フィルタープレス用フィルタークロス
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフィルタークロスに関するものであり、更に詳細には、機械操作の追従性に優れ、かつ、瀘過性およびケーキ剥離性を改善したフィルタークロスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】無薬性浄水汚泥、下水処理消化汚泥の高分子凝集剤添加スラリー、微粒顔料スラリー、酒もろみ、酢もろみ等の難瀘過性スラリーの瀘過固液分離用フィルタープレスに、瀘過効率の向上を目的として、合成繊維のマルチフィラメント糸を織成、あるいは編成してなるフィルタークロスが使用されている。
【0003】酒もろみの瀘過・圧搾例に基いて従来技術を説明する。
【0004】酒もろみ瀘過用のフィルタークロスとして、ポリエステルのマルチフィラメントを経糸および緯糸の構成成分として緻密な織組織に製織されたものが使用されている。例えば、本発明の出願人も、実公昭58−14972号公報にポリエステル繊維のマルチフィラメントを織成フィルタークロスの構成素材として使用することを提案している。
【0005】上記合成繊維製のフィルタークロスは、酒造シーズン中を通して使用した後、翌年度の酒造シーズンに備えて洗濯再生するが、この際に収縮が少なく、寸法安定性に優れ、取扱いが極めて容易なため酒もろみ瀘過用のフィルタークロスの主流を占めている。より詳細に説明すると、フィルタークロスの形成材料として使用されるポリエステルのマルチフィラメントは、細デニールの連続長繊維を多数本収束することによって織地用の糸条に形成されており、繊維の表面に毛羽がないことに起因して、フィルタークロスの表面への酒もろみ固形分の残留、付着が少なく、ケーキの剥離性と、洗浄再生の容易な瀘過媒体としてその実用性を高く評価されている。
【0006】上記先願考案において、フィルタークロスは緯二重織組織に製織されており、カレンダー加工によって平滑化されたフィルタークロスの表面側に経糸の構成成分であるマルチフィラメントを多く露出させ、また、その裏面側にバルキー加工糸を多く露出させることによって、当該フィルタークロスを酒もろみの瀘過に使用したとき、瀘液を表面層と裏面層との間に保持させている。酒もろみから抽出され、表面層と裏面層の間に保持された瀘液は、フィルタープレスの圧搾開放と同時に、その一部分が真空作用でケーキ側に逆流し、フィルタークロスの表面に瀘液を介在させることによって、平滑化されたフィルタークロスの表面層側の構成繊維とケーキ、即ち酒粕との間に働く結合力を弱め、これによってケーキの剥離性を所定の水準迄向上させている。
【0007】以上、織成布でフィルタークロスを製作する従来例を説明したが、編成布でフィルタークロスを製作することも提案されている。この具体例として例えば特公昭59−11327号公報を挙げることができる。しかしながら、この公報に開示されたフィルタークロスは、編組織がインレー糸で補強されておらないため、フィルタープレスに装着して使用したとき、瀘過圧力の作用に起因する変形からの復元性に乏しく、フィルタークロスの表面に付着したケーキの重量によって上下方向に伸長したままの状態となり易く、その実用化には多くの難点が認められている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近の醸造技術の向上および酒製品の多様化に伴ない、多品種・小ロット生産の傾向が強まり、酒粕中の澱粉含有率、構成成分、および成分比率が酒製品の品種毎に微妙に変化しつつある。このような情勢に鑑み、品種を異にする酒もろみを同一のフィルタープレスで加圧瀘過、圧搾する必要性が生じてきた。この場合、先願考案たる実公昭58−14972号公報に提唱されているフィルタープレス用瀘布をフィルタークロスとして使用しても、酒もろみの種類によっては、フィルタークロスの表面からのケーキの剥離が必ずしも容易でない。その理由は種々考えられるが、最大の要因としてフィルタークロスの形成素材であるポリエステル繊維が元来、疎水性繊維であり、二重織組織に製織しても、フィルタークロスの表面層と裏面層の間に必ずしも充分な大きさの瀘液保持空間が形成されないことが挙げられる。より詳細に説明すると、酒もろみは、親水性に富むアルコールを多量に含み粘着性が高いため、加圧瀘過後、長時間に亘り高圧搾して脱液すると、フィルタークロスの表面に圧接するケーキの表面で、両者の結合力を弱める液分の残留・付着量が減少し、フィルタークロスとケーキとの結合、付着力が強化される。この結果フィルタークロスの内側から表層面への瀘液の逆流量が充分でない場合には、瀘液の介在不良によってフィルタークロスの表面からのケーキの剥離が困難になる。百乃至百数十の瀘室を有する酒もろみ用フィルタープレスで酒もろみを圧搾する場合、ケーキの剥離性が実用上満足し得る水準に維持されておらないと、人手によってヘラ等を使用してケーキ、即ち酒粕をフィルタークロスの表面から剥離させる必要が生じ、多大の労力と時間を費やすことになり、生産性と省力化の促進が阻害される結果となる。
【0009】このような事情を背景として、酒製品の多様化および小ロット生産に対応し得るケーキの剥離性に優れた酒もろみ瀘過用フィルタークロスの提供が強く要望される。
【0010】より詳細に説明すると、実公昭58−14972号公報に開示されたフィルタークロスを多品種の酒もろみの圧搾に使用した場合、製品の品種によっては、目的とする1バッチの処理量を得るためには、在来クロスの場合と同様に8時間乃至12時間、あるいはそれ以上の長時間に亘る操作が必要となる。
【0011】これは、フィルタークロスが瀘液圧力によって瀘板に圧接されるとき、フィルタークロスの全体厚みが減少し、フィルタークロス内の瀘液通過抵抗が増大することによって、もろみの圧入量が小さくなるためである。これに打克つため、もろみの圧入力を高めると、瀘液の通過抵抗が更に増大し、圧入量の維持が困難になるという悪循環が繰返される。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題の解決手段として本発明は、原液供給側の表面層が平滑な織組織で覆われ、裏面層が高熱収縮性マルチフィラメント糸、または高弾性ゴム糸からなる芯糸の周りに高熱収縮性マルチフィラメントのバルキー加工糸を巻回してなるシース・コア・ヤーンの織組織で覆われていることを特徴とするフィルタープレス用フィルタークロス、原液供給側の表面層はマルチフィラメント糸の平滑な編組織で形成され、裏面層はループ状パイルを整列させたマルチフィラメント糸の編組織で形成されていることを特徴とするフィルタープレス用フィルタークロス、および、原液供給側の表面層は経糸が多く露出した平滑な織組織で形成され、裏面層は緯糸が多く露出した緯二重織の織組織を有し、上記経糸に合成繊維のマルチフィラメント糸を使用し、上記緯糸に高熱収縮性合成繊維のマルチフィラメント糸、または、細径の合成繊維モノフィラメント糸からなる芯糸の周りに高熱収縮性合成繊維からなるバルキー加工糸を巻回してなるシース・コア・ヤーンを使用したことを特徴とするフィルタープレス用フィルタークロスを提供するものである。
【0013】
【作用】フィルタークロスの構成糸の少なくとも一部分にバルキー加工糸を使用し、このバルキー加工糸をゴム状高弾性を有する繊維から形成された糸条、あるいは熱収縮性繊維から形成された糸条で結束することによって、瀘液の透過性と機械操作の容易性を両立させる。
【0014】
【実施例】以下、図1乃至図4の例示に基いて本発明の具体例を数種類説明する。
【0015】図1に示すフィルタークロス(1)は、経糸(2)および緯糸(3)(4)を1/3破れ斜文・緯二重織の織組織に製織することによって形成されている。織組織としては、フィルタークロス(1)の表面層を平滑化し得るものであればよく、上記1/3破れ斜文・緯二重織の外、3/2朱子、2/3朱子、4/3朱子、5/3朱子緯二重織等が使用可能である。
【0016】1/3破れ斜文・緯二重織の織組織を選択使用した場合、フィルタークロス(1)の表面層(S)側と裏面層(R)側を、経糸(2)と表面側緯糸(3)と裏面側緯糸(4)とで形成し、経糸(2)と緯糸(3)(4)とが交絡した織組織を有する織成布に仕上げている。経糸(2)としては、2乃至5Dの単繊維デニールを有するポリエステルフィラメントを所定本数集束して得られたトータルデニール500乃至2000Dのポリエステルフィラメント糸が使用されている。表面側緯糸(3)および裏面側緯糸(4)は、図1(C)および図5に示すようにゴム状高弾性糸の単糸や集束糸を芯糸(5)として使用し、この芯糸(5)の周りに、単繊維デニールが1乃至5Dの熱収縮性合成繊維を所定本数集束して得られたトータルデニール200乃至400Dのポリエステルマルチフィラメントからなるバルキー加工糸(6)を複数本つる巻き状に巻き付けることによってシース・コア構造の緯糸に形成されている。ゴム状高弾性糸としては、スパンデックスの商品名で市販されているポリウレタン繊維の外、衣料用のゴム状高弾性糸を使用することができる。上記ゴム状高弾性糸は、200乃至300%の伸長に対しても充分な復元性を発揮し得るものが望ましい。
【0017】1/3破れ斜文・緯二重織に織成された上記フィルタークロス(1)は、80゜C以上の熱湯中への浸漬あるいは連続精練によって捲縮性を発現させ、この後、乾燥およびヒートセット処理を施す。これによってバルキー加工糸(6)は、ゴム状高弾性糸(5)の収縮力によって緯糸(3)および(4)方向に補強され、フィルタークロス(1)の表面を平滑化すると共に厚み方向の弾性と空隙保持性を向上させる。
【0018】酒もろみの種類および、それに由来するケーキ(酒粕)の性質によっては上記の具体例よりも更に平滑な表面層(S)が要求される場合がある。このときには、フィルタークロス(1)の表面層(S)側に高温・高圧のカレンダによる仕上げ加工を施して経糸(2)および表面層(S)側に露出する緯糸(3)を熱変形させ、所望の平滑度を取得する。
【0019】以上は緯糸(3)および緯糸(4)の芯糸(5)にゴム状高弾性糸を使用した実例を示すものであるが、芯糸(5)として、高収縮性マルチフィラメント糸、または0.1乃至0.3mmの細径モノフィラメントの高収縮糸を複数本撚り合わせたものを使用することもできる。緯糸(3)(4)のシース成分を形成しているバルキー加工糸(6)は、バルキー性発現処理時、並びに乾燥・ヒートセット処理時に上記芯糸(5)を収縮させることによって、所定の強度と伸度を持つように補強される。上記実施例に示すフィルタークロス(1)は、表面層(S)と裏面層(R)が対称な織組織を持つ必要はなく、表面層(S)と裏面層(R)が非対称な織組織、例えば3/2重ね朱子の織組織を持つ織地からフィルタークロス(1)を製作することも可能である。
【0020】これに対し図2に示すフィルタークロス(10)は、パイル編みとインレー編みを併用した編成布から形成されている。表地構成糸(11)および(11A)でフィルタークロス(10)の表面層(S)が形成され、フィルタークロス(10)の裏面側(R)にパイル糸(12)が突出している。図6に示すようにパイル糸(12)には上記織成布からなるフィルタークロス(1)で緯糸(3)(4)の形成材料として使用されたものと同様のポリエステルマルチフィラメントのバルキー加工糸(6)が使用され、フィルタークロス(10)の表面層(S)には、上記織成布からなるフィルタークロス(1)で経糸(2)の形成材料として使用されたものと同様のポリエステルマルチフィラメントが使用されている。インレー糸(13)には、熱収縮性マルチフィラメントが使用されている。
【0021】編成されたフィルタークロス(10)は、熱水中への浸漬によるバルキー性発現処理に続いて乾燥およびヒートセット処理を施こされる。上記処理の過程でパイル糸(12)に捲縮が発現し、これと同時にインレー糸(13)が熱収縮する。これによってフィルタークロス(10)の表面層(S)とパイル糸(12)からなる裏面層(R)が補強され、編成組織内および、それに連なるパイル糸層(12)で厚み方向の弾性回復性が増強される。
【0022】上記編成布からなるフィルタークロス(10)では、表面層(S)がポリエステルのマルチフィラメント糸(11)(11A)で被覆されているため、平滑性に優れたフィルタークロス(10)の表面が得られる。この場合、編成布の特徴とするパイル糸(12)の膨らみがフィルタークロス(10)の表面層(S)側に露出するおそれがあるので、フィルタークロス(10)の表面に加熱ローラを接触させて完全に平滑な表面に成形することも可能である。
【0023】変形例として、パイル糸(12)に、高熱収縮性マルチフィラメント糸を芯糸にし、その周りに高熱収縮性マルチフィラメントからなるバルキー加工糸をつる巻き状に巻回してなるシース・コア・ヤーンを使用することも可能である。
【0024】パイル糸(12)にシース・コア・ヤーンを使用すると、フィルタークロス(10)のパイル糸層(12)と表面層(S)の補強効果が強化され、厚み方向の弾性回復性が更に増強される。
【0025】フィルタークロス(10)の表面平滑性と瀘液透過性および厚み方向の弾性回復性を両立させ得る限り、上記パイル編みとインレー編みを併用した編組織の外に種々の編成組織を選択使用することができる。具体的には、図3(A)に示すインタークロック編みまたは同図(B)に示す3ステップインターロック編みを基本組織とする編成布からもフィルタークロス(10)を製作することが可能である。
【0026】インターロック編みまたは3ステップインターロック編みを基本組織とした場合、インレー糸(13)は、高熱収縮性マルチフィラメント糸から構成し、複合組織としてパイル糸(12)を形成しているバルキー加工糸を補強することが望ましい。
【0027】上記以外の編み組織としては、図3(C)に示すクイーンズコート編みや図3(D)に示す緯糸挿入編みを使用することができる。
【0028】緯糸挿入編み組織を選択使用した場合、挿入糸(14)が編成布の強度を増大させ、これによってパイル糸(12)の補強を容易にする。インレー糸を使用した第2の変形例として、図4に示すように所定間隔でインレー糸(13)を編込んだダブルフリース編地(15)を使用することもできる。
【0029】図1に示す織成布製フィルタークロス(1)を試料番号Iとし、図2に示す編成布製フィルタークロス(10)を試料番号IIとし、および比較例として用意された2種類の編成および織成布製フィルタークロス(比較例1を試料番号IIIとし、比較例2を試料番号IVとして表示)について編織組織と物性の測定結果を図5R>5、6、7、8に示す。
【0030】
【発明の効果】上記試料番号I乃至IVに示すフィルタークロスを瀘室深さ30mm、1000mm×30室の瀘液構造を有するフィルタープレスに装着し、0乃至7kgf/cm2 の圧力で順次昇圧、圧入瀘過、圧搾脱液の操作を実行し、酒もろみの瀘過を行なった。尚、使用した酒もろみの量は、実験条件を同一にするため4種類のフィルタークロス共1500lに揃えた。それぞれのフィルタークロスについて圧入操作と圧搾脱液操作の所要時間を測定した。測定結果を図9に示す。
【0031】図9から理解されるように、本発明に係るフィルタークロス(1)(試料番号I)または(10)(試料番号II)を使用した場合、圧搾所要時間は変らないものの圧入所要時間が従来のフィルタークロスを使用した場合に比較して1/3乃至1/4に短縮される。この結果、全所要時間も約1/2に短縮された。
【0032】以上、酒もろみの瀘過脱液への適用例に基いて本発明の特色を説明して来たが、本発明の利用分野はこれに限定されるものではなく、無薬性浄水汚泥、高分子凝集剤添加方式の下水処理消化汚泥、微粒子顔料スラリー、酢もろみ等の難瀘過性スラリーをフィルタープレスで処理する際にも使用することができる。本発明に係るフィルタークロスは、初期圧入瀘過時間の短縮と処理量の向上に貢献する。
【0033】本発明に係るフィルタークロス(1)(10)は、緯糸(3)(4)の芯糸(5)の周囲にバルキー加工糸(6)をスパイラル状に巻回するかパイル編みとインレー編みを併用することによって緯糸(3)(4)またはパイル糸(12)と表地構成糸(11)の弾性収縮力を向上させ、これによってフィルタークロス(1)(10)の厚み方向の弾性回復性能を高めている。
【0034】この結果、瀘過初期の低圧瀘過時でも、フィルタークロス(1)(10)を構成している繊維糸条の間に充分な瀘液透過間隙が確保され、フィルタークロス(1)(10)の厚み方向で瀘液の通過抵抗が少なくなる。このため、瀘過初期の低圧域で瀘液の透過が容易となり、フィルタークロス(1)(10)の表面層(S)がぬれ状態に保持されることによってケーキの剥離性能が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は1/3破れ斜文織の織組織に織成されたフィルタークロスの経糸に平行する断面図、
(B)はその平面図、
(C)は上記フィルタークロスの緯糸に使用されているバルキー加工糸の断面図。
【図2】パイル編みとインレー編みを組合わせたフィルタークロスの部分拡大断面図。
【図3】(A)はインターロック編みの模式的説明図、
(B)は3ステップインターロック編みの模式的説明図、
(C)はクインズコート編みの模式的説明図、
(D)は緯糸挿入編みの模式的説明図。
【図4】ダブルフリース編みとインレー編みを組合わせたフィルタークロスの部分拡大平面図。
【図5】試料番号Iの織成布フィルタークロスの織組織と物性を表わす図。
【図6】試料番号IIの編成布フィルタークロスの編組織と物性を表わす図。
【図7】試料番号IIIの編成布フィルタークロスの編組織と物性を表わす図。
【図8】試料番号IVの織成布フィルタークロスの織組織と物性を表わす図。
【図9】試料番号I、II、III、IVのフィルタークロスの圧力と所要時間との関係を示す図。
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフィルタークロスに関するものであり、更に詳細には、機械操作の追従性に優れ、かつ、瀘過性およびケーキ剥離性を改善したフィルタークロスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】無薬性浄水汚泥、下水処理消化汚泥の高分子凝集剤添加スラリー、微粒顔料スラリー、酒もろみ、酢もろみ等の難瀘過性スラリーの瀘過固液分離用フィルタープレスに、瀘過効率の向上を目的として、合成繊維のマルチフィラメント糸を織成、あるいは編成してなるフィルタークロスが使用されている。
【0003】酒もろみの瀘過・圧搾例に基いて従来技術を説明する。
【0004】酒もろみ瀘過用のフィルタークロスとして、ポリエステルのマルチフィラメントを経糸および緯糸の構成成分として緻密な織組織に製織されたものが使用されている。例えば、本発明の出願人も、実公昭58−14972号公報にポリエステル繊維のマルチフィラメントを織成フィルタークロスの構成素材として使用することを提案している。
【0005】上記合成繊維製のフィルタークロスは、酒造シーズン中を通して使用した後、翌年度の酒造シーズンに備えて洗濯再生するが、この際に収縮が少なく、寸法安定性に優れ、取扱いが極めて容易なため酒もろみ瀘過用のフィルタークロスの主流を占めている。より詳細に説明すると、フィルタークロスの形成材料として使用されるポリエステルのマルチフィラメントは、細デニールの連続長繊維を多数本収束することによって織地用の糸条に形成されており、繊維の表面に毛羽がないことに起因して、フィルタークロスの表面への酒もろみ固形分の残留、付着が少なく、ケーキの剥離性と、洗浄再生の容易な瀘過媒体としてその実用性を高く評価されている。
【0006】上記先願考案において、フィルタークロスは緯二重織組織に製織されており、カレンダー加工によって平滑化されたフィルタークロスの表面側に経糸の構成成分であるマルチフィラメントを多く露出させ、また、その裏面側にバルキー加工糸を多く露出させることによって、当該フィルタークロスを酒もろみの瀘過に使用したとき、瀘液を表面層と裏面層との間に保持させている。酒もろみから抽出され、表面層と裏面層の間に保持された瀘液は、フィルタープレスの圧搾開放と同時に、その一部分が真空作用でケーキ側に逆流し、フィルタークロスの表面に瀘液を介在させることによって、平滑化されたフィルタークロスの表面層側の構成繊維とケーキ、即ち酒粕との間に働く結合力を弱め、これによってケーキの剥離性を所定の水準迄向上させている。
【0007】以上、織成布でフィルタークロスを製作する従来例を説明したが、編成布でフィルタークロスを製作することも提案されている。この具体例として例えば特公昭59−11327号公報を挙げることができる。しかしながら、この公報に開示されたフィルタークロスは、編組織がインレー糸で補強されておらないため、フィルタープレスに装着して使用したとき、瀘過圧力の作用に起因する変形からの復元性に乏しく、フィルタークロスの表面に付着したケーキの重量によって上下方向に伸長したままの状態となり易く、その実用化には多くの難点が認められている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近の醸造技術の向上および酒製品の多様化に伴ない、多品種・小ロット生産の傾向が強まり、酒粕中の澱粉含有率、構成成分、および成分比率が酒製品の品種毎に微妙に変化しつつある。このような情勢に鑑み、品種を異にする酒もろみを同一のフィルタープレスで加圧瀘過、圧搾する必要性が生じてきた。この場合、先願考案たる実公昭58−14972号公報に提唱されているフィルタープレス用瀘布をフィルタークロスとして使用しても、酒もろみの種類によっては、フィルタークロスの表面からのケーキの剥離が必ずしも容易でない。その理由は種々考えられるが、最大の要因としてフィルタークロスの形成素材であるポリエステル繊維が元来、疎水性繊維であり、二重織組織に製織しても、フィルタークロスの表面層と裏面層の間に必ずしも充分な大きさの瀘液保持空間が形成されないことが挙げられる。より詳細に説明すると、酒もろみは、親水性に富むアルコールを多量に含み粘着性が高いため、加圧瀘過後、長時間に亘り高圧搾して脱液すると、フィルタークロスの表面に圧接するケーキの表面で、両者の結合力を弱める液分の残留・付着量が減少し、フィルタークロスとケーキとの結合、付着力が強化される。この結果フィルタークロスの内側から表層面への瀘液の逆流量が充分でない場合には、瀘液の介在不良によってフィルタークロスの表面からのケーキの剥離が困難になる。百乃至百数十の瀘室を有する酒もろみ用フィルタープレスで酒もろみを圧搾する場合、ケーキの剥離性が実用上満足し得る水準に維持されておらないと、人手によってヘラ等を使用してケーキ、即ち酒粕をフィルタークロスの表面から剥離させる必要が生じ、多大の労力と時間を費やすことになり、生産性と省力化の促進が阻害される結果となる。
【0009】このような事情を背景として、酒製品の多様化および小ロット生産に対応し得るケーキの剥離性に優れた酒もろみ瀘過用フィルタークロスの提供が強く要望される。
【0010】より詳細に説明すると、実公昭58−14972号公報に開示されたフィルタークロスを多品種の酒もろみの圧搾に使用した場合、製品の品種によっては、目的とする1バッチの処理量を得るためには、在来クロスの場合と同様に8時間乃至12時間、あるいはそれ以上の長時間に亘る操作が必要となる。
【0011】これは、フィルタークロスが瀘液圧力によって瀘板に圧接されるとき、フィルタークロスの全体厚みが減少し、フィルタークロス内の瀘液通過抵抗が増大することによって、もろみの圧入量が小さくなるためである。これに打克つため、もろみの圧入力を高めると、瀘液の通過抵抗が更に増大し、圧入量の維持が困難になるという悪循環が繰返される。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題の解決手段として本発明は、原液供給側の表面層が平滑な織組織で覆われ、裏面層が高熱収縮性マルチフィラメント糸、または高弾性ゴム糸からなる芯糸の周りに高熱収縮性マルチフィラメントのバルキー加工糸を巻回してなるシース・コア・ヤーンの織組織で覆われていることを特徴とするフィルタープレス用フィルタークロス、原液供給側の表面層はマルチフィラメント糸の平滑な編組織で形成され、裏面層はループ状パイルを整列させたマルチフィラメント糸の編組織で形成されていることを特徴とするフィルタープレス用フィルタークロス、および、原液供給側の表面層は経糸が多く露出した平滑な織組織で形成され、裏面層は緯糸が多く露出した緯二重織の織組織を有し、上記経糸に合成繊維のマルチフィラメント糸を使用し、上記緯糸に高熱収縮性合成繊維のマルチフィラメント糸、または、細径の合成繊維モノフィラメント糸からなる芯糸の周りに高熱収縮性合成繊維からなるバルキー加工糸を巻回してなるシース・コア・ヤーンを使用したことを特徴とするフィルタープレス用フィルタークロスを提供するものである。
【0013】
【作用】フィルタークロスの構成糸の少なくとも一部分にバルキー加工糸を使用し、このバルキー加工糸をゴム状高弾性を有する繊維から形成された糸条、あるいは熱収縮性繊維から形成された糸条で結束することによって、瀘液の透過性と機械操作の容易性を両立させる。
【0014】
【実施例】以下、図1乃至図4の例示に基いて本発明の具体例を数種類説明する。
【0015】図1に示すフィルタークロス(1)は、経糸(2)および緯糸(3)(4)を1/3破れ斜文・緯二重織の織組織に製織することによって形成されている。織組織としては、フィルタークロス(1)の表面層を平滑化し得るものであればよく、上記1/3破れ斜文・緯二重織の外、3/2朱子、2/3朱子、4/3朱子、5/3朱子緯二重織等が使用可能である。
【0016】1/3破れ斜文・緯二重織の織組織を選択使用した場合、フィルタークロス(1)の表面層(S)側と裏面層(R)側を、経糸(2)と表面側緯糸(3)と裏面側緯糸(4)とで形成し、経糸(2)と緯糸(3)(4)とが交絡した織組織を有する織成布に仕上げている。経糸(2)としては、2乃至5Dの単繊維デニールを有するポリエステルフィラメントを所定本数集束して得られたトータルデニール500乃至2000Dのポリエステルフィラメント糸が使用されている。表面側緯糸(3)および裏面側緯糸(4)は、図1(C)および図5に示すようにゴム状高弾性糸の単糸や集束糸を芯糸(5)として使用し、この芯糸(5)の周りに、単繊維デニールが1乃至5Dの熱収縮性合成繊維を所定本数集束して得られたトータルデニール200乃至400Dのポリエステルマルチフィラメントからなるバルキー加工糸(6)を複数本つる巻き状に巻き付けることによってシース・コア構造の緯糸に形成されている。ゴム状高弾性糸としては、スパンデックスの商品名で市販されているポリウレタン繊維の外、衣料用のゴム状高弾性糸を使用することができる。上記ゴム状高弾性糸は、200乃至300%の伸長に対しても充分な復元性を発揮し得るものが望ましい。
【0017】1/3破れ斜文・緯二重織に織成された上記フィルタークロス(1)は、80゜C以上の熱湯中への浸漬あるいは連続精練によって捲縮性を発現させ、この後、乾燥およびヒートセット処理を施す。これによってバルキー加工糸(6)は、ゴム状高弾性糸(5)の収縮力によって緯糸(3)および(4)方向に補強され、フィルタークロス(1)の表面を平滑化すると共に厚み方向の弾性と空隙保持性を向上させる。
【0018】酒もろみの種類および、それに由来するケーキ(酒粕)の性質によっては上記の具体例よりも更に平滑な表面層(S)が要求される場合がある。このときには、フィルタークロス(1)の表面層(S)側に高温・高圧のカレンダによる仕上げ加工を施して経糸(2)および表面層(S)側に露出する緯糸(3)を熱変形させ、所望の平滑度を取得する。
【0019】以上は緯糸(3)および緯糸(4)の芯糸(5)にゴム状高弾性糸を使用した実例を示すものであるが、芯糸(5)として、高収縮性マルチフィラメント糸、または0.1乃至0.3mmの細径モノフィラメントの高収縮糸を複数本撚り合わせたものを使用することもできる。緯糸(3)(4)のシース成分を形成しているバルキー加工糸(6)は、バルキー性発現処理時、並びに乾燥・ヒートセット処理時に上記芯糸(5)を収縮させることによって、所定の強度と伸度を持つように補強される。上記実施例に示すフィルタークロス(1)は、表面層(S)と裏面層(R)が対称な織組織を持つ必要はなく、表面層(S)と裏面層(R)が非対称な織組織、例えば3/2重ね朱子の織組織を持つ織地からフィルタークロス(1)を製作することも可能である。
【0020】これに対し図2に示すフィルタークロス(10)は、パイル編みとインレー編みを併用した編成布から形成されている。表地構成糸(11)および(11A)でフィルタークロス(10)の表面層(S)が形成され、フィルタークロス(10)の裏面側(R)にパイル糸(12)が突出している。図6に示すようにパイル糸(12)には上記織成布からなるフィルタークロス(1)で緯糸(3)(4)の形成材料として使用されたものと同様のポリエステルマルチフィラメントのバルキー加工糸(6)が使用され、フィルタークロス(10)の表面層(S)には、上記織成布からなるフィルタークロス(1)で経糸(2)の形成材料として使用されたものと同様のポリエステルマルチフィラメントが使用されている。インレー糸(13)には、熱収縮性マルチフィラメントが使用されている。
【0021】編成されたフィルタークロス(10)は、熱水中への浸漬によるバルキー性発現処理に続いて乾燥およびヒートセット処理を施こされる。上記処理の過程でパイル糸(12)に捲縮が発現し、これと同時にインレー糸(13)が熱収縮する。これによってフィルタークロス(10)の表面層(S)とパイル糸(12)からなる裏面層(R)が補強され、編成組織内および、それに連なるパイル糸層(12)で厚み方向の弾性回復性が増強される。
【0022】上記編成布からなるフィルタークロス(10)では、表面層(S)がポリエステルのマルチフィラメント糸(11)(11A)で被覆されているため、平滑性に優れたフィルタークロス(10)の表面が得られる。この場合、編成布の特徴とするパイル糸(12)の膨らみがフィルタークロス(10)の表面層(S)側に露出するおそれがあるので、フィルタークロス(10)の表面に加熱ローラを接触させて完全に平滑な表面に成形することも可能である。
【0023】変形例として、パイル糸(12)に、高熱収縮性マルチフィラメント糸を芯糸にし、その周りに高熱収縮性マルチフィラメントからなるバルキー加工糸をつる巻き状に巻回してなるシース・コア・ヤーンを使用することも可能である。
【0024】パイル糸(12)にシース・コア・ヤーンを使用すると、フィルタークロス(10)のパイル糸層(12)と表面層(S)の補強効果が強化され、厚み方向の弾性回復性が更に増強される。
【0025】フィルタークロス(10)の表面平滑性と瀘液透過性および厚み方向の弾性回復性を両立させ得る限り、上記パイル編みとインレー編みを併用した編組織の外に種々の編成組織を選択使用することができる。具体的には、図3(A)に示すインタークロック編みまたは同図(B)に示す3ステップインターロック編みを基本組織とする編成布からもフィルタークロス(10)を製作することが可能である。
【0026】インターロック編みまたは3ステップインターロック編みを基本組織とした場合、インレー糸(13)は、高熱収縮性マルチフィラメント糸から構成し、複合組織としてパイル糸(12)を形成しているバルキー加工糸を補強することが望ましい。
【0027】上記以外の編み組織としては、図3(C)に示すクイーンズコート編みや図3(D)に示す緯糸挿入編みを使用することができる。
【0028】緯糸挿入編み組織を選択使用した場合、挿入糸(14)が編成布の強度を増大させ、これによってパイル糸(12)の補強を容易にする。インレー糸を使用した第2の変形例として、図4に示すように所定間隔でインレー糸(13)を編込んだダブルフリース編地(15)を使用することもできる。
【0029】図1に示す織成布製フィルタークロス(1)を試料番号Iとし、図2に示す編成布製フィルタークロス(10)を試料番号IIとし、および比較例として用意された2種類の編成および織成布製フィルタークロス(比較例1を試料番号IIIとし、比較例2を試料番号IVとして表示)について編織組織と物性の測定結果を図5R>5、6、7、8に示す。
【0030】
【発明の効果】上記試料番号I乃至IVに示すフィルタークロスを瀘室深さ30mm、1000mm×30室の瀘液構造を有するフィルタープレスに装着し、0乃至7kgf/cm2 の圧力で順次昇圧、圧入瀘過、圧搾脱液の操作を実行し、酒もろみの瀘過を行なった。尚、使用した酒もろみの量は、実験条件を同一にするため4種類のフィルタークロス共1500lに揃えた。それぞれのフィルタークロスについて圧入操作と圧搾脱液操作の所要時間を測定した。測定結果を図9に示す。
【0031】図9から理解されるように、本発明に係るフィルタークロス(1)(試料番号I)または(10)(試料番号II)を使用した場合、圧搾所要時間は変らないものの圧入所要時間が従来のフィルタークロスを使用した場合に比較して1/3乃至1/4に短縮される。この結果、全所要時間も約1/2に短縮された。
【0032】以上、酒もろみの瀘過脱液への適用例に基いて本発明の特色を説明して来たが、本発明の利用分野はこれに限定されるものではなく、無薬性浄水汚泥、高分子凝集剤添加方式の下水処理消化汚泥、微粒子顔料スラリー、酢もろみ等の難瀘過性スラリーをフィルタープレスで処理する際にも使用することができる。本発明に係るフィルタークロスは、初期圧入瀘過時間の短縮と処理量の向上に貢献する。
【0033】本発明に係るフィルタークロス(1)(10)は、緯糸(3)(4)の芯糸(5)の周囲にバルキー加工糸(6)をスパイラル状に巻回するかパイル編みとインレー編みを併用することによって緯糸(3)(4)またはパイル糸(12)と表地構成糸(11)の弾性収縮力を向上させ、これによってフィルタークロス(1)(10)の厚み方向の弾性回復性能を高めている。
【0034】この結果、瀘過初期の低圧瀘過時でも、フィルタークロス(1)(10)を構成している繊維糸条の間に充分な瀘液透過間隙が確保され、フィルタークロス(1)(10)の厚み方向で瀘液の通過抵抗が少なくなる。このため、瀘過初期の低圧域で瀘液の透過が容易となり、フィルタークロス(1)(10)の表面層(S)がぬれ状態に保持されることによってケーキの剥離性能が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は1/3破れ斜文織の織組織に織成されたフィルタークロスの経糸に平行する断面図、
(B)はその平面図、
(C)は上記フィルタークロスの緯糸に使用されているバルキー加工糸の断面図。
【図2】パイル編みとインレー編みを組合わせたフィルタークロスの部分拡大断面図。
【図3】(A)はインターロック編みの模式的説明図、
(B)は3ステップインターロック編みの模式的説明図、
(C)はクインズコート編みの模式的説明図、
(D)は緯糸挿入編みの模式的説明図。
【図4】ダブルフリース編みとインレー編みを組合わせたフィルタークロスの部分拡大平面図。
【図5】試料番号Iの織成布フィルタークロスの織組織と物性を表わす図。
【図6】試料番号IIの編成布フィルタークロスの編組織と物性を表わす図。
【図7】試料番号IIIの編成布フィルタークロスの編組織と物性を表わす図。
【図8】試料番号IVの織成布フィルタークロスの織組織と物性を表わす図。
【図9】試料番号I、II、III、IVのフィルタークロスの圧力と所要時間との関係を示す図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 原液供給側の表面層が平滑な織組織で覆われ、裏面層が高熱収縮性マルチフィラメント糸、または高弾性ゴム糸からなる芯糸の周りに高熱収縮性マルチフィラメントのバルキー加工糸を巻回してなるシース・コア・ヤーンの織組織で覆われていることを特徴とするフィルタープレス用フィルタークロス。
【請求項2】 原液供給側の表面層はマルチフィラメント糸の平滑な編組織で形成され、裏面層はループ状パイルを整列させたマルチフィラメント糸の編組織で形成されていることを特徴とするフィルタープレス用フィルタークロス。
【請求項3】 原液供給側の表面層は経糸が多く露出した平滑な織組織で形成され、裏面層は緯糸が多く露出した緯二重織の織組織を有し、上記経糸に合成繊維のマルチフィラメント糸を使用し、上記緯糸に高熱収縮性合成繊維のマルチフィラメント糸、または、細径の合成繊維モノフィラメント糸からなる芯糸の周りに高熱収縮性合成繊維からなるバルキー加工糸を巻回してなるシース・コア・ヤーンを使用したことを特徴とするフィルタープレス用フィルタークロス。
【請求項4】 経糸に合成繊維のマルチフィラメント糸を使用し、緯糸に高熱収縮性合成繊維のマルチフィラメント糸、または、細径の合成繊維モノフィラメント糸からなる芯糸の周りに高熱収縮性合成繊維からなるバルキー加工糸を巻回してなるシース・コア・ヤーンを使用し、上記経糸および緯糸は1/3破れ斜文・緯二重織の織組織に織成したことを特徴とする請求項1に記載のフィルタープレス用フィルタークロス。
【請求項5】 原液供給側の表面層をインレー編み組織とし、かつ、タックウェルト編み糸に高熱収縮性合成繊維からなるバルキー加工糸を使用して裏面層にループ状パイルを露出させた編成布を形成した後、この編成布に熱湯または乾熱による捲縮発現処理を施し、当該編成布を熱収縮させたことを特徴とする請求項2に記載のフィルタープレス用フィルタークロス。
【請求項6】 原液供給側の表面層に高熱収縮性合成繊維のマルチフィラメントからなるバルキー加工糸を使用すると共に、編成布をダブルフリース編みの編組織に編成し、得られた上記編成布に熱湯または乾熱による捲縮発現処理を施し、当該編成布を熱収縮させたことを特徴する請求項2に記載のフィルタープレス用フィルタークロス。
【請求項7】 フィルタークロスの本体が1/3破れ斜文緯二重織、3/2朱子、2/3朱子、4/3朱子、5/3朱子緯二重織の群から選ばれた何れか1つの織組織に織成されていることを特徴とする請求項1記載のフィルタープレス用フィルタークロス。
【請求項8】 フィルタークロスの本体がパイル編みとインレー編みの組合わせ、インタークロック編み、3ステップインターロック編み、インレー糸を編込んだダブルフリース編みの群から選ばれた何れか1つの編組織に編成されていることを特徴とする請求項2記載のフィルタープレス用フィルタークロス。
【請求項1】 原液供給側の表面層が平滑な織組織で覆われ、裏面層が高熱収縮性マルチフィラメント糸、または高弾性ゴム糸からなる芯糸の周りに高熱収縮性マルチフィラメントのバルキー加工糸を巻回してなるシース・コア・ヤーンの織組織で覆われていることを特徴とするフィルタープレス用フィルタークロス。
【請求項2】 原液供給側の表面層はマルチフィラメント糸の平滑な編組織で形成され、裏面層はループ状パイルを整列させたマルチフィラメント糸の編組織で形成されていることを特徴とするフィルタープレス用フィルタークロス。
【請求項3】 原液供給側の表面層は経糸が多く露出した平滑な織組織で形成され、裏面層は緯糸が多く露出した緯二重織の織組織を有し、上記経糸に合成繊維のマルチフィラメント糸を使用し、上記緯糸に高熱収縮性合成繊維のマルチフィラメント糸、または、細径の合成繊維モノフィラメント糸からなる芯糸の周りに高熱収縮性合成繊維からなるバルキー加工糸を巻回してなるシース・コア・ヤーンを使用したことを特徴とするフィルタープレス用フィルタークロス。
【請求項4】 経糸に合成繊維のマルチフィラメント糸を使用し、緯糸に高熱収縮性合成繊維のマルチフィラメント糸、または、細径の合成繊維モノフィラメント糸からなる芯糸の周りに高熱収縮性合成繊維からなるバルキー加工糸を巻回してなるシース・コア・ヤーンを使用し、上記経糸および緯糸は1/3破れ斜文・緯二重織の織組織に織成したことを特徴とする請求項1に記載のフィルタープレス用フィルタークロス。
【請求項5】 原液供給側の表面層をインレー編み組織とし、かつ、タックウェルト編み糸に高熱収縮性合成繊維からなるバルキー加工糸を使用して裏面層にループ状パイルを露出させた編成布を形成した後、この編成布に熱湯または乾熱による捲縮発現処理を施し、当該編成布を熱収縮させたことを特徴とする請求項2に記載のフィルタープレス用フィルタークロス。
【請求項6】 原液供給側の表面層に高熱収縮性合成繊維のマルチフィラメントからなるバルキー加工糸を使用すると共に、編成布をダブルフリース編みの編組織に編成し、得られた上記編成布に熱湯または乾熱による捲縮発現処理を施し、当該編成布を熱収縮させたことを特徴する請求項2に記載のフィルタープレス用フィルタークロス。
【請求項7】 フィルタークロスの本体が1/3破れ斜文緯二重織、3/2朱子、2/3朱子、4/3朱子、5/3朱子緯二重織の群から選ばれた何れか1つの織組織に織成されていることを特徴とする請求項1記載のフィルタープレス用フィルタークロス。
【請求項8】 フィルタークロスの本体がパイル編みとインレー編みの組合わせ、インタークロック編み、3ステップインターロック編み、インレー糸を編込んだダブルフリース編みの群から選ばれた何れか1つの編組織に編成されていることを特徴とする請求項2記載のフィルタープレス用フィルタークロス。
【図2】
【図3】
【図1】
【図4】
【図9】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図3】
【図1】
【図4】
【図9】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【特許番号】特許第3452072号(P3452072)
【登録日】平成15年7月18日(2003.7.18)
【発行日】平成15年9月29日(2003.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−229785
【出願日】平成5年9月16日(1993.9.16)
【公開番号】特開平7−80213
【公開日】平成7年3月28日(1995.3.28)
【審査請求日】平成12年7月7日(2000.7.7)
【出願人】(000238234)シキボウ株式会社 (33)
【参考文献】
【文献】特開 平6−254309(JP,A)
【文献】実公 昭58−14972(JP,Y2)
【文献】実公 平3−1047(JP,Y2)
【登録日】平成15年7月18日(2003.7.18)
【発行日】平成15年9月29日(2003.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成5年9月16日(1993.9.16)
【公開番号】特開平7−80213
【公開日】平成7年3月28日(1995.3.28)
【審査請求日】平成12年7月7日(2000.7.7)
【出願人】(000238234)シキボウ株式会社 (33)
【参考文献】
【文献】特開 平6−254309(JP,A)
【文献】実公 昭58−14972(JP,Y2)
【文献】実公 平3−1047(JP,Y2)
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