説明

ファイロン・ビスケットを用いて局所的な硬さを有するミッドソールを製造するシステムおよび方法

熱プレス機を利用して、局所的な硬さを有するミッドソールを製造する方法および結果として生じる製品について説明する。最初に、本発明の方法は、複数のプリフォーム・ファイロン・ビスケットを供給するステップを含む。一般的に、複数のビスケットは、第1の密度を有する第1のビスケットおよびを食べる第2の密度を有する第2のビスケットを少なくとも含む。本発明の方法は、熱プレス機の受入領域にビスケットを配置するステップと、熱プレス機を活性化させることによってミッドソールを形成するために複数のビスケットを一体化するステップをさらに含むことができる。ビスケットを一体化するステップは、ビスケットを閾値温度より高温にするステップと、2段階以上の局所的な硬さの分布を有するミッドソールを形成するために、複数のビスケットの各々が互いに結合するように、ビスケットを膨張させるステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年9月26日に出願された米国仮特許出願第61/194354号(「SYSTEMS AND METHODS FOR UTILIZING PHYLON BISCUITS TO PRODUCE A REGIONALIZED-FIRMNESS MIDSOLE」)の優先権を主張し、この仮特許出願の内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、概して、履物(フットウェア)用の局所的な硬さを有するミッドソールを製造するシステムおよび方法に関するものである。特に、本発明の態様は、ミッドソール上に分布した硬さの程度が変化するトポグラフィを有するミッドソールを生成することを含む。
【背景技術】
【0003】
履物の製造および設計の当業者は、靴のミッドソール・コンポーネントが靴の緩衝系の多くものを提供することができると理解する。通常、ミッドソールは、発泡体から製造され、全体的に均一の硬さを提供する。しかしながら、スポーツ関連の損傷を減らすため、あるいは、靴の性能態様(例えば、安定性、耐久性等)を改良するために、様々なレベルの硬さを呈するミッドソールは望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の概要は、詳細な説明でさらに後述する簡略化された形の概念のより抜きを導くために提供される。この発明の概要は、特許請求の範囲の構成要件の主な特長または基本的特徴を識別することを目的としておらず、特許請求の範囲の構成要件を決定する際の援助として使われることも目的としていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概して、本発明の実施例は、熱プレス機を利用して局所的な硬さを有するミッドソールを製造する方法に関する。最初に、本発明の方法は、複数のプリフォーム・ファイロン・ビスケット(pre-formed phylon biscuit)および/またはペレット化ファイロン(pelletized phylon)を供給するステップを含む。複数のビスケットは、射出プロセスを使用することによって形成され、射出プロセスは、溶融するまでファイロン・ペレットを加熱すること、および、加熱したファイロン・ペレットを射出金型内のプリフォーム(例えば金型キャビティ)に注入することを含む。一般的に、複数のビスケットは、少なくとも、第1の密度を有する第1のビスケットおよび第2の密度を有する第2のビスケットを含む。方法は、ビスケットを熱プレス機の受入領域(例えば金型キャビティ)に配置するステップと、熱プレス機を起動させることによってミッドソールを形成するために複数のビスケットを一体化するステップをさらに含むことができる。あるいは、他の実施例では、方法はペレット化ファイロンを受入領域に配置するステップと、受入領域の中で1つ以上のファイロン・ビスケットの位置決めをするステップを含むことができる。ここで、ファイロン・ビスケットの位置は結果として生じるファイロン物品内の硬度が増加あるいは減少している位置に対応する。概して、熱プレス機の受入領域にビスケットを配置または位置決めするステップは、顧客の仕様に基づいてパターンに従って第1のビスケットおよび第2のビスケットを設計するステップを含む。次に、ビスケットおよび/またはペレット化ファイロンは、互いに一体化され、結果として生じるファイロン物品を形成することができる。一実施例では、ビスケットおよび/またはペレット化ファイロンを一体化することは、ビスケットおよび/またはペレット化ファイロンを閾値温度より高温にすること、および、複数のビスケットの各々および/またはペレット化ファイロンが互いに結合するように、ビスケットおよび/またはペレット化ファイロンを膨張させることを一部に含む。特に、膨張は、各ビスケットおよび/またはペレット化ファイロン内に組み込まれている発泡剤を活性化することによって部分的に生じる。他の実施例では、複数のビスケットおよび/またはペレット化ファイロンを一体化することは、各ビスケットおよび/またはペレット化ファイロンに衝撃吸収特性を達成させ、それによって、2段階以上の硬度を有するミッドソールを生成する。一般に、2段階以上の硬度は、例えば顧客の仕様または設計検討に従って目標とされうるミッドソールの分散した領域に位置することができる。fまた、2以上の色は、各ビスケットおよび/またはペレット化ファイロンの色特性に従って、ミッドソールの分散した領域に位置することができる。膨張してミッドソールになると、ミッドソールは、受入領域から取り除かれ、一般的に、安定化ゾーンに進み、冷却およびサイズ変更が実施される。
【0006】
以下、添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例を実施するのに適切な履物製造環境の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例に従って、熱プレス機のコンポーネントの一例と、その中に配置されるファイロン・ビスケットの選択を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施例に従って、複数の領域含むミッドソールの一例を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施例に従って、ミッドソールのレイアウトにわたる硬さの程度を示しているミッドソールの長手方向の硬さの変化を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例に従って、熱プレス機のコンポーネントの一例と、その中に配置されるファイロン・ビスケットの選択を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施例に従って、複数の領域含むミッドソールの一例を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施例に従って、ミッドソールのA軸(図6参照)にわたる硬さの程度を示しているミッドソールの硬さの変化を縦軸に示すグラフである。
【図8】本発明の実施例に従って、ミッドソールのB軸(図6参照)にわたる硬さの程度を示しているミッドソールの長手方向の硬さの変化を示すグラフである。
【図9】本発明の実施例に従って、熱プレス機のコンポーネントの一例と、その中に配置されるファイロン・ビスケットの選択を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施例に従って、熱プレス機のコンポーネントと、その中に配置されるペレット化ファイロンを敷き詰めた上に配置されるファイロン・ビスケットの選択の一例を示す斜視図である。
【図11】本発明の一実施例に従って、複数の領域含むミッドソールの一例を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施例に従って、複数のプリフォーム・ファイロン・ビスケットを多量のペレット化ファイロンと一体化する全体的な方法を示しているフローチャートである。
【図13】本発明の実施例に従って、熱プレス機のコンポーネントと、その中に配置されるペレット化ファイロンを敷き詰めた上に配置されるファイロン・ビスケットの選択の一例を示す斜視図である。
【図14】本発明の一実施例に従って、複数の領域含むミッドソール部分の一例を示す斜視図である。
【図15】本発明の一実施例に従って、複数の領域含むミッドソール部分からなるミッドソールの一例を示す斜視図である。
【図16】本発明の実施例に従って、複数のプリフォーム・ファイロン・ビスケットを多量のペレット化ファイロンと一体化する全体的な方法を示しているフローチャートである。
【図17】本発明の一実施例に従って、複数のプリフォーム・ファイロン・ビスケットを一体化する全体的な方法を示しているフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書では法定要件を満足するために本発明の主題を具体的に記載している。しかしながら、この説明自体が本発明の範囲を限定するものではない。むしろ、本発明者らの意図するところは、各請求項に記載した主題は他の現行技術または将来の技術と共に他の手法で実施することもでき、それにより本明細書に記載したのと異なるステップまたは同様のステップの組み合わせが含まれることになる可能性もある。
【0009】
本発明の実施形態は、基礎的未加工材料から履物物品を作製するためのモジュール化したモジュール化製造環境の全体にわたる流れで説明することができる。特に、このモジュール化製造環境は直販注文に対応可能であり、各注文の仕様に合致する個々人向けに個性化した履物の生産を可能にする。この環境は、あるタイプの履物の様々なカスタマイゼーションおよび/またはモデル(例えばトラックスタイルランニングシューズ対クロスカントリースタイルランニングシューズ)を可能にする融通性を備えることができ、様々なタイプの履物(例えばランニングシューズ対バスケットボールシューズ)を製造するように構成可能である。
【0010】
一実施形態において、モジュール化製造環境はシングルフローカスタマイゼーション製造プロセスを実行するように構成する。このシングルフロー製造プロセスは、本明細書で分子(molecule)と称するマイクロ製造建屋ブロックを含む生産モデルを利用する。「分子」という概念は限定的に解釈すべきではなく、製造プロセスの一部分を容易にする製造プロセスまたはデバイスの任意の部分を包含することができる。「分子」の意味は狭義にではなく広義に解釈すべきであり、この用語は例えば独立して機能する各加工エリアで実行することができる1つまたは複数の製造作業(例えば製作および組み立て)に加えて、特定の分子に割り当てられた製造作業を実施するデバイスおよび作業員も含む。
【0011】
これら個別の分子はプロセスフローを介して相互連結することができる。一例として、製造プロセスのいくつかの段階を一分子内で部分的に完成した履物物品に対して実行する。これら段階のうち最終段階を実行する際には、部分的に完成した履物物品を、主題とする履物物品用に策定した生産モデルが指示する他の分子に引き渡す。別の例では、ある分子内で実施する製造プロセスの最終段階は、部分的に完成した履物物品を別の分子に合流するマーケットプレイス内に配置するステップを含むことができる。このマーケットプレイスは一時保管エリアを有し、この一時保管エリアは、部分的に完成した複数の履物物品(例えば様々なスタイル、タイプおよびサイズの靴)を保持し、別の分子におけるオペレータが容易にアクセスできるようにする。部分的に完成した履物物品をマーケットプレイスから取り出す際には、この例示的な一時保管エリアは初期分子のオペレータに対して一時保管エリアの特定の空所を埋める製造プロセスを実行するよう指示することができる。すなわち、マーケットプレイスは、それ自体に合流する分子側のアクション(例えばユニットの生産または供給)をトリガする信号発生システムとして機能することができる。
【0012】
したがって、マーケットプレイスはモジュール化製造環境の後続目標を達成する上で効果的なツールである。モジュール化製造環境の後続目標とは、無駄なく最適化した在庫レベルを維持すること、および部分的に完成した新しい履物物品を補充する(すなわち製造および配送する)信号を発生することである。また、分子間の相互作用はプル型の系(システム)を反映し、このプル型の系は供給または生産を直販注文の実際の需要に従って決定する。さらに、様々な分子で実施する製造プロセスを同時に実行し、それによってマーケットプレイスの補充および引き出しを連続的に実施することもできる。
【0013】
諸実施形態では、これら分子を迅速に更新して、特定の履物物品の生産モデルに従って様々な製造プロセスを実行することができる。分子を個別かつ同時に更新することによってより高い柔軟性をモジュール化製造環境が達成することができ、このことは従来の製造システムと異なる。さらに、分子は特定の履物物品の生産モデルに基づいて追加または減少することができる。例えば、複雑な履物物品の場合は、1つまたはそれ以上の分子をモジュール化製造環境に組み込むことができ、典型的には1つまたはそれ以上の既成マーケットプレイスにリンクさせることができる。したがって、このモジュール化製造環境は、部分的に、製造すべき履物物品のタイプおよび/または要求される生産率に基づいて拡縮可能(スケーラブル)である。
【0014】
製造プロセスにおける分子の特別な利用例では、ランニングシューズ製造プロセスを様々な分子に分割し、これらの分子にランニングシューズの製作および組み立てに関連する作業をランニングシューズの生産モデルに従って割り当てるまたは分担することができる。例えば、ある一つの分子が個別に合成皮革の区画を裁断し、また意匠を印刷する役割を持たせるとともに、ランニングシューズの上側(アッパー)部分を組み立てる役割を別の分子と分け合うこともできる。別の例では、ある一つの分子に、ランニングシューズの各部分を原材料中間製品(raw grey goods)、例えばアウトソール用のペレット化ゴムまたはミッドソール用のペレット化ファイロンから製造する役割を持たせることができる。
【0015】
上記では相互にリンクした分子を有するモジュール化製造環境で本発明を実施する様々な実施形態について説明したが、当業者であれば、製造プロセスを実施するのに適した他のタイプの生産設計も使用でき、本発明の実施形態は本明細書に記載した構成に限定されないことを理解できるであろう。さらに、本発明は任意の数の分子を利用して履物物品または他の任意の製品を生産することを考慮しており、靴の生産に限定されるものと解釈すべきではない。
【0016】
モジュール化製造環境における1つの特定モジュールを、ミッドソールを作製するための製造プロセスを実施するモジュールとして割り当てることができる。一般に、ソールは靴の底部を構成する。ソールは、ミッドソールとアウトソールで構成される。アウトソールは地面に直接接触する層であり、材料の単一ピースで構成する、または材料の個別ピースで構成することできる(例えばドレスシューズは革製のアウトソールを有するが、カジュアル用もしくはスポーツ用シューズは天然ゴムもしくは合成ゴムによるアウトソールを有する)。これとは対照的に、ミッドソールは靴の内底をなして、使用者の足の真下に位置する。
【0017】
有利なことに、ミッドソールは、しばしば、靴内において衝撃吸収要素として機能する。通常、ミッドソールは、特定の履物物品が設計される活動の種類に従って選択される単一の材料から製造される。しかし、ランニングシューズの様な特殊な場合、衝撃吸収性の各種レベルは、靴を使用しているアスリートと同様に、靴から最適性能を達成することが望ましい。従来、衝撃吸収性の各種レベルは、靴の内部に、衝撃吸収性の特定のレベルに設計された各種材料の別個のミッドソールを配置および固定することによって提供されていた。例えば、硬いミッドソールがかかとの下に追加され、ユーザは、ここに下向きの圧力を集中して与える。したがって、このプロセスは、異なる密度の様々な材料、多数のミッドソールを形成する複数の形、および、多数のミッドソールを靴内にそれぞれ適切な位置に取り付けることに集中する組立てプロセスを必要とする。
【0018】
本発明のシステムおよび方法は、ミッドソールのどの領域が硬いか柔らかいかに基づいて、衝撃吸収性、耐久性および/または性能の複数のレベルを呈する硬さの程度が異なるミッドソールを製造する。議論を進めるために、ミッドソールを製造するプロセスは、2つの別々の手順、すなわち、硬さを変化させる「ビスケット」から熱プレス機内でミッドソールを生成すること、および、熱プレス機から取り出した後、ミッドソールを安定させることに分けられる。しかしながら、本発明の技術分野に精通している人々は、ミッドソールを製造することに関連する製造プロセスは、例示の手順と異なる様々な段階/ステップによって、実施および分離されうると理解するであろう。したがって、本発明は、2つの別個な手順のみに制限されるものではなく、ミッドソール製造プロセスを具える多種多様な別個のおよび結合した手順を包含するということが強調される。
【0019】
まず、ミッドソールを熱プレス機において、硬さが異なる「ビスケット」から作製する手順と、これによって得られるミッドソールの実施形態について、添付図面につき説明する。各図面および関連する説明は本発明の実施形態の例示として与えるものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書で言及する「一実施形態」とは、その実施形態に関して説明する特定の機能、構造または特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。さらに、「一実施例において」という表現を本明細書の様々な箇所で使用しているが、これらがすべて同じ実施形態を指すとは限らない。
【0020】
以下では添付図面について全体的に説明する。まず図1から説明すると、モジュール化製造環境100を示し、このモジュール化製造環境100は、本発明の一実施形態によるシングルフローカスタマイゼーションの製造プロセスを実行するように構成する。上述のとおり、モジュール化製造環境100は、任意の数の分子、およびこれら分子に対して相互リンクするマーケットプレイスを有することができる。図示の実施形態では、ファイロン・ビスケットをミッドソールに膨張させる手順に集中して説明する。したがって、以下ではミッドソール生産分子110を中心に説明を進める。ミッドソール生産分子110は、射出ステーション125、マーケットプレイスI145、1つまたはそれ以上の熱プレス機150、安定化ステーション155、ポスト安定化処理ステーション160およびマーケットプレイスII165を有する。
【0021】
一般に、射出ステーション125は、ファイロン・ビスケット135をペレット化ファイロン120から作製するよう構成する。ペレット化ファイロン120(例えばエチレンビニルアセテート(EVA)フォームペレット)は、保管ベイのような資材置き場115に保管することができる。資材置き場115はミッドソール生産分子110の境界内に位置させる、またはミッドソール生産分子110から離れているが同じ施設内に位置させる、または遠隔施設に位置させることができる。資材置き場115は、資材置き場115に最も早期に貯蔵したペレット化ファイロン120を、より遅い時期に貯蔵したペレット化ファイロン120よりも先に使用する(すなわち、先入れ先出し(FIFO)方式を利用する)ことができるように編成することができる。ペレット化ファイロン120の資材置き場115からの回収は特定のタイムスケジュールに従って実施することができ、例えばペレット化ファイロン120の有効保存期間または満すべき直販注文に従って実施することができる。
【0022】
資材置き場115から射出ステーション125にペレット化ファイロン120を移送した際、ペレット化ファイロン120を溶融するまで加熱する。ただし、発泡剤が活性化するポイントには達しないよう加熱する。1つの特別な実施例では、溶融ファイロンを加熱する閾値温度を定める(例えば100度)。この閾値温度は、典型的にはペレット化ファイロン120に組み込んだ発泡剤が活性化する温度を下回る温度に設定する。溶融ファイロンは、ランナーを経て射出成形型における1つまたはそれ以上のプリフォーム(pre-form)または成形キャビティに射出させることができる。この射出プロセスは、溶融ファイロンをプリフォーム内で冷却し、複数個のファイロン・ビスケット135を作製したときに完了する。ファイロン・ビスケット135はほぼプリフォームの形状となり、実質的に硬く非可撓性を維持する。したがって、プレフォームは、射出される溶融ファイロンの量、ならびに作製されるファイロン・ビスケット135のサイズおよび形状を正確に制御する。さらに、射出成形型内のプレフォームのキャビティ構成に基づいて、ファイロン・ビスケットを様々な形状で作製することができる。例えば、ファイロン・ビスケット135はほぼマシュマロのような形状、または互いに絡み合ったピース(interlocking pieces)のような複雑な形状に形成することができる。
【0023】
ファイロン・ビスケット135の2つの異なる形状を説明してきたが、当業者であれば、熱プレス機150内に配置されうる他の種類の適切な形状およびサイズを用いることができ、本発明の実施例は本願明細書において記載されているファイロン・ビスケット135に制限されるものではないということを理解すべきである。さらに、ペレット化ファイロン120の化学構造に基づいて、射出ステーション125を経て生成するファイロン・ビスケット135は、硬さのレベルに関する種々の色および/または密度を有することができる。
【0024】
仕上がったファイロン・ビスケット135は、一時保管のため射出ステーション125からマーケットプレイスI145に移動する。射出成形型のランナー内で捕捉されて冷却した余剰ファイロンは、他のオーバーフローしたファイロンと共にリサイクルステーション140に回送することができる。一般に、リサイクルステーション140はこの余剰ファイロンを粉砕してペレット化ファイロン120にする役割を担い、これによりペレット化したファイロン120を資材置き場115に保管することができ、後で再利用することができる。このような余剰ファイロンの再利用プロセスが可能となる理由は、溶融ファイロンを発泡剤が活性化する閾値温度を超えて加熱しないからである。したがって、溶融ファイロンは膨張すなわち「膨れ上がり(blown)」を生ずることがなく、これによりファイロンの化学的特性がそのまま維持され、ファイロンの再利用が可能となる。このようにして、リサイクルステーション140は、射出ステーション125の射出プロセスと連携してファイロンの無駄を低減し、それに関連するコストも減少させる。
【0025】
ファイロン・ビスケット135の選別は、ファイロン物品を形成するための出発材料として利用すべきマーケットプレイスI145から抽出することができる。他の実施形態では、ペレット化ファイロン120を資材置き場115から移動させてマーケットプレイスI145内に保持することができる。その後、このペレット化ファイロン120を抽出して、ファイロン物品形成用の出発材料として個別に利用することまたはファイロン・ビスケット135の選別と併せて利用することができる。例示的な一実施形態では、ファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120を熱プレス150に投入し膨張させる前に予加熱プロセスにかける。一般に、予加熱プロセスは、ファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120の内部に熱を導入するように作用する。これにより、予加熱したファイロン・ビスケットを熱プレス機150で加熱したときに一貫性のある膨張が達成される。換言すると、予加熱プロセスは、熱プレス機150によってファイロン・ビスケット135の表面を初期的に加熱するときに、ファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120の内側に熱を発生させるものであり、したがって、発泡剤の一貫性のある活性化を利用してファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120を均一に溶融させる。さらに、ファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120のうちの1つまたは複数を予加熱することにより、ファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120を熱プレス機150によって適切に膨張させるのに要する時間を大幅に短縮するという利点が得られる。
【0026】
一例として、マイクロ波装置180をファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120の内部に熱を導入するために設ける。マイクロ波装置180は、関連分野の当業者に理解されるように、物体の外側を加熱する前にまたはそれと並行して物体の内部を加熱することができる任意の装置とすることができる。このような装置としては、以下限定しないが、食品用マイクロ波装置(例えば1.2キロワットで動作するMagic Chef(モデル番号:MCB780W)、業務用/商用マイクロ波装置、マイクロ波もしくは他の任意な形態の放射線を物体内に導入できる装置、物体の内側および外側を均一に加熱するオーブン等がある。
【0027】
実施形態では、ファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120がコア位置で閾値温度に達するまでマイクロ波装置180で加熱する。別の実施形態において、予加熱プロセスは、ファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120の内部に熱を導入するステップを有する。このステップは時間的スケールに基づいて実行する。単なる例として、ファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120は、(個別にまたは任意の組み合わせで)Magic Chefスタイルのマイクロ波装置180の「高(high)」設定で65秒間予加熱することができる。しかしながら、予加熱プロセス中にファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120に導入される熱量を計測する任意の方法を使用することができ、また本発明はこのような方法をすべて想定していることを理解されたい。
【0028】
予加熱プロセスが完了した際、予加熱したファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120をマイクロ波装置180から熱プレス機150のうちの1つまたはそれ以上に移送してそれら熱プレス機の内部に配置する。熱プレス機150は、通常、活性化の際に複数のファイロン・ビスケット135を一体化させてミッドソールを形成するように構成する。例示的な一実施形態において、一体化は、選別したファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120を少なくとも閾値温度より高い温度まで昇温するステップを有する。この熱プレス機150の閾値温度は射出ステーション125における閾値温度よりも高い。一例として、熱プレス機150の閾値温度は、ファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120の内部に組み込んだ発泡剤を活性化するのに十分高い温度と定める。単なる例として、ファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120を160〜172度に設定した閾値温度まで8〜13分かけて加熱する。この加熱によって膨張(ブローイング)プロセスを開始し、ファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120は受け取り時点のほぼ2倍のサイズに膨張する。別の例では、目標膨張率を160%とすることができる。例示的な実施形態において、ファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120は、それらの個々の密度または硬さレベルに関わらず同様の膨張率で膨れ上がる。
【0029】
上述のように、ファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120に組み込んだ発泡剤はそれらを膨張させる役割を担う。発泡剤は、ファイロンをペレット形式で受け取るときにファイロン中に成分として組み込む。従来は膨張剤(blowing agent)等いくつかの異なる呼び方も存在するが、熱活性化に基づいて膨張の発生を促進するまたはその役割を担うファイロン中に組み込む成分を本明細書では発泡剤(foaming agent)と称する。
【0030】
発泡剤は、単独でまたは他の物質と共にプラスチックのセル(細胞)構造を生ずることができる任意の物質とすることができる。発泡剤としては、圧力が釈放されたときに膨張する圧縮ガス、浸出したときに気孔を残す可溶性固体、気体に変化したときにセルを発達させる液体、および熱の影響下で分解または反応して気体を形成する化学薬品を挙げることができる。例えば、化学発泡剤はアンモニウムや重炭酸ナトリウムのような単純な塩から複雑な窒素放出剤にまで及ぶ。動作にあたり、熱プレス機150が発泡剤の活性化温度に達した後、ファイロン・ビスケットのポリマー鎖が分解し始め、その結果ファイロンは柔軟性および可撓性といったエラストマー特性を得る。したがって、ファイロンは冷却すると衝撃吸収特性を示す。
【0031】
さらに、一体化プロセスは、少なくとも、加熱されたファイロン・ビスケット135を膨張させ、それにより各ファイロン・ビスケット135を別のファイロン・ビスケット135に結合させるステップを有する。または、他の実施形態において、一体化プロセスは、加熱済みのファイロン・ビスケット135およびペレット化ファイロン120を膨張させ、それにより各ファイロン・ビスケット135をペレット化ファイロン120の個々の粒子に結合させるステップを有する。また、さらに他の実施形態において、一体化プロセスは、加熱済みのペレット化ファイロン120を膨張させ、それによりペレット化ファイロン120の個々の粒子を互いに結合させるステップを有する。したがって、熱プレス機150は、ファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120を混合して可撓性の加熱したミッドソール175を形成する。しかしながら、本発明の技術分野の当業者であれば、熱プレス機150は、図示の特定の実施形態と異なる他の可撓性ファイロン物品を作製するように構成することもできることを理解できるであろう。したがって、本発明はミッドソールのみに限定されるわけではなく、特許請求の範囲の精神に含まれる多種多様な構成要素を包含することを強調しておく。
【0032】
例示的な一実施形態において、ファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120を溶融して加熱済みのミッドソール175を形成するステップは、ファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120を粘性材料(例えば粘着液)になるまで溶融させるステップと、粘性のファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120が融合し、また架橋して境界を形成するように、該ファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120の温度を維持するステップとを有する。すなわち、粘性のファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120を加熱することにより、それらが互いに干渉し合う程度まで、または熱プレス機150の成形キャビティの壁部まで流れるようにする。したがって、ファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120が膨張し相互結合して加熱済みのミッドソール175を形成するが、ファイロン・ビスケット135の明確な区分けまたはペレット化ファイロン120の間仕切り化が残存する。この明確な区分けは、ファイロン・ビスケット135の色が変化するとき、明白に現れる。
【0033】
熱プレス機150において加熱されるとき、ファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120は境界で結合され、それによって、実質的に別体のままであるので、結果として生じる加熱済みミッドソール175は、各々のファイロン・ビスケット135および/またはペレット化ファイロン120の特性を、それらが位置していた領域(例えば、熱プレス機150の金型キャビティ内)で呈する。例えば、加熱済みミッドソール175は、ペレット化ファイロン120が敷き詰められた範囲内で、ファイロン・ビスケット135の配置場所および特徴(例えば密度)と関連するミッドソールの分布領域で2段階以上の硬さを呈することができる。実施例において、配置位置は、直販注文による顧客仕様に基づくことができる。顧客仕様は、靴の所望の性能特性、顧客の生体力学属性などに従い、ミッドソールの特定領域の硬さを高くしたり低くしたりすることができる。ミッドソールの領域の硬さを高いレベルあるいは低いレベルにすることに関連したこれらの特徴は、以下でより詳細に説明する。
【0034】
図2に関して、本発明の実施例に従って、熱プレス機150(図1参照)のコンポーネント210は、その中に配置されるファイロン・ビスケット220、225、230の選択が例示されている。ファイロン・ビスケットI220は、ファイロン・ビスケットII225およびファイロン・ビスケットIII230とは異なる特性を含むことを理解されたい。これらの特性は、色、密度(膨張しミッドソールを形成すると、特定のレベルの硬さになる)、形状、サイズなどを含むことができる。この特定の例では、図示するように、ファイロン・ビスケットI220は比較的高い密度を具え、ファイロン・ビスケットII225は比較的低い密度を具え、ファイロン・ビスケットIII230は平均的な密度を具える。さらに、図示するように、ファイロン・ビスケット220、225、230は、熱プレス機の典型的なコンポーネント210の金型キャビティ215内に配置される。
しかしながら、当業者は、ファイロン・ビスケット220、225、230が熱プレス機の任意の受入領域内に、任意の配置で配置されうることを理解するであろう。
【0035】
一旦熱プレス機において膨張すると、図3に示すように、ファイロン・ビスケット220、225、230は拡大してともに融合する、または永久に結合しミッドソール300の領域310、320、330を形成する。図3を引き続き参照すると、領域A310、領域B320および領域C330は、境界(破線)でともに融合し、ビスケット220、225および230に固有の特性が、それぞれ、領域310、320および330によって区別して表されるように、十分に分離している。したがって、図4に示すように、これらの特性はグラフ400に線状にプロットされる。特に、プロットは、ミッドソール300の長手方向レイアウトに従う硬さの程度を示す。図示するように、図3の領域A310と関連するミッドソール300の前方領域は、図2のファイロン・ビスケットI220の比較的高い密度に対応する高硬度410を有する。対照的に、図3の領域B320と関連するミッドソール300の中央領域は、図2のファイロン・ビスケットII230の比較的低い密度に対応する低硬度420を有する。さらに、図3の領域C330と関連するミッドソール300の後方領域は、図2のパイロン・ビスケットIII240の平均的な密度に対応する中程度の硬さ430を有する。ファイロン・ビスケット220、225および230の密度がミッドソール300の結果として生じる硬さを決定する主要な要因ではないことがありうると理解されたい。例えば、ミッドソール300の硬さの様々なレベルを生成するとき、ファイロン・ビスケット220、225および230の化学組成または他の属性は決定要因になりうる。
【0036】
ファイロン・ビスケット220、225および230の密度の特性およびそれが領域310、320および330において反映される方法が議論の1つの焦点ではあるが、他の特性はファイロン・ビスケット220、225および230内で発見され、熱プレス機の膨張に応じて領域310、320および330において反映されうる。例えば、ファイロン・ビスケット220、225および230は、領域310、320および330において、一般的に配置に対応するパターンとしての反映された熱プレス機の金型キャビティ内の配置に応じて関連した異なる色を各々有することができる。この場合、ミッドソール300の設計および/または顧客からの直販注文に基づいて、ファイロン・ビスケット220、225および230の密度は、実質的に同一でもよいし、変化してもよい。ファイロン・ビスケット220、225および230のさらなる他の特徴さえ、ミッドソール300の審美性および/または機能性に影響する領域310、320および330に反映されうるし、当業者は、これらの特徴の各々が本発明によって考察されると理解するであろう。
【0037】
図5は、本発明の実施例に従って、熱プレス動作500のコンポーネントの一例と、その中に配置されるファイロン・ビスケット510、520、530および540の選択を示す斜視図である。上述したように、ファイロン・ビスケット510、520、530および540は、例示的なコンポーネント210の受入領域または金型キャビティ215内に配置されうる。さらに、配置することは、ファイロン・ビスケット510、520、530および540を選択し、パターンに従って配置することを含みうる。例えば、金型キャビティ215内のファイロン・ビスケット510、520、530および540を配置することは、パターンに従って、ファイロン・ビスケットI510をミッドソールのつま先に、ファイロン・ビスケットIIをミッドソールのかかとに設計することを含む。ある具体例では、パターンは、顧客の仕様に基づく。例えば、顧客の仕様は、顧客の生理的特徴(例えば、深刻な回外問題)を表す直販注文に基づくこともある。他の実施態様において、パターンは、単一部分フローの要件によって、マーケットプレイスからの特定のミッドソールの需要によって、ミッドソールの製造を誘発する他の機構によって、または、分子中の特定の履物の製造を引き起こす他のいかなるワークフローモデルにもよって、引き起こされる仕様に基づく。
【0038】
図6に示すように、複数の領域610、620、630および640を含むミッドソール600の一例を示す斜視図が、本発明の一実施例に従って提供される。領域610、620、630および640の各々は、金型キャビティ215(図5参照)内に配置されたファイロン・ビスケット510、520、530および540のうちの1つにそれぞれマップされる。さらに、各々の領域610、620、630および640によって呈される硬さの程度は、各々のマップされたファイロン・ビスケット510、520、530および540に固有の密度を反映する。例えば、ミッドソール600のつま先、すなわち、母指球の部分は、領域A610に関連しうる。図5のファイロン・ビスケットI510は比較的高い密度を有するため、領域A610は高い硬度710(図7参照)を有することができる。使用中、ミッドソール600の領域A610は、ユーザを大きくサポートし、ミッドソール600の高い摩耗に対して高い耐久性を提供することができる。同様に、ミッドソール600のかかと部分は、領域B620に関連しうる。図5のファイロン・ビスケットII520は比較的高い密度を有するため、領域B620は高い硬度730(図7参照)を有することができる。また、高い硬度は、より大きなサポートを提供し、顧客の仕様に基づいてミッドソール600に正確に位置づけることができる。
【0039】
領域630および640を以下に説明する。顧客の仕様に基づいて、領域630および640は、領域610および620より高い硬度を有することができる。図示するように、膨張して、それぞれ、領域C630および領域D640を形成する図5のファイロン・ビスケットIII530およびファイロン・ビスケットIV540は、比較的低い密度を有するので、領域630および640は低い硬度720(図7参照)を有する。一実施例では、領域C630を形成するために膨張する図5のファイロン・ビスケットIII530は、領域D640を形成するために膨張する図5のファイロン・ビスケットIV540より高い密度を有する。したがって、図6および図8に示すように、領域C630(外側領域)は比較的高い硬度810を有し、領域D640(内側領域)は比較的低い硬度820を有する。足の横方向にわたって硬度を変化させることによって、パターンの設計は、回内の問題に対処することができる。他の実施形態では、領域630および640は、一貫したサポートをユーザの土踏まず(arch)に提供するために、類似した程度の硬さを有する。
【0040】
種々様々のファイロン・ビスケットが記載されているが、当業者は、ミッドソールの様々な硬さのトポグラフィになる他のタイプの適切なパターンを用いることができること、および、本発明の実施例は、本願明細書において記載されているパターンに制限されないということを理解すべきである。例えば、より大きく複雑なファイロン・ビスケットは、図2および図5に示したように、類似したパターンを達成するために配置される反復一般形状へのプリフォームとすることもできる。他の例では、ファイロン・ビスケットは、熱プレス機の受入領域に単一ユニットとして挿入されるように連結して形成されてもよい。さらに、ファイロン・ビスケットの位置および密度を調節する他に、審美性あるいは様式美のために、ミッドソールの上に色設計が形成されるように、パターンはビスケットを配置することができる。有利なことに、ミッドソールの領域において反映される様々なビスケットのパターンを作成する能力は、性能(例えば、余分の硬度の領域を局所化した)および色オプションのカスタマイズを提供する。
【0041】
図9は、本発明の実施例に従って、熱プレス機のコンポーネント210の一例と、その中に配置されるファイロン・ビスケットの選択を示す斜視図である。この図示例では、ファイロン・ビスケットI910は、金型キャビティ215内に挿入され、その中に切欠部930を含む。この切欠部930は、他のファイロン・ビスケットII920を保持するように構成される。したがって、ファイロン・ビスケット910および920の階層化が提供される。さらに、ファイロン・ビスケットI910の切欠部は、熱プレス機内において膨張するとき、ファイロン・ビスケットII920の位置を部分的に固定する働きをする。孔940がファイロン・ビスケットI910内に設けられてもよいが、必須ではない。
【0042】
図10には、本発明の実施例に従って、熱プレス機150(図1参照)のコンポーネントと、その中に配置されるファイロン・ビスケット1010および1020の選択の一例を示す斜視図が示されている。さらに、多量のペレット化ファイロン1030(例えば、図1のペレット化ファイロン120を使用する)は、コンポーネント210の金型キャビティ215内に挿入される。ファイロン・ビスケットI1010がファイロン・ビスケットII1020およびペレット化ファイロン1030とは異なる特性を含むことができると理解されたい。これらの特性は、色、密度(膨張しミッドソールを形成すると、特定のレベルの硬さになる)、形状、サイズなどを含むことができる。この特定の実施例では、図示するように、ファイロン・ビスケットI1010およびファイロン・ビスケットII1020の両方は、比較的高い密度を有するので、結果として生じるファイロン製品の着用者に、それぞれ、土踏まずの強化およびかかとのサポートを提供する。したがって、ペレット化ファイロン1030は、着用者の足のバランスを吸収するために、比較的低い密度を有することができる。さらに、図示するように、ファイロン・ビスケット1010および1020を、ペレット化ファイロン1030を敷き詰めた中に配置することもできるし、ペレット化ファイロン1030が金型キャビティ215内に注入される前に配置することもできる。後者の例では、ペレット化ファイロン1030は、金型キャビティ215およびファイロン・ビスケット1010、1020の壁の間に生ずるあらゆる空間を満たすように、注入されうる。しかしながら、当業者は、任意数のファイロン・ビスケットは、任意量のペレット化ファイロン1030と組み合わせて熱プレス機の受入領域内に、任意の配置で配置されうると理解するであろう。
【0043】
熱プレス機内において膨張すると、ファイロン・ビスケット1010および1020は、ペレット化ファイロン1030と共に、膨張し、融合する、または、ともに永久に結合し、結果として生じるファイロン製品の規定の領域を形成する。図11には、結果として生ずるファイロン物品品が、図10のペレット化ファイロン1030およびファイロン・ビスケット1010、1020に対応する規定の領域1110、1120および1130を有するミッドソール1100として構成されている。引き続き図11を参照すると、領域A1120、領域B1130および領域C1110は、境界(破線)でともに融合し、それぞれ、ファイロン・ビスケット1010、1020およびペレット化ファイロン1030に固有の特性が、それぞれ、領域1120、1130および1110によって明確に区別されるように、十分に分離している。したがって、上述したように、図10のファイロン・ビスケット1010および1020はペレット化ファイロン1030より濃くすることができる、すなわち、領域A1020および領域B1030は、領域C1110と比較して高い硬度を有する。応用すると、ミッドソール1100は、着用者により大きな土踏まずおよびかかとのサポートを提供する。
【0044】
かかとおよび土踏まずのサポートについて、広範囲に上述してきたが、図10のファイロン・ビスケット1010および1020が受入領域内で任意の配置とすることができ、ミッドソール1100の目標領域で硬度の増減を提供することができる点に留意する必要がある。ファイロン・ビスケット1010および1020のこれらの位置は、特定の靴(例えばランニングシューズ)の設計者によって決定され、あるいは、または履物の顧客によって、間接的に選択されうる。後者の例では、顧客は、履物の硬度および/または色彩設計に関連した仕様を入力するツールを提供され、できあがる製品を、自分の好みまたは体格にカスタマイズすることができる。顧客の仕様を受け取ると、仕様に基づいて、ファイロン・ビスケットの色および密度が選択され、図10のペレット化ファイロン1030内に配置される。これらの選択されたファイロン・ビスケットは、熱プレス機内で膨張する間にペレット化ファイロンと融合するとき、顧客の仕様を満足する適切な色および硬度のレベルを反映する製品を作成する。したがって、顧客のカスタマイズのこの方法によって、ミッドソールの審美性および/または機能性に直接的に影響すると共に、顧客がファイロン・ビスケットおよびペレット化ファイロンの選択および位置に間接的に影響することができる。
【0045】
図12には、本発明の実施例に従って、複数のプリフォーム・ファイロン・ビスケットを多量のペレット化ファイロンと一体化する全体的な方法1200を示しているフローチャートが示されている。以下、「ステップ」および「ブロック」という用語を用いて、使用される方法の異なる要素を示しているが、個々のステップの順序が明確に記載されている場合を除いて、これらの用語は、本願明細書に開示の様々なステップ内または間のいかなる特定の順序を意味すると解釈されてはならない。
【0046】
最初に、ブロック1210に表されるように、多量のペレット化ファイロンを熱プレス機の受入領域内に供給する。次に、あるいは、ペレット化ファイロンを受入領域内に配置する前に、ブロック1220に表されるように、1つ以上のプリフォーム・ファイロン・ビスケットを受入領域内に配置する。実施例において、ファイロン・ビスケットを配置するプロセスは、顧客から仕様を受け取ることと(ブロック1230参照)、仕様に基づいて結果として生じる製品の機能性および審美性に寄与する特定のレベルの密度、色、サイズ、幾何学、形状および/または他の特性を有する1つ以上のプリフォーム・ファイロン・ビスケットを選択することと、選択されたプリフォーム・ファイロン・ビスケットを、仕様に基づいて、装置内で位置決めすることと(ブロック1240参照)を含む。ブロック1250に表されるように、選択および配置されたプリフォーム・ファイロン・ビスケットを、ペレット化ファイロンとともに一体化し、結果として生じる製品を形成する。例えば、結果として生じる製品は、履物を作成する他のコンポーネントと組み立てられるミッドソールであってもよい。ブロック1260に表されるように、ミッドソールを、保管または更なる処理(例えば安定化)のために、受入領域から取り除くことができる。
【0047】
図13には、本発明の実施例に従って、熱プレス機150(図1参照)のコンポーネント210、1320および1330と、その中に配置されるファァイロン・ビスケット1010および1020の選択の一例が示されている。さらに、多量のペレット化ファイロン1030、1360は、それぞれ、コンポーネント210および1320の金型キャビティ215、1310内に挿入される。ファイロン・ビスケットI1010がファイロン・ビスケットII1020、ペレット化ファイロン1030およびペレット化ファイロン1360とは異なる特性を含むことができると理解されたい。これらの特性は、色、密度(膨張しミッドソールを形成すると、特定のレベルの硬さになる)、形状、サイズなどを含むことができる。図10および図11に関して説明した実施例と同様に、ファイロン・ビスケットI1010は、ミッドソールの土踏まず位置に存在し、ファイロン・ビスケットII1020はミッドソールのかかと位置に存在する。これらの位置は、顧客の仕様または履物の性能に関連した設計嗜好に基づくことができる。しかしなから、上述した構成とは異なり、ファイロン・ビスケットI1010は、ペレット化ファイロン1030と組み合わせてコンポーネント210の金型キャビティ215(下部プレート)内に配置され、一方、ファイロン・ビスケットII1020は、ペレット化ファイロン1360と組み合わせてコンポーネント1320の金型キャビティ1310(分離プレート)内に配置される。コンポーネント1330は、上部プレートとして機能し、熱プレス動作の間、ファイロン・ビスケットI1010およびペレット化ファイロン1030は、コンポーネント210(下部プレート)およびコンポーネント1320(分離プレート)によって囲まれる金型キャビティ215内で活性化して融合し、一方、ファイロン・ビスケットII1020およびペレット化ファイロン1360は、コンポーネント1320(分離プレート)およびコンポーネント1330(上部プレート)によって囲まれる金型キャビティ1310内で活性化して融合する。
【0048】
熱プレス動作が部分的に達成されると、コンポーネント210、1320および1330は解放され、図14のミッドソール部分1410および1420が露出される。一実施例では、熱プレス動作は部分的に達成されるとは、ファイロン・ビスケットおよび/またはペレット化ファイロンが活性化され、互いに膨張しているが、まだ完全には一体化しないときのことである。例えば、熱プレス動作の部分的な達成とは、ファイロン・ビスケットおよび/またはペレット化ファイロンを所定時間(例えば45秒)膨張させること、および、ミッドソール部分1410および1420を取り出すために動作を中断することを含む。図示するように、図13のファイロン・ビスケット1010および1020は、ペレット化ファイロン1030および1360とともに、膨張し、部分的にともに融合し、それぞれ、結果として生じるファイロン製品の規定の領域1440、1450、1430および1480を形成する(領域1440、1450、1430および1480の境界線は、破線として描かれる)。
【0049】
熱プレス動作は、ミッドソール部1410および1420を接触して配置すること、あるいは、積み重ねることによって進行する。これらの積み重ねられたミッドソール部1410および1420は、コンポーネント1320(分離プレート)を取り除いた状態で熱プレス機内に配置される。すなわち、積み重ねられたミッドソール部1410および1420は金型キャビティ215内に配置される。ここで、金型キャビティ215はコンポーネント210(下部プレート)およびコンポーネント1330(上部プレート)によって囲まれている。積み重ねられたミッドソール部1410および1420を収納すると、熱プレス動作が再開され、ファイロンが完全に膨張するまで(すなわち、図13のファイロン・ビスケット1010および1020が、ペレット化ファイロン1030および1360とともに膨張し、完全に融合するまで)継続する。
【0050】
図15には、上述した方法の結果として生じる製品(ミッドソール1500)が例示される。すなわち、熱プレス動作終了後、図14の積み重ねられたミッドソール部分1410および1420は、融合しミッドソール1500を形成する。しかし、積み重ねられたミッドソール部1410および1420が融合するが、規定の領域1440、1450、1430および1480は(図15の破線によって示されるように)分離したままである。特に、ミッドソール1500は、ミッドソール部1420の残部である上部およびミッドソール部1410の残部である下部を含む。さらに、上部は、領域B1450(ファイロン・ビスケットII1020によって与えられる特性を呈する)および領域D1480(ペレット化ファイロン1360によって与えられる特性を呈する)を含む。一方、下部は、領域A1440(ファイロン・ビスケットI1010によって与えられる特性を呈する)および領域C1430(ペレット化ファイロン1030によって与えられる特性を呈する)を含む。このように、熱プレス動作を中断するこのプロセスによって、結果として生じる製品内において、色、硬度および他の特性をXY座標において位置決めするだけでなく、Z座標においてそれらの特性を位置決めすることができる。
【0051】
図16には、本発明の実施例に従って、複数のプリフォーム・ファイロン・ビスケットを多量のペレット化ファイロンと一体化する全体的な方法1600を示しているフローチャートが示されている。最初に、ブロック1610に表されるように、複数のプレートを供給する。一例を挙げると、複数のプレートは、下部プレートと、上部プレートと、熱プレス動作の間、下部プレートおよび上部プレートの間で組み立てられる分離プレートと、を含む。また、ブロック1620に表されるように、1つ以上のプリフォーム・ファイロン・ビスケットを、複数のプレートの金型キャビティ内に配置する。ブロック1630に表されるように、多量のペレット化ファイロンを、金型キャビティ内に供給する。例えば、プリフォーム・ファイロン・ビスケットおよびペレット化ファイロンを、下部プレートおよび分離プレートの金型キャビティ内に配置する。
【0052】
次に、ブロック1640に表されるように、部分的に達成されるまで、熱プレス動作を開始する。ブロック1650に表されるように、熱プレス動作を中断する。中断後、ファイロン物品の部分を、金型キャビティから取り除く。その部分は、部分的に膨張した状態のプリフォーム・ファイロン・ビスケットおよびペレット化ファイロンからなる。ブロック1670に表されるように、ファイロン物品の取り除いた部分を積み重ねる。また、ファイロン物品の製造における現段階で、分離プレートを熱プレス機から取り除く。ブロック1680に表されるように、ファイロン物品の積み重ねた部分を複数のプレート(例えば、下部プレートおよび上部プレート)の間に配置し、完成するまで、熱プレス動作を再開する。熱プレス動作の結果として生じる製品は、本実施例において、完全に膨張した状態にてともに融合された部分からなるファイロン物品である。
【0053】
本願明細書に記載の方法で製造されるファイロン物品は、ペレット化ファイロンおよび1つ以上のプリフォーム・ファイロン・ビスケットの両方を含むが、ファイロン物品はペレット化ファイロンのみ、あるいは、プリフォーム・ファイロン・ビスケットのみを使用して形成することもできる。ペレット化ファイロンのみが熱プレス動作において使用される場合、デバイダを用いて、ペレット化ファイロンをゾーンに区分し、これにより、ゾーンの各々の特性を反映する特徴を有するファイロン物品内に、領域を作成することができる。デバイダの1つの実施例は、図13の分離プレート1320である。デバイダの他の実施例は、ゾーンを形成するために金型キャビティに挿入される金属プレートである。熱プレス機のプレートの積載の間、ペレット化ファイロンをゾーンに注入することができる。したがって、ゾーンは、熱プレス動作の間、分離が保たれるので、各ゾーン内のペレット化ファイロンの特性は、ファイロン物品の規定の領域内で表される。
【0054】
1つ以上のプリフォーム・ファイロン・ビスケットのみが熱プレス動作において使われる場合、ファイロン・ビスケットは、以下の実施例に従って融合することができる。図17には、本発明の実施例に従って、複数のプリフォーム・ファイロン・ビスケットを一体化する全体的な方法1700を示しているフローチャートが示されている。最初に、ブロック1710に表されるように、複数のプリフォーム・ファイロン・ビスケット(図1のファイロン・ビスケット135に相当)を供給する。実施例において、溶融したファイロンを、(例えば、図1の射出ステーション125を利用して)射出成型の金型キャビティに供給する射出プロセスによって、これらのプリフォーム・ファイロン・ビスケットを生成する。ブロック1720に表されるように、複数のプリフォーム・ファイロン・ビスケットを熱プレス機(図1の熱プレス機150に相当)の受入領域に配置する。
【0055】
ブロック1730に表されるように、熱プレス機を活性化することによって、複数のプリフォーム・ファイロン・ビスケットを一体化し、ミッドソール(例えば、図3のミッドソール300および図6のミッドソール600)を形成することができる。実施例において、一体化することは、複数のビスケットを、ファイロン内の発泡剤を活性化する閾値温度より高温にすること(ブロック1740参照)および、複数のビスケットを膨張させ、実質的な混合なしで、各々を互いに結合、または、融合させること(ブロック1750参照)を含む。ともに混合し、金型キャビティの形状になるまでファイロン・ビスケットを膨張させた後ブロック1760に示されるように、加熱済みミッドソールを熱プレス機から取り除く。
【0056】
上述したように、本発明の方法は、硬さの程度が異なるミッドソールを製造するために使用され、本発明において、ミッドソールを製造することは、異なる硬さの「ビスケット」から熱プレス機内でミッドソールを生成すること、および、熱プレス機からの取り外した後、ミッドソールを安定させることを含む。したがって、図1において、加熱済みミッドソール175を、熱プレス機150の金型キャビティから取り除き、安定化ステーション155に渡す。安定化ステーション155は、ミッドソール160周辺の空気の温度を段階的に低下させる領域を含むことができる。例えば、空気の温度は、一定期間にわたって徐々に低下し、加熱および膨張したファイロンの適切な安定化を達成することができる。限定ではなく一例を挙げると、空気の温度を徐々に低下させることは、以下の方法に従うことができる。すなわち、10分間摂氏75度で空気を保ち、6、7分間で摂氏65度まで空気の温度を低下させ、10分間摂氏65度で空気の温度を保ち、6、7分間で摂氏55度まで空気の温度を低下させ、10分間摂氏55度で空気の温度を保ち、6、7分間で摂氏45度まで空気の温度を低下させ、45分間摂氏45度で空気の温度を保つ。ミッドソール160がさらされる空気の温度を低下させる1つの方法を説明したが、当業者は、その他の種類の適切な空気安定化方法を用いることができること、および、本発明の実施例は上述した方法および/または温度に限定されることはないことを理解するであろう。
【0057】
安定化したミッドソール160は、ポスト安定化ステーション160に渡され、そこで、様々な処理がミッドソール160に実行され、保管、および、履物の残りと組み合わせるための準備がなされる。実施例において、様々な処理は、紫外線(UV)硬化、第2の洗浄およびプライミングのうちの少なくとも1つを含む。次に、ミッドソールは、他の分子の他のステーションに最終的に配布されるために、マーケットプレイス165に移送される。ある具体例では、完成したミッドソールは、マーケットプレイスII165から取り出され、モジュール化製造環境100の組立分子において引き続き処理され、対応する履物物品と一体化される。
【0058】
以上、本発明を特定の実施形態に関して説明してきたが、これらの実施形態はあらゆる点で限定的なものではなく例示的なものである。本発明の属する技術分野の当業者には本発明の範囲から逸脱することなく代替的実施形態が可能であることは明らかであろう。
【0059】
上記の説明から、本発明は、上述のすべての目標および目的、ならびに本発明のシステムおよび方法に明白かつ固有の他の利点を達成するように適切に構成できることが分かるだろう。いくつかの特徴およびサブコンビネーションは他の特徴およびサブコンビネーションと独立して有用であり、それぞれ独立して利用することができることも理解されるだろう。添付した特許請求の範囲ではこのことを企図しており、このような特徴はすべて各請求項の範囲に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱処理を利用して、局所的な硬さを有するミッドソールを製造する方法であって、該方法は、
第1の密度を有する第1のビスケットおよび第2の密度を有する第2のビスケットを含む複数のプリフォーム・ファイロン・ビスケットを供給するステップと、
前記複数のビスケットを受入領域に配置するステップと、
ミッドソールを形成するために、熱活性化により前記複数のビスケットを一体化するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記一体化ステップは、
前記複数のビスケットを、閾値温度より高温にするステップと、
局所的な硬さを有するミッドソールを形成するために、前記複数のビスケットの各々が互いに結合するように、前記複数のビスケットを膨張させるステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第3の密度を有する多量のペレット化ファイロンを供給するステップと、
前記多量のペレット化ファイロンを前記受入領域に配置するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のプリフォーム・ファイロン・ビスケットおよび前記多量のペレット化ファイロンは、履物の種類に関連した性能仕様に応じて配置されていることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のプリフォーム・ファイロン・ビスケットおよび前記多量のペレット化ファイロンは、顧客によって提供される仕様に応じて配置されていることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記局所的な硬さを有するミッドソール内に、局所的な色を生成するプロセスをさらに含み、該プロセスは
第1の色を有する第1のビスケットおよび第2の色を有する第2のビスケットを供給するステップと、
前記局所的な硬さを有するミッドソール内に、第1の色を露出させる第1の領域、および、前記局所的な硬さを有するミッドソール内に、第2の色を露出させる第2の領域を形成するために、熱活性化によって、前記第1のビスケットを前記第2のビスケットと一体化するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記熱処理完了後、前記局所的な硬さを有するミッドソールを前記受入領域から取り除くステップと、
前記局所的な硬さを有するミッドソールが履物に組み込み可能であるという信号を送信するために、前記局所的な硬さを有するミッドソールをマーケットプレイスに配置するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのプリフォーム・ファイロン・ビスケットを、熱プレス動作の間、ペレット化ファイロンに融合させることによって製造される局所的な硬さを有するミッドソールであって、
第1の密度を有する前記少なくとも1つのプリフォーム・ファイロン・ビスケットを供給するステップと、
第2の密度を有する多量のペレット化ファイロンを供給するステップと、
熱プレス機の受入領域に収容された前記多量のペレット化ファイロン内に、前記少なくとも1つのプリフォーム・ファイロン・ビスケットを配置するステップと、
熱プレス動作完了後、前記少なくとも1つのプリフォーム・ファイロン・ビスケットを前記多量のペレット化ファイロンに一体化させるステップと、
を含むことを特徴とする局所的な硬さを有するミッドソール。
【請求項9】
前記少なくとも1つのプリフォーム・ファイロン・ビスケットを前記多量のペレット化ファイロン内に配置するステップは、
顧客から仕様を受け取るステップと、
前記顧客仕様に基づいて、前記多量のペレット化ファイロン内で、前記少なくとも1つのプリフォーム・ファイロン・ビスケットの位置を決定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の局所的な硬さを有するミッドソール。
【請求項10】
前記少なくとも1つのプリフォーム・ファイロン・ビスケットを前記多量のペレット化ファイロン内に配置するステップは、
顧客から仕様を受け取るステップと、
前記顧客仕様に基づいて、前記少なくとも1つのプリフォーム・ファイロン・ビスケットの前記第1の密度を選択するステップと、
前記顧客仕様に基づいて、前記多量のペレット化ファイロンの前記第2の密度を選択するステップと、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の局所的な硬さを有するミッドソール。
【請求項11】
熱処理を利用して、局所的な硬さを有するミッドソールを製造する方法であって、該方法は、
受入領域を形成する複数のプレートを供給するステップと、
第1の密度を有する第1の量のペレット化ファイロンを供給するステップと、
第2の密度を有する第2の量のペレット化ファイロンを供給するステップと、
前記受入領域を第1のゾーンおよび第2のゾーンに分割するステップと、
前記第1の量のペレット化ファイロンを前記第1のゾーンに配置するステップと、
前記第2の量のペレット化ファイロンを前記第2のゾーンに配置するステップと、
熱活性化によって局所的な硬さを有するミッドソールを形成するために、前記第1の量のペレット化ファイロンと前記第2の量のペレット化ファイロンとを一体化するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記受入領域を前記第1のゾーンおよび前記第2のゾーンに物理的に区分するためにデバイダを使用するステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
局所的な硬さを有するミッドソールは、境界によって分離されている第1の領域および第2の領域を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の領域の硬さのレベルは、前記第1の密度に従って決定され、
前記第2の領域の硬さのレベルは、前記第2の密度に従って決定される、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の領域の色は、前記第1の量のペレット化ファイロンの色に基づき、
前記第2の領域の色は、前記第2の量のペレット化ファイロンの色に基づく、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のプレートは、上部プレートと、下部プレートと、前記熱処理の間前記上部プレートと前記下部プレートとの間に配置される分離プレートと、を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記下部プレートは、金型キャビティを有し、
前記分離プレートは、金型キャビティを有する、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記受入領域を第1のゾーンおよび第2のゾーンに分割するステップは、
前記下部プレートの前記金型キャビティを前記第1のゾーンに指定するステップと、
前記分離プレートの前記金型キャビティを前記第2のゾーンに指定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
顧客から受け取った仕様に基づいて、前記第1のゾーン内の前記第1の量のペレット化ファイロン内で、第1のプリフォーム・ファイロン・ビスケットの位置を決定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
顧客から受け取った仕様に基づいて、前記第2のゾーン内の前記第2の量のペレット化ファイロン内で、第2のプリフォーム・ファイロン・ビスケットの位置を決定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2012−504024(P2012−504024A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529316(P2011−529316)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/058618
【国際公開番号】WO2010/037028
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】