説明

ファスナー及び同ファスナーを被着した被着体

【課題】 外からは識別媒体20のうち、特に無線ICチップの存在が確認できないにもかかわらず、無線ICチップのもつ各種データや情報の授受ができ、被着体の真贋を識別したり、被着体の商品管理等を正確に行うことができるファスナー及び被着体を提供する。
【解決の手段】 導電性繊維材12を有する織糸又は編糸として使ってファスナーテープ4を織成又は編成し、導電性繊維材12を信号線23またはアンテナ線21としてファスナーテープ4上に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばスライドファスナー、面ファスナー、テープ付きスナップファスナー、係合条片を有するレール状ファスナー、バックル、コードストッパ、ベルトアジャスター、ナスカン、スナップボタンなどの各種ファスナーに係わり、特に、狭小領域及び広範囲領域における製品管理機能或いは各種セキュリティ機能を奏することのできる無線ICチップ、又は無線ICチップと送受信用アンテナなどの識別媒体を内蔵した各種ファスナー及び同ファスナーを被着した被着体に関するものである。
【0002】
なお、本明細書及び特許請求の範囲の記載において識別媒体とは、読み取り及び/又は書き込みが可能な符号、ID(Identification)識別符号をもつ媒体を指す用語として用いている。識別媒体として代表的なものとしては、RFID(Radio Frequency Identification)、識別手段を有する添加物とその添加物を含有する識別情報保持物、同じく識別手段を有する秘密情報が埋め込まれた文字や図形などがある。
【0003】
RFIDとしては、シリコンチップのRFIDやクリスタルチップのRFIDを用いることができるものである。RFIDは、無線ICとかICタグと称される場合もある。RFIDの交信距離は0〜10数cm未満、好適には10mm未満である。さらに本発明にあっては、ICチップとリーダー/ライターとが接触したときに交信が可能となる接触式ICチップをも含むものである。
【0004】
また、上記識別情報保持物としては、例えば、希土類元素を樹脂等に混入させた識別媒体であり、混入させた希土類元素の種類、添加量等により特定な情報を表す識別情報としたもので所謂プラゲノム(登録商標)と称されるもの、生物のDNA情報の一部から人工的に作られた合成DNAをインクに混入した所謂DNAインク(登録商標)と称されるものなどである。核磁気共鳴現象を利用した検出、赤外線等の光学式による検出等により、インクに混入した合成DNA情報を読み出すことができる。
【0005】
識別手段を有する秘密情報が埋め込まれた文字や図形などとしては、赤外線等に反応する識別糸を媒体に組み込んだ識別媒体であり、赤外線等を照射することで媒体に組み込んだ識別糸を視認することができるもの、あるいは、文字、絵柄、模様等を媒体に設けた識別媒体であり、同文字、絵柄、模様等を視認することができるものなどが含まれる。
【背景技術】
【0006】
近年、無線通信方式によってデータ通信を行う非接触型IDタグを生産段階で商品に内蔵させ、商品の生産から物流、販売等にいたるトータル的な商品管理を行うことや、商品の紛失防止、盗難防止、偽造防止などが行われている。また、IDタグを衣服に装着して痴呆症患者の徘徊防止等に利用することなどが提案されてきている。
【0007】
一般に非接触型IDタグは、データ処理を行うCPUやメモリ、信号の変調・増幅部等を有する無線ICチップとその送受信アンテナとにより構成されている。無線ICチップの電源としては、外部の読取装置から受信した電磁波で起電力を発生させ、発生した起電力を無線ICチップの電源として用いる形式と無線ICチップ用の電源電池を備えている形式とが用いられている。
【0008】
無線ICチップのメモリに格納されているデータを外部の読取装置によって読み取るにあたって、電源電池を備えていない形式のものにおいては、IDタグ内に内蔵した受信アンテナに読取装置からの制御信号を受信する機能と共にコイルとしての機能も持たせている。外部の読取装置から送信した電磁波によって、受信アンテナであるコイルに起電力を発生させ、同起電力でもって無線ICチップの動作を行わせている。電源電池を備えたものでは、受信アンテナによる起電力を発生させず、電源電池によって無線ICチップを動作させている。
【0009】
無線ICチップが動作可能状態にあると、読取装置からの制御信号に基づいて無線ICチップ内のメモリから必要なデータを取り出して、同データを応答データとして送信アンテナから読取装置に応答送信することができる。応答送信された信号は読取装置の受信アンテナで受信され、読取装置の制御部において応答データの解析が行われる。この応答データは無線ICチップ内に格納されていたデータとして読取装置内に一時格納されたのち、パソコンなどの制御機器へと送信される。
【0010】
また、読取装置から送信された制御信号に基づいて、無線ICチップ内のメモリに格納されるデータの更新あるいは書き換え等を行うことも無線ICチップの性能によって可能である。無線ICチップ内のメモリからのデータの読み出し、データの書き込みにあたっては、各種セキュリティ手段を講じておくことができる。
【0011】
この種のIDタグを内蔵したスライドファスナー用引手の一例が、例えば特開2002−125721号公報(特許文献1)に開示されている。同公報に開示されたスライドファスナーの引手は、図51に示すように金属製や合成樹脂、皮革、厚布等の軟質材製の引手本体51内にICチップ54とコイルアンテナ53とを埋め込んでおり、コイルアンテナ53とICチップ54とは細いガラス管55内に封入されている。
【0012】
引手本体51を金属材料により構成する場合は、同引手本体51にガラス管55の埋込孔52が形成されるとともに、同埋込孔52の壁面に内外に連通する送受信用スリット56が形成され、同送受信用スリット56の部位に配したコイルアンテナ53と外部に配した読取装置との間で信号の送受信が行えるように構成されている。コイルアンテナ53とICチップ54とを封入したガラス管55が前記埋込孔52内に挿入したのち、同埋込孔52の開口端をエポキシ樹脂によって密閉し、コイルアンテナ53とICチップ54とかからなるIDタグを埋設した引手本体51が形成されている。
【0013】
また、前記引手本体51を合成樹脂材により構成する場合は、同引手本体51が電磁透過性をもつ合成樹脂材料から構成される。ガラス管55中に封入されたIDタグは、上記金属製の引手本体と同様に、前記エポキシ樹脂によって前記埋込孔52内に封入され、IDタグを埋設した引手本体51が形成されている。
【0014】
更にまた、前記引手本体51を皮革材や布材により構成する場合は、ガラス管55を挿入する埋込空間が引手本体51に形成されている。ガラス管55中に封入されたコイルアンテナ53とICチップ54とからなるIDタグは、送受信用の長孔を有する金属管によって被覆して補強されている。補強されたIDタグは前記埋込空間内に隠蔽して収納されている。
【0015】
一方、前記IDタグを埋設一体化した衣服用ボタンの一例が、例えば特開2002−42100号公報(特許文献2)に開示されている。同公報に開示された衣服用ボタンは図52に示すように、電磁透過性を有する硬質樹脂製のボタン本体62により構成されている。ボタン本体62の表面にはリング状の凹所64が形成され、その裏面にはボタンを衣服等に縫い止める縫止脚61が一体に突設されている。
【0016】
図53に示すように凹所64の中心部には無線ICチップ66が配されるとともに、同無線ICチップ66に電気的に接続されたらせん状コイルアンテナ65が前記凹所64内で周回するように配されている。この無線ICチップ66とコイルアンテナ65とからなるIDタグが前記凹所64内に配されたのち、同凹所64内にエポキシ樹脂67が流し込まれて固化され、コイルアンテナ65と無線ICチップ66とからなるIDタグは密封防水処理され、IDタグを内蔵したボタンが形成されている。
【特許文献1】特開2002−125721号公報
【特許文献2】特開2002−42100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記特許文献1に開示された引手本体にIDタグを埋設するためには、IDタグをガラス管内に封入しなければならなかった。しかも、引手本体51に衝撃が加わったときや送受信用スリット56から露呈しているガラス管55に障害物等が衝突したときなどに、ガラス管55が破損してしまうことがあり、破損したガラス片が送受信用スリット56から飛散してしまう危険性があった。
【0018】
また上記特許文献2に開示されているボタンでは、衣服等に縫い止めることによって初めてボタンを取付けることができるため、IDタグを内蔵したボタンの使用用途に制限が加えられていた。また、ボタンにアンテナを内蔵させているため、アンテナの長さにも制限があり、広範囲においてIDタグとの間で信号の接受を行うことができなかった。
【0019】
特に、スライドファスナーなどのファスナーの用途は拡大されており、カバンやバックから衣料品に至るまで幅広く使用されてきており、その使用形態も種々にわたっている。このため、これらのものに使用されているファスナーに対して、ガラス管を用いることなく、しかもボタン以外のファスナーに対しても使い易い形でIDタグを設けることが望まれていた。更に、上述の従来例のものでは、無線ICチップに記憶したデータを外部の読取装置で読み取ることができるのは、IDタグと読取装置間の距離が短い狭小領域内でのみデータの読取が可能であった。このため、IDタグを広範囲領域においても使用することができる技術の開発が望まれていた。
【0020】
また、衣類やカバン等の商品にIDタグを取り付けた場合、個々の商品毎にIDタグを別途取り付けることは人手と時間とを必要とする。この場合には、部品メーカー側とアパレルメーカー側とは独立して生産から販売に至る管理を別個に行わざるを得ず、商品の生産から物流、販売等のトータル的な商品管理を行うことはできないという問題があった。
【0021】
更に、製品が顧客に手渡った後の真贋判定においては、無線ICチップは読取装置側からに信号に応じて発信すればよく、無線ICチップからの電波到達距離を必要としないが、製造や販売段階での物流管理においては、無線ICチップから発信された電波が所定範囲内に亘って安定した状態で読取装置により受信されることが望まれている。
【0022】
更にまた、無線ICチップには電源を内蔵したアクティブタイプと電源を内蔵していないパッシブタイプとがあるが、アクティブタイプでは電池の寿命により数年で無線ICチップからの発信機能を失ってしまう問題や、パッシブタイプでは無線ICチップからの電波到達距離を長くすることに技術的難易度が高く、コスト高となったり、無線ICチップが大型化してファスナーに取り付けることが困難となったりする問題があった。
【0023】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたものである。スライドファスナーなどのファスナーを製造販売する部品メーカーにおいて、IDタグを個々のファスナーに取り付けておけば、同IDタグを取り付けたファスナーを被着体としての商品に取り付けるだけで、ファスナーの商品管理と合わせて商品についてのトータル的な商品管理を行うことができるようになる。このため、本発明ではスライドファスナーなどのファスナーについてその生産段階において無線ICチップ、又は接触式ICチップ、或いは既述したように所謂プラゲノム(登録商標)と称されるもの、生物のDNA情報の一部から人工的に作られた合成DNAをインクに混入した所謂DNAインク(登録商標)と称されるもの、あるいは秘密情報が埋め込まれた文字や図形などの識別媒体を装着させておくことにより上述した問題の解決を図ることにある。
【0024】
また、無線ICチップを取り付けたファスナーを被着した被着体にアンテナを取り付けることにより、広範囲領域においても使用することができることになる。更に、ファスナーに取り付けた無線ICチップにアクティブタイプとパッシブタイプ双方の機能を併せ持たせ、電源によって少なくとも数年は有電起動機能を備えさせることで、製造や販売段階での無線ICチップからの電波が所定範囲内に亘って安定した状態で読取装置により受信することができるようになり、電源の寿命後には読取装置側からの信号に応じて発信する機能を維持させることができるようにする。
【0025】
しかも、アクティブタイプの無線ICチップとパッシブタイプの無線ICチップとをファスナーに取り付け、双方の無線ICチップを同期させて、あるいは一方のみの無線ICチップを選択的に作動させることができるようにする。アクティブタイプの無線ICチップにより電池の寿命が尽きるまでは、無線ICチップから所定範囲にわたって電波を安定して発信することができ、電池の寿命後は、パッシブタイプの無線ICチップによって、読取装置側からの信号に応じて発信する機能を維持させることができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
前記の目的を達成するため、この発明は、固着手段が取り付けられ、被着体に被着されるテープを有するファスナーであって、同テープにおける前記被着体により被覆される部位に識別媒体が取り付けられていることが好ましいが、必ずしもこれに限るものではない。前記識別媒体が無線ICチップであり、同無線ICチップに接続したアンテナ又は信号線が前記ファスナーに取り付けられるようにすることができる。更に、前記識別媒体として、既述した所謂プラゲノム(登録商標)、所謂DNAインク(登録商標)、又は秘密情報が埋め込まれた文字や図形なども採用できる。
【0027】
前記固着手段とは、スライドファスナーであれば一対のテープの対向側縁に沿って取り付けられたファスナーエレメントである。また、レール状ファスナーであれば一対のテープに対向して形成され、テープの長手方向に連続する係合条片である。また、スナップボタンファスナーであれば、テープの長手方向に所定の間隔をあけて形成された係合突部を有する雄係合部材と、係合突部が係脱する係合孔部又は係合凹部を有する雌係合部材である。また、面ファスナーであれば対面する一対の係合面に各々又は混在して多数形成されたフック状、又はきのこ状の雄係合素子と、ループ状の雌係合素子である。
【0028】
識別媒体として無線ICチップを採用するときは、読取装置と無線ICチップとは、無線ICチップに接続したアンテナを介して行うことができる。アンテナは無線ICチップと一体的に構成してファスナーのテープに取り付けることも、ファスナーにおけるテープを利用して同テープ上にアンテナを配置することができる。ファスナーのテープを利用する場合には、同テープを構成している織糸あるいは編糸に導電性繊維材を用いることで配線することができる。同導電性繊維材は、例えばセンサと無線ICチップとを接続する信号線として使用することもできる。
【0029】
無線ICチップに備えたメモリとしては、データの書き換えが可能なメモリ、データの書き換えができないメモリ或いはデータの書き込みやプログラムを記憶させることのできるメモリ等を用いることができる。
【0030】
導電性繊維材の配線としては、同導電性繊維材から複数数本の配線を行い各配線の一端を無線ICチップに接続し、他端を開放した状態として前記テープに織り込み或いは編み込みを行うことで構成とすることができる。また、同導電性繊維材の両端を無線ICチップに接続し、両端を無線ICチップに接続した導電性繊維材の中間部をループ状となるように前記テープに織り込み或いは編み込みを行うことで構成することもできる。更には、一端を無線ICチップに接続した少なくとも2本の導電性繊維材の他端をそれぞれ開放した状態に配し、開放した他端同士を適宜の手段で接続してループ状に形成することもできる。
【0031】
或いは、導電性材をファスナーのテープに貼付、接着、溶着、印刷又は埋め込むことで無線ICチップと接続した配線とすることができる。この場合においても、導電性材の一端を無線ICチップに接続し、他端を開放した状態としてアンテナや信号線等として形成することも、導電性材の両端を無線ICチップに接続し、同導電性材の中間部をループ状となるように形成することもできる。2本の導電性材の一端を無線ICチップに接続し、他端同士を適宜の手段で接続してループ状のアンテナに形成することもできる。
【0032】
ファスナーがスライドファスナーである場合には、芯紐を構成する少なくとも一部の繊維に導電性繊維材を用いて同導電性繊維材と無線ICチップとを接続することでアンテナや信号線等としてとして構成することができる。少なくとも2本の導電性繊維材を用い、同導電性繊維材の端部同士を連結すると共に中間部においては少なくとも2本の導電性繊維材が短絡しないように芯紐内に配設し、端部同士が連結されていない方の端部を無線ICチップに接続することでループ状のアンテナを形成することも可能となる。
【0033】
或いは、芯紐に配した導電性繊維材の一端を無線ICチップに接続し、同導電性繊維材の他端と、ファスナーテープに織成又は編成し一端を前記無線ICチップと電気的に接続した導電性繊維材との端部同士を接続することでループ状のアンテナを形成することができる。また、ファスナーテープに貼付、接着、溶着あるいは埋め込んだ導電性材の一端を前記無線ICチップに接続し、同導電性材の他端と芯紐に配した導電性繊維材の他端とを適宜の手段で接続してループ状に形成することもできる。
【0034】
更にまた、スライドファスナーにおける連続状のファスナーエレメントを導電性樹脂モノフィラメントをコイル状やジグザグ状に曲げて形成し、同ファスナーエレメントと無線ICチップとを接続することで無線ICチップのアンテナとして機能させることができる。
【0035】
この発明におけるファスナーとしては、ファスナーが取り付けられ、被着体に被着されるテープを有するファスナーであり、スライドファスナー、係合条片を有するレール状ファスナー、スナップボタンファスナー、面ファスナーなどである。被着体に被着されるテープの部位に上述の識別媒体を取り付けているので、ファスナー単体においてはそれらの識別媒体と読取装置との間でデータのやり取りを行うことができる。
【0036】
本発明の第1の基本的な構成は、前記ファスナーに取り付けた識別媒体と、前記テープの長手方向に連続して配したアンテナ又は信号線とを有し、前記識別媒体が無線ICチップであり、前記無線ICチップとアンテナ又は信号線とが接続されてなることを特徴とするファスナーにある。
【0037】
この発明におけるファスナーとしては、固着手段が取り付けられ、被着体に被着されるテープを有するファスナーであり、スライドファスナー、係合条片を有するレール状ファスナー、スナップボタンファスナー、面ファスナーなどである。
【0038】
本願発明の第2の基本的構成は、被着体に被着されるファスナーテープを有するスライドファスナーであって、同ファスナーテープにおける止部の近傍に識別媒体が取り付けられてなることを特徴とするファスナーにある。ファスナーとしては、スライドファスナー、係合条片を有するレール状ファスナー、スナップボタンファスナー、面ファスナーなどである。
【0039】
この発明における構成は、上記第1、第2の基本的な構成と識別媒体をファスナーのテープに取り付けた部位を限定した点とファスナーがスライドファスナーに限定した点を除いて他の構成は同じ構成となっている。この第3の基本的構成のものにおいても、第1、第2の基本的構成において説明したように、アンテナの構成は同様に形成することができる。
【0040】
この発明の第3の基本的な構成は、被着体に被着されるファスナーテープを有するスライドファスナーであって、スライドファスナーの止部に識別媒体を取り付けてなることを特徴とするファスナーにある。この発明における構成は、識別媒体をスライドファスナーの止部に取り付けた点を除いて第1〜第3の基本的な構成同じ構成とすることができる。第4の基本的構成のものにおける止部としては、上止部や下止部あるいは開離嵌挿具がある。
【0041】
識別媒体の取り付け位置は、下止部や上止部あるいは開離嵌挿具に取り付けることができる。また、識別媒体を上述の止部に内蔵して取り付けることも、着脱自在に取り付けることもできる。着脱自在に取り付ける場合には、止部に識別媒体挿入用の穴部を形成して、同穴部に識別媒体を着脱自在に嵌入することで取り付けることができる。このとき、識別媒体が無線ICチップであるときは、無線ICチップをアンテナ内蔵型とすることもできる。
【0042】
アンテナとしては、上述のようにスライドファスナーに導電性繊維材或いは導電性材を配して、同導電性繊維材或いは導電性材をアンテナとして無線ICチップと接続して使用することもできる。
【0043】
この発明の第4の基本的な構成は、固着手段が取り付けられ、被着体に被着されるテープを有するファスナーであって、識別媒体が前記固着手段に取り付けられてなることを特徴とするファスナーにある。
【0044】
この発明の第5の基本的な構成は、被着体に被着されるファスナーテープを有するスライドファスナーであって、識別媒体がファスナーエレメントに取り付けられてなることを特徴とするスライドファスナーにある。
【0045】
この発明の第6及び7の基本的な構成は、被着体に被着されるファスナーテープを有するスライドファスナーにおいて、識別媒体が、スライダーに取り付けられてなること、又は引き手に対して着脱自在に取り付けた装飾部材内に内蔵されてなることを特徴とするスライドファスナーにある。
【0046】
この発明の第8の基本的な構成は、固着手段が取り付けられ、被着体に被着されるテープを有するファスナーであって、無線ICチップ、電源電池及びアンテナを取り付けてなることを特徴とするファスナーにある。ファスナーとしては、スライドファスナー、面ファスナー、スナップファスナー、レールファスナー、バックル、コードストッパー、ナスカン、スナップボタン等を用いることができる。
【0047】
この発明の第9の基本的な構成は、無線ICチップと、前記無線ICチップを遮蔽する遮蔽材とを取り付けてなることを特徴とするファスナーにある。ファスナーとしては、スライドファスナー、面ファスナー、スナップファスナー、レールファスナー、バックル、コードストッパー、ナスカン、スナップボタン、ベルトアジャスター等を用いることができる。
【0048】
この発明の第10の基本的な構成は、対面して係脱可能な係合面を有する面ファスナーであって、前記係合面環に識別媒体を配置して被覆してなることを特徴とする面ファスナーにある。前記識別媒体としては、無線ICチップを使うことが好ましく、無線ICチップを被覆する面ファスナーが、無線ICチップとの交信を遮断する遮蔽材を有することが好ましい。
【0049】
この発明の第11の基本的な構成は、識別媒体を取り付けたファスナーが被着された被着体であって、前記識別媒体が無線ICチップであり、前記被着体に前記無線ICチップと電気的に接続したアンテナ又は信号線を有することを特徴とする被着体にある。
【0050】
この発明の第12の基本的な構成は、識別媒体を取り付けたファスナーが被着された被着体であって、前記識別媒体は無線ICチップであり、前記被着体に前記無線ICチップを被覆して、無線ICチップとの交信を遮蔽する遮蔽材を有することを特徴とする被着体にある。
【0051】
この発明の第13の基本的な構成は、識別媒体を着脱自在に取り付けてなることを特徴とするファスナーにある。ファスナーとしては、スライドファスナー、面ファスナー、スナップファスナー、レールファスナー、バックル、コードストッパー、ナスカン、スナップボタン、ベルトアジャスター等を用いることができる。
【発明の効果】
【0052】
真正に製造された固定具なのか贋造品として製造された固定具なのかを、識別媒体である無線ICチップに記憶されたデータ、或いは所謂プラゲノム(登録商標)や所謂DNAインク(登録商標)などが内蔵する各種情報を読取装置(識別装置)により読み取ることで簡単に識別することができる。また、識別媒体を取り付けた固定具の商品管理等も行うことができる。
【0053】
この発明によれば、識別媒体を取り付けた固定具が被着体に被着されると、識別媒体は被着体によって被覆された状態となり、外からは識別媒体が被着体に取り付けられていることが判別できない状態となる。外からは識別媒体の存在が確認できないにもかかわらず、識別媒体に記憶されたデータや情報または新たに記憶させたデータや情報を用いることが可能となり、被着体の真贋を識別することや被着体の商品管理等を行うことができるようになる。しかも、被着体に識別媒体を別途取り付ける作業を行うことなく、識別媒体を被着体から外部に露出させずに簡単に取り付けることができるようになる。
【0054】
この発明の第1の基本的な構成は、ファスナーが識別媒体である無線ICチップと、前記テープの長手方向に沿って連続して延びた状態に配した前記無線ICチップのアンテナとを有しているので、無線ICチップと読取装置との距離が長くなってもデータの送受信を行うことができるようになる。また、信号線によって各種センサ等と無線ICチップとを接続させることができる。
【0055】
長手方向に沿って連続して延びた状態のアンテナ又は信号線の構成としては、テープの長手方向に直線状に配した構成とすることも、テープの長手方向と交差する方向にジグザグ状に曲げながらテープの長手方向に沿って延ばした構成、螺旋状でテープの長手方向に沿って延ばした構成などを用いることができる。
【0056】
ファスナーのテープにアンテナを配したことによりアンテナ長を長くすることが可能となり、ループ状としたアンテナから発生する起電力を大きくすることができると共に無線ICチップと読取装置間での送受信距離を大きくすることが可能となる。
【0057】
無線ICチップに記憶されたデータを読取装置により読み出すことにより、真正に製造されたファスナーなのか贋造品として製造されたファスナーなのか、あるいは無線ICチップを被着した被着体が真正に製造された被着体なのか贋造品として製造された被着体なのかを簡単に識別することができる。また、無線ICチップを取り付けたファスナーや被着体の商品管理等も行うことができる。
【0058】
無線ICチップに備えたメモリとしては、データの書き換えが可能なメモリ、データの書き換えができないメモリ或いはデータの書き込みやプログラムを記憶させることのできるメモリ等を用いることができる。
【0059】
読取装置と無線ICチップとは、無線ICチップに接続したアンテナを介して行うことができる。アンテナはテープの長さ方向に連続して延びた状態に配した構成に形成することもできれば、無線ICチップと一体的に構成してファスナーのテープに取り付けることも、ファスナーにおけるテープを利用して同テープ上にアンテナを配置することもできる。ファスナーのテープを利用する場合には、同テープを構成している織糸あるいは編糸に導電性繊維材を用いることで配線することができる。同導電性繊維材は、アンテナとして使用する以外に、例えばセンサと無線ICチップとを接続する信号線として使用することもできる。
【0060】
導電性繊維材の配線としては、同導電性繊維材から複数数本の配線を行い各配線の一端を無線ICチップに接続し、他端を開放した状態として前記テープに織り込み或いは編み込みを行うことで構成とすることができる。また、同導電性繊維材の両端を無線ICチップに接続し、両端を無線ICチップに接続した導電性繊維材の中間部をループ状となるように前記テープに織り込み或いは編み込みを行うことで構成することもできる。更には、一端を無線ICチップに接続した少なくとも2本の導電性繊維材の他端をそれぞれ開放した状態に配し、開放した他端同士を適宜の手段で接続してループ状に形成することもできる。
【0061】
導電性材をファスナーのテープに貼付、接着、溶着あるいは埋め込むことでアンテナとしての配線とすることができる。この場合においても、導電性材の一端を無線ICチップに接続し、他端を開放した状態としてアンテナとして形成することも、導電性材の両端を無線ICチップに接続し、同導電性材の中間部をループ状となるように形成することもできる。2本の導電性材の一端を無線ICチップに接続し、他端同士を適宜の手段で接続してループ状のアンテナに形成することもできる。
【0062】
ファスナーがスライドファスナーである場合には、芯紐を構成する少なくとも一部の繊維に導電性繊維材を用いて同導電性繊維材と無線ICチップとを接続することでアンテナ又は信号線としてとして構成することができる。少なくとも2本の導電性繊維材を用い、同導電性繊維材の端部同士を連結すると共に中間部においては少なくとも2本の導電性繊維材が短絡しないように芯紐内に配設し、端部同士が連結されていない方の端部を無線ICチップに接続することでループ状のアンテナを形成することも可能となる。
【0063】
或いは、芯紐に配した導電性繊維材の一端を無線ICチップに接続し、同導電性繊維材の他端と、ファスナーテープに織成又は編成し一端を前記無線ICチップと電気的に接続した導電性繊維材との端部同士を接続することでループ状のアンテナを形成することができる。また、ファスナーテープに貼付、接着、溶着、印刷あるいは埋め込んだ導電性材の一端を前記無線ICチップに接続し、同導電性材の他端と芯紐に配した導電性繊維材の他端とを適宜の手段で接続してループ状に形成することもできる。
【0064】
更にまた、スライドファスナーにおける連続状のファスナーエレメントを導電性樹脂モノフィラメントをコイル状やジグザグ状に曲げて形成し、同ファスナーエレメントと無線ICチップとを接続することで無線ICチップのアンテナ又は信号線として機能させることができる。
【0065】
ファスナーエレメントをアンテナとして機能させる場合において、ファスナーエレメントの一端を開放状態のままとすることも、上記したように導電性繊維材や導電性材を用いてループ状に形成することもできる。また、ファスナーエレメントをアンテナとして機能させる場合において、芯紐の少なくとも一部の繊維を導電性繊維材とすることで芯紐の導電性繊維材を磁芯部材としての機能をもたせることもできる。
【0066】
無線ICチップに電源電池が接続されていない場合には、少なくとも受信アンテナをループ状に形成し、ループ部を用いて起電力を発生させることが必要である。
【0067】
この発明の第2の基本的構成のものにおいても、上述した第1の基本的な構成から奏することのできる各種効果を同様に奏することができるので、ここではその説明を省略する。この発明では、特にファスナーテープの止部近傍に識別媒体を配しているので、識別媒体の取り付け位置を特定することができ、読取装置で識別媒体に格納されているデータを読み取るときでも、或いはデータの書き込みが可能な識別媒体である無線ICチップ又は接触式ICチップに新たなデータを書き込むときでも識別媒体と読取装置との位置関係を簡単に設定することができるようになる。
【0068】
しかも、ファスナーテープの止部近傍は補強テープにより補強されているので補強テープとファスナーテープ間に識別媒体を配置するだけで、簡単に識別媒体をファスナーテープに取り付けることができるようになる。また、識別媒体が無線ICチップである場合は、補強テープによって無線ICチップやアンテナがファスナーテープから外れたりするのを防止することができ、外部からの衝撃、障害物との衝突等によって無線ICチップやアンテナが破損するのを防止することができるようになる。なお、識別媒体を補強テープ上に配することもできる。第3の基本的構成のものにおける止部としては、上止部や下止部あるいは開離嵌挿具がある。
【0069】
この発明の第3の基本的な構成によっても、上述の第1及び第2の基本的な構成から奏することのできる各種効果を同様に奏することができるものである。第3の基本的構成のものにおける止部としては、上止部や下止部あるいは開離嵌挿具がある。
【0070】
識別媒体の取付位置は下止部や上止部あるいは開離嵌挿具に取り付けることができる。また、識別媒体を上述の止部に内蔵して取り付けることも、着脱自在に取り付けることもできる。識別媒体が無線ICチップであるときは、同無線ICチップを着脱自在に取り付ける場合に、止部に無線ICチップ挿入用の穴部を形成して、同穴部に無線ICチップを着脱自在に嵌入することで取り付けることができる。このとき、無線ICチップをアンテナ内蔵型とすることもでき、あるいは無線ICチップに代えて接触式ICチップとすることもできる。更には、これらの下止部や上止部あるいは開離嵌挿具に、識別媒体としての所謂プラゲノム(登録商標)を添加し、或いは所謂DNAインク(登録商標)を印刷することにより装着することも可能である。
【0071】
スライドファスナーの各構成部材のいずれかに無線ICチップとアンテナとを内蔵させることで、スライドファスナーの製造工程において無線ICチップとアンテナとを同時にスライドファスナーに組み込むこともできるようになる。
【0072】
また、この発明によれば識別媒体を前記止部に対して着脱自在に形成する場合には、読取装置から識別媒体の各種データや情報が不正に読み取られる恐れがあるときや、不正に書き込まれる恐れがあるときには、止部から識別媒体を取り出しておくことにより不正なアクセスを防止することができる。更に、識別媒体を取り付けたファスナーが被着体と共に洗濯される時、ファスナーから識別媒体を取り外しておくことで、洗濯中に無線ICチップが破損するのを防止することができる。
【0073】
この発明の第4の基本的な構成によれば、ファスナーの固着手段に識別媒体を取り付けることができる。ファスナーとしては、スライドファスナー、面ファスナー、スナップボタンファスナー、レール状ファスナー等があげられ、これらファスナーの固着手段に識別媒体を取り付けることができる。
【0074】
この発明の第5の基本的な構成によれば、スライドファスナーのファスナーエレメントに識別媒体を取り付けることができる。ファスナーエレメントの少なくとも一つに識別媒体を取り付けることができ、複数のファスナーエレメントに各々識別媒体を取り付けることができる。
【0075】
この発明の第6及び7の基本的な構成によれば、スライダー又は引き手に対して着脱自在に取り付けられる装飾部材に識別媒体を取り付けることができる。識別媒体が無線ICチップである場合に、無線ICチップの取り付けに当たっては、アンテナと一緒に前記各部材に無線ICチップ及びアンテナ挿入用の穴部を形成して、同穴部に無線ICチップ等を着脱自在に嵌入することで取り付けることがでる。また、スライドファスナーの各構成部材のいずれかに無線ICチップとアンテナとを内蔵させることで、スライドファスナーの製造工程において無線ICチップとアンテナとを同時にスライドファスナーに組み込むこともできる。
【0076】
更に、スライドファスナーの各構成部材のいずれかに無線ICチップとアンテナとを着脱自在に嵌入する穴部を形成しておくことにより、読取装置から無線ICチップのデータを不正に読み取られる恐れがあるときや、不正に書き込まれる恐れがあるときには、穴部から無線ICチップとアンテナとを取り出しておくとにより防止することができる。
なお、無線ICチップとアンテナとに代えて、接触式ICチップを用いることもできる。
【0077】
この発明の第8の基本的な構成では、ファスナーが無線ICチップ、電源電池及びアンテナを有しているので、読取装置からの信号で起電力を発生させる必要がなく、アンテナの構成をループ状に形成することは必ずしも必要とはしない。しかし、ループ状に形成したアンテナを用いることは可能である。
【0078】
ループ状に形成したアンテナを用いた場合には、ファスナーに取り付けた無線ICチップにアクティブタイプとパッシブタイプ双方の機能を併せ持たせ、電源によって少なくとも数年は有電起動機能を備えさせることができるようになる。これにより、製造や販売段階での無線ICチップからの電波が所定範囲内に亘って安定した状態で読取装置により受信することができるようになり、電源の寿命後には読取装置側からの信号に応じて発信する機能を維持させることができるようになる。
【0079】
更に、アクティブタイプの無線ICチップとパッシブタイプの無線ICチップとをファスナーに取り付け、双方の無線ICチップを同期させて、あるいは一方のみの無線ICチップを選択的に作動させることができる。これにより、アクティブタイプの無線ICチップにより電池の寿命が尽きるまでは、無線ICチップから所定範囲にわたって電波を安定して発信することができ、電池の寿命後は、パッシブタイプの無線ICチップによって、読取装置側からの信号に応じて発信する機能を維持させることができるようになる。
【0080】
ファスナーに無線ICチップの電源電池が取り付けられているため、アンテナから送信する電磁波の強さを電源電池の設置数等により調整することが可能となり、所望の出力をアンテナから出力させることが可能となる。これにより、ファスナーにアンテナを配したことと相俟って広範囲の領域において無線ICチップと読取装置間で信号の送受信を行うことができるようになる。
【0081】
スライドファスナーのように左右に分離できるファスナーテープにおいては、一方のファスナーテープに電源電池を取り付け、他方のファスナーテープに無線ICチップを取り付けた構成とすることができる。この場合においては、両ファスナーテープを開離させる開離嵌挿具にスイッチ機構を形成することで、開離嵌挿具の嵌合時にはスイッチをONさせて電源電池の電流・電圧を無線ICチップに供給し、開離嵌挿具の離間時にはスイッチがOFFさせて電源電池からの電流・電圧を無線ICチップに供給するのを停止することができる。これにより、開離嵌挿具の嵌合及び離間操作で無線ICチップの動作をON・OFF制御することができるようになる。
【0082】
スナップボタンの雄雌部材の一方に無線ICチップ及びアンテナを取り付けた場合には、他方の部材に電源電池を取り付け、雄雌部材の係合により電源電池と無線ICチップとの接続を行わせ、雄雌部材の離間ときには電源電池と無線ICチップとの遮断を行わせるように、雄雌部材間にスイッチ機構を構成することができる。
【0083】
これらのファスナーに無線ICチップとアンテナとを取り付けることにより、無線ICチップとアンテナとを特別な取り付け作業を行わずにベルト等の上記ファスナーと共同して使用する部材に自動的に設置することができるようになる。
【0084】
この発明の第9の基本的な構成によれば、導電性金属板等から構成できる遮蔽材を無線ICチップやアンテナを覆う部位に配し、しかも、遮蔽材をファスナーに着脱自在に取着させることができる。遮蔽材で無線ICチップやアンテナを遮蔽することにより、読取装置との間での信号の接受を禁止することができ、無線ICチップに格納されたデータに不正なアクセスが行われないようにして、セキュリティを高めることができるようになる。また、同様に読取装置から改ざんされたデータ等が無線ICチップに格納されるのを防止することができるようになる。
【0085】
遮蔽材としては、金属板、金属製の網、導電性材を含有した樹脂等を用いて形成することができる。
【0086】
この発明の第10の基本的な構成によれば、識別媒体を被覆する面ファスナーに着脱自在な遮蔽材を設けることにより、任意に遮蔽材で識別媒体を遮蔽することが可能となり、読取装置との間での信号の接受を禁止することができ、識別媒体が有する各種のデータに不正なアクセスが行われないようにして、セキュリティを高めることができるようになる。また、同様に読取装置から改ざんされたデータ等が識別媒体に格納されるのを防止することができるようになる。また、識別媒体は、結果的に面ファスナーの係合面間に狭持される構成となるので、識別媒体を単に面ファスナーの係合面上に載置したり、埋め込み又は添加するだけで識別媒体を面ファスナーに容易に取り付けることができる。
【0087】
この発明の第11の基本な構成では、被着体に無線ICチップ用のアンテナ又は信号線と必要に応じて各種センサとを配し、同信号線を介して各種センサを無線ICチップと接続することができる。また、アンテナと無線ICチップとを接続することができる。これらの接続に当たって、ファスナーのテープに配した導電性材或いは導電性繊維材を介して接続することができる。
【0088】
被着体に被着したファスナーが有する無線ICチップと読取装置との間で信号を接受することで、被着体の真贋判定や被着体の商品管理等を行うことができるようになる。しかも、被着体にアンテナを有しているため読取装置との距離が長くなっても信号の接受を行うことができるようになる。
【0089】
このため、例えば、血圧計のセンサを取り付けた被着体を被着した人を所定時間毎や異常血圧を示したときなど、予め無線ICチップに血圧計を測定する検出条件を設定しておいた検出条件に基づいて血圧の測定を行い、その検出結果を無線ICチップのメモリに記憶しておくことができる。しかも、各種センサと無線ICチップとの接続は、信号線を介して行い、記憶した検出結果を予め設定した条件に基づいて読取装置に送信するのをアンテナを介して行うことができるようになる。
【0090】
また、ファスナーを取り付けるだけで衣服等に無線ICチップを取り付けることが可能となるので、例えば、衣服の洗濯中において洗濯機に対して自動的に洗い方を指示することなどが可能となる。また、衣服に温度センサを付けておけば、同衣服を着ている人の体温を検出して同検出した体温をエアコンに無線ICチップから送信することで、温度を自動的に調整することもできるようになる。
【0091】
あるいは、徘徊患者の衣服に位置センサを取り付けておけば、徘徊患者の現在位置をオンタイムで監視することなどが可能となる。このように、被着体に無線ICチップ及びアンテナを有するファスナーを取り付けるだけで、被着体に取り付けた各種センサからの検出信号を様々な形で取り出して有効利用することができるようになる。
【0092】
この発明の第12の基本的な構成にあって、無線ICチップを取り付けたファスナーとしては、スライドファスナー、面ファスナー、スナップファスナー、レールファスナー、バックル、コードストッパー、ナスカン、スナップボタン、ベルトアジャスター等を用いることができる。
【0093】
この発明では、被着体に無線ICチップを遮蔽する被着体が設けられているので、遮蔽材の大きさを無線ICチップやアンテナまでも覆うことのできる大きさとすることができる。遮蔽材としては、金属板、金属製の網、導電性材を含有した樹脂等を用いて形成することができる。遮断材により、アンテナの送受信を禁止して、無線ICチップのセキュリティを保つこともできる。また、無線ICチップ又はアンテナを必要な時に遮蔽材で覆うことができるので、現在の居場所を送信できなくすることもでき、個人のプライバシーを守ることも可能となる。
【0094】
この発明の第13の基本的な構成によれば、ファスナーに識別媒体を着脱自在に取り付けているため、不正アクセスの防止や所望のデータを格納した識別媒体の交換等が容易に行うことができるようになる。これにより、識別媒体に対するセキュリティを高めることができるようになり、読取装置から改ざんされたデータ等が識別媒体に移されることを防止することができるようになる。
【0095】
また、例えば無線ICチップ又は接触式ICチップを取り付けたファスナーが被着体と共に洗濯される時、ファスナーからICチップを取り外しておくことで、洗濯中にICチップが破損するのを防止することができる。ICチップをファスナー内に内蔵する場合には、ICチップを内蔵するファスナーの部材を電磁透過性を有するエステル、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート等の低透磁率部材、例えばナイロン、ポリ合成樹脂材で形成しておくことが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0096】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。本発明におけるファスナーとしては、例えばカバン、スポーツウェアその他の各種の衣類の留め具として、例えばスライドファスナー、面ファスナー、テープ付きスナップファスナー、レール状ファスナー、バックル、コードストッパー、ベルトアジャスター、ナスカン、スナップボタンなどの各種ファスナーを含んでいる。以下の実施形態にあっては、前述のファスナーに対して無線ICチップ及びアンテナとを有するIDタグの配置構成やIDタグにおけるアンテナ構造を主要な特徴部として説明しているが、本発明は前記無線ICチップ及びアンテナなどの識別媒体に限らず、例えば既述したとおり識別手段を有する添加物とその添加物を含有する識別情報保持物、同じく識別手段を有する秘密情報が埋め込まれた文字や図形などの識別媒体を採用することができる。
【0097】
本実施形態に適用されるIDタグの曲型的な態様としは、識別対象物の識別情報などのデータを格納するメモリを備えた無線ICチップとアンテナとが互いに電気的に接続されて応答回路を構成している。その応答回路として、無線ICチップには、例えば検出回路、電源回路、制御回路、メモリ回路、変調回路、発振回路等が組み込まれている。
【0098】
更に本発明にあっては、外部からの電磁誘導などにより各回路に電力を供給する無電池式のIDタグ、あるいは電源として電池を内蔵した電源内蔵型のIDタグを含んでいる。このため、上記電源回路としては、電源電池を無線ICチップと取り付け側に配されている場合における電源回路と、外部にある読取装置からの送信信号をループ状のアンテナで受信したときに、ループ状のアンテナにより前記送信信号の電磁波から発生させた起電力を利用する電源回路とをそれぞれ意味しているものである。
【0099】
また、本発明における無線ICチップは、読取装置からの送信信号により無線ICチップ内のメモリに格納しているデータを取り出して読取措置に応答信号として送信するもの、読取装置からの送信信号により無線ICチップ内のメモリに格納しているデータやプログラムの書き換えや更新等を行うことができるもの、更には無線ICチップ内の制御装置がプログラムに基づいて自動的にメモリ内に格納したデータ等を読取装置に送信することのできるもの等の各種制御形態を行い得る無線ICチップとして構成されているものである。
【0100】
本発明における無線ICチップの構成は上述の構成及び以下に説明する構成に限定されるものではなく、多様な変更が可能である。
【0101】
図1は本発明の代表的な第1の実施形態であり、スライドファスナーに取着される無線ICチップ及びアンテナとを有するIDタグの配置位置を模式的に示す概略斜視図である。図2は同スライドファスナーの縦断面図を示している。図3は同スライドファスナーに取着される無線ICチップとファスナーテープに形成したアンテナ線または信号線の配置位置を模式的に示す概略斜視図である。
【0102】
図1において、符号1は例えば衣服やカバン等の被着体25に縫製により被着されたスライドファスナーを示しており、ファスナーテープ4には、複数のエレメント7、上止部5、開離嵌挿具15、蝶棒9、箱棒10、スライダー2、引き手3、補強テープ8等が取り付けられている。
【0103】
ファスナーテープとしては、例えば合成樹脂繊維を織成又は編成された繊維テープ状の基布、不織布、合成樹脂製シートなどから構成される。ファスナーエレメントとしては、合成樹脂製モノフィラメントをコイル状に巻回してなるコイル状エレメント、平面内に横方向にU字形に屈曲した部分を長手方向に沿って上下交互に連続してジグザグ状に形成したジグザグ状エレメントなどの連続状エレメント等から構成される。このことは、上述のスライダー、上下止具、補強用シート状部材、開離嵌挿具についても同様であり、その太さや材質及び構造なども様々に変更が可能である。
【0104】
被着体25に被着されて被覆されるファスナーテープ4の縁部寄りの部位には、無線ICチップ20が取り付けられている。無線ICチップ20は貼着、接着、溶着或いは射出等の適宜の取り付け手段を用いることによりファスナーテープ4に取り付けることができる。また、無線ICチップ20には図示せぬアンテナが無線ICチップ20と一体に形成されている。
【0105】
図2に示すように無線ICチップ20は、図47に示す外部の読取装置24との間で信号の送受信を行うアンテナとともに、被着体25の縫製ライン26に沿ってスライドファスナー1を縫い付けることで目視できない状態に配置することができる。
【0106】
これにより、読取装置からの送信信号で無線ICチップに格納したデータを呼び出すことができ、無線ICチップ20は、スライドファスナー1を単独で使用するときにはスライドファスナー1の商品管理や真贋判別用等の識別装置として機能させることができる。また、同スライドファスナー1をバックや衣服等の被着体25に被着したときには、オリジナル製品としての被着体25の真贋判断用や商品管理等の識別装置として機能させることができる。また、必要に応じて読取装置からの送信信号により無線ICチップに格納されているデータやプログラムの修正、更正等を行うことができる。
【0107】
図1に示すものでは無線ICチップ20には無線ICチップを作動させる電源を有しておらず、読取装置からの送信信号により発生させた図示せぬアンテナによる起電力で無線ICチップを作動させることができる。
【0108】
図3に示すスライドファスナー1では、ファスナーテープ4として、例えば合成樹脂繊維を織成又は編成された繊維テープ状の基布に、織糸又は編み糸として導電性繊維材12を織成又は編成したものである。他の構成は図1における構成と同じであるので図1で用いたと同じ符号を用いることでその説明に代えることとする。
【0109】
図3における導電性繊維材12は、図19〜21に示すように導電性繊維材12は織糸又は編糸として、ファスナーテープ4の基布の織成又は編成と同時に織成又は編成することができる。導電性繊維材12は、被着体25に取り付けた図示せぬセンサ等と無線ICチップ20とを連結する信号線として使用することも、無線ICチップ20のアンテナとして使用することもできる。図19〜21においては、織目、編目を分かり易くするために誇張して拡大した状態を示しているものである。
【0110】
図3における導電性繊維材12の代わりに、図22〜図24に示すような金属薄板、導電性樹脂等から構成される導電材13をファスナーテープ4の面に貼着、接着、溶着、テープ33aとの一体成形、又は導電性塗料を塗着する印刷等の各種取付手段により取り付けることもできる。なお、図22は導電性塗料による印刷の例を示し、図23は導電材13の貼着、接着、溶着の例を示している。又図24は導電材13を埋め込んで一体成形した例を示している。図24では、レール状ファスナー33を示しているが、ファスナーテープ4をレール状ファスナー33のテープ33aと同様に樹脂の一体成形で形成するときには図24におけるテープと同様の構成を取ることができるものである。導電材13のファスナーテープ4への取り付けは、導電材13と無線ICチップ20との接続が担保されれば、ファスナーテープの表面、裏面を問わずどちらの面にも形成することができる。
【0111】
導電性繊維材12や導電材13を無線ICチップ20のアンテナとして機能させるときには、一端を無線ICチップに連結し、他端を開放した1本のアンテナ線として形成することも、一端をそれぞれ無線ICチップに連結すると共に、それぞれの他端を開放した2本のアンテナ線として形成することもできる。また、2本のアンテナ線の前記他端同士を連結したアンテナ或いは両端が無線ICチップに連結し、中間部をループ状となるように配したアンテナ線として形成することもできる。
【0112】
本発明においては、フレキシブルワイヤー等の金属線も導電性繊維材12における1つの形態として含まれるものである。
【0113】
センサ等と無線ICチップとを連結する信号線として導電性繊維材12を用いるときには、お互いに短絡していない2本の導電性繊維材を用いて信号線として機能させることができる。導電性繊維材12と導電材13との組合せによりアンテナ線や信号線を形成することができる。
【0114】
無線ICチップ20は、図1に示すように一方のファスナーテープ4に取り付けることも、図3に示すように両方のファスナーテープ4に取り付けることもできる。
【0115】
図4は、面ファスナー30のテープ30aに無線ICチップ20を取り付けたものを示している。無線ICチップ20には、図示せぬアンテナが一体に形成されている。図4(b)に示すように面ファスナー30のテープ30aを被着体25に縫製等により被着することで、無線ICチップ20の取り付け状態が外部から目視できない状態とすることができる。
【0116】
無線ICチップ20のテープ30aへの取り付けは、貼着、接着、溶着、面ファスナーの成形時に一体成形して取り付けるなど適宜の取り付け手段を採用することができる。また、アンテナは、無線ICチップ20と一体に形成することも、面ファスナー30のテープ30a上に導電体や導電性樹脂等を用いて形成することもできる。
【0117】
図5は面ファスナーを用いたバンドを示している。バンドは長尺なテープ状の面ファスナー30と、短尺なテープ片状の面ファスナー30aとから構成され、面ファスナー30aの一端が面ファスナー30の長手方向の中間位置に固定されている。面ファスナー30の両端には係脱可能な多数の雄又は雌係合素子が起立する係合部が設けられ、双方の係合部を係合させることで、バンドをリング状にすることができる。また、面ファスナー30と面ファスナー30aの対向面にも係脱可能な多数の雄又は雌係合素子が起立する係合面が設けられている。
【0118】
無線ICチップ20を面ファスナー30の係合面間に配置させることで、面ファスナーに取り付けることができる。無線ICチップ20には、図示せぬアンテナが一体に形成されている。このときには、無線ICチップ20を狭持している面ファスナーを開放することで、無線ICチップ20を面ファスナー30に対して着脱自在とすることができる。これにより、面ファスナー30から無線ICチップ20を取り外すだけで読取装置からの読取を行い得えない状態とすることができ、無線ICチップ20への不正アクセス等を防止することができる。
【0119】
また、面ファスナー30の係合面に無線ICチップ20を固定し、無線ICチップ20を被覆可能な面ファスナー30aに遮蔽材45を設けることにより、面ファスナー30aで無線ICチップ20を被覆しない場合に、無線ICチップ20と外部の読取装置間とが交信して信号の接受を可能とし、面ファスナー30aが無線ICチップ20又は同無線ICチップ20のアンテナ21を被覆する場合に、遮蔽材45が無線ICチップ20と読取装置間での信号の接受を禁止させることもできる。
【0120】
無線ICチップ20を面ファスナー30から着脱自在としたことにより、面ファスナー20を被着した被着体25を洗濯する際に、無線ICチップ20を面ファスナー30から取り外した状態で洗濯を行うことができるようになる。又、個人のプライバシーを守る必要が生じたときにも、無線ICチップを面ファスナーから容易に取り外すことができる。
【0121】
図6(a)はスナップファスナー31のテープ32aに無線ICチップ20を取り付けた例であり、無線ICチップ20には、図示せぬアンテナが一体に形成されている。図6(b)に示すようにスナップファスナー31のテープ32aを被着体25に縫製、接着、溶着等により被着することで、無線ICチップ20の取り付け状態が外部から目視できない状態とすることができる。無線ICチップ20のテープ32aへの取り付けは、貼着、接着、溶着、テープ32aの成形時に一体成形して取り付けるなど適宜の取り付け手段を採用することができる。
【0122】
図示例によるスナップファスナーは、例えば織成又は編成により得られる繊維テープ状基布に所定の間隔をもって基布中央の長手方向に沿って穿設した複数の取付孔を介して、その表裏面に雄スナップボタン32bを一体成形して得られる雄係合部材と相手方の繊維テープ状基布の取付孔を介して多数の雌スナップボタン32cを一体成形して得られる雌係合部材とから構成されている。
【0123】
図7(a)は係合条片33bを有するレール状ファスナー33のテープ33aに無線ICチップ20を取り付けた例である。無線ICチップ20には、図示せぬアンテナが一体に形成されている。図7(b)に示すようにレール状ファスナー33のテープ33aを被着体25に縫製、接着、溶着等により被着することで、無線ICチップ20の取り付け状態が外部から目視できない状態とすることができる。無線ICチップ20のテープ33aの取り付けは、貼着、接着、溶着、テープ33aの成形時に一体成形して取り付けるなど適宜の取り付け手段を採用することができる。
【0124】
図8〜図18は、本発明の代表的な第2の実施形態を示すものであり、ファスナーとしてスライドファスナー1を用いたものである。無線ICチップ20はファスナーテープ4の開離嵌挿具15の近傍に配されている構成を除いて、基本的には上述の第1の実施形態におけるスライドファスナー1と同じ構成を備えている。そのため、第1の実施形態において用いたと同じ符号を用いることで、当該部材の説明を省略することとする。
【0125】
無線ICチップ20は、ファスナーテープ4の下端部に接着層を介して溶着されている補強テープ8内又は補強テープ8の上面に、接着、貼付、溶着等の手段により取り付けられている。また、導電性繊維材12がファスナーテープ4の織成又は編成と同時に織成又は編成により取り付けて使用することもできる。
【0126】
導電性繊維材12の代わりに導電材を用いて、上記第1の実施形態で説明したようにファスナーテープ4に取り付けることもできる。
【0127】
導電性繊維材12や導電材13を無線ICチップ20のアンテナ線21や信号線23として機能させるときには、一端を無線ICチップに連結し、他端を開放した1本のアンテナ線21や信号線23として形成することができる。一端をそれぞれ無線ICチップに連結すると共に、それぞれの他端を開放した2本のアンテナ線21や信号線23として形成することもできる。また、前記2本のアンテナ線21における他端同士を連結し、一端をそれぞれ無線ICチップに連結したり、両端を無線ICチップに連結したアンテナ線の中間部をループ状となるように配することで、ループ状のアンテナ線を形成することもできる。
【0128】
本発明においては、フレキシブルワイヤー等の金属線も導電性繊維材12における1つの形態として含まれているものである。
【0129】
図9は、ファスナーエレメント14及び/又は芯紐を構成する少なくとも1つの導電性繊維材12を無線ICチップ20のアンテナとしても機能させている例を示している。図26、図27に示すように、ファスナーエレメント14を構成する導電性樹脂モノフィラメントをコイル状、ジグザグ状に曲げて形成し、ファスナーエレメント14の一端と無線ICチップ20とを信号線23で接続することにより、ファスナーエレメント14をアンテナとしての機能を持たせることができる。
【0130】
或いは、図25(a)に示すように芯紐11を構成する繊維の一部に導電性繊維材12を配し、同導電性繊維材12をアンテナとしての機能も備えさせることもできる。更には、ファスナーエレメント14を構成する導電性樹脂モノフィラメントをコイル状に曲げて形成し、アンテナとしての機能を持たせると共に芯紐11を構成する繊維の少なくとも一部に導電性繊維材12を配することで、芯紐11を導電性樹脂モノフィラメントにおける磁芯部材としての機能を持たせることもできる。
【0131】
ファスナーエレメント14の他端を図8に示す導電性繊維材12の他端と接続してループ状のアンテナとして機能させることもできる。信号線23は導電性繊維材等の導電性線状材を用いることができ、ファスナーテープ4の織成及び/又は編成と同時に形成することもできる。あるいは、ファスナーエレメント14に電気的に接続している蝶棒9または箱棒10を導電性材から構成し、同蝶棒9または箱棒10に信号線23電気的に接続させることもできる。
【0132】
図10は、一対のファスナーテープ4のそれぞれに無線ICチップ20及びアンテナ21を取り付けた例を示しているものであり、無線ICチップ20及びアンテナ21を下止部6の近傍におけるファスナーテープ4に取り付け、補強テープ8で被覆している状態を示している。2つの無線ICチップ20には、それぞれ異なるデータや異なる制御機能を持たせることができる。無線ICチップ20は、補強テープ8で被覆する代わりに補強テープ8上に接着等の適宜の手段で取り付けることもできる。
【0133】
また、一方の無線ICチップを電源電池を有するアクティブタイプに構成し、他方の無線ICチップを電源電池を有さないパッシブタイプに構成することもできる。このとき、双方の無線ICチップを同期させて、あるいは一方のみの無線ICチップを選択的に作動させることができるようにする。アクティブタイプの無線ICチップにより電池の寿命が尽きるまでは、無線ICチップから所定範囲にわたって電波を安定して発信することができ、電池の寿命後は、パッシブタイプの無線ICチップによって、読取装置側からの信号に応じて発信する機能を維持させることができるようになる。
【0134】
図11、12は、図9の例において無線ICチップ20用の電源電池22を設けた例を示している。電源電池22と無線ICチップ20とは信号線23により電気的に接続されて、電源電池22の電流・電圧を無線ICチップ20に供給できる構成となっている。電源電池22、信号線23及び無線ICチップ20とは補強テープ8で被覆すると共に、補強テープ8を介してファスナーテープ4に取り付けることができる。また、電源電池22や無線ICチップ20を補強テープ8上に取り付けることもできる。
【0135】
特に、電源電池22を補強テープ8上に着脱自在に取り付け、電源電池22にスイッチ機能を持たせることにより、電源電池22を押圧するなどしてスイッチ機構を作動させる操作を行うことで、必要な時のみ無線ICチップ20を作動させることができる。
【0136】
電源電池22としては、スイッチ機能を備えたケース等内に収納配置し、同ケースを補強テープ8に取り付けるように構成することができる。このため、本発明においては、電源電池22の用語の意味として、電池そのものとして使用する場合も、スイッチ付のケース又はスイッチ機能なしのケース等に取り外し自在に収納させたケース付の場合をも含めて使用しているものである。
【0137】
また、図11においては、無線ICチップ20を被着体25によって被覆させることができるので、無線ICチップ20を補強テープ上に取り付けた場合であっても、補強テープ8とファスナーテープ4間に取り付けた場合であっても、常に被着体25で被覆された状態とすることができる。
【0138】
図13は、一対のファスナーテープ4のうち一方に無線ICチップ20及びアンテナ21を取り付け、他方に電源電池22を取り付けた例を示している。電源電池22と無線ICチップ20とは開離嵌挿具15を介して電気的に接続している。開離嵌挿具15を構成する雄部材と雌部材間には電気的接続端子が形成され、図14(a)に示すように前記雄部材と雌部材とを嵌合させて係合することで前記電気的接続端子同士が接触して電気的に接続した状態を形成し、図14(b)に示すように前記雄部材と雌部材との係合を解除して両者が離れると電気的接続が遮断される。
【0139】
これにより、開離嵌挿具15を構成する雄部材と雌部材とにスイッチ機構を持たせることができるようになる。また、電源電池22にスイッチ機能を持たせることにより、電源電池22を押圧等の操作でスイッチ機構を作動させることにより、必要な時のみ無線ICチップ20を作動させることができるように構成することもできる。
【0140】
なお、図13、14に示す例では、アンテナ21が無線ICチップ20と一緒に構成されている例について説明したが、アンテナ21は必ずしも無線ICチップ20と一緒に構成されている必要はなく、ファスナーテープ4や導電性のファスナーエレメント、導電性繊維材を有する芯紐等に形成することできるものである。
【0141】
図15〜図18は、無線ICチップ20をファスナーテープ4に対して着脱自在に構成した例について説明する。図15では補強テープ8に電源電池22と係合部27bとを電気的に接続して取り付け、あわせて係合部27bとアンテナとしても機能させるファスナーエレメント14又は芯紐11とを信号線23で電気的に接続した例を示している。無線ICチップ20の係合部27aを補強テープ8に取り付けた係合部27bと係合させることで電源電池付の無線ICチップを形成することができる。
【0142】
図16はアンテナ21を被着体25内に形成した例を示している。この場合において、電源電池を補強テープ8に取り付けることも、アンテナ21をループ状に形成して起電力を発生させるように構成することもできる。
【0143】
図17は一対のファスナーテープ4のそれぞれに無線ICチップ20とアンテナ21とを着脱自在に構成した例を示している。また、図18では、無線ICチップ20を補強テープ8に取り付けた係合部27bと着脱自在に取り付けることができる例を示している。係合部27bは信号線23を介して導電性のファスナーエレメント14又は導電性繊維材を有する芯紐11内の導電性繊維材と電気的に接続している例を示している。
【0144】
図25(b)、(c)には、エレメント7内に無線ICチップ20を内蔵し、芯紐11内に配した導電性繊維材12と無線ICチップ20とを電気的に接続した例を示している。芯紐11内の導電性繊維材12をアンテナとして利用することで必要な個数の無線ICチップ20を任意のエレメント7内に取り付けることができる。エレメント7内への無線ICチップ20の取り付けは、エレメント7の成形時に一緒に組み込むことができる。
【0145】
なお、無線ICチップは各種ファスナーの固着手段に取付が可能であり、例えば、スナップボタンファスナーであれば雄係合部材や雌係合部材の内部に無線ICチップを取り付けることができる。
【0146】
芯紐11内の導電性繊維材12をファスナーテープに配した導電性繊維材、導電性材とループ状に接続してアンテナを構成することもできる。
【0147】
図28は、上止部5に無線ICチップを内蔵させた例を示しており、また、図29は下止部6に無線ICチップを内蔵させた例を示している。これらの例において、アンテナとしては、無線ICチップ20と一体に形成することも、導電性のファスナーエレメント、導電性繊維材を有する芯紐等を利用することもできる。なお、図示例では上下止部5,6に無線ICチップを内蔵させた例を示したが、識別媒体として無線ICチップに代えて、希土類元素を樹脂に混入させたプラゲノム(登録商標)を用いることもできる。
【0148】
図30は、下止部6に無線ICチップ20を着脱自在に嵌入させることのできる穴部6aを形成した例を示している。無線ICチップ20のアンテナは、無線ICチップ20と一体に形成することも、導電性のファスナーエレメント、導電性繊維材を有する芯紐等を利用することもできる。無線ICチップ20を穴部6aから着脱させることで、読取装置との間での通信を行いたくないときには、いつでも穴部6aから無線Icチップを取り出すことができるようになる。
【0149】
図31は、スライダー2に無線ICチップ20を着脱自在に嵌入させることのできる穴部2aを形成した例を示している。無線ICチップ20のアンテナは、無線ICチップ20と一体に形成することで形成することができる。無線ICチップ20を穴部2aから着脱させることで、読取装置との間での通信を行いたくないときには、いつでも穴部2aから無線ICチップを取り出すことができるようになる。
【0150】
図32は、引き手3に着脱自在に取り付けることのできる装飾体19に接触式ICチップ20を取り付けた例を示している。接触式ICチップ20は装飾体19の内部に配され、その一部が装飾体19の表面に形成した開口部から露呈している。リーダー/ライターを開口部からICチップに接触させることによって交信が可能となり、データの読み取りや書き込みを行うことができる。装飾体19は内部に引き手3に挿入嵌合させることができる。
【0151】
また、図33は、引き手3に着脱自在に取り付けることのできる装飾体19にアンテナ付の無線ICチップ20を取り付けた例を示している。無線ICチップ20は装飾体19の内部に配され、その全周囲が被覆されている。装飾体19は係合頭部を有し、引き手3に形成した係合孔部にスナップボタン式に係合させることができる。
【0152】
図34、図35はスライダー2に対して着脱自在の引き手3に無線ICチップ20、アンテナ21を内蔵させた例を示している。引き手3がスライダーに対して着脱自在となっているため、読取装置との間で送受信を行わせたくないときには、いつでも引き手3をスライダー2から外すことができ、無線ICチップ20に対する不正アクセス等を防止することができる。また、前記引き手3に無線ICチップ20とアンテナ21とを内蔵させる代わりに、希土類元素を樹脂に混入させた所謂プラゲノム(登録商標)を添加した樹脂成形体に成形し、これを識別媒体として引き手3の一部に装着一体化形させることもできる。
【0153】
図36は、バックル36にアンテナを有する無線ICチップを収納したもので、雄部材36aに形成した収納部36cにアンテナを有する無線ICチップ20を嵌合状態で収納したもので、マイナスドライバー等を用いることにより無線ICチップ20を収納部36cから取り外すことができる。必要に応じて接着剤等を用いて無線ICチップ20を収納部36cに内蔵させることもできる。図36(b)は、雄部材36aと雌部材36bとを係合させた状態を示しており、同図から分かるとおり、雄部材36aと雌部材36bとを係合させた状態では、無線ICチップ20が外部に露呈することが防止される。
【0154】
図37(a)、(b)は、ベルトアジャスター37に接触式ICチップを取り付けた例を示している。ベルトアジャスター37に形成した穴部37aの内周面には凹部が形成され、接触式ICチップ20の外周部に形成した凸部と前記凹部とを係合させることで接触式ICチップ20を着脱可能に取り付けることができる。接触式ICチップとの交信は、ベルトアジャスター37の表面から露呈して配されたICチップにリーダー/ライターを接触させることで、データの読み取りや書き込みを行うことができる。
【0155】
識別媒体としては、前述した無線ICチップや接触式ICチップに代えて、既述したとおり希土類元素を樹脂に混入させたプラゲノム(登録商標)を用いることもできる。紫外線を照射することにより発光スペクトルを生じ、希土類元素の種類や添加量等の変化に対応した特定波長の周波数を情報として検出することができる。図38は、ナスカン38に上記プラゲノム(登録商標)を添加した樹脂成形体を識別媒体20として取り付けた例を示している。ナスカン38に形成した穴部38aに識別媒体20を着脱可能に嵌入させることができる。符号35は、長さ調整自在に取り付けられたベルトである。
【0156】
図39は、コードストッパー39に無線ICチップ20を取り付けた例を示している。コードストッパー39本体に螺合した蓋39bとコードストッパー39本体間に空間部を形成し、同空間部にアンテナを有する無線ICチップ20を収納させることができる。蓋をコードストッパー39本体から取り外すことにより、無線ICチップを取り出すことができる。
【0157】
また、図40、41に示すようにコードストッパー39本体の外周面に電気接触片を有する面ファスナー30を形成し、被着体25に取り付けたセンサ28及び信号線29とを同被着体25に取り付けた面ファスナー30に形成した電気接触片と前記コードストッパー39の電気接触片とを電気的に接続することで、センサ28で検出したデータを無線ICチップ20に取り込むことができる。また、取り込んだ前記データを読取装置に送信することができるようになる。
【0158】
センサ28として心拍数を計測するセンサを用いたときには、例えば、ジョギング中での心拍数を計測することなど幅広い用途に使用することができるようになる。符号39aは、長さ調整自在に取り付けられた紐である。
【0159】
図42は、被着体25に固定された雄ボタン40bと雌ボタン40aとからなるスナップボタン40にアンテナを有する無線ICチップを内蔵した例を示している。雄ボタン40b又は雌ボタン40aに設けられた蓋40cを着脱することで無線ICチップ20をスナップボタン40に内蔵させることができる。蓋40cを用いたことにより、不要のときには無線ICチップ20をスナップボタン40から取り出しておくことができ、無線ICチップへの不正アクセス等を防止することができる。
【0160】
図43〜図46には、遮蔽材45により無線ICチップ20及びアンテナ21を遮蔽することのできる例を示している。遮蔽材45としては金属板、金属網、磁性材を含有した樹脂板等を用いることができる。遮蔽材45を備えた部材はスライドファスナー1に着脱自在に取り付けることも、被着体25に取り付けることもできる。遮蔽材45を備えた部材をスライドファスナー1や被着体25に着脱自在とする構成としては、面ファスナー30を用いたりスナップボタン40等の着脱可能なファスナーを用いることで行うことができる。
【0161】
図43に示すように、面ファスナー30を係合させることで遮蔽材45が無線ICチップ20を被覆し、無線ICチップ20からの発信又は読取装置からの信号の受信を遮蔽することができる。
【0162】
図44に示すように、ファスナーエレメント14等長手方向にわたってアンテナが形成されているときには、アンテナ全域を遮蔽材45で覆うことが必要である。また、図45に示すように遮蔽材45の前面側にアンテナ21を形成し、遮蔽材45を備えた被着体25でスライドファスナー1を覆うことで、スライドファスナー1とアンテナ21とを同時に遮蔽と被覆とを行うことができる。
【0163】
図44に示すように、ファスナーエレメント14等長手方向にわたってアンテナが形成されているときには、アンテナ全域を遮蔽材45で覆うことが必要である。また、図45に示すように遮蔽材45の前面側にアンテナ21を形成し、遮蔽材45を備えた被着体25でスライドファスナー1を覆うことで、スライドファスナー1とアンテナ21とを同時に遮蔽と被覆とを行うことができる。
【0164】
図47〜図49は、本発明のファスナーを被着体25である衣服に被着した例を示している。被着体25に予めアンテナ21や各種センサ28、信号線29を取り付けておき、例えば、ファスナーとしてスライドファスナー1を被着体25に被着するときには、スライドファスナー1に設けた導電性繊維材や導電材を信号線として使用し、前記信号線を前記導電性繊維材や導電材からなる信号線に接続することで、センサ28での検出値をスライドファスナー1に取り付けた図示せぬ無線ICチップに格納することができる。
【0165】
外部に配した読取装置24と無線ICチップとの間で信号の送受信を行うことで、無線ICチップに格納した前記センサからの検出値を読取装置24に送信することができる。また、前記スライドファスナー1に設けた導電性繊維材や導電材を送受信用アンテナとして使用することにより、読取装置24と無線ICチップ間の距離が広くなっても同送受信用アンテナを用いて信号の送受信を行うことができる。
【0166】
スライドファスナー1に電源電池を備えているときには、無線ICチップに格納したプログラムに従って、例えば所定時間毎等において無線ICチップから読取装置24に各種データを送信することができる。ファスナーに取り付けた無線ICチップに電源電池を有した(アクティブタイプ)と電源電池を有さない(パッシブタイプ)双方の機能を併せ持たせ、電源によって少なくとも数年は有電起動機能を備えさせることで、製造や販売段階での無線ICチップからの電波が所定範囲内に亘って安定した状態で読取装置により受信することができるようになり、電源の寿命後には読取装置側からの信号に応じて発信する機能を維持させることができる。
【0167】
しかも、アクティブタイプに無線ICチップとパッシブタイプの無線ICチップとをファスナーに取り付け、双方の無線ICチップを同期させて、あるいは一方のみの無線ICチップを選択的に作動させることができる。これにより、アクティブタイプの無線ICチップにより電池の寿命が尽きるまでは、無線ICチップから所定範囲にわたって電波を安定して発信することができ、電池の寿命後は、パッシブタイプの無線ICチップによって、読取装置側からの信号に応じて発信する機能を維持させることができるようになる。
【0168】
図49に示すように被着体25に太陽電池46を取り付け、被着体25に取り付けた各センサやスライドファスナー1に取り付け無線ICチップの電源電池とすることができる。
【0169】
IDタグを識別対象物である医療用の衣服に使用した場合等において、医療用衣服の生地には所要数のセンサが取着することができる。センサとしては、患者の心拍数、呼吸、血圧、体温、脳波などを常に監視するセンサや現在の所在位置を検出する位置センサなど各種センサを用いることができる。被着体25としては、衣服に限らず帽子等に無線ICチップを備えたファスナーを取り付けることもできる。
【0170】
本発明の無線ICチップを取り付けたファスナーは、無線ICチップ等を被着体の目立たない部位に完全に覆うことができ、無線ICチップの存在を容易に認識することはできない状態とすることができる。しかも、無線ICチップ等を簡単に被着物から取り外せることができない部位に配することもできる。
【0171】
これにより、無線ICチップに格納するデータとしてセキュリティ番号などを格納することにより、商品の紛失対策、盗難対策、偽造対策の信頼性が十分に保証できる。また、無線ICチップのメモリに個々の商品情報などを格納することにより、商品の生産から物流、販売等の全ての商品管理を合理的に行うことができる。また、無線ICチップをファスナーに着脱自在に取り付けることができるので、必要なときには無線ICチップをファスナーから取り外しておくことができるようになる。
【0172】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、それらの実施形態から当業者が容易に変更可能な技術的な範囲をも当然に包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0173】
【図1】図1は第1の実施形態の無線ICチップの配置位置を示す図である。
【図2】図2は、図1における縦断面図である。
【図3】図3は、無線ICチップとアンテナ線または信号線の配置位置を示す図である。
【図4】図4は、面ファスナーに無線ICチップを取り付けた例を示す図である。
【図5】図5は、面ファスナーに無線ICチップを取り付けた変形例を示す図である。
【図6】図6は、スナップファスナーに無線ICチップを取り付けた例を示す図である。
【図7】図7は、レール状ファスナーに無線ICチップを取り付けた例を示す図である。
【図8】図8は、第2の実施形態の無線ICチップを下止部近傍に配した例を示す図である。
【図9】図9は、第2の実施形態の変形例を示す図である。
【図10】図10は、第2の実施形態の他の変形例を示す図である。
【図11】図11は、第2の実施形態で電源電池を取り付けた例を示す図である。
【図12】図12は、第2の実施形態で電源電池を取り付けた変形例を示す図である。
【図13】図13は、第2の実施形態で電源電池を取り付けた他の変形例を示す図である。
【図14】図14は、図13のスイッチ機構を説明する図である。
【図15】図15は、無線ICチップを着脱自在に取り付けた例を示す図である。
【図16】図16は、無線ICチップを着脱自在に取り付けた変形例を示す図である。
【図17】図17は、無線ICチップを着脱自在に取り付けた他の変形例を示す図である。
【図18】図18は、無線ICチップを着脱自在に取り付けた別の変形例を示す図である。
【図19】図19は、導電性繊維材を織糸として用いた例を示す図である。
【図20】図20は、導電性繊維材を織糸として用いた変形例を示す図である。
【図21】図21は、導電性繊維材を編糸として用いた例を示す図である。
【図22】図22は、導電材をファスナーテープに取り付けた例を示す図である。
【図23】図23は、導電材をファスナーテープに取り付けた変形例を示す図である。
【図24】図24は、導電材をファスナーテープに埋め込んだ例を示す図である。
【図25】図25は、エレメントに無線ICチップを設け、導電性繊維材を芯紐に設けた例を示す図である。
【図26】図26は、アンテナ機能を持たせたファスナーエレメントがコイル状であることを示す部分拡大図である。
【図27】図27は、アンテナ機能を持たせたファスナーエレメントがジグザグ状であることを示す部分拡大図である。
【図28】図28は、上止部に無線ICチップを取り付けた例を示す図である。
【図29】図29は、下止部に無線ICチップを取り付けた例を示す図である。
【図30】図30は、下止部に無線ICチップを取り付けた変形例を示す図である。
【図31】図31は、スライダーに無線ICチップを取り付けた例を示す図である。
【図32】図32は、装飾部材に接触式ICチップを取り付けた例を示す図である。
【図33】図33は、装飾部材に無線ICチップを取り付けた変形例を示す図である。
【図34】図34は、着脱式の引き手に無線ICチップを取り付けた例を示す図である。
【図35】図35は、着脱式の引き手に無線ICチップを取り付けた変形例を示す図である。
【図36】図36は、バックルに無線ICチップを取り付けた例を示す図である。
【図37】図37は、ベルトアジャスターに接触式ICチップを取り付けた例を示す図である。
【図38】図38は、ナスカンにプラゲノム(登録商標)を取り付けた例を示す図である。
【図39】図39は、コードストッパーに無線ICチップを取り付けた例を示す図である。
【図40】図40は、コードストッパーに無線ICチップを取り付けた変形例を示す図である。
【図41】図41は、コードストッパーと被着体との関係を示す図である。
【図42】図42は、スナップボタンに無線ICチップを取り付けた例を示す図である。
【図43】図43は、遮蔽材を配した例を示す図である。
【図44】図44は、遮蔽材を配した変形例を示す図である。
【図45】図45は、遮蔽材を配した他の変形例を示す図である。
【図46】図46は、遮蔽材を配した別の変形例を示す図である。
【図47】図47は、被着体に無線ICチップを有するスライドファスナーを被着した例を示す図である。
【図48】図48は、被着体に無線ICチップを有するスライドファスナーを被着した変形例を示す図である。
【図49】図49は、被着体に無線ICチップを有するスライドファスナーを被着した他の変形例を示す図である。
【図50】図50は、被着体に無線ICチップを有するスライドファスナーを被着した別の変形例を示す図である。
【図51】図51は、従来例を示す図である。
【図52】図52は、他の従来例を示す図である。
【図53】図53は、図52の断面図である。
【符号の説明】
【0174】
1 スライドファスナー
2 スライダー
2a 穴部
3 引き手
4 ファスナーテープ
5 上止部
6 下止部
6a 穴部
7 エレメント
8 補強テープ
9 蝶棒
10 箱棒
11 芯紐
12 導電性繊維材
13 導電材
15 開離嵌挿具
20 識別媒体(無線ICチップ、接触式ICチップ、その他)
21 アンテナ
22 電源電池
23 信号線
24 読取装置
25 被着体
26 縫製ライン
27a、27b 係合部
28 センサ
29 信号線
30 面ファスナー
31 スナップファスナー
32a スナップファスナーのテープ
33 レール状ファスナー
33a レール状ファスナーのテープ
35 ベルト
36 バックル
36a 雄部材
36b 雌部材
36c 収納部
37 ベルトアジャスター
38 ナスカン
38a 穴部
39 コードストッパー
39a 紐
39b 蓋
40 スナップボタン
40a 雌ボタン
40b 雄ボタン
40c 蓋
45 遮蔽材
46 太陽電池
51 引手本体
52 埋込孔
53 コイルアンテナ
54 ICチップ
55 ガラス管
56 送受信用スリット
61 縫止脚
62 ボタン本体
64 リング状の凹所
65 らせん状コイルアンテナ
66 無線ICチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固着手段が取り付けられ、被着体(25)に被着されるテープ(4、30a、31a、32a,33a)を有するファスナーであって、
前記ファスナーに取り付けた識別媒体(20)と、
前記テープ(4、30a、31a、32a,33a)の長手方向に連続して配したアンテナ(21)又は信号線(23)とを有し、
前記識別媒体(20)が無線ICチップであり、
前記無線ICチップとアンテナ(21)又は信号線(23)とが接続してなることを特徴とするファスナー。
【請求項2】
前記アンテナ(21)又は信号線(23)が、前記テープ(4、30a、31a、32a,33a)に織成又は編成されてなることを特徴とする請求項1に記載のファスナー。
【請求項3】
前記アンテナ(21)又は信号線(23)が、前記テープ(4、30a,31a、32a、33a)に貼付、接着、溶着、印刷或いは埋め込まれてなることを特徴とする請求項1に記載のファスナー。
【請求項4】
前記アンテナ(21)又は信号線(23)が、スライドファスナー(1)の芯紐(11)に形成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のファスナー。
【請求項5】
前記アンテナ(21)又は信号線(23)が、スライドファスナー(1)のファスナーエレメント(14)に形成され、同ファスナーエレメント(14)が導電性樹脂モノフィラメントを曲げて形成されてなることを特徴とする請求項1に記載のファスナー。
【請求項6】
被着体(25)に被着されるファスナーテープ(4)を有するスライドファスナー(1)であって、
同ファスナーテープ(4)における止部(5、6、15)の近傍に識別媒体(20)が取り付けられてなることを特徴とするスライドファスナー。
【請求項7】
前記識別媒体(20)が無線ICチップであり、同無線ICチップに接続したアンテナ(21)又は信号線(23)が、前記ファスナーに取り付けられてなることを特徴とする請求項6に記載のファスナー。
【請求項8】
前記無線ICチップ(20)に接続した前記アンテナ(21)又は信号線(23)が、前記ファスナーテープ(4)に織成又は編成されてなることを特徴とする請求項7に記載のスライドファスナー。
【請求項9】
前記アンテナ(21)又は信号線(23)が、前記ファスナーテープ(4)に貼付、接着、溶着、印刷或いは埋め込まれてなることを特徴とする請求項7に記載のファスナー。
【請求項10】
前記無線ICチップ(20)に接続した前記アンテナ(21)又は信号線(23)が、スライドファスナー(1)の芯紐(11)に形成されてなることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のスライドファスナー。
【請求項11】
前記芯紐(11)を構成する少なくとも一部の繊維に導電性繊維材(12)が用いられてなることを特徴とする請求項10に記載のスライドファスナー。
【請求項12】
前記無線ICチップ(20)に接続した前記アンテナ(21)又は信号線(23)が、スライドファスナー(1)のファスナーエレメント(14)に形成され、同ファスナーエレメント(14)が導電性樹脂モノフィラメントを曲げて形成されてなることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のスライドファスナー。
【請求項13】
被着体(25)に被着されるファスナーテープ(4)を有するスライドファスナー(1)であって、
スライドファスナー(1)の止部(5、6、15)に識別媒体(20)を取り付けてなることを特徴とするスライドファスナー。
【請求項14】
前記識別媒体(20)が、前記止部(5、6、15)に内蔵されてなることを特徴とする請求項13に記載のスライドファスナー。
【請求項15】
前記識別媒体(20)が、前記止部(5、6、15)に着脱自在に取り付けられてなることを特徴とする請求項13に記載のスライドファスナー。
【請求項16】
前記止部が、上止部(5)であることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載のスライドファスナー。
【請求項17】
前記止部が、下止部(6)であることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載のスライドファスナー。
【請求項18】
前記止部が、開離嵌挿具(15)であることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載のスライドファスナー。
【請求項19】
固着手段が取り付けられ、被着体(25)に被着されるテープ(4、30a、31a、32a、33a)を有するファスナーであって、
識別媒体(20)が前記固着手段に取り付けられてなることを特徴とするファスナー。
【請求項20】
被着体(25)に被着されるファスナーテープ(4)を有するスライドファスナー(1)において、
識別媒体(20)がファスナーエレメント(14)に取り付けられてなることを特徴とするスライドファスナー。
【請求項21】
被着体(25)に被着されるファスナーテープ(4)を有するスライドファスナー(1)において、
識別媒体(20)が、スライダー(2)に取り付けられてなることを特徴とするスライドファスナー。
【請求項22】
前記識別媒体(20)が、スライダー(2)内に内蔵されてなることを特徴とする請求項21に記載のスライドファスナー。
【請求項23】
前記識別媒体(20)が、スライダー(2)に着脱自在に取り付けられてなることを特徴とする請求項21に記載のスライドファスナー。
【請求項24】
被着体(25)に被着されるファスナーテープ(4)を有するスライドファスナー(1)において、
識別媒体(20)が、引き手(3)に対して着脱自在に取り付けた装飾部材(19)に取り付けられてなることを特徴とするスライドファスナー。
【請求項25】
固着手段が取り付けられ、被着体(25)に被着されるテープ(4、30a、31a、32a,33a)を有するファスナーであって、
無線ICチップである識別媒体(20)と、
無線ICチップに接続する電源電池(22)及びアンテナ(21)を取り付けてなることを特徴とするファスナー。
【請求項26】
前記無線ICチップ(20)及び/又は電源電池(22)が、前記テープ(4、30a、31a、32a,33a)に着脱自在に取り付けられてなることを特徴とする請求項25に記載のファスナー。
【請求項27】
前記ファスナーが、左右に開閉する左右一対の前記ファスナーテープ(4)と開離嵌挿具(15)とを備え、前記無線ICチップ(20)が一方のテープ(4)に取り付けられ、無線ICチップ(20)の電源電池(22)が他方のテープ(4)に取り付けられてなり、前記開離嵌挿具(15)の係脱操作により前記無線ICチップ(20)と電源電池(22)との接続及び断接を行うスイッチを形成したことを特徴とする請求項24又は25記載のファスナー。
【請求項28】
無線ICチップである識別媒体(20)と、
前記無線ICチップとの交信を遮蔽する遮蔽材と、
を取り付けてなることを特徴とするファスナー。
【請求項29】
前記遮蔽材が、無線ICチップ(20)と接続したアンテナ(21)を遮蔽してなることを特徴とする請求項28に記載のファスナー。
【請求項30】
前記ファスナーが、被着体(25)に被着されるテープ(4、30a、31a、32a,33a)を有することを特徴とする請求項28又は29記載のファスナー。
【請求項31】
対面して係脱可能な係合面を有する面ファスナーであって、
前記係合面間に識別媒体(20)を配置して被覆してなることを特徴とする面ファスナー。
【請求項32】
前記識別媒体(20)は無線ICチップであり、無線ICチップを被覆する面ファスナーが、無線ICチップとの交信を遮蔽する遮蔽材を有してなることを特徴とする請求項31に記載の面ファスナー。
【請求項33】
識別媒体(20)を取り付けたファスナーが被着された被着体であって、
前記識別媒体(20)は無線ICチップであり、
前記被着体に無線ICチップと電気的に接続したアンテナ(21)又は信号線(23)を有することを特徴とする被着体。
【請求項34】
前記ファスナー(1)のテープ(4)に導電性材(13)或いは導電性繊維材(12)を配し、
前記被着体(25)に各種センサ(28)を取り付け、
前記テープ(4)に配した導電性材(13)或いは導電性繊維材(12)を介して前記各種センサ(28)及び前記アンテナ(21)又は信号線(23)と前記無線ICチップ(20)とを電気的に接続してなることを特徴とする請求項33に記載の被着体。
【請求項35】
識別媒体(20)を取り付けたファスナーが被着された被着体であって、
前記識別媒体(20)は無線ICチップであり、
前記被着体に無線ICチップを被覆して、無線ICチップとの交信を遮蔽する遮蔽材を有することを特徴とする被着体。
【請求項36】
前記ファスナーが、無線ICチップ(20)と接続したアンテナ(21)を備え、前記被着体(25)に前記アンテナ(21)を覆う遮蔽材(45)を有することを特徴とする請求項35に記載の被着体。
【請求項37】
識別媒体(20)を着脱自在に取り付けてなることを特徴とするファスナー。
【請求項38】
前記ファスナーが、スナップファスナーであることを特徴とする請求項37に記載のファスナー。
【請求項39】
前記ファスナーが、レールファスナーであることを特徴とする請求項37に記載のファスナー。
【請求項40】
前記ファスナーが、バックルであることを特徴とする請求項37に記載のファスナー。
【請求項41】
前記ファスナーが、コードストッパーであることを特徴とする請求項37に記載のファスナー。
【請求項42】
前記ファスナーが、ナスカンであることを特徴とする請求項37に記載のファスナー。
【請求項43】
前記ファスナーが、スナップボタンであることを特徴とする請求項37に記載のファスナー。
【請求項44】
前記ファスナーが、スライドファスナーであることを特徴とする請求項37に記載のファスナー。
【請求項45】
前記ファスナーが、面ファスナーであることを特徴とする請求項37に記載のファスナー。
【請求項46】
前記ファスナーが、ベルトアジャスターであることを特徴とする請求項37に記載のファスナー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【公開番号】特開2009−82730(P2009−82730A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306675(P2008−306675)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【分割の表示】特願2005−513309(P2005−513309)の分割
【原出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)
【Fターム(参考)】