説明

フィルタ浄化システム

【課題】高圧、大容量の液体ポンプを必要とせず、フィルタに捕捉された不純物を、少量の液体で、短時間で効率良く除去することができるフィルタ洗浄システムを提供する。
【解決手段】フィルタ洗浄システム10は、給液口11から導入した被処理液を濾過し、その濾液を排液口12から排出する機能を有するディスクフィルタ13を、逆洗により清浄化するシステムであり、ディスクフィルタ13の排液口12に接続され排液口12より下方において濾液の流動方向が鉛直下方Vdから鉛直上方Vuへ変化する変曲部14bを有する排液管14と、変曲部14bより下流側に位置する排液管14の鉛直配管部14cに設けられた開閉バルブ15と、変曲部14bと開閉バルブ15との間に位置する排液管14の鉛直排液管14c内へ空気を圧入するエアポンプ16と、を備えている。洗浄廃液を排出するための排出管18が切替バルブ19を介して給液管17に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水その他の各種液体中の不純物除去手段として使用されるフィルタの浄化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
水その他の各種液体中の不純物除去手段として使用されるフィルタは、処理時間の経過に伴い、捕捉された不純物が徐々に蓄積されるので、定期的に洗浄する必要がある。従来のフィルタ洗浄方法としては、濾過処理時とは逆方向に向かって液体を流すことによって捕捉された不純物をフィルタから離脱させる「逆洗」が知られている。
【0003】
また、逆洗を行うときに、逆洗液と共に気体をフィルタへ送り込むという方法も提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−95909号公報
【特許文献2】特開2004−188280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の逆洗方法においては、フィルタに対し、濾過処理時と逆方向に液体が送り込まれているが、場合によっては、濾過処理時と同等以上の圧力及び流量で液体を逆供給しなければならないことがある。このため、通常の濾過処理用のポンプとは別に、逆洗用として大がかりな高圧、大容量のポンプ設備を必要とすることがある。
【0006】
一方、特許文献1,2記載のフィルタ洗浄技術は、逆洗時に液体と共にガスをフィルタへ送り込む方式であるため、逆洗用として大がかりな高圧ポンプ設備は必要としないが、フィルタに向かって逆流させた気体によってフィルタから離脱した汚濁物(不純物)がケーシング(外部容器、タンク主体)内に飛散して、その内面に付着し、逆洗終了後もケーシング内に残存することがある。
【0007】
ケーシング内に残存した汚濁物(不純物)は、濾過処理を再開したとき、被処理液中へ混じり込み、再びフィルタに捕捉されることが多いので、フィルタの濾過能力を急速に低下させる要因となり、逆洗回数の増大を招いている。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、大がかりな高圧、大容量の液体ポンプを必要とせず、フィルタに捕捉された不純物を、比較的少量の液体で、短時間で効率良く除去することができるフィルタ洗浄システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のフィルタ洗浄システムは、給液口から導入した被処理液を濾過し、その濾液を排液口から排出する機能を有するフィルタを、逆洗により清浄化するシステムであって、前記フィルタの排液口に接続され前記排液口より下方において前記濾液の流動方向が鉛直下方から鉛直上方へ変化する変曲部を有する排液管と、前記変曲部より下流側に位置する排前記液管に設けられた開閉バルブと、前記変曲部と前記バルブとの間に位置する前記排液管内へ気体を圧入する給気手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
ここで、前記給気手段として、エアポンプを設けることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、大がかりな高圧液体ポンプを必要とせず、フィルタに捕捉された不純物を、比較的少量の液体で、短時間で効率良く、除去することができるフィルタ洗浄システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態であるフィルタ洗浄システムの構成を示す図である。
【図2】図1のディスクフィルタ付近を示す一部切欠断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すように、本実施形態のフィルタ洗浄システム10は、給液口11から導入した被処理液を濾過し、その濾液を排液口12から排出する機能を有するディスクフィルタ13を、逆洗により清浄化するシステムであり、ディスクフィルタ13の排液口12に接続され排液口12より下方において濾液の流動方向が鉛直下方Vdから鉛直上方Vuへ変化する変曲部14bを有する排液管14と、変曲部14bより下流側に位置する排液管14の鉛直配管部14cに設けられた開閉バルブ15と、変曲部14bと開閉バルブ15との間に位置する排液管14の鉛直配管部14c内へ空気を圧入する給気手段であるエアポンプ16と、を備えている。
【0014】
給液口11には、濾過処理の対象である被処理液をディスクフィルタ13へ供給するための給液管17が接続され、後述する洗浄廃液を排出するための排出管18が切替バルブ19を介して給液管17の途中に接続されている。排液口12と変曲部14bとの間には排液管14の鉛直配管部14aが設けられている。エアポンプ16と鉛直配管部14cとは給気管20を介して連通され、給気管20の途中に開閉バルブ21が設けられている。また、鉛直配管部14cの内径は、鉛直配管部14a及び変曲部14bの内径より大である。
【0015】
図2に示すように、ディスクフィルタ13は、気密性及び液密性を有する円筒状のケーシング25と、ケーシング25内にその軸心25c方向に沿って積層配置された複数のディスク26と、複数のディスク26同士を互いに密着させる方向に押圧する加圧手段(図示せず)とを備えている。
【0016】
通常の濾過処理運転においては、切替バルブ19が給液管17と排出管18との連通を絶つ状態にセットされ、開閉バルブ15が開状態にセットされ、開閉バルブ21が閉状態にセットされている。
【0017】
給液管17を経由して供給された被処理液は、給液口11からディスクフィルタ13のケーシング25内の空洞部25aへ流入し、複数のディスク26の隙間を通過することによって不純物が捕捉、除去され、清浄な濾液となって複数のディスク26内の空洞部26aへ流入する。空洞部26a内へ流入した濾液は、ケーシング25下方の排液口12を通って、排液管14の鉛直配管部14a内へ流れ込み、変曲部14b及び鉛直配管部14cを経由して所定領域へ移送される。
【0018】
フィルタ洗浄を行う際には、被処理液の供給を停止し、切替バルブ19が給液管17aと排出管18との連通を絶つとともに給液管17bと排出管18aとを連通する状態にセットされ、開閉バルブ15が閉状態にセットされ、開閉バルブ21が開状態にセットされる。
【0019】
この状態でエアポンプ16を稼働させると、大気中の空気が給気管20を介して排液管14の鉛直配管部14cの上方からその内部へ送り込まれ、排液管14内に残留している濾液の液圧を高めていき、この液圧が、複数のディスク26同士を密着させている加圧手段(図示せず)の押圧力を超えた瞬間に、隣接するディスク26同士の隙間が液圧で押し広げられ、排液管14内の濾液が一気に逆流する。
【0020】
逆流した濾液は、排液口12からディスク26内の空洞部26a内へ流入し、複数のディスク26の隙間を通過して空洞部25aへ流出する。この流出過程において、複数のディスク26の隙間や外周に捕捉されていた不純物がディスク26から離脱して濾液に混入し、洗浄排液となって給液口11、給液管17a、切替バルブ19及び排出管18を経由して外部へ排出され、所謂、逆洗が行われる。
【0021】
前記逆洗過程においては、比較的小規模のエアポンプ16で高圧の空気を排液管14の鉛直配管部14c内へ送り込むことができるので、従来の逆洗システムで使用されている液体ポンプのような大がかりな高圧、大容量のポンプを必要としない。ディスクフィルタ13に捕捉された不純物は、複数のディスク26の隙間を逆流する濾液のみにより、当該濾液に伴って離脱するので、不純物が飛散してケーシング25内面に付着したり、残留したりすることがなく、比較的少量の液体で、短時間で効率良く不純物を除去することができる。
【0022】
また、前記逆洗過程において、排液管14内の液圧が、複数のディスク26同士を密着させている押圧力を超えた瞬間に、排液管14内の濾液が一気に逆流して、瞬時に逆洗が行われるため、逆洗時間は極めて短くて済み、逆洗水を大幅に低減することもできる。さらに、鉛直配管部14cの内径は、鉛直配管部14a及び変曲部14bの内径より大であるため、比較的短い管路でありながら、必要十分な洗浄液(濾液)を確保することができる。
【0023】
前記逆洗過程においては、時間の経過に伴い、排液管14の鉛直配管部14c内の液面が徐々に下降していくが、タイマ制御により、変曲部14bまで液面が下降し、エアポンプ16から鉛直配管部14c内へ送り込まれた空気が変曲部14bを通過する前にエアポンプ16が自動的に停止する。従って、変曲部14bまで液面が下降し、エアポンプ16から鉛直配管部14c内へ送り込まれた空気が変曲部14bを通過してディスクフィルタ13内へ流れ込み、捕捉されていた不純物を飛散させるような弊害を予防することができる。
【0024】
なお、前記逆洗過程が完了した後、エアポンプ16から鉛直配管部14c内への空気の供給を再開させ、変曲部14bを通過してディスクフィルタ13内へ空気を送り込むことにより、ディスクフィルタ13を空気のみで洗浄することもできる。
【0025】
逆洗が完了したら、切替バルブ19を給液管17と排出管18との連通を絶つ状態にセットし、開閉バルブ15を開状態にセットし、開閉バルブ21を閉状態にセットし、加圧手段(図示せず)で複数のディスク26を軸心25c方向に押圧した後、給液管17を経由するディスクフィルタ13への被処理液の供給を開始すれば、通常の濾過処理を再開することができる。
【0026】
本実施形態のフィルタ洗浄システム10はディスクフィルタ13を洗浄する場合について説明しているが、本発明はこれに限定しないので、逆洗可能なフィルタであれば、その他のフィルタにおいても実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、水その他の各種液体中の不純物除去手段であるフィルタが使用される各種産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
10 フィルタ洗浄システム
11 給液口
12 排液口
13 ディスクフィルタ
14 排液管
14a,14c 鉛直配管部
14b 変曲部
15,21 開閉バルブ
16 エアポンプ
17,17a,17b 給液管
18 排出管
19 切替バルブ
20 給気管
25 ケーシング
25a,26a 空洞部
25c 軸心
26 ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給液口から導入した被処理液を濾過し、その濾液を排液口から排出する機能を有するフィルタを、逆洗により清浄化するシステムであって、前記フィルタの排液口に接続され前記排液口より下方において前記濾液の流動方向が鉛直下方から鉛直上方へ変化する変曲部を有する排液管と、前記変曲部より下流側に位置する前記排液管に設けられた開閉バルブと、前記変曲部と前記開閉バルブとの間に位置する前記排液管内へ気体を圧入する給気手段と、を備えたことを特徴とするフィルタ洗浄システム。
【請求項2】
前記給気手段として、エアポンプを設けた請求項1記載のフィルタ洗浄システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−96194(P2012−96194A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247844(P2010−247844)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(398018777)株式会社弁天 (15)
【出願人】(399102839)博多港管理株式会社 (16)