説明

フィラーおよびフィラーの固定方法

【課題】キャビネットと壁面との隙間をすっきりとした状態で隠すことのできるフィラーを提供する。
【解決手段】フィラー6は、洗面台のキャビネットに取り付けられる取付部7aから壁面1a側へ向かって延びる板状部7bを有するフィラー本体7と、このフィラー本体7の板状部7bを差し込んで呑み込ませることのできる呑み込み部8bを有し、壁面1aに固定可能な固定片8aを備えたカバー8で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネットと壁面との隙間を隠すためのフィラーおよびフィラーの固定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているような、キャビネットの底板と床面との隙間を隠すことのできる隙間パッキンが存在する。
この隙間パッキンでは、キャビネット床板に固定したアウター部材にインナー部材を差し込んで、アウター部材からのインナー部材の引き出し量を調整することで、キャビネットの底板と床面との隙間を隠す構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−188224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている隙間パッキンは、キャビネットの底板と床面との隙間を塞ぐものであり、キャビネットと壁面との隙間を隠すためのものではなく、また、インナー部材の下端を床面に当ててキャビネットの底板と床面との隙間を隠すものであって、床面に固定するものではないため、キャビネットと壁面との隙間にこのような構造を適用しても、確実にキャビネットと壁面との隙間を隠すことはできないものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、キャビネットと壁面との隙間をすっきりとした状態で確実に隠すことのできるフィラーおよびフィラーの固定方法の提供を目的とし、この目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明は、キャビネットと壁面との隙間を隠すためのフィラーであって、該フィラーは、前記キャビネットに取り付けられる取付部から前記壁面側へ向かって延びる板状部を有するフィラー本体と、該フィラー本体の板状部を差し込んで呑み込ませることのできる呑み込み部を有し前記壁面に固定可能なカバーで構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
フィラー本体の板状部の先端をカバーの呑み込み部内に差し込んで呑み込ませることで、フィラー本体の板状部の端部を隠すことができるとともに、フィラーの左右方向の幅寸法を現場で良好に調整でき、カバーは壁面にぴったりと固定させて納めることができ、キャビネットと壁面との隙間をすっきりとした状態で隠すことができる。
また、カバーを壁面に固定することで、フィラーの奥側への倒れを良好に防ぎ、壁面が垂直でない場合でも壁面へぴったりと納めることができるものとなる。
【0007】
また、本発明のフィラーの固定方法は、フィラー本体の板状部をカバーの呑み込み部内に深く差し込んだ状態で、フィラー本体の取付部をキャビネットに固定した後、フィラー本体の板状部に対しカバーの呑み込み部を壁面側へ引き出し、カバーを壁面に当接させて固定することを要旨とする。
【0008】
本発明のフィラーの固定方法では、フィラー本体の板状部をカバーの呑み込み部内に深く差し込んだ状態で、先にフィラー本体をキャビネット側に固設し、固設した後に、カバーを壁面側へ引き出してカバーを壁面に固定するものであるため、キャビネットを設置した後に、現場でのキャビネットと壁面との隙間に対応させて、フィラーを良好に施工することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】フィラーを介して壁面と壁面間に隙間なく洗面台を設置した状態の斜視構成図である。
【図2】洗面台の正面構成図である。
【図3】右側のフィラーを分解した状態の洗面台の斜視構成図である。
【図4】フィラーを構成するフィラー本体とカバーの差し込み状態の平面構成図である。
【図5】フィラー本体をキャビネットの縦フレームに取り付けた状態の平面構成図である。
【図6】フィラー本体を短く切断してカバーに差し込んだ状態の平面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、フィラーを用いて左右壁面間に隙間なく洗面台を設置した状態の斜視構成図であり、図2は、洗面台の正面拡大構成図である。
【0011】
洗面台2は、奥側の壁面1bに背側を当接させた状態で左右側の壁面1a,1c間に隙間なく設置されるものであり、洗面台2は、キャビネット3の上面にカウンター4が載置されて構成され、カウンター4には洗面ボウル4aが設けられ、また、後方側には水栓5が立設されている。
キャビネット3は、アルミニウム製の縦フレームと横フレームで骨組みされたフレーム体を備え、フレーム体の一部が下方側へ延びる脚3c,3cとなっており、フレーム体の左右側に側板3aが、前面に扉3bが設けられている。
【0012】
このキャビネット3の左右の側板3aの前端側には、キャビネット3と壁面1a,1cとの間に生ずる隙間を隠すために、それぞれ左右にフィラー6,6が設置される。
フィラー6は、図3に分解図で示すように、フィラー本体7とカバー8で構成されている。
図4には、フィラー6の平面拡大構成図を示し、また、図5には、フィラー本体7をキャビネット3を構成する縦フレーム30に取り付けた拡大平面図を示す。
【0013】
フィラー6を構成するフィラー本体7は、キャビネット3の縦フレーム30に取り付け可能な取付部7aと、この取付部7aから壁面1a側へ延びる板状部7bで構成されている。
フィラー本体7の取付部7aは、平行状に後方側へ延びる一対の弾性片71,72を有し、弾性片71,72のそれぞれの後端側には、くの字状に弾着凸部71a,72aがそれぞれ一体形成されており、弾着凸部71aは図示左側へ向いて突出し、弾着凸部72aは図示右側へ向いて突出している。
【0014】
また、一対の弾性片71,72の左右側には、間隔をおいてそれぞれ後方側へ突出する係合凸部73,74が形成されている。
取付部7aから壁面1a側へ連続して延びる板状部7bの裏面には、例えば2mmピッチ間隔で溝75,75,75が形成されている。
【0015】
なお、キャビネット3を構成する縦フレーム30の前面側は開放された前面開口30aとなっており、この前面開口30aに対し、前方側からフィラー本体7の取付部7aを差し込んで、取付部7aを縦フレーム30に取り付け固定することができるものである。
縦フレーム30の前端の左右外側には、それぞれ凹み状に係合凹部30b,30bが形成されており、この左右の係合凹部30b,30b内にフィラー本体7の係合凸部73,74が嵌め込まれる。
【0016】
また、前面開口30aから奥側へ差し込まれるフィラー本体7の弾性片71,72の弾着凸部71a,72aが嵌まり込む弾着凹部30c,30cが縦フレーム30の内周面に形成されている。
即ち、縦フレーム30に対しフィラー本体7の取付部7aを前面側から押し込むと、縦フレーム30の弾着凹部30c,30cに取付部7a側の弾着凸部71a,72aが弾着して係合され、同時に縦フレーム30の係合凹部30b,30bに対し取付部7a側の係合凸部73,74が当たり、これにより縦フレーム30の前端にフィラー本体7が取り付けられるのである。
【0017】
このフィラー本体7は、溝75が2mmピッチ間隔で形成されているため、現場におけるキャビネット3と壁面1a,1c間の隙間に対応させて、溝75に沿って現場で切断することにより、板状部7bの幅寸法を良好に調整することができるものである。
【0018】
なお、フィラー6を構成するカバー8は、例えば両面テープを用いて壁面1a,1cに固定される固定片8aと、固定片8aから90°の角度で一体形成された呑み込み部8bを備えている。
呑み込み部8bは、固定片8aの前端から90°の角度で延びる前側片81と、この前側片81に平行に後方側で固定片8aから90°の角度で延びる裏側片82を備えており、前側片81と裏側片82間で呑み込み溝83が形成されている。
この呑み込み部8bを形成する前側片81と裏側片82間の呑み込み溝83内に、フィラー本体7の板状部7bの先端を差し込んで呑み込ませることができるように構成されている。
【0019】
なお、図6は、フィラー本体7の板状部7bを現場で短い幅寸法に切断して、その先端をカバー8の呑み込み溝83内に呑み込ませた状態の平面拡大構成図である。
なお、カバー8の呑み込み溝83の左右方向の幅長は、壁面1aが垂直でなく傾いている場合でも、その傾きによるズレを吸収する寸法に設定されており、本例では、この呑み込み溝83の左右方向幅寸法aは7mmに設定されている。
【0020】
このように呑み込み溝83内にフィラー本体7の板状部7bの先端を差し込んで重ね合わせて、この呑み込み溝83内へ差し込まれる板状部7bの重なり量で、左右方向の幅寸法を現場で良好に調整できるものである。
なお、板状部7bの先端は、カバー8の呑み込み溝83内に差し込まれて呑み込ませることができるため、板状部7bの先端は良好に隠されて、板状部7bの切断した先端部が露出することはない。
【0021】
なお、現場で施工する際に、現場の壁面1bにキャビネット3の背面側を固定させて、先にキャビネット3を設置した後に、フィラー6を施工して、キャビネット3と壁面1a,1c間の隙間をフィラー6で埋めることができるものである。
即ち、フィラー本体7の板状部7bをカバー8の呑み込み溝83内に深く差し込んでおき、この状態で、フィラー本体7の取付部7aをキャビネット3を構成する縦フレーム30の前面開口30a内に前方から差し込んで、取付部7aをキャビネット3に固設させ、その後に、フィラー本体7の板状部7bに対しカバー8を壁面1a或いは1c側へ引き出して、カバー8の固定片8aを壁面1a(1c)に当接させ、両面テープ等を用いて固定片8aを壁面1a(1c)に固定することで、キャビネット3の設置後においてフィラー6によりキャビネット3と壁面1a(1c)間の隙間を確実に隠すことができる。
【0022】
カバー8の固定片8aは壁面1a(1c)に固定されるため、フィラー本体7が樹脂等の素材で形成されている場合にも、手前側からフィラー6に荷重を加えても奥(後方)側へフィラー6が倒れたり変形することがなく、強固なフィラー6の設置状態が得られるものである。
また、壁面1a(1c)が倒れているような場合でも、カバー8は壁面1a(1c)に固定されるため、フィラー6をぴったりと壁面1a(1c)に納めることができるものとなる。
【0023】
なお、図3に示すように、フィラー本体7の上端側には、キャビネット3の上面に載置されるカウンター4の前端の前垂れ部4bが重ね合わされて、フィラー本体7の上端側は隠され、また、キャビネット3の前面の扉3bによってもフィラー本体7の取付部7aの前面の一部が隠されて、フィラー6の設置状態は極めてすっきりしたものとなる。
【符号の説明】
【0024】
1a,1b,1c 壁面
2 洗面台
3 キャビネット
3a 側板
3b 扉
3c 脚
4 カウンター
4a 洗面ボウル
5 水栓
6 フィラー
7 フィラー本体
7a 取付部
7b 板状部
8 カバー
8a 固定片
8b 呑み込み部
30 縦フレーム
30a 前面開口
30b 係合凹部
30c 弾着凹部
71,72 弾性片
71a,72a 弾着凸部
73,74 係合凸部
75 溝
81 前側片
82 裏側片
83 呑み込み溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットと壁面との隙間を隠すためのフィラーであって、
該フィラーは、前記キャビネットに取り付けられる取付部から前記壁面側へ向かって延びる板状部を有するフィラー本体と、
該フィラー本体の板状部を差し込んで呑み込ませることのできる呑み込み部を有し前記壁面に固定可能なカバーで構成されている
ことを特徴とするフィラー。
【請求項2】
前記請求項1に記載のフィラーの固定方法であって、
前記フィラー本体の板状部を前記カバーの呑み込み部内に深く差し込んだ状態で、該フィラー本体の取付部を前記キャビネットに固定した後、
フィラー本体の板状部に対し前記カバーの呑み込み部を前記壁面側へ引き出し、該カバーを壁面に当接させて固定する
ことを特徴とするフィラーの固定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−39327(P2013−39327A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179925(P2011−179925)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)