説明

フィルタ洗浄装置及びフィルタ洗浄方法

【課題】流動層造粒装置等にて使用されるカートリッジフィルタを効率良く洗浄可能なフィルタ洗浄装置及び洗浄方法を提供する。
【解決手段】フィルタ洗浄装置1は、流動層造粒装置用のカートリッジフィルタ専用洗浄装置であり、処理容器2内には洗浄液10が貯留されている。処理容器2には、カートリッジフィルタ3が洗浄液10に浸漬された状態で収容される。カートリッジフィルタ3は、リテーナ7、回転ジョイント8及びフィルタ固定ノブ11によって、上蓋4下方に回転自在な状態で吊設される。処理容器2内には、カートリッジフィルタ3に対しジェット噴流44を噴射するバブリングジェットノズル36が設置されている。カートリッジフィルタ3はジェット噴流44によって回転され、洗浄液10内にて洗浄される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体処理装置に装着されるフィルタの洗浄技術に関し、特に、プリーツ状の構造を有するカートリッジフィルタの洗浄処理に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品や化粧品、食品などの分野では、粉体や粉粒体などの微細物を造粒、コーティング、混合、乾燥等の処理を行って種々の製品を製造している。このような処理には、微細物を気体流によって流動化して造粒等の処理を行う流動層造粒コーティング装置などの粉粒体処理装置が使用される。このような粉粒体処理装置では、粉粒体の流動化のために気体が供給される一方、その排気から粉粒体を分離するためのフィルタが設けられている。気体流によって流動化された粉粒体はこのフィルタによって濾別され、気体だけが分離されて粉粒体処理装置の外部に排出される。
【0003】
粉粒体処理装置に使用されるフィルタとしては、濾過面積を増大させるため、濾布をプリーツ状に成形したものが使用されることが多い。ところが、このようなフィルタでは、濾材に目詰まりが生じると、気体の流通が阻害され、粉粒体の流動化が妨げられて処理効率が低下する。このため、濾材の目詰まり防止のため、適宜、濾材に付着した微粉の払い落としが行われる。微粉の払い落としは「逆洗」とも呼ばれ、流動化気体流とは逆方向にパルスエアを供給することにより行われる。例えば、フィルタの外側から内側へ流動化気体流が流通する場合には、フィルタの内側にパルスジェット用ノズルを配し、フィルタの内から外に向かってパルスエアを噴出させる。これにより、フィルタの捕集面(ここでは外側面)に付着した粉粒体の微粉が払い落とされ、フィルタ機能の維持が図られる。
【特許文献1】特開平6-262015号公報
【特許文献2】特開平10-235168号公報
【特許文献3】特願2005-290669号
【特許文献4】特願2006-189529号
【特許文献5】特開2004-97936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フィルタに付着した粉体は、このような逆洗処理によっても完全に払い落とすことはできず、粉体が次第に蓄積され空気の流通抵抗が増大する。このため、造粒等を行う場合、処理を所定時間以上行った段階で、フィルタの洗浄処理を別途行う必要がある。特に、プリーツ状のフィルタの場合、プリーツの奥に付着した微粉は凝集しやすく、また、プリーツ奥部分には逆洗エアも通りにくいことから、プリーツ奥の微粉まで十分に除去することは難しい。特に、襞部分の折りが深いものにあっては、プリーツ奥に溜まった微粉の除去は非常に難しく、フィルタ1本当たりのプリーツ枚数が多い場合、洗浄ノズルを設置してもプリーツ1枚1枚をその奥まで洗浄することは困難であった。
【0005】
本発明の目的は、流動層造粒装置等にて使用されるカートリッジフィルタを効率良く洗浄可能なフィルタ洗浄装置及び洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフィルタ洗浄装置は、洗浄液を保持可能に形成され、前記洗浄液が注入・保持された状態で粉粒体処理装置に使用されるフィルタを回転自在に収容可能な処理容器と、前記処理容器に取り付けられ、前記洗浄液中に浸漬された状態の前記フィルタに対し気泡流又は気泡を含む液体を噴射し、前記フィルタを前記洗浄液中にて回転させつつ洗浄するノズル装置とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明にあっては、洗浄液を貯留した処理容器内にフィルタを浸漬し、処理容器に取り付けたノズル装置から噴射される気泡流又は気泡を含む液体によって、フィルタを回転させつつ洗浄処理を実施する。当該フィルタ洗浄装置では、洗浄処理に際し、フィルタが回転すると、その回転に伴う遠心力によって、フィルタの奥に溜まった微粉が洗浄液と共にフィルタ外へと排出され、効率の良い洗浄処理が実施される。
【0008】
また、本発明の他のフィルタ洗浄装置は、洗浄液を保持可能に形成され、前記洗浄液が注入・保持された状態で、粉粒体処理装置に使用されるフィルタを回転自在に収容可能な処理容器と、前記処理容器に取り付けられ、前記洗浄液中に浸漬された状態の前記フィルタに対し液流を噴射し、前記フィルタを前記洗浄液中にて回転させつつ洗浄するノズル装置とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、洗浄液を貯留した処理容器内にフィルタを浸漬し、処理容器に取り付けたノズル装置から噴射される液流によって、フィルタを回転させつつ洗浄処理を実施する。当該フィルタ洗浄装置では、洗浄処理に際し、フィルタが回転すると、その回転に伴う遠心力によって、フィルタの奥に溜まった微粉が洗浄液と共にフィルタ外へと排出され、効率の良い洗浄処理が実施される。
【0010】
前記フィルタ洗浄装置において、前記処理容器に、前記洗浄液中に浸漬された状態の前記フィルタに対し超音波振動を付与し、前記フィルタを前記洗浄液中にて洗浄する超音波洗浄装置をさらに設けても良い。これにより、ノズル装置によりフィルタが回転すると共に、超音波洗浄装置から発せられる高周波の超音波により洗浄液が振動する。従って、回転洗浄に加えて、キャビテーションや洗浄液の微小振動等により洗浄液内のフィルタが洗浄される。
【0011】
また、前記処理容器に、前記フィルタ内に挿通され前記フィルタに固定されるリテーナと、前記リテーナと回転ジョイントを介して接続され、前記リテーナが回転自在に取り付けられると共に、前記フィルタを前記処理容器内に回転自在に吊設するリテーナと、前記リテーナに取り付けられて前記フィルタの内側に配置され、前記フィルタの内周面に接触するローラを備える支持ローラユニットとを設けても良い。これにより、支持ローラユニットによってフィルタが内周側から支持され、フィルタの回転動作が安定する。
【0012】
さらに、前記処理容器に、前記処理容器の底部に設けられた支柱と、前記支柱に回転自在に装着され、前記フィルタが外挿されるフィルタガイドと、前記フィルタガイドの外周部に設けられ、前記フィルタ外挿時に前記フィルタの内周面に当接するガイド片とを設けても良い。これにより、フィルタガイドとガイド片によってフィルタが内周側から支持され、フィルタの回転動作が安定する。
【0013】
一方、前記フィルタを前記処理容器内に略水平な回転軸線を中心に回転自在に配置すると共に、前記ノズル装置を前記フィルタの下方に配置するようにしても良い。これにより、気泡の上昇圧を利用しつつ、フィルタに横方向から回転圧力を加えることができ、フィルタをより良好に回転させることが可能となる。この場合、前記フィルタ洗浄装置に、前記処理容器内に設置され、前記フィルタの中心に取り付けられた回転軸を回転自在に支持するフィルタ支持部材と、前記処理容器の底部に配置され、前記フィルタの下方から前記フィルタに対して気泡流を噴射するノズル装置とを設けても良い。
【0014】
本発明のフィルタ洗浄方法は、粉粒体処理装置にて使用されるフィルタを、洗浄液を貯留した処理容器内に収容して洗浄するフィルタ洗浄方法であって、前記フィルタを前記処理容器内に回転自在に設置し、前記処理容器内に設置されたノズル装置から、前記フィルタに対し接線方向に沿って気泡流又は気泡を含む液体を噴射し、該気泡流又は気泡を含む液体によって前記フィルタを回転させつつ前記フィルタの洗浄を行うことを特徴とするフィルタ洗浄方法。
【0015】
本発明にあっては、洗浄液を貯留した処理容器内にフィルタを浸漬し、処理容器に取り付けたノズル装置から噴射される気泡流又は気泡を含む液体によって、フィルタを回転させつつ洗浄処理を実施する。当該フィルタ洗浄装置では、洗浄処理の際、フィルタが回転すると、その回転に伴う遠心力によって、フィルタの奥に溜まった微粉が洗浄液と共にフィルタ外へと排出され、効率の良い洗浄処理が実施される。
【0016】
本発明の他のフィルタ洗浄方法は、粉粒体処理装置にて使用されるフィルタを、洗浄液を貯留した処理容器内に収容して洗浄するフィルタ洗浄方法であって、前記フィルタを前記処理容器内に回転自在に設置し、前記処理容器内に設置されたノズル装置から、前記フィルタに対し接線方向に沿って洗浄液を噴射し、該洗浄液によって前記フィルタを回転させつつ前記フィルタの洗浄を行うことを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、洗浄液を貯留した処理容器内にフィルタを浸漬し、処理容器に取り付けたノズル装置から噴射される液流によって、フィルタを回転させつつ洗浄処理を実施する。当該フィルタ洗浄装置では、洗浄処理の際、フィルタが回転すると、その回転に伴う遠心力によって、フィルタの奥に溜まった微粉が洗浄液と共にフィルタ外へと排出され、効率の良い洗浄処理が実施される。
【0018】
また、前記洗浄液中に浸漬された状態の前記フィルタに対し超音波振動を付与し、前記超音波によって前記フィルタを洗浄するようにしても良い。これにより、ノズル装置からの気泡流等によりフィルタが回転すると共に、超音波洗浄装置から発せられる高周波の超音波により洗浄液が振動する。従って、回転洗浄に加えて、キャビテーションや洗浄液の微小振動等により洗浄液内のフィルタが洗浄される。
【0019】
さらに、前記フィルタを略水平な回転軸線を中心に回転自在に配置し、前記ノズル装置によって、前記フィルタの下方から前記フィルタに対して気泡流を噴射するようにしても良い。これにより、気泡の上昇圧を利用しつつ、フィルタに横方向から回転圧力を加えることができ、フィルタをより良好に回転させることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のフィルタ洗浄装置によれば、洗浄液を貯留した処理容器内にフィルタを浸漬し、処理容器に取り付けたノズル装置から噴射される気泡流又は気泡を含む液体によって、フィルタを回転させつつ洗浄処理を実施するので、フィルタの奥に溜まった微粉を洗浄液と共にフィルタ外へと排出することができ、効率の良い洗浄処理を行うことが可能となる。
【0021】
また、本発明の他のフィルタ洗浄装置によれば、洗浄液を貯留した処理容器内にフィルタを浸漬し、処理容器に取り付けたノズル装置から噴射される液流によって、フィルタを回転させつつ洗浄処理を実施するので、フィルタの奥に溜まった微粉を洗浄液と共にフィルタ外へと排出することができ、効率の良い洗浄処理を行うことが可能となる。
【0022】
さらに、本発明のフィルタ洗浄装置によれば、フィルタに対し超音波振動を付与する超音波洗浄装置をさらに設けることにより、ノズル装置によるフィルタの回転洗浄と共に、超音波洗浄装置から発せられる高周波の超音波による洗浄が可能となる。従って、回転洗浄に加えて、キャビテーションや洗浄液の微小振動等により洗浄液内のフィルタを洗浄することができ、洗浄効率をより高めることが可能となる。
【0023】
加えて、本発明のフィルタ洗浄装置によれば、フィルタを略水平な回転軸線を中心に回転自在に配置すると共に、ノズル装置をフィルタの下方に配置することにより、気泡の上昇圧を利用しつつ、フィルタに横方向から回転圧力を加えることができる。このため、フィルタをより良好に回転させることができ、洗浄効率の向上を図ることが可能となる。
【0024】
本発明のフィルタ洗浄方法によれば、洗浄液を貯留した処理容器内にフィルタを浸漬し、処理容器に取り付けたノズル装置から噴射される気泡流又は気泡を含む液体によって、フィルタを回転させつつ洗浄処理を実施するので、フィルタの奥に溜まった微粉を洗浄液と共にフィルタ外へと排出することができ、効率の良い洗浄処理を行うことが可能となる。
【0025】
また、本発明の他のフィルタ洗浄方法によれば、洗浄液を貯留した処理容器内にフィルタを浸漬し、処理容器に取り付けたノズル装置から噴射される液流によって、フィルタを回転させつつ洗浄処理を実施するので、フィルタの奥に溜まった微粉を洗浄液と共にフィルタ外へと排出することができ、効率の良い洗浄処理を行うことが可能となる。
【0026】
さらに、本発明のフィルタ洗浄方法によれば、洗浄液中に浸漬された状態のフィルタに対しさらに超音波振動を付与し、この超音波によってフィルタを洗浄するので、ノズル装置によるフィルタの回転洗浄と共に、超音波洗浄装置から発せられる高周波の超音波による洗浄が可能となる。従って、回転洗浄に加えて、キャビテーションや洗浄液の微小振動等により洗浄液内のフィルタを洗浄することができ、洗浄効率をより高めることが可能となる。
【0027】
加えて、本発明のフィルタ洗浄方法によれば、フィルタを略水平な回転軸線を中心に回転自在に配置し、フィルタの下方からノズル装置によって気泡流を噴射するので、気泡の上昇圧を利用しつつ、フィルタへ回転圧力を加えることができる。このため、フィルタをより良好に回転させることができ、洗浄効率の向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0029】
図1は、本発明の実施例1であるフィルタ洗浄装置の構成を示す説明図、図2は、図1のフィルタ洗浄装置を右方向から見た状態を示す説明図、図3は、同じく上方向から見た状態を示す説明図である。図1のフィルタ洗浄装置1は、流動層造粒コーティング装置等の粉粒体処理装置にて使用されるカートリッジフィルタの洗浄装置であり、粉粒体処理装置とは別体に形成されている。また、フィルタ洗浄装置1は、カートリッジフィルタ専用の洗浄装置となっており、粉粒体処理装置から取り外されたカートリッジフィルタは、フィルタ洗浄装置1内にて洗浄される。
【0030】
図1〜3に示すように、フィルタ洗浄装置1は、断面が略小判形となった箱状の処理容器2を備えている。処理容器2には洗浄液10が満たされており、当該フィルタ洗浄装置1では、カートリッジフィルタ3(以下、フィルタ3と略記する)を洗浄液10中に浸漬し、バブリングジェット等によって回転させながら洗浄処理を行う。処理容器2はアクリル樹脂にて透明に形成されており、内部の様子、つまり、フィルタ洗浄状態が装置外から観察できるようになっている。処理容器2の上部には上蓋4、下部には底板5がそれぞれ取り付けられており、上蓋4や底板5はステンレス等の金属にて形成されている。上蓋4は処理容器2に対して着脱可能となっており、上蓋4の処理容器2側にはフィルタ3が取り付けられる。底板5の下面側にはキャスタ6が取り付けられており、フィルタ洗浄装置1は適宜移動可能となっている。
【0031】
上蓋4には、フィルタ3が回転自在に取り付けられている。フィルタ3は、ポリエステル製の不織布からなる濾布を円筒形状に成形した濾材によって構成される。フィルタ3の外周には、濾布を襞状に曲折して形成したプリーツ部3a(図5参照)が設けられている。フィルタ3の長手方向の寸法は、小型の装置では130〜550mm、大型の装置では220〜1200mm程度、フィルタ3の外径は、小型の装置では75〜120mm、大型の装置では200〜325mm程度に形成される。プリーツ部3aは小型の装置では13〜25mm、大型の装置では45〜55mm程度に形成される。
【0032】
図1に示すように、上蓋4の下方には、フィルタ3を支持するためのリテーナ7が設けられている。リテーナ7は棒状に形成されており、その上端部には回転ジョイント8が取り付けられている。リテーナ7は、洗浄液10の液面Sよりも上方に配された回転ジョイント8を介して上蓋4に対し回転自在となっている。リテーナ7の下端部にはフィルタ固定ノブ11が取り付けられており、フィルタ固定ノブ11を締め付けることにより、フィルタ3はリテーナ7に固定される。このように、フィルタ3は、リテーナ7、回転ジョイント8及びフィルタ固定ノブ11によって、上蓋4下方に回転自在な状態で吊設される。
【0033】
リテーナ7にはまた、フィルタ3を内側から回転自在に支持するための支持ローラユニット12が設けられている。図4は、支持ローラユニット12の構成を示す説明図である。図4に示すように、支持ローラユニット12は、筒状に形成された金属製のリテーナ装着部13を備えており、リテーナ7に外挿可能に形成されている。リテーナ装着部13の外周には、回転自在に支持されたローラ14が3個等分に配置されている。リテーナ装着部13にはまた、ボルト孔15が3個等分に形成されている。ボルト孔15は、径方向に沿ってリテーナ装着部13を貫通する形で設けられており、その内面にはネジが切られている。支持ローラユニット12は、このボルト孔15にボルト16をねじ込むことによって、リテーナ7の外周部に固定される。
【0034】
このような支持ローラユニット12をリテーナ7に取り付けると、三方に配置されたローラ23がフィルタ3の内周面3bに接触する。つまり、フィルタ3は、支持ローラユニット12によって内周側から支持される形となる。このため、回転時におけるフィルタ3のブレが少なくなり、スムーズで安定的な回転動作が可能となる。なお、支持ローラユニット12を、図1に実線にて示した位置の他、破線にて示した位置にもさらに配置し、フィルタ回転の更なる安定化を図っても良い。
【0035】
一方、リテーナ7の上方には、支持アーム31を介して、エアシリンダ32が接続されている。エアシリンダ32は、上蓋4の側方にブラケット33によって固定されている。このエアシリンダ32により、リテーナ7は上下方向に移動可能となっている。すなわち、フィルタ3は、処理容器2内にて上下方向に移動可能に取り付けられる。なお、エアシリンダ32は必ずしも設ける必要はなく、これを省き、装置構成を簡素化して製品コストの削減を図っても良い。
【0036】
上蓋4の中央にはさらに、バブリング洗浄ユニット35が上下方向に移動可能に取り付けられている。バブリング洗浄ユニット35は、バブリングジェットノズル(ノズル装置)36と、給液管37、吸気管38とから構成されている。給液管37は、ポンプ39を介して洗浄液タンク41と接続されており、洗浄液タンク41内の洗浄液10はポンプ39によって給液管37に加圧供給される。また、吸気管38は、上端部が大気中に開放されており、バブリングジェットノズル36は吸気管38を介して大気と連通している。給液管37と吸気管38は、固定ネジ40によって、上下方向に任意の位置で固定できるようになっている。これに対し、底板5には、排水管42が取り付けられている。排水管42は、バルブ43を介して洗浄液タンク41と接続されており、バブリングジェットノズル36によって処理容器2内に供給された洗浄液10は、排水管42から排出されて洗浄液タンク41に戻り、循環使用される。
【0037】
なお、造粒コーティング処理後のフィルタ3には粉体が多く付着しているため、洗浄処理の初期段階では、洗浄液10の廃液を循環させずに廃棄処分とし、洗浄液タンク41からクリーンな洗浄液10を掛け流し状態で供給しても良く、これにより、フィルタ3を効率良く洗浄することが可能となる。そして、フィルタ3の付着物がある程度除去された段階で、図1の液循環システムにて洗浄液10を循環使用する。このように、洗浄段階に応じて洗浄液10の供給形態を適宜変更することにより、洗浄効率の向上を図りつつ、洗浄液の使用量を抑えることが可能となる。また、洗浄液10を循環使用する際には、図1のように、洗浄液タンク41を経由して洗浄液10を循環させる形態のみならず、処理容器2自体を液タンクと捉えて、バルブ43から直接ポンプ39に洗浄液10を送って洗浄液を循環させても良い。
【0038】
バブリングジェットノズル36には、給液管37から洗浄液10が加圧供給される。バブリングジェットノズル36では、この液流によって吸気管38から外気を吸い込み、洗浄液10に外気を混入させて気泡流を形成し、処理容器2内の洗浄液10中にジェット噴射する。図5は、バブリングジェットノズル36によるジェット噴射の様子を示す説明図である。図5に示すように、処理容器2内のフィルタ3には、略接線方向からジェット噴流44が吹き付けられる。ジェット噴流44は、回転自在に配置されたフィルタ3のプリーツ部3aに当たり、このジェット噴流44によってフィルタ3は矢印方向に回転する。当該フィルタ洗浄装置1では、バブリングジェットノズル36が、フィルタ3が同方向に回転するように配置されており、処理容器2内には破線矢印のような液流が生じる。
【0039】
このようなフィルタ洗浄装置1では、次のようにしてフィルタ3の洗浄処理を行う。まず、流動層造粒装置等から微粉が付着したフィルタ3を取り外し、フィルタ洗浄装置1に装着する。すなわち、リテーナ7の外側にフィルタ3を取り付け、フィルタ固定ノブ11を締め付けてフィルタ3を上蓋4に固定する。その後、洗浄液10が貯留された処理容器2内にフィルタ3を浸漬しつつ、上蓋4を処理容器2上部に取り付ける。このようにしてフィルタ洗浄装置1内にフィルタ3を収容した後、ポンプ39を作動させ、バブリングジェットノズル36から、例えば10L/min程度の吐出量にてジェット噴流44を噴射する。
【0040】
前述のように、プリーツ状に形成されたフィルタ3では、プリーツ部3aの奥は逆洗気流が通りにくく、そこに微粉が付着していると十分に払い落とせないおそれがある。そこで、当該フィルタ洗浄装置1では、バブリングジェットノズル36から洗浄液10をフィルタ3に対し噴射し、プリーツ部3aの奥に付着した微粉を洗い落とす。この際、フィルタ3には、図5に示すように接線方向からジェット噴流44が噴射され、フィルタ3は、回転ジョイント8に軸支されつつ、ジェット噴流44によって、リテーナ7を中心として水車のように回転する。フィルタ3が回転すると、その回転に伴う遠心力によって、プリーツ部3aの奥に溜まった微粉が洗浄液10と共に外周側へと送られる。すなわち、プリーツ部3aに噴射された洗浄液10は、プリーツ奥部に至ると共に、遠心力によって微粉と共にフィルタ3から排出される。
【0041】
フィルタ洗浄装置1では、ジェット噴流44を噴射すると共に、エアシリンダ32によってフィルタ3を上下動させる。これにより、フィルタ3と洗浄液10が上下方向に擦れ合う形となり、洗浄効果がさらに向上する。また、図1のようにバブリングジェットノズル36を配し、フィルタ3の下部を洗浄した後、バブリング洗浄ユニット35を上方に移動させ、フィルタ3を下から上へ順に洗浄する。この際、バブリング洗浄ユニット35は、透明な処理容器2の外からフィルタ3の洗浄状態を確認しつつ、適宜手動にて引き上げ、適当な位置で固定ネジ40にて固定する。なお、バブリング洗浄ユニット35にエアシリンダ等の駆動手段を接続し、上下移動を機械駆動としても良い。
【0042】
このように、フィルタ洗浄装置1では、フィルタ3に対し接線方向から洗浄液10を噴射し、バブリングジェットノズル36によってフィルタ3を回転させつつ洗浄を行うので、逆洗のみでは洗浄しきれなかったプリーツ奥部の微粉も、遠心力を利用した回転洗浄処理によって十分に洗浄できる。また、フィルタ洗浄装置1は、フィルタ3を回転させるための複雑な駆動装置を有しておらず、安価な装置構成にて、フィルタ3の精密洗浄処理を行うことができる。さらに、フィルタ洗浄装置1をカートリッジフィルタの専用装置とすることにより、装置構成も簡略化でき、製品価格も抑えられる。
【0043】
なお、図1のフィルタ洗浄装置1では、バブリングジェットノズル36を装置中央に設けた構成を示したが、図6に示すように、バブリングジェットノズル36を処理容器2の壁面2aに配置しても良い。また、バブリングジェットノズル36に代えて、洗浄液10が加圧噴射される液流発生ノズル(ノズル装置)45を使用しても良く、この場合も、図7に示すように、液流発生ノズル45を処理容器壁面2aに配置しても良い。
【実施例2】
【0044】
次に、本発明の実施例2として、超音波洗浄を併用したフィルタ洗浄装置について説明する。実施例1では、フィルタ洗浄装置1に、バブリングジェットノズル36あるいは液流発生ノズル45を使用した例を示したが、より洗浄効果を高めるため、さらに、超音波洗浄器を用いても良い。図8は、本発明の実施例2であるフィルタ洗浄装置50の構成を示す説明図である。なお、以下の実施例では、実施例1と同様の部材、部分については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0045】
図8に示すように、フィルタ洗浄装置50では、処理容器2の壁面2aに、液流発生ノズル45と共に超音波洗浄装置51が取り付けられている。超音波洗浄装置51は超音波振動子を備えており、装置外に設けられた発信器52に接続されている。超音波振動子としては、電気的な入力を機械振動に変換する振動子、例えば、電気−機械変換素子の一つである圧電セラミック素子などが使用される。超音波振動子には、発信器52から15〜50kHz程度の高周波信号が入力され、この電気的な振動が機械的な振動に変換され出力される。
【0046】
フィルタ洗浄装置50では、実施例1のような液流発生ノズル45による回転洗浄と、超音波洗浄装置51による超音波洗浄を同時並行して行うハイブリッド洗浄が実施される。すなわち、処理容器2内に洗浄液10を注入し、液流発生ノズル45と超音波洗浄装置51を作動させると、液流発生ノズル45からの噴流によりフィルタ3が回転すると共に、超音波洗浄装置51から発せられる高周波の超音波により洗浄液が振動する。そして、前述の回転洗浄に加えて、キャビテーションや洗浄液の微小振動等により、洗浄液10内のフィルタ3が洗浄される。特に、プリーツ加工されたフィルタ3のような複雑な形状物では、この超音波洗浄によって襞の奥まで効果的に洗浄でき、より効果的な洗浄処理が可能となる。なお、液流発生ノズル45と超音波洗浄装置51は、必ずしも同時作動させる必要はなく、それぞれを適宜作動させて洗浄処理を行うことも可能である。
【0047】
一方、フィルタ洗浄装置50では、超音波洗浄装置51を処理容器2の壁面2aに配置しているが、超音波洗浄装置51を底板5上に配置しても良い。図9は、超音波洗浄装置51を底板5上に配置した変形例(超音波洗浄装置55)を示す説明図である。図9に示すように、超音波洗浄装置55では、液流発生ノズル45が処理容器壁面2aの略中央に設けられており、処理容器2の底面に当たる底板5の上面5aに超音波洗浄装置51が設置されている。超音波洗浄装置55においては、液流発生ノズル45によってフィルタ3を回転させつつ、フィルタ底面側から超音波洗浄装置55によって洗浄液10に振動を付与し、フィルタ3のハイブリッド洗浄を行う。
【実施例3】
【0048】
図10は、本発明の実施例3であるフィルタ洗浄装置60の構成を示す説明図である。前述の実施例では、処理容器2内にフィルタ3を2個収容可能な構成を示したが、フィルタ収容個数は2個には限定されず、1個でも3個以上でも適宜変更可能である。そこで、実施例3のフィルタ洗浄装置60は、フィルタ3を4個収容可能な大型の装置となっている。フィルタ洗浄装置60では、処理容器2の壁面2aに液流発生ノズル45が4個設置されており、各液流発生ノズル45からの噴流により、フィルタ3が同方向に回転するようになっている。このような大型装置では、一度に処理できるフィルタの個数が増加し、その分、洗浄処理の効率化が図られる。
【実施例4】
【0049】
図11は、本発明の実施例4であるフィルタ洗浄装置70の構成を示す説明図である。実施例4のフィルタ洗浄装置70では、フィルタ3を上下動させるためのエアシリンダ71が処理容器2内に配置されており、装置のコンパクト化が図られている。
【0050】
図11に示すように、フィルタ洗浄装置70においても、上蓋4の下方には、フィルタ3を支持するためのエアシリンダ71が設けられている。エアシリンダ71は筒状に形成されており、装置外に設けられた図示しないコンプレッサと接続されている。エアシリンダ71のピストンロッド72の下端には、回転ジョイント73が取り付けられている。回転ジョイント73にはフィルタ回転軸74が取り付けられており、フィルタ回転軸74は回転ジョイント73を介してエアシリンダ71に対し回転自在となっている。フィルタ回転軸74の下端部にはフィルタ固定ノブ75が取り付けられており、フィルタ固定ノブ75を締め付けることにより、フィルタ3はフィルタ回転軸74に固定される。
【0051】
このように、実施例4のフィルタ洗浄装置70では、フィルタ3は、エアシリンダ71、回転ジョイント73、フィルタ回転軸74及びフィルタ固定ノブ75によって、上蓋4下方に回転自在な状態で吊設される。また、フィルタ3は、エアシリンダ71によって上下方向に移動可能となっており、洗浄液10中を上下方向に揺動しつつジェット噴流44による回転洗浄が実施できるようになっている。
【0052】
エアシリンダ71には、実施例1のフィルタ洗浄装置と同様に、フィルタ3を内側から回転自在に支持するための支持ローラユニット21が設けられている。図12は、支持ローラユニット21の構成を示す説明図である。図4に示すように、支持ローラユニット21は、金属製の取付板22の外周に、ローラ23を3個等分に配置した構成となっている。取付板22には、ボルト孔24と回転軸孔25が形成されており、取付板22は、ボルト26によって回転ジョイント73の下面に取り付けられる。その際、回転軸孔25には、フィルタ回転軸74が遊嵌状態で挿通される。ローラ23は、フィルタ3の内周面3bに接触し、フィルタ3はこの支持ローラユニット21によって内周側から支持され、安定的な回転動作が可能となる。
【0053】
なお、フィルタ3は、下端と上端の両方をローラ23にて支えれば回転時のブレが少なくなり、スムーズな回転が可能となる。ところが、フィルタサイズが大きいものを基準に支持ローラユニット21を配置すると、上下のローラ23間の距離が大きくなる。すると、小さいサイズのフィルタを洗浄する場合、フィルタ3は、フィルタ固定ノブ75によってフィルタ回転軸74下端に固定されるため、上方のローラ23がフィルタ3から外れる可能性がある。そのため、フィルタサイズの大小に関わらず安定した回転洗浄を行うためには、ローラ23は、図11のようにやや下目の位置に設置することが好ましい。
【0054】
また、支持ローラユニット21を、図11に実線にて示した位置の他、破線にて示した位置にもさらに配置し(支持ローラユニット76)、フィルタ回転の更なる安定化を図っても良い。支持ローラユニット76は、図4に示した支持ローラユニット12と同様の構成となっており、エアシリンダ71の外側にボルト固定される。なお、支持ローラユニット76では、装着対象(実施例1ではリテーナ7、実施例4ではエアシリンダ71)の径に合わせて、リテーナ装着部13の内径が支持ローラユニット12よりも大きく形成されている。
【実施例5】
【0055】
図13は、本発明の実施例5であるフィルタ洗浄装置80の構成を示す説明図、図14は、図13のフィルタ洗浄装置80を上方から見た状態を示す説明図である。実施例5のフィルタ洗浄装置80では、フィルタ3が処理容器2の底部に支持されている。
【0056】
図13に示すように、処理容器2の底面2bには、フィルタ3を支持するための支柱81が設けられている。支柱81はステンレス鋼にて形成されており、同じくステンレス鋼にて形成された円板状のベース板82上に立設されている。ベース板82は、径の異なる上下二段の構成となっており、下段部82aが底面2bに固定され、上段部82bの中央に支柱81が固定されている。支柱81の外側には、ステンレス鋼にて形成された円筒形状のフィルタガイド83が回転自在に外挿される。フィルタガイド83の下部外周には、合成樹脂にて形成された3個のガイド片84が等分に取り付けられている。ガイド片84の外周寸法は、フィルタ3の内周寸法と略同寸法(若干小径)に形成されている。
【0057】
フィルタガイド83の高さ方向の寸法は、支柱81の高さよりも小さくなっている。このため、支柱81にフィルタガイド83を取り付けると、支柱81の先端部がフィルタガイド83の上端から突出する。このフィルタガイド83から突出した支柱先端部には、合成樹脂製の回転キャップ85が取り付けられる。回転キャップ85は、フィルタガイド83と同外径の円柱形状となっており、下端部には支柱挿入孔87が形成されている。回転キャップ85は、この支柱挿入孔87に支柱81の先端部を挿入する形で、フィルタガイド83の上方に取り付けられる。また、回転キャップ85の上端部には、フィルタ支持軸86が突設されている。フィルタ支持軸86は、フィルタ3の底板3cの中央に形成された軸孔3dよりも若干小径に形成されている。
【0058】
フィルタ洗浄装置80では、次のようにして処理容器2内にフィルタ3を取り付ける。図15は、フィルタ3の取付過程を示す説明図である。ここではまず、図15(a)のような形で処理容器2の底面2bに固定されている支柱81に、同図(b)のように、上方から、フィルタガイド83と回転キャップ85を取り付ける。この場合、フィルタガイド83と回転キャップ85は支柱81に対し遊嵌状態となっており、両者は支柱81に回転自在に取り付けられる。支柱81にフィルタガイド83等を取り付けた後、フィルタ3を上方からフィルタガイド83等に被せるような形で取り付ける。この場合、フィルタ3は上下を逆にして取り付けられ、同図(c)に示すように、フィルタ支持軸86がフィルタ底板3cの軸孔3dに挿入される形となる。
【0059】
一方、フィルタガイド83の外側にフィルタ3を装着すると、図13に示すように、ガイド片84の外端がフィルタ3の内周面3bに当接する。フィルタ3の内周面3bは、金属製のパンチング部材やメッシュ部材にて形成されており、フィルタ3は、3個のガイド片84によって内側から支持される。すなわち、フィルタ3は、上端側がフィルタ支持軸86にて支持されると共に、その下端側はガイド片84によって支持される。また、その際、フィルタガイド83と回転キャップ85が支柱81に回転自在に取り付けられているため、フィルタ3も支柱81に対し回転自在な状態で支持される。
【0060】
このようなフィルタ洗浄装置80においても、処理容器2の中央部にバブリング洗浄ユニット88が取り付けられている。バブリング洗浄ユニット88には、バブリングジェットノズル(ノズル装置)89が設けられており、図示しないポンプにより、給液管90を介して洗浄液が加圧供給される。図14に示すように、処理容器2内のフィルタ3には、バブリングジェットノズル89から略接線方向に沿ってジェット噴流44が吹き付けられる。これにより、支柱81に回転自在に支持されたフィルタ3は、図14の矢印方向に回転する。従って、逆洗のみでは洗浄しきれなかったプリーツ奥部の微粉も、遠心力を利用した回転洗浄処理によって十分に洗浄できる。また、当該フィルタ洗浄装置80も、フィルタ3を回転させるための複雑な駆動装置を有しておらず、安価な装置構成にて、フィルタ3の精密洗浄処理を行うことができる。
【0061】
なお、図13のフィルタ洗浄装置80においても、前述同様、バブリングジェットノズル89を処理容器2の壁面に配置しても良く、バブリングジェットノズル89に代えて、洗浄液10が加圧噴射される液流発生ノズルを使用しても良い。また、バブリングジェットノズル89と超音波洗浄器を併用することも可能である。
【実施例6】
【0062】
一方、前述の実施例では、フィルタ3を処理容器2内に縦置き(回転軸が鉛直方向に配置された状態)し、横方向(水平方向)から気泡流や水/気泡流をフィルタ3に噴射してフィルタを回転洗浄する構成となっている。ところが、横方向から噴射された気泡流等は、噴射後、大気方向に上昇するため、気泡流等がフィルタ3に対して真横から当たらず、気泡流等のみでは効率の良い洗浄処理が実施できない場合がある。
【0063】
そこで、本発明者らは、前述のような課題を解決すべく、フィルタ3を横置き(回転軸が水平方向に配置された状態)し、下方から気泡流を噴射する方式を考案した。図16,17は、本発明の実施例6であるフィルタ洗浄装置100の構成を示す説明図であり、図16はフィルタ洗浄装置100を側面方向から見た断面図、図17はフィルタ洗浄装置100を正面方向から見た断面図である。
【0064】
図16,17に示すように、当該フィルタ洗浄装置100では、前述の実施例と異なり、処理容器2内にフィルタ3が横置きされている。処理容器2の底板5には、フィルタ支持板(フィルタ支持部材)101a,101bが立設されており、フィルタ3は、その上端部に回転自在に取り付けられる。フィルタ3には、洗浄処理の際に回転軸102が取り付けられ、この回転軸102がフィルタ支持板101a,101bにて回転自在に支持される。すなわち、フィルタ3は、処理容器2内にて、略水平な回転軸線Oを中心に回転自在に設置されている。
【0065】
処理容器2の底部には、気泡流供給用のエアノズル103が配置されている。エアノズル103には、給気管104が接続されており、この給気管104を介して、図示しない外部のコンプレッサからエアノズル103に圧縮空気が供給される。エアノズル103は、図17に示すように、装置の長手方向に2個配置されている。さらに、底板5の下面側には、ドレイン105が取り付けられており、処理容器2内の洗浄液10を容器外に排出できるようになっている。
【0066】
このようなフィルタ洗浄装置100においては、給気管104を介して圧縮空気がエアノズル103に供給されると、エアノズル103から上方のフィルタ3に向かって気泡流が噴射される。フィルタ3には、接線方向からエアノズル103の気泡流が噴射され、この気泡流によって、フィルタ3は回転軸102を中心として回転する。この際、エアノズル103から噴射された気泡流には、その噴出圧に加えて、水中から大気中へと気泡が上昇する圧力(浮力)が加わる。これにより、フィルタ3は、噴出圧+上昇圧の相乗効果によって効率良く回転する。
【0067】
このように、当該実施例のフィルタ洗浄装置100では、フィルタ3を処理装置2内に横置きし、フィルタ3に対し下方から気泡流を供給することにより、気泡の上昇圧を利用しつつ、フィルタ3に真横から回転圧力を加えることができる。このため、気泡の持つエネルギを効率良く利用することができ、フィルタ3をより良好に回転させることが可能となる。従って、効率の良い洗浄処理が可能となる。
【0068】
加えて、当該フィルタ洗浄装置100では、洗浄効率の向上に伴い、水流を併用することなく、気泡流のみで十分な洗浄効果を得ることができる。このため、前述のような洗浄液の循環路も不要となる。また、処理容器2には排水用のドレイン105を設ければ足り、装置構成自体も簡素化される。なお、図16,17のフィルタ洗浄装置100においても、超音波洗浄器の併用が可能である。
【0069】
なお、エアノズル103に代えて、前述のバブリングジェットノズルを使用することも可能である。また、エアノズル103の個数は2個には限定されず、フィルタ3のサイズにより、適宜変更可能である。さらに、図16,17では、処理容器2における洗浄液10の液面Sがフィルタ3の上端位置よりも低くなっており、フィルタ3が処理液10内に完全に没していないが、液面Sの位置は適宜設定可能である。
【0070】
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0071】
例えば、実施例1のフィルタ洗浄装置1では、ローラ14を3個備えた支持ローラユニット12を使用しているが、ローラ14の個数はこれには限定されず、少なくとも2個以上あれば良い。但し、フィルタ3の安定支持の観点からするとローラ14は3個以上ある方が好ましい。従って、コスト的な面と支持効果の面を勘案すると、ローラ14を等分に配置する構成が特に好ましい。
【0072】
また、実施例2のフィルタ洗浄装置50,55にて、実施例1と同様にバブリングジェットノズル36を使用することも勿論可能である。さらに、実施例2では、液流発生ノズル45による回転洗浄と、超音波洗浄装置51による超音波洗浄を同時に行う旨述べたが、それぞれを独立して行うことも可能である。
【0073】
一方、液流発生ノズル45やバブリングジェットノズル36を処理容器壁面2aに設置する構成では、ノズルの上下移動を行う場合、装置構成が複雑化するため、液流発生ノズル45等を上下方向に複数個配置しても良い。これにより、ノズルを上下移動させることなくフィルタ3全体を洗浄することが可能となる。なお、実施例1において、バブリングジェットノズル36を上下に複数個配置することも勿論可能である。
【0074】
加えて、前述の実施例ではポンプ39をフィルタ洗浄装置外に配置した構成を示したが、給液用のポンプを処理容器2内に配置しても良い。これにより、フィルタ洗浄システム全体を小型化することができ、装置の省スペース化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施例1であるフィルタ洗浄装置の構成を示す説明図である。
【図2】図1のフィルタ洗浄装置を右方向から見た状態を示す説明図である。
【図3】図1のフィルタ洗浄装置を上方から見た状態を示す説明図である。
【図4】支持ローラユニットの構成を示す説明図である。
【図5】バブリングジェットノズルによるジェット噴射の様子を示す説明図である。
【図6】バブリングジェットノズルを処理容器の壁面に配置した場合の構成を示す説明図である。
【図7】バブリングジェットノズルに代えて液流発生ノズルを使用し処理容器の壁面に配置した場合の構成を示す説明図である。
【図8】本発明の実施例2であるフィルタ洗浄装置の構成を示す説明図である。
【図9】超音波洗浄装置を底板上に配置した変形例を示す説明図である。
【図10】本発明の実施例3であるフィルタ洗浄装置の構成を示す説明図である。
【図11】本発明の実施例4であるフィルタ洗浄装置の構成を示す説明図である。
【図12】図11のフィルタ洗浄装置で使用される支持ローラユニットの構成を示す説明図である。
【図13】本発明の実施例5であるフィルタ洗浄装置の構成を示す説明図である。
【図14】図13のフィルタ洗浄装置を上方から見た状態を示す説明図である。
【図15】図13のフィルタ洗浄装置におけるフィルタのセット方法を示す説明図である。
【図16】本発明の実施例6であるフィルタ洗浄装置の構成を示す説明図であり、装置を側面方向から見た断面図である。
【図17】図16のフィルタ洗浄装置を正面方向から見た断面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 フィルタ洗浄装置
2 処理容器
2a 壁面
2b 底面
3 カートリッジフィルタ
3a プリーツ部
3b 内周面
3c 底板
3d 軸孔
4 上蓋
5 底板
5a 上面
6 キャスタ
7 リテーナ
8 回転ジョイント
10 洗浄液
11 フィルタ固定ノブ
12 支持ローラユニット
13 リテーナ装着部
14 ローラ
15 ボルト孔
16 ボルト
21 支持ローラユニット
22 取付板
23 ローラ
24 ボルト孔
25 回転軸孔
26 ボルト
31 支持アーム
32 エアシリンダ
33 ブラケット
35 バブリング洗浄ユニット
36 バブリングジェットノズル
37 給液管
38 吸気管
39 ポンプ
40 固定ネジ
41 洗浄液タンク
42 排水管
43 バルブ
44 ジェット噴流
45 液流発生ノズル
50 フィルタ洗浄装置
51 超音波洗浄装置
52 発信器
55 超音波洗浄装置
60 フィルタ洗浄装置
70 フィルタ洗浄装置
71 エアシリンダ
72 ピストンロッド
73 回転ジョイント
74 フィルタ回転軸
75 フィルタ固定ノブ
76 支持ローラユニット
80 フィルタ洗浄装置
81 支柱
82 ベース板
82a 下段部
82b 上段部
83 フィルタガイド
84 ガイド片
85 回転キャップ
86 フィルタ支持軸
87 支柱挿入孔
88 バブリング洗浄ユニット
89 バブリングジェットノズル
90 給液管
100 フィルタ洗浄装置
101a,101b フィルタ支持板(フィルタ支持部材)
102 回転軸
103 エアノズル
104 給気管
105 ドレイン
O 回転軸線
S 液面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を保持可能に形成され、前記洗浄液が注入・保持された状態で、粉粒体処理装置に使用されるフィルタを回転自在に収容可能な処理容器と、
前記処理容器に取り付けられ、前記洗浄液中に浸漬された状態の前記フィルタに対し気泡流又は気泡を含む液体を噴射し、前記フィルタを前記洗浄液中にて回転させつつ洗浄するノズル装置とを有することを特徴とするフィルタ洗浄装置。
【請求項2】
洗浄液を保持可能に形成され、前記洗浄液が注入・保持された状態で、粉粒体処理装置に使用されるフィルタを回転自在に収容可能な処理容器と、
前記処理容器に取り付けられ、前記洗浄液中に浸漬された状態の前記フィルタに対し液流を噴射し、前記フィルタを前記洗浄液中にて回転させつつ洗浄するノズル装置とを有することを特徴とするフィルタ洗浄装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のフィルタ洗浄装置において、前記処理容器は、前記洗浄液中に浸漬された状態の前記フィルタに対し超音波振動を付与し、前記フィルタを前記洗浄液中にて洗浄する超音波洗浄装置をさらに有することを特徴とするフィルタ洗浄装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載のフィルタ洗浄装置において、前記処理容器は、
前記フィルタ内に挿通され、前記フィルタに固定されるリテーナと、
前記リテーナと回転ジョイントを介して接続され、前記リテーナが回転自在に取り付けられると共に、前記フィルタを前記処理容器内に回転自在に吊設するリテーナと、
前記リテーナに取り付けられて前記フィルタの内側に配置され、前記フィルタの内周面に接触するローラを備える支持ローラユニットとを有することを特徴とするフィルタ洗浄装置。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか1項に記載のフィルタ洗浄装置において、前記処理容器は、
前記処理容器の底部に設けられた支柱と、
前記支柱に回転自在に装着され、前記フィルタが外挿されるフィルタガイドと、
前記フィルタガイドの外周部に設けられ、前記フィルタ外挿時に前記フィルタの内周面に当接するガイド片とを有することを特徴とするフィルタ洗浄装置。
【請求項6】
請求項1記載のフィルタ洗浄装置において、前記フィルタは、前記処理容器内に略水平な回転軸線を中心に回転自在に配置されると共に、前記ノズル装置は、前記フィルタの下方に配置されることを特徴とするフィルタ洗浄装置。
【請求項7】
請求項6記載のフィルタ洗浄装置において、前記処理容器は、
前記処理容器内に設置され、前記フィルタの中心に取り付けられた回転軸を回転自在に支持するフィルタ支持部材と、
前記処理容器の底部に配置され、前記フィルタの下方から前記フィルタに対して気泡流を噴射するノズル装置とを有することを特徴とするフィルタ洗浄装置。
【請求項8】
粉粒体処理装置にて使用されるフィルタを、洗浄液を貯留した処理容器内に収容して洗浄するフィルタ洗浄方法であって、
前記フィルタを前記処理容器内に回転自在に設置し、
前記処理容器内に設置されたノズル装置から、前記フィルタに対し接線方向に沿って気泡流又は気泡を含む液体を噴射し、該気泡流又は気泡を含む液体によって前記フィルタを回転させつつ前記フィルタの洗浄を行うことを特徴とするフィルタ洗浄方法。
【請求項9】
粉粒体処理装置にて使用されるフィルタを、洗浄液を貯留した処理容器内に収容して洗浄するフィルタ洗浄方法であって、
前記フィルタを前記処理容器内に回転自在に設置し、
前記処理容器内に設置されたノズル装置から、前記フィルタに対し接線方向に沿って洗浄液を噴射し、該洗浄液によって前記フィルタを回転させつつ前記フィルタの洗浄を行うことを特徴とするフィルタ洗浄方法。
【請求項10】
請求項8又は9記載のフィルタ洗浄方法において、前記洗浄液中に浸漬された状態の前記フィルタに対し超音波振動を付与し、前記超音波によって前記フィルタを洗浄することを特徴とするフィルタ洗浄方法。
【請求項11】
請求項8記載のフィルタ洗浄方法において、前記フィルタを略水平な回転軸線を中心に回転自在に配置し、前記ノズル装置によって、前記フィルタの下方から前記フィルタに対して気泡流を噴射することを特徴とするフィルタ洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−279429(P2008−279429A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326799(P2007−326799)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年10月21日 粉体工学会・製造と粒子設計部会発行の「第23回製剤と粒子設計シンポジウム 講演要旨集」に発表
【出願人】(000112912)フロイント産業株式会社 (55)