説明

フィルム用途に用いられるスチレンブタジエンブロック共重合体

複数のモノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックを含むモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体を開示する。各混合ブロックは、約0.05〜約0.33の重量比で、共役ジエン単位およびモノビニルアレーン単位を含む。また、以下を含む組成物を開示する:(a)約50重量部〜約95重量部のモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体と、(b)約5重量部〜約50重量部のポリスチレン(モノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体とポリスチレンとの合計は100重量部である)。さらに、物体または一群の物体を収縮包装にする方法を開示する。当該方法は、上記組成物を含むフィルムを用いて、物体または一群の物体を包装して、包装された物体または一群の物体を得るステップと、少なくとも第1の方向にフィルムを収縮させるのに十分な温度および時間で、上記包装された物体または一群の物体を加熱して、収縮包装にされた物体または一群の物体を得るステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、全般に、ブロック共重合体の分野に関する。より詳細には、シュリンクフィルム用途において、とくにポリスチレンとの混合型のそれにおいて有用なモノビニルアレーン−共役ジエン共重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばK−Resin(登録商標)などの、モノビニルアレーン−共役ジエン共重合体(例えばブタジエンスチレン共重合体)から形成される物品(Chevron Phillips Chemical Company LP,The Woodlands,TX)は通常、多目的ポリスチレンから形成される物品と比較し、優れた物理的性質を有する。しかしながら、熱収縮性能が鍵となる物品の場合、新規なモノビニルアレーン−共役ジエン共重合体は、この増大するマーケットから要求されるような収縮性能を提供できることが求められる。例えば、典型的なモノビニルアレーン−共役ジエン共重合体はガラス転移温度(T)を有し、それは収縮性能を左右する主要な要因である(典型的には約95℃〜約108℃の範囲)。しかしこの比較的高いTは、比較的高い収縮開始温度が必要となるため、市場において好まれていない。
【0003】
さらに、ポリスチレンは通常、フィルム剛性の強化および経費削減などの様々な理由から、モノビニルアレーン−共役ジエン共重合体と混合されて用いられる。ポリスチレンとモノビニルアレーン−共役ジエン共重合体とのブレンドから形成される物品はまた、熱収縮性能が重要である用途にも使用できる。
【0004】
発明の概要
したがって、より低いTおよび改良された熱収縮性能を有するモノビニルアレーン−ブタジエン共重合体(それ単独、またはポリスチレンとのブレンド)を有することは好ましい。
【0005】
本発明の一態様は、複数のモノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックを含むモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体に関する。詳細には、各混合ブロックは、約0.05〜約0.33の重量比で、共役ジエン単位およびモノビニルアレーン単位を含む。
【0006】
本発明の他の態様は、(a)約50重量部〜約95重量部の複数のモノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックを含むモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体であって、各混合ブロックが、約0.05〜約0.33の重量比で共役ジエン単位およびモノビニルアレーン単位を含む、前記共重合体と、(b)約5〜約50重量部のポリスチレンと、を含む組成物であって、前記モノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体および前記ポリスチレンが合計100重量部である、前記組成物の提供に関する。
【0007】
本発明の別の態様は、上記組成物を含むフィルムを用いて物体または一群の物体を包装することによって、当該物質または当該一群の物質を収縮包装し、包装された物体または一群の物体を得るステップと、上記包装された物質または上記一群の物質を、少なくとも第1の方向へフィルムを縮小させるのに十分な温度および時間で加熱し、収縮包装された物体または一群の物体を得るステップと、を有する方法の提供に関する。
【0008】
上記共重合体および組成物は、シュリンクフィルムの生産に使用できる。
【0009】
態様の説明
本発明の一態様では、複数のモノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックを含むモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体の提供に関する。詳細には、各混合ブロックは、約0.05〜約0.33の重量比で、共役ジエン単位およびモノビニルアレーン単位を含む。上記重量比は、共役ジエン単位のphm(重合の間に用いられる、全ての共役ジエンおよびモノビニルアレーンモノマー100重量部に対する、モノマーの重量部)を、モノビニルアレーン単位のphmで除算した値として定義される。本明細書において表されるモノマーおよびモノマー単位の量は通常、重合の間に用いられるモノビニルアレーンモノマーおよび共役ジエンモノマーの合計重量に基づく、モノマー100重量部あたりの重量部(phm)である。
【0010】
共役ジエン/モノビニルアレーンブロック共重合体を調製するための基本的な開始材料および重合条件は、米国特許第4091053号、第4584346号、第4704434号、第4704435号、第5227419号、第5545690号および第6096828号に開示されており、それらの全開示を、本明細書において明記されているものとして本明細書に組み入れる。
【0011】
本明細書で用いられる「共役ジエン」とは、共役炭素−炭素二重結合、および合計4〜12個の炭素原子(例えば4〜8個の炭素原子)を含む有機化合物を指す。典型的な共役ジエンとしては、限定されないが、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエンおよびそれらの混合物が挙げられる。一態様では、上記共役ジエンは1,3−ブタジエンまたはイソプレンであってもよい。更なる態様では、上記共役ジエンは1,3−ブタジエンであってもよい。ポリマー単位(当該単位が共役ジエンモノマーの重合に由来する)は、「共役ジエン単位」である。
【0012】
本明細書で用いられる「モノビニルアレーン」とは、単一の炭素−炭素二重結合、少なくとも1つの芳香族部分、および合計8〜18個の炭素原子(例えば8〜12の炭素原子)を含む有機化合物を指す。典型的なモノビニルアレーンとしては、限定されないが、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、4−n−プロピルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−デシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(4−フェニル−n−ブチル)スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレンおよびそれらの混合物が挙げられる。一態様では、上記モノビニルアレーンはスチレンである。ポリマー単位(当該単位がモノビニルアレーンモノマーの重合に由来する)は、「モノビニルアレーン単位」である。
【0013】
本発明のポリマーにおいては、モノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックは、共役ジエン単位およびモノビニルアレーン単位を含む。モノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックは、ランダム状でもよく、テーパード状でもよい。上記混合ブロックは、以下の両方を満たす場合に、「テーパード」である:
(a) 上記ブロックの第1セクションの共役ジエン単位のモル分率が、上記ブロックの第2セクションの共役ジエン単位よりも高いモル分率であって、ブロックの第2セクションが、ブロックの所定の端により近いことと、
(b) 条件(a)が上記ブロック中の全てのセクションにおいて満たされること(対象となるセクションのサイズに応じて、条件(a)は全てのセクションにおいて満たされない場合もあるが、その場合であっても、偶然に予想される程度のレベルに留まるものである)。
【0014】
一態様では、各混合ブロックは、約0.06〜約0.28の重量比で共役ジエン単位およびモノビニルアレーン単位を含む。他の態様では、各混合ブロックは、約0.08〜約0.26の重量比で共役ジエン単位およびモノビニルアレーン単位を含む。他の態様では、各混合ブロックは、約0.05〜約0.09の重量比で共役ジエン単位およびモノビニルアレーン単位を含む。理論に拘束されないが、各混合ブロックに、所定の重量比で、共役ジエン単位およびモノビニルアレーン単位を含ませることにより、約100℃以下のガラス転移温度を有するモノビニルアレーン−共役ジエン共重合体が得られると考えられ、それにより、熱収縮性が要求される用途への使用に適するものとなる。
【0015】
一態様では、モノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体は、少なくとも3つのモノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックを含む。更なる態様では、モノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体は、4または5つのモノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックを含む。
【0016】
一態様では、モノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体は、連続する4つのモノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックを含む。更なる態様では、モノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体は、連続する5つのモノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックを含む。
【0017】
上記の複数の混合ブロックに加えて、上記モノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体はさらに、モノビニルアレーン単位のブロック、共役ジエン単位、モノビニルアレーン−共役ジエン(ランダム添加)、モノビニルアレーン−共役ジエン(逐次添加)、約0.33の共役ジエン/モノビニルアレーン重量比より多く、共役ジエン単位を含む混合モノビニルアレーン−共役ジエン、および他のモノマーを含んでいてもよく、それらは共重合体ブロックに単独で含まれてもよく、または、モノビニルアレーン単位、共役ジエン単位またはそれらの両方との組み合わせで含まれてもよい。
【0018】
一態様では、上記モノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体はさらに、近位側共役ジエンブロックを含む。本明細書における「近位側」とは、ブロック共重合体の開始末端(initial end)よりも停止末端(terminal end)に近い位置のことを指す。一態様では、上記近位側共役ジエンブロックは、モノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体中において、モノビニルアレーン単位および共役ジエン単位の総量に対して、約5phmの共役ジエン単位〜約50phmの共役ジエン単位を含む。他の態様では、上記近位側共役ジエンブロックは、約10phmの共役ジエン単位〜約35phmの共役ジエン単位を含む。更なる態様では、上記近位側共役ジエンブロックは、約11phmの共役ジエン単位〜約25phmの共役ジエン単位を含む。理論に拘束されないが、所定量の共役ジエン単位を含む近位側共役ジエンブロックを有することにより、モノビニルアレーン−共役ジエン共重合体およびそれらの混合物に対して、衝撃抵抗性が付与されるものと考えられる。
【0019】
他の態様では、モノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体はさらに、遠位側モノビニルアレーンブロックを含む。本明細書における「遠位側」とは、ブロック共重合体の停止末端(terminal end)よりも開始末端(initial end)に近い位置のことを指す。一態様では、上記遠位側モノビニルアレーンブロックは、モノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体中において、モノビニルアレーン単位および共役ジエン単位の総量に対して、約10phmのモノビニルアレーン単位〜約40phmのモノビニルアレーン単位を含む。更なる態様では、上記遠位側モノビニルアレーンブロックは、約15phmのモノビニルアレーン単位〜約35phmのモノビニルアレーン単位を含む。
【0020】
一態様では、上記モノビニルアレーン−共役ジエン共重合体は、スチレンブロックおよびブタジエンブロック(「スチレン−ブタジエンブロック共重合体」)を含むブロック共重合体である。典型的なブタジエンスチレン共重合体は、商品名K−Resin(登録商標)(Chevron Phillips Chemical社、LP、Woodlands、TX)として市販されているものである。
【0021】
モノビニルアレーン−共役ジエン共重合体は、任意の割合で、モノビニルアレーン単位および共役ジエン単位を有してもよい。一態様では、モノビニルアレーン−共役ジエン共重合体は、約50重量%:50重量%=モノビニルアレーン単位:共役ジエン単位、から、約90重量%:10重量%=モノビニルアレーン単位:共役ジエン単位の含有比率である。一態様では、モノビニルアレーン−共役ジエン共重合体は、約65重量%:35重量%=モノビニルアレーン単位:共役ジエン単位、から、約85重量%:15重量%=モノビニルアレーン単位:共役ジエン単位、の含有比率である。
【0022】
モノビニルアレーン−共役ジエン共重合体は、モノビニルアレーン−共役ジエン共重合体へ導入できる、公知の他のモノマーをさらに含んでいてもよい。
【0023】
通常、各ブロックは、モノマーまたはモノマーの混合物を重合させることにより形成され、それにより所望のブロックが得られる。重合プロセスでは通常、ブロックの違いにより工程パラメータを変化させることは行わないが、当業者であれば、本発明の開示に基づき、ルーチン的な試験に基づき、ブロックの違いにより工程パラメータを若干変化させることができる。重合プロセスに関する以下の説明は通常、本発明に係るポリマー中の全ての種類のブロックの形成に応用できるが、本発明のポリマー中の1つ以上のタイプのブロックを形成する際、説明中に含まれる数値を多少増減させてもよい。
【0024】
重合プロセスは、炭化水素希釈剤中で、約−100℃〜約150℃(例えば約0℃〜約150℃)の任意の適切な温度で、反応混合物を実質的に液相状態に維持するのに十分な圧力において実施することができる。一態様では、上記炭化水素希釈剤は、直鎖状もしくは環状のパラフィンまたはそれらの混合物であってもよい。典型的な上記直鎖状もしくは環状のパラフィンとしては、限定されないが、ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサンおよびそれらの混合物が挙げられる。一態様では、上記パラフィンはシクロヘキサンである。
【0025】
上記重合プロセスは、例えば不活性ガス雰囲気下のように、酸素および水の実質的な非存在下で実施できる。
【0026】
上記重合プロセスは、開始剤の存在下で実施できる。一態様では、上記開始剤は、開始剤としての用途が公知の、いかなる有機モノアルカリ金属化合物であってもよい。更なる態様では、上記開始剤は、式RMで表すことができる。式中、Rはアルキル基、シクロアルキル基または4〜8個の炭素原子を含むアリール基であり(例えばn−ブチル基であり)、Mはアルカリ金属(例えばリチウム)である。特定の態様では、上記開始剤はn−ブチルリチウムである。
【0027】
使用される開始剤の量は所望のポリマーまたはブロック分子量に依存し、それは従来技術において周知で、供給物流中の毒物含量の許容量を考慮しつつ、容易に決定できる。
【0028】
開始剤は、重合プロセスにおいて1回、または2回以上添加できる。複数の回数で開始剤を重合プロセスに添加するとき、特定の開始剤化合物を1回、数回、または全ての回において添加してもよい。後述するように、重合プロセスに複数の回数で開始剤を添加することにより、最終的なポリマーの様相(modality)が改変されうる。
【0029】
重合プロセスでは、さらにランダム化剤を使用してもよい。一態様では、ランダム化剤は、極性有機化合物(例えばエーテル、チオエーテルまたは第三級アミン)であってもよい。他の態様では、ランダム化剤は、アルコールのカリウム塩またはナトリウム塩であってもよい。上記ランダム化剤を炭化水素希釈剤中に含有させることにより、開始剤の効果が改良され、添加された混合モノマー中のモノビニルアレーンモノマーの少なくとも一部がランダム化され、添加された混合モノマー中における混合が改変されるか、または上記の2つ以上の結果が得られる。本発明のポリマーの混合モノビニルアレーン−共役ジエンブロックを形成するときに、ランダム化剤を添加することは、有用であると考えられる。典型的なランダム化剤としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n−オクチルエーテル、アニソール、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシプロパン、ジベンジルエーテル、ジフェニルエーテル、1,2−ジメトキシベンゼン、テトラメチレンオキシド(テトラヒドロフランまたはTHF)、tert−アミル酸カリウム(KTA)、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジ−n−プロピルスルフィド、ジ−n−ブチルスルフィド、メチルエチルスルフィド、ジメチルエチルアミン、トリ−n−エチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、N,N−ジ−メチルアニリン、N−メチル−N−エチルアニリン、N−メチルモルホリン、およびそれらの混合物。
【0030】
一態様では、上記ランダム化剤はテトラヒドロフランである。テトラヒドロフランを使用するとき、テトラヒドロフランは通常、約0.01phm〜約1.0phm、例えば約0.02phm〜約1.0phmの範囲の量で存在させる。
【0031】
他の態様では、上記ランダム化剤はtert−アミル酸カリウム(KTA)である。KTAを使用するとき、KTAは通常、約0.001phm〜約1.0phm、例えば約0.004phm〜約0.4phmの範囲の量で存在させる。
【0032】
ある特定のブロックを形成させるとき、各添加モノマーまたは添加モノマー混合物は、溶液重合条件下で重合させることができる。その際、各添加モノマーまたは添加モノマー混合物の重合による、当該ある特定のブロックの形成は、更なる添加を行う前には実質的に完了している。本明細書で用いられる「添加」とは、反応ゾーン(例えば反応容器の内部)に化合物を導入することを指す。
【0033】
理論に拘束されないが、開始剤を材料中に含ませる場合、ブロックは典型的にはde novoで形成されるか、または停止されていない、事前に形成されたブロックに対して添加することにより形成される。さらに、理論に拘束されないが、開始剤を材料中に含ませない場合、ブロックは典型的には、停止されていない、事前に形成されたブロックに対して添加することにより形成される。
【0034】
重合の完了後、カップリング剤を添加してもよい。好適なカップリング剤としては、限定されないが、ジ−またはマルチビニルアレーン化合物、ジ−またはマルチエポキシド、ジ−またはマルチアルコキシシラン、ジ−またはマルチイソシアネート、ジ−またはマルチイミン、ジ−またはマルチアルデヒド、ジ−またはマルチケトン、アルコキシスズ化合物、ジ−またはマルチハロゲン化物(例えばシリコンハロゲン化物およびハロシラン)、モノ−、ジ−またはマルチ無水物、ジ−またはマルチエステル(例えばポリカルボン酸とモノアルコールとのエステル)、ジカルボン酸と一価アルコールとのエステルによるジエステル、多価アルコール(例えばグリセロール)と一塩基酸とのエステルによるジエステル、ならびに、それらの化合物の2つ以上からなる混合物などが挙げられる。
【0035】
有用な多官能性カップリング剤としては、限定されないが、エポキシ化植物油(例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油)およびそれらの混合物などが挙げられる。一態様では、上記カップリング剤はエポキシ化大豆油である。エポキシ化植物油は、Arkema社(フィラデルフィア、PA)から、商標Vikoflex(登録商標)として市販されている。
【0036】
カップリングを実施する場合、カップリング剤を有効量で使用してもよい。一態様では、カップリング剤を、活性ポリマーアルカリ金属に対する化学量論量で添加することにより、カップリングを最大化させることができる。しかしながら、特定の生成物において、必要に応じて、化学量論的量より多いまたは少ない量で使用することにより、カップリング効率を上下させてもよい。
【0037】
カップリング反応の完了後、必要に応じて、重合反応混合物を、停止剤(例えば水、二酸化炭素、アルコール、フェノール、直鎖状飽和脂肪族モノ−ジカルボン酸、またはそれらの混合物)で処理することにより、アルカリ金属を上記ブロック共重合体からそれを除去し、または色をコントロールしてもよい。
【0038】
停止の後、必要に応じて、ポリマーセメント(重合溶媒中のポリマー)は、通常約10〜約40重量%の固体、あるいは20〜約35重量%の固体を含有する。上記ポリマーセメントを引火(flash)させて一部の溶媒を蒸発させ、さらに真空オーブン、脱揮押出機、ワイプドフィルム(wiped film)蒸発器または他の残留溶媒の除去方法を用いることにより、固体含量を約50〜約99重量%の濃度にまで増加させることができる。
【0039】
ブロック共重合体を回収し、さらに、例えばシート押出、キャストフィルム押出、インフレーション(blown film)または射出成形などにより、所望の形状に成形してもよい。ブロック共重合体は、添加剤(例えば酸化防止剤、抗ブロッキング剤、リリース剤、充填剤、増量剤および色素など)を含有してもよい。
【0040】
一態様では、モノビニルアレーン−共役ジエン共重合体はさらに、ゴム変性ポリスチレンを含む。典型的なゴム変性ポリスチレンは、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)である。ゴム変性ポリスチレンは、スチレンおよびゴムからなる任意のグラフト共重合体を含む組成物である。「グラフト共重合体」とは、不飽和ゴムの存在下でスチレンを重合させることによって調製されたポリスチレンのことを意味し、若干量のフリーラジカルがゴムと反応し、当該ゴムと共有結合したポリスチレン鎖が形成される。このプロセスの間、(ポリスチレンとグラフト化した)ゴムは、別々のドメインの形で、ポリスチレン全体にわたって分散する。一態様では、上記不飽和ゴムはポリブタジエンである。適切な耐衝撃性ポリスチレンは、商品番号EA8100として、Chevron Phillips Chemical社LP(Woodlands、TX)から市販されている。通常、さらにゴム変性ポリスチレンを含む組成物は、約0.1phmのゴム変性ポリスチレン〜約5phmのゴム変性ポリスチレン(例えば約2phmのゴム変性ポリスチレン)を含有してもよい。幾つかの態様では、上記ゴム変性ポリスチレンを、抗ブロッキング剤として用いてもよい。
【0041】
本発明においては、モノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体は単峰性(すなわち共重合体分子の集合が、分子量分布のヒストグラムにおいて1つのピークを示す)であってもよく、または、多峰性(すなわち共重合体分子の集合が、分子量分布のヒストグラムにおいて2つ以上のピークを示す)であってもよい。理論に拘束されないが、複数の回数で開始剤を添加することにより、異なる長さのポリマー鎖が得られ、それにより様々な分子量となりうる。さらに、理論に拘束されないが、カップリング剤の使用により、同じもしくは異なる長さの、様々な数の鎖のカップリングにより形成されたカップリング鎖が得られ、それによりカップリング鎖の分子量が様々になりうる。
【0042】
本発明においては、上記の通り、モノビニルアレーン−共役ジエン共重合体をカップリングしてもよく、またはしなくてもよい。
【0043】
特定の重合プロセスにおいて、典型的な開始剤、モノマーおよびモノマー混合物の添加順序としては、限定されないが、以下からなる群から選択される添加順序が挙げられる:
i−C−C−i−C−B−CA、i−C−C−C−i−C−C−B−CA、i−A−C−C−C−C−B−CA、i−A−i−C−C−C−C−B−CA、i−A−i−C−C−C−C−CA、i−A−i−C−C−C−C−C−B−CAおよびi−A−C−C−i−C−C−B−CA
(iは重合開始剤の添加であり、Aはモノビニルアレーンの添加であり、Bは共役ジエンの添加であり、Cはモノビニルアレーンおよび共役ジエンの添加であり、CAはカップリング剤である)。
更なる態様では、添加順序は、以下からなる群から選択される:
i−C−C−i−C−B−CA、i−C−C−C−i−C−C−B−CA、i−A−C−C−C−C−B−CA、i−A−i−C−C−C−C−B−CA、i−A−i−C−C−C−C−C−B−CAおよびi−A−C−C−i−C−C−B−CA。
【0044】
一態様では、共役ジエン−モノビニルアレーンブロック共重合体は、フィルム状またはシート状に加工されてもよい。押出加工されたシートは典型的には、約10milの厚を有してもよい。更なる態様では、シートは、約50℃〜約100℃の温度(例えば約90℃)で、少なくとも1つの方向に伸張された際、約0.5mil〜約3mil(例えば約2mil)の厚のフィルムとして形成されうる。この態様では、共役ジエン−モノビニルアレーンブロック共重合体から形成されるフィルムは、約100℃で、少なくとも1つの方向に少なくとも約40%の収縮を示してもよい。一態様では、共役ジエン−モノビニルアレーンブロック共重合体から形成されるフィルムは、100℃で、少なくとも1つの方向に少なくとも約60%の収縮、例えば100℃で少なくとも約70%、例えば100℃で約71%〜約76%の収縮を示してもよい。また、共役ジエン−モノビニルアレーンブロック共重合体から形成されるフィルムは、約10%未満のヘイズを示してもよい。一態様では、共役ジエン−モノビニルアレーンブロック共重合体から形成されるフィルムは、約6%未満のヘイズを示してもよい。また、共役ジエン−モノビニルアレーンブロック共重合体から形成されるフィルムは、7日後に約10%未満の自然収縮を示してもよい。一態様では、共役ジエン−モノビニルアレーンブロック共重合体から形成されるフィルムは、7日後に約7%未満の自然収縮を示してもよい。
【0045】
本発明の他の態様は、(a)約50重量部〜約95重量部の、複数のモノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックを含むモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体であって、各混合ブロックが約0.05〜約0.33の重量比で共役ジエンおよびモノビニルアレーンを含む前記共重合体と、(b)約5重量部〜約50重量部のポリスチレンとを含み、上記モノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体と上記ポリスチレンが、合計100重量部となる、組成物の提供に関する。
【0046】
上記ブロック共重合体は、上記の通りであってもよい。本発明の「ポリスチレン」または「PS」は、スチレン単位を含有するあらゆるホモポリマーのことを指すが、但し上記のHIPSは含まれない。適切なポリスチレンは、製品番号D4049、EA3400、EA3710、MC3200およびMC3600として、Chevron Phillips Chemical社LP(Woodlands、TX)から市販されている。
【0047】
一態様では、上記組成物は、約70重量部〜約95重量部のモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体と、約5重量部〜約30重量部のポリスチレンとを含む。
【0048】
一態様では、上記組成物は上記のゴム変性ポリスチレンをさらに含んでいてもよい。幾つかの態様では、ゴム変性ポリスチレンは、抗ブロッキング剤として使用してもよい。
【0049】
一態様では、上記組成物は、フィルム状またはシート状に加工されてもよい。押出加工されたシートは典型的には、約10milの厚を有してもよい。更なる態様では、シートは、約50℃〜約100℃の温度(例えば約90℃)で、少なくとも1つの方向に伸張された際、約0.5mil〜約3mil(例えば約2mil)の厚のフィルムとして形成されうる。本一態様では、上記組成物から形成されるフィルムは、約100℃で、少なくとも1つの方向に少なくとも約40%の収縮を示してもよい。また、上記組成物から形成されるフィルムは、約10%未満のヘイズを示してもよい。また、上記組成物から形成されるフィルムは、7日後に約5%未満の自然収縮を示してもよい。
【0050】
上記フィルムまたはシートは、単層押出および共押出などの、公知のいかなる技術によって調製してもよい。かかる技術としては、フィルム押出、インフレーション押出およびシート押出などが挙げられ、単層として押し出されても、または複数層としての同時押出されてもよい。通常、上記フィルムはフィルムキャストまたはシート押出によって調製できる。例えば、上記フィルムは、従来の押出技術(例えば共押出フィルムキャスト)を使用して調製できる。共押出形成においては、2つ以上のポリマーを同時に1つの型を用いて押出加工する。2台以上の押出機を用いて、同時に型にフィードする。この方法では、様々な溶融ポリマーが層流の状態で型に導入され、その際混合させないように処理するが、フィルムの層間インターフェースでは接着が生じる。
【0051】
フィルムキャスト押出プロセスにおいては、押出機からの溶融材料はキャスティングロール上のフラットな型の中を直接流動し、それにより溶融材料が冷却される。通常、フィルムキャストプロセスにより、約10mil以下の平均厚のフィルムが生産されるが、上記の方法を用いて、20mil超の厚のフィルムを生産することもできる。一態様では、最終的にドラムに巻き取る前に、フィルムに配向を導入してもよい。他の態様では、上記フィルムを圧延ロール上に巻き取り、フィルムを別々の配向プロセスラインに通すことによって、フィルムに配向を導入することができる。
【0052】
シート押出プロセスにおいては、押出機からの溶融材料をフラットな型に通してシートを形成し、さらにそれを冷却ロールのスタックを通過させる。冷却ロールのスタックは、典型的には少なくとも3本の冷却ロールからなる。典型的には、シートプロセスは、生産されるシートが約5mil〜約20milの間の厚を有するという点で、フィルムキャストプロセスとは異なる。この厚によって、得られるシートを横方向、ならびに押出方向に配向させることができる。
【0053】
インフレーションフィルム押出プロセスにおいては、型の上流における押出プロセスはキャスティングプロセスと同様であるが、型およびその下流においては異なる。インフレーションフィルムプロセスにおいては、型は環状(円形)であり、典型的にはポリマーは上方へ押し出される。これにより円筒形のチューブが調製され、それをさらに噛みロール間において上部を閉じ(潰し)、平坦にされたチューブを調製する。その後、フィルム状のチューブを、再加熱し、再度インフレーションさせ、横方向および押出方向に伸張して配向させる。次にこのチューブをカットし、さらに1つ以上のロールで巻き取る。これは通常ダブルバブルインフレーション法と称される。
【0054】
通常、フィルムは押出方向の配向を有する。それはポリマーが型から出る方向と平行な方向であり、横方向に対して垂直な方向である。
【0055】
シュリンクフィルムの調製には、当該技術分野で公知の技術による、ポリマー膜への配向の導入が必要である。いかなる特定の理論にも拘束されないが、配向プロセスにおいてフィルムに応力が導入され、さらにフィルムが後で加熱されるときに、収縮としてそれが回復するものと一般には考えられている。配向は、最初のフィルムまたはシート製造の直後(すなわちインライン)において、または後日に実施する別の1つ以上の後処理(すなわちオフライン)として、1ステップまたは連続ステップにおいて導入することができる。上記の配向は、少なくとも1つの方向で導入できる。配向を導入する1つの方法としては、テンター枠(tentering frame)の使用が挙げられ、それは通常、横方向への配向導入(しばしばTDO装置と呼ばれる)に用いられる。この工程は、テンター枠を使用して、フィルムの端を固定するチェーンに設けられた一連のクリップを使用して、横方向にフィルムを引っ張ることによって行う。フィルムを長時間オーブン内で加熱したときに、チェーン上のクリップは、それぞれのチェーンガイドに乗っているチェーンの存在により、横方向にフィルムを引っ張る。代替的な配向導入方法は、一連の温度制御されたロールの使用であり、それは通常、押出方向への配向導入に用いる(通常MDO装置と称される)。上記の一連のロールの使用では、これらのローラーのうちの、異なる速度で回転する1つ以上の中間部のペアを用いることにより、配向が導入される。上記のフィルムは、上記のローラーペア間のギャップ中を縦方向に伸張する。幾つかの例では、両方の方向に配向を導入することが望ましい場合もある。両方の技術を組み合わせて用いることにより、押出方向および横方向に配向したフィルムを生産することができる。フィルムキャスト押出またはシート押出技術による配向フィルムの生産(TDO装置および任意にMDO装置を使用する)は通常、キャストおよびテンタープロセスと称される。
【0056】
他の態様では、本発明に係るシュリンクラベルは、(a)約50重量部〜約95重量部の、複数のモノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックを含むモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体であって、各混合ブロックが、約0.05〜約0.33の重量比で共役ジエン単位およびモノビニルアレーン単位を含む、前記共重合体と、(b)任意に約5重量部〜約50の重量部のポリスチレンとを含有するフィルムから形成され、その際、上記モノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体と上記ポリスチレンの合計が100重量部であり、それを用いることにより、シュリンクラベルが得られる。
【0057】
シュリンクラベルは、以下の長さ、幅および厚を有するシュリンクフィルムである:長さおよび幅は各々、厚より少なくとも1桁大きい。また、長さまたは幅のうちの少なくとも1つが、熱への曝露により減少する。用語「シュリンクラベル」には、熱曝露および長さまたは幅の減少の前、間または後のかかるフィルム部分が包含される。熱曝露の前のシュリンクラベルは「未収縮シュリンクラベル」と称されることもあり、上記の定義によるシュリンクラベルに包含される。シュリンクラベルの長さおよび幅はとくに限定されず、また厚は、例えば約0.1mil〜約10milのいかなる適当な厚であってもよい。
【0058】
シュリンクラベルは、円筒状の構造を有してもよい。シュリンクラベルが円筒状の構造を有するとき、それはシュリンクスリーブと称される。
【0059】
シュリンクラベルはいかなるジオメトリ(サイズ、形状、側面の数、半径等)であってもよく、それらは本発明の属する技術分野の当業者がルーチン試験により適宜決定できる事項である。
【0060】
一般に、TDにおいて配向を導入されるシュリンクラベルは、「スリーブ(sleeve)ラベル」と称される。一態様では、スリーブラベルは、MD方向に印刷し、カットすることができる。さらに溶剤接着を利用して、TDと平行して縫い目を形成させ、スリーブを形成することができる。スリーブを容器の上部から配置し、さらに容器の円周方向に、フィルムのTD方向を向けることができる。スリーブラベルの材料を適宜選択し、望ましい収縮の程度とすることができる。
【0061】
一般に、MDにおいて配向を導入されるシュリンクラベルは、「ロールフェッド(roll fed)」ラベルと称される。ロールフェッドラベルは、ロールからラベリング装置に対して、縦方向に供給される。ラベリング装置は、容器の周囲をロールフェッドラベルで覆い、当該ロールフェッドラベルをカットし、当該ロールフェッドラベルを溶媒接着し、それにより、当該フィルムのMD方向が、当該容器の円周方向を向く。
【0062】
本発明の別の態様は、物体または一群の物体の収縮包装方法の提供に関し、当該方法は、(a)約50重量部〜約95重量部の、複数のモノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックを含むモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体であって、各混合ブロックが約0.05〜約0.33の重量比で共役ジエンおよびモノビニルアレーンを含む前記共重合体と、(b)任意に、約5重量部〜約50重量部のポリスチレンとを含み、モノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体とポリスチレンとの合計が100重量部である、フィルムを用いて、物体または一群の物体を包装して、包装された物体または一群の物体を得るステップと、少なくとも第1の方向にフィルムを収縮させるのに十分な温度および時間で、前記包装された物体または一群の物体を加熱し、収縮包装にされた物体または一群の物体を得るステップとを有する。
【0063】
上記のフィルムは、上記の通りのものであってもよい。一態様では、上記フィルムは、第2の方向よりも、第1の方向において高い収縮度を示す。1つの方向へ配向される場合、第1の方向は縦方向または横方向のいずれであってもよい。第2の方向は、それ以外の縦方向または横方向である。
【0064】
他の態様では、上記フィルムは、第1の方向と第2の方向において、実質的に同様の収縮を示す(本態様における「実質的に同様の収縮」とは、第1の方向の収縮の、第2の方向の収縮に対する比率が、約0.5〜約2であることを意味する)。
【0065】
包装しようとするいかなる物体または一群の物体も、この方法において使用できる。一態様では、上記物体または一群の物体は、一群のボトル、缶または他の物質であり、任意にトレイ中に含ませてもよい。
【0066】
包装ステップにおいては、上記のフィルムを、物体または一群の物体の周囲に、適切な方法により配置することができる。例えば、物体または一群の物体が立方形である場合、上記フィルムを、少なくとも2対の平行側(例えば2または3対の平行側)が接触するように、当該物体または一群の物体の周囲に配置することができる。配置する方向は、当該物体、フィルムの構造、および収縮包装にされる物体または一群の物体の所望の構造に応じて、本発明に関連する技術分野の当業者が適宜選択することができる。
【0067】
包装ステップにより、包装された物体または一群の物体が得られる。
【0068】
包装の後、包装された物体または一群の物体を、フィルムを収縮させるのに十分な温度および時間で、加熱することができる。上記の温度および時間は、本発明に関連する技術分野の当業者が、ルーチン試験により適宜決定することができる。収縮は典型的には、上記フィルムが少なくとも第1の方向に(また上記フィルムが第2の方向に同様に収縮する場合には、第2の方向にも)収縮して、上記物体または一群の物体に接触するまで進行する。
【0069】
以下の例において、本発明の好ましい態様を示す。当業者であれば、発明者により見出された、以下の例において開示される技術が、本発明の実施において好適に機能することを認識し、ゆえに、その好適な実施態様を構成するものと認識するであろう。しかしながら、当業者であれば、本発明の開示を踏まえ、開示された特定の態様において多くの改変を行い、さらに本発明の技術思想および技術的範囲から逸脱することなく、同様の結果を得ることができることを認識するはずである。
【0070】

材料:
シクロヘキサンを活性アルミナを用いて乾燥させ、窒素雰囲気下で保存した。n−ブチルリチウム開始剤(“Li”)をシクロヘキサン中に約15重量%となるように添加し、約2重量%となるまでシクロヘキサンで希釈した。窒素雰囲気下で、活性アルミナを用いてテトラヒドロフラン(THF)を保存した。活性アルミナを用いて、スチレンおよびブタジエンを精製した。エポキシ化大豆油をそのまま用いた。試薬の量は通常、使用するモノビニルアレーンおよび共役ジエンの合計量に基づく、モノマー100重量部あたりの重量部(phm)として示した。
【0071】
例1
ポリマーの製法 A−X
2ガロンのステンレス鋼製反応器中で重合反応を実施した。上記反応器に、温度調節用のジャケット、2つの螺旋錐型インペラおよびバッフルを装備した。全体として、モノマーまたはモノマー混合物を重合させて各ブロックを形成し、所望のブロック単位を得た。
【0072】
最初にシクロヘキサンを反応器に添加し、さらにTHF(0.10のPHM)を添加した。温度を〜約60℃に調整し、開始剤を添加し、次いで第1のモノマーを添加した。重合完了後、第1の重合ブロックのサンプルを、窒素を散布しながらイソプロパノール中で凝固させ、濾過し、乾燥させ、ゲル浸透クロマトグラフィにより分析した。モノマーの経時的な添加、および/または必要に応じて開始剤を添加しながら、重合反応を継続させた。カップリング剤を添加し、約100℃で約15分間反応させた。溶媒蒸発によりポリマーを回収し、一軸スクリュー押出機でペレット状にした。
【0073】
ポリマーの製法 Y−OO
窒素雰囲気下での経時的な溶液重合により、スチレン/ブタジエン混合ブロック共重合体Y−OOを調製した。撹拌しながら、内部冷却コイルを有する100ガロンの炭素鋼製反応器中で、実質的に無水の反応物質および無水条件において、重合反応を行った。
【0074】
最初にシクロヘキサンを反応器に添加し、次にTHFを添加した。温度を〜約60℃に調整し、開始剤を添加し、さらに第1の添加を行った。各添加後に、ラインを約0.5kgのシクロヘキサンでフラッシュした洗浄した。各モノマーまたはモノマー混合物の添加後、重合反応が完了するまで反応を継続させた。重合温度は約38℃〜約120℃の範囲で変動し、圧力は約2psig〜約60psigの範囲で変動した。総モノマー重量は約90kgであった。連続的な重合反応の完了後、カップリング剤を反応器に添加した。カップリング剤を用いて、約100℃で約15分間反応させた。カップリング反応の完了後、COおよび約0.2phmの水を添加して反応を停止させた。
【0075】
添加順序および各ポリマーの部分的な評価を表1に示す。添加した材料の量は、全てphmで示す。空白セルは、材料を添加しなかったか、または値が測定できなかったことを示す。表中の略語は、以下の通りである。THF:テトラヒドロフラン、i:n−ブチルリチウム開始剤、S:スチレン、B:ブタジエン、CA:カップリング剤(Vikoflex 7170、エポキシ化大豆油、Arkema社。)。
【0076】
【表1】

【0077】
【表2】

【0078】
例2
A) シュリンク膜 A−S
表2におけるペレット状の生成物を、KillionシートラインにフィットさせたDavis Standard 150S押出機を用いて、約8インチ幅および約10milの厚のシートとして押出加工した。約10milのシートサンプルから、約12cm×約12cmのプラークをダイカットし、フィルムサンプルとして用いた。Brueckner Maschinenbau製の2軸配向装置を使用して、フィルムを、5:1で伸張させるのに必要最低限の温度で、押出方向に対して直角な方向に、一軸的に伸張させた。この温度を、表2において「伸張T」と記したカラムに示す。シートサンプルを、約3cm/秒の一定の速度で伸張させた。
【0079】
B) シュリンク膜 Y−KK:
表2における、ペレット状の生成物を、Killion押出機を用いて、約10インチ幅および約10milの厚のシートとして押出加工した。圧延ロールのシートを次に、Marshall&Williams Plastics製のテンタフレームにフィードし、5:1で伸張させるのに必要最低限の温度で、押出方向に対して直角な方向に、一軸的に伸張させた。
【0080】
シュリンクフィルムの代表的な物理的性質を表2に示す。表中、ヘイズ、所定温度(℃)における横方向(TD)収縮、所定温度(℃)における縦方向(MD)収縮、および自然収縮も示す。空白セルは、数値が測定されなかったことを示す。熱収縮は、所定温度の油浴中に約30秒間、配向フィルムを浸漬し、その後における熱収縮を算出することにより測定した。自然収縮は、所定の日数にわたり、約40℃に設定したオーブン中に配向フィルムを配置することにより測定した。ヘイズは、BYK−Gardner USA(コロンビア、MD)Haze−Gard(登録商標)Plus計測器を使用して、%ヘイズとして測定した。この計測器の取扱説明書に従い、測定を実施した。
【0081】
【表3】

【0082】
例3
ポリマーおよびポリスチレンを含むシュリンクフィルム:
ポリマーI−OOを、約0重量%または約20重量%ポリスチレン、ならびに、抗ブロッキング剤として、0重量%または約2重量%の耐衝撃ポリスチレン(HIPS)と混合し、シュリンクフィルム(約2mil名目厚)を調製した。使用したポリスチレンはEA3710であり、使用したHIPSはEA8100(両方ともChevron Phillips Chemical社LP、Woodlands、TXから購入)であった。例2Aに記載の非ブレンド樹脂において使用したのと同じ方法を使用して、シュリンクフィルムI−Xを調製し、試験した。例2Bに記載の非ブレンド樹脂において使用したのと同じ方法を使用して、シュリンクフィルムDD−OOを調製し、試験した。
【0083】
表3
【表4】

【0084】
本明細書において開示され、特許請求される全ての組成物は、本明細書の開示を基に、過度の実験を要さずに調製することができる。本発明の組成物および方法の好ましい態様に関して記載したが、本発明の技術的概念、思想および範囲から逸脱することなく、種々の改変を、本明細書に記載されている組成物に適用してよいことは、当業者にとって明らかであろう。より具体的には、化学的に関連する特定の物質によって本明細書に記載されている物質を置換することにより、同一であるかまたは同じ結果が得られることは明らかであろう。当業者に明らかな、かかる置換および改変がなされたすべての同様なものは、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の技術思想、範囲および概念に包含されるものとみなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体:
約5phmの共役ジエン単位〜約50phmの共役ジエン単位を含む、近位側の共役ジエンブロック、および
複数のモノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックであって、各モノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックは、共役ジエン単位およびモノビニルアレーン単位を含み、該モノビニルアレーン単位に対する該共役ジエン単位の重量比は約0.05〜約0.33である、複数のモノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロック。
【請求項2】
各混合ブロック内のモノビニルアレーン単位に対する共役ジエン単位の重量比が、約0.06〜約0.28である、請求項1に記載のモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体。
【請求項3】
各混合ブロック内のモノビニルアレーン単位に対する共役ジエン単位の重量比が、約0.08〜約0.26である、請求項1に記載のモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体。
【請求項4】
ブロック共重合体が、少なくとも3つのモノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックを含む、請求項1に記載のモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体。
【請求項5】
ブロック共重合体が、少なくとも4つの連続するモノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックを含む、請求項1に記載のモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体。
【請求項6】
約10phmのモノビニルアレーン単位〜約40phmのモノビニルアレーン単位を含む、遠位側のモノビニルアレーンブロックをさらに含む、請求項1に記載のモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体。
【請求項7】
ブロック共重合体が、i−C−C−i−C−B−CA、i−C−C−C−i−C−C−B−CA、i−A−C−C−C−C−B−CA、i−A−i−C−C−C−C−B−CA、i−A−i−C−C−C−C−C−B−CAおよびi−A−C−C−i−C−C−B−CAからなる群から選択される添加順序で形成される、請求項1に記載のモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体(式中、iは重合開始剤の添加であり、Aはモノビニルアレーンの添加であり、Bは共役ジエンの添加であり、Cはモノビニルアレーンおよび共役ジエンの添加であり、CAはカップリング剤である)。
【請求項8】
約0.5mil〜約3milの厚さを有し、かつ約90℃において配向されたフィルムの形態であり、約100℃で少なくとも約40%の収縮を示し、7日後に約10%未満の自然収縮を示す、請求項1に記載のモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体。
【請求項9】
約0.5mil〜約3milの厚さを有し、かつ約90℃において配向されたフィルムの形態であり、約10%未満のヘイズを有する、請求項1に記載のモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体。
【請求項10】
ゴム変性ポリスチレンをさらに含む、請求項1に記載のモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体。
【請求項11】
以下を含む組成物:
(a)約50重量部〜約95重量部のモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体であって、約5phmの共役ジエン単位〜約50phmの共役ジエン単位を含む近位側の共役ジエンブロックと、複数のモノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックとを含み、各混合ブロックが、共役ジエン単位およびモノビニルアレーン単位を含み、モノビニルアレーン単位に対する共役ジエン単位の重量比は約0.05〜約0.33である、モノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体、および
(b)約5重量部〜約50重量部のポリスチレン。ここで、前記モノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体と前記ポリスチレンとの合計は100重量部である。
【請求項12】
各混合ブロック内の、モノビニルアレーン単位に対する共役ジエン単位の重量比が、約0.06〜約0.28である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
各混合ブロック内の、モノビニルアレーン単位に対する共役ジエン単位の重量比が、約0.08〜約0.26である、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
ブロック共重合体が、少なくとも3つのモノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
ブロック共重合体が、少なくとも4つの連続するモノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
モノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体が、約10phmのモノビニルアレーン単位〜約40phmのモノビニルアレーン単位を含む、遠位側のモノビニルアレーンブロックをさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項17】
ブロック共重合体が、i−C−C−i−C−B−CA、i−C−C−C−i−C−C−B−CA、i−A−C−C−C−C−B−CA、i−A−i−C−C−C−C−B−CA、i−A−i−C−C−C−C−C−B−CAおよびi−A−C−C−i−C−C−B−CAからなる群から選択される添加順序により形成される、請求項11に記載の組成物(式中、iは重合開始剤の添加であり、Aはモノビニルアレーンの添加であり、Bは共役ジエンの添加であり、Cはモノビニルアレーンおよび共役ジエンの添加であり、CAはカップリング剤の添加である)。
【請求項18】
約70重量部〜約95重量部のモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体と、約5重量部〜約30重量部のポリスチレンとを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項19】
約0.5mil〜約3milの厚さを有し、かつ約90℃において配向されたフィルムの形態であり、約100℃で少なくとも約40%の収縮を示し、7日後に約5%未満の自然収縮を示す、請求項11に記載の組成物。
【請求項20】
約0.5mil〜約3milの厚さを有し、かつ約90℃において配向されたフィルムの形態であり、約10%未満のヘイズを有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項21】
ゴム変性ポリスチレンをさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項22】
下記ステップを含む物体または一群の物体を収縮包装する方法:
フィルムで、前記物体または一群の物体を覆うステップであって、該フィルムは以下を含むステップ
(a)約50重量部〜約95重量部のモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体であって、約5phmの共役ジエン単位〜約50phmの共役ジエン単位を含む近位側の共役ジエンブロックと、複数のモノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックとを含み、各混合ブロックが、共役ジエン単位とモノビニルアレーン単位とを約0.05〜約0.33の重量比で含むモノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体、および
(b)約5重量部〜約50重量部のポリスチレンと、を含むフィルムであって、モノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体とポリスチレンとの合計が100重量部である、包装された前記物体または一群の物体を得るステップ、ならびに、
少なくとも第1の方向にフィルムを収縮させるのに十分な温度および時間で、前記包装された物体または一群の物体を加熱し、収縮包装にされた物体または一群の物体を得るステップ。
【請求項23】
以下を含むシュリンクフィルム:
(1)約5phmの共役ジエン単位〜約50phmの共役ジエン単位を含む、近位側の共役ジエンブロック、
(2)複数のモノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロック。ここで、各モノビニルアレーン−共役ジエン混合ブロックは、共役ジエン単位およびモノビニルアレーン単位を含み、モノビニルアレーン単位に対する共役ジエン単位の重量比は約0.05〜約0.33であり、約0.5mil〜約3milの厚さを有し、約90℃で配向され、100℃で少なくとも約40%の収縮を示し、約10%未満のヘイズを有し、3日後における自然収縮が約6%未満である。
【請求項24】
約5重量部〜約50重量部のポリスチレンをさらに含み、モノビニルアレーン−共役ジエンブロック共重合体とポリスチレンとの合計が100重量部である、請求項23に記載のシュリンクフィルム。
【請求項25】
シュリンクラベルに形成された、請求項23に記載のシュリンクフィルム。

【公表番号】特表2010−512451(P2010−512451A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541513(P2009−541513)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/087063
【国際公開番号】WO2008/073932
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(502303175)シェブロン フィリップス ケミカル カンパニー エルピー (42)
【Fターム(参考)】