説明

ファウリングを抑制するための表面不動態化法

本発明は、石油処理装置におけるファウリング堆積物の形成を抑制するための方法および装置を提供する。本発明には、酸性リン酸エステルを含む第一の混合物が含まれる。その第一の混合物は、高温で石油処理装置の表面に塗布される。次いで、金属塩を含む第二の混合物が、やはり高温で塗布される。その結果は、その石油処理装置の上にファウリング堆積物が形成されることを防止するのに効果的な皮膜を与えるに十分なものである。その第二の混合物が、皮膜中の各種のポリリン酸塩と反応して、その石油処理装置の内部における石油物質の各種汚染を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
なし。
【0002】
(連邦政府資金提供研究開発に関する記載)
該当せず。
【0003】
本発明は、各種の工業処理工程装置を不動態化させるための物質の組成、およびそれらを使用する方法に関し、特に、石油処理装置におけるファウリング物質の堆積を抑制するのに特に有効であることが見出されたある種の組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
「不動態化(passivation)」とは、ある物質を、他のある物質に対して、それら二つの物質を共に使用する前に「不動態(passive)」(非反応性)とするプロセスである。不動態化のいくつかの例が、米国特許第4,024,050号明細書、米国特許第3,522,093号明細書、米国特許第6,228,253号明細書、ASTM A−967、およびASTM A−380に記載されている。石油処理装置(petroleum processing equipment)において、装置を不動態化させるための一つの一般的な方法は、リン酸塩(phosphate)不動態化である。リン酸塩不動態化には、装置の表面を、石油物質と装置の壁面との間の反応を防止するリン酸塩の層を用いて被覆することが含まれる。リン酸塩不動態化の2種の公知の方法は、アミン中和リン酸エステル処理(amine neutralized phosphate ester treatment)および酸性リン酸エステル処理(acid phosphate ester treatment)であって、たとえば、以下の文献に記載されている:「コンパラティブ・キャラクタリスティックス・オブ・ホスフェート−コンテイニング・インヒビターズ・フォア・ニュートラル・メディア(Comparative characteristics of phosphate−containing inhibitors for neutral media)」、VF ソロチェンコ(VF Sorochenko)ら,ポリテク・インスチ・キエフ・ウクライナ(Politekh.Inst.,Kiev,Ukraine),ネフテペレラボツカ・イ・ネフテキミヤ(キエフ)(Neftepererabotka i Neftekhimiya(Kiev))(1993),第44巻、第82〜89頁(出版社:ナウコーバ・デュムカ(Naukova Dumka));および「ストリーム・アナリシス・フェイリャー・アナリシス・アンド・ラボラトリー・テスツ・ショウ・エフェクト・オブ・ハイドロゲン・スルフィド・アンド・ホスホラス−ベースド・インヒビターズ(Stream analysis, failure analysis and laboratory tests show effect of hydrogen sulfide and phosphorous−based inhibitors)」、ババイアン−キバラ(Babaian−Kibala)ら,フューエル・リフォーミュレーション(Fuel Reformulation)(1994)、第4巻(1)、第43〜48頁。これらの方法はいずれも、鉄リン酸塩皮膜を作り出しはするものの、いずれもが欠点を有している。アミン中和リン酸エステル処理は、薄い膜を作るが、残念ながらそれは、急速に劣化する。酸性リン酸エステル処理では、反応性のポリリン酸塩皮膜が得られる可能性はあるが、それが石油物質の中のナトリウムおよびカルシウムイオンと反応して、望ましくないコークスの形成を促進する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,024,050号明細書
【特許文献2】米国特許第3,522,093号明細書
【特許文献3】米国特許第6,228,253号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】VF ソロチェンコ(VF Sorochenko)ら、「コンパラティブ・キャラクタリスティックス・オブ・ホスフェート−コンテイニング・インヒビターズ・フォア・ニュートラル・メディア(Comparative characteristics of phosphate−containing inhibitors for neutral media)」、ポリテク・インスチ・キエフ・ウクライナ(Politekh.Inst.,Kiev,Ukraine)、ネフテペレラボツカ・イ・ネフテキミヤ(キエフ)(Neftepererabotka i Neftekhimiya(Kiev))(1993)、第44巻、第82〜89頁(出版社:ナウコーバ・デュムカ(Naukova Dumka))
【非特許文献2】ババイアン−キバラ(Babaian−Kibala)ら、「ストリーム・アナリシス・フェイリャー・アナリシス・アンド・ラボラトリー・テスツ・ショウ・エフェクト・オブ・ハイドロゲン・スルフィド・アンド・ホスホラス−ベースド・インヒビターズ(Stream analysis, failure analysis and laboratory tests show effect of hydrogen sulfide and phosphorous−based inhibitors)」、フューエル・リフォーミュレーション(Fuel Reformulation)(1994)、第4巻(1)、第43〜48頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、石油物質を精製処理するのに使用される工業処理工程装置を不動態化させる、改良された方法の必要性と有用性が明らかに存在している。このセクションに記載されている技術は、特に断らない限り、本明細書に引用されたいかなる特許、刊行物またはその他の情報も、本発明に関連しては「従来技術」であるということの承認を構成しようとしているものではない。さらに、このセクションで、研究が実施されていたとか、37CFR、§1.56(a)に規定されたような他の関連性がある情報がまったく存在していないとかを意味すると受け取ってはならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の少なくとも一つの実施形態は、石油処理装置の表面を不動態化させるための方法を目的としている。その方法は、第一の混合物をその表面に、少なくとも100℃の温度で塗布するステップと、その第一の混合物を塗布した後に、第二の混合物を少なくとも100℃の温度で塗布するステップとを含んでいる。その第一の混合物には、錯体の鉄リン酸塩層を形成する、酸性リン酸エステルを含んでいる。その第二の混合物には、金属塩を含んでいる。両方の混合物の塗布には、不活性なキャリヤオイルが必要である。その金属塩は、カルボン酸塩、スルホン酸塩、およびそれらの各種組合せからなるリストより選択されてもよい。その金属塩は、オクタン酸ジルコニウム、オクタン酸チタン、オクタン酸バナジウム、オクタン酸クロム、オクタン酸ニオブ、オクタン酸モリブデン、オクタン酸ハフニウム、オクタン酸タンタル、オクタン酸タングステン、およびそれらの各種組合せからなるリストから選択されてもよい。その金属塩には、ジルコニウム、チタン、バナジウム、クロム、ニオブ、モリブデン、ハフニウム、タンタル、タングステン、およびそれらの各種組合せからなるリストより選択される金属が含まれていてもよい。その方法にはさらに、その第一の混合物と第二の混合物の少なくとも一方の追加の量を交互に(alternatingly)塗布するステップが含まれていてもよい。その方法はさらに、不動態化された表面の存在下で、石油物質処理工程(petroleum material process)から生じるファウリング物質の誘発時間よりも短い時間で、石油物質処理を実施するステップが含まれていてもよい。
【0009】
本発明の少なくとも一つの実施形態は、表面に対してリン酸エステル処理を行うステップと、ポリリン酸塩を金属塩と反応させることによってその表面上でのポリリン酸塩の存在を抑制するステップとを含む石油処理装置の表面を不動態化する方法に関する。
【0010】
以後、図面を具体的に参照しながら、発明の詳細な説明を記述する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の方法および装置がその中で使用された反応のシビアリティを計算するために使用された因子を示すプロットグラフである。
【図2】本発明の方法および装置がその中で使用された各種の反応のシビアリティで起きるファウリングを示すプロットグラフである。
【図3】本発明の方法および装置、ならびに従来技術の方法がもたらす、ファウリング物質の抑制の程度を示す棒グラフである。
【図4A】一つの本発明の方法および装置、ならびに一つの従来技術の方法がもたらす、ファウリング物質の抑制の程度を示す棒グラフである。
【図4B】一つの本発明の方法および装置、ならびに一つの従来技術の方法がもたらす、ファウリング物質の抑制の程度を示す棒グラフである。
【図5】本発明の方法および装置ならびに従来技術の方法の両方の、各種の反応シビアリティで起きるファウリングを示すプロットグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この出願の目的のために、これらの用語の定義は、以下のとおりである。
【0013】
「ファウリング物質(foulant)」という用語は、製造および/または化学的工程の運転の間に、装置に蓄積する物質堆積(material deposit)を意味しており、これは望ましいものではなく、また前記工程のコストおよび/または効率を損なう可能性があり、アスファルテンおよびコークスを含むが、これらに限定される訳ではない。
【0014】
「不動態化(passivation)」という用語は、二つの物質を共に使用する場合に、それら二つの物質の内の少なくとも一方を、それらが実質的に相互に対する反応性が低下する程度にまで清浄化(cleaning)および/またはコーティングすることによって、それらの間の反応を防止することを意味している。
【0015】
「石油物質(petroleum material)」という用語は、石油、石油留分(残油、および/または原油を含む)などを意味している。
【0016】
「石油処理装置(petroleum processing equipment)」という用語は、石油物質を精製、貯蔵、輸送、分留またはその他の加工をするために使用される装置を意味しており、たとえば燃焼加熱器、熱交換器、チューブ、パイプ、伝熱槽、プロセス槽、およびタンクなどが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0017】
「石油物質処理工程(petroleum material process)」という用語は、石油物質について実施される工業処理工程を意味していて、たとえば精製、貯蔵、輸送、分留、またはその他石油物質に工業的に影響を与える処理工程などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0018】
上述の定義または、本明細書の他の部分で記述された定義が、一般的に使用されたり、辞書にあったり、あるいは本明細書に援用された情報源に記述されていたりする意味合いと(明示的または暗示的に)矛盾するような場合には、本明細書および特に特許請求項における用語は、本明細書における定義に従うものであって、一般的な定義、辞書の定義、あるいは援用された定義には従わない、と理解されたい。
【0019】
少なくとも一つの実施形態において、変性金属リン酸塩皮膜を用いて被覆することによって、石油処理装置の表面を不動態化させる。その変性金属リン酸塩皮膜は、堆積するコークス、アスファルテン、またはその他のファウリング物質からのファウリングを防止する。その変性金属リン酸塩皮膜は、2段階の処理工程で生成される。不動態化処理工程の第一の部分において、第一の混合物を用い、高温で、その石油処理装置の表面を処理する。その第一の混合物には、キャリヤオイル中に希釈された酸性リン酸エステルが含まれていて、それが、金属処理壁の表面と錯体層を形成し、それには、鉄ポリリン酸塩群が含まれる。この錯体層が、装置の表面を覆う。第一段階が完了してから、第二の混合物を適用する。
【0020】
第一の混合物の後、その石油処理装置の表面を、第二の混合物を用い、高温で処理する。その第二の混合物には、キャリヤオイル中に希釈した金属塩が含まれる。少なくとも一つの実施形態においては、その金属塩は、カルボン酸塩、スルホン酸塩、およびそれらの各種組合せからなるリストから選択されるものである。その塩の中の金属が、ポリリン酸塩と反応すると、金属リン酸塩皮膜が形成される。第一の混合物と第二の混合物とを交互に繰り返して塗布することを、その金属被膜の厚みを所望のレベルにまで上げるために用いることが可能である。少なくとも一つの実施形態においては、その第二の混合物には、オクタン酸ジルコニウム、オクタン酸チタン、オクタン酸バナジウム、オクタン酸クロム、オクタン酸ニオブ、オクタン酸モリブデン、オクタン酸ハフニウム、オクタン酸タンタル、オクタン酸タングステン、およびそれらの各種組合せからなるリストから選択される、金属カルボン酸塩が含まれる。少なくとも一つの実施形態において、その高温とは、250℃以上である。
【0021】
少なくとも一つの実施形態において、そうして得られた金属リン酸塩皮膜には、金属リン酸塩と金属酸化物の両方が含まれる。理論に拘束されるものではないが、その第一ステップがポリリン酸塩を生成し、次いでそれが第二ステップにおいてさらなる反応をすると考えられる。塗布された金属塩が、金属リン酸塩と金属酸化物との両方を形成し、石油物質の中のカチオンと反応することが可能なポリリン酸塩の量を著しく減少させる。その結果、厚く、かつ石油物質を汚染しない被膜を生成する。
【0022】
変性金属リン酸塩皮膜は、その石油処理装置にいくつもの利点を付与する。装置の壁面と石油物質との間の相互作用を抑制することによって、腐食および汚染が顕著に抑制される。それに加えて、ファウリング物質が被膜に粘着しないので、それによって、プロセスフローにおける障害(obstruction)および閉塞(blockage)が防止される。さらに、ファウリング物質の蓄積を防ぐことによって、剥離処理工程および化学的分散を、より効率的に実施することができる。
【実施例】
【0023】
本発明の実施形態および有用性を記述するために以下の実施例を提供するが、これらは、請求項において特に断らない限り、本発明を限定することを意味するものではない。
【0024】
[方法]
反応器の中に、複数の金属製メッシュの反応器挿入物を置いた。これらの金属製挿入物は、工業的石油処理装置の金属表面を模したものであった。それらの挿入物は、2段階の処理工程に従って塗布した変性金属リン酸塩皮膜を有していた。次いで、その反応器の中で、熱分解反応を実施して、工業的石油処理装置の中に存在しているであろう雰囲気を模した。次いでそれらの挿入物を、反応器から取り出し、極性を上げながら複数の溶媒を用いて洗浄した。次いで、(各種の)硬質コークスファウリング堆積物の残存堆積物を測定した。
【0025】
本発明が適用できる環境は種々想定できるので、熱分解反応のシビアリティ(severity)を定量化するための方法を実施した。その定量化は、文献値から採用した平均活性化エネルギおよび前頻度因子(pre−exponential factor)を仮定することによって、アレニウスの法則を用いて実施した。反応速度定数は、クラッキング温度(410℃)におけるそれぞれの時間セグメント(二次)について求めた。反応速度定数を合計したものを使用して、熱分解反応のシビアリティを測定したが、それは、特定の反応の特定のパラメータに依存する。
【0026】
図1は、特定の熱分解実験の温度と圧力の進行を説明するグラフである。反応における条件は一定、かつ再現性のあるものであって、特定のシビアリティに相関付けることができる。その結果、ファウリング物質とシビアリティとの直接的な関係を得ることができた。図2は、特定の熱分解反応の各種のシビアリティの場合に、1〜30の間のシビアリティで起きるファウリングの程度を示している。
【0027】
[データ]
16のシビアリティで、複数のリン酸塩不動態化法を実施した。このレベルのシビアリティは、明確に効果を示すには十分に過酷であるものの、リン酸塩不動態化を圧倒する程には過酷ではないというものである。それらの結果を図3に示す。従来技術のリン酸エステル、たとえばアミン中和アルキルリン酸エステルおよび非中和アルキルリン酸エステルがいずれも、ファウリング堆積物において30%の低下を与えるのに対して、金属塩を含む混合物を有する第二ステップを使用することによって、ファウリング堆積物において30%を超える低下が得られる。その金属塩がTiを含んでいると、その低下が34%であり、その金属塩がZrを含んでいると、その低下が45%であった。
【0028】
図4Aは、13のシビアリティで実施したリン酸塩不動態化法を示している。このシビアリティでは、Zr金属塩を使用した本発明の2段ステップ不動態化が、従来技術の酸性リン酸エステル法よりも2倍の効果があった。図4Bは、2段ステップ不動態化法を使用すると、残存表面堆積物がさらに抑制されることを示している。やや低いシビアリティ(390℃、40分間)で実施したにもかかわらず、ブランクの条件に比較して、表面堆積に97%の抑制がある。
【0029】
図5は、複数のシビアリティにわたって、Zr金属塩を用いた本発明の2段ステップ不動態化法を、未処理の表面を用いた酸性リン酸エステル法と比較したものを示している。それらのデータから、二つのことが明らかとなった。第一に、本発明の2段ステップ法は、シビアリティのいかんに関わらず、一定してファウリングが少ないという結果となる。第二に、本発明の2段ステップ法が、ファウリング物質の反応の誘発時間を増大させる。その結果として、本発明の2段ステップ法によって不動態化させた装置内での反応では、延長された誘発時間よりも短い時間で反応させれば、ファウリング物質が実質的に生成しえない。
【0030】
本発明は、各種多くの形態で実施してよいが、本発明の特定の好ましい実施形態を、本明細書における図面で示し、詳細に説明している。本発明の開示は、本発明の原理を例示したものであって、本発明を、例示したそれら特定の実施形態に限定することを意図しているものではない。本明細書において言及した、全ての特許、特許出願、学術文献、およびその他の引用物は、それらの全てが援用される。さらに、本発明は、本明細書に記載および本明細書に援用された各種の実施形態のいくつかまたは全部の、すべて可能な組合せを包含する。
【0031】
本明細書に開示された全ての範囲およびパラメータには、その中に包含されたいずれかまたは全部のサブレンジ、およびエンドポイント間のすべての数が包含されているものと理解されたい。たとえば、「1〜10」と記された範囲は、最小値1と最大値10との間(両端も含む)のいかなるサブレンジや全てのサブレンジ;すなわち、1以上の最小値で始まるすべてのサブレンジ(たとえば、1〜6.1)、10以下の最大値で終わるサブレンジ(たとえば、2.3〜9.4、3〜8、4〜7)、そして最後に、その範囲の中に含まれるそれぞれの数値1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10を含んでいると考えるべきである。
【0032】
上述の開示は、例示であって、すべてを網羅している訳ではない。本明細書の記述は、当業者には、多くの変形形態および代替物を示唆することであろう。それらすべての代替物および変形形態は、請求項の範囲内に含まれると考えており、請求項においては、「含む(comprising)」という用語は、「含むが、それらに限定されている訳ではない」ということを意味している。当業者ならば、本明細書に記載された特定の実施形態に対する他の等価物を認知することができようが、それらの等価物もまた、特許請求項に包含されているものとする。
【0033】
このことにより、本発明の好ましい、そして代替の実施形態の記述が全うされる。当業者ならば、本明細書に記載された特定の実施形態に対する他の等価物を認知することができようが、それらの等価物も、本明細書に添付された請求項に包含されているものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石油処理装置の表面を不動態化させるための方法であって、
第一の混合物を前記表面に、少なくとも100℃の温度で適用するステップと、
前記第一の混合物を適用した後に、第二の混合物を少なくとも100℃の温度で適用するステップと、
を含み、
前記第一の混合物が、錯体のポリリン酸塩層を形成する酸性リン酸エステルを含み、前記第二の混合物が、金属塩を含む、方法。
【請求項2】
前記第一の混合物が、キャリヤオイルをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属塩が、カルボン酸塩、スルホン酸塩、およびそれらの各種組合せからなるリストより選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属塩が、オクタン酸ジルコニウム、オクタン酸チタン、オクタン酸バナジウム、オクタン酸クロム、オクタン酸ニオブ、オクタン酸モリブデン、オクタン酸ハフニウム、オクタン酸タンタル、オクタン酸タングステン、およびそれらの各種組合せからなるリストより選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記金属塩が、ジルコニウム、チタン、バナジウム、クロム、ニオブ、モリブデン、ハフニウム、タンタル、タングステン、およびそれらの各種組合せからなるリストより選択される金属を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第一の混合物および第二の混合物の少なくとも一方の追加の量を、交互に塗布するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記不動態化された表面の存在下に、石油物質処理工程から生じるファウリング物質の誘発時間よりも短い時間で、前記石油物質処理工程を実施するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
石油処理装置の表面を不動態化させるための方法であって、
前記表面に対してリン酸エステル処理を適用するステップと、
前記ポリリン酸塩を金属塩と反応させることによって、前記表面上におけるポリリン酸塩の存在を抑制するステップと、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−508506(P2013−508506A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535218(P2012−535218)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/050818
【国際公開番号】WO2011/049724
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(507248837)ナルコ カンパニー (91)
【Fターム(参考)】