説明

フィルター装置の洗浄方法及びこのフィルター装置を備えた液体の浄化システム

【課題】フィルター装置を備えた液体浄化装置の特に起動時及び停止時におけるフィルターエレメントの固形物の目詰まりの発生を回避して、フィルターエレメント洗浄液への固形物の混入に伴う液体浄化装置の正常運転の阻害を防止するとともに、洗浄液ポンプや弁類等の洗浄液用機器の故障の発生を防止し、さらには、液体浄化装置の停止期間中におけるバラストタンク内の微生物の増殖やタンクの腐食を防止可能なフィルター装置及びこのフィルター装置を備えた液体の浄化システムを提供する。
【解決手段】固形物が混入された未処理液をフィルターエレメントを通すことにより該固形物をろ過してろ過液通路に排出するフィルター装置の洗浄手段であって、前記フィルター装置の作動を開始する起動時及び作動を終了する停止時に、清浄液通路を通して固形物の含有量が一定値以下の清浄液を前記フィルター装置に導入して該清浄液により前記フィルターエレメントを洗浄することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、未処理の海水中の微生物を除去し清浄な処理海水にしてバラストタンクに収容するバラスト水処理に適用されるフィルター装置及びこのフィルター装置を備えた液体の浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
タンカー等の船舶において、オイルを搭載しない状態での航行時に、バラスト水タンクに収容する液体即ちバラスト水は、海洋汚染や公害の発生を回避するため、未処理の液体をフィルター装置や液体電解装置等の固形物除去手段を通すことにより該未処理液体中の微生物を含む固形物を除去する海水無害化処理装置によって、清浄な処理液体にしてバラスト水タンクに収容している。
そして、前記海水無害化処理装置に用いられているフィルター装置については、従来より多くの発明、考案が提供されており、その一つに特許文献1(特許第2714914号公報)の技術がある。
【0003】
かかる技術においては、フィルターハウジング内に収納されて回転する筒状のフィルターエレメントの外側に形成される外側室に未処理液体を導入し、該液体を前記フィルターエレメントを通して固形物をろ過してから該フィルターエレメントの内側に形成される内側室に流出させるように構成し、フィルターエレメントの洗浄時には、前記フィルターエレメント洗浄用の洗浄液を、噴出ノズルからフィルターエレメントの外周面に吹き付け、そのドレン排水をフィルターハウジングの下部に開口されたドレン排出口から排出している。
【0004】
【特許文献1】特許第2714914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のように、海水の無害化処理装置には、液体中の固形物を機械的に除去する手段として用いられている特許文献1(特許第2714914号公報)のようなフィルター装置が用いられているが、特許文献1のフィルター装置には次のような解決すべき課題がある。
【0006】
一般に、液体をフィルターエレメントでろ過することによって液体中の固形物を捕獲する特許文献1(特許第2714914号公報)のようなフィルター装置は、固形物の含有がきわめて少ない燃料や潤滑油のろ過用として用いられることが多く、この場合は所要のろ過機能を発揮する。
しかしながら、フィルター装置を海水のろ過用として用いる場合、海水中にはプランクトンのような微生物、砂のような比重の大きい固形物等の多くの固形物が混入しているため、前記特許文献1のようなフィルター装置をそのまま海水のろ過用として用いると、特に無害化処理装置の起動時に海水中の固形物によってフィルターエレメントが目詰まりを起こし易く、かかるフィルターエレメントの目詰まりの発生によって、固形物を十分に除去してバラスト水タンクに収容し、またフィルターエレメントの洗浄液として用いるに十分なろ過水が得られ難い。
このため、かかるフィルターエレメントのろ過機能の低下によって、無害化処理装置の正常運転が不可能になるという事態が生じる恐れがある。
【0007】
また、フィルターエレメントで十分なろ過がなされない海水をフィルターエレメントの洗浄液として用いると、洗浄液ポンプの回転部分や洗浄液通路の開閉弁に固形物が噛みこんで、これらの機器の故障の要因となる。
さらには、バラスト水タンクに収容するためのバラスト水の取水設備は停止期間が長いため、停止前に前記のように十分なろ過がなされない海水をバラスト水タンクに収容すると、バラスト水タンク内において微生物に増殖が発生し、またバラスト水タンクの腐食要因ともなる。
【0008】
従って、本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、フィルター装置を備えた液体浄化装置の、特に起動時及び停止時におけるフィルターエレメントの固形物の目詰まりの発生を回避して、フィルターエレメント洗浄液への固形物の混入に伴う液体浄化装置の正常運転の阻害を防止するとともに、洗浄液ポンプや弁類等の洗浄液用機器の故障の発生を防止し、さらには、液体浄化装置の停止期間中におけるバラストタンク内の微生物の増殖やタンクの腐食を防止可能なフィルター装置及びこのフィルター装置を備えた液体の浄化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はかかる目的を達成するもので、固形物が混入された未処理液を、フィルターエレメントを通すことにより該固形物をろ過してろ過液通路に排出するフィルター装置の洗浄方法であって、前記フィルター装置の作動を開始する起動時及び作動を終了する停止時に、固形物の含有量が一定値以下の清浄液を清浄液通路を通して前記フィルター装置に導入して該清浄液により前記フィルターエレメントを洗浄することを特徴とする。
かかる発明において、好ましくは、前記起動時及び停止時以外の運転時に、前記清浄液による前記フィルターエレメントの洗浄操作を行ってからあるいは該洗浄操作を行いながら、前記未処理液をフィルター装置に導入して前記フィルターエレメントによるろ過を行うように構成する。
また、前記清浄液として、前記清浄液として、淡水、前記未処理液に遠心力を付与してこの液体中から固形物を分離する遠心式固液分離装置で処理された液体、もしくは酸化作用を有する物質を含む洗浄液のいずれかを用いる。
【0010】
また、前記洗浄方法によるフィルター装置をそなえた液体浄化システムに関する発明は、固形物が混入された未処理液をフィルターエレメントを通すことにより該固形物をろ過してろ過液通路に排出するフィルター装置と、前記フィルター装置を洗浄する洗浄液を該フィルター装置に給排する洗浄装置とを有する液体無害化処理装置を備えた液体浄化システムにおいて、固形物の含有量が一定値以下の清浄液を前記フィルター装置に供給する清浄液通路からなる第1の洗浄液通路と、該第1の洗浄液通路を開閉する清浄液通路開閉弁と、前記フィルター装置への未処理液供給通路を開閉する未処理液通路開閉弁と、前記フィルター装置に接続される第2の洗浄液通路を開閉する洗浄液通路開閉弁と、前記フィルター装置からのろ過液通路を開閉するろ過液通路開閉弁と、前記フィルター装置からの洗浄排液通路を開閉する排液通路開閉弁とをそなえるとともに、前記液体無害化処理装置の起動時及び停止時に前記清浄液通路開閉弁を開くとともに前記洗浄液通路開閉弁を閉じて前記第1の洗浄液通路を通して前記清浄液をフィルター装置に供給せしめる洗浄液切換え手段をそなえたことを特徴とする。
かかる発明において、好ましくは、前記洗浄液切換え手段は、前記液体無害化処理装置の起動時及び停止時以外の運転時に、前記清浄液通路開閉弁を閉じるとともに前記洗浄液通路開閉弁を開いて前記第2の洗浄液通路からの洗浄液をフィルター装置に供給せしめるように構成される。
【0011】
また、かかる装置発明において、前記洗浄液切換え手段は、前記液体無害化処理装置の運転状態を設定あるいは検出する運転状態設定/検出手段からの入力信号に基づき、前記液体浄化装置の運転状態に応じて前記清浄液通路開閉弁、前記未処理液通路開閉弁、前記洗浄液通路開閉弁、前記ろ過液通路開閉弁、及び前記排液通路開閉弁を開閉制御するとともに、前記洗浄装置に設けられた洗浄ポンプを運転制御する制御装置からなるように構成するのが好ましい。
【0012】
また、前記フィルター装置をそなえた液体浄化システム用液体無害化処理装置の発明は、前記液体無害化処理装置は、未処理の液体中の微生物を除去して清浄な処理液体に転換し、この処理液体をバラストタンクに収容するように構成されるとともに、前記液体に遠心力を付与して該液体中から固形物を分離する遠心式固液分離装置と、前記フィルター装置と、前記液体が通流する液体処理ラインの前記遠心式固液分離装置及びフィルター装置の下流側に設けられ、前記液体の全部または一部を電解槽にて電気分解して塩素含有物質を生成する液体電解装置とを備えたことを特徴とする。
【0013】
さらには、次の構成からなる液体浄化システムも、本発明に含まれる。
(1)フィルターハウジング内に収納され回転可能な筒状のフィルターエレメントの外側に形成される外側室に未処理液体を導入し、該液体を前記フィルターエレメントを通して固形物をろ過してから該フィルターエレメントの内側に形成される内側室に流出させるように構成されたフィルター装置と、洗浄ポンプから送給される前記フィルターエレメントの洗浄用の洗浄液を該フィルターエレメントの外周面に吹き付ける複数の噴出ノズルと、前記洗浄ポンプと前記複数の噴出ノズルとを接続する複数の洗浄液通路をそれぞれ開閉する複数の洗浄液通路開閉弁とをそなえた液体浄化システムにおいて、前記複数の洗浄液通路の前記洗浄液通路開閉弁の前流側に該洗浄液通路開閉弁と同数設けられて該洗浄液通路を開閉する開閉元弁と、前記複数の洗浄液通路の前記洗浄液通路開閉弁の後流側に該洗浄液通路開閉弁と同数設けられて該洗浄液通路を開閉する遮断弁と、前記洗浄液通路の圧力が所定の圧力範囲外となったとき故障発生の前記洗浄液通路開閉弁に対応する前記開閉元弁を閉じて当該洗浄液通路開閉弁への洗浄液の通流を遮断せしめる制御装置を備えたことを特徴とする。
【0014】
(2)フィルターハウジング内に収納され回転可能な筒状のフィルターエレメントの外側に形成される外側室に未処理液体を導入し、該液体を前記フィルターエレメントを通して固形物をろ過してから該フィルターエレメントの内側に形成される内側室に流出させるように構成されたフィルター装置と、洗浄ポンプから送給される前記フィルターエレメントの洗浄用の洗浄液を該フィルターエレメントの外周面に吹き付ける複数の噴出ノズルと、前記洗浄ポンプと前記複数の噴出ノズルとを接続する複数の洗浄液通路をそれぞれ開閉する複数の洗浄液通路開閉弁とをそなえた液体浄化システムにおいて、前記複数の洗浄液通路開閉弁のうち少なくとも2個の前記洗浄液通路開閉弁について同時に開弁するオーバーラップ期間を設定するとともに、前記洗浄液通路に該洗浄液通路内の圧力変動を吸収するアキュムレータを設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液体浄化システムの液体無害化処理装置の洗浄液切換え手段によって切換え操作される清浄液通路からなる第1の洗浄液通路の開閉弁とフィルター装置からのろ過液が供給される第2の洗浄液通路を開閉する開閉弁とを、前記洗浄液切換え手段によって切り換えることにより、前記液体無害化処理装置の起動時及び停止時に、前記清浄液通路を通して固形物の含有量が一定値以下の清浄液をフィルター装置に導入して該清浄液により前記フィルターエレメントを洗浄しておき、前記起動時及び停止時以外の定常運転時に、前記清浄液によるフィルターエレメントの洗浄操作を行ってからあるいは該洗浄操作を行いながら、未処理液をフィルター装置に導入してフィルターエレメントによるろ過を行うように構成したので、装置の起動時に、固形物をほとんど含まない清浄液をフィルターエレメントに噴出させて該フィルターエレメントを洗浄することにより、かかる清浄液でフィルターエレメント内の固形物を洗い落としながら、未処理液をフィルター装置に導入してフィルターエレメントによるろ過を行う定常運転に入ることができる。
【0016】
要するに本発明においては、起動時にフィルター清浄液を供給して洗浄しながら未処理液も濾過することで、起動時におけるフィルターの目詰まりを防止でき、装置の起動から停止までフィルター装置のろ過液等の多少の固形物が混入されている液を洗浄液として用いている前記従来技術のように、特に起動後に洗浄液中の固形物によってフィルターエレメントが目詰まりを起こすのを回避できる。
従って本発明によれば、かかるフィルターエレメントの目詰まりによる該フィルターエレメントのろ過機能の低下に伴う、洗浄液ポンプの回転部分や洗浄液通路の開閉弁に固形物の噛み込み、及びかかる固形物の噛み込みによる前記機器の故障の発生を回避でき、これにより無害化処理装置の安定運転を実現できて、装置の信頼性を向上できる。
【0017】
また本発明によれば、装置の運転を停止する前の一定時間あるいは装置の停止時に、固形物をほとんど含まない清浄液をフィルター装置に導入して該清浄液により前記フィルターエレメントを洗浄しておくので、停止期間が長いバラスト水の取水設備においても、
停止期間中におけるバラストタンク内での微生物の増殖やバラストタンクの腐食の発生を防止できるとともに、次回の起動を円滑に行うことができる。
また、装置の停止期間中に、フィルターエレメントの表面等にバイオフィルム等の生物が繁殖するのを防止できる。
【0018】
また本発明によれば、固形物をほとんど含まない清浄液によりフィルター装置を洗浄しながら未処理液体をろ過することで、洗浄ポンプによる吸入に十分なろ過液量を得ることができて、円滑に定常運転に移行できるとともに、1台の洗浄ポンプで装置の起動、定常運転、及び停止時の洗浄を行うことができる。
【0019】
また本発明によれば、固形物をほとんど含まない清浄液によりフィルター装置を洗浄することで、フィルター装置内及びその付属配管等を効果的に洗浄できるとともに、海水のように金属腐食性を有する液体を浄化処理する装置の場合には、停止期間中の装置の腐食の発生を防止できる。
また、前記清浄液供給用として、備え付けの淡水タンクや淡水化装置を利用することで、洗浄液用のタンクスペースや洗浄液の製造装置を新たに設置することなく、フィルター装置の清浄液による洗浄を実現できる。
【0020】
また本発明において、複数の洗浄液通路の洗浄液通路開閉弁の前流側に洗浄液通路開閉弁と同数設けられて洗浄液通路を開閉する開閉元弁と、前記複数の洗浄液通路の洗浄液通路開閉弁の後流側に該洗浄液通路開閉弁と同数設けられて該洗浄液通路を開閉する遮断弁と、前記洗浄液通路の洗浄ポンプ出口側の圧力が所定の圧力範囲外となったとき故障発生の洗浄液通路開閉弁に対応する開閉元弁を閉じて当該洗浄液通路開閉弁への洗浄液の通流を遮断せしめる制御装置とを備える構成とすれば、
各洗浄液通路に対応する洗浄ユニットの圧力低下等によって洗浄液通路の洗浄液通路開閉弁の故障が検知された際には、制御装置により当該洗浄液通路開閉弁に通ずる開閉元弁を閉じるとともに遮断弁を閉じて当該洗浄液通路を完全に遮断状態にし、他の洗浄液通路開閉弁を開いておくことにより、前記洗浄液通路開閉弁の故障に伴って装置の運転を停止することなくフィルター装置を作動させることができる。
【0021】
また本発明において、複数の洗浄液通路開閉弁のうち少なくとも2個の洗浄液通路開閉弁について同時に開弁するオーバーラップ期間を設定するとともに、洗浄液通路に該洗浄液通路内の圧力変動を吸収するアキュムレータを設置した構成とすれば、バルブが瞬間的に全閉となって圧力が急激に上昇することを防止できる。
【0022】
また、前記洗浄液通開閉弁の開閉による圧力変動をアキュムレータによって緩和でき、これにより、洗浄液の安定供給を保持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0024】
図7は本発明が適用される船舶用バラスト水の無害化処理装置の系統図である。
図7において、101は未処理海水を濾過してごみ等の異物を捕獲するスクリーン、102は海水を海水処理ライン111に搬送する搬送ポンプである。
該搬送ポンプ102により海水処理ライン111を圧送された海水は、本発明の要旨であるフィルター装置4に導入される。該フィルター装置4及びこれの周辺機器の詳細については後述する。
【0025】
該フィルター装置4で固形物(微粒)を分離した後の海水は海水電解装置60に送り込まれる。また、該フィルター装置4のドレン排出口からのドレン排水はドレン管30を通して排水ライン110bに排出される。
前記海水電解装置60は海水を電気分解して、該海水中から次亜塩素酸ソーダ(以下次亜塩素酸という)を生成するものである。かかる電気分解を行うため電解槽107は、前記海水処理ライン111の前記フィルター装置4の下流部位から分岐してバラスト水タンク80の入口側で合流するバイパスライン107aに配設されている。該電解槽107へは、バイパスライン107aに設けられたポンプ112によって電気分解処理用の海水が導入される。
【0026】
前記海水電解装置60の電解槽107で生成された次亜塩素酸は前記バイパスライン107aを通して海水処理ライン111に注入される。
以上のような、フィルター装置4に設定されたメッシュ以上の容積の固形物の捕獲処理、及び海水電解装置60による次亜塩素酸の生成及び注入処理がなされた処理海水は、バラスト水タンク80に搬入されて該バラスト水タンク80内に収容される。
また、前記バイパスライン107a合流後の海水処理ライン111から、一部の処理海水を再処理ライン111aを通して、前記搬送ポンプ102の吸入側に戻して、以上の処理を行う。
本発明は、かかる海水の無害化処理装置等をそなえた液体浄化システムに適用されるフィルター装置4に関するものである。
【実施例1】
【0027】
図5は本発明の第1実施例に係るフィルター装置及びその周辺機器の構成を示す系統図、図6は該フィルター装置の軸直角の部分断面図である。
図5において、筒状のフィルターハウジング27の内部には、上部及び下部が閉鎖された円筒体からなるフィルターエレメント21が収納されている。該フィルターエレメント21は中心軸44の上部に連結されたモータ43によって回転可能となっている。
また、前記フィルターハウジング27の外側室24内には前記搬送ポンプ102(図7参照)から未処理液供給管1を通して海水(未処理液)が導入され、該海水はフィルターエレメント21を外側から内側へと通過することにより固形物(微粒)をろ過分離して内側室26(図6参照)に流出し、ろ過液管9を通して海水処理ライン111に送出される。
【0028】
次に、前記フィルター装置4の洗浄システムについて説明すると、前記フィルターエレメント21の高さ方向に沿って、複数組(この例では4組)の噴出ノズル22が配設され、図6のように、各噴出ノズル22から前記フィルターエレメント21の洗浄用の洗浄液を該フィルターエレメント21の外周面に吹き付けるようになっている。
前記各噴出ノズル22には、洗浄ポンプ33によって、ポンプ吸入通路32を通して洗浄液が供給される。前記各噴出ノズル22への洗浄液の供給、遮断は、各噴出ノズル22毎に設けられた開閉弁34によって行われる。
【0029】
また、前記フィルターハウジング27の下部にはドレン排出口23が設けられ、このドレン排出口23は前記フィルターエレメント21の外周面に臨んで開口して、該フィルターエレメント21洗浄時のドレン排水を該ドレン排出口23に導入可能となっている。
前記各ドレン排出口23の出口側は、開閉弁5をそなえたドレン管30に接続されている。31は前記ろ過液通路9と洗浄ポンプ33の吸入側に接続されるポンプ吸入通路32とを接続する洗浄液連絡管、6は該洗浄液連絡管31を開閉する連絡通路開閉弁である。
35は制御装置で、該制御装置35は、前記フィルターエレメント21用のモータ43の回転数、前記洗浄ポンプ33の回転数、前記噴出ノズル22用の開閉弁34の開閉のほかに、図4に示されるように、各開閉弁の開閉制御を行う(開閉制御の詳細は後述する)。
【0030】
かかる第1実施例において、フィルターエレメント21の洗浄時には、前記各噴出ノズル22の開閉弁34を開き、洗浄ポンプ33を運転して、図6のように、各噴出ノズル22からフィルターエレメント21の外面に吹き付けて該フィルターエレメント21に捕獲されている固形物(微粒)25を分離する。
それと同時に、排出側の開閉弁5を開く。固形物(微粒)25を伴った洗浄液は、ドレン排出口23に導入され、前記ドレン管30を通して排水ライン110b(図7参照)に排出される。
【0031】
以上のように構成されたフィルター装置4において、本発明では、液体無害化処理装置の起動時及び停止時に、固形物の含有量が一定値以下、つまり固形物をほとんど含まない清浄液を清浄液通路39を通してフィルター装置4に導入し、該清浄液によってフィルター装置4を洗浄可能としている。
前記清浄液としては、淡水、もしくはいずれか酸化作用を有する物質を添加した洗浄液のいずれかを用いる。
図1〜4はこの第1実施例に係る液体無害化処理装置におけるフィルター装置4周りの洗浄液配管及び開閉弁の開閉動作を示す系統図で、図1は前記液体無害化処理装置の起動時、図2は定常運転時、図3は停止時における各開閉弁の開閉動作を示す。また、図4は起動時における制御装置による弁の開閉操作を示す。各図において、白色の弁は開弁状態、黒色の弁は閉弁状態をそれぞれ示す。
【0032】
図1及び図4に示す起動時には、図1(A)のように、フィルター装置4への未処理液供給管1を開閉する未処理液通路開閉弁2を閉、フィルター装置4からのろ過液管9を開閉するろ過液通路開閉弁8を閉、前記洗浄液連絡管31を開閉する連絡通路開閉弁6を閉、前記各噴出ノズル22の開閉弁34を開、固形物をほとんど含まない清浄液を供給する清浄液供給管39を開閉する清浄液通路開閉弁7を開、前記ドレン管30を開閉する排液通路開閉弁5を開に操作する。
かかる操作によって、清浄液供給管39からの清浄液は、洗浄ポンプ33によって開閉弁34を介して各噴出ノズル22に圧送され、図6に示すように、該噴出ノズル22からフィルターエレメント21に吹き付けられ、該フィルターエレメント21に付着している固形物を除去する。該フィルターエレメント21から除去された固形物は、洗浄液(前記清浄液)とともにドレン排出口23に導入され、ドレン管30を通して外部に排出される。
【0033】
そして、前記のような清浄液によるフィルターエレメント2の洗浄操作を行いながら、図1(B)のように、前記未処理液通路開閉弁2を開き、ろ過液通路開閉弁8を開く。
かかる操作によって、前記未処理液供給管1から海水をフィルター装置4内に導入し、フィルターエレメント21によってろ過する。前記洗浄用の清浄液及びフィルターエレメント21でろ過されたろ過液(ろ過海水)は該フィルターエレメント21から除去された固形物とともに、前記ドレン排出口23に排出される。その後定常運転に入る。
【0034】
図2に示す定常運転時には、図2(A)のように、図1(B)の状態から洗浄用の清浄液のラインを遮断する。即ち、前記未処理液通路開閉弁2及びろ過液通路開閉弁8を開いた状態で噴出ノズル22の開閉弁34及び清浄液通路開閉弁7及び連絡通路開閉弁6及び排液通路開閉弁5を閉じる。これにより、前記未処理液供給管1からの未処理の海水はフィルター装置4に導入されて該フィルター装置4で固形物をろ過した後、ろ過液はフィルター装置4からろ過液管9を通して海水処理ライン111(図7参照)に送出される。
【0035】
そして、定常運転時における洗浄操作時には、図2(B)のように、図2(A)の状態から前記清浄液通路開閉弁7を閉じたままとし、前記噴出ノズル22の開閉弁34及び連絡通路開閉弁6及び排液通路開閉弁5を開く。これにより、フィルター装置4は未処理海水のろ過動作を続けた状態で、フィルター装置4にはろ過液管9から分岐されたろ過液が洗浄液連絡管31を循環して前記洗浄ポンプ33に吸入され該洗浄ポンプ3から前記噴出ノズル22に圧送され、該噴出ノズル22からフィルターエレメント21に吹き付けられ、該フィルターエレメント21に付着している固形物を除去する。
【0036】
図3に示す停止時には、停止動作前において図3(A)のように、図2(B)の状態から前記連絡通路開閉弁6を閉じ前記清浄液通路開閉弁7を開く。これによりフィルター装置4は未処理海水のろ過動作を続けた状態で、前記清浄液供給管39からの清浄液が洗浄ポンプ33によって開閉弁3を介して各噴出ノズル22に圧送され該噴出ノズル22からフィルターエレメント21に吹き付けられ、該フィルターエレメント21に付着している固形物を除去する。
そして停止後は図3(B)のように、図3(A)の状態から前記未処理液通路開閉弁2及びろ過液通路開閉弁8を閉じる。これによりフィルター装置4における未処理海水のろ過動作が停止され、前記清浄液供給管39からの清浄液によるフィルターエレメント21の洗浄動作が行われる。
【0037】
図4の例は、前記各開閉弁を制御装置35によって自動開閉するもので、該制御装置35は、図7に示される液体無害化処理装置の運転状態を設定あるいは検出する運転状態設定/検出手段51からの入力信号に基づき、該液体無害化処理装置の運転状態に応じて、前記清浄液通路開閉弁7、前記未処理液通路開閉弁2、前記連絡通路開閉弁6、前記ろ過液通路開閉弁3、前記排液通路開閉弁5、及び噴出ノズル22の開閉弁34を開閉制御するとともに、前記洗浄ポンプ33を運転制御する。
【0038】
かかる第1実施例によれば、液体浄化システムの液体無害化処理装置の、前記各開閉弁からなる洗浄液切換え手段によって、清浄液供給管39の開閉弁7とフィルター装置4からのろ過液の一部が循環される洗浄液連絡管31の開閉弁6とを切り換えることにより、前記液体無害化処理装置の起動時及び停止時に、前記清浄液供給管39を通して固形物をほとんど含まない清浄液をフィルター装置4に導入して該清浄液によりフィルターエレメント21を洗浄しておき、前記起動時及び停止時以外の定常運転時に、前記清浄液によるフィルターエレメント21の洗浄操作を行ってから、あるいは該洗浄操作を行いながら、未処理液をフィルター装置4に導入して、フィルターエレメント21によるろ過を行うように構成したので、装置の起動時に、固形物をほとんど含まない清浄液をフィルターエレメント21に噴出させて該フィルターエレメント21を洗浄することにより、かかる清浄液でフィルターエレメント21内の固形物を完全に洗い落としてから、未処理液をフィルター装置4に導入して、フィルターエレメント21によるろ過を行う定常運転に入ることができる。
【0039】
要するにかかる第1実施例においては、起動時にフィルター清浄液を供給して洗浄しながら未処理液も濾過することで、起動時におけるフィルターエレメント21の目詰まりを防止でき、装置の起動から停止までフィルター装置のろ過液等の多少の固形物が混入されている液を洗浄液として用いている前記従来技術のように、特に起動後に洗浄液中の固形物によってフィルターエレメント21が目詰まりを起こすのを回避できる。
【0040】
従ってかかる第1実施例によれば、前記のようなフィルターエレメント21の目詰まりによる該フィルターエレメント21のろ過機能の低下に伴う、洗浄液ポンプの回転部分や洗浄液通路の開閉弁に固形物の噛み込み、及びかかる固形物の噛み込みによる前記機器の故障の発生を回避でき、これにより無害化処理装置の安定運転を実現できて、装置の信頼性を向上できる。
【実施例2】
【0041】
図8は本発明の第2実施例に係るフィルター装置及びその周辺機器の構成を示す系統図である。
この第2実施例においては、前記噴出ノズル22への複数の洗浄液通路の前記噴出ノズルの開閉弁34の前流側に該開閉弁34と同数(この例では4個)の開閉元弁41を設けるとともに、前記開閉弁34の後流側に該開閉弁34と同数(この例では4個)の遮断弁40を設けて、前記開閉元弁41を制御装置35により開閉制御するように構成されている。
【0042】
そしてこの第2実施例においては、前記洗浄ポンプ33出口側における前記噴出ノズル22毎の各洗浄ユニットの圧力を検出する圧力センサ331を設けて(図8には該圧力センサ331を1個表示している)、該圧力センサ331による各洗浄ユニットの洗浄圧力の検出値を前記制御装置35に入力し、該制御装置35においては、前記洗浄圧力が予め設定された許容値以下になったとき、当該洗浄ユニットの開閉弁34に故障が発生しているものと判断して、当該洗浄ユニットの開閉元弁41を閉じる。続いて当該洗浄ユニットの前記遮断弁40を閉じ、当該洗浄ユニットへの洗浄液の通流を遮断せしめる。
尚、かかる開閉弁34の故障が発生した場合には、前記制御装置35においては、前記洗浄ポンプ33の吐出容量を開閉弁34の故障数におい応じて減少させる。
その他の構成は前記第1実施例(図5)と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。
【0043】
かかる第2実施例によれば、圧力センサ331による各洗浄ユニットの洗浄圧力の検出値によって、噴出ノズル22毎の各洗浄ユニットの開閉弁34の故障が検知された際には、制御装置35により当該開閉弁34に通ずる開閉元弁41を閉じるとともに遮断弁40を閉じて、当該洗浄液通路を完全に遮断状態にし、他の開閉弁34を開いておくことにより、前記開閉弁34の故障に伴って装置の運転を停止することなく、フィルター装置4を作動させることができる。
【実施例3】
【0044】
図9は本発明の第3実施例に係るフィルター装置及びその周辺機器の構成を示す系統図である。
この第3実施例においては、図9(B)のように、複数の前記噴出ノズル22の開閉弁34a〜34dのうち少なくとも2個の開閉弁34a,34bについて同時に開弁するオーバーラップ期間を設定している。
これにより、前記噴出ノズル22の開閉弁34の故障が発生しても、開弁期間がオーバーラップしている他の開閉弁34が開いているので、フィルター装置4への洗浄液の供給を前記故障に支障されることなく円滑に行うことができる。
また、この第3実施例においては、洗浄ポンプ33出口に該洗浄液の通路32内の圧力変動を吸収するアキュムレータ50を設置している。これにより、前記噴出ノズル22の開閉弁34の開閉による圧力変動を前記アキュムレータ50によって緩和でき、洗浄液の安定供給を保持できる。
図9に示す第3実施例において、前記第1実施例と同一の部材は同一の符号で示す。
【実施例4】
【0045】
図10は本発明の第4実施例に係る液体の無害化処理装置の系統図である。
この第4実施例においては、搬送ポンプ2により搬送される未処理の液体中の微生物を除去して清浄な処理液体に転換し、この処理液体をバラスト水タンク80に収容するように構成され、前記搬送ポンプ2からの液体に遠心力を付与して該液体中から固形物を分離する液体サイクロン(遠心式固液分離装置)70と、前記フィルター装置4と、前記液体が通流する液体処理ラインの前記液体サイクロン70及びフィルター装置4の下流側に設けられて前記液体の全部または一部を電解槽にて電気分解して塩素含有物質を生成する液体電解装置60とを備えている。
かかる第4実施例によれば、液体サイクロン(遠心式固液分離装置)70で比重の大きい固形物を分離した液体をフィルター装置4に導入するので、フィルター装置4の負荷が軽減される。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば、フィルター装置を備えた液体浄化装置の特に起動時及び停止時におけるフィルターエレメントの固形物の目詰まりの発生を回避して、フィルターエレメント洗浄液への固形物の混入に伴う液体浄化装置の正常運転の阻害を防止するとともに、洗浄液ポンプや弁類等の洗浄液用機器の故障の発生を防止し、さらには、液体浄化装置の停止期間中におけるバラストタンク内の微生物の増殖やタンクの腐食を防止可能なフィルター装置及びこのフィルター装置を備えた液体の浄化システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】(A)、(B)は本発明の第1実施例に係る液体無害化処理装置におけるフィルター装置周りの洗浄液配管及び開閉弁の開閉動作を示す系統図で、液体無害化処理装置の起動時を示す。
【図2】(A)、(B)は前記第1実施例における図1対応図で、定常運転時を示す。
【図3】(A)、(B)は前記第1実施例における図1対応図で、停止時を示す。
【図4】前記第1実施例における図1対応図で、液体無害化処理装置の起動時の自動運転の構成を示す。
【図5】本発明の第1実施例に係るフィルター装置及びその周辺機器の構成を示す系統図である。
【図6】前記第1実施例におけるフィルター装置の軸直角の部分断面図である。
【図7】本発明が適用される船舶用バラスト水の無害化処理装置の系統図である
【図8】本発明の第2実施例に係るフィルター装置及びその周辺機器の構成を示す系統図である。
【図9】本発明の第3実施例に係るフィルター装置及びその周辺機器の構成を示す系統図である。
【図10】本発明の第4実施例に係る液体の無害化処理装置の系統図である。
【符号の説明】
【0048】
1 未処理液供給管
2 未処理液通路開閉弁
4 フィルター装置
5 排液通路開閉弁
6 連絡通路開閉弁
7 清浄液通路開閉弁
8 ろ過液通路開閉弁
9 ろ過液管
21 フィルターエレメント
22 噴出ノズル
23 ドレン排出口
24 外側室
26 内側室
27 フィルターハウジング
30 ドレン管
31 洗浄液連絡管
33 洗浄ポンプ
34 開閉弁
35 制御装置
39 清浄液供給管
40 遮断弁
41 開閉元弁
50 アキュムレータ
60 海水電解装置
70 液体サイクロン(遠心式固液分離装置)
111 海水処理ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形物が混入された未処理液を、フィルターエレメントを通すことにより該固形物をろ過してろ過液通路に排出するフィルター装置の洗浄方法であって、前記フィルター装置の
作動を開始する起動時及び作動を終了する停止時に、固形物の含有量が一定値以下の清浄液を清浄液通路を通して前記フィルター装置に導入して該清浄液により前記フィルターエレメントを洗浄することを特徴とするフィルター装置の洗浄方法。
【請求項2】
前記起動時及び停止時以外の運転時に、前記清浄液による前記フィルターエレメントの洗浄操作を行ってからあるいは該洗浄操作を行いながら、前記未処理液をフィルター装置に導入して前記フィルターエレメントによるろ過を行うことを特徴とする請求項1記載のフィルター装置の洗浄方法。
【請求項3】
前記清浄液として、淡水、前記未処理液に遠心力を付与してこの液体中から固形物を分離する遠心式固液分離装置で処理された液体、もしくは酸化作用を有する物質を含む洗浄液のいずれかを用いることを特徴とする請求項1記載のフィルター装置の洗浄方法。
【請求項4】
固形物が混入された未処理液を、フィルターエレメントを通すことにより該固形物をろ過してろ過液通路に排出するフィルター装置と、前記フィルター装置を洗浄する洗浄液を該フィルター装置に給排する洗浄装置とを有する液体無害化処理装置を備えた液体浄化システムにおいて、固形物の含有量が一定値以下の清浄液を前記フィルター装置に供給する清浄液通路からなる第1の洗浄液通路と、該第1の洗浄液通路を開閉する清浄液通路開閉弁と、前記フィルター装置への未処理液供給通路を開閉する未処理液通路開閉弁と、前記フィルター装置に接続される第2の洗浄液通路を開閉する洗浄液通路開閉弁と、前記フィルター装置からのろ過液通路を開閉するろ過液通路開閉弁と、前記フィルター装置からの洗浄排液通路を開閉する排液通路開閉弁とをそなえるとともに、前記液体無害化処理装置の起動時及び停止時に前記清浄液通路開閉弁を開くとともに前記洗浄液通路開閉弁を閉じて前記第1の洗浄液通路を通して前記清浄液をフィルター装置に供給せしめる洗浄液切換え手段をそなえたことを特徴とする液体浄化システム。
【請求項5】
前記洗浄液切換え手段は、前記液体無害化処理装置の起動時及び停止時以外の運転時に、前記清浄液通路開閉弁を閉じるとともに前記洗浄液通路開閉弁を開いて前記第2の洗浄液通路からの洗浄液をフィルター装置に供給せしめるように構成されたことを特徴とする請求項4記載の液体浄化システム。
【請求項6】
前記洗浄液切換え手段は、前記液体無害化処理装置の運転状態を設定あるいは検出する運転状態設定/検出手段からの入力信号に基づき、前記液体浄化装置の運転状態に応じて前記清浄液通路開閉弁、前記未処理液通路開閉弁、前記洗浄液通路開閉弁、前記ろ過液通路開閉弁、及び前記排液通路開閉弁を開閉制御するとともに、前記洗浄装置に設けられた洗浄ポンプを運転制御する制御装置からなることを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の液体浄化システム。
【請求項7】
前記液体無害化処理装置は、未処理の液体中の微生物を除去して清浄な処理液体に転換し、この処理液体をバラストタンクに収容するように構成されるとともに、前記液体に遠心力を付与して該液体中から固形物を分離する遠心式固液分離装置と、前記フィルター装置と、前記液体が通流する液体処理ラインの前記遠心式固液分離装置及びフィルター装置の下流側に設けられ、前記液体の全部または一部を電解槽にて電気分解して塩素含有物質を生成する液体電解装置とを備え、フィルター装置のフィルターエレメントを洗浄する洗浄液として前記遠心式固液分離装置で固形物分離後の液体または前記液体電解装置で塩素処理を行った後の液体のいずれかを用いたことを特徴とする請求項4記載の液体浄化システム。
【請求項8】
フィルターハウジング内に収納され回転可能な筒状のフィルターエレメントの外側に形成される外側室に未処理液体を導入し、該液体を前記フィルターエレメントを通して固形物をろ過してから該フィルターエレメントの内側に形成される内側室に流出させるように構成されたフィルター装置と、洗浄ポンプから送給される前記フィルターエレメントの洗浄用の洗浄液を該フィルターエレメントの外周面に吹き付ける複数の噴出ノズルと、前記洗浄ポンプと前記複数の噴出ノズルとを接続する複数の洗浄液通路をそれぞれ開閉する複数の洗浄液通路開閉弁とをそなえた液体浄化システムにおいて、前記複数の洗浄液通路の前記洗浄液通路開閉弁の前流側に該洗浄液通路開閉弁と同数設けられて該洗浄液通路を開閉する開閉元弁と、前記複数の洗浄液通路の前記洗浄液通路開閉弁の後流側に該洗浄液通路開閉弁と同数設けられて該洗浄液通路を開閉する遮断弁と、前記洗浄液通路の圧力が所定の圧力範囲外となったとき故障発生の前記洗浄液通路開閉弁に対応する前記開閉元弁を閉じて当該洗浄液通路開閉弁への洗浄液の通流を遮断せしめる制御装置を備えたことを特徴とする液体浄化システム。
【請求項9】
フィルターハウジング内に収納され回転可能な筒状のフィルターエレメントの外側に形成される外側室に未処理液体を導入し、該液体を前記フィルターエレメントを通して固形物をろ過してから該フィルターエレメントの内側に形成される内側室に流出させるように構成されたフィルター装置と、洗浄ポンプから送給される前記フィルターエレメントの洗浄用の洗浄液を該フィルターエレメントの外周面に吹き付ける複数の噴出ノズルと、前記洗浄ポンプと前記複数の噴出ノズルとを接続する複数の洗浄液通路をそれぞれ開閉する複数の洗浄液通路開閉弁とをそなえた液体浄化システムにおいて、前記複数の洗浄液通路開閉弁のうち少なくとも2個の洗浄液通路開閉弁について同時に開弁するオーバーラップ期間を設定するとともに、前記洗浄液通路に該洗浄液通路内の圧力変動を吸収するアキュムレータを設置したことを特徴とする液体浄化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−212851(P2008−212851A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−55063(P2007−55063)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000237167)富士フィルター工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】