フィルムパックの製造方法
【課題】フィルムで袋状に形成された容器に内容物が封入されたフィルムパックを可食性フィルムを用いて製造することができると共に、経口摂取できる程度に小型化する場合であっても製造可能な、フィルムパックの製造方法を提供する。
【解決手段】製造方法は、貫通する孔部32が設けられた凹部31を備える成形型30の上に可食性の第一フィルム10を供給し、押圧体35により少なくとも凹部の周縁部に第一フィルムを押圧しながら、孔部を介して吸気することにより第一フィルムを成形型に吸着させ、凹部に沿う凹状の収容部15を第一フィルムに形成する成形工程と、収容部内に内容物を供給する内容物供給工程と、第一フィルムを可食性の第二フィルムで被覆し、収容部を除く第一フィルムを第二フィルムと熱圧着する圧着工程とを具備する。
【解決手段】製造方法は、貫通する孔部32が設けられた凹部31を備える成形型30の上に可食性の第一フィルム10を供給し、押圧体35により少なくとも凹部の周縁部に第一フィルムを押圧しながら、孔部を介して吸気することにより第一フィルムを成形型に吸着させ、凹部に沿う凹状の収容部15を第一フィルムに形成する成形工程と、収容部内に内容物を供給する内容物供給工程と、第一フィルムを可食性の第二フィルムで被覆し、収容部を除く第一フィルムを第二フィルムと熱圧着する圧着工程とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可食性フィルムで袋状に形成された容器に薬剤等の内容物が封入されたフィルムパックの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
経口投与用の薬剤が一回に服用すべき量ごとに分包された製剤として、従前より、プラスチックフィルム、グラシン紙、アルミシート等で形成された袋に散剤(粉末剤)や顆粒剤などの薬剤が封入された分包薬が広く用いられている。ところが、このような分包薬の場合、薬剤を口中に投入する際に、粉末や細かな顆粒を吸い込んでむせたり咳き込んだりすることがある。また、袋を開封する際に、薬剤をこぼしたり飛散させたりしやすく、全量を服用できないことがある。更に、苦味や匂いの強い薬剤などは、口中に直接投入したのでは、服用しにくいという問題もある。加えて、服用後は包装用の袋がゴミとなるという問題もある。
【0003】
一方、薄いシート状のオブラートに、散剤(粉末剤)や顆粒剤などの薬剤を包んでから服用することも旧来より行われており、この場合はむせにくく味や匂いを感じにくいという利点がある。ところが、服用のたびにオブラートで薬剤を包む作業は煩雑であり、その作業中に薬剤をこぼしたり飛散させたりすることもある。また、薬剤をスプーン等ですくう計量には誤差が生じやすく、一回量として必要な量を正しく服用できないこともある。加えて、オブラートが折り畳まれた包装自体が嵩張り、口腔内での違和感が大きく飲み込みにくい。
【0004】
そこで、本出願人は、図13に示すように、可食性フィルム101を二重に重ね合わせ、外周縁に沿って圧着してシール部102を形成することにより袋状の容器とし、その内部の収容空間104に中に薬剤105が封入された袋状フィルム製剤(製剤包装体)100を提案している(特許文献1参照)。これによれば、可食性フィルム101で形成された袋状の容器に所定量の薬剤が封入されており、容器ごと薬剤を服用することができるため、一回量の薬剤をこぼすことなく確実に服用することができる。
【0005】
また、薬剤が粉末や細かな顆粒であっても、むせたり咳き込んだりするおそれが低減されると共に、薬剤の味や匂いを強く感じることなく服用することができる。加えて、可食性フィルムの容器に味付けや香り付けをすることも可能であるため、薬剤の味や匂いをマスキングし、より服用しやすくすることもできる。また、薄い可食性フィルムが外周縁に沿って圧着されて形成された袋状の容器は、折り畳まれたオブラートほど嵩張らないため、口腔内での違和感が小さい。更に、服用に先立ってオブラートで薬剤を包む場合とは異なり、手間を要さず服用したいときに直ちに薬剤を服用することができるため、手軽に服用できると共に携帯にも便利である。
【0006】
このような構成の袋状フィルム製剤100は、一見すると、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチックフィルムを用いて三方シール包装、四方シール包装などを行う従来の製袋装置を使用した製造方法と、同様の製造方法により製造できるようにも思われる。しかしながら、可食性フィルムはプラスチックフィルムに比べると、引張力に対する強度が低い、強制的に変形させた後に形状が保持されにくい、ヒートシール性に劣るなど、袋状に成形する際の障害となる性質を多く有している。加えて、容器ごと経口摂取するため自ずと内容積の小さいものとなる袋状の容器へ、内容物を充填することが難しいことから、従来の製造方法をそのまま用いたのでは、上記構成の袋状フィルム製剤を製造することは極めて困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、フィルムで袋状に形成された容器に内容物が封入されたフィルムパックを可食性フィルムを用いて製造することができると共に、経口摂取できる程度に小型化する場合であっても製造可能な、フィルムパックの製造方法の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明にかかるフィルムパックの製造方法は、「貫通する孔部が設けられた凹部を備える成形型の上に可食性の第一フィルムを供給し、押圧体により少なくとも前記凹部の周縁部に前記第一フィルムを押圧しながら、前記孔部を介して吸気することにより前記第一フィルムを前記成形型に吸着させ、前記凹部に沿う凹状の収容部を前記第一フィルムに形成する成形工程と、前記収容部内に内容物を供給する内容物供給工程と、前記第一フィルムを可食性の第二フィルムで被覆し、前記収容部を除く前記第一フィルムを前記第二フィルムと熱圧着する圧着工程とを」具備するものである。
【0009】
可食性の「第一フィルム」及び「第二フィルム」は、平滑な基面上に固定したベースフィルム上に、可食性のフィルム形成剤を含有する溶液または懸濁液を流延し、流延された溶液または懸濁液を乾燥させフィルム化することにより形成することができる。ここで、可食性のフィルム形成剤としては、プルラン、ゼラチン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、水溶性ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、加工澱粉等を使用することができる。なお、「第一フィルム」及び「第二フィルム」は、同一のフィルム形成剤により形成されたフィルムであっても、異なる種類のフィルム形成剤により形成されたフィルムであっても良い。
【0010】
ここで、本発明において「フィルム」とは、厚さ1μm〜500μmの薄片を指している。なお、「第一フィルム」及び「第二フィルム」の厚さは、同一であっても異なっていても良い。
【0011】
「内容物」としては、散剤(粉末剤)、顆粒剤、丸剤、錠剤、オイル剤、ペースト状製剤、これらの内の複数を混合した薬剤を例示することができ、薬物の種類は経口投与用であれば特に限定されることなく、いわゆる西洋薬であっても生薬や生薬を組み合わせた漢方薬であっても良い。更に、本発明の「内容物」は、医薬品に限定されるものではなく、栄養機能食品、特定保健用食品、粉末スープや粉末ジュース等の飲食品であっても良い。
【0012】
貫通する「孔部」の数は、単数でも複数でも良いが、例えば、成形型の底面あるいは成形型の底面と側面に、分散するように多数設ければ、第一フィルムが成形型に対して均一に吸着されやすく望ましい。
【0013】
「熱圧着」する方法としては、加熱された金属板などでフィルムを押圧する方法(いわゆる熱板式)、フィルムにヒーターを押し当てた状態で瞬間的に大電流を流してヒーターを発熱させる方法(いわゆるインパルス式)、フィルムを加圧しながらホーンから超音波を照射しフィルムを内部発熱させる方法(いわゆる超音波式)を、何れも使用可能である。
【0014】
「少なくとも前記凹部の周縁部に前記第一フィルムを押圧する押圧体」としては、発泡樹脂など弾性を有する硬めの部材を、好適に使用することができる。その弾性により、凹部に沿った形状となるための第一フィルムの移動をある程度許容しつつ、第一フィルムを押圧することができる。ここで、押圧体は「少なくとも前記凹部の周縁部」で第一フィルムを押圧するものであれば足り、周縁部以外の部分をも押圧するものであっても良い。例えば、押圧体の形状が凹部の周縁部の形状と一致する環状であれば、凹部の周縁部のみを押圧することができ、押圧体において押圧に使用される面が面積の大きい平面であれば、成形型の凹部を除く上面の全体を押圧することができる。また、凹部に対応する凸状部を備える押圧体であれば、凹部の周縁部を押圧できると共に、第一フィルムに形成されるべき凹状の収容部の形状を、押圧体によって整えることもできる。
【0015】
仮に、二枚のフィルムを重ね合わせて三方シールまたは四方シールする従来のプラスチックフィルムの製袋技術を、可食性のフィルムパックに適用した場合、重畳したフィルム間にはほとんど隙間がない。そのため、この隙間を押し広げなければ内容物を充填することができず、製造工程が複雑となる。特に、経口摂取できる程度の小型のフィルムパックを製造する場合は、重畳した小寸法のフィルム間に内容物を充填することは非常に困難である。これに対し、本発明では、孔部を介した吸気により成形型に吸着された第一フィルムが、成形型に沿うように変形することによって、成形型の凹部の形状に沿う凹状の収容部が第一フィルムに形成される。これにより、凹状の収容部に内容物を載置するように、容易に内容物を供給することができるため、小型のフィルムパックであっても容易に製造することができる。なお、本発明は小型のフィルムパックであっても製造できる利点を有するが、もちろん大型のフィルムパックであっても問題なく製造することができる。
【0016】
本発明では、第一フィルムを成形型の凹部に沿うように変形させる過程で、凹部の周縁部に沿う部分、すなわち、収容部の周縁部において第一フィルムにシワが発生しやすい。そして、成形工程で第一フィルムにシワが多く発生すると、その後の圧着工程において、収容部の周縁部における第一フィルムと第二フィルムとの密着性が低下し、熱圧着が不十分なものとなるおそれが高い。これに対し、本発明では、押圧体で第一フィルムを凹部の周縁部に押圧しながら、第一フィルムを凹部に吸着させて第一フィルムを変形させるため、収容部の周縁部でのシワの発生を低減することができる。なお、押圧体は、第一フィルムが溶融しない程度の低い温度に加熱されるものとすれは、第一フィルムは押圧体により押圧されると同時に加熱されて軟化するため、収容部の周縁部においてシワがより発生しにくく、好適である。
【0017】
本発明にかかるフィルムパックの製造方法は、「前記圧着工程は、前記第一フィルム及び前記第二フィルムの熱圧着が、円柱状のローラーを前記第二フィルム上で転動させることによって行われる工程を備え、前記第二フィルムは、前記ローラーの転動に伴い前記ローラーの進行方向に前記第一フィルムに徐々に被せられる」ものとすることができる。
【0018】
上記構成の本発明では、第二フィルム上で円柱状のローラーを転動させることにより、ローラーが第二フィルムと当接する直線状に、第一フィルム及び第二フィルムが押圧される。そして、この直線状の押圧点の集合は、ローラーの転動に伴いローラーの進行方向に移動する。加えて、本発明では、第二フィルムは、ローラーの転動に合わせてローラーの進行方向に、第一フィルム上に徐々に被せられる。
【0019】
仮に、第二フィルムが第一フィルムに対して面的に押圧されるとすると、両フィルム間の空気が第二フィルムに押し付けられ、この空気の圧力によって収容部に収容されている内容物が舞い上がったり飛散したりするおそれがある。特に、内容物が粉末状、細かい顆粒状である場合は、そのおそれが大きい。
【0020】
これに対し、本発明では、ローラーによる第一フィルム及び第二フィルムの押圧点の集合は直線であり、この直線がローラーの転動により移動するのに伴い、第二フィルムが徐々に第一フィルムに被せられる。すなわち、本発明では、ローラーの進行方向に空気を逃がしながら、第一フィルム及び第二フィルムが圧着される。これにより、内容物を飛散させることなく、第一フィルム及び第二フィルムを圧着することができる。
【0021】
なお、圧着工程において第一フィルム及び第二フィルムを外部加熱する場合、ローラーを加熱する構成であっても、第一フィルムを支持している部材を加熱する構成であっても、両者を加熱する構成であっても良い。
【0022】
本発明にかかるフィルムパックの製造方法は、上記構成において、「前記圧着工程は、複数回に分けて行われる」ものとすることができる。
【0023】
上記のように、可食性のフィルムはプラスチックフィルムに比べてヒートシール性に劣り、溶着可能な温度がプラスチックフィルムに比べて高い。そのため、第一フィルム及び第二フィルムを溶着可能な高い温度で一気に熱圧着する場合、フィルムの材質や厚さ等によっては、熱収縮によってフィルムにシワが発生しやすい場合があり得る。その場合は、本構成を採用し圧着工程を複数回に分けることにより、まず、フィルムが大きくは熱収縮しない程度の低い温度(例えば、50〜120℃)でシワの発生を抑えて第一フィルム及び第二フィルムを仮シールしておき、その後の圧着工程をフィルムが溶着可能な高温(例えば、180〜250℃)で行うことが可能となる。これにより、シワの発生を抑えながら第一フィルム及び第二フィルムを十分に熱圧着することができる。なお、ここでは“仮シール”の語を、収容部の外周縁に沿って第一フィルム及び第二フィルムが部分的に溶着された状態、あるいは、第一フィルム及び第二フィルムが収容部の全外周縁に沿って接着しているものの、完全な溶着には至らない弱い接着力で接着している状態を指すものとして使用している。
【0024】
また、熱圧着の所要時間を長くすれば、十分な熱圧着をより確実に行うことができる。本発明では、圧着工程を複数回に分けて行うことにより、圧着工程の総時間を長くすることができる。ここで、圧着工程を一回のみ行うこととして、その一回の所要時間を長くするという方法も想到し得る。しかしながら、フィルムパックの製造を自動化された製造ラインで行う場合、製造される途中の半製品を間欠的に移動させ、各工程をそれぞれ同時間行うこととすると、製造ラインの制御が簡易である。従って、本発明によれば、圧着工程を複数回行うことにより、製造ライン上を半製品が間欠的に移動して各工程が同一時間行われる場合であっても、圧着工程の総時間を長くすることができる。
【0025】
また、圧着工程を複数回行うことにより、各工程における加熱温度をフィルムの材質や厚さ等に応じて種々に設定することが可能となる。例えば、後に行われる工程ほど加熱温度が徐々に高温になるように設定することが可能となる。このような構成とすることにより、第一フィルム及び第二フィルムにおける温度変化を緩やかにすることができるため、シワの発生やフィルムの変形を抑制して、十分な熱圧着を行うことができる。
【0026】
本発明にかかるフィルムパックの製造方法は、上記構成において、「前記成形工程は、前記成形型を加熱しながら行われる」ものとすることができる。
【0027】
本発明では、成形型を加熱しながら成形することにより、成形型に吸着されたフィルムが軟化し、凹部に沿って変形し易い。そのため、第一フィルムにおいて収容部の形成に伴うシワの発生を、より抑制することができる。
【0028】
本発明にかかるフィルムパックの製造方法は、上記構成に加え、「熱圧着された前記第一フィルム及び前記第二フィルムを冷却する冷却工程、及び、該冷却工程後に行われ前記第一フィルム及び前記第二フィルムが熱圧着されて形成されたシール部で切断する切断工程を更に具備し、前記圧着工程、前記冷却工程、及び、前記切断工程は、前記成形型に前記第一フィルム及び前記第二フィルムが載置された状態で行われ、前記冷却工程は、前記孔部を介する気体の流通によって行われ、前記切断工程は、前記孔部を介して吸気しながら行われる」ものとすることができる。
【0029】
「切断工程」においてシール部を切断することにより、所定の大きさ及び形状のフィルムパックが得られる。また、第一フィルム及び第二フィルムが熱い状態で切断すると、切断刃にフィルムが付着して切断しにくいところ、本発明では切断工程に先立ち冷却工程が行われるため、そのようなおそれがないものとなっている。
【0030】
また、本発明では、成形工程で第一フィルムを載置させた成形型を、その後に行われる工程でも、第一フィルム及び第二フィルムを載置させるために使用する。これにより、凹状に形成された収容部が、成形型によって終始安定的に支持される。
【0031】
加えて、貫通する孔部を備える成形型を、冷却工程でも使用することにより、孔部を介して流通する気体によって第一フィルム及び第二フィルムを冷却することができる。例えば、孔部に冷却用の気体を供給することにより、第一フィルム及び第二フィルムを効率的に冷却することができる。このとき、供給される気体によって第一フィルム及び第二フィルムが持ち上がらない程度の圧力にするのが望ましく、気体が循環可能な構成とすれば、より効率的に冷却することができる。あるいは、強制的に気体を供給することなく、孔部を介して自然に流通する空気によって、第一フィルム及び第二フィルムを冷却することができる。また、成形型を切断工程でも使用することにより、成形型の孔部を介して吸引しながら切断を行うことができ、切断により得られたフィルムパックが切断刃に追随して持ち上がってしまうことが防止される。従って、本発明によれば、成形工程において、凹部に沿う形状の収容部を形成するために必要な構成である孔部を、他の工程でも有効に利用することができると共に、簡易な構成で製造ラインを構築することができる。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明の効果として、フィルムで袋状に形成された容器に内容物が封入されたフィルムパックを可食性フィルムを用いて製造することができると共に、経口摂取できる程度に小型化する場合であっても製造可能な、フィルムパックの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態のフィルムパックの製造方法における第一フィルム送り工程及び成形工程の模式図である。
【図2】図1の成形工程で使用される成形型の斜視図である。
【図3】成形工程を説明する図である。
【図4】内容物供給工程の模式図である。
【図5】一次圧着工程の模式図である。
【図6】二次圧着工程の模式図である。
【図7】冷却工程の模式図である。
【図8】剥離工程の模式図である。
【図9】(a)未切断シート、及び(b)未切断シートにおける切断線を示す平面図である。
【図10】切断工程の説明図である。
【図11】包装工程の模式図である。
【図12】本実施形態のフィルムパックの製造方法で製造されるフィルムパックの(a)縦断面図、(b)底面側から見た斜視図である。
【図13】特許文献1の袋状フィルム製剤の(a)平面図、及び(b)縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施形態であるフィルムパックの製造方法(以下、単に「製造方法」と称する)について、図1乃至図10を用いて説明する。本実施形態の製造方法は、可食性の第一フィルム10を送り出す第一フィルム送り工程と、貫通する孔部32が設けられた凹部31を備える成形型30の上に第一フィルム10を供給し、押圧体35により少なくとも凹部31の周縁部に第一フィルム10を押圧しながら、孔部32を介して吸気することにより第一フィルム10を成形型30に吸着させ、凹部31に沿う凹状の収容部15を第一フィルム10に形成する成形工程と、収容部15内に内容物Mを供給する内容物供給工程と、第一フィルム10を可食性の第二フィルム20で被覆し、収容部15を除く第一フィルム10を第二フィルム20と熱圧着する一次圧着工程と、収容部15を除く第一フィルム10を第二フィルム20と更に熱圧着する二次圧着工程とを具備している。
【0035】
更に、本実施形態の製造方法は、二次圧着工程に続いて行われる工程として、第二フィルム20からベースフィルム21を剥離する剥離工程と、圧着された第一フィルム10及び第二フィルム20を冷却する冷却工程と、収容部15の外周縁のシール部16でカットする切断工程とを具備している。
【0036】
各工程について、より詳細に説明する。まず、第一フィルム送り工程では、ベースフィルム11に積層された状態で巻かれている可食性の第一フィルム10のロール19から、ベースフィルム11を剥離しつつ第一フィルム10を連続的に引き出し、連続的に送り出された第一フィルム10の動きを間欠的な動きに変えて下流側に送る。ここで、間欠的な動きへの変換は、第一フィルム10がロール19から引き出された高さと、これより低い位置との間で昇降する昇降体60により、第一フィルム10を所定長さ分たわませ、その長さ分を一単位として下流側に送ることにより行うことができる。
【0037】
成形工程は、図2及び図3に示すように、複数の凹部31が設けられている成形型30を使用して行う。ここで、凹部31の形状は特に限定されるもものではないが、図では、真上から見た凹部31の形状が円形の場合を示している。また、凹部31の大きさは、例えば、直径10mm〜25mm、深さ1mm〜5mmとすれば、経口摂取できる小型のフィルムパックの製造に好適である。なお、図3は、構成を明確に示すため成形型30等の縦断面図を簡略化して示したものであり、成形型30における凹部31の数、凹部31おける孔部32の数、凹部31の大きさに対する孔部32の大きさ等は、図示したものに限定されない。
【0038】
それぞれの凹部31の底面には、小径の貫通する孔部32が多数分散して穿設されている。また、成形型30の内部には、成形型30の一端で開口する開口部36を有する中空部34が形成されており、中空部34の内部空間Sと複数の孔部32とは連通している。かかる構成により、開口部36を介して図示しないポンプ等により内部空間Sを脱気すれば、複数の孔部32を介して外部から内部空間Sへ、エアが吸引される。
【0039】
従って、第一フィルム送り装置によって成形型30の上に第一フィルム10を送り、内部空間Sを脱気すれば、孔部32を介した吸気により、図3(b)に示すように第一フィルム10が成形型30に吸着される。これにより、凹部31に沿った形状に第一フィルム10が変形し、凹状の収容部15が形成される。このとき、本実施形態では、平らな底面を有する押圧体35によって、第一フィルムを成形型30に向けて押圧する。これにより、第一フィルム10は、凹部31の周縁部を含む成形型30の上面と押圧体35の底面との間に挟み込まれるため、凹部31に沿って第一フィルム10が変形する際に、凹部31の周縁部及びその近傍、すなわち、第一フィルム10の収容部15の周縁部15bにおいて、シワが発生することが有効に抑制される。
【0040】
加えて、収容部15の成形の際に、成形型30をヒーター38で加熱すれば(図1参照)、第一フィルム10が凹部31に沿って変形し易く、第一フィルム10におけるシワの発生を更に抑制して、凹状の収容部15を形成することができる。なお、成形型30を加熱する温度は、第一フィルム10が溶融しない程度に軟化する温度とすると好適であり、例えば、80〜150℃とすることができる。また、収容部15の成形の際に、押圧体35を第一フィルム10が溶融しない程度に軟化する温度に加熱すれば、第一フィルム10が押圧されながら軟化するため、収容部15の周縁部及びその近傍においてシワがより発生しにくく、好適である。なお、成形型30と押圧体35の一方のみを加熱しても、両方を加熱しても良い。
【0041】
凹状の収容部15が形成された第一フィルム10は、成形型30ごと次の内容物供給工程に送られる。なお、本実施形態では、成形工程から切断工程に至るまで、第一フィルム10が成形型30に載置されるように支持された状態で行われ、各工程は成形型30が製造ラインに沿って間欠的に下流側に送られることにより行われる。
【0042】
内容物供給工程では、第一フィルム10に形成された凹状の収容部15の上方から、内容物供給装置40によって内容物Mが供給され、内容物Mは収容部15内に載置されるように充填される。ここで、収容部15は成形型30の凹部31に対応して複数形成されているため、内容物供給装置40もこれに対応して複数設けられると好適である。なお、小型のフィルムパック1を製造する場合は、収容部15も自ずと小さいことから、これに内容物Mを供給する複数の内容物供給装置40間の距離が小さく、各装置が干渉するおそれがある。その場合は、図4のように内容物給工程を複数設け、それぞれの工程で内容物Mを供給する対象の収容部15の位置をずらすことができる。
【0043】
次に、圧着工程を行う。可食フィルムの材質や厚さによっては、或いは、強力なインパルス式で熱圧着する場合等、圧着工程が一回のみで足りる場合もあるが、ここでは、圧着工程が、第一フィルム10に対して第二フィルム20を仮シールする一次圧着工程と、その後に更に十分に熱圧着を行う二次圧着工程を備える場合を例示する。
【0044】
一次圧着工程では、図5(a)に示すように、ベースフィルム21に積層された第二フィルム20を、第二フィルム20側が第一フィルム10に当接するように供給しつつ、円柱状のローラー41をベースフィルム21を介して第二フィルム20上で転動させる。これにより、第一フィルム10と第二フィルム20はローラー41によって線状に押圧され、直線状の押圧点の集合はローラー41の転動に伴いローラー41の進行方向に移動する。そして、本実施形態では、ローラー41を移動させるのと同時に、第二フィルム20を第一フィルム10に被せていく。これにより、第二フィルム20と第一フィルム10との間の空気は、一点鎖線の矢印で図示したように、ローラー41の進行方向に徐々に押し出されるように逃がされる。そのため、第二フィルム20を第一フィルム10の上に一気に被せる場合とは異なり、空気の圧力によって内容物Mが舞い上がったり飛散したりするおそれを防止して、第二フィルム20で第一フィルム10が被覆される。
【0045】
そして、本実施形態では、ローラー41を加熱した状態で本工程を行う。これにより、ローラー41の押圧力とローラー41の熱によって、第一フィルム10は収容部15を除く部分で第二フィルム20と熱圧着され、仮シールされる。ここで、本実施形態の一次圧着工程は、可食性のフィルムが大きくは熱収縮しない程度の低い温度で行う。例えば、成形工程と同程度の80〜150℃の設定とすることができる。
【0046】
次に、第一フィルム10及び第二フィルム20を十分に溶着する二次圧着工程を行う。本実施形態では、二次圧着工程は更に二つの工程に分かれている。すなわち、第一の二次圧着工程では、底面が平面となった押圧型42を加熱しておき、ベースフィルムを介して第二フィルム20の上から押圧型42で第一フィルム10及び第二フィルム20を押圧する。ここで、押圧型42の温度T1は、例えば、180〜250℃とすることができる。
【0047】
引き続いて行われる第二の二次圧着工程では、本実施形態ではインパルス式の熱圧着を行う。具体的には、底面にヒーター(図示しない)が装着された押圧型42bで、ベースフィルム21を介して第一フィルム10及び第二フィルム20を押圧する。その状態でヒーターに瞬間的に大電流を流して発熱させ、この熱で第一フィルム10及び第二フィルム20を溶着する。このときのヒーターによる加熱温度T2は、例えば、100〜200℃とすることができる。
【0048】
次に、冷却工程を行う。これは、二次圧着工程を経た第一フィルム10及び第二フィルム20が高温のままであると、後に行われる切断工程において切断刃51にフィルムが付着してフィルムが変形したり、フィルムに破れや剥がれが生じたりするおそれがあるためである。
【0049】
具体的には、図7(a)に示すように、第二の二次圧着工程で用いたインパルス式の押圧型42bで第一フィルム10及び第二フィルム20を押圧したまま、成形型30の開口部36に外部から冷却用の気体を導入する。これにより、孔部32を介して第一フィルム10及び第二フィルム20を冷却することができる。更に、中空部34及び孔部32間で気体を循環させられる構成とすれば、効率的に冷却を行うことができる。なお、気体の導入による冷却に加えて、冷却された冷却盤を押圧型42bに当てることにより、押圧型42bが冷却され、更に第二フィルム20及び第一フィルム10が冷却される構成としても良い。
【0050】
また、切断工程に先立ち、図8に示すように第二フィルム20からベースフィルム21を剥離する剥離工程を行う。このとき、成形型30の孔部32を介して吸気しながらベースフィルム21の剥離を行うことにより、第一フィルム10及び第二フィルム20がベースフィルム21と一緒に持ち上がってしまうことを防止することができる。
【0051】
ここまでの工程で、第一フィルム10に凹状に形成された複数の収容部15に内容物Mが充填された状態で、第一フィルム10は第二フィルム20によって被覆され、収容部15を除く部分で第一フィルム10が第二フィルム20と溶着してシール部16が形成された構成、すなわち、図9(a)に示すように、複数のフィルムパックがシール部16を介して連設されている構成の未切断シート80が、成形型30に支持されている状態となる。そこで、次の切断工程で、シール部16において収容部15の外周縁に沿うように切断する(図9(b)に鎖線で示す切断線81参照)。
【0052】
切断は、底面から切断刃51が突出した刃部支持体50を、未切断シート80に対して降下させることにより行う。ここで、切断刃51の形状は切断線81の形状に応じて設定され、本実施形態では円形に突出している。また、刃部支持体50には、切断刃51が第二フィルム20に当接していない状態で、切断刃51の先端より第二フィルム20側に突出する高さを有する弾性体53が取り付けられている(図10(a)参照)。ここで、弾性体53としては、コイルバネ、スポンジ、ゴム等を使用可能である。
【0053】
このような構成とすることにより、切断刃51が第一フィルム10を完全に切断する位置まで刃部支持体50を降下させた際、弾性体53は刃部支持体50と第二フィルム20との間で圧縮される(図10(b)参照)。その後、刃部支持体50を上昇させると、切断刃51の刃先が第二フィルム20から離れても、しばらくは弾性体53の復元力によって第二フィルム20は下方に押しつけられる(図10(c)参照)。これにより、未切断シート81がシール部16で切断されて形成されたフィルムパック1が、切断刃51に付随して上昇してしまうおそれがない。
【0054】
なお、切断工程は、成形型30の孔部32を介して吸気しながら行うこととすれば、被切断体が成形型30に吸着されて固定されている状態で切断されるため、切断刃51と共に上昇することをより確実に防止できると共に、高精度の切断を安定的に行うことができる。
【0055】
ここまでの工程により、凹状の収容部15が形成された第一フィルム10と、収容部15を除く第一フィルム10と溶着され、収容部15を被覆している第二フィルム20とを具備し、収容部15に内容物Mが充填されているフィルムパック1(図12参照)が、個々に切断された状態で成形型30に支持されている状態となる(図10(d)参照)。
【0056】
なお、本実施形態の製造方法は、一個ずつに切断されたフィルムパック1を、更に非可食性の包装体で包装する包装工程を具備している。以下、包装工程について図11を用いて簡単に説明する。包装工程は、第一包装体71に凹状部75を成形する加圧成形工程と、凹状部75内にフィルムパック1を一個ずつ供給するフィルムパック供給工程と、凹状部75内にフィルムパック1が収容された状態で第一包装体71に第二包装体72を圧着する包装体圧着工程とを具備している。
【0057】
より具体的には、加圧成形工程では、PETなどのプラスチックシートを第一包装体71として用い、一対の凹状成形型61及び凸状成形型62で第一包装体71を挟み込み、加熱しながら加圧成形する。これにより、凹状成形型61及び凸状成形型62に沿う形状の凹状部75が第一包装体71に形成される。その後、フィルムパック供給工程で、切断工程を経てシール部16で切断されたフィルムパック1を支持している成形型30上から、ロボット装置などのフィルムパック供給装置64を用いて、第一包装体71の凹状部75内にフィルムパック1を一個ずつ移しかえる。
【0058】
次に、包装体圧着工程で、アルミニウム箔やガスバリア性の高い透明フィルムなどを第二包装体72として用い、凹状部75内にフィルムパック1を収容した第一包装体71を被覆する。そして、底面が平面となった押圧型66を加熱しながら、第二包装体72の上から凹状成形型61に向けて押圧する。これにより、凹状部75を除く部分で第一包装体71と第二包装体72がヒートシールされ、フィルムパック1が第一包装体71及び第二包装体72によって包装された包装シートが形成される。あるいは、押圧型66の底面に、凹状部75の周縁部の形状と一致する環状の凸部(例えば、1mm〜5mm幅)を設けることにより、凹状部75の周縁部のみで第一包装体71及び第二包装体72をヒートシールしても良い。
【0059】
このような包装を行うことにより、フィルムパック1の保存性が高まり、長期にわたって衛生的に保存することができる。そして、アルミニウム箔などの第二包装体72を第一包装体71から剥がすことにより、凹状部75からフィルムパック1を一個ずつ取り出すことができる。なお、凹状部75の外周縁に沿って第二包装体72にミシン目を設けておけば、隣接する凹状部75を被覆する第二包装体72を余計に剥離してしまうことなく、一つの凹状部75からフィルムパック1を一個ずつ取り出すことができ、好適である。また、包装シートは適宜の大きさに切断し、更に紙箱などのパッケージで包装することができる。
【0060】
以上のように、本実施形態の製造方法によれば、貫通する孔部32が設けられた凹部31を備える成形型30に第一フィルム10を吸着させることにより、第一フィルム10に凹部31に沿う形状の収容部15を形成することができるため、フィルムパック1への内容物Mの充填を容易に行うことができる。加えて、成形工程の際に成形型30を加熱しているため、第一フィルム10におけるシワの発生を抑制して収容部15を形成することができる。
【0061】
加えて、成形工程では、成形型30の上面と押圧体35の底面との間に第一フィルム10を挟んだ状態で、凹部31に第一フィルム10を吸着させているため、凹部31に沿う凹状に形成される収容部15の周縁部15bにシワが発生しにくい。そのため、その後の圧着工程で第一フィルム10と第二フィルム20との密着性が高いものとなり、第一フィルム10と第二フィルム20を十分に熱圧着することができる。
【0062】
また、本実施形態では圧着工程が一次圧着工程と二次圧着工程からなり、二次圧着工程に先立ち、可食性のフィルムが大きく熱収縮しない程度の低温で一次圧着工程を行うため、シワの発生がより抑制されている。加えて、本実施形態では二次圧着工程も複数行っているため、熱圧着する総時間を長くし、十分に熱圧着することができる。
【0063】
また、一次圧着工程では、円柱状のローラー41を用いて熱圧着しており、しかもローラー41の転動に伴い第二フィルム20を第一フィルム10の上に被せることにより、ローラー41の進行方向に空気を逃がしながら両フィルムを圧着している。これにより、内容物Mの飛散などを有効に抑制することができる。
【0064】
更に、本実施形態では、製造ライン上を成形型30が間欠的に移動する構成、すなわち、成形型30が所定時間は静止している状態で各工程が行われる構成であるため、製造ライン上を連続的に移動する場合に比べて、諸装置間の位置関係の制御が容易である。そのため、内容物供給工程における位置決め精度や切断工程における寸法精度が高いものとなる。
【0065】
また、成形型30を全工程を通して使用することにより、簡易な構成で製造ラインを構築することができる。加えて、成形型30が備える孔部32を他の工程でも有効に利用することができる。すなわち、冷却工程では孔部32から冷却用の気体を供給して効率的に冷却し、剥離工程及び切断工程では孔部32を介して吸引することにより、第一フィルム及び第二フィルムを安定的に支持することができる。
【0066】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0067】
例えば、上記の実施形態では、第二フィルム20がベースフィルム21に支持された状態で一次圧着工程及び二次圧着工程を行う場合を例示したが、これに限定されず、一次圧着工程に先立って第二フィルム20からベースフィルム21を剥離する剥離工程を行うこともできる。
【0068】
また、圧着工程として、一次圧着工程と二次圧着工程を備える場合を例示したが、これに限定されず、圧着工程は一回のみ行われるものであっても良い。例えば、図5(b)に示すように、成形型30bにおいて凹部31の周縁部にヒーター30hを設置し、ここに大電流を流してヒーターを発熱させながら、ローラー41bを第二フィルム20上で転動させることにより、インパルス式の熱圧着を行うことができる。インパルス式は瞬間的かつ局部的に高温にできるため、可食フィルムが溶着しやすく、熱板式に比べて圧着するための圧力が小さくても済む利点がある。また、押圧型の全体を加熱する熱板式に比べて、発熱させる構成(ヒーター)が部分的でり、ヒータを発熱させるための通電時間が短いため、電力消費が少なくて済むという利点も有する。
【0069】
また、上記では、第二の二次圧着工程として、熱板式の熱圧着工程とインパルス式の熱圧着工程が続いて行われる場合を例示したが、これに限定されない。例えば、二次圧着工程として、熱板式の熱圧着工程を複数行うこととし、後に行われる工程ほど加熱温度が高温となるように設定することができる。具体的には、温度t1で行われる第一の二次圧着工程と、温度t2で行われる第二の二次圧着工程と、温度t3で行われる第三の二次圧着工程と、温度t4で行われる第四の二次圧着工程を備えることとし、t1=約180℃<t2=約200℃<t3=約220℃<t4=約250℃とすることができる。このように、後に行われる工程ほど高温となるように徐々に温度を高くすることにより、熱収縮によるシワの発生を効果的に抑制しつつ、可食性のフィルム同士の溶着に必要な高温まで加熱温度を上昇させることができる。
【0070】
更に上記では、冷却工程として、二次圧着工程で用いたインパルス式の押圧型42bで第一フィルム10及び第二フィルム20を押圧したまま、冷却を行う場合を例示したが、これに限定されない。例えば、冷却工程の前の圧着工程が熱板式であった場合は、図7(b)に示すように、圧着工程で使用した押圧型42を冷却工程で使用することなく、冷却盤43を直接的に、ベースフィルム21、第二フィルム20及び第一フィルム10に押し当てる構成とすることができる。
【0071】
加えて、上記では成形型30が備える凹部31の断面形状が平面視で円形であり、これに対応して円形のフィルムパック1が製造される場合を例示したが、フィルムパックの形状はこれに限定されず、例えば、平面視で楕円形、四角形、六角形、八角形など種々の形状とすることができる。
【0072】
また、上記の製造方法は、経口摂取できる程度の小型のフィルムパックの製造を可能とするものであるが、製造対象のフィルムパックは必ずしも経口摂取用に限定されるものではない。例えば、内容物として、粉末ジュース、粉茶、粉末スープ、調味料を充填し、水や湯に投入して簡易に飲食できるフィルムパックを製造する製造方法として、本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 フィルムパック
10 第一フィルム
15 収容部
16 シール部
20 第二フィルム
30 成形型
31 凹部
32 孔部
35 押圧体
41,41b ローラー
M 内容物
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【特許文献1】特開2009−61108号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、可食性フィルムで袋状に形成された容器に薬剤等の内容物が封入されたフィルムパックの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
経口投与用の薬剤が一回に服用すべき量ごとに分包された製剤として、従前より、プラスチックフィルム、グラシン紙、アルミシート等で形成された袋に散剤(粉末剤)や顆粒剤などの薬剤が封入された分包薬が広く用いられている。ところが、このような分包薬の場合、薬剤を口中に投入する際に、粉末や細かな顆粒を吸い込んでむせたり咳き込んだりすることがある。また、袋を開封する際に、薬剤をこぼしたり飛散させたりしやすく、全量を服用できないことがある。更に、苦味や匂いの強い薬剤などは、口中に直接投入したのでは、服用しにくいという問題もある。加えて、服用後は包装用の袋がゴミとなるという問題もある。
【0003】
一方、薄いシート状のオブラートに、散剤(粉末剤)や顆粒剤などの薬剤を包んでから服用することも旧来より行われており、この場合はむせにくく味や匂いを感じにくいという利点がある。ところが、服用のたびにオブラートで薬剤を包む作業は煩雑であり、その作業中に薬剤をこぼしたり飛散させたりすることもある。また、薬剤をスプーン等ですくう計量には誤差が生じやすく、一回量として必要な量を正しく服用できないこともある。加えて、オブラートが折り畳まれた包装自体が嵩張り、口腔内での違和感が大きく飲み込みにくい。
【0004】
そこで、本出願人は、図13に示すように、可食性フィルム101を二重に重ね合わせ、外周縁に沿って圧着してシール部102を形成することにより袋状の容器とし、その内部の収容空間104に中に薬剤105が封入された袋状フィルム製剤(製剤包装体)100を提案している(特許文献1参照)。これによれば、可食性フィルム101で形成された袋状の容器に所定量の薬剤が封入されており、容器ごと薬剤を服用することができるため、一回量の薬剤をこぼすことなく確実に服用することができる。
【0005】
また、薬剤が粉末や細かな顆粒であっても、むせたり咳き込んだりするおそれが低減されると共に、薬剤の味や匂いを強く感じることなく服用することができる。加えて、可食性フィルムの容器に味付けや香り付けをすることも可能であるため、薬剤の味や匂いをマスキングし、より服用しやすくすることもできる。また、薄い可食性フィルムが外周縁に沿って圧着されて形成された袋状の容器は、折り畳まれたオブラートほど嵩張らないため、口腔内での違和感が小さい。更に、服用に先立ってオブラートで薬剤を包む場合とは異なり、手間を要さず服用したいときに直ちに薬剤を服用することができるため、手軽に服用できると共に携帯にも便利である。
【0006】
このような構成の袋状フィルム製剤100は、一見すると、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチックフィルムを用いて三方シール包装、四方シール包装などを行う従来の製袋装置を使用した製造方法と、同様の製造方法により製造できるようにも思われる。しかしながら、可食性フィルムはプラスチックフィルムに比べると、引張力に対する強度が低い、強制的に変形させた後に形状が保持されにくい、ヒートシール性に劣るなど、袋状に成形する際の障害となる性質を多く有している。加えて、容器ごと経口摂取するため自ずと内容積の小さいものとなる袋状の容器へ、内容物を充填することが難しいことから、従来の製造方法をそのまま用いたのでは、上記構成の袋状フィルム製剤を製造することは極めて困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、フィルムで袋状に形成された容器に内容物が封入されたフィルムパックを可食性フィルムを用いて製造することができると共に、経口摂取できる程度に小型化する場合であっても製造可能な、フィルムパックの製造方法の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明にかかるフィルムパックの製造方法は、「貫通する孔部が設けられた凹部を備える成形型の上に可食性の第一フィルムを供給し、押圧体により少なくとも前記凹部の周縁部に前記第一フィルムを押圧しながら、前記孔部を介して吸気することにより前記第一フィルムを前記成形型に吸着させ、前記凹部に沿う凹状の収容部を前記第一フィルムに形成する成形工程と、前記収容部内に内容物を供給する内容物供給工程と、前記第一フィルムを可食性の第二フィルムで被覆し、前記収容部を除く前記第一フィルムを前記第二フィルムと熱圧着する圧着工程とを」具備するものである。
【0009】
可食性の「第一フィルム」及び「第二フィルム」は、平滑な基面上に固定したベースフィルム上に、可食性のフィルム形成剤を含有する溶液または懸濁液を流延し、流延された溶液または懸濁液を乾燥させフィルム化することにより形成することができる。ここで、可食性のフィルム形成剤としては、プルラン、ゼラチン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、水溶性ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、加工澱粉等を使用することができる。なお、「第一フィルム」及び「第二フィルム」は、同一のフィルム形成剤により形成されたフィルムであっても、異なる種類のフィルム形成剤により形成されたフィルムであっても良い。
【0010】
ここで、本発明において「フィルム」とは、厚さ1μm〜500μmの薄片を指している。なお、「第一フィルム」及び「第二フィルム」の厚さは、同一であっても異なっていても良い。
【0011】
「内容物」としては、散剤(粉末剤)、顆粒剤、丸剤、錠剤、オイル剤、ペースト状製剤、これらの内の複数を混合した薬剤を例示することができ、薬物の種類は経口投与用であれば特に限定されることなく、いわゆる西洋薬であっても生薬や生薬を組み合わせた漢方薬であっても良い。更に、本発明の「内容物」は、医薬品に限定されるものではなく、栄養機能食品、特定保健用食品、粉末スープや粉末ジュース等の飲食品であっても良い。
【0012】
貫通する「孔部」の数は、単数でも複数でも良いが、例えば、成形型の底面あるいは成形型の底面と側面に、分散するように多数設ければ、第一フィルムが成形型に対して均一に吸着されやすく望ましい。
【0013】
「熱圧着」する方法としては、加熱された金属板などでフィルムを押圧する方法(いわゆる熱板式)、フィルムにヒーターを押し当てた状態で瞬間的に大電流を流してヒーターを発熱させる方法(いわゆるインパルス式)、フィルムを加圧しながらホーンから超音波を照射しフィルムを内部発熱させる方法(いわゆる超音波式)を、何れも使用可能である。
【0014】
「少なくとも前記凹部の周縁部に前記第一フィルムを押圧する押圧体」としては、発泡樹脂など弾性を有する硬めの部材を、好適に使用することができる。その弾性により、凹部に沿った形状となるための第一フィルムの移動をある程度許容しつつ、第一フィルムを押圧することができる。ここで、押圧体は「少なくとも前記凹部の周縁部」で第一フィルムを押圧するものであれば足り、周縁部以外の部分をも押圧するものであっても良い。例えば、押圧体の形状が凹部の周縁部の形状と一致する環状であれば、凹部の周縁部のみを押圧することができ、押圧体において押圧に使用される面が面積の大きい平面であれば、成形型の凹部を除く上面の全体を押圧することができる。また、凹部に対応する凸状部を備える押圧体であれば、凹部の周縁部を押圧できると共に、第一フィルムに形成されるべき凹状の収容部の形状を、押圧体によって整えることもできる。
【0015】
仮に、二枚のフィルムを重ね合わせて三方シールまたは四方シールする従来のプラスチックフィルムの製袋技術を、可食性のフィルムパックに適用した場合、重畳したフィルム間にはほとんど隙間がない。そのため、この隙間を押し広げなければ内容物を充填することができず、製造工程が複雑となる。特に、経口摂取できる程度の小型のフィルムパックを製造する場合は、重畳した小寸法のフィルム間に内容物を充填することは非常に困難である。これに対し、本発明では、孔部を介した吸気により成形型に吸着された第一フィルムが、成形型に沿うように変形することによって、成形型の凹部の形状に沿う凹状の収容部が第一フィルムに形成される。これにより、凹状の収容部に内容物を載置するように、容易に内容物を供給することができるため、小型のフィルムパックであっても容易に製造することができる。なお、本発明は小型のフィルムパックであっても製造できる利点を有するが、もちろん大型のフィルムパックであっても問題なく製造することができる。
【0016】
本発明では、第一フィルムを成形型の凹部に沿うように変形させる過程で、凹部の周縁部に沿う部分、すなわち、収容部の周縁部において第一フィルムにシワが発生しやすい。そして、成形工程で第一フィルムにシワが多く発生すると、その後の圧着工程において、収容部の周縁部における第一フィルムと第二フィルムとの密着性が低下し、熱圧着が不十分なものとなるおそれが高い。これに対し、本発明では、押圧体で第一フィルムを凹部の周縁部に押圧しながら、第一フィルムを凹部に吸着させて第一フィルムを変形させるため、収容部の周縁部でのシワの発生を低減することができる。なお、押圧体は、第一フィルムが溶融しない程度の低い温度に加熱されるものとすれは、第一フィルムは押圧体により押圧されると同時に加熱されて軟化するため、収容部の周縁部においてシワがより発生しにくく、好適である。
【0017】
本発明にかかるフィルムパックの製造方法は、「前記圧着工程は、前記第一フィルム及び前記第二フィルムの熱圧着が、円柱状のローラーを前記第二フィルム上で転動させることによって行われる工程を備え、前記第二フィルムは、前記ローラーの転動に伴い前記ローラーの進行方向に前記第一フィルムに徐々に被せられる」ものとすることができる。
【0018】
上記構成の本発明では、第二フィルム上で円柱状のローラーを転動させることにより、ローラーが第二フィルムと当接する直線状に、第一フィルム及び第二フィルムが押圧される。そして、この直線状の押圧点の集合は、ローラーの転動に伴いローラーの進行方向に移動する。加えて、本発明では、第二フィルムは、ローラーの転動に合わせてローラーの進行方向に、第一フィルム上に徐々に被せられる。
【0019】
仮に、第二フィルムが第一フィルムに対して面的に押圧されるとすると、両フィルム間の空気が第二フィルムに押し付けられ、この空気の圧力によって収容部に収容されている内容物が舞い上がったり飛散したりするおそれがある。特に、内容物が粉末状、細かい顆粒状である場合は、そのおそれが大きい。
【0020】
これに対し、本発明では、ローラーによる第一フィルム及び第二フィルムの押圧点の集合は直線であり、この直線がローラーの転動により移動するのに伴い、第二フィルムが徐々に第一フィルムに被せられる。すなわち、本発明では、ローラーの進行方向に空気を逃がしながら、第一フィルム及び第二フィルムが圧着される。これにより、内容物を飛散させることなく、第一フィルム及び第二フィルムを圧着することができる。
【0021】
なお、圧着工程において第一フィルム及び第二フィルムを外部加熱する場合、ローラーを加熱する構成であっても、第一フィルムを支持している部材を加熱する構成であっても、両者を加熱する構成であっても良い。
【0022】
本発明にかかるフィルムパックの製造方法は、上記構成において、「前記圧着工程は、複数回に分けて行われる」ものとすることができる。
【0023】
上記のように、可食性のフィルムはプラスチックフィルムに比べてヒートシール性に劣り、溶着可能な温度がプラスチックフィルムに比べて高い。そのため、第一フィルム及び第二フィルムを溶着可能な高い温度で一気に熱圧着する場合、フィルムの材質や厚さ等によっては、熱収縮によってフィルムにシワが発生しやすい場合があり得る。その場合は、本構成を採用し圧着工程を複数回に分けることにより、まず、フィルムが大きくは熱収縮しない程度の低い温度(例えば、50〜120℃)でシワの発生を抑えて第一フィルム及び第二フィルムを仮シールしておき、その後の圧着工程をフィルムが溶着可能な高温(例えば、180〜250℃)で行うことが可能となる。これにより、シワの発生を抑えながら第一フィルム及び第二フィルムを十分に熱圧着することができる。なお、ここでは“仮シール”の語を、収容部の外周縁に沿って第一フィルム及び第二フィルムが部分的に溶着された状態、あるいは、第一フィルム及び第二フィルムが収容部の全外周縁に沿って接着しているものの、完全な溶着には至らない弱い接着力で接着している状態を指すものとして使用している。
【0024】
また、熱圧着の所要時間を長くすれば、十分な熱圧着をより確実に行うことができる。本発明では、圧着工程を複数回に分けて行うことにより、圧着工程の総時間を長くすることができる。ここで、圧着工程を一回のみ行うこととして、その一回の所要時間を長くするという方法も想到し得る。しかしながら、フィルムパックの製造を自動化された製造ラインで行う場合、製造される途中の半製品を間欠的に移動させ、各工程をそれぞれ同時間行うこととすると、製造ラインの制御が簡易である。従って、本発明によれば、圧着工程を複数回行うことにより、製造ライン上を半製品が間欠的に移動して各工程が同一時間行われる場合であっても、圧着工程の総時間を長くすることができる。
【0025】
また、圧着工程を複数回行うことにより、各工程における加熱温度をフィルムの材質や厚さ等に応じて種々に設定することが可能となる。例えば、後に行われる工程ほど加熱温度が徐々に高温になるように設定することが可能となる。このような構成とすることにより、第一フィルム及び第二フィルムにおける温度変化を緩やかにすることができるため、シワの発生やフィルムの変形を抑制して、十分な熱圧着を行うことができる。
【0026】
本発明にかかるフィルムパックの製造方法は、上記構成において、「前記成形工程は、前記成形型を加熱しながら行われる」ものとすることができる。
【0027】
本発明では、成形型を加熱しながら成形することにより、成形型に吸着されたフィルムが軟化し、凹部に沿って変形し易い。そのため、第一フィルムにおいて収容部の形成に伴うシワの発生を、より抑制することができる。
【0028】
本発明にかかるフィルムパックの製造方法は、上記構成に加え、「熱圧着された前記第一フィルム及び前記第二フィルムを冷却する冷却工程、及び、該冷却工程後に行われ前記第一フィルム及び前記第二フィルムが熱圧着されて形成されたシール部で切断する切断工程を更に具備し、前記圧着工程、前記冷却工程、及び、前記切断工程は、前記成形型に前記第一フィルム及び前記第二フィルムが載置された状態で行われ、前記冷却工程は、前記孔部を介する気体の流通によって行われ、前記切断工程は、前記孔部を介して吸気しながら行われる」ものとすることができる。
【0029】
「切断工程」においてシール部を切断することにより、所定の大きさ及び形状のフィルムパックが得られる。また、第一フィルム及び第二フィルムが熱い状態で切断すると、切断刃にフィルムが付着して切断しにくいところ、本発明では切断工程に先立ち冷却工程が行われるため、そのようなおそれがないものとなっている。
【0030】
また、本発明では、成形工程で第一フィルムを載置させた成形型を、その後に行われる工程でも、第一フィルム及び第二フィルムを載置させるために使用する。これにより、凹状に形成された収容部が、成形型によって終始安定的に支持される。
【0031】
加えて、貫通する孔部を備える成形型を、冷却工程でも使用することにより、孔部を介して流通する気体によって第一フィルム及び第二フィルムを冷却することができる。例えば、孔部に冷却用の気体を供給することにより、第一フィルム及び第二フィルムを効率的に冷却することができる。このとき、供給される気体によって第一フィルム及び第二フィルムが持ち上がらない程度の圧力にするのが望ましく、気体が循環可能な構成とすれば、より効率的に冷却することができる。あるいは、強制的に気体を供給することなく、孔部を介して自然に流通する空気によって、第一フィルム及び第二フィルムを冷却することができる。また、成形型を切断工程でも使用することにより、成形型の孔部を介して吸引しながら切断を行うことができ、切断により得られたフィルムパックが切断刃に追随して持ち上がってしまうことが防止される。従って、本発明によれば、成形工程において、凹部に沿う形状の収容部を形成するために必要な構成である孔部を、他の工程でも有効に利用することができると共に、簡易な構成で製造ラインを構築することができる。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明の効果として、フィルムで袋状に形成された容器に内容物が封入されたフィルムパックを可食性フィルムを用いて製造することができると共に、経口摂取できる程度に小型化する場合であっても製造可能な、フィルムパックの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態のフィルムパックの製造方法における第一フィルム送り工程及び成形工程の模式図である。
【図2】図1の成形工程で使用される成形型の斜視図である。
【図3】成形工程を説明する図である。
【図4】内容物供給工程の模式図である。
【図5】一次圧着工程の模式図である。
【図6】二次圧着工程の模式図である。
【図7】冷却工程の模式図である。
【図8】剥離工程の模式図である。
【図9】(a)未切断シート、及び(b)未切断シートにおける切断線を示す平面図である。
【図10】切断工程の説明図である。
【図11】包装工程の模式図である。
【図12】本実施形態のフィルムパックの製造方法で製造されるフィルムパックの(a)縦断面図、(b)底面側から見た斜視図である。
【図13】特許文献1の袋状フィルム製剤の(a)平面図、及び(b)縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施形態であるフィルムパックの製造方法(以下、単に「製造方法」と称する)について、図1乃至図10を用いて説明する。本実施形態の製造方法は、可食性の第一フィルム10を送り出す第一フィルム送り工程と、貫通する孔部32が設けられた凹部31を備える成形型30の上に第一フィルム10を供給し、押圧体35により少なくとも凹部31の周縁部に第一フィルム10を押圧しながら、孔部32を介して吸気することにより第一フィルム10を成形型30に吸着させ、凹部31に沿う凹状の収容部15を第一フィルム10に形成する成形工程と、収容部15内に内容物Mを供給する内容物供給工程と、第一フィルム10を可食性の第二フィルム20で被覆し、収容部15を除く第一フィルム10を第二フィルム20と熱圧着する一次圧着工程と、収容部15を除く第一フィルム10を第二フィルム20と更に熱圧着する二次圧着工程とを具備している。
【0035】
更に、本実施形態の製造方法は、二次圧着工程に続いて行われる工程として、第二フィルム20からベースフィルム21を剥離する剥離工程と、圧着された第一フィルム10及び第二フィルム20を冷却する冷却工程と、収容部15の外周縁のシール部16でカットする切断工程とを具備している。
【0036】
各工程について、より詳細に説明する。まず、第一フィルム送り工程では、ベースフィルム11に積層された状態で巻かれている可食性の第一フィルム10のロール19から、ベースフィルム11を剥離しつつ第一フィルム10を連続的に引き出し、連続的に送り出された第一フィルム10の動きを間欠的な動きに変えて下流側に送る。ここで、間欠的な動きへの変換は、第一フィルム10がロール19から引き出された高さと、これより低い位置との間で昇降する昇降体60により、第一フィルム10を所定長さ分たわませ、その長さ分を一単位として下流側に送ることにより行うことができる。
【0037】
成形工程は、図2及び図3に示すように、複数の凹部31が設けられている成形型30を使用して行う。ここで、凹部31の形状は特に限定されるもものではないが、図では、真上から見た凹部31の形状が円形の場合を示している。また、凹部31の大きさは、例えば、直径10mm〜25mm、深さ1mm〜5mmとすれば、経口摂取できる小型のフィルムパックの製造に好適である。なお、図3は、構成を明確に示すため成形型30等の縦断面図を簡略化して示したものであり、成形型30における凹部31の数、凹部31おける孔部32の数、凹部31の大きさに対する孔部32の大きさ等は、図示したものに限定されない。
【0038】
それぞれの凹部31の底面には、小径の貫通する孔部32が多数分散して穿設されている。また、成形型30の内部には、成形型30の一端で開口する開口部36を有する中空部34が形成されており、中空部34の内部空間Sと複数の孔部32とは連通している。かかる構成により、開口部36を介して図示しないポンプ等により内部空間Sを脱気すれば、複数の孔部32を介して外部から内部空間Sへ、エアが吸引される。
【0039】
従って、第一フィルム送り装置によって成形型30の上に第一フィルム10を送り、内部空間Sを脱気すれば、孔部32を介した吸気により、図3(b)に示すように第一フィルム10が成形型30に吸着される。これにより、凹部31に沿った形状に第一フィルム10が変形し、凹状の収容部15が形成される。このとき、本実施形態では、平らな底面を有する押圧体35によって、第一フィルムを成形型30に向けて押圧する。これにより、第一フィルム10は、凹部31の周縁部を含む成形型30の上面と押圧体35の底面との間に挟み込まれるため、凹部31に沿って第一フィルム10が変形する際に、凹部31の周縁部及びその近傍、すなわち、第一フィルム10の収容部15の周縁部15bにおいて、シワが発生することが有効に抑制される。
【0040】
加えて、収容部15の成形の際に、成形型30をヒーター38で加熱すれば(図1参照)、第一フィルム10が凹部31に沿って変形し易く、第一フィルム10におけるシワの発生を更に抑制して、凹状の収容部15を形成することができる。なお、成形型30を加熱する温度は、第一フィルム10が溶融しない程度に軟化する温度とすると好適であり、例えば、80〜150℃とすることができる。また、収容部15の成形の際に、押圧体35を第一フィルム10が溶融しない程度に軟化する温度に加熱すれば、第一フィルム10が押圧されながら軟化するため、収容部15の周縁部及びその近傍においてシワがより発生しにくく、好適である。なお、成形型30と押圧体35の一方のみを加熱しても、両方を加熱しても良い。
【0041】
凹状の収容部15が形成された第一フィルム10は、成形型30ごと次の内容物供給工程に送られる。なお、本実施形態では、成形工程から切断工程に至るまで、第一フィルム10が成形型30に載置されるように支持された状態で行われ、各工程は成形型30が製造ラインに沿って間欠的に下流側に送られることにより行われる。
【0042】
内容物供給工程では、第一フィルム10に形成された凹状の収容部15の上方から、内容物供給装置40によって内容物Mが供給され、内容物Mは収容部15内に載置されるように充填される。ここで、収容部15は成形型30の凹部31に対応して複数形成されているため、内容物供給装置40もこれに対応して複数設けられると好適である。なお、小型のフィルムパック1を製造する場合は、収容部15も自ずと小さいことから、これに内容物Mを供給する複数の内容物供給装置40間の距離が小さく、各装置が干渉するおそれがある。その場合は、図4のように内容物給工程を複数設け、それぞれの工程で内容物Mを供給する対象の収容部15の位置をずらすことができる。
【0043】
次に、圧着工程を行う。可食フィルムの材質や厚さによっては、或いは、強力なインパルス式で熱圧着する場合等、圧着工程が一回のみで足りる場合もあるが、ここでは、圧着工程が、第一フィルム10に対して第二フィルム20を仮シールする一次圧着工程と、その後に更に十分に熱圧着を行う二次圧着工程を備える場合を例示する。
【0044】
一次圧着工程では、図5(a)に示すように、ベースフィルム21に積層された第二フィルム20を、第二フィルム20側が第一フィルム10に当接するように供給しつつ、円柱状のローラー41をベースフィルム21を介して第二フィルム20上で転動させる。これにより、第一フィルム10と第二フィルム20はローラー41によって線状に押圧され、直線状の押圧点の集合はローラー41の転動に伴いローラー41の進行方向に移動する。そして、本実施形態では、ローラー41を移動させるのと同時に、第二フィルム20を第一フィルム10に被せていく。これにより、第二フィルム20と第一フィルム10との間の空気は、一点鎖線の矢印で図示したように、ローラー41の進行方向に徐々に押し出されるように逃がされる。そのため、第二フィルム20を第一フィルム10の上に一気に被せる場合とは異なり、空気の圧力によって内容物Mが舞い上がったり飛散したりするおそれを防止して、第二フィルム20で第一フィルム10が被覆される。
【0045】
そして、本実施形態では、ローラー41を加熱した状態で本工程を行う。これにより、ローラー41の押圧力とローラー41の熱によって、第一フィルム10は収容部15を除く部分で第二フィルム20と熱圧着され、仮シールされる。ここで、本実施形態の一次圧着工程は、可食性のフィルムが大きくは熱収縮しない程度の低い温度で行う。例えば、成形工程と同程度の80〜150℃の設定とすることができる。
【0046】
次に、第一フィルム10及び第二フィルム20を十分に溶着する二次圧着工程を行う。本実施形態では、二次圧着工程は更に二つの工程に分かれている。すなわち、第一の二次圧着工程では、底面が平面となった押圧型42を加熱しておき、ベースフィルムを介して第二フィルム20の上から押圧型42で第一フィルム10及び第二フィルム20を押圧する。ここで、押圧型42の温度T1は、例えば、180〜250℃とすることができる。
【0047】
引き続いて行われる第二の二次圧着工程では、本実施形態ではインパルス式の熱圧着を行う。具体的には、底面にヒーター(図示しない)が装着された押圧型42bで、ベースフィルム21を介して第一フィルム10及び第二フィルム20を押圧する。その状態でヒーターに瞬間的に大電流を流して発熱させ、この熱で第一フィルム10及び第二フィルム20を溶着する。このときのヒーターによる加熱温度T2は、例えば、100〜200℃とすることができる。
【0048】
次に、冷却工程を行う。これは、二次圧着工程を経た第一フィルム10及び第二フィルム20が高温のままであると、後に行われる切断工程において切断刃51にフィルムが付着してフィルムが変形したり、フィルムに破れや剥がれが生じたりするおそれがあるためである。
【0049】
具体的には、図7(a)に示すように、第二の二次圧着工程で用いたインパルス式の押圧型42bで第一フィルム10及び第二フィルム20を押圧したまま、成形型30の開口部36に外部から冷却用の気体を導入する。これにより、孔部32を介して第一フィルム10及び第二フィルム20を冷却することができる。更に、中空部34及び孔部32間で気体を循環させられる構成とすれば、効率的に冷却を行うことができる。なお、気体の導入による冷却に加えて、冷却された冷却盤を押圧型42bに当てることにより、押圧型42bが冷却され、更に第二フィルム20及び第一フィルム10が冷却される構成としても良い。
【0050】
また、切断工程に先立ち、図8に示すように第二フィルム20からベースフィルム21を剥離する剥離工程を行う。このとき、成形型30の孔部32を介して吸気しながらベースフィルム21の剥離を行うことにより、第一フィルム10及び第二フィルム20がベースフィルム21と一緒に持ち上がってしまうことを防止することができる。
【0051】
ここまでの工程で、第一フィルム10に凹状に形成された複数の収容部15に内容物Mが充填された状態で、第一フィルム10は第二フィルム20によって被覆され、収容部15を除く部分で第一フィルム10が第二フィルム20と溶着してシール部16が形成された構成、すなわち、図9(a)に示すように、複数のフィルムパックがシール部16を介して連設されている構成の未切断シート80が、成形型30に支持されている状態となる。そこで、次の切断工程で、シール部16において収容部15の外周縁に沿うように切断する(図9(b)に鎖線で示す切断線81参照)。
【0052】
切断は、底面から切断刃51が突出した刃部支持体50を、未切断シート80に対して降下させることにより行う。ここで、切断刃51の形状は切断線81の形状に応じて設定され、本実施形態では円形に突出している。また、刃部支持体50には、切断刃51が第二フィルム20に当接していない状態で、切断刃51の先端より第二フィルム20側に突出する高さを有する弾性体53が取り付けられている(図10(a)参照)。ここで、弾性体53としては、コイルバネ、スポンジ、ゴム等を使用可能である。
【0053】
このような構成とすることにより、切断刃51が第一フィルム10を完全に切断する位置まで刃部支持体50を降下させた際、弾性体53は刃部支持体50と第二フィルム20との間で圧縮される(図10(b)参照)。その後、刃部支持体50を上昇させると、切断刃51の刃先が第二フィルム20から離れても、しばらくは弾性体53の復元力によって第二フィルム20は下方に押しつけられる(図10(c)参照)。これにより、未切断シート81がシール部16で切断されて形成されたフィルムパック1が、切断刃51に付随して上昇してしまうおそれがない。
【0054】
なお、切断工程は、成形型30の孔部32を介して吸気しながら行うこととすれば、被切断体が成形型30に吸着されて固定されている状態で切断されるため、切断刃51と共に上昇することをより確実に防止できると共に、高精度の切断を安定的に行うことができる。
【0055】
ここまでの工程により、凹状の収容部15が形成された第一フィルム10と、収容部15を除く第一フィルム10と溶着され、収容部15を被覆している第二フィルム20とを具備し、収容部15に内容物Mが充填されているフィルムパック1(図12参照)が、個々に切断された状態で成形型30に支持されている状態となる(図10(d)参照)。
【0056】
なお、本実施形態の製造方法は、一個ずつに切断されたフィルムパック1を、更に非可食性の包装体で包装する包装工程を具備している。以下、包装工程について図11を用いて簡単に説明する。包装工程は、第一包装体71に凹状部75を成形する加圧成形工程と、凹状部75内にフィルムパック1を一個ずつ供給するフィルムパック供給工程と、凹状部75内にフィルムパック1が収容された状態で第一包装体71に第二包装体72を圧着する包装体圧着工程とを具備している。
【0057】
より具体的には、加圧成形工程では、PETなどのプラスチックシートを第一包装体71として用い、一対の凹状成形型61及び凸状成形型62で第一包装体71を挟み込み、加熱しながら加圧成形する。これにより、凹状成形型61及び凸状成形型62に沿う形状の凹状部75が第一包装体71に形成される。その後、フィルムパック供給工程で、切断工程を経てシール部16で切断されたフィルムパック1を支持している成形型30上から、ロボット装置などのフィルムパック供給装置64を用いて、第一包装体71の凹状部75内にフィルムパック1を一個ずつ移しかえる。
【0058】
次に、包装体圧着工程で、アルミニウム箔やガスバリア性の高い透明フィルムなどを第二包装体72として用い、凹状部75内にフィルムパック1を収容した第一包装体71を被覆する。そして、底面が平面となった押圧型66を加熱しながら、第二包装体72の上から凹状成形型61に向けて押圧する。これにより、凹状部75を除く部分で第一包装体71と第二包装体72がヒートシールされ、フィルムパック1が第一包装体71及び第二包装体72によって包装された包装シートが形成される。あるいは、押圧型66の底面に、凹状部75の周縁部の形状と一致する環状の凸部(例えば、1mm〜5mm幅)を設けることにより、凹状部75の周縁部のみで第一包装体71及び第二包装体72をヒートシールしても良い。
【0059】
このような包装を行うことにより、フィルムパック1の保存性が高まり、長期にわたって衛生的に保存することができる。そして、アルミニウム箔などの第二包装体72を第一包装体71から剥がすことにより、凹状部75からフィルムパック1を一個ずつ取り出すことができる。なお、凹状部75の外周縁に沿って第二包装体72にミシン目を設けておけば、隣接する凹状部75を被覆する第二包装体72を余計に剥離してしまうことなく、一つの凹状部75からフィルムパック1を一個ずつ取り出すことができ、好適である。また、包装シートは適宜の大きさに切断し、更に紙箱などのパッケージで包装することができる。
【0060】
以上のように、本実施形態の製造方法によれば、貫通する孔部32が設けられた凹部31を備える成形型30に第一フィルム10を吸着させることにより、第一フィルム10に凹部31に沿う形状の収容部15を形成することができるため、フィルムパック1への内容物Mの充填を容易に行うことができる。加えて、成形工程の際に成形型30を加熱しているため、第一フィルム10におけるシワの発生を抑制して収容部15を形成することができる。
【0061】
加えて、成形工程では、成形型30の上面と押圧体35の底面との間に第一フィルム10を挟んだ状態で、凹部31に第一フィルム10を吸着させているため、凹部31に沿う凹状に形成される収容部15の周縁部15bにシワが発生しにくい。そのため、その後の圧着工程で第一フィルム10と第二フィルム20との密着性が高いものとなり、第一フィルム10と第二フィルム20を十分に熱圧着することができる。
【0062】
また、本実施形態では圧着工程が一次圧着工程と二次圧着工程からなり、二次圧着工程に先立ち、可食性のフィルムが大きく熱収縮しない程度の低温で一次圧着工程を行うため、シワの発生がより抑制されている。加えて、本実施形態では二次圧着工程も複数行っているため、熱圧着する総時間を長くし、十分に熱圧着することができる。
【0063】
また、一次圧着工程では、円柱状のローラー41を用いて熱圧着しており、しかもローラー41の転動に伴い第二フィルム20を第一フィルム10の上に被せることにより、ローラー41の進行方向に空気を逃がしながら両フィルムを圧着している。これにより、内容物Mの飛散などを有効に抑制することができる。
【0064】
更に、本実施形態では、製造ライン上を成形型30が間欠的に移動する構成、すなわち、成形型30が所定時間は静止している状態で各工程が行われる構成であるため、製造ライン上を連続的に移動する場合に比べて、諸装置間の位置関係の制御が容易である。そのため、内容物供給工程における位置決め精度や切断工程における寸法精度が高いものとなる。
【0065】
また、成形型30を全工程を通して使用することにより、簡易な構成で製造ラインを構築することができる。加えて、成形型30が備える孔部32を他の工程でも有効に利用することができる。すなわち、冷却工程では孔部32から冷却用の気体を供給して効率的に冷却し、剥離工程及び切断工程では孔部32を介して吸引することにより、第一フィルム及び第二フィルムを安定的に支持することができる。
【0066】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0067】
例えば、上記の実施形態では、第二フィルム20がベースフィルム21に支持された状態で一次圧着工程及び二次圧着工程を行う場合を例示したが、これに限定されず、一次圧着工程に先立って第二フィルム20からベースフィルム21を剥離する剥離工程を行うこともできる。
【0068】
また、圧着工程として、一次圧着工程と二次圧着工程を備える場合を例示したが、これに限定されず、圧着工程は一回のみ行われるものであっても良い。例えば、図5(b)に示すように、成形型30bにおいて凹部31の周縁部にヒーター30hを設置し、ここに大電流を流してヒーターを発熱させながら、ローラー41bを第二フィルム20上で転動させることにより、インパルス式の熱圧着を行うことができる。インパルス式は瞬間的かつ局部的に高温にできるため、可食フィルムが溶着しやすく、熱板式に比べて圧着するための圧力が小さくても済む利点がある。また、押圧型の全体を加熱する熱板式に比べて、発熱させる構成(ヒーター)が部分的でり、ヒータを発熱させるための通電時間が短いため、電力消費が少なくて済むという利点も有する。
【0069】
また、上記では、第二の二次圧着工程として、熱板式の熱圧着工程とインパルス式の熱圧着工程が続いて行われる場合を例示したが、これに限定されない。例えば、二次圧着工程として、熱板式の熱圧着工程を複数行うこととし、後に行われる工程ほど加熱温度が高温となるように設定することができる。具体的には、温度t1で行われる第一の二次圧着工程と、温度t2で行われる第二の二次圧着工程と、温度t3で行われる第三の二次圧着工程と、温度t4で行われる第四の二次圧着工程を備えることとし、t1=約180℃<t2=約200℃<t3=約220℃<t4=約250℃とすることができる。このように、後に行われる工程ほど高温となるように徐々に温度を高くすることにより、熱収縮によるシワの発生を効果的に抑制しつつ、可食性のフィルム同士の溶着に必要な高温まで加熱温度を上昇させることができる。
【0070】
更に上記では、冷却工程として、二次圧着工程で用いたインパルス式の押圧型42bで第一フィルム10及び第二フィルム20を押圧したまま、冷却を行う場合を例示したが、これに限定されない。例えば、冷却工程の前の圧着工程が熱板式であった場合は、図7(b)に示すように、圧着工程で使用した押圧型42を冷却工程で使用することなく、冷却盤43を直接的に、ベースフィルム21、第二フィルム20及び第一フィルム10に押し当てる構成とすることができる。
【0071】
加えて、上記では成形型30が備える凹部31の断面形状が平面視で円形であり、これに対応して円形のフィルムパック1が製造される場合を例示したが、フィルムパックの形状はこれに限定されず、例えば、平面視で楕円形、四角形、六角形、八角形など種々の形状とすることができる。
【0072】
また、上記の製造方法は、経口摂取できる程度の小型のフィルムパックの製造を可能とするものであるが、製造対象のフィルムパックは必ずしも経口摂取用に限定されるものではない。例えば、内容物として、粉末ジュース、粉茶、粉末スープ、調味料を充填し、水や湯に投入して簡易に飲食できるフィルムパックを製造する製造方法として、本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 フィルムパック
10 第一フィルム
15 収容部
16 シール部
20 第二フィルム
30 成形型
31 凹部
32 孔部
35 押圧体
41,41b ローラー
M 内容物
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【特許文献1】特開2009−61108号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通する孔部が設けられた凹部を備える成形型の上に可食性の第一フィルムを供給し、押圧体により少なくとも前記凹部の周縁部に前記第一フィルムを押圧しながら、前記孔部を介して吸気することにより前記第一フィルムを前記成形型に吸着させ、前記凹部に沿う凹状の収容部を前記第一フィルムに形成する成形工程と、
前記収容部内に内容物を供給する内容物供給工程と、
前記第一フィルムを可食性の第二フィルムで被覆し、前記収容部を除く前記第一フィルムを前記第二フィルムと熱圧着する圧着工程と
を具備することを特徴とするフィルムパックの製造方法。
【請求項2】
前記圧着工程は、
前記第一フィルム及び前記第二フィルムの熱圧着が、円柱状のローラーを前記第二フィルム上で転動させることによって行われる工程を備え、前記第二フィルムは、前記ローラーの転動に伴い前記ローラーの進行方向に前記第一フィルムに徐々に被せられる
ことを特徴とする請求項1に記載のフィルムパックの製造方法。
【請求項3】
前記圧着工程は、複数回に分けて行われる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフィルムパックの製造方法。
【請求項4】
前記成形工程は、前記成形型を加熱しながら行われることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載のフィルムパックの製造方法。
【請求項5】
熱圧着された前記第一フィルム及び前記第二フィルムを冷却する冷却工程、及び、該冷却工程後に行われ前記第一フィルム及び前記第二フィルムが熱圧着されて形成されたシール部で切断する切断工程を更に具備し、
前記圧着工程、前記冷却工程、及び、前記切断工程は、前記成形型に前記第一フィルム及び前記第二フィルムを載置させた状態で行われ、
前記冷却工程は、前記孔部を介する気体の流通によって行われ、
前記切断工程は、前記孔部を介して吸気しながら行われる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載のフィルムパックの製造方法。
【請求項1】
貫通する孔部が設けられた凹部を備える成形型の上に可食性の第一フィルムを供給し、押圧体により少なくとも前記凹部の周縁部に前記第一フィルムを押圧しながら、前記孔部を介して吸気することにより前記第一フィルムを前記成形型に吸着させ、前記凹部に沿う凹状の収容部を前記第一フィルムに形成する成形工程と、
前記収容部内に内容物を供給する内容物供給工程と、
前記第一フィルムを可食性の第二フィルムで被覆し、前記収容部を除く前記第一フィルムを前記第二フィルムと熱圧着する圧着工程と
を具備することを特徴とするフィルムパックの製造方法。
【請求項2】
前記圧着工程は、
前記第一フィルム及び前記第二フィルムの熱圧着が、円柱状のローラーを前記第二フィルム上で転動させることによって行われる工程を備え、前記第二フィルムは、前記ローラーの転動に伴い前記ローラーの進行方向に前記第一フィルムに徐々に被せられる
ことを特徴とする請求項1に記載のフィルムパックの製造方法。
【請求項3】
前記圧着工程は、複数回に分けて行われる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフィルムパックの製造方法。
【請求項4】
前記成形工程は、前記成形型を加熱しながら行われることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載のフィルムパックの製造方法。
【請求項5】
熱圧着された前記第一フィルム及び前記第二フィルムを冷却する冷却工程、及び、該冷却工程後に行われ前記第一フィルム及び前記第二フィルムが熱圧着されて形成されたシール部で切断する切断工程を更に具備し、
前記圧着工程、前記冷却工程、及び、前記切断工程は、前記成形型に前記第一フィルム及び前記第二フィルムを載置させた状態で行われ、
前記冷却工程は、前記孔部を介する気体の流通によって行われ、
前記切断工程は、前記孔部を介して吸気しながら行われる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載のフィルムパックの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−51958(P2011−51958A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204629(P2009−204629)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(591091043)株式会社ツキオカ (38)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(591091043)株式会社ツキオカ (38)
【Fターム(参考)】
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