】表紙を閉じた状態を示す正面図解図であり、(A)は図2A−A断面図解図であり、(B)は図2B−B断面図解図である。
【図4】表紙を開いた状態を示す正面図解図である。
【図5】図1に示すファイルの製造工程において、表紙を準備する工程を示す図解図である。
【図6】図5に示す表紙の要部を示す平面図である。
【図7】保挟シートと合紙とを積層する工程を示す図解図である。
【図8】保挟シートの平面図である。
【図9A】背表紙に保挟シートを溶着する工程を示す斜視図解図である。
【図9B】背表紙に保挟シートを溶着する製本装置の図解図である。
【図9C】背表紙に保挟シートを溶着する工程を示す断面図解図である。
【図9D】背表紙に保挟シートを溶着する工程を示す断面図解図である。
【図9E】背表紙に保挟シートを溶着する工程を示す断面図解図である。
【図10】表紙の背表紙に保挟シートを溶着したときの表紙の要部を示す平面図である。
【図11】図1図示実施の形態の変形例の表紙を閉じた状態を示す正面図解図である。
【図12】図1図示実施の形態の変形例の表紙を開いた状態を示す正面図解図である。
【図13】背表紙をわん曲する工程を示す断面図解図である。
【図14】この発明にかかるファイルの一例を示す斜視図である。
【図15】図14に示すファイルに用いられる表紙を示す平面図である。
【図16】図15に示す表紙のA−A断面図であり、(A)はのばした状態を示し、(B)は表表紙側及び裏表紙側を対向するように屈曲した状態を示す。
【図17】表紙を閉じた状態を示す正面図解図である。
【図18】表紙を開いた状態を示す正面図解図である。
【図19】図14に示すファイルの製造工程において、表紙を準備する工程を示す図解図である。
【図20】図19に示す表紙の要部を示す平面図である。
【図21】保挟シートと合紙とを積層する工程を示す図解図である。
【図22】「a」の指標が表示されたインデックスを有する保挟シートの平面図である。
【図23】「b」の指標が表示されたインデックスを有する保挟シートの平面図である。
【図24】「e」の指標が表示されたインデックスを有する保挟シートの平面図である。
【図25A】背表紙に保挟シートを溶着する工程を示す斜視図解図である。
【図25B】背表紙に保挟シートを溶着する製本装置の図解図である。
【図25C】背表紙に保挟シートを溶着する工程を示す断面図解図である。
【図25D】背表紙に保挟シートを溶着する工程を示す断面図解図である。
【図25E】背表紙に保挟シートを溶着する工程を示す断面図解図である。
【図25F】背表紙をわん曲する工程を示す断面図解図である。
【図26】表紙の背表紙に保挟シートを溶着したときの表紙の要部を示す平面図である。
【図27】図14図示実施の形態の変形例の保挟シートと合紙とを積層する工程を示す図解図である。
【図28】図14図示実施の形態の変形例の「a」の指標が表示されたインデックスを有する保挟シートの平面図である。
【図29】図14図示実施の形態の変形例の「b」の指標が表示されたインデックスを有する保挟シートの平面図である。
【図30】図14図示実施の形態の変形例の「e」の指標が表示されたインデックスを有する保挟シートの平面図である。
【図31A】背表紙に保挟シートを溶着する製本装置の図解図である。
【図31B】背表紙に保挟シートを溶着する工程を示す断面図解図である。
【図31C】背表紙に保挟シートを溶着する工程を示す断面図解図である。
【図31D】背表紙に保挟シートを溶着する工程を示す断面図解図である。
【図31E】背表紙をわん曲する工程を示す断面図解図である。
【図32】図14図示実施の形態の変形例を示すファイルの斜視図解図である。
【図33】図14図示実施の形態の変形例を示すファイルの表紙の断面図解図である。
【図34】保挟シートの変形例を示す正面図解図である。
【図35】保挟シートの変形例を示す正面図解図である。
【図36】ファイルの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、この発明にかかるファイルの一例を示す斜視図であり、図2は、図1に示すファイルに用いられる表紙を示す平面図であり、図3は、表紙を閉じた状態を示す正面図解図であり、(A)は図2A−A断面図解図であり、(B)は図2B−B断面図解図であり、図4は、表紙を開いた状態を示す正面図解図であり、図5は、図1に示すファイルの製造工程において、表紙を準備する工程を示す図解図であり、図6は、図5に示す表紙の要部を示す平面図である。
このファイル10は、たとえば、アイウエオ順や指標順などに整理された書類や証書・カード類を管理するために用いられる。
ファイル10は、熱可塑性樹脂などの合成樹脂シートで形成された表紙12を含む。表紙12は、図2に示すように、長方形状の背表紙14と、背表紙14の幅方向の一方側に連続して形成される表表紙16と、背表紙14の幅方向の他方側に連続して形成される裏表紙18とを含む。
表表紙16は、たとえば長方形に形成され、その幅方向の一端側が背表紙14に連結されている。
また、裏表紙18は、たとえば、幅方向の一端側が円弧状に形成されるとともに、他の3辺が直線状に形成される。
そして、裏表紙18の円弧状部分の反対側の端部が、背表紙14に連結されている。
この実施の形態では、背表紙14、表表紙16及び裏表紙18は、たとえばシート状の材料を切断することにより、一体的に形成される。
【0012】
背表紙14は、書類や証書・カード類などの被挟体Xの厚さに対応した間隔をおいて、被挟体Xを挟む保挟シート30が並んで固着されている。
保挟シート30は、隣接する保挟シート30の対向面の間に一定の間隔をおいて、背表紙14を構成する合成樹脂シートの内側に固着されている。
【0013】
保挟シート30は、被挟体Xの厚さに対応した間隔をおいて、背表紙14側の端縁において互いに熱溶着されて並んで連結され、保挟シート30の前記連結された連結部30aは、被挟体Xを挟むときには並んだ保挟シート30の対向面の間に被挟体Xを保挟する形状を維持されるように保型され、且つ被挟体Xを取り外すときには、保挟シート30ののびる側に向けてわん曲されるように柔軟に形成されている。
【0014】
保挟シート30は、被挟体Xを挟むときには、連結部30aの領域において、隣接する他の保挟シート30との間に被挟体Xを保持し、連結部30aから突き出た領域において被挟体Xの表面に接し合うように形成され、被挟体Xを取り外すときには、連結部30aの領域における隣接する他の保挟シート30との間隔が広がり、被挟体Xを指先で挟み持ち取り外すことができるように形成されている。
【0015】
背表紙14は、ファイル10の表紙体を構成し、円弧状の角部を介して表表紙16及び裏表紙18に連設されている。
背表紙14は、円弧状の角部の内側において、表表紙16側の保形部14a及び裏表紙18側の保形部14bを形成されている。
【0016】
背表紙14は、表表紙16及び裏表紙18とを連結する角部より、一定の距離をおいた内側において、その長手方向の上端側から下端側まで並ぶように、複数の4角形の貫通孔20が形成される。
背表紙14は、背表紙14の幅方向における貫通孔20のA面側孔縁20aと貫通孔20のB面側孔縁20bとを有する。
複数の貫通孔20のA面側孔縁20aは、背表紙14の高さ方向において、直線状に並び、且つ複数の貫通孔20のB面側孔縁20bは、背表紙14の高さ方向において、直線状に並ぶ。
そして、A面側孔縁20aの表表紙16側に保形部14aが形成され、B面側孔縁20bの裏表紙18側に保形部14bが形成されている。
そして、複数の貫通孔20の間には、表表紙16の内側と裏表紙18の内側との間において、保形部14aと保形部14bとの間に架設された帯状の架設連結部22が形成される。
【0017】
背表紙14は、幅方向における中間の領域において、高さ方向に連続する一定の幅のわん曲部14Aを形成され、前記わん曲部14Aに保挟シート30を固着されて、背表紙部を構成する。
保挟シート30は、被挟体Xの厚さに対応した間隔をおいて並列され、背表紙14のわん曲部14Aを構成している。
保挟シート30及び背表紙14は、熱可塑性合成樹脂シートであり、保挟シート30の端縁を熱溶融して背表紙14に固着され、わん曲部14Aを構成している。
【0018】
背表紙部は、表表紙16の内側と裏表紙18の内側との間に形成された架設連結部22に前記保挟シート30の連結部30aを熱溶着されて、ファイル表紙体の幅方向における中間の領域において、高さ方向に連続する一定の幅のわん曲部14Aを形成され、背表紙部を構成するように形成されている。
この実施の形態においては、わん曲部14Aは、表表紙16側の保形部14aと裏表紙18側の保形部14bとの間である、A面側孔縁20aとB面側孔縁20bとの間において、構成されている。
【0019】
背表紙部は、閉じられた表表紙16の内側面と裏表紙18の内側面との間の距離W0より、わん曲部14Aの幅W1の方が短くなるように構成されている。
そして、わん曲部14Aは、被挟体Xを挟むときには、平面状の形状を維持されるように保型され、且つ表表紙16及び裏表紙18を開くときには、保挟シート30ののびる方向に向けてわん曲するように形成されている(図3及び図4図示)。
前記保挟シート30の連結部30aは、表表紙16及び裏表紙18より全体的に柔軟であり、被挟体Xを挟むときには、平面状を維持されるように保型され、且つ表表紙16及び裏表紙18を開くときに、表表紙16と裏表紙18との間の間隔は縮まり、保挟シート30ののびる方向に向けてわん曲するように形成されている。
この実施の形態においては、架設連結部22及び連結部30a含むわん曲部14Aは、背表紙14の保形部14a及び保形部14bより全体的に柔らかく構成されている。
わん曲部14Aは、表紙12を開くとき、保形力に優る保形部14a及び保形部14bの内側縁すなわちA面側孔縁20a及びB面側孔縁20bを中心にして、保挟シート30ののびる側に向けてわん曲してアーチ状になるように、構成されている。
【0020】
保挟シート30は、被挟体Xを挟むときには、連結部30aの領域において、隣接する他の保挟シート30との間に被挟体Xを保持し、連結部30aから突き出た領域において被挟体Xの表面に接し合うように形成され、被挟体Xを取り外すときには、連結部30aに固着された領域における隣接する他の保挟シート30との間の間隔が広がり、指先で挟み持って被挟体Xを取り出すことができるように形成されている。
【0021】
湾曲するわん曲部14Aを有する背表紙14の内側には、複数の保挟シート30が形成される。
保挟シート30は、たとえば熱可塑性樹脂などで長方形状に形成される。つまり、保挟シート30の幅方向の一端側は、背表紙14の内側に密着するように、長手方向において直線状となるように形成される。
そして、隣接する保挟シート30が所定の間隔を隔てて配置されるようにして、保挟シート30の幅方向の一端側が、背表紙14に溶着される。このとき、背表紙14の架設連結部22に保挟シート30が溶着されるが、貫通孔20部分においては、図3に示すように、保挟シート30の端部が溶融して、隣接する保挟シート30の端部を連結する連結部30aが形成される。
表表紙16と裏表紙18との間において、表紙12を閉じたとき、背表紙14と連結された連結部30aにおいては、それぞれの保挟シート30が互いに間隔を隔てているが、背表紙14から離れた部分においては、表表紙16と裏表紙18との間において全ての保挟シート30が密着した状態となる。
【0022】
保挟シート30には、たとえば2つの円形の貫通孔32が形成される。貫通孔32は、たとえば保挟シート30の幅方向における中央において上下に分かれた位置に形成される。
【0023】
さらに、図5に示すように、背表紙14の外面側を覆うように、表紙12の長手方向の上端から下端まで、背見出し60が形成される。背見出し60は、たとえば透明な長方形状の熱可塑性フィルムを背表紙14と平行な位置で表表紙16及び裏表紙18に溶着することにより形成される。そして、背見出し60に背見出し紙62を挿入することにより、必要な情報を表示することができる。このとき、裏表紙18側よりも表表紙16側のほうに多くの背見出し60がくるようにすることにより、表表紙16側から背見出し紙62に表示された情報が確認しやすくなる。
【0024】
このようなファイル10を作製する方法について、主として図6ないし図10に基づいて次に説明する。
被挟体Xの厚さに対応した間隔をおいて、保挟シート30が並んで固着されたファイル10の製造方法は、保挟シート30を、被挟体Xの厚さに対応した間隔をおいて、背表紙14側の端縁において互いに並んで熱溶着して連結して連結部30aを形成する、溶着工程と、被挟体Xを挟むときには並んだ保挟シート30の対向面の間に被挟体Xを保持する形状を維持されるように保型され、且つ被挟体Xを取り外すときには、保挟シート30ののびる側に向けてわん曲するように柔軟に形成されたわん曲部14Aを背表紙14領域に形成する、わん曲部形成工程とを含む。
【0025】
まず、図6に示すように、表紙12が準備される。次に、図7に示すように、複数の保挟シート30が準備される。保挟シート30の大きさは、ファイル10に保管する書類の大きさより大きくなるように設定される。
【0026】
それぞれの保挟シート30において、複数の円形の貫通孔32のうちの対応するものは、保挟シート30の長手方向の同じ位置に形成される。また、それぞれの保挟シート30において、複数の円形の貫通孔32のうちの対応するものは、保挟シート30の連結部30aとは反対側の幅方向端部(取り出し側側縁30b)から等距離となる位置に形成される。
したがって、幅の異なる保挟シート30であっても、長手方向の端部及び連結部30aの幅方向端部を揃えて重ねることにより、全ての保挟シート30の貫通孔32を揃えることができる。
【0027】
このように配置された保挟シート30の間に、隔幅部材としての合紙70が挟み込まれる。合紙70は、図7に示すように、所定の厚みを有する長方形状に形成される。合紙70の長手方向の長さは、保挟シート30の長手方向と同じ長さとなるように形成される。そして、合紙70の長手方向の両端に、一部が突出する突出部70aが形成される。また、合紙70の幅方向の長さは、たとえば保挟シート30の幅方向の長さより短くなるように形成される。
【0028】
合紙70には、2つの貫通孔72が形成される。合紙70の貫通孔72は、保挟シート30の2つの貫通孔32に対応して形成される。つまり、保挟シート30の長手方向と合紙70の長手方向とを合わせるとともに、取り出し側側縁30bである保挟シート30の幅方向端部と合紙70の幅方向の一端側とを合わせるようにして、保挟シート30と合紙70とを重ねたとき、保挟シート30の2つの貫通孔32と合紙70の貫通孔72とが重なるように形成される。このような合紙70を複数の保挟シート30の間に挟み込み、保挟シート30の貫通孔32と合紙70の貫通孔72とを揃えることにより、全ての保挟シート30について、連結部30a側の端部が揃うように配置することができる。
【0029】
次に、図10に示すように、表紙12の背表紙14に保挟シート30が溶着される。このとき、背表紙14が平らになるように、表紙12が保持される。そして、表紙12の架設連結部22が形成された領域の内側において、保挟シート30の幅方向端部が背表紙14側に配置される。
この状態で、背表紙14と保挟シート30の対向部を溶融したのち互いを押し当てて溶着することにより、架設連結部22部分において、保挟シート30の幅方向端部が接続され、背表紙14の貫通孔20部分において、保挟シート30の端部間に連結部30aが形成される。このように、合紙70を挟んで保挟シート30を背表紙14に溶着することにより、隣接する保挟シート30間に合紙70の厚み分の隙間を形成することができる。
【0030】
連結部30aは、背表紙14の幅方向における貫通孔20のA面側孔縁20aの表表紙16側の保形部14aの周縁近傍及びB面側孔縁20bの裏表紙18側の保形部14bの周縁近傍並びに幅方向における手前側孔縁20cの手前側の架設連結部22の周縁近傍及び向こう側孔縁20dの向こう側の架設連結部22の周縁近傍に溶着されている。
更に、連結部30aは、背表紙14及び架設連結部22との溶着時に加熱されたとき、加熱によって溶融し始め、柔軟になった連結部30aが貫通孔20の孔の中に入り込み、貫通孔20の孔縁と密着する。すなわち、貫通孔20のA面側孔縁20a、B面側孔縁20b、手前側孔縁20c及び向こう側孔縁20dと接着する。
【0031】
次に、図3,図4及び図5に示すように、表紙12には、保挟シート30が溶着された側と反対側に長方形状の透明な樹脂フィルムが溶着され、背見出し60が形成される。ここで、上述のように、表表紙16側が裏表紙18側より多く背見出し60で覆われるようにして、背見出し60の幅方向の両側が表紙12に溶着される。この背見出し60に、背見出し紙62が挿入される。次に、突出部70aを利用して合紙70を引き抜くことにより、保挟シート30間の合紙70が除去される。
【0032】
このようにして得られたファイル10は、たとえば20種類のカード又は書類管理用ファイルとして用いられる。表紙12を閉じれば、隣接する保挟シート30によって被挟体Xが押し付けられ、被挟体Xはファイル10から外れることなく保持される。被挟体Xが複数枚の場合であっても、隣接する保挟シート30間に合紙70の厚み分の隙間があるため、被挟体Xをまとめて保挟シート30間に保持することができる。
【0033】
ファイル10に保持した書類を取り出すときには、必要とする保挟シート30を開くことにより、被挟体Xを取り外すことができる。
ここで、保挟シート30には円形の貫通孔32が形成されているため、保挟シート30と被挟体Xとの間が真空状態となって、保挟シート30に被挟体Xが貼り付くことを防止することができる。このように、このファイル10は、隣接する保挟シート30間に書類を挟み込むだけで保持することができるため、被挟体Xの出し入れが容易である。
【0034】
このように、このファイル10を用いれば、指標に準じて必要な書類を管理することができる。
なお、保挟シート30の数は任意に変更可能であり、たとえば1週間分の書類を管理するのであれば、「1」から「7」までの指標が表示されたインデックス434を有する保挟シート30と、ドットが表示されたインデックス434を有する保挟シート30とを用いればよい。
また、2週間分の書類を管理するのであれば、「1」から「14」までの指標が表示されたインデックス434を有する保挟シート30と、ドットが表示されたインデックス434を有する保挟シート30を用いればよい。
さらに、インデックス434の表示としては、指標に限らず、ファイル10の用途に応じて他の項目を表示してもよい。
【0035】
この発明は、この発明思想に基づき種々変更することができる。
保挟シート30は、図11ないし図13において示すように、変形してもよい。
【0036】
前記保挟シート30の連結部30aは、幅方向における一端において表表紙16に接続され且つ幅方向における他端において背表紙14に接続されて、背表紙部を形成したファイル10の表紙体を形成し、連結部30aは、表表紙16及び裏表紙18より全体的に柔軟であり、被挟体Xを挟むときには、保挟シート30ののびる側とは反対側に向けてわん曲した形状を維持されるように保型され、且つ表表紙16及び裏表紙18を開くときに、表表紙16と裏表紙18との間の間隔は縮まり、保挟シート30ののびる方向に向けてわん曲するように形成されてもよい。
【0037】
この変形例の被挟体Xを挟む保挟シート30が並んで固着されたファイル10の製造方法は、保挟シート30を、被挟体Xの厚さに対応した間隔をおいて、背表紙14側の端縁において互いに並んで熱溶着して連結して連結部30aを形成する、溶着工程と、被挟体Xを挟むときには並んだ保挟シート30の対向面の間に被挟体Xを保持する形状を維持されるように保型され、且つ被挟体Xを取り外すときには、保挟シート30ののびる側に向けてわん曲するように柔軟に形成されたわん曲部14Aを背表紙14領域に形成する、わん曲部形成工程とを含む。
【0038】
前記保挟シート30及び表表紙16の内側と裏表紙18の内側との間に形成された架設連結部22は、熱可塑性合成樹脂シートであり、保挟シート30の端縁を熱溶融して架設連結部22に固着され、保挟シート30の端縁を熱溶融するときに同時に又は後に保挟シート30の連結部30aの領域及び前記架設連結部22をわん曲してわん曲部14Aを形成する。
【0039】
背表紙14は、図13において示すように、保挟シート30の端縁を熱溶融するときに同時に又は後に保挟シート30が固着される領域をわん曲して、わん曲部14Aを形成するように、背表紙14の保挟シート30が固着された面とは反対側の(背中合わせの側)面に円弧状面を有する治具を押しあて、加熱して背表紙14を構成する合成樹脂シートをわん曲させる。
【0040】
図14は、この発明にかかるファイルの一例を示す斜視図であり、図15は、図14に示すファイルに用いられる表紙を示す平面図であり、図16は、図15に示す表紙のA−A断面図であり、(A)はのばした状態を示し、(B)は表表紙側及び裏表紙側を対向するように屈曲した状態を示す図であり、図17は、表紙を閉じた状態を示す正面図解図であり、図18は、表紙を開いた状態を示す正面図解図であり、図19は、図14に示すファイルの製造工程において、表紙を準備する工程を示す図解図である。
このファイル410は、たとえば、アイウエオ順や指標順などに整理された書類や証書・カード類を管理するために用いられる。
ファイル410は、熱可塑性樹脂などの合成樹脂シートで形成された表紙412を含む。表紙412は、図15に示すように、長方形状の背表紙414と、背表紙414の幅方向の一方側に連続して形成される表表紙416と、背表紙414の幅方向の他方側に連続して形成される裏表紙418とを含む。
【0041】
表表紙416は、たとえば長方形に形成され、その幅方向の一端側が背表紙414に連結されている。
また、裏表紙418は、たとえば、幅方向の一端側が円弧状に形成されるとともに、他の3辺が直線状に形成される。
そして、裏表紙418の円弧状部分の反対側の端部が、背表紙414に連結されている。
この実施の形態では、裏表紙418の幅は、表表紙416の幅より大きくなるように形成される。背表紙414、表表紙416及び裏表紙418は、たとえばシート状の材料を切断することにより、一体的に形成される。
【0042】
背表紙414は、書類や証書・カード類などの被挟体Xの厚さに対応した間隔をおいて、被挟体Xを挟む保挟シート430が複数並んで固着されている。
保挟シート430は、被挟体Xの厚さに対応した間隔をおいて、背表紙414側の端縁において互いに熱溶着されて並んで連結され、保挟シート430の前記連結された連結部430aは、被挟体Xを挟むときには並んだ保挟シート430の対向面の間に被挟体Xを保挟する形状を維持されるように保型され、且つ被挟体Xを取り外すときには、保挟シート430ののびる側に向けて更にわん曲されて被挟体Xを挟むときに比して曲率半径が小さくなるように、全体的に柔軟に形成されている。
【0043】
前記保挟シート430は、幅方向における一端において表表紙416に接続され且つ幅方向における他端において背表紙414に接続されて、背表紙部を形成したファイルの表紙体を形成している。
【0044】
連結部430aは、表表紙416及び裏表紙418より全体的に柔軟であり、被挟体Xを挟むときには、保挟シート430ののびる側に向けてわん曲した形状を維持されるように保型され、且つ表表紙416及び裏表紙418を開くときに、表表紙416と裏表紙418との間の間隔は縮まり、保挟シート430ののびる方向に向けてわん曲するように形成されている。
【0045】
背表紙414は、ファイル410の表紙体を構成し、円弧状の角部を介して表表紙416及び裏表紙418に連設されている。
背表紙414は、円弧状の角部の内側において、表表紙416側の保形部414a及び裏表紙418側の保形部414bを形成されている。
【0046】
背表紙414は、その長手方向の上端側から下端側まで並ぶように、複数の4角形の貫通孔420が形成される。
背表紙414は、背表紙414の幅方向における貫通孔420のA面側孔縁420aと貫通孔420のB面側孔縁420bとを有する。
複数の貫通孔420のA面側孔縁420aは、背表紙414の高さ方向において、直線状に並び、且つ複数の貫通孔420のB面側孔縁420bは、背表紙414の高さ方向において、直線状に並ぶ。
そして、A面側孔縁420aの表表紙416側に保形部414aが形成され、B面側孔縁420bの裏表紙418側に保形部414bが形成されている。
そして、貫通孔420の間には、表表紙416の内側と裏表紙418の内側との間において、保形部414aと保形部414bとの間に架設された帯状の架設連結部422が形成される。
【0047】
背表紙414は、ファイル410の表紙体を構成し、幅方向における中間の領域において、高さ方向に連続する一定の幅のわん曲部414Aを形成され、前記わん曲部414Aに保挟シート430を固着されて、背表紙部を構成する。
保挟シート430は、背表紙414のわん曲した形状のわん曲部414Aの幅方向に、被挟体Xの厚さに対応した間隔をおいて並列され、保挟シート430の連結部430aは、背表紙414のわん曲部414Aを構成している。
保挟シート430及び背表紙414は、熱可塑性合成樹脂シートであり、保挟シート430の端縁を熱溶融して背表紙414に固着され、背表紙414は、保挟シート430の端縁を熱溶融するときに同時に又は後に保挟シート430が固着される領域をわん曲されて、わん曲部414Aを形成されている。
【0048】
背表紙414は、被挟体Xを挟むときには保挟シート430を固着した保挟シート430の突き出た側に向けてわん曲した形状を維持されるように保型され、且つ被挟体Xを取り外すときには、保挟シート430ののびる側に向けて更にわん曲されて被挟体Xを挟むときに比して曲率半径が小さくなるように柔軟に形成された、わん曲部414Aを備える。
わん曲部414Aは、表紙412を閉じたとき、保挟シート430ののびる側に膨らむ円弧状であり、表紙412を開いたとき、保挟シート430ののびる側に膨らむ円弧状であるが、閉じたときの円弧の径より開いたときの円弧の径の方が短くなるように構成されている。
【0049】
保挟シート430は、被挟体Xを挟むときには、連結部430aの領域において、隣接する他の保挟シート430との間に被挟体Xを保持し、連結部430aから突き出た領域において被挟体Xの表面に接し合うように形成され、被挟体Xを取り外すときには、連結部430aに固着された領域における隣接する他の保挟シート430との間の間隔が広がり、指先で挟み持って被挟体Xを取り出すことができるように形成されている。
【0050】
背表紙部は、表表紙416の内側と裏表紙418の内側との間に形成された架設連結部422に前記保挟シート430の連結部430a及び溶着連結体444を熱溶着されて、ファイル表紙体の幅方向における中間の領域において、高さ方向に連続する一定の幅のわん曲部414Aを形成され、背表紙部を構成するように形成されている。
この実施の形態においては、わん曲部414Aは、表表紙416側の保形部414aと裏表紙418側の保形部414bとの間である、A面側孔縁420aとB面側孔縁420bとの間において、構成されている。
【0051】
背表紙部は、閉じられた表表紙416の内側面と裏表紙418の内側面との間の距離W0より、わん曲部414Aの幅W1の方が短くなるように構成されている。そして、わん曲部414Aは、被挟体Xを挟むときには、並んだ保挟シート430の対向面の間に被挟体Xを保挟する形状を維持されるように且つ保挟シート430ののびる側に向けてわん曲した形状を維持されるように保型されるとともに、表表紙416及び裏表紙418を開くときには、保挟シート430ののびる方向に向けて更にわん曲してアーチ状に曲がるように形成されている(図17及び図18図示)。
前記保挟シート430の連結部430aは、表表紙416及び裏表紙418より全体的に柔軟であり、被挟体Xを挟むときには、並んだ保挟シート430の対向面の間に被挟体Xを保挟する形状を維持されるように且つ保挟シート430ののびる側に向けてわん曲した形状を維持されるように保型されるとともに、表表紙416及び裏表紙418を開くときに、表表紙416と裏表紙418との間の間隔は縮まり、保挟シート430ののびる方向に向けて更にわん曲してアーチ状に曲がるように形成されている。
この実施の形態においては、架設連結部422及び連結部430a含むわん曲部414Aは、背表紙414の保形部414a及び保形部414bより全体的に柔らかく構成されている。
表紙412を開くとき、保形力に優る保形部414a及び保形部414bの内側縁すなわちA面側孔縁420a及びB面側孔縁420bを中心にして、わん曲部414Aは、保挟シート430ののびる側に向けてわん曲してアーチ状になるように、構成されている。
【0052】
背表紙414と表表紙416との間及び背表紙414と裏表紙418との間には、表紙412の上端から下端にわたってヒンジ溝424が形成される。さらに、ヒンジ溝424から間隔を隔ててヒンジ溝424と平行に、表表紙416及び裏表紙418の上端から下端にわたって別のヒンジ溝424が形成される。ヒンジ溝424は、図16に示すように、表紙412の一方面及び他方面に形成される。
背表紙414は、溝424の内側に、表表紙416側の保形部414a及び裏表紙418側の保形部414bを形成されている。
【0053】
背表紙414は、図16において示すように、表紙412の一方面側においては、略円弧状の断面形状を有する第1の溝424aが形成される。また、表紙412の他方面側においては、若干窪んだ断面形状を有する第2の溝424bが形成される。そして、第1の溝424aの形成された側が表側となり、第2の溝424bの形成された側が内側となるように、表紙412が折りたたまれる。
【0054】
断面円弧状の第1の溝424a側は比較的自由に変形するが、断面窪み状の第2の溝424b側の自由度は低いため、表紙412を折りたたむと、表表紙416及び裏表紙418によって背表紙414に応力がかかる。背表紙414に形成された貫通孔420により帯状に形成された架設連結部422は、表表紙416や裏表紙418に比べて応力に弱いため、保挟シート430を固着した固着面側である内側に向かって凹むように湾曲する。なお、第1の溝424aと第2の溝424bとの間の間隔が小さい場合、溝424部分で表紙412が折れ曲がりやすく、背表紙414が湾曲しにくくなる。また、第1の溝424aと第2の溝424bとの間の間隔が大きい場合、溝424部分で表紙412が折れ曲がりにくくなる。そのため、表紙412を閉じたときに、表表紙416と裏表紙418とが開いた状態となったり、背表紙414が応力に耐えられなくなり、架設連結部422の中央部で折れ曲がって背表紙414が湾曲しなくなったりする。そのため、第1の溝424aと第2の溝424bとの間の間隔は、背表紙414がきれいに湾曲するような間隔となるように設定される。
【0055】
湾曲する帯状連結体を構成する背表紙414の内側には、複数の保挟シート430が形成される。保挟シート430は、たとえば熱可塑性樹脂などで長方形状に形成される。つまり、保挟シート430の幅方向の一端側は、背表紙414の内側に密着するように、長手方向において直線状となるように形成される。そして、隣接する保挟シート430が所定の間隔を隔てて配置されるようにして、保挟シート430の幅方向の一端側が、背表紙414に溶着される。このとき、背表紙414の架設連結部422に保挟シート430が溶着されるが、貫通孔420部分においては、図17に示すように、保挟シート430の端部が溶融して、隣接する保挟シート430の端部を連結する連結部430aが形成される。表表紙416と裏表紙418との間において、表紙412を閉じたとき、背表紙414との溶着連結体444においては、それぞれの保挟シート430が互いに間隔を隔てているが、背表紙414から離れた部分においては、表表紙416と裏表紙418との間において全ての保挟シート430が密着した状態となる。
【0056】
保挟シート430には、たとえば2つの円形の貫通孔432が形成される。貫通孔432は、たとえば保挟シート430の幅方向における中央において上下に分かれた位置に形成される。さらに、保挟シート430の幅方向において、背表紙416との溶着連結体444の反対側端部の取り出し側側縁430bに、インデックス434が形成される。インデックス434は、保挟シート430の幅方向の端部の一部が突出するように形成される。
【0057】
この実施の形態では、表表紙416側の20枚の保挟シート430に、互いに位置をずらして指標、例えば、曜日、挟まれる用紙やカードの内容の表示用のインデックス434が形成される。このとき、表表紙416側から内側に向かうにしたがって、保挟シート430の長手方向の一端側から他端側に位置をずらしてインデックス434を形成することにより、保挟シート430のインデックス434が、高さ方向における上から下に連続して見えるように配置することができる。
そして、表表紙416側から内側に向かうにしたがって、例えば数字が大きくなる等順序が判別できるように、各インデックス434に「1」から「5」、「6」から「10」までの指標(図示せず)が印刷される。
それにより、保挟シート430がまとまったとき、保挟シート430の長手方向の一端側から他端側に向かって、「1」から「5」、「6」から「10」までの指標が順序よく並んで表示される。
【0058】
「10」の指標が表示されたインデックス434を有する保挟シート430に続いて、つまり裏表紙418側に、図14に示すように、保挟シート430の長手方向の一端側から他端側に向かって、わん曲部414Aの頂上から「a」「b」「c」「d」「e」の指標が順序よく並んで表示され、さらに黒いドットの表示(図示せず)が順序よく並んで表示されたインデックス434を有する保挟シート430が配置される。
それにより、1枚目から5枚目の「1」から「5」までの表示と、5枚目から10枚目の「6」から「10」の表示とが2列に分けて表示される。そして、11枚目から15枚目の「a」〜「e」のアルファベットの表示と、16枚目から20枚目の黒いドットの表示とが2列に分けて表示されて、全ての表示を見ることができる。
なお、11枚目から15枚目の「a」「b」「c」「d」「e」の表示と、16枚目から20枚目の黒いドットの表示がされたインデックス434についても、「1」から「10」までの表示がされたインデックス434と同様の位置関係となるように、各保挟シート430にインデックス434が形成されている。
【0059】
さらに、図19に示すように、背表紙414の外面側を覆うように、表紙412の長手方向の上端から下端まで、背見出し460が形成される。背見出し460は、たとえば透明な長方形状の熱可塑性フィルムを背表紙414と平行な位置で表表紙416及び裏表紙418に溶着することにより形成される。そして、背見出し460に背見出し紙462を挿入することにより、必要な情報を表示することができる。このとき、裏表紙418側よりも表表紙416側のほうに多くの背見出し460がくるようにすることにより、表表紙416側から背見出し紙462に表示された情報が確認しやすくなる。
【0060】
このようなファイル410を作製する方法について、主として図20ないし図26に基づいて次に説明する。
被挟体Xを挟む保挟シート430が並んで固着されたファイル410の製造方法は、保挟シート430を、被挟体Xの厚さに対応した間隔をおいて、背表紙414側の端縁において互いに並んで熱溶着して連結して連結部430aを形成する、溶着工程と、被挟体Xを挟むときには並んだ保挟シート430の対向面の間に被挟体Xを保持する形状を維持され且つ保挟シート430ののびる側に向けてわん曲した形状を維持されるように保型されるとともに、被挟体Xを取り外すときには、保挟シート430ののびる側に向けて更にわん曲してアーチ状に曲がるように柔軟に形成されたわん曲部414Aを背表紙414領域に形成する、わん曲部形成工程とを含む。
【0061】
まず、図19に示すように、表紙412が準備される。
次に、図21に示すように、複数の保挟シート430が準備される。保挟シート430の大きさは、ファイル410に保管する書類の大きさより大きくなるように設定される。
ここで、図22に示すように、最もわん曲部414Aの頂上にある「a」の指標が表示されたインデックス434を有する保挟シート430の幅をL(1)とし、図23に示すように、最も416側から内側に並んだ「b」の指標が表示されたインデックス434を有する保挟シート430の幅をL(2)とすると、L(2)がL(1)より長くなるように形成される。
さらに、図24に示すように、「e」の指標が表示されたインデックス434を有する保挟シート430の幅L(1)は、「a」の指標が表示されたインデックス434を有する保挟シート430の幅L(3)より大きく形成される。
同様にして、背表紙414側にある「1」の指標が表示されたインデックス434から、わん曲部414Aの頂上付近にある「10」の指標が表示されたインデックス434を有する保挟シート430の幅L(3)まで、順次保挟シート430の幅が短くなるように形成される。
【0062】
これは、図14に示すように、「a」から「e」までの指標が表示されたインデックス434と16枚目から20枚目の黒いドットを表示されたインデックス434とが、列違いに配置されるようにするためである。
そして、16枚目の黒いドットの指標が表示されたインデックス434を有する保挟シート430の幅L(1)から、20枚目の黒いドットが表示されたインデックス434を有する保挟シート430の幅L(dot)まで、順次幅が大きくなっていくように、各保挟シート430が形成される。
したがって、中央の10枚目及び11枚目の保挟シート430から表表紙416側の1枚目の保挟シート430及び裏表紙418側の20枚目の保挟シート430に向かって幅が大きくなるように、各保挟シート430が配置されている。
【0063】
なお、それぞれの保挟シート430において、複数の円形の貫通孔432のうちの対応するものは、保挟シート430の長手方向の同じ位置に形成される。また、それぞれの保挟シート430において、複数の円形の貫通孔432のうちの対応するものは、保挟シート430のインデックス434とは反対側の幅方向端部から等距離となる位置に形成される。したがって、幅の異なる保挟シート430であっても、長手方向の端部及びインデックス434とは反対側の幅方向端部を揃えて重ねることにより、全ての保挟シート430の貫通孔432を揃えることができる。
【0064】
このように配置された保挟シート430の間に、隣接する保挟シート430の間の間隔(並んだ保挟シート430の対向面の間に被挟体Xを保持する形状を維持させる間隔)を正しく保持するための隔幅部材(間隔片)としての合紙470が挟み込まれる。合紙470は、図21に示すように、所定の厚みを有する長方形状に形成される。合紙470の長手方向の長さは、保挟シート430の長手方向と同じ長さとなるように形成される。そして、合紙470の長手方向の両端に、一部が突出する突出部470aが形成される。また、合紙470の幅方向の長さは、たとえば保挟シート430の幅方向の長さより短くなるように形成される。
【0065】
合紙470には、2つの貫通孔472が形成される。合紙470の貫通孔472は、保挟シート430の2つの貫通孔432に対応して形成される。つまり、保挟シート430の長手方向と合紙470の長手方向とを合わせるとともに、インデックス434とは反対側の保挟シート430の幅方向端部(取り出し側側縁430b)と合紙470の幅方向の一端側とを合わせるようにして、保挟シート430と合紙470とを重ねたとき、保挟シート430の2つの貫通孔432と合紙470の貫通孔472とが重なるように形成される。このような合紙470を複数の保挟シート430の間に挟み込み、保挟シート430の貫通孔432と合紙470の貫通孔472とを揃えることにより、全ての保挟シート430について、取り出し側側縁430bとは反対側の端部が揃うように配置することができる。
【0066】
次に、図26に示すように、表紙412の背表紙414に保挟シート430が溶着される。このとき、背表紙414が平らになるように、表紙412が保持される。そして、表紙412の第2の溝424bが形成された側において、取り出し側側縁430bとは反対側の保挟シート430の幅方向端部が背表紙414側に配置される。この状態で、背表紙414と保挟シート430の対向部を溶融したのち互いを押し当てて溶着することにより、架設連結部422部分において、保挟シート430の幅方向端部が接続され、背表紙414の貫通孔420部分において、保挟シート430の端部間に連結部430aが形成される。
【0067】
連結部430aは、背表紙414の幅方向における貫通孔420のA面側孔縁420aの表表紙416側の保形部414aの周縁近傍及びB面側孔縁420bの裏表紙418側の保形部414bの周縁近傍並びに幅方向における手前側孔縁420cの手前側の架設連結部422の周縁近傍及び向こう側孔縁420dの向こう側の架設連結部422の周縁近傍に溶着されている。
更に、連結部430aは、背表紙414及び架設連結部422との溶着時に加熱されたとき、加熱によって溶融し始め、柔軟になった連結部430aが貫通孔420の孔の中に入り込み、貫通孔420の孔縁と密着する。すなわち、貫通孔420のA面側孔縁420a、B面側孔縁420b、手前側孔縁420c及び向こう側孔縁420dと接着する。
【0068】
このように、合紙470を挟んで保挟シート430を背表紙414に溶着することにより、隣接する保挟シート430間に合紙470の厚み分の隙間を形成することができる。
次に、背表紙414は、保挟シート430の端縁を熱溶融するときに同時に又は後に保挟シート430が固着される領域をわん曲して、わん曲部414Aを形成するように、背表紙414の保挟シート430が固着された面とは反対側の(背中合わせの側)面に円弧状面を有する治具を押しあて、加熱して背表紙414を構成する合成樹脂シートをわん曲させる。
【0069】
次に、図19に示すように、表紙412には、保挟シート430が溶着された側と反対側に長方形状の透明な樹脂フィルムが溶着され、背見出し460が形成される。ここで、上述のように、表表紙416側が裏表紙418側より多く背見出し460で覆われるようにして、背見出し460の幅方向の両側が表紙412に溶着される。この背見出し460に、背見出し紙462が挿入される。
次に、突出部470a(図21図示)を利用して合紙470を引き抜くことにより、保挟シート430間の合紙470が除去される。
【0070】
そして、保挟シート430が内側となるようにして、表表紙416と裏表紙418とが閉じられる。それにより、背表紙414が保挟シート430の固着面側に向けて凹むように湾曲し、図14に示すファイル410が得られる。
なお、保挟シート430の幅が異なるため、背表紙414が平らな状態で保挟シート430を溶着したとき、インデックス434側の保挟シート430の幅方向端部は不揃いとなる。しかしながら、表紙412を閉じることにより、背表紙414が内側に向けて湾曲するため、側部にある保挟シート430ほど背表紙414側に引き込まれる。
複数の保挟シート430は、外側から内側に向かうにしたがって、幅が小さくなるように配置されているため、表紙412を閉じて背表紙414が内側に向けて湾曲することにより、インデックス434側の保挟シート430の幅方向端部の取り出し側側縁430bが揃えられる。
このように、表紙412を閉じたときに、保挟シート430のインデックス434側の幅方向端部の取り出し側側縁430bを揃えるために各保挟シート430の幅を変えているが、背表紙414の幅、曲率半径及び隣接する保挟シート430間の間隔などにより、表紙412を閉じたときの保挟シート430の引き込み量が異なる。そのため、表紙412を閉じたときの保挟シート430の引き込み量に応じて、隣接する保挟シート430間の幅の差が設定される。
【0071】
このようにして得られたファイル410は、たとえば20種類のカード又は書類管理用ファイルとして用いられる。たとえば、1番目に必要な被挟体Xは、「1」の指標が表示されたインデックス434を有する保挟シート430と「2」の指標が表示されたインデックス434を有する保挟シート430との間に挟み込まれる。ここで、隣接する保挟シート430間には、合紙470の厚み分の隙間が形成されているが、図17に示すように、背表紙414が湾曲しているため、背表紙414から離れるにしたがって、表表紙416と裏表紙418との間で全ての保挟シート430が中央側に集合し、隣接する保挟シート430が密着した状態となる。そのため、表紙412を閉じれば、隣接する保挟シート430によって被挟体Xが押し付けられ、被挟体Xはファイル410から外れることなく保持される。被挟体Xが複数枚の場合であっても、隣接する保挟シート430間に合紙470の厚み分の隙間があるため、被挟体Xをまとめて保挟シート430間に保持することができる。
【0072】
ファイル410に保持した書類を取り出すときには、必要とする指標が表示されたインデックス434を有する保挟シート430を開くことにより、被挟体Xを取り外すことができる。被挟体Xを取り外すときには、保挟シート430ののびる側に向けてわん曲部414Aが形成されて被挟体Xを挟むときに比して曲率半径が小さくなるように構成されているので、被挟体Xを保挟シート430の間から取り外し易い。
ここで、保挟シート430には円形の貫通孔432が形成されているため、保挟シート430と被挟体Xとの間が真空状態となって、保挟シート430に被挟体Xが貼り付くことを防止することができる。このように、このファイル410は、隣接する保挟シート430間に書類を挟み込むだけで保持することができるため、被挟体Xの出し入れが容易である。
【0073】
このように、このファイル410を用いれば、指標に準じて必要な書類を管理することができる。なお、保挟シート430の数は任意に変更可能であり、たとえば1週間分の書類を管理するのであれば、「1」から「7」までの指標が表示されたインデックス434を有する保挟シート430と、ドットが表示されたインデックス434を有する保挟シート430とを用いればよい。また、2週間分の書類を管理するのであれば、「1」から「14」までの指標が表示されたインデックス434を有する保挟シート430と、ドットが表示されたインデックス434を有する保挟シート430を用いればよい。さらに、インデックス434の表示としては、指標に限らず、ファイル410の用途に応じて他の項目を表示してもよい。
【0074】
また、この発明の製造方法を用いることにより、保挟シート430を溶着した背表紙414が湾曲しているにもかかわらず、インデックス434側の幅方向端部が揃うように、保挟シート430を配置することができる。そのため、インデックス434をきれいに並べることができ、インデックス434の表示を見やすくすることができる。
【0075】
この発明は、この発明思想に基づき種々変更することができる。
保挟シート430は、図27ないし図31において示すように、変形してもよい。
保挟シート430は、この実施の形態においては、第1の保挟シート440と第2の保挟シート450との2種類の保挟シートが存在する。
第1の保挟シート440は、長方形の挟持シート部442と前記挟持シート部442の端部から前記背表紙414の内側と前記複数の第2の保挟シート450の端部(綴じ代部)との間にわたって溶着連結体444が一体形成されている。
【0076】
溶着連結体444は、挟持シート部442の向こう側端から手前側端にわたって形成された長方形状で、挟持シート部442と直交するように、1枚のシート状体が折り曲げられて形成され、背表紙414より一回り小さな形状である。
溶着連結体444は、背表紙414の幅と略々同一の幅を備えており、背表紙414の内側において架設連結部422の内側面及び架設連結部422の幅方向における溝424の近傍、並びに背表紙414の幅方向における貫通孔420のA面側孔縁420aの表表紙416側の近傍、B面側孔縁420bの裏表紙418側の近傍の保形部414a、及び幅方向における手前側孔縁420cの手前側近傍、及び向こう側孔縁420dの向こう側近傍の保形部414bに溶着されている。
【0077】
更に、第1の保挟シート440の溶着連結体444は、背表紙414及び架設連結部422との溶着時に加熱されたとき、加熱によって溶融し始め、柔軟になった溶着連結体444が貫通孔420の孔の中に入り込み、貫通孔420の孔縁と密着する。すなわち、貫通孔420のA面側孔縁420a、B面側孔縁420b、手前側孔縁420c及び向こう側孔縁420dと接着する。
このとき、溶着連結体444は、完全に溶融し元のシート形状を失うのではなく、背表紙414の外側に膨出した部分は溶融せず、もとのシート状の形状をほぼ保った状態となり、貫通孔420の内側(孔内)で連結部が形成される。
すなわち、溶着連結体444の厚み方向の半分は、元のシート形状の状態に近い、全体が一体となってつながった状態となっている。
一方、第2の保挟シート450の幅方向の一端側は、背表紙414の内側であって、第1の保挟シート440の溶着連結体444の内側の平面に密着するように、長手方向において直線状となるように形成される。そして、隣接する第1の保挟シート440の挟持シート部442と第2の保挟シート450が薄状物たる書類などの被挟体Xを挟むために適する所定の間隔を隔てて配置されるようにして、第2の保挟シート450の幅方向の一端側が、第1の保挟シート440の溶着連結体444に溶着され、且つ隣接する複数の第2の保挟シート450も、薄状物たる書類などの被挟体Xを挟むために適する所定の間隔を隔てて配置されるようにして、第2の保挟シート450の幅方向の一端側が、第1の保挟シート440の溶着連結体444に溶着される。
【0078】
背表紙414は、被挟体Xを挟むときには保挟シート430を固着した固着面側に向けてわん曲した形状を維持されるように保型され、且つ被挟体Xを取り外すときには、保挟シート430を固着した固着面側に向けて更にわん曲されて被挟体Xを挟むときに比して曲率半径が小さくなるように柔軟に形成された、わん曲部414Aを備える。
わん曲部414Aは、表紙412を閉じたとき、保挟シート430を固着した面側に膨らむ円弧状であり、表紙412を開いたとき、保挟シート430を固着した面側に膨らむ円弧状であるが、閉じたときの円弧の径より開いたときの円弧の径の方が短くなるように構成されている。
【0079】
背表紙414は湾曲しているため、表表紙416と裏表紙418との間において、全ての保挟シート430が背表紙414から遠ざかるにしたがって表表紙416と裏表紙418の間の中央部に向かって集中する。したがって、表紙412を閉じたとき、背表紙414との溶着連結体444においては、それぞれの保挟シート430が互いに間隔を隔てているが、背表紙414から離れた部分においては、表表紙416と裏表紙418との間において全ての保挟シート430が密着した状態となる。
【0080】
このようなファイル410を作製するために、図31Aに示すように、表紙412が準備される。ここで、表紙412として、図15に示すように、予め背表紙414の長手方向の両端部が表表紙416及び裏表紙418の長手方向の両端部より窪んだ状態となるように形成されたものが用いられる。つまり、貫通孔420の間に形成された架設連結部422の最も外側にあるものについて、貫通孔420の反対側に窪み部422aが形成されている。窪み部422aは、たとえば背表紙414の幅と略同じとなるように形成され、窪み部422aと表表紙416との境界部分及び窪み部422aと裏表紙418との境界部分は円弧状に形成される。このような表紙412について、背表紙414が平らになるように保持される。
【0081】
次に、図27に示すように、複数の保挟シート430が準備される。
保挟シート430のうち、第1の保挟シート440が、表表紙416と裏表紙418の内側に配置され、溶着連結体444は、背表紙414の内側に対向するように配置される。
第1の保挟シート440の溶着連結体444は、背表紙414の内側において、貫通孔420の孔縁の近傍の保形部414a及び保形部414bと対向するように配置される。
貫通孔420の幅方向において間隔を隔てるA面側孔縁420aの近傍とB面側孔縁420bの近傍との間において、左右に均等に背表紙414の保形部414bと接着されるように配置されるとともに、貫通孔420の長手方向において間隔を隔てる手前側孔縁420cと向こう側孔縁420dとの間において、均等に背表紙414の保形部414aと接着されるように配置される。
【0082】
保挟シート430のうち、第2の保挟シート450が第1の保挟シート440の溶着連結体444の内側面と直交する方向において、第2の保挟シート450の端部(綴じ代部)が密着できるように配置される。
第1の保挟シート440の挟持シート部442と第2の保挟シート450とは、挟持シート部442のB面側と第2の保挟シート450のA面側とが対向して、第1の保挟シート440と第2の保挟シート450とが略々同一の間隔をおいて並列され、且つ第2の保挟シート450の長手端縁が挟持シート部442の長手方向に並列されている。
【0083】
なお、それぞれの保挟シート430において、複数の円形の貫通孔432のうちの対応するものは、保挟シート430の長手方向の同じ位置に形成される。また、それぞれの保挟シート430において、複数の円形の貫通孔432のうちの対応するものは、保挟シート430のインデックス434とは反対側の幅方向端部の取り出し側側縁430bから等距離となる位置に形成される。したがって、幅の異なる保挟シート430であっても、長手方向の端部及びインデックス434とは反対側の幅方向端部を揃えて重ねることにより、全ての保挟シート430の貫通孔432を揃えることができる。
【0084】
このように配置された保挟シート430(第1の保挟シート440の挟持シート部442及び第2の保挟シート450)の間に、隔幅部材としての合紙470が挟み込まれる。合紙470は、図27に示すように、所定の厚みを有する長方形状に形成される。合紙470の長手方向の長さは、保挟シート430(第1の保挟シート440の挟持シート部442及び第2の保挟シート450)の長手方向と同じ長さとなるように形成される。そして、合紙470の長手方向の両端に、一部が突出する突出部470aが形成される。また、合紙470の幅方向の長さは、たとえば保挟シート430の幅方向の長さより長くなるように形成される。
【0085】
合紙470には、2つの貫通孔472が形成される。合紙470の貫通孔472は、インデックス434とは反対側の保挟シート430の幅方向端部に近い3つの貫通孔432に対応して形成される。つまり、保挟シート430の長手方向と合紙470の長手方向とを合わせるとともに、取り出し側側縁430bとは反対側の保挟シート430の幅方向端部と合紙470の幅方向の一端側とを合わせるようにして、保挟シート430と合紙470とを重ねたとき、取り出し側側縁430bとは反対側の保挟シート430の幅方向端部側にある3つの貫通孔432と合紙470の貫通孔472とが重なるように形成される。このような合紙470を複数の保挟シート430(第1の保挟シート440の挟持シート部442及び第2の保挟シート450)の間に挟み込み、保挟シート430の貫通孔432と合紙470の貫通孔472とを揃えることにより、全ての保挟シート430(第1の保挟シート440の挟持シート部442及び第2の保挟シート450)について、取り出し側側縁430bとは反対側の端部が揃うように配置することができる。次に、図25Eに示すように、表紙412の背表紙414に保挟シート430(第1の保挟シート440の溶着連結体444及び第2の保挟シート450)が溶着される。
【0086】
また、製本装置1000は、図31A〜31Eに示すように、第1の保挟シート440の挟持シート部442と多数枚の第2の保挟シート450とを重合した保挟シート430を保持する保挟シート保持機構1002と、表紙412を保持する表紙用保持機構1004と、発熱体1006(H)と、この発熱体1006(H)を保挟シート430と表紙412との間に介在または抜き出し可能とするシリンダ機構(図示せず)とを備えている。
【0087】
保挟シート保持機構1002は、テーブル1010に固定の保挟シート押圧部1008と、図示しないねじやピストン等の駆動手段でテーブル1010上を可動する可動保挟シート押圧部1012と、固定の保挟シート押圧部1008と可動保挟シート押圧部1012とによって保挟シート430をクランプするように構成されている。
【0088】
また、表紙用保持機構1004は、表紙412の裏表紙418の内面を下向きにして取り付け可能に構成されたものであり、図示しない昇降手段により上下動可能に構成されている。
【0089】
発熱体1006(H)は、内部にシーズヒータ等が内蔵された板状のものであるが、発熱体1006(H)はこれに限らず、熱エネルギーを放出可能な種々の手段が考えられる。
【0090】
前記の製本装置1000を使用してファイルを製本する方法について説明する。
まず、図31Aに示すように、第1の保挟シート440の挟持シート部442と多数枚の第2の保挟シート450とを重合し、その重なり端面を固定の保挟シート押圧部1008と可動保挟シート押圧部1012とでクランプし、且つ、表紙用保持機構1004により、表紙412の裏表紙418の内面を下側にした状態で、表紙412を保持し、表紙用保持機構1004を下降させて第1の保挟シート440の溶着連結体444の上面と表紙412の裏表紙418の内面とを対向させるとともに、その間に発熱体1006(H)を介在させることができる位置まで接近させる。
そして、発熱体1006(H)を両者の間に介在させ、表紙412の裏表紙418の内面と第1の保挟シート440の溶着連結体444の上面並びに第1の保挟シート440の溶着連結体444の下面及び第2の保挟シート450のつき合せ端面とを同時に溶融させる。
【0091】
その溶融温度は、ポリプロピレンの溶融温度が、120〜130℃であるため、170〜180℃前後の発熱体1006を使用して4〜5秒前後の時間で、表紙412の裏表紙418の内面と第1の保挟シート440の溶着連結体444の上面並びに第1の保挟シート440の溶着連結体444の下面及び第2の保挟シート450のつき合せ端面とを同時に溶融させる。
その後、背表紙414と溶着連結体444との間から発熱体1006(H)を引き抜き、背表紙414を第1の保挟シート440の溶着連結体444に接触させて両者を接合する(図31C参照)。
【0092】
次に、再び、表紙用保持機構1004を背表紙414の上面に押し当て、表紙412の裏表紙418の内面と第1の保挟シート440の溶着連結体444の上面並びに第1の保挟シート440の溶着連結体444の下面及び第2の保挟シート450のつき合せ端面とを同時に溶着させる(図31D参照)。
【0093】
保挟シート430は、表紙412の第2の溝424bが形成された側において、インデックス434とは反対側の保挟シート430のうち第1の保挟シート440の溶着連結体444を背表紙414の内面と対向させ、且つ第2の保挟シート450の幅方向端部を背表紙414側すなわち、第1の保挟シート440の溶着連結体444の内面側に配置させる。
次に、背表紙414の内側面と、第1の保挟シート440の溶着連結体444の外側面(背表紙414側)との間に発熱体1006(H)が配置され、発熱体1006(H)と背表紙414の内側面と第1の保挟シート440の溶着連結体444及び第2の保挟シート450の端部を(綴じ代側)とを接近させる。この状態で、背表紙414と保挟シート430との間に挿入された発熱体Hが、背表紙414の内側面と第1の保挟シート440の挟持シート部442との対向部分を溶融させ、且つ第2の保挟シート450の端部を溶融させ、互いを押し当てることにより、背表紙414と保挟シート430とが溶着される。このとき、溶着連結体444の厚み方向の半分は、元のシート形状の状態に近い全体が一体となってつながった状態となっている。
保挟シート430は、たとえば弾力性を有するポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂などで長方形状に形成される。一方、第2の保挟シート450は、たとえば弾力性を有するポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂などで長方形状に形成され、その幅方向の一端側は、背表紙414の内側であって、第1の保挟シート440の溶着連結体444の内側の平面に密着するように、長手方向において直線状となるように形成される。
そして、隣接する第1の保挟シート440の挟持シート部442と第2の保挟シート450が薄状物たる書類などの被挟体Xを挟むために適する所定の間隔を隔てて配置されるようにして、保挟シート430の幅方向の一端側が、背表紙414に溶着される。
【0094】
このとき、背表紙414の架設連結部422の内側面に保挟シート430が溶着されるが、貫通孔420部分においては、図31Dに示すように、第1の保挟シート440の溶着連結体444の端部が溶融して、隣接する第2の保挟シート450の端部を連結する連結部430aが形成される。このとき、架設連結部422部分において、保挟シート430の幅方向端部が接続され、背表紙414の貫通孔420部分において、第1の保挟シート440及び第2の保挟シート450の端部間に連結部430aが形成される。このように、合紙470を挟んで保挟シート430を背表紙414に溶着することにより、隣接する保挟シート430間に合紙470の厚み分の隙間を形成することができる。
【0095】
次に、背表紙414は、保挟シート430の端縁を熱溶融するときに同時に又は後に保挟シート430が固着される領域をわん曲して、わん曲部414Aを形成するように、背表紙414の保挟シート430が固着された面とは反対側の(背中合わせの側)面に円弧状面を有する治具を押しあて、加熱して背表紙414を構成する合成樹脂シートをわん曲させる。
【0096】
そして、適宜、溶着部位を冷却して、完全に表紙412の裏表紙418の内面と第1の保挟シート440の溶着連結体444の上面並びに第1の保挟シート440の溶着連結体444の下面及び第2の保挟シート450のつき合せ端面とを固着する。
【0097】
なお、溶着のために背表紙414が加熱されるが、それにより架設連結部422が膨張して、その幅が増大する。中間部の架設連結部422については、幅が増大しても特に問題はないが、背表紙414の両端にある架設連結部422の幅が増大すると、架設連結部422の端部が表表紙416及び裏表紙418の端部を越えて突出する。この場合、ファイル410を立てて保管するときに、突出した架設連結部422にファイル410の重量が集中し、背表紙414が潰れて、見栄えが悪くなる。しかしながら、背表紙414の長手方向の両端部、つまり外側に位置する2つの架設連結部422の端部に予め窪み部422aが形成されていることにより、熱による架設連結部422の膨張により幅が増大しても、表表紙416及び裏表紙418の端部を越えないようにすることができる。したがって、ファイル410を立てて保管したとき、背表紙414に重量が集中するのを防止することができる。
【0098】
次に、図14及び図19に示すように、表紙412には、インデックス434を形成された保挟シート430が溶着された側と反対側に長方形状の透明な樹脂フィルムが溶着され、背見出し460が形成される。ここで、上述のように、表表紙416側が裏表紙418側より多く背見出し460で覆われるようにして、背見出し460の幅方向の両側が表紙412に溶着される。この背見出し460に、背見出し紙462が挿入される。
次に、突出部470a(図21図示)を利用して合紙470を引き抜くことにより、保挟シート430間の合紙470が除去される。
【0099】
そして、保挟シート430が内側となるようにして、表表紙416と裏表紙418とが閉じられる。それにより、背表紙414が保挟シート430と反対側に突出するように湾曲し、図14に示すファイル410が得られる。なお、保挟シート430の幅が異なるため、背表紙414が平らな状態で保挟シート430を溶着したとき、インデックス434側の保挟シート430の幅方向端部は不揃いとなる。しかしながら、表紙412を閉じることにより、背表紙414が湾曲するため、中央部にある保挟シート430ほど背表紙414側に引き込まれる。複数の保挟シート430は、外側から内側に向かうにしたがって、幅が大きくなるように配置されているため、表紙412を閉じて背表紙414が湾曲することにより、インデックス434側の保挟シート430の幅方向端部が揃えられる。このように、表紙412を閉じたときに、保挟シート430のインデックス434側の幅方向端部を揃えるために各保挟シート430の幅を変えているが、背表紙414の幅、曲率半径及び隣接する保挟シート430間の間隔などにより、表紙412を閉じたときの保挟シート430の引き込み量が異なる。そのため、表紙412を閉じたときの保挟シート430の引き込み量に応じて、隣接する保挟シート430間の幅の差が設定される。
【0100】
隣接する保挟シート430間には、合紙470の厚み分の隙間が形成されているが、図17に示すように、背表紙414が湾曲しているため、背表紙414から離れるにしたがって、表表紙416と裏表紙418との間で全ての保挟シート430が中央側に集合し、隣接する保挟シート430が密着した状態となる。そのため、表紙412を閉じれば、隣接する保挟シート430によって書類などの被挟体Xが押し付けられ、書類などの被挟体Xはファイル410から外れることなく保持される。書類などの被挟体Xが複数枚の場合であっても、隣接する保挟シート430間に合紙470の厚み分の隙間があるため、書類などの被挟体Xをまとめて保挟シート430間に保持することができる。
【0101】
しかも、第1の保挟シート440の溶着連結体444が、第2の保挟シート450と背表紙414との間に介在して、貫通孔420を完全に塞ぐために、第1の保挟シート440と第2の保挟シート450及び隣接する第2の保挟シート450と第2の保挟シート450との間から貫通孔420を通りぬけて、抜け落ちることなく、書類などの被挟体Xをまとめて保挟シート430に保持することができる。
【0102】
ファイル410に保持した書類を取り出すときには、必要とする指標が表示されたインデックス434を有する保挟シート430を開くことにより、書類やカードなどの被挟体Xを取り出すことができる。ここで、保挟シート430には円形の貫通孔432が形成されているため、保挟シート430と書類などの被挟体Xとの間が真空状態となって、保挟シート430に書類などの被挟体Xが貼り付くことを防止することができる。このように、このファイル410は、隣接する保挟シート430間に書類を挟み込むだけで保持することができるため、書類などの被挟体Xの出し入れが容易である。
【0103】
さらに、このファイル410では、背表紙414の端部が表表紙416及び裏表紙418の端部を越えない形状となっているため、ファイル410を本棚などに立てて保管しても、ファイル410の重量が特定箇所に集中しない。そのため、ファイル410の端部が潰れたりすることを防止することができ、きれいな外観を保つことができる。なお、背表紙414としては、貫通孔420が形成されていないものを用いることもできる。この場合においても、背表紙414の長手方向の両端部に隣接する表表紙416及び裏表紙418の端部より窪んだ窪み部422aを形成しておくことにより、保挟シート430を溶着したときに、背表紙414の端部が隣接する表表紙416及び裏表紙418の端部を越えないようにすることができる。
【0104】
背表紙414は、架設連結部422を形成しない構造としてもよい。
例えば、図32において示すように、表表紙416と裏表紙418とを、溶着連結体444で連結するように構成してもよい。
【0105】
また、表紙412は、図33において示すように、表表紙416が裏表紙418より幅の狭い表紙412として構成し、表紙412を閉じたときにも表表紙416側からインデックス434を見ることができるように構成してもよい。
【0106】
保挟シート530は、長方形状又は方形状でなくてもよい。
例えば、図34において示すように、保挟シート530の角部を切り欠いた切り欠き部530cを設け、あるいは、図35において示すように、保挟シート630の自由端縁である取り出し側端縁630bに切り欠き部630cを設け、被挟体Xを取り出し易くしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0107】
この発明にかかるファイル及びその製造方法は、ダイアリー、アルバム、名刺ホルダー、はがき整理ファイル、レターファイル、クリヤーブック、マガジンファイル、ドキュメントファイル、カルテフォルダー等のファイル及びそれに類するはさみ入れるものに用いる。
【符号の説明】
【0108】
10 ファイル
12 表紙
14 背表紙
14A わん曲部
14a 保形部
14b 保形部
16 表表紙
18 裏表紙
20 貫通孔
20a A面側孔縁
20b B面側孔縁
20c 手前側孔縁
20d 向こう側孔縁
22 架設連結部
30 保挟シート
30a 連結部
30b 取り出し側側縁
32 貫通孔
60 背見出し
62 背見出し紙
70 合紙
70a 突出部
72 貫通孔
410 ファイル
412 表紙
414 背表紙
414A わん曲部
414a 保形部
414b 保形部
416 表表紙
418 裏表紙
420 貫通孔
420a A面側孔縁
420b B面側孔縁
420c 手前側孔縁
420d 向こう側孔縁
422 架設連結部
422a 窪み部
424 溝
424a 第1の溝
424b 第2の溝
430 保挟シート
430a 連結部
430b 取り出し側側縁
432 貫通孔
434 インデックス
440 第1の保挟シート
442 挟持シート部
444 溶着連結体
450 第2の保挟シート
460 背見出し
462 背見出し紙
470 合紙
470a 突出部
472 貫通孔
530 保挟シート
530c 切り欠き部
630 保挟シート
630b 取り出し側側縁
630c 切り欠き部
1000 製本装置
1002 保挟シート保持機構
1004 表紙用保持機構
1006 発熱体
1008 保挟シート押圧部
1010 テーブル
1012 保挟シート押圧部
H 発熱体
L 幅
X 被挟体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被挟体を挟む保挟シートが並んで固着されたファイルであって、
保挟シートは、被挟体の厚さに対応した間隔をおいて、背表紙側の端縁において互いに熱溶着されて並んで連結され、
保挟シートの前記連結された連結部は、被挟体を挟むときには並んだ保挟シートの対向面の間に被挟体を保挟する形状を維持されるように保型され、且つ被挟体を取り外すときには、保挟シートののびる側に向けてわん曲されるように柔軟に形成され、
保挟シートは、
被挟体を挟むときには、連結部の領域において、隣接する他の保挟シートとの間に被挟体を保持し、連結部から突き出た領域において被挟体の表面に接し合うように形成され、
被挟体を取り外すときには、連結部の領域における隣接する他の保挟シートとの間隔が広がり、被挟体を指先で挟み持ち取り外すことができるように形成された、ファイル。
【請求項2】
被挟体を挟む保挟シートが並んで固着されたファイルであって、
保挟シートは、被挟体の厚さに対応した間隔をおいて、背表紙側の端縁において溶着連結体に溶着されて並んで連結され、
溶着連結体は、被挟体を挟むときには並んだ保挟シートの対向面の間に被挟体を保挟する形状を維持されるように保型され、且つ被挟体を取り外すときには、保挟シートののびる側に向けてわん曲されるように柔軟に形成され、
保挟シートは、
被挟体を挟むときには、溶着連結体の領域において、隣接する他の保挟シートとの間に被挟体を保持し、溶着連結体から突き出た領域において被挟体の表面に接し合うように形成され、
被挟体を取り外すときには、溶着連結体に固着された領域における隣接する他の保挟シートとの間隔が広がり、被挟体を指先で挟み持ち取り外すことができるように形成された、ファイル。
【請求項3】
前記保挟シートの連結部及び溶着連結体は、
幅方向における一端において表表紙に接続され且つ幅方向における他端において裏表紙に接続されて、背表紙部を形成したファイルの表紙体を形成し、
表表紙及び裏表紙より全体的に柔軟であり、
被挟体を挟むときには、平面状又は保挟シートののびる側若しくは保挟シートののびる側とは反対側に向けてわん曲した形状を維持されるように保型され、且つ表表紙及び裏表紙を開くときに、表表紙と裏表紙との間の間隔は縮まり、保挟シートののびる方向に向けてわん曲するように形成された、請求項1又は請求項2に記載のファイル。
【請求項4】
前記保挟シートの連結部及び溶着連結体は、
幅方向における一端において表表紙に接続され且つ幅方向における他端において裏表紙に接続されて、背表紙部を形成したファイルの表紙体を構成し、
背表紙部は、表表紙の内側と裏表紙の内側との間に形成された架設連結部に前記保挟シートの連結部及び溶着連結体を熱溶着されて、ファイル表紙体の幅方向における中間の領域において、高さ方向に連続する一定の幅のわん曲部を形成され、背表紙部を構成するように形成された、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のファイル。
【請求項5】
前記保挟シートの連結部及び溶着連結体は、
幅方向における一端において表表紙に接続され且つ幅方向における他端において裏表紙に接続されて、背表紙部を形成したファイルの表紙体を構成し、
表表紙の内側と裏表紙の内側との間において接続されて、ファイル表紙体の幅方向における中間の領域において、高さ方向に連続する一定の幅のわん曲部を形成され、閉じられた表表紙の内側面と裏表紙の内側面との間の距離よりわん曲部の幅の方が短くなるように構成され、
被挟体を挟むときには、平面状又は保挟シートののびる側若しくは保挟シートののびる側とは反対側に向けてわん曲した形状を維持されるように保型され、且つ表表紙及び裏表紙を開くときに、保挟シートののびる方向に向けてわん曲するように形成された、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のファイル。
【請求項6】
前記保挟シートの連結部及び溶着連結体は、
幅方向における一端において表表紙に接続され且つ幅方向における他端において裏表紙に接続されて、背表紙部を形成したファイルの表紙体を形成し、
表表紙及び裏表紙より全体的に柔軟であり、
被挟体を挟むときには、平面状又は保挟シートののびる側若しくは保挟シートののびる側とは反対側に向けてわん曲した形状を維持されるように保型され、且つ表表紙及び裏表紙を開くときに、保挟シートののびる方向に向けてわん曲するように形成された、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のファイル。
【請求項7】
被挟体を挟む保挟シートが並んで固着されたファイルの製造方法であって、
保挟シートを、被挟体の厚さに対応した間隔をおいて、背表紙側の端縁において互いに並んで熱溶着して連結して連結部を形成する、溶着工程と、
被挟体を挟むときには並んだ保挟シートの対向面の間に被挟体を保持する形状を維持されるように保型され、且つ被挟体を取り外すときには、保挟シートののびる側に向けてわん曲するように柔軟に形成されたわん曲部を背表紙領域に形成する、わん曲部形成工程とを含み、
保挟シートは、
被挟体を挟むときには、連結部の領域において、隣接する他の保挟シートとの間に被挟体を保持し、連結部から突き出た領域において被挟体の表面に接し合うように形成され、
被挟体を取り外すときには、連結部に固着された領域における隣接する他の保挟シートとの間隔が広がり、被挟体を指先で挟み持ち取り出すことができるように形成された、ファイルを製造する、ファイルの製造方法。
【請求項8】
被挟体を挟む保挟シートが並んで固着されたファイルの製造方法であって、
保挟シートを、被挟体の厚さに対応した間隔をおいて、背表紙側の端縁において互いに並んで溶着連結体に溶着して連結する、溶着工程と、
被挟体を挟むときには並んだ保挟シートの対向面の間に被挟体を保持する形状を維持されるように保型され、且つ被挟体を取り外すときには、保挟シートののびる側に向けてわん曲するように柔軟に形成されたわん曲部を背表紙領域に形成する、わん曲部形成工程とを含み、
保挟シートは、
被挟体を挟むときには、溶着連結体に固着された領域において、隣接する他の保挟シートとの間に被挟体を保持し、溶着連結体から突き出た領域において被挟体の表面に接し合うように形成され、
被挟体を取り外すときには、溶着連結体に固着された領域における隣接する他の保挟シートとの間隔が広がり、被挟体を指先で挟み持ち取り出すことができるように形成された、ファイルを製造する、ファイルの製造方法。
【請求項9】
前記保挟シート及び表表紙の内側と裏表紙の内側との間に形成された架設連結部は、熱可塑性合成樹脂シートであり、保挟シートの端縁を熱溶融して架設連結部に固着され、
保挟シートの端縁を熱溶融するときに同時に又は後に保挟シートの連結部の領域及び前記架設連結部をわん曲してわん曲部を形成する、請求項7又は請求項8に記載のファイルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図25C】
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【図25D】
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【図25E】
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【図25F】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31A】
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【図31B】
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【図31C】
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【図31D】
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【図31E】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2012−187834(P2012−187834A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53742(P2011−53742)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000115821)株式会社リヒトラブ (93)
【Fターム(参考)】