説明

ファン付除菌装置

【課題】空気を効率よく除菌・清浄化することができるファン付除菌装置を提供する。
【解決手段】外筒部20内に空気導入路30となる隙間を介して内筒部40を配置するとともに、外筒部20の上部を覆い且つその上面と側面に空気取入口120を設けてなる上ケース部100を設けてなるケース10と、ケース10内の内筒部40の上方に配置され、内筒部40内の空気を下方に向けて吹き出させるファン140とを具備する。内筒部40の内周面に内筒部40の中央に向けて突出する上下方向に向かう風向板80を設置する。内筒部40内にこの内筒部40内を上方から下方に向けて流れる空気中に活性水素と酸素イオンとを供給する殺菌装置200を設置する。ケース10の空気導入路30の上部開口31とファン140の外壁147との間に空気導入路30の下部開口33から導入した空気を直接ファン140の吐出側に供給する空気導入口43を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中に浮遊する汚染源の除去などに用いて好適なファン付除菌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、室内の空気中には、各種生物学的汚染源〔たとえばインフルエンザウイルス、コロナウイルス、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、カビ、アレル物質(ダニの死がい粉・ふん、ペットからのアレル物質など)〕や、活性酸素などの空気汚染源が浮遊しており、人体に有害なものとなっている。
【0003】
そして上記有害な空気汚染源を空気中から除去するために、各種方法が開発されており、その中の有効な装置の1つとして、陽イオン発生部と陰イオン発生部とを具備してなる殺菌装置(たとえば特許文献1参照)がある。
【0004】
この殺菌装置は、空気を陽イオン発生部から陰イオン発生部に向けて流し、まず陽イオン発生部において空気にプラス成分の高電圧を印加して空気中の水分子を分解して水素イオン(H+)を生成する。
4H2O→2H2O+O2+4H+
【0005】
一方前記陰イオン発生部において空気にマイナス成分の高電圧を印加して電子(e-)および酸素イオン(O2-)を生成する。
2+e-→O2-
【0006】
そして前記陽イオン発生部で生成された水素イオンが陰イオン発生部に近づくと、水素イオンは陰イオン発生部で生成された電子と結合して水素原子(H)となる。
++e-→H
【0007】
そして水素原子(H)と酸素イオン(O2-)が結合することでハイドロペルオキシラジカル(HOO-)が生成される。このハイドロペルオキシラジカル(HOO-)はプラスの電荷を帯びた生物学的汚染源を取り囲んで付着し、生物学的汚染源表面のたんぱく質構造の水素結合を破壊して生物学的汚染源を破壊する。同時に反応したHOO-radicalは、水(H2O)に戻って空気中に戻る。
【0008】
一方、前記水素原子(H)の一部は、空気中に浮遊している活性酸素(OH-radical)と結合し、水分子となって活性酸素(OH-radical)を中和する。
H+OH→H2
【0009】
なおこの活性酸素(OH-radical)は、活性酸素種の中で最も毒性(酸化力)の強い物質で、皮膚老化および皮膚疾病などの原因物質として知られている。
【0010】
このように上記殺菌装置は、有害な空気汚染源を効果的に空気中から除去することができるので、空気の清浄化に効果的である。そして上記効果を有効に生じさせるためには、空気を陽イオン発生部から陰イオン発生部に向けて正確に直線状に流し、陽イオン発生部で発生させた水素イオン(H+)を確実に陰イオン発生部に供給する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−34957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記殺菌装置に空気を供給する手段としては送風用のファンを用いることが考えられる。すなわち殺菌装置の近傍にファンを設置することでファン付除菌器を構成すれば、ファンを駆動することで殺菌装置に空気が吹き付けられ、殺菌装置の陽イオン発生部から陰イオン発生部に向けて空気が流れ、空気が清浄化されながらこのファン付除菌器から外部に吐き出される。吐き出された空気はたとえば室内を循環することにより、室内空気の清浄化が行われる。
【0013】
しかしながら上記ファン付除菌器の場合、ファンによってかき乱された空気がそのまま殺菌装置に吹き付けられるため、殺菌装置付近を通過する空気の流れは一様な直線状の流れにならず、乱れた流れとなり、陽イオン発生部で発生させた水素イオン(H+)を確実且つスムーズに陰イオン発生部に供給することが困難であった。
【0014】
またファンによってかき乱された空気がそのままファン付除菌器の外部に放出されるので、除菌・清浄化された空気を効率よく遠くまで到達させにくく、たとえば室内全体の効果的な除菌・清浄化ができない。室内全体に除菌・清浄化した空気を循環させるためにファンの出力を上げると、空気の流れがますます乱れ、さらに効率の悪い状態が助長されてしまう。
【0015】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、殺菌装置に供給する空気流の流れをスムーズな一様流れとすることができて、供給した空気を効率よく除菌・清浄化することができると同時に、除菌・清浄化した空気を効率よく遠くまで到達させることができてたとえば室内全体を効果的に除菌・清浄化できるファン付除菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願請求項1に記載の発明は、外筒部内に空気導入路となる隙間を介して内筒部を配置するとともに、前記外筒部の上部を覆い且つその上面または側面に空気取入口を設けてなる上ケース部を設けてなるケースと、前記ケース内の内筒部の上方に配置され、この内筒部内の空気を下方に向けて吹き出させるファンとを具備し、前記内筒部の内周面に内筒部の中央に向けて突出する上下方向に向かう風向板を設置し、前記内筒部内にこの内筒部内を上方から下方に向けて流れる空気中に活性水素と酸素イオンとを供給する殺菌装置を設置し、さらに前記ケースの空気導入路の上部開口と前記ファンの外壁との間に空気導入路の下部開口から導入した空気を直接ファンの吐出側に供給する空気導入口を設けたことを特徴とするファン付除菌装置にある。
【0017】
本願請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のファン付除菌装置であって、前記殺菌装置は、プラス成分の高電圧の印加によりプラズマ放電させて空気中の水分から水素イオンを発生させる陽イオン発生部と、マイナス成分の高電圧の印加によりプラズマ放電させて電子およびスーパーオキサイドアニオン(O2-)を発生させる陰イオン発生部とを有し、前記内筒部内に、前記陽イオン発生部上を流れた空気が前記陰イオン発生部上を流れるように、上流側に前記陽イオン発生部、下流側に陰イオン発生部を配置したことを特徴とするファン付除菌装置にある。
【0018】
本願請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のファン付除菌装置であって、前記ファンはこれを下から見た外形形状が多角形状であって複数の外周辺を有し、前記内筒部の上端辺上にこのファンを設置することで、ファンの前記各外周辺から外方にはみ出す内筒部の開口部分を前記空気導入口としたことを特徴とするファン付除菌装置にある。
【発明の効果】
【0019】
請求項1,請求項2に記載の発明によれば、外筒部と内筒部の間の空気導入路を介して空気導入口から導入する空気を、ファンの内部(吸込み側)を通過させることなく、直接ファンの吐出側に供給するので、ファンによって大きく乱された下向きの空気流の最外周を囲む部分を空気導入口から供給される乱れのほとんどない空気流で包み込むことができる。これによって内筒部内を下降する空気流全体の流れがスムーズになり、さらに内筒部内に設置した風向板によって空気流をより直線状の流れにできる。これらのことから内筒部内に設置した殺菌装置に供給する空気流全体の流れをスムーズな一様流れにすることができ、供給した空気を効率よく除菌・清浄化していくことができる。
同時に、ファン付除菌装置から下方(外部)に吹き出される空気流全体の流れをスムーズな流れとすることができるので、吹き出された除菌・清浄化された空気を効率よく遠くまで(たとえば床面付近まで)到達させることができ、たとえば室内全体を効果的に除菌・清浄化することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、市販されている多角形状(多くは四角形状)のファンをそのまま用いて、内筒部の上端辺上に設置するという簡単な構成だけで、空気導入口を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ファン付除菌装置1の概略断面図(図3のA−A概略断面図)である。
【図2】ファン付除菌装置1の斜視図である。
【図3】ファン付除菌装置1の底面図である。
【図4】ファン140および筒状ケース60を上側から見た図である。
【図5】殺菌装置200の斜視図である。
【図6】ファン付除菌装置1へ設置する際の殺菌装置200の状態を示す斜視図である。
【図7】ファン付除菌装置1の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかるファン付除菌装置1の概略断面図(図3のA−A概略断面図)、図2は斜視図、図3は底面図である。これらの図に示すようにファン付除菌装置1は、外筒部20内に空気導入路30となる隙間を介して内筒部40を配置してなる筒状ケース部60と、外筒部20の上部を覆うように取り付けられる上ケース部100とを有してなるケース10と、ケース10内の内筒部40の上方に配置されるファン140と、ケース10内のファン140の上方に設置される機器制御部160と、内筒部40の中央に設置される一対の殺菌装置200,200とを具備して構成されている。
【0023】
筒状ケース部60は、外筒部20と、内筒部40と、下記する風向板80と、外筒部20と内筒部40間を連結する連結板90とをアルミ成型品にて一体成型(押出し成型)して構成されている。外筒部20は上下が解放された筒状(円筒状)に形成されている。内筒部40も上下が解放された筒状(円筒状)に形成されている。外筒部20と内筒部40との間にはリング状の隙間が形成され、この隙間が空気導入路30を形成している。言い換えれば、外筒部20内に空気導入路30となる隙間を介して内筒部40を配置している。空気導入路30は上下が解放されたリング状で、全周にわたってほぼ同一の幅寸法となっている。
【0024】
外筒部20と内筒部40は、空気導入路30内を通過する複数枚(8枚)の連結板90によって一体に連結されている。連結板90は薄板平板状(帯状)であって上下方向に直線状に延び、等間隔に内筒部40の中心軸から放射する方向に向かって設置されている。連結板90は外筒部20の内周面と内筒部40の外周面とを連結し、外筒部20と内筒部40の上端近傍から下端近傍まで延びている。連結板90は外筒部20と内筒部40とを連結する機能の他に、内部を上方向に向かって通過していく空気の流れを整える機能、つまり整流板としての機能も有する。8枚の連結板90の内の1つおきの4枚の連結板90には、図3に示すように上下に向かう円筒状のファン取付部91が設けられている。ファン取付部91は連結板90の上端から下端に至るまで延びており、その中央には上下に至るネジ螺合用孔93が設けられている。
【0025】
内筒部40の内周面には、内筒部40の中央(中心軸)に向けて突出する上下方向に向かう風向板80が複数枚(4枚)設置されている。各風向板80は薄板平板状(帯状)であり、その平面が内筒部40の中心軸から半径方向外方および上下方向を向き、内筒部40の上端近傍から下端近傍まで延びており、中心軸から見て等間隔(90°間隔)に設置されている。
【0026】
上ケース部100は筒状(円筒状)の外周側壁110と、外周側壁110の上面を塞ぐ上面部130とを合成樹脂にて一体成型して構成されている。つまり上ケース部100は下面が解放されたコップを伏せた形状に形成されている。上ケース部100の外周側壁110から上面部130に至る位置には、スリット状の空気取入口120が形成されている。上ケース部100の上面部130の外周近傍部分の等間隔の複数個所(4か所)には、上下方向に延びるネジ挿入孔131が設けられている。これらネジ挿入孔131は前記筒状ケース部60の各ネジ螺合用孔93に対向する位置に設けられている。これらネジ挿入孔131を形成するために、図1に示すように、上面部130の下面から筒状の突出部133が突出している。外周側壁110外面の180°対向する位置には、吊下げ具取付部135が取り付けられている。吊下げ具取付部135は、吊下げ具136の両端を回動自在かつ所定の角度で固定できる構造に構成されている。吊下げ具136は帯状の金属板をコ字状に屈曲して構成されており、その中間位置にはソケットからなるコネクタ137が取り付けられている。
【0027】
上面部130の下面中央部には機器制御部160が取り付けられており、機器制御部160を操作する操作つまみ161が上面部130の上面に設置されている。機器制御部160は上面部130中央を貫通するリード線163によって前記コネクタ137と電気的に接続されており、また図示はしていないが、機器制御部160とファン140の間および機器制御部160と殺菌装置200の間もリード線によって電気的に接続されている。機器制御部160は前記コネクタ137から入力される電源電圧を所定の電圧などに変換して、ファン140と殺菌装置200に供給するものである。前記操作つまみ161はたとえばファン140の回転速度を調整する。
【0028】
図4は図1に示す上ケース部100を取り外した状態でファン140および筒状ケース60を上側から見た図である。同図および図1に示すように、ファン140は、ファンケース141の内部にプロペラ型の羽根151と、羽根151の中心部に位置して羽根151を回転駆動するファンモータ153とを内蔵して構成されている。ファンケース141は、その上下に位置する一対の矩形状(正方形状)の平板部143,145の間を、円筒状の外壁147で連結して構成されており、平板部143,145にはそれぞれ外壁147の上下を開口させる空気吸込み口148と空気吐出し口149とが設けられている。前述のように、外壁147の内部中央に前記ファンモータ153が設置されているため、空気吸込み口148と空気吐出し口149は、いずれもほぼ同一形状寸法のリング形状となっている。このファン140は市販されているファンである。
【0029】
図5は殺菌装置200の斜視図である。同図に示すように殺菌装置200は、略矩形形状で樹脂製のケースによって覆われた基台210の上面の一方の端部近傍に陽イオン発生部230を設置するとともに、基台210の上面の他方の端部近傍に陰イオン発生部250を設置して構成されている。
【0030】
陽イオン発生部230は、基台210上面に形成した凹部内に平板状のセラミック板231をその上面が露出するように収納して構成されている。セラミック板231の内部の上側には放電電極が、下側には誘導電極が設置され、両電極間にプラス成分の高電圧(例えば3kV程度)を印加することで、プラズマ放電を生じさせ、周囲の空気中の水分(H2O)を電離して水素イオン(H+)を発生させる。
4H2O→2H2O+O2+4H+
【0031】
陰イオン発生部250は、針状電極251の周囲をコ字状に囲むように保護部253を設置して構成されている。針状電極251にはマイナス成分の高電圧(例えば−4kV程度)を印加することで、プラズマ放電により針状電極251の周囲に陽イオンが集まり、針状電極251から多量の電子(e-)が空気中に放出される。空気中に放出された多量の電子は非常に不安定なので、酸素分子(O2)に捕捉されてスーパーオキサイドアニオン(O2-)を形成する。つまり針状電極251にマイナス成分の高電圧が印加されることで、電子およびスーパーオキサイドアニオンが発生する。同時に針状電極251から電子が放出されると、電子は前記セラミック板231から発生して針状電極251の周囲を通る水素イオンと結合して活性水素(水素原子)(H)となる。
++e-→H
2+e-→O2-
【0032】
そしてこれら活性水素(H)と酸素イオン(O2-)が結合することでハイドロペルオキシラジカル(HOO-)が生成される。このハイドロペルオキシラジカル(HOO-)はプラスの電荷を帯びた生物学的汚染源を取り囲んで付着し、生物学的汚染源表面でHOO-radicalが生成され、生物学的汚染源表面のたんぱく質構造の水素結合を破壊して生物学的汚染源を破壊する。同時に反応したHOO-radicalは、水(H2O)に戻って空気中に戻る。
【0033】
一方、前記活性水素(H)の一部は、空気中に浮遊している活性酸素(OH-radical)と結合し、水分子の形で活性酸素(OH-radical)を中和する。
H+OH→H2
【0034】
そして上記効果を有効に生じさせるためには、殺菌装置200周囲の空気を陽イオン発生部230側から陰イオン発生部250側に向けてできるだけ直線状に流し、陽イオン発生部230で発生させた水素イオン(H+)を確実に陰イオン発生部250の周囲に供給する必要がある。
【0035】
図6はファン付除菌装置1へ設置する際の一対の殺菌装置200の状態を示す斜視図である。同図に示すように、ファン付除菌装置1へ取り付ける殺菌装置200は一対(2台)であり、両者の陰イオン発生部250を下向きにした状態でその底面同士を当接して設置される。そして一体化した一対の殺菌装置200の上下方向を向く外周の4辺211を、図1,図3に示すように、各風向板80の先端辺81の下側部分に固定している。これによって内筒部40内部の殺菌装置200の周囲の部分は、4枚の風向板80によって4つの空間A1,A2,A3,A4に分割される。一対の殺菌装置200の陽イオン発生部230および陰イオン発生部250は、空間A1,A3内に位置している。なお内筒部40内部の殺菌装置200の上側の部分は、空間B1となっていて、周囲の4つの空間A1,A2,A3,A4と連絡している。なお空間B1の上部には前記ファン140のファンモータ153が位置しており、4つの空間A1,A2,A3,A4の上部には空気吐出し口149が位置している。
【0036】
ファン付除菌装置1の組み立ては、まず一対の殺菌装置200,200を取り付けた筒状ケース部60の内筒部40の上部にファン140を設置し、その上に外筒部20の上部を覆うように上ケース部100を設置し、上ケース部100に設けた4つのネジ挿入孔131にその上部からそれぞれネジ300(図1参照)を挿入し、突出部133の下端から突出するネジ300をファン140の上下一対の平板部143,145の各角部近傍に設けた小孔142(図4参照)に挿入し、さらに平板部145の下面から突出するネジ300の先端を筒状ケース部60の各ネジ螺合用孔93に螺合し、これによって上記各部材を一体化することによって行われる。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0037】
このとき図4に示すようにファン140はこれを下から見た外形形状が多角形状(四角形状)であって複数(4つ)の外周辺146(下側の平板部145の外周辺)を有するので、円形の内筒部40の上端辺40a上にこのファン140を設置することで、ファン140の各外周辺146から外方にはみ出す内筒部40の4つの開口部分が生じるが、これらの開口部分が空気導入口43となっている。すなわち空気導入口43は空気導入路30の上部開口31とファン140の外壁147との間(さらにこの実施形態では上部開口31とファン140の外周辺146との間)に形成され、以下でも説明するが、空気導入路30の下部開口33から導入した空気を直接ファン140の吐出側に供給するものである。
【0038】
以上のように構成されたファン付除菌装置1は、たとえば前記吊下げ具136を回動してコネクタ137を上方向に向け、天井に設置したプラグにねじ込んでこのファン付除菌装置1を設置する。そして室内または室外に設置したオンオフスイッチをオンすれば、コネクタ137を通じてAC100Vの電源電圧が機器制御部160に供給され、ファン140が駆動されると同時に殺菌装置200,200が駆動される。ファン140が駆動されると図7に示すように、空気取入口120から外部の空気が吸い込まれ、ファン140の内部(羽根151の部分)を通過した後に内筒部40内に導入され、内筒部40の下端面から下方に向けて吹き出される。
【0039】
一方このファン付除菌装置1においては、前述のように空気導入路30および空気導入口43が形成されているので、空気導入路30の下部開口33から導入された空気は、ファン140の空気吸込み口148側に回ることなく、空気導入口43を通して、直接ファン140の空気吐出し口149の下側に、吐出によって生じる負圧によって吸い込まれ、内筒部40内に導入される。ファン140を通過した空気は、プロペラ型の羽根151によって大きくかき乱されて下方に押し出されるが、ファン140の内部を通過しないでその吐出し側の内筒部40内周面近傍に空気導入口43から吸い込まれて供給された空気は、乱れのほとんどない空気流である。このため前記乱れの大きい下向きの空気流の最外周が空気導入口43から供給された乱れのほとんどない空気流によって囲まれることになり、これによって内筒部40内を下降する空気流全体の流れがスムーズな一様な流れになる。さらに内筒部40内に設置した風向板80によって空気流がより直線状の流れになる。さらにこのファン付除菌装置1においては、前述のように、内筒部40内部の殺菌装置200,200の上側の部分の空間B1の上部にファン140のファンモータ153を設置しており、このファンモータ153の下面からは空気が吹き出されない。つまりファン140のリング形状の空気吐出し口149から吹き出された空気は、殺菌装置200の周囲に形成されるリング状の4つの空間A1,A2,A3,A4にそのまま導入されることとなり、この点からも内筒部40内を下降する空気流全体の流れがスムーズになる。
【0040】
一方前述のように一対の殺菌装置200,200は、それぞれ空間A1,A3内に、陽イオン発生部230と陰イオン発生部250とが上下位置に直線状に位置するように(空気の流れに一致するように)設置されている。同時に前述のように、空間A1〜A4内をそれぞれ流れる空気流は、直線状でスムーズな流れである。このため、陽イオン発生部230のプラズマ放電によって生じた水素イオン(H+)は、このスムーズな空気流に乗って、スムーズに確実に陰イオン発生部250近傍に運ばれる。特にこのファン付除菌装置1においては、一対の陽イオン発生部230と陰イオン発生部250とがそれぞれ区切られた空間A1,A3内に配置されているため、陽イオン発生部230において発生した水素イオン(H+)が空間A1,A2,A3,A4全体に広がることはなく、より確実にそれぞれの陰イオン発生部250近傍に運ばれる。
【0041】
陰イオン発生部250近傍に運ばれた水素イオン(H+)は、針状電極251のプラズマ放電により生じる電子(e-)と結合して活性水素(H)となり、同時に発生する酸素イオン(O2-)と結合することでハイドロペルオキシラジカル(HOO-)が生成される。このハイドロペルオキシラジカル(HOO-)は、空気流に乗って、内筒部40の下端面から下方に向けて吹き出される。吹き出されたハイドロペルオキシラジカル(HOO-)は、前述のように、室内の空気中の生物学的汚染源〔たとえばインフルエンザウイルス、コロナウイルス、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、カビ、アレル物質(ダニの死がい粉・ふん、ペットからのアレル物質など)〕を効果的に破壊する。同時に前記活性水素(H)の一部は、空気中に浮遊している活性酸素と結合して中和する。前述のように、内筒部40から下方(室内)に吐き出された下降する空気流はスムーズで直線状なので、吐き出された除菌・清浄化した空気は効率よく遠くまで(たとえば床面付近まで)到達し、室内全体の空気を効率よく循環できて室内全体を効果的に除菌・清浄化することができる。同時に室内温度の均一化も図れる。
【0042】
さらにこの実施形態の場合、市販されている外形形状が四角形状のファン140をそのまま用いて、内筒部40の上端辺40a上に設置するという簡単な構成だけで空気導入口43を形成しているので、空気導入口43の形成が容易に行え、好適である。
【0043】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記実施形態ではファン140のファンケース141としてこれを下から見た形状が四角形状のものを用いたが、3角形状や、5角形状以上の多角形状であってもよい。ファン140の構造も種々の変更が可能であり、プロペラ式のファンの代りに、斜流ファンなどを用いてもよい。また殺菌装置200の形状・構造や、設置する台数も種々の変更が可能である。上記実施形態では筒状ケース部60と上ケース部100の2部品によってケース10を構成したが、これら全体を1部品の成型品で構成してもよく、また筒状ケース60を構成する外筒部20と内筒部40とを別部品として構成してもよく、またケース10の材質を他の材質(各種金属材料や各種合成樹脂材料など)に変更してもよい。また上ケース部100の上面と側面とに設けた空気取入口120はその上面または側面のみに設けてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 ファン付除菌装置
10 ケース
20 外筒部
30 空気導入路
31 上部開口
33 下部開口
40 内筒部
40a 上端辺
43 空気導入口
60 筒状ケース部
80 風向板
90 連結板
100 上ケース部
120 空気取入口
140 ファン
146 外周辺
147 外壁
160 機器制御部
200 殺菌装置
230 陽イオン発生部
250 陰イオン発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒部内に空気導入路となる隙間を介して内筒部を配置するとともに、前記外筒部の上部を覆い且つその上面または側面に空気取入口を設けてなる上ケース部を設けてなるケースと、
前記ケース内の内筒部の上方に配置され、この内筒部内の空気を下方に向けて吹き出させるファンとを具備し、
前記内筒部の内周面に内筒部の中央に向けて突出する上下方向に向かう風向板を設置し、
前記内筒部内にこの内筒部内を上方から下方に向けて流れる空気中に活性水素と酸素イオンとを供給する殺菌装置を設置し、
さらに前記ケースの空気導入路の上部開口と前記ファンの外壁との間に空気導入路の下部開口から導入した空気を直接ファンの吐出側に供給する空気導入口を設けたことを特徴とするファン付除菌装置。
【請求項2】
請求項1に記載のファン付除菌装置であって、
前記殺菌装置は、プラス成分の高電圧の印加によりプラズマ放電させて空気中の水分から水素イオンを発生させる陽イオン発生部と、マイナス成分の高電圧の印加によりプラズマ放電させて電子およびスーパーオキサイドアニオン(O)を発生させる陰イオン発生部とを有し、前記内筒部内に、前記陽イオン発生部上を流れた空気が前記陰イオン発生部上を流れるように、上流側に前記陽イオン発生部、下流側に陰イオン発生部を配置したことを特徴とするファン付除菌装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のファン付除菌装置であって、
前記ファンはこれを下から見た外形形状が多角形状であって複数の外周辺を有し、前記内筒部の上端辺上にこのファンを設置することで、ファンの前記各外周辺から外方にはみ出す内筒部の開口部分を前記空気導入口としたことを特徴とするファン付除菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−264106(P2010−264106A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118737(P2009−118737)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(509137892)
【出願人】(508312740)株式会社 ECOビジネストレーディング (3)
【Fターム(参考)】