説明

フィットネスメニュー改善システム

【課題】インストラクターの熟練度に係らず、受講者の感想や要望に基づくだけで、受講者にとって最適なフィットネスメニューを制作できるフィットネスメニュー改善システムを提供する。
【解決手段】本発明のフィットネスメニュー改善システム1は、フィットネスメニューについての受講者のフィードバック情報の入力を受け付ける入力手段2と、入力手段2から入力されたフィードバック情報を記憶する記憶部3と、記憶部3に記憶されたフィードバック情報から、良好要素および問題要素の少なくとも一方を抽出する抽出手段5と、良好要素および問題要素の少なくとも一方に基づいて、フィットネスメニューの点数を計算する採点手段6と、点数に基づいて、フィットネスメニューの良否を判定する判定手段7と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィットネスクラブなどで受講者に教授されるフィットネスメニューを改善する改善システムであって、受講者の意見を効果的に反映して改善できるフィットネスメニュー改善システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向の高まりや趣味・生活の多様化に伴って、トレーニングジム、ヨガ、ピラティスなどのフィットネスクラブの運営やフィットネスクラブで受講する受講者が増えている。例えば、トレーニングジムにおいては、有酸素運動、エアロビクス、ウェイト運動などが行われ、ヨガやピラティスなどでは、インストラクターの指導に基づいて、メニューの実施が行われる。受講者は、自分の目的や希望に合わせたフィットネスの種類やメニューを選択する。
【0003】
なお、本明細書では、トレーニングジム、ヨガ、ピラティスなどの様々なフィジカル教室を提供する態様を、フィットネスクラブとして総称する。
【0004】
このようなフィットネスクラブの興隆に伴って、大手のトレーニングジムだけでなく、中規模のフィットネスクラブや個人経営のヨガ教室が開業されている。受講者は、自分の希望、通いやすさ、価格などに基づいて、いずれのフィットネスクラブを選択するかを決定している。
【0005】
しかしながら、フィットネスクラブの興隆に伴って、様々な企業・個人がフィットネスクラブを開業しているために、実際に運営されているフィットネスクラブの中には、教授する能力やスキルが低いフィットネスクラブが混在している問題がある。トレーニングジムなどでは、訓練や教育を受けていたり、資格を有していたりするインストラクターが受講者に教授することもある。しかしながら、実際には十分な訓練や教育を受けていないインストラクターが受講者に教授することもあり、受講者に適したトレーニングメニューを提供できていない問題もある。
【0006】
また、ヨガやピラティスにおいては、日本においてはインストラクターとしてこれらの教室を開業したり、受講者に教授したりすることに、資格は必要とされていない。このため、ヨガやピラティスに関して十分な知識、スキルを有していないインストラクターが、ヨガ教室やピラティス教室において受講者を教授している問題がある。
【0007】
このようなトレーニングジムや教室では、受講者の問題点や希望を十分に組み上げることができないままにフィットネスメニューを提供している可能性があり、受講者にとって最適なフィットネスメニューが提供されていない問題がある。受講者にとって最適なフィットネスメニューが提供されない状態であると、受講者は、これらのフィットネスクラブで本来得られる効果を得られない問題を有する。このような状況が放置されると、折角の健康志向によって多くの受講者を集めているトレーニングジム、ヨガ教室、ピラティス教室などのフィットネスクラブに対する受講者の信頼が損なわれ、フィットネスクラブは、ブームとして終わってしまう問題がある。
【0008】
このような状態で、トレーニングジムなどでのフィットネスクラブにおいて、受講者が自分の好み、熟練度、体力などに応じてフィットネスメニューを選択する技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−24491号公報
【特許文献2】特開2002−197193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1は、データ処理やデータ保存を一元的に行うサーバーコンピュータと、利用者が使用するWeb対応機能携帯端末やWebを閲覧できるパソコンなどを、インターネットで結ぶことによって、トレーニングメニューの提供やトレーニング記録を集中的に行う技術を開示する。このような技術によって、利用者は、自分の好みや履歴に応じて、最適なトレーニングメニューを選択できるようになる。
【0011】
特許文献2は、ネットワークで接続されたユーザとトレーナとの間でトレーニングメニューの最適化を行う技術を開示する。具体的には、ユーザとトレーニング事業者をインターネットで接続して、ユーザは、トレーニングメニューについて動画や音声によるCD−ROMを購入する。ユーザは、このCD−ROMに従ってトレーニングを行うことで、プログラムの進行段階に応じてトレーニング結果データをトレーニング事業者に報告する。事業者側のトレーナは、送られて来たデータからそのユーザのトレーニングの進捗状態を診断し、アドバイス等のコメントを含む診断データをユーザに送ると共に、次回に行うべきトレーニングメニューを提供する。
【0012】
確かに、多数の選択肢が用意されており、ユーザの熟練度に基づいてこれらの選択肢から選択できることはユーザにとってメリットが高い。
【0013】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示される技術は、受講者が自らの熟練度に基づいて、自動的にフィットネスメニューが選択されるに過ぎない。すなわち、複数のフィットネスメニューは予め決められており、ユーザは、これらの複数のフィットネスメニューから、いずれかを選択できるにすぎない。
【0014】
メニューが複数用意されていても、ユーザに適したメニューが存在するとは限らない。また、選択されたメニューが、ユーザにとって適していないとユーザが考える場合でも、ユーザの熟練度に基づく選択しかできないので、ユーザの感じる不安・疑念・不満を細かく拾い上げてメニューが選択されることは難しい。
【0015】
このように、特許文献1、特許文献2などに開示される従来技術では、ユーザの不安・疑念・不満を分析してフィットネスメニューが改善されることがない問題があった。すなわち、従来技術は、ユーザの要望などを細かくくみ上げたフィットネスメニューが提供されないという問題が存在する。言い換えると、ユーザの観点からは、既存のフィットネスメニューが、自らの不安・疑念・不満(ユーザは当然ながら、改善のポイントを指摘できないので、現在のメニューに対する不安等を伝えることしかできない)に基づいて改善されることが求められる。
【0016】
一方、現在のように十分な知識・スキル・資格のないインストラクターが多く存在する状態では、フィットネスクラブの運営においては、これら不十分なインストラクターでも、ユーザの要望を簡単にくみ上げてフィットネスメニューの改善ができることが求められている。もちろん、熟練のインストラクターであれば、独自のノウハウや経験に基づいてユーザの不安・疑念・不満に基づいて、即興的にフィットネスメニューを改善できる。しかし、このようなインストラクターの経験に基づくのでは、増加する受講者数やフィットネスメニューの改善要望に、インストラクターの成長が追いつかない問題もある。
【0017】
すなわち、フィットネスクラブを運営する観点に基づくと、インストラクターの熟練度の向上に先んじて、十分な品質を保ちつつシステム化されたフィットネスメニューの改善を行うことが求められる。
【0018】
特に、ユーザの観点および運営側の観点のいずれにおいても、ユーザの不安・疑念・不満等に基づくだけで、フィットネスメニューの改善ができることが求められている。
【0019】
すなわち、(1)多くのフィットネスクラブが乱立している、(2)十分な知識・スキルを有していないインストラクターが多く存在する、(3)受講者も自分の要望や不満をどのように伝えてよいか分からない、といった現在の状況においては、従来技術のように、予め用意されたフィットネスメニューからの選択ではなく、既存のフィットネスメニューを、受講者の不安・疑念・不満に基づいて、改善していきながら、受講者に最適なフィットネスメニューを、システム的に提供できるようにすることが求められている。
【0020】
本発明は、上記課題に鑑み、インストラクターの熟練度に係らず、受講者の感想や要望に基づくだけで、受講者にとって最適なフィットネスメニューを制作できるフィットネスメニュー改善システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題に鑑み、本発明のフィットネスメニュー改善システムは、フィットネスメニューについての受講者のフィードバック情報の入力を受け付ける入力手段と、入力手段から入力されたフィードバック情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶されたフィードバック情報から、良好要素および問題要素の少なくとも一方を抽出する抽出手段と、良好要素および問題要素の少なくとも一方に基づいて、フィットネスメニューの点数を計算する採点手段と、点数に基づいて、フィットネスメニューの良否を判定する判定手段と、を備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明のフィットネスメニュー改善システムは、受講者からのフィードバック情報に基づくだけで、受講者におけるフィットネスメニューの良好点/問題点を把握できる。更に、これらの良好点/問題点の把握に基づいて、フィットネスメニュー改善システムは、フィットネスメニューを、受講者にとって最適なものに改善できる。
【0023】
また、フィットネスメニュー改善システムは、受講者からのフィードバック情報に基づくだけで、自動で分析や改善を行えるので、熟練度の低いインストラクターであっても、受講者に最適なフィットネスメニューを提供できるようになる。
【0024】
更には、複数のフランチャイズを展開するフィットネスクラブであれば、このフィットネス改善メニューを基幹要素とすることで、熟練度の低いインストラクターやフランチャイズにおけるフィットネスメニューの品質を維持したり高めたりすることができる。結果として、フランチャイズのいずれで受講する受講者であっても、保証された品質のフィットネスメニューを受けることができ、運営側および受講側のいずれにも高いメリットが生じる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1におけるフィットネスメニュー改善システムのブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1におけるフィットネスメニュー改善システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1における改善システムの実施態様の一例を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態1におけるフィードバック情報のフォーマット例である。
【図5】本発明の実施の形態1におけるフィードバック情報に含まれるフォーマットの一例である。
【図6】本発明の実施の形態1におけるフィードバック情報のフォーマットの一態様である。
【図7】本発明の実施の形態1における判定手段の周辺ブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態2におけるフィットネスメニューの構成図である。
【図9】本発明の実施の形態2におけるフィードバック情報のフォーマットの一例である。
【図10】本発明の実施の形態3における改善システムの使用態様の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の第1の発明に係るフィットネスメニュー改善システムは、フィットネスメニューについての受講者のフィードバック情報の入力を受け付ける入力手段と、入力手段から入力されたフィードバック情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶されたフィードバック情報から、良好要素および問題要素の少なくとも一方を抽出する抽出手段と、良好要素および問題要素の少なくとも一方に基づいて、フィットネスメニューの点数を計算する採点手段と、点数に基づいて、フィットネスメニューの良否を判定する判定手段と、を備える。
【0027】
この構成により、フィットネスメニュー改善システムは、客観的な情報および受講者の感想に基づいて、フィットネスメニューの良否を判定できる。
【0028】
本発明の第2の発明に係るフィットネスメニュー改善システムでは、第1の発明に加えて、入力手段がコンピュータ装置に付属する場合であって、フィードバック情報は、キーボードもしくはタッチパネルから入力される、もしくは手書き用紙の読み取りによって入力される。
【0029】
この構成により、入力手段は、様々な方式でフィードバック情報を受け付けることができる。
【0030】
本発明の第3の発明に係るフィットネスメニュー改善システムでは、第1又は第2の発明に加えて、記憶部は、ハードディスク、光ディスク、磁気ディスクおよび半導体メモリの少なくとも一つを有する。
【0031】
この構成により、記憶部は、既存の設備を有効活用できる。
【0032】
本発明の第4の発明に係るフィットネスメニュー改善システムでは、第1から第3のいずれかの発明に加えて、抽出手段、採点手段および判定手段の少なくとも一部は、コンピュータ装置が備える中央演算処理装置に含まれる。
【0033】
この構成により、フィットネスメニュー改善システムは、既存のコンピュータを活用できる。
【0034】
本発明の第5の発明に係るフィットネスメニュー改善システムでは、第1から第4のいずれかの発明に加えて、フィードバック情報は、既存のチェック項目に回答するチェック回答と受講者が自由に記載する自由回答とを含んでおり、抽出手段は、チェック回答および自由回答の少なくとも一方に基づいて、良好要素と問題要素とを抽出する。
【0035】
この構成により、抽出手段は、様々な視点における受講者の感想や要望から、良好要素および問題要素を抽出できる。
【0036】
本発明の第6の発明に係るフィットネスメニュー改善システムでは、第5の発明に加えて、チェック回答が点数に応じたチェックを有する場合に、採点手段は、チェック回答より得られる第1点数を計算する。
【0037】
この構成により、採点手段は、簡単にフィットネスメニューを採点できる。
【0038】
本発明の第7の発明に係るフィットネスメニュー改善システムでは、第5又は第6の発明に加えて、抽出手段は、自由回答に含まれるポジティブワードとネガティブワードに基づいて、良好要素および問題要素の少なくとも一方を抽出し、採点手段は、良好要素と問題要素の比率に基づいて、第2点数を計算する。
【0039】
この構成により、採点手段は、より自由度の高い採点を行える。
【0040】
本発明の第8の発明に係るフィットネスメニュー改善システムでは、第6の発明に加えて、判定手段は、第1点数が所定値以上の場合には、フィットネスメニューを良好であると判定する。
【0041】
この構成により、判定手段は、最適な状態でフィットネスメニューを判定できる。
【0042】
本発明の第9の発明に係るフィットネスメニュー改善システムでは、第7の発明に加えて、判定手段は、第2点数が所定値以上の場合には、フィットネスメニューを良好であると判定する。
【0043】
この構成により、判定手段は、自由な感想に基づいて、フィットネスメニューを判定できる。
【0044】
本発明の第10の発明に係るフィットネスメニュー改善システムでは、第6又は第7の発明に加えて、判定手段は、第1点数および第2点数の合計が所定値以上の場合には、フィットネスメニューを良好であると判定する。
【0045】
この構成により、判定手段は、より高い精度で判定できる。
【0046】
本発明の第11の発明に係るフィットネスメニュー改善システムでは、第1から第11のいずれかの発明に加えて、判定手段は、フィットネスメニューを構成する構成要素毎の良否を、点数に基づいて判定する構成判定機能を有する。
【0047】
この構成により、フィットネスメニュー改善システムは、フィットネスメニューの構成要素毎に、その良否を判定して改善できる。
【0048】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
【0049】
(実施の形態1)
【0050】
実施の形態1について説明する。
(全体概要)
まず、実施の形態1における誘導体の全体概要を、図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1におけるフィットネスメニュー改善システムのブロック図である。図1は、実施の形態1におけるフィットネスメニューを改善するシステムの全体像を示している。
【0051】
フィットネスメニュー改善システム1(以下、「改善システム1」という)は、入力手段2、記憶部3、抽出手段5、採点手段6、判定手段7を備えている。これらの要素を有することで、改善システム1は、受講者より入力されたフィードバック情報に基づき、対象となるフィットネスメニューの良否を判定できる。
【0052】
入力手段2は、対象となるフィットネスメニューについての受講者のフィードバック情報の入力を受け付ける。この入力手段2の受け付けによって、対象となるフィットネスメニューに対する受講者の感想や要望に関する生情報が、改善システム1に入力される。記憶部3は、入力手段2で受け付けられたフィードバック情報を記憶する。すなわち、記憶部3は、入力手段2と電気信号のやり取りが可能な状態で電気的に接続されている。記憶部3は、フィードバック情報を、入力手段2が受け付けた態様のままで記憶しても良いし、何らかの態様に加工した状態で記憶しても良い。
【0053】
抽出手段5は、記憶部3からフィードバック情報を読み出して、フィードバック情報から良好要素および問題要素の少なくとも一方を抽出する。抽出手段5は、フィードバック情報に含まれる様々な要素から、受講者にとって対象となるフィットネスメニューに対する良好な感想や問題のある感想を抽出する。この抽出によって、対象となるフィットネスメニューの良否の判定等が可能となる。抽出手段5は、抽出した良好要素と問題要素を、採点手段6に出力する。
【0054】
採点手段6は、抽出手段5から得られた良好要素および問題要素の少なくとも一方に基づいて、対象となるフィットネスメニューの点数を計算する。この採点による点数が、対象となるフィットネスメニューの評価基準となる。採点手段6は、採点した点数を判定手段7に出力する。
【0055】
判定手段7は、得られた点数に基づいて、対象となるフィットネスメニューの良否を判定する。すなわち、判定手段7は、対象となるフィットネスメニューが、受講者にとって好評である、不評である、何らかの問題点を含んでいる、改善すべき点がある、あるいは改善すべき点は無い、などといった、フィットネスメニュー作成者(インストラクター、メニュー設計者、フィットネスクラブ運営者)にとって有用な結果を提供できる。
【0056】
なお、図1においては、抽出手段5、採点手段6、判定手段7を点線で囲ったブロック4が記載されている。これは、例えば、これら抽出手段5、採点手段6、判定手段7は、コンピュータによって実現される場合には、このブロック4は、コンピュータ(言い換えると中央演算処理装置とその周辺要素)に該当する。
【0057】
記憶部3は、ブロック4のコンピュータに直接的・間接的にネットワーク接続されるハードディスクや半導体メモリである。
【0058】
(処理手順)
フィットネスメニュー改善システム1を用いた実際の処理手順について図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態1におけるフィットネスメニュー改善システムの処理手順を示すフローチャートである。
【0059】
フィットネスメニュー改善システム1は、汎用のパーソナルコンピュータや専用の装置によって実現される。このため、フィットネスメニュー改善装置1は、フィットネスクラブの窓口やオフィスに設置されていることが多い。入力手段2は、コンピュータに付属するキーボード、タッチパネル、操作パネル、スキャナなどの要素を有している。
【0060】
受講者は、これらの入力手段2を介して、対象となるフィットネスメニューについての感想や要望をフィードバック情報として入力する場合(ステップST11)と、手書きで記載した感想や要望をフィードバック情報としてフィットネスクラブ担当者に手渡しする場合(ステップST12)とで、フィードバック情報を入力する。
【0061】
ステップST12によって、受講者が手書きでフィードバック情報を作成する場合には、ステップST2にて、スキャナなどを用いて、入力手段2が手書きのフィードバック情報を読み込む。あるいはフィットネスクラブの担当者が代理で手書きのフィードバック情報から必要な情報を抽出しながら、キーボードやタッチパネルなどの入力手段2の要素を用いてフィードバック情報を入力する。
【0062】
これらの入力を通じて、記憶部3は、ステップST3にて、入力されたフィードバック情報を記憶する。例えば、記憶部3は、コンピュータに付属するハードディスクドライブ、光ディスク、磁気ディスクおよび半導体メモリの少なくとも一つを有し、これらの要素を用いて、記憶部3は、フィードバック情報を記憶する。
【0063】
次に、ステップST4にて抽出手段5は、記憶部3に記憶されているフィードバック情報に含まれる良好要素および問題要素の少なくとも一方を抽出する。このとき、抽出手段5は、フィードバック情報に含まれる定型的なワード、項目、点数などに基づいて良好要素および問題要素の少なくとも一方を抽出する。
【0064】
例えば、フィードバック情報に、「良い・普通・悪い」という選択項目が存在し、「良い」にチェックが付いている場合には、抽出手段5は、このチェック結果を「良好要素」として抽出し、「悪い」にチェックが付いている場合には、抽出手段5は、このチェック結果を「問題要素」として抽出する。あるいは、抽出手段5は、フィードバック情報に含まれる種々のキーワードのポジティブな用語を「良好要素」として抽出し、ネガティブな用語を「問題要素」として抽出する。抽出手段5は、ステップST4にて抽出した良好要素と問題要素とを、採点手段6に出力する。
【0065】
採点手段6は、ステップST5にて、良好要素および問題要素の少なくとも一方に基づいて、対象となるフィットネスメニューを採点する。例えば、良好要素の数と問題要素の数の差分によって、採点手段6は、フィットネスメニューを採点する。採点手段6は、採点結果を、判定手段7に出力する。
【0066】
次に、判定手段7は、ステップST6にて、採点結果(採点手段6にて計算された点数)に基づいて、対象となるフィットネスメニューの良否を判定する。例えば、採点手段6より得られる点数が所定値以上の場合には、対象となるフィットネスメニューが受講者にとって好感が良かったとして、判定手段7は、当該フィットネスメニューを「良」と判定する。逆に、採点手段6より得られる点数が所定値未満の場合には、対象となるフィットネスメニューが受講者にとって問題があるとして、判定手段7は、当該フィットネスメニューを「問題(不良)」として、判定する。
【0067】
この所定値は、フィットネスメニューの種類、受講者の属性、受講者のレベル、フィットネスクラブの特性などに合わせて適宜設定されればよい。もちろん、所定値は、可変であってよい。
【0068】
最後に、ステップST7にて、判定結果が記憶され(記憶部3でも良いし、別の記憶装置に記憶されても良い)たり、判定結果が表示されたりする。記憶や表示は必須用件ではなく、フィットネスクラブの運営者(インストラクターも含む)が、対象となるフィットネスメニューの判定結果を認識できる状態になればそれでよい。
【0069】
以上、図2のフローチャートに示されるような処理手順で、改善システム1は、対象となるフィットネスメニューを、実際に受講している受講者の意見に基づいて、その良否を判定することができる。この判定結果を受けたフィットネスクラブの運営者は、当該フィットネスメニューの改善を行う事もできるので、フィットネスクラブのレベルが更に高まる。レベルが高まると、受講者にとってもメリットが生じる。当然、受講者のリタイア率も下がり、フィットネスクラブの運営者および経営にとってもメリットが高い。
【0070】
すなわち、実施の形態1における改善システム1は、運営者と受講者との間でのコミュニケーションを仲立ちしつつ、両者の相乗効果で、互いへのメリットを生じさせることができる。
【0071】
(実施態様)
次に、改善システム1の実際の実施態様の例について説明する。図3は、本発明の実施の形態1における改善システムの実施態様の一例を示す模式図である。図3では、コンピュータ20が示されている。コンピュータ20は、市販されている汎用のもの、専用のもの、ワークステーションなどの特殊性の高いもの、など様々なものを含む。
【0072】
コンピュータ20は、キーボード21、本体22、表示装置23を備えている。キーボード21は、コンピュータ20に付属している要素であり、入力手段2の機能を実行する。また、コンピュータ20は、キーボード21以外にタッチパネルを備えていても良く、入力手段2は、キーボードもしくはタッチパネルからフィードバック情報を入力しても良い。あるいは、コンピュータ20は、スキャナを備えており、入力手段2は、手書きのフィードバック情報をこのスキャナを介して入力しても良い。
【0073】
コンピュータ20は、その本体22内部にハードディスクドライブなどを備えている。記憶部3は、このハードディスクドライブなどによって実現される。キーボード21は、本体22に電気的に接続しているので、キーボード21から入力された情報は、本体22に出力される。すなわち、本体22に含まれる記憶部3にフィードバック情報が記憶されるようになる。
【0074】
また本体22は、中央演算処理装置やこれの周辺要素を有している。この中央演算処理装置によって、本体22は、様々な演算を実行できる。この本体22に含まれる中央演算処理装置(例えば、周辺要素であるROMやRAMから演算に必要なプログラムを読み出したり結果を書き出したりする)は、抽出手段5、採点手段6および判定手段7の機能を実行する。すなわち、コンピュータ20の本体22が、改善システム1の演算に関る機能を実行できる。
【0075】
また、コンピュータ20は、表示装置23を有しており(たとえば液晶モニター)、この表示装置23は、判定結果を表示したり、処理の途中経過を表示したりする。
【0076】
このように、改善システム1は、その実施態様の一例として、コンピュータ20によって実現される。もちろん、これに限定されるものではなく、他の実施態様によって実現されても良い。
【0077】
次に、各部の詳細について説明する。
【0078】
(入力手段)
入力手段2は、上述の通り、受講者がフィードバック情報を入力するもしくは受講者が手書きで作成したフィードバック情報を電気的に入力する機能を有する。このため、入力手段2は、受講者によって操作される場合とフィットネスクラブの運営者(経営者ということではなく、運営に関るスタッフなど全般)によって操作される場合とがある。
【0079】
入力手段2は、キーボード、手書き入力デバイス、タッチパネルおよびスキャナの少なくとも一つの要素を備える。入力手段2は、これらの要素のいずれかあるいは全部を用いて、受講者によってあるいは運営者によって、対象となるフィットネスメニューのフィードバック情報を受け付ける。入力手段2は、入力されたフィードバック情報を記憶部3に出力する。
【0080】
なお、入力手段2によるフィードバック情報の入力は、フィットネスメニューの良否の判定と同時並行的に行われても良いし、判定とは別個に予め行われていても良い。例えば、多量のフィードバック情報が入力手段2で予め入力されておき、この入力された多量のフィードバック情報が記憶部3で記憶されていることもよい。すなわち、記憶部3が、多量(少量であってももちろんよい)のフィードバック情報を記憶しておき、フィットネスクラブの運営者の対応可能な状況によって、判定作業が行われればよい。
【0081】
(記憶部)
記憶部3は、フィードバック情報を記憶する。また、記憶部3は必要に応じて、判定手段7での判定結果や、判定処理における中間データを記憶する。
【0082】
記憶部3は、入力手段2や抽出手段5と電気的に接続されるハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、磁気ディスクドライブおよび半導体メモリの少なくとも一つを有する。更には、これらの要素を制御する制御部を備えている。記憶部3は、これ等の要素を備えることで、電気信号に変換されたフィードバック情報を記憶できる。
【0083】
また、記憶部3は、入力手段2や抽出手段5と電気的に接続されているが、これは、インターネット、イントラネットなどのネットワークを介して接続されていても良い。あるいは、記憶部3は、入力手段2や抽出手段5と電気的にあるいはネットワークを介して接続されてなく、CDやUSBメモリなどの媒体で接続されてもよい。
【0084】
記憶部3は、フィットネスクラブのデータベースと合わせて設置されても良い。例えば、フィードバック情報はフィットネスクラブの運営においては、重要な情報であるので、フィットネスクラブの他の情報(経営情報など)と合わせて、データベースとしての記憶部3が、フィードバック情報を記憶しても良い。
【0085】
また、記憶部3は、単一の記憶要素ではなく、複数の記憶要素から構成されても良い。例えば、フランチャイズ形式のフィットネスクラブの場合には、支店のそれぞれに記憶部3が設置されており、抽出手段5などの処理装置が本店にあるなども考えられる。
【0086】
(抽出手段)
改善システム1がコンピュータによって実現される場合には、抽出手段5、採点手段6および判定手段7の少なくとも一部は、コンピュータが備える中央演算処理装置に含まれる(実現される)。このため、抽出手段5、採点手段6および判定手段7の少なくとも一つは、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方によって実現される。例えば、抽出手段5、採点手段6および判定手段7のアルゴリズムを実行する演算回路によってこれらの手段が実現されても良いし、これらのアルゴリズムを実行するコンピュータプログラムによってこれらの手段が実現されても良い。
【0087】
抽出手段5は、フィードバック情報から良好要素および問題要素の少なくとも一つを抽出する。
【0088】
ここで、フィードバック情報のフォーマットによって異なる態様で、抽出手段5は、良好要素および問題要素を抽出する。
【0089】
(フィードバック情報のフォーマット)
フィードバック情報は、様々なフォーマットを有している。フィードバック情報は、あるフォーマットで形成されても良いし、種々のフォーマットを含んでいても良い。
【0090】
例えば、フィードバック情報は、既存のチェック項目に回答するチェック回答のフォーマットを含む。図4は、本発明の実施の形態1におけるフィードバック情報のフォーマット例である。図4は、フィードバック情報であって、チェック回答のフォーマットを示している。図4のフォーマットでは、縦列に1〜8の質問項目が表されている。質問項目1〜8のそれぞれは、フィットネスクラブの運営側によって作成されている既存の質問である。質問項目1〜8のそれぞれにおいては、「良い」、「普通」、「悪い」に対応するチェックボックスが記載されている。
【0091】
受講者は、このチェックボックスのそれぞれにチェック印をつけることで、フィードバック情報を入力することができる。例えば、図4に示されるフォーマットが紙であれば、受講者はこれにチェック印を付ける。図4に示されるフォーマットがコンピュータ上で表示されれば、受講者はコンピュータの入力手段を用いてチェックをつける。
【0092】
チェックボックスは、質問項目と評価レベル(良い、普通、悪い)とのマトリクスになっているので、抽出手段5は、このチェックボックスにチェックされた位置に応じて、良好要素および問題要素を抽出できる。例えば、「良い」とのチェックボックスにチェックがなされていれば、抽出手段5は、これを良好要素として抽出する。逆に、「悪い」とのチェックボックスにチェックがなされていれば、抽出手段5は、これを問題要素として抽出する。また、抽出手段5は、良好要素および問題要素の少なくとも一方を抽出するだけでなく、チェック項目毎の点数要素を抽出しても良い。
【0093】
あるいは、フィードバック情報は、図5に示されるように、所定の質問項目に対する点数を受講者が付けるフォーマットであっても良い。図5は、本発明の実施の形態1におけるフィードバック情報に含まれるフォーマットの一例である。図5のフォーマットは、複数の質問項目のそれぞれに、100点〜0点の範囲で、受講者が点数を付与することができる形式を有している。抽出手段5は、この質問項目ごとに付与された点数を抽出する。この点数の抽出が、良好要素および問題要素の少なくとも一方の抽出に相当する。
【0094】
また、フィードバック情報は、受講者が自由に記載できる自由回答のフォーマットを有していてもよい。図6は、本発明の実施の形態1におけるフィードバック情報のフォーマットの一態様である。図6に示されるフォーマットは、受講者による対象となるフィットネスメニューに対する自由回答である。図6では、例えば、内容や時間に対する受講者の感想や要望が自由に記載されている。
【0095】
抽出手段5は、この自由回答の文章中に含まれるポジティブワードおよびネガティブワードに基づいて、良好要素および問題要素の少なくとも一方を抽出する。例えば、図6の自由回答においては、太字で斜体となっている部分が、ポジティブな内容である。すなわち、この太字で斜体(例えば、「ちょうどよい」との記載)の部分は、ポジティブワードであると、抽出手段5は判定する。このため、このポジティブワードを良好要素として抽出する。図6では、このポジティブワードは2箇所あるので、例えば、抽出手段5は、良好要素が2個あるとして判定する。
【0096】
一方、図6の自由回答では、下線部分(例えば、「早過ぎた」)をネガティブワードとして抽出手段5は、判定する。この結果、抽出手段5は、このネガティブワードを問題要素として抽出する。良好要素と同様に、図6の自由回答ではネガティブワードが3箇所あるので、問題要素が3個であるとして判定する。
【0097】
このように、抽出手段5は、チェック回答、点数および自由回答など様々なフォーマットを有するフィードバック情報から、良好要素および問題要素の少なくとも一方を抽出する。これらの良好要素および問題要素は、受講者の感想や要望に基づく、フィットネスメニューへの改善基準となるので、フィットネスメニューの改善にとって有益な情報となる。
【0098】
抽出手段5は、チェック回答、点数および自由回答の少なくとも一部に基づいて、これらから抽出できる良好要素および問題要素の少なくとも一方を抽出できる。このため、抽出手段5は、チェック回答と自由回答の両方からそれぞれ良好要素および問題要素を抽出しても良い。また、抽出する形式も、点数としての形式、離散値としての形式、ワードとしての形式など、様々である。
【0099】
抽出手段5は、これら抽出した良好要素や問題要素、あるいは点数、良好要素や問題要素の数などを、採点手段6に出力する。
【0100】
(採点手段と判定手段)
採点手段6は、抽出手段5から得られる良好要素および問題要素の少なくとも一方に基づいて対象となるフィットネスメニューを採点する。
【0101】
例えば、フィードバック情報が、図4や図5のようにチェック回答のフォーマットを有している場合には、抽出手段は、この離散値的な回答から、良好要素および問題要素を抽出する。更に、この結果は採点手段6に出力される。
【0102】
このとき、図4や図5のようなフォーマットを有するフィードバック情報の場合には、採点手段6は、チェック回答や点数回答に基づいて、対象となるフィットネスメニューの点数を計算できる。このチェック回答や点数回答に基づく点数を、採点手段6は、第1点数として計算する。
【0103】
この第1点数は、チェック回答や点数回答に基づくので、採点手段6にとっては、容易にその点数を計算できるメリットがある。加えて、第1点数は、受講者の記載したチェック回答や点数回答に基づくので、受講生の考える点数を直接的に表していると考えることができる。このため、この第1点数は、改善システム1にとっては、効率的かつ精度の高い評価基準である。
【0104】
採点手段6は、この第1点数を判定手段7に出力する。
【0105】
判定手段7は、この第1点数に基づいて、対象となるフィットネスメニューの良否を判定する。例えば、第1点数が所定値以上の場合には、判定手段7は、当該フィットネスメニューを「良好」であると判定する。逆に、第1点数が所定値未満の場合には、判定手段7は、対象となるフィットネスメニューを「問題(良好ではない)」として判定する。
【0106】
第1点数は、上述の通り、受講者の採点を直接的に反映していると考えられるので、第1点数と所定値との比較によって、判定手段7は、容易かつ高い精度で、フィットネスメニューの良否を判定できる。また、チェック回答や点数回答は、受講者にとって記載や入力が容易であるので、受講者は飽きたり疲れたりすること無く、フィードバック情報を入力しているものと考えられる。この点からも、判定手段7が第1点数に基づいて、フィットネスメニューの良否を判定することは好適である。
【0107】
また、抽出手段5は、図6のような自由回答に基づいて、良好要素および問題要素の少なくとも一方を抽出できる。このとき、図6を例にすると、良好要素となりうる部分は2つであり問題要素となりうる部分は3つである。これらの、良好要素の個数および問題要素の個数が、抽出手段5より採点手段6に出力されている。
【0108】
採点手段6は、この良好要素と問題要素との比率に基づいて、第2点数を計算する。例えば、図6の自由回答では、良好要素の個数が2個であり、問題要素の個数が3個である。この結果、良好要素は、40%であるので、採点手段6は、対象となるフィットネスメニューの第2点数を、「40点」と計算する。
【0109】
あるいは、図6の自由回答では、良好要素の個数が2個であり、問題要素の個数が3個であるが、単純比率だけではなく重み付け比率によって、採点手段6は第2点数を計算しても良い。例えば、一つの良好要素は一つの問題要素の2個分の割合であると考えて、採点手段6は採点しても良い。この場合には、良好要素が4個、問題要素が3個となるので、採点手段6は、第2点数を「57点」として計算する。
【0110】
更には、質問項目によって重み付けをすることも好適である。例えば、内容に関る質問項目は他の質問項目の2倍の重みを有するとする。この場合には、「内容のバリエーション」との質問項目には、良好要素があり、「内容の難易度」との質問項目には、問題要素がある。このため、良好要素は3個、問題要素は4個となって、採点手段6は、第2点数を、「43点」として計算する。
【0111】
以上のように、採点手段6は、自由回答の中に含まれる良好要素および問題要素に基づいて、第2点数を計算する。ここで、説明した良好要素および問題要素に基づく計算の基準は一例であり、様々な重み付けや他の処理を施すことで、採点手段6は、より受講者の感想や要望に対応する第2点数を計算できる。
【0112】
また、採点手段6は、計算したこの第2点数を、第1点数と同様に判定手段7に出力する。もちろん、採点手段6は、第1点数および第2点数のいずれかのみを計算することもあるし、両方を計算することもある。あるいは、採点手段6は、第1点数および第2点数以外の点数(具体的な数値であったり、数値以外であったりする)を計算して、判定手段7に出力しても良い。
【0113】
判定手段7は、採点手段6より出力された第2点数に基づいて、対象となるフィットネスメニューの良否を判定する。例えば、第2点数が所定値以上の場合には、判定手段7は、当該フィットネスメニューを「良好」として判定する。逆に、第2点数が所定値未満の場合には、当該フィットネスメニューを「問題(良好ではない)」として判定する。もちろん、良好でも問題でもない、「普通」との判定を加えても良い。
【0114】
第2点数は、受講者の自由回答からポジティブワードやネガティブワードを抽出することで得られる。このため、チェック回答や点数回答と異なり、受講者は点数を付けるという気持ちで回答していない。すなわち、自由回答は、受講者の素直な感想が現れていると考えられる。言い換えると、点数に引きずられない恣意のない感想が含まれていると考えられる。このような自由回答に基づく第2点数は、対象となるフィットネスメニューに対する受講者の評価を高く表していると考えられる。このため、判定手段7が、この第2点数に基づいてフィットネスメニューの良否を判定することは、フィットネスクラブの運営者および受講者の双方にとってメリットが高いと考えられる。
【0115】
判定手段7は、第2点数を所定値と比較するだけでなく、所定値との差分値に基づいて判定しても良い。また、第2点数の設定は、フィットネスメニューの種類、特性、時間、受講者の属性、レベルなどによって、適宜定められれば良い。例えば、フィットネスメニューが初心者向きである場合には、当該フィットネスメニューは、受講者側の感想により強く基づいて改善されるべきである。このため、第2点数と比較する所定値を高めに設定することが好ましい。この結果、判定手段7は、対象となるフィットネスメニューを、「良好」と判定するよりも「問題」として判定しやすくなる。結果として、フィットネスクラブ運営者に、初心者向けのフィットネスメニューを見直す機会を与えやすくなる。
【0116】
一方、対象となるフィットネスメニューが上級者向きである場合には、フィットネスメニュー作成者は、上級者に対しての必要と思われることを盛り込んでいるメニューである。この場合に、受講者の感想や要望に引きずられると、上級者のスキルアップに繋がりにくいとも考えられる。このため、第2点数と比較される所定値は、低めに設定することが好ましい。この結果、判定手段7は、対象となるフィットネスメニューを、「問題」と判定するよりも「良好」として判定しやすくなる。結果として、フィットネスクラブ運営者は、上級者のスキルアップを主導的に進めやすくなる。
【0117】
この第2点数と比較される所定値の設定の工夫は、第1点数と比較される所定値の工夫にも応用できる。
【0118】
また、判定手段7は、第1点数および第2点数の両方に基づいて、フィットネスメニューの良否を判定しても良い。図7は、本発明の実施の形態1における判定手段の周辺ブロック図である。
【0119】
判定手段7は、第1点数および第2点数の両方を受け取ることができる。上記では、第1点数に基づく判定、第2点数に基づく判定のそれぞれを、別個に行うことを説明した。ここで、第1点数は、チェック回答や点数回答などの直接的かつ簡便な回答に基づいており、第2点数は、受講者の自由記載に基づいており、それぞれに性質が異なる。このため、判定手段7は、第1点数および第2点数の両方に基づいて、フィットネスメニューの良否を判定することで、フィットネスメニューの判定精度を上げることができる。
【0120】
図7では、第1点数および第2点数が、判定手段7に入力される。判定手段7は、次のようなパターンで、第1点数および第2点数に基づいてフィットネスメニューの良否を判定できる。
【0121】
(1)第1点数と第2点数の合計値
第1点数と第2点数を、単純に合計することで(合計値を、所定値と比較することで)、判定手段7は、フィットネスメニューの良否を判定できる。合計値が所定値以上の場合に、判定手段7は、フィットネスメニューを良好と判定する。
【0122】
(2)第1点数および第2点数の少なくとも一方に重み付けした後での合計値
上述の通り、第1点数と第2点数のそれぞれは、異なる性質を有するので、判定手段7は、それぞれの少なくとも一方に重み付けをしてから合計し、この合計値と所定値との比較によって、フィットネスメニューの良否を判定する。例えば、第1点数には2倍の重み付けをし、第2点数には1.5倍の重み付けをしてから、合計する。第1点数および第2点数の優先すべき要素の重み付けを高めることで、判定手段7は、フィットネスメニューを判定できる。
【0123】
(3)第1点数および第2点数の差分値
判定手段7は、第1点数と第2点数の差分値と、所定値とを比較することで、フィットネスメニューを判定する。
以上のように、判定手段7は、第1点数および第2点数のそれぞれのよさを用いながら、フィットネスメニューの良否を判定できる。
【0124】
実施の形態1における改善システム1は、フィットネスメニューの良否を、受講者の感想や要望を含むフィードバック情報だけで高い精度で判定できる。この結果、受講者にとって最適なフィットネスメニューが提供されるようになり、受講者の受講継続性が高まる。これは、フィットネスクラブ運営者にとってもメリットが高い。特に、インストラクターやメニュー作成者の熟練度が低い場合でも、この改善システム1によって、従来はベテランしかできなかったメニューの改善を行うことができるようになる。これにより、フィットネスクラブの運営能力が高まり、結果として受講者にもメリットがもたらされる。
【0125】
(実施の形態2)
【0126】
次に実施の形態2について説明する。
【0127】
実施の形態1では、改善システム1は、対象となるフィットネスメニューの良否を判定した。フィットネスメニューは、いくつかの構成要素からなる。フィットネスメニューは、その全体で良否が判定されるだけでなく、含まれる構成要素のそれぞれの良否が判定されることも好ましい。
【0128】
例えば、図8に示されるように、フィットネスメニューはその動作や運動によって、構成要素1〜5を含んでいる場合がある。この場合には、構成要素1〜5のそれぞれに良否が判定されることが、フィットネスメニューの改善に好適である。図8は、本発明の実施の形態2におけるフィットネスメニューの構成図である。
【0129】
このようなフィットネスメニューの構成要素に対応するように、フィードバック情報用のチェック項目が設けられていることが好ましい。構成要素毎に受講者の感想や要望が抽出できるからである。図9は、本発明の実施の形態2におけるフィードバック情報のフォーマットの一例である。
【0130】
抽出手段5は、図9に示されるフォーマットから、構成要素毎の良好要素および問題要素を抽出する。図9のフォーマットでは、構成要素毎に点数を受講者がチェックする形式になっているので、この点数によって、抽出手段5は、構成要素毎の良好要素および問題要素を抽出できる。
【0131】
抽出手段5によって抽出された良好要素と問題要素とは、採点手段6に出力されて、実施の形態1で説明したアルゴリズムや手順によって、構成要素毎に採点される。例えば、構成要素1は、70点であり、構成要素2は55点であるなどである。採点手段6は、この採点結果を判定手段7に出力できる。
【0132】
判定手段7は、この採点結果に基づいて、フィットネスメニューの構成要素毎の良否を判定できる。例えば、所定値を60点とすると、上述のように構成要素1は70点であるから、判定手段7は、構成要素1を「良好」と判定する。一方、構成要素2は、55点であるから、判定手段7は、構成要素2を「問題」として判定する。
【0133】
構成要素毎に判定されると、フィットネスクラブ運営者は、構成要素毎に改善を行うことができる。上述の場合であると、構成要素1は、そのままでよく、構成要素2は、別の構成要素に変えたり、見直したりすることができる。結果として、フィットネスメニューの構成要素毎のレベルアップや構成要素の組み合わせの向上によって、フィットネスメニューがレベルアップする。この結果、フィットネスクラブ運営者にとっては、フィットネスメニューを細かに改善できるので、受講者に対するサービスを向上させることができる。また、熟練度の低いインストラクターやメニュー作成者であっても、フィットネスメニューの改善ができるので、運営におけるメリットも高い。
【0134】
(実施の形態3)
【0135】
実施の形態1、2で説明した改善システム1は、フィットネスクラブの運営態様に合わせて、様々に適用されれば良い。
【0136】
例えば、改善システム1は、フィットネスクラブのそれぞれにおいて設置され、フィットネスクラブのそれぞれの運営スタッフによって、フィットネスメニューの改善に用いられれば良い。この場合には、入力手段2から判定手段7にいたる改善システム1の要素が、フィットネスクラブのそれぞれに設置される。フィットネスクラブのそれぞれの運営者やスタッフは、設置されている改善システム1に従って、フィットネスメニューを改善する。
【0137】
一方、フィットネスクラブは、フランチャイズや支店方式で多数のクラブを運営することがある。この場合には、本部と支部とに分かれる。支部においては、実際にインストラクターが受講者に対してフィットネスメニューを教授するが、これら全ての支部にいるインストラクターやスタッフの熟練度を向上させることは難しい。一方で、これら支部にいるインストラクターやスタッフが提供するフィットネスメニューのレベルがばらつくことは、フランチャイズを運営する本部にとっては、好ましくない。
【0138】
改善システム1を各支部に設置して、各支部におけるフィットネスメニューの品質維持を図ることも考えられるが、良好要素や問題要素の抽出、採点、判定にはフィットネスクラブ運営者のノウハウが含まれるので、各支部に設置することで、結局改善システム1の操作そのものがばらついてしまうこともある。この場合には、結局支部によってフィットネスメニューの品質がばらつく問題もある。ノウハウの保持の問題もある。
【0139】
このため、図10に示されるように、本部において抽出から判定の機能を実行し、各支部においては、フィードバック情報の入力のみを行う事も好適である。図10は、本発明の実施の形態3における改善システムの使用態様の模式図である。
【0140】
本部100と支部110〜113は、ネットワーク120で接続されている。このネットワーク120はインターネット、専用回線、電話回線、イントラネットなどの、通信接続でもよいし、フィードバック情報を記憶する媒体による物理接続でも良い。
【0141】
本部100は、改善システム1のコア要素(抽出手段5、採点手段6、判定手段7)を有している。もちろん、それ以外の要素(入力手段2)を有してもよい。また、記憶部3は、ネットワーク120上に接続されても良いし、本部100に設置されても良い。
【0142】
支部110〜113のそれぞれは、フィードバック情報を入力する入力手段2だけを備えている。もちろん、必要となる記憶装置を有していてもよい。支部110〜113のそれぞれにおいては、入力手段2が、受講者からのフィードバック情報を受け付ける。このフィードバック情報は、ネットワーク120を介して、記憶部3に記憶される。
【0143】
記憶部3は、所定時間間隔、所定時刻、ランダムなど、様々な設定に基づいて、記憶しているフィードバック情報を本部100に設置されている改善システムコア130に出力する。改善システムコア130は、このフィードバック情報を用いて、支部110〜113のそれぞれにおけるフィットネスメニューの良否を判定する。
【0144】
改善システムコア130が含む抽出手段5、採点手段6および判定手段7は、実施の形態1、2で説明したのと同様の処理手順を実行する。これらの処理手順によって、本部100は、支部110〜113におけるフィットネスメニューのそれぞれを、中央集中で判定する。例えば、支部111のあるフィットネスメニューが、問題であると、本部100の改善システムコア130は、判定する。この結果、本部100の運営者は、この支部111のフィットネスメニューを改善したり、改善指示を出したりすることができる。
【0145】
このとき、改善システムコア130は、本部100だけに存在するので、本部に蓄積されたノウハウによって、フィットネスメニューの判定は一元管理される。この結果、抽出、採点、判定などのノウハウに基づくフィットネスメニューの判定や改善は、一定の品質を保つことができる。加えて、本部100で蓄積したこれら抽出、採点、判定などのノウハウの秘匿も実現される。
【0146】
このような改善システム1を、本部100および支部110〜113で分担して有することで、フランチャイズ形式のフィットネスクラブ全体のレベルアップが図られる。当然ながら、受講者にメリットも高く、フランチャイズ全体のフィットネスクラブの全てのレベルアップにより、本部100の運営者にとってもメリットが生じる。
【0147】
なお、図10で示したのは一例であり、改善システム1を、本部および支部でどのように分担するかは、適宜定められれば良い。もちろん、本部100と支部110〜113で重複する要素を有してもよい。これらは、フィットネスクラブ運営の都合によって定められれば良い。
【0148】
以上、実施の形態3における改善システムは、フランチャイズ形式のフィットネスクラブにおいても、受講者および運営者の双方にとってメリットをもたらす、フィットネスメニューの改善を実現できる。
【0149】
以上、実施の形態1〜3で説明されたフィットネスメニューの改善システムは、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0150】
1 フィットネスメニュー改善システム
2 入力手段
3 記憶部
5 抽出手段
6 採点手段
7 判定手段
100 本部
111〜113 支部
120 ネットワーク
130 改善システムコア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィットネスメニューについての受講者のフィードバック情報の入力を受け付ける入力手段と、
前記入力手段から入力された前記フィードバック情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記フィードバック情報から、良好要素および問題要素の少なくとも一方を抽出する抽出手段と、
前記良好要素および前記問題要素の少なくとも一方に基づいて、前記フィットネスメニューの点数を計算する採点手段と、
前記点数に基づいて、フィットネスメニューの良否を判定する判定手段と、を備えるフィットネスメニュー改善システム。
【請求項2】
前記入力手段がコンピュータ装置に付属する場合であって、前記フィードバック情報は、キーボードもしくはタッチパネルから入力される、もしくは手書き用紙の読み取りによって入力される、請求項1記載のフィットネスメニュー改善装置。
【請求項3】
前記記憶部は、ハードディスク、光ディスク、磁気ディスクおよび半導体メモリの少なくとも一つを有する、請求項1又は2記載のフィットネスメニュー改善システム。
【請求項4】
前記抽出手段、前記採点手段および前記判定手段の少なくとも一部は、コンピュータ装置が備える中央演算処理装置に含まれる、請求項1から3のいずれか記載のフィットネスメニュー改善システム。
【請求項5】
前記フィードバック情報は、既存のチェック項目に回答するチェック回答と受講者が自由に記載する自由回答とを含んでおり、前記抽出手段は、前記チェック回答および前記自由回答の少なくとも一方に基づいて、前記良好要素と前記問題要素とを抽出する、請求項1から4のいずれか記載のフィットネスメニュー改善システム。
【請求項6】
前記チェック回答が点数に応じたチェックを有する場合に、前記採点手段は、前記チェック回答より得られる第1点数を計算する、請求項5記載のフィットネスメニュー改善システム。
【請求項7】
前記抽出手段は、前記自由回答に含まれるポジティブワードとネガティブワードに基づいて、前記良好要素および前記問題要素の少なくとも一方を抽出し、
前記採点手段は、前記良好要素と前記問題要素の比率に基づいて、第2点数を計算する、請求項5又は6記載のフィットネスメニュー改善システム。
【請求項8】
前記判定手段は、前記第1点数が所定値以上の場合には、前記フィットネスメニューを良好であると判定する、請求項6記載のフィットネスメニュー改善システム。
【請求項9】
前記判定手段は、前記第2点数が所定値以上の場合には、前記フィットネスメニューを良好であると判定する、請求項7記載のフィットネスメニュー改善システム。
【請求項10】
前記判定手段は、前記第1点数および前記第2点数の合計が所定値以上の場合には、前記フィットネスメニューを良好であると判定する、請求項6又は7記載のフィットネスメニュー改善システム。
【請求項11】
前記判定手段は、前記フィットネスメニューを構成する構成要素毎の良否を、前記点数に基づいて判定する構成判定機能を有する、請求項1から10のいずれか記載のフィットネスメニュー改善システム。
【請求項12】
前記抽出手段は、前記構成要素毎に、前記良好要素および前記問題要素を抽出する、請求項11記載のフィットネスメニュー改善システム。
【請求項13】
前記チェック項目は、前記構成要素と対応している、請求項11又は12記載のフィットネスメニュー改善システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−242866(P2012−242866A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108893(P2011−108893)
【出願日】平成23年5月14日(2011.5.14)
【出願人】(511100291)LIEN株式会社 (1)