説明

ファームウェア更新システム及びファームウェア更新方法

【課題】オプション制御装置を制御する電子機器内のファームウェアの更新を適切に且つ容易に行うことができ、オプション装置の機能が増加した場合にも処理速度が低下することのないファームウェア更新システムの提供。
【解決手段】ファームウェア更新システム1は、複合機2とオプション装置3からなり、複合機2が、接続されたオプション装置3に記憶されたファームウェアのバージョン情報を受信し、複合機2が記憶しているファームウェアのバージョン情報と比較し、複合機2のバージョン情報の方が古い場合、複合機がオプション装置3から当該装置3が記憶しているファームウェアを受信してファームウェアを更新する。該更新が行われた場合、オプション装置3が、ファームウェア記憶部に記憶のファームウェア及びバージョン情報を消去すると共に当該ファームウェア記憶部をオプション装置3のワークエリアとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器とオプション装置が接続されてなりオプション装置を制御する電子機器内のファームウェアを更新するファームウェア更新システム及びファームウェア更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器、例えば複合機の製品開発の際、複合機本体とオプション装置が同時に開発され、同時発売されるのが一般的であるが、オプション装置の開発が遅れた場合や、装置本体の発売後に新たな機能等が追加されたオプション装置が発売される場合等には、そのオプション装置を制御する複合機本体のファームウェアを更新すなわちアップデートする必要がある。
【0003】
特許文献1には、プリンタにおいて、所定の書き換えプログラムを実行することで、プリンタのメモリに記憶された当該プリンタの制御プログラムを、両面印刷ユニットなどのオプション装置に記憶されている制御プログラムに書き換えることが開示されている。
しかしながら、ファームウェアの場合、バージョンを認識した後にアップデートを行なう必要がある。
【0004】
プリンタ等の画像形成装置のメモリに記憶されている情報を書き換える技術に関し、特許文献2には以下の技術が開示されている。すなわち、画像形成装置本体が記憶している動作時に必要な情報に版数の情報を持たせて装置本体内のメモリに記憶させると共に、画像形成装置本体との間で着脱可能なオプションユニットのメモリにも同内容を記憶させる。そして、オプションユニットに記憶されている版数が装置本体に記憶されている版数よりも高い時には、画像形成装置本体で記憶している情報をオプションユニットのメモリに記憶されている情報に書き換える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−160673号公報
【特許文献2】特開2006−211179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2には、オプション装置の機能が増加した場合の対処について何ら開示もされていない。オプション装置の機能が増加する毎にメモリ使用量、使用頻度が増加することからメモリのリソースが減少し処理速度が低下する問題があるが、この問題に関し、特許文献1,2には開示がない。
【0007】
本発明は、上述のような実情を鑑み、オプション制御装置を制御する電子機器内のファームウェアの更新を適切に且つ容易に行うことができ、また、オプション装置の機能が増加した場合にも処理速度が低下することのないファームウェア更新システムおよびファームウェア更新方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、ファームウェア更新システムであって、電子機器と該電子機器に接続されるオプション装置からなり、前記オプション装置が、当該オプション装置のファームウェア及びそのバージョン情報を記憶するファームウェア記憶部を有し、前記電子機器が、前記オプション装置のファームウェア及びそのバージョン情報を記憶し、前記オプション装置が接続された際に、前記オプション装置から記憶されているファームウェアのバージョン情報を受信し、当該電子機器が記憶しているバージョン情報と比較し、該電子機器が記憶しているバージョン情報の方が古い場合、前記オプション装置に記憶のファームウェアを受信し、前記電子機器に記憶のファームウェアを更新する更新制御部を有し、前記オプション装置は、前記電子機器において前記更新が行われた場合、前記オプション装置のファームウェア記憶部に記憶のファームウェア及びバージョン情報を消去すると共に、前記ファームウェア記憶部を前記オプション装置のワークエリアとすることを特徴としたものである。
【0009】
本発明の第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記オプション装置が、前記電子機器における前記比較の際、前記オプション装置に記憶のバージョン情報が、前記電子機器に記憶のバージョン情報と同じ場合あるいは同バー情報より新しい場合、前記オプション装置にファームウェア記憶部に記憶のファームウェア及びバージョン情報を消去すると共に、前記ファームウェア記憶部を前記オプション装置のワークエリアとすることを特徴としたものである。
【0010】
本発明の第3の技術手段は、電子機器にオプション装置を接続する際の、前記オプション装置を制御するファームウェアを更新するファームウェア更新方法であって、前記電子機器が、接続された前記オプション装置に記憶されたファームウェアのバージョン情報を受信し、当該電子機器が記憶しているファームウェアのバージョン情報と比較するステップと、前記電子機器が記憶しているバージョン情報の方が古い場合、前記電子機器が、前記オプション装置から当該オプション装置が記憶しているファームウェアを受信してファームウェアを更新するステップと、前記オプション装置が、前記更新が行われた場合、ファームウェア記憶部に記憶のファームウェア及びバージョン情報を消去すると共に当該ファームウェア記憶部を前記オプション装置のワークエリアとするステップと、を含むことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、オプション装置を制御する電子機器内のファームウェアの更新を適切に且つ容易に行うことができ、また、オプション装置の機能が増加した場合にも処理速度が低下することがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のファームウェア更新システムの一例を示す図である。
【図2】図1のファームウェア更新システムにおいて複合機にオプション装置が接続された時の処理の一例を示す図である。
【図3】図2のステップS4のファームウェア更新処理の一例を説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明のファームウェア更新システムの一例を示す図である。図1のファームウェア更新システム1は、電子機器2にオプション装置3が装着・接続されて成る。
【0014】
電子機器2は、例えばコピー機能とプリンタ機能を有する複合機である。以下、電子機器2を複合機2という。
複合機2は、原稿の画像を読取る画像読取部21と、画像データを記憶する画像メモリ22と、画像データに基づく画像を記録紙に形成する画像形成部23と、外部のコンピュータなどと通信を行う通信I/F24と、画像読取部21、画像メモリ22、画像形成部23及び通信I/F24が接続され、画像データに各種処理を行う画像処理部25と、複合機2全体の制御を行う本体側制御部26と、本体側制御部26に接続された本体側RAM(Random Access Memory)27、本体側ROM(Read Only Memory)28及び本体側ファームウェア記憶部29とを備える。を備える。
【0015】
画像読取部21は、原稿の画像を読取る例えばCCD(Charge Coupled Device)などを有し、原稿台上に載置された原稿や、自動原稿供給機構により供給される原稿を読取る。画像読取部21が読取った画像データは、画像処理部25に送られる。
【0016】
画像処理部25は、画像読取部21から受取った画像データや、通信I/F24を介して外部のコンピュータから受信した画像データを画像処理し、画像形成部23での印刷に適したものとし、DRAM(Dynamic RAM)などから成る画像メモリ22に記憶する。
【0017】
画像形成部23は、画像処理部25から受取った画像データを、例えばLSU(Laser Scanning Unit)などを用いて静電潜像として感光体表面に形成し、該静電潜像を現像剤で可視化し、該可視化した像をシートに転写し印刷する。
通信I/F24は、例えばLAN(Local Area Network)I/Fであり、外部のコンピュータなどから画像データを受信する。
【0018】
なお、図示は省略するが、複合機2は、さらに、ユーザからの操作を受け付けると共に各種画面を表示する操作表示部を有しており、該操作表示部は、例えば、各種キーを備えた操作パネルと、タッチパネル付きの液晶表示装置とからなり、当該操作表示部が受付けた指示に応じて本体側制御部26が複合機2内の各部を制御し、原稿の画像を画像読取部21に読取らせたり、読取った画像データを画像形成部23で印刷したりする。
【0019】
本体側制御部26は、CPU(Central Processing Unit)からなり、本体側RAM27をワークエリアとして用いつつ、本体側ROM28からプログラムを読みだして実行することで、複合機2全体を制御する。
また、本体側制御部26は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)などの本体側ファームウェア記憶部29に記憶されているファームウェアを実行して、オプション装置3を制御する。
本体側制御部26は、本体側ファームウェア記憶部29に記憶のファームウェアを更新する更新制御部26aを有する。更新制御部26aの詳細は後述する。
また、ファームウェア記憶部29は、上記ファームウェアに加えて、当該ファームウェアのバージョン情報を記憶する。
【0020】
一方、オプション装置3は、例えば両面印刷ユニットであり、オプション装置3全体の制御を行うオプション側制御部31と、オプション側制御部31に接続されたオプション側RAM32、オプション側ROM33及びオプション側ファームウェア記憶部34とを備える。オプション装置3を複合機2に装着した場合、本体側制御部26とオプション側制御部31とが専用のコネクタを介して接続され、両者の間で通信することができる。
【0021】
オプション側制御部31は、EEPROMなどのオプション側ROM33に記憶されている制御プログラムを実行して、オプション装置3内の各部を制御する。オプション側制御部31が一時的に使用するデータなどはオプション側RAM32に記憶される。
【0022】
オプション側制御部31は、CPUからなり、オプション側RAM32をワークエリアとして用いつつ、オプション側ROM33からプログラムを読みだして実行することで、オプション装置3全体を制御する。
【0023】
また、オプション側制御部31は、複合機2の本体側制御部26によって制御される。言い換えると、複合機2の本体側制御部26により、複合機2内の各部及びオプション装置3内の各部が制御される。
オプション側ファームウェア記憶部34は、例えばフラッシュメモリから成り、オプション装置3を制御するためのファームウェアを記憶し、さらに、該記憶しているファームウェアのバージョン情報を記憶する。これらの記憶はオプション装置3の出荷時に予め行われている。
【0024】
以上のような複合機2とオプション装置3とから成るファームウェア更新システムでは、複合機2にオプション装置3が装着された際に、本体側制御部26の更新制御部26aの制御により、複合機2は、オプション装置3からオプション側ファームウェア記憶部34に記憶のファームウェアのバージョン情報を受信し、本体側ファームウェア記憶部29に記憶のファームウェアのバージョン情報と比較する。そして、本体側ファームウェア記憶部29に記憶のファームウェアのバージョン情報の方が古い場合、オプション装置3からオプション側ファームウェア記憶部34に記憶のファームウェアを受信し、本体側ファームウェア記憶部34のファームウェアを更新する。
【0025】
上述の更新が行われると、オプション装置3では、オプション側ファームウェア記憶部34に記憶のファームウェア及びバージョン情報を消去し、オプション側ファームウェア記憶部34をオプション装置3の制御部31のワークエリアとして用いることができるようにする。
【0026】
したがって、ファームウェア更新システム1では、ファームウェアの更新を適切に且つ容易に行うことができ、また、オプション装置の機能が増加した場合にも、ファームウェア更新後にオプション側ファームウェア記憶部34もワークエリアとして利用するので、処理速度が低下することがない。
【0027】
図2は、図1のファームウェア更新システム1において複合機2にオプション装置3が接続された時の処理の一例を示す図である。
複合機2にオプション装置3が接続されると(ステップS1)、複合機2の本体側制御部26が、オプション装置3のオプション側制御部31との間で通信が確立されたか否か判定する(ステップS2)。
【0028】
通信の確立に失敗した場合(NOの場合)、処理を終了するが、通信が確立された場合(YESの場合)は、本体側制御部26が、オプション側制御部31と通信し、オプション側ファームウェア記憶部34にファームウェアが記憶されているか否か判定する(ステップS3)。記憶されていない場合(NOの場合)は、すなわち、以前にオプション装置3の複合機2への装着が行われファームウェア等の消去が行われていた場合は、処理を終了する。一方、オプション側ファームウェア記憶部34にファームウェアが記憶されている場合(YESの場合)、ファームウェア更新処理を行い(ステップS4)、処理を終了する。
【0029】
図3は、図2のステップS4のファームウェア更新処理の一例を説明する図である。
ファームウェア更新処理では、まず、本体側制御部26が、オプション装置3からオプション側ファームウェア記憶部31に記憶のファームウェアのバージョン情報を受信し(ステップS11)、本体側ファームウェア記憶部29に記憶のファームウェアのバージョン情報と比較し、ファームウェアの更新が必要な否か判定する(ステップS12)。
【0030】
記憶されているファームウェアのバージョンが、本体側ファームウェア記憶部29のものよりオプション側ファームウェア記憶部31のものが新しい場合(YESの場合)、更新制御部26aが、オプション側ファームウェア記憶部34に記憶のファームウェアを受信し(ステップS13)、本体側ファームウェア記憶部29に記憶のファームウェアを更新する(ステップS14)。
【0031】
そして、本体側制御部26が、更新が正常終了したか否か判定する(ステップS15)。この判定方法は、ファームウェア更新プロセス中にエラーが発生した場合、更新が正常終了しなかったと判定する。また、ファームウェア更新プロセス中にエラーが発生しなかった場合でも、更新後の本体側ファームウェア記憶部29に記憶のファームウェアのチェックサムと、オプション側ファームウェア記憶部34に記憶のファームウェアのチェックサムとを比較し、チェックサムが一致しない場合、更新が正常終了しなかったと判定する。
【0032】
更新が正常終了しなかった場合(ステップS15、NOの場合)、処理を終了するが、更新が正常終了した場合(ステップS15、YESの場合)、本体側制御部26の制御の下、オプション装置3が、オプション側ファームウェア記憶部34に記憶のファームウェア及びバージョン情報を消去し、オプション側ファームウェア記憶部34をオプション装置3の制御部31のワークエリアとして用いることができるようにする(ステップS16)。
【0033】
また、ステップS12において、記憶されているファームウェアのバージョンが、本体側ファームウェア記憶部29のものよりオプション側ファームウェア記憶部31のものが古い場合あるいは両者のバージョンが同じ場合(NOの場合)、ステップS16に移行し、本体側制御部26の制御の下、オプション装置3が、オプション側ファームウェア記憶部34に記憶のファームウェア及びバージョン情報を消去し、オプション側ファームウェア記憶部34をオプション装置3の制御部31のワークエリアとして用いることができるようにする(ステップS16)。
【符号の説明】
【0034】
1…ファームウェア更新システム、2…複合機、3…オプション装置、26…本体側制御部、26a…更新制御部、27…本体側RAM,28…本体側ROM、29…本体側ファームウェア記憶部、31…オプション側制御部、32…オプション側RAM、33…オプション側ROM、34…オプション側ファームウェア記憶部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器と該電子機器に接続されるオプション装置からなり、
前記オプション装置は、当該オプション装置のファームウェア及びそのバージョン情報を記憶するファームウェア記憶部を有し、
前記電子機器は、
前記オプション装置のファームウェア及びそのバージョン情報を記憶し、
前記オプション装置が接続された際に、前記オプション装置から記憶されているファームウェアのバージョン情報を受信し、当該電子機器が記憶しているバージョン情報と比較し、該電子機器が記憶しているバージョン情報の方が古い場合、前記オプション装置に記憶のファームウェアを受信し、前記電子機器に記憶のファームウェアを更新する更新制御部を有し、
前記オプション装置は、前記電子機器において前記更新が行われた場合、前記オプション装置のファームウェア記憶部に記憶のファームウェア及びバージョン情報を消去すると共に、前記ファームウェア記憶部を前記オプション装置のワークエリアとすることを特徴とするファームウェア更新システム。
【請求項2】
前記オプション装置は、前記電子機器における前記比較の際、前記オプション装置に記憶のバージョン情報が、前記電子機器に記憶のバージョン情報と同じ場合あるいは同バー情報より新しい場合、前記オプション装置にファームウェア記憶部に記憶のファームウェア及びバージョン情報を消去すると共に、前記ファームウェア記憶部を前記オプション装置のワークエリアとすることを特徴とする請求項1に記載のファームウェア更新システム。
【請求項3】
電子機器にオプション装置を接続する際の、前記オプション装置を制御するファームウェアを更新するファームウェア更新方法であって、
前記電子機器が、接続された前記オプション装置に記憶されたファームウェアのバージョン情報を受信し、当該電子機器が記憶しているファームウェアのバージョン情報と比較するステップと、
前記電子機器が記憶しているバージョン情報の方が古い場合、前記電子機器が前記オプション装置から当該オプション装置が記憶しているファームウェアを受信してファームウェアを更新するステップと、
前記オプション装置が、前記更新が行われた場合、ファームウェア記憶部に記憶のファームウェア及びバージョン情報を消去すると共に当該ファームウェア記憶部を前記オプション装置のワークエリアとするステップと、を含むことを特徴とするファームウェア更新方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−101451(P2013−101451A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244196(P2011−244196)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】