説明

フィルム被嵌装置

【課題】径方向外側に張り出す突条や突起が外周面に形成された被嵌体であっても、タイトな筒状フィルムを円滑かつ確実に被嵌することができるフィルム被嵌装置を提供する。
【解決手段】マンドレル30によって所定の開口状態に整形された筒状フィルムFを、上流側ショットローラ51及び下流側ショットローラ52によってマンドレル30から順次送出することで、フィルム被嵌位置αに搬送されてくる容器Bに被嵌するようになっており、上流側ショットローラ51及び下流側ショットローラ52の双方を駆動して筒状フィルムFの所定位置をマンドレル30との間に挟み込んだ後、下流側送出ローラ52のみを駆動することで、筒状フィルムFにおける容器Bの搬送方向の下流側を下げた傾斜状態で待機させ、筒状フィルムFを容器Bに被嵌する際は、上流側ショットローラ51の周速を下流側ショットローラ52の周速より大きくするようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シュリンクラベルやキャップシール等の筒状フィルムを容器等の被嵌体に被嵌するフィルム被嵌装置、特に、径方向外側に張り出す突条や突起が外周面に形成された被嵌体に、タイトな筒状フィルムを円滑かつ確実に被嵌することができるフィルム被嵌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のフィルム被嵌装置としては、例えば、図10に示すようなものがある。このフィルム被嵌装置70は、ロールフィーダに装着された原反ロール(図示せず)から長尺フィルムLFを引き出して送出する長尺フィルム送出手段71と、この長尺フィルム送出手段71によって送出されてくる長尺フィルムLFを所定長に切断することで、個別の筒状フィルムFを形成するフィルム切断手段72と、このフィルム切断手段72によって長尺フィルムLFから切り離された筒状フィルムFを被嵌することによって所定状態に開口する金属製のマンドレル73と、このマンドレル73に被嵌された長尺フィルムLFをマンドレル73の下端側に移送するフィルム移送手段74と、このフィルム移送手段74によってマンドレル73の下端部に移送された筒状フィルムFを、送出ローラ75a、75aでマンドレル73との間に挟み込んで、所定のタイミングでマンドレル73の直下のフィルム被嵌位置αに送出するフィルム送出手段75とを備えており、マンドレル73によって所定の開口状態に整形された筒状フィルムFを、フィルム送出手段75によって、所定のタイミングでマンドレル73から順次送出することで、フィルム被嵌位置αに順次搬送されてくる容器Bに被嵌するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2688573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、筒状フィルムFを被嵌しようとする容器Bが、例えば、図11(a)、(b)に示すように、径方向外側に張り出すリブ等の突条pを外周面に有する、平面形状が円形の扁平容器の場合、上述したように、マンドレル73の下端部に被嵌された筒状フィルムFを、所定のタイミングでフィルム送出手段75の送出ローラ75a、75aによって単に真下に送出するフィルム被嵌装置70によって、口径が容器Bの外径より僅かに大きく設定されたタイトな筒状フィルムFを被嵌しようとすると、フィルム送出手段75による筒状フィルムFの送出タイミングが僅かにずれたり、容器Bのフィルム被嵌位置αへの供給タイミングが僅かにずれたりするだけで、図12に示すように、フィルム送出手段75によって送出された筒状フィルムFの先端縁が容器Bの突条pに引っ掛かってしまい、筒状フィルムFを円滑かつ確実に容器Bに被嵌することができないといった問題がある。
【0005】
そこで、この発明の課題は、径方向外側に張り出す突条や突起が外周面に形成された被嵌体であっても、タイトな筒状フィルムを円滑かつ確実に被嵌することができるフィルム被嵌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、マンドレルに被嵌されることによって所定の開口状態に整形された筒状フィルムを、フィルム送出手段によって前記マンドレルから順次送出することで、前記マンドレルの下方側の被嵌位置に順次搬送されてくる被嵌体に被嵌するフィルム被嵌装置において、前記フィルム送出手段は、被嵌体の搬送方向の上流側で前記マンドレルの下端部との間に筒状フィルムを挟み込む上流側送出ローラと、被嵌体の搬送方向の下流側で前記マンドレルの下端部との間に筒状フィルムを挟み込む下流側送出ローラとを備え、被嵌体が被嵌位置に搬送されてくる前に、前記上流側送出ローラ及び前記下流側送出ローラの双方を駆動して筒状フィルムの所定位置を前記マンドレルとの間に挟み込んだ後、筒状フィルムにおける被嵌体の搬送方向の下流側を下げることによって傾斜させた状態で待機させ、前記フィルム送出手段の前記上流側送出ローラ及び前記下流側送出ローラの双方を駆動して筒状フィルムを前記マンドレルから送出することで、被嵌位置に搬送されてきた被嵌体に被嵌する際、前記上流側送出ローラの周速を前記下流側送出ローラの周速より大きくするようにしたことを特徴とするフィルム被嵌装置を提供するものである。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、マンドレルに被嵌されることによって所定の開口状態に整形された筒状フィルムを、フィルム送出手段によって前記マンドレルから順次送出することで、前記マンドレルの下方側の被嵌位置に順次停止しながら断続的に搬送される被嵌体に被嵌するフィルム被嵌装置において、前記フィルム送出手段は、被嵌体の搬送方向の上流側で前記マンドレルの下端部との間に筒状フィルムを挟み込む上流側送出ローラと、被嵌体の搬送方向の下流側で前記マンドレルの下端部との間に筒状フィルムを挟み込む下流側送出ローラとを備え、被嵌体が被嵌位置に搬送されてくる前に、前記上流側送出ローラ及び前記下流側送出ローラの双方を駆動して筒状フィルムの所定位置を前記マンドレルとの間に挟み込んだ後、筒状フィルムにおける被嵌体の搬送方向の下流側を下げることによって傾斜させた状態で待機させ、前記フィルム送出手段の前記上流側送出ローラ及び前記下流側送出ローラの双方を駆動して筒状フィルムを前記マンドレルから送出することで、被嵌位置に搬送されてきた被嵌体に被嵌する際、前記上流側送出ローラの周速と前記下流側送出ローラの周速とを同速にしたことを特徴とするフィルム被嵌装置を提供するものである。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、マンドレルに被嵌されることによって所定の開口状態に整形された筒状フィルムを、フィルム送出手段によって前記マンドレルから順次送出することで、前記マンドレルの下方側の被嵌位置に順次搬送されてくる被嵌体に被嵌するフィルム被嵌装置において、前記フィルム送出手段は、被嵌体の搬送方向の上流側で前記マンドレルの下端部との間に筒状フィルムを挟み込む上流側送出ローラと、被嵌体の搬送方向の下流側で前記マンドレルの下端部との間に筒状フィルムを挟み込む下流側送出ローラとを備え、前記マンドレルは、その下端面が被嵌体の搬送方向の上流側を向くように傾いており、被嵌体が被嵌位置の直前まで搬送されてきたとき、筒状フィルムは、前記マンドレルの下端面に略直交する方向に傾斜し、前記マンドレルの下端部から突出した状態で待機していることを特徴とするフィルム被嵌装置を提供するものである。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明のフィルム被嵌装置において、前記マンドレルの下部における被嵌体の搬送方向の上流側には、前記上流側送出ローラの上側にフィルム逃がし部が形成されており、筒状フィルムを傾斜させる際に、筒状フィルムの上半部における被嵌体の搬送方向の上流側が前記フィルム逃がし部に入り込むようになっていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、請求項1、2に係る発明のフィルム被嵌装置では、被嵌体が被嵌位置に搬送されてくる前に、上流側送出ローラ及び下流側送出ローラの双方を駆動して筒状フィルムの所定位置をマンドレルとの間に挟み込んだ後、筒状フィルムにおける被嵌体の搬送方向の下流側を下げることによって傾斜させた状態で待機させているので、被嵌位置に搬送されてきた被嵌体における搬送方向の下流側の外周面が、傾斜状態で待機している筒状フィルムに引っ掛かり、続いて実行されるフィルム送出手段による送出動作で筒状フィルムが被嵌体に確実に被嵌される。従って、被嵌体が径方向外側に張り出す突条を外周面に有する扁平容器であっても、従来のフィルム被嵌装置のように、タイトな筒状フィルムが突条に引っ掛かることがなく、筒状フィルムを被嵌体に確実に被嵌することができる。
【0011】
特に、請求項1に係る発明のフィルム被嵌装置では、フィルム送出手段の上流側送出ローラ及び下流側送出ローラの双方を駆動して筒状フィルムをマンドレルから送出することで、被嵌位置に搬送されてきた被嵌体に被嵌する際、上流側送出ローラの周速を下流側送出ローラの周速より大きくすることによって、即ち、被嵌体の搬送方向の上流側の送出速度を下流側の送出速度より大きくすることによって、筒状フィルムにおける被嵌体の搬送方向の下流側よりマンドレルに対する被嵌量の大きい上流側を素早く送出するようにしたので、被嵌体を、被嵌位置に停止させることなく、通過させる場合でも、被嵌位置を通過する被嵌体に筒状フィルムを確実に被嵌することができる。
【0012】
また、請求項2に係る発明のフィルム被嵌装置では、被嵌体を被嵌位置に順次停止させながら断続的に搬送するようになっているので、フィルム送出手段の上流側送出ローラ及び下流側送出ローラの双方を駆動して筒状フィルムをマンドレルから送出することで、被嵌位置に搬送されてきた被嵌体に被嵌する際、上流側送出ローラの周速と下流側送出ローラの周速とが同速であっても、即ち、被嵌体の搬送方向の上流側の送出速度と下流側の送出速度とが同じであっても、筒状フィルムを被嵌体に確実に被嵌することができる。
【0013】
また、請求項3に係る発明のフィルム被嵌装置は、マンドレルの下端面が、被嵌体の搬送方向の上流側を向くように傾いており、被嵌体が被嵌位置の直前まで搬送されてきたとき、筒状フィルムは、前記マンドレルの下端面に略直交する方向に傾斜し、前記マンドレルの下端部から突出した状態で待機させるようにしたので、請求項1、2に係る発明と同様に、被嵌位置に搬送されてきた被嵌体における搬送方向の下流側の外周面が、傾斜状態で待機している筒状フィルムに引っ掛かり、続いて実行されるフィルム送出手段による送出動作で筒状フィルムが被嵌体に被嵌される。従って、被嵌体が径方向外側に張り出す突条を外周面に有する扁平容器であっても、従来のフィルム被嵌装置のように、タイトな筒状フィルムが突条に引っ掛かることがなく、筒状フィルムを被嵌体に確実に被嵌することができるという、請求項1、2に係る発明と同様の効果を得ることができる。
【0014】
特に、このフィルム被嵌装置では、マンドレルの下端面が、被嵌体の搬送方向の上流側を向くように傾いているので、待機姿勢の筒状フィルムにおける被嵌体の搬送方向の上流側及び下流側のマンドレルに対する被嵌量が同一であり、被嵌体を、被嵌位置に停止させることなく、通過させる場合でも、請求項1に係る発明のように、筒状フィルムをフィルム送出手段によってマンドレルから送出することで、被嵌位置に搬送されてきた被嵌体に被嵌する際、上流側送出ローラの周速を下流側送出ローラの周速より大きくする必要がなく、被嵌体の搬送方向の上流側の送出速度と下流側の送出速度とを同速に設定することが可能である。
【0015】
また、請求項4に係る発明のフィルム被嵌装置では、マンドレルの下部における被嵌体の搬送方向の上流側には、上流側送出ローラの上側にフィルム逃がし部が形成されており、筒状フィルムを傾斜させる際に、筒状フィルムの上半部における被嵌体の搬送方向の上流側がフィルム逃がし部に入り込むようになっているので、長い筒状フィルムであっても、マンドレルに引っ掛かることなく、フィルム送出手段によって送出可能な状態で円滑かつ確実に傾斜させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明に係るフィルム被嵌装置の一実施形態を示す正面図である。
【図2】同上のフィルム被嵌装置に採用されているマンドレルを示す斜視図である。
【図3】同上のフィルム被嵌装置における筒状フィルムの送出直前の状態を示す正面図である。
【図4】同上のフィルム被嵌装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】他の実施形態であるフィルム被嵌装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】他の実施形態であるフィルム被嵌装置を示す正面図である。
【図7】同上のフィルム被嵌装置に採用されているマンドレルを示す正面図である。
【図8】同上のフィルム被嵌装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】他の実施形態であるフィルム被嵌装置を示す正面図である。
【図10】従来のフィルム被嵌装置を示す正面図である。
【図11】(a)は同上のフィルム被嵌装置によって筒状フィルムが被嵌される扁平容器を示す平面図、(b)は同上の扁平容器を示す側面図である。
【図12】従来のフィルム被嵌装置の問題点を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、このフィルム被嵌装置1は、筒状フィルムFが連続的に繋がった、シート状に折り畳まれた状態の長尺フィルムLFから個別の筒状フィルムFを切り離しながら、この筒状フィルムFをフィルム被嵌位置αに順次送出することで、ベルトコンベアによって所定の搬送ピッチでフィルム被嵌位置αに順次搬送されてくる、図11に示す容器Bの胴部に被嵌するようになっており、ロールフィーダに装着された原反ロール(図示せず)から長尺フィルムLFを引き出して送出する長尺フィルム送出手段10と、この長尺フィルム送出手段10によって送出されてくる長尺フィルムLFを所定長に切断することで、個別の筒状フィルムFを形成するフィルム切断手段20と、このフィルム切断手段20によって長尺フィルムLFから切り離された筒状フィルムFを被嵌することによって所定状態に開口する金属製のマンドレル30と、このマンドレル30に被嵌された長尺フィルムLFをマンドレル30の下端側に移送するフィルム移送手段40と、このフィルム移送手段40によってマンドレル30の下端部に移送されてきた筒状フィルムFをフィルム被嵌位置αに送出するフィルム送出手段50と、フィルム被嵌位置αに順次搬送されてくる容器Bを検出する容器検出センサ60と、この容器検出センサ60が容器Bを検出する度毎に、長尺フィルム送出手段10、フィルム切断手段20、フィルム移送手段40及びフィルム送出手段50に、予め定められた所定のタイミングで所定の動作をそれぞれ繰り返し実行させる、図示しない制御手段とを備えている。
【0018】
前記長尺フィルム送出手段10は、同図に示すように、長尺フィルムLFを挟み込む駆動ローラ11及び従動ローラ12と、駆動ローラ11を駆動するモータ13と、モータ13の駆動力を駆動ローラ11に伝達する、プーリ14、15及びこれらのプーリ14、15に掛けられたベルト16からなる動力伝達機構とを備えており、図4に示すように、容器検出センサ60による容器Bの検出タイミング(0度)から、駆動ローラ11が回転し始め、徐々に増速しながら、130度当りの処理タイミングで最高速となり、その後は徐々に減速しながら、250度当りの処理タイミングで駆動を停止するようになっている。なお、図4に示すタイミングチャートでは、図3に示すように、容器検出センサ60が容器Bを検出するタイミングを0度とし、図1に示すように、次に被嵌しようとする筒状フィルムFの下端部がマンドレル30の下端部から僅かに突出するタイミングを360度としている。
【0019】
前記フィルム切断手段20は、同図に示すように、相互に接近離反することで開閉する剪断刃21、22を備えており、図4に示すように、容器検出センサ60による容器Bの検出タイミング(0度)における剪断刃21、22が中途開の状態から開き始め、130度当りの処理タイミングで全開(最大離反状態)となり、その後、剪断刃21、22が閉じていき、310度当りの処理タイミングで全閉(最接近状態)となって長尺フィルムLFを切断した後、再び開き始め、360度で剪断刃21、22が初期の中途開状態で停止するようになっている。
【0020】
前記マンドレル30は、図1及び図2に示すように、上端側が先細の楔状のフィルム開口部31と、このフィルム開口部31の下部に嵌着された下端部が円形状のフィルム整形部35とを備えており、フィルム開口部31の上端部に被嵌された筒状フィルムFがフィルム開口部31の下方側に移送されることによって徐々に開口されていき、フィルム整形部35に被嵌されることで円形状に整形されるようになっている。
【0021】
前記フィルム開口部31の下半部には、容器Bの搬送方向の上流側及び下流側の側面に、周面が僅かに突出した状態で、上位ローラ32、中位ローラ33及び下位ローラ34がそれぞれ回転可能に取り付けられており、フィルム開口部31の側面には、中位ローラ33の周面下部を露出させる窪み部31aが形成されている。
【0022】
前記フィルム整形部35は、円形状に形成された本体部35aと、この本体部35aにおける正面側及び背面側からフィルム開口部31の正面及び背面に沿って立ち上がる、フィルム開口部31に取り付けるための取付部35bとを備えており、本体部35aの外周面には、容器Bの搬送方向の上流側及び下流側の側面に、周面が僅かに突出した状態で、ローラ36がそれぞれ回転可能に取り付けられている。
【0023】
前記フィルム移送手段40は、図1に示すように、マンドレル30に被嵌した状態で、フィルム切断手段20によって長尺フィルムLFから切り離された筒状フィルムFを、マンドレル30との間に挟み込んでマンドレル30の下方側に移送する、マンドレル30における容器Bの搬送方向の上流側及び下流側にそれぞれ配設された上流側フィードベルトユニット40A及び下流側フィードベルトユニット40Bから構成されており、上流側フィードベルトユニット40A及び下流側フィードベルトユニット40Bは、それぞれ駆動プーリ41と4個の従動プーリ42、43、44、45と、これらに掛け渡されるフィードベルト46とから構成されている。
【0024】
前記駆動プーリ41及び従動プーリ44、45は、マンドレル30におけるフィルム開口部31の下位ローラ34及び上位ローラ32、中位ローラ33に対応する位置にそれぞれ配設されており、下位ローラ34及び上位ローラ32、中位ローラ33との間にフィードベルト46を介して、筒状フィルムFを挟み込むようになっている。
【0025】
上流側フィードベルトユニット40A及び下流側フィードベルトユニット40Bの駆動プーリ41及び従動プーリ44、45は、それぞれ同一の支持部材47に回転可能に支持されており、従動プーリ45が、マンドレル30におけるフィルム開口部31に形成された窪み部31aに入り込むことで、中位ローラ33を介して、マンドレル30を支持するようになっている。
【0026】
前記フィードベルト46は、図4に示すように、長尺フィルム送出手段10の駆動ローラ11と同様に、容器検出センサ60による容器Bの検出タイミング(0度)から移動を開始し、徐々に増速しながら、130度当りの処理タイミングで最高速となり、その後は減速しながら、250度当りの処理タイミングで駆動を停止する。そして、フィルム切断手段20が筒状フィルムFを長尺フィルムLFから切り離した310度当りの処理タイミングから再び移動を開始し、335度当りの処理タイミングまで徐々に増速した後、再び徐々に減速しながら360度で駆動を停止することで、筒状フィルムFを所定のピッチでマンドレル30の下端部まで移送するようになっている。
【0027】
前記フィルム送出手段50は、図1に示すように、マンドレル30におけるフィルム整形部35のローラ36、36に対応する位置にそれぞれ配設された、フィルム移送手段40によってマンドレル30の下端部まで移送されてくる筒状フィルムFを受け取ってローラ36、36との間に挟み込む上流側ショットローラ51及び下流側ショットローラ52を備えており、下流側ショットローラ52は、マンドレル30の下面より下方側に突出しないように、上流側ショットローラ51に比べて小径に形成されている。これによって、容器Bがフィルム被嵌位置αを通過する際、容器Bに被嵌された筒状フィルムFの上端部が下流側ショットローラ52に引っかからないようになっている。
【0028】
前記上流側ショットローラ51及び下流側ショットローラ52は、図4に示すように、容器検出センサ60による容器Bの検出タイミング(0度)から回転し始め、徐々に増速しながら、40度当りの処理タイミングで最高速となり、その後は徐々に減速しながら、80度当りの処理タイミングで駆動を停止することで、筒状フィルムFをマンドレル30の下端部から送出し、フィルム被嵌位置αに搬送されてきた容器Bに被嵌する。その後、フィルム移送手段40のフィードベルト46が移動を再開する310度当りの処理タイミングから再び回転し始め、335度当りの処理タイミングまで徐々に増速した後、再び徐々に減速しながら360度で駆動を停止することで、図1に示すように、フィルム移送手段40から次の筒状フィルムFを受け取って、その下端部がマンドレル30の下端部から突出する状態で、筒状フィルムFをマンドレル30との間に挟み込むようになっている。その後、図4に示すように、下流側ショットローラ52だけが、再度、回転し始め、所定速度まで徐々に増速した後、徐々に減速しながら駆動を停止することで、図3に示すように、次の容器Bがフィルム被嵌位置αに搬送されてくるまで、容器Bの搬送方向の下流側を下げた傾斜状態で筒状フィルムFを待機させるようになっている。
【0029】
このように、容器Bの搬送方向の下流側を下げた傾斜状態で筒状フィルムFが待機しているので、上述したように、上流側ショットローラ51及び下流側ショットローラ52の双方を駆動して筒状フィルムFをマンドレル30から送出することで、フィルム被嵌位置αに搬送されてきた容器Bに筒状フィルムFを被嵌する際、即ち、図4のタイミングチャートにおける処理タイミング0〜80度では、筒状フィルムFにおける容器Bの搬送方向の上流側の遅れを取り戻すために、上流側ショットローラ51の周速を下流側ショットローラ52の周速より大きくすることで、筒状フィルムFにおける容器Bの搬送方向の上流側の送出速度を速くしている。
【0030】
以上のように、このフィルム被嵌装置1では、容器Bがフィルム被嵌位置αに搬送されてくる前に、上流側ショットローラ51及び下流側ショットローラ52の双方を駆動して、下端部がマンドレル30の下端部から突出する状態で、筒状フィルムFをマンドレル30との間に挟み込んだ後、下流側ショットローラ52のみを駆動することで、筒状フィルムFにおける容器Bの搬送方向の下流側を下げた傾斜状態で待機させているので、フィルム被嵌位置αに搬送されてきた容器Bが、傾斜状態で待機している筒状フィルムFに引っ掛かり、容器Bにおける搬送方向の下流側の外周面から突出するリブ等の突条pが筒状フィルムFによって覆われることになる。従って、続いて実行されるフィルム送出手段50の上流側ショットローラ51及び下流側ショットローラ52による送出動作で筒状フィルムFが容器Bに確実に被嵌され、筒状フィルムをマンドレルから単に真下に送出する従来のフィルム被嵌装置のように、タイトな筒状フィルムが突条pに引っ掛かることがない。
【0031】
特に、このフィルム被嵌装置1では、フィルム送出手段50の上流側ショットローラ51及び下流側ショットローラ52の双方を駆動して筒状フィルムFをマンドレル30から送出することで、フィルム被嵌位置αに搬送されてきた容器Bに被嵌する際、上流側ショットローラ51の周速を下流側ショットローラ52の周速より大きくすることによって、即ち、容器Bの搬送方向の上流側の送出速度を下流側の送出速度より大きくすることによって、筒状フィルムFにおける容器Bの搬送方向の下流側よりマンドレル30に対する被嵌量の大きい上流側を素早く送出するようにしたので、容器Bを、フィルム被嵌位置αに停止させることなく、通過させる場合でも、フィルム被嵌位置αを通過する容器Bに筒状フィルムFを確実に被嵌することができる。
【0032】
なお、容器Bをフィルム被嵌位置αに一旦停止させながら搬送する場合は、必ずしも、筒状フィルムFにおける容器Bの搬送方向の下流側よりマンドレル30に対する被嵌量の大きい上流側を素早く送出する必要はないので、図5のタイミングチャートに示すように、フィルム送出手段50の上流側ショットローラ51及び下流側ショットローラ52の双方を駆動して筒状フィルムFをマンドレル30から送出することで、フィルム被嵌位置αに搬送されてきた容器Bに被嵌する際、上流側ショットローラ51の周速と下流側ショットローラ52の周速とを同速で駆動しても、筒状フィルムFを容器Bに確実に被嵌することができる。
【0033】
また、上述した各実施形態では、フィルム整形部35の下端面が略水平になるように、マンドレル30の下部が真下を向いているが、これに限定されるものではなく、例えば、図6及び図7に示すように、マンドレル30Aにおけるフィルム整形部35Aの下端面を、容器Bの搬送方向の上流側を向くように傾斜させ、筒状フィルムFを、マンドレル30Aにおけるフィルム整形部35Aの下端面に略直交する方向に傾斜させると共に、フィルム整形部35Aの本体部35Aaから突出させた状態で待機させるようにしてもよい。
【0034】
このフィルム被嵌装置1Aでは、同図に示すように、フィルム整形部35Aにおける上流側ショットローラ51と同一高さ位置及び下端位置に下流側ショットローラ52Aa、52Abがそれぞれ配設されており、マンドレル30Aにおけるフィルム整形部35Aにも、下流側ショットローラ52Aa、52Abに対応する位置に、下流側ショットローラ52Aa、52Abとの間に筒状フィルムFを挟み込むローラがそれぞれ取り付けられている。
【0035】
このフィルム被嵌装置1Aの基本的な動作は、上述したフィルム被嵌装置1における容器Bをフィルム被嵌位置αに一旦停止させながら搬送する場合の動作と同様であるが、図8のタイミングチャートに示すように、処理タイミングが360度以降は、下流側ショットローラ52Aa、52Abだけを駆動するのではなく、下流側ショットローラ52Aa、52Abの周速よりも低速で上流側ショットローラ51についても駆動するようになっており、筒状フィルムFの待機状態では、図6に示すように、筒状フィルムFの上端部が、上流側ショットローラ51と下位の下流側ショットローラ52Abとによって、マンドレル30A(フィルム整形部35A)の下端部との間に挟み込まれるようになっている。
【0036】
以上のように、このフィルム被嵌装置1Aでは、マンドレル30Aの下端面が、容器Bの搬送方向の上流側を向くように傾いているので、待機姿勢の筒状フィルムFにおける容器Bの搬送方向の上流側及び下流側のマンドレル30Aに対する被嵌量が同一であり、容器Bを、フィルム被嵌位置αに停止させることなく、通過させる場合でも、上述したフィルム被嵌装置1のように、筒状フィルムFをフィルム送出手段50Aによってマンドレル30Aから送出することで、フィルム被嵌位置αに搬送されてきた容器Bに被嵌する際、上流側ショットローラ51の周速を下流側ショットローラ52Abの周速より大きくする必要がなく、容器Bの搬送方向の上流側の送出速度と下流側の送出速度とを同速に設定することが可能である。
【0037】
図9は、胴部の背が高く、上端開口部を開閉する蓋部の下端縁に径方向外側に張り出すリブ等の突条pが形成された容器Baに、長い筒状フィルムFaを被嵌するフィルム被嵌装置1Bを示している。このフィルム被嵌装置1Bでは、マンドレル30Bのフィルム整形部35Bを長くすると共に、フィルム整形部35Bにおける容器Baの搬送方向の上流側を上方に向かって下流側に傾斜させることによって、上流側ショットローラ51の上側にフィルム逃がし部30Baを形成してあり、上述したフィルム被嵌装置1と同様に、フィルム移送手段40から次の筒状フィルムFを受け取った、フィルム送出手段50の上流側ショットローラ51及び下流側ショットローラ52が駆動することで、筒状フィルムFaの下半部をマンドレル30Bの下端部から突出させた後、下流側ショットローラ52だけを駆動することで、次の容器Baがフィルム被嵌位置αに搬送されてくるまで、容器Baの搬送方向の下流側を下げた傾斜状態で筒状フィルムFaを待機させるようになっている。
【0038】
以上のように構成されたフィルム被嵌装置1Bでは、筒状フィルムFaを傾ける際、筒状フィルムFaの上半部における容器Baの搬送方向の上流側が、フィルム整形部35Bに形成されたフィルム逃がし部30Baに入り込むので、マンドレル30Bに引っ掛かることなく、フィルム送出手段50によって送出可能な状態で、長い筒状フィルムFaを無理なく傾けることができ、上述したフィルム被嵌装置1と同様に、フィルム送出手段50の上流側ショットローラ51及び下流側ショットローラ52による送出動作で長い筒状フィルムFaを背の高い容器Baに確実に被嵌することができる。
【0039】
また、上述した各実施形態では、剪断刃21、22が開閉するフィルム切断手段20によって、長尺フィルムLFから筒状フィルムFを切り離すタイプのフィルム被嵌装置1、1A、1Bについて説明したが、これに限定されるものではなく、サークルカッターを使用して長尺フィルムLFから筒状フィルムFを切り離すタイプのフィルム被嵌装置や長尺フィルムLFに形成したミシン目で破断するタイプのフィルム被嵌装置にも、本発明を適用することができる。サークルカッターを使用する場合は、マンドレルに周溝を形成し、マンドレルによって開口された長尺フィルムの外側において、その長尺フィルムの外周面に沿って切断刃を回転移動させながら、マンドレルに形成された周溝に切断刃を進入させることによって、長尺フィルムを切断すればよく、また、ミシン目で破断する場合は、ミシン目の上下でマンドレルとの間に長尺フィルムを挟み込む破断ローラをそれぞれ設け、下位の破断ローラの周速を上位の破断ローラの周速よりも大きくすることで、長尺フィルムをミシン目で破断すればよい。
【0040】
また、上述した各実施形態では、全周にわたって径方向外側に張り出すリブ等の突条pが形成された容器B、Baの胴部に筒状フィルムF、Faを被嵌する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、キャップのヒンジ部分のように、外周面の一部に凸部が形成された容器の口部に筒状フィルムを被嵌するような場合にも、本発明のフィルム被嵌装置が有用であることはいうまでもない。
【0041】
また、上述した各実施形態では、下流側ショットローラ52、52Aa、52Abの径を、図10に示す従来のフィルム被嵌装置70の送出ローラ75aの径より小さくしているが、これに限定されるものではなく、容器B、Baがフィルム被嵌位置αを通過する際、容器B、Baに被嵌された筒状フィルムFの上端部が下流側ショットローラ52、52Aa、52Abに引っかからないのであれば、下流側ショットローラ52、52Aa、52Abを、従来のフィルム被嵌装置70と同様に、大径に設定することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
シュリンクラベルやキャップシール等の筒状フィルムを容器等の被嵌体に被嵌する装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1、1A、1B フィルム被嵌装置
10 長尺フィルム送出手段
11 駆動ローラ
12 従動ローラ
13 モータ
14、15 プーリ
16 ベルト
20 フィルム切断手段
21、22 剪断刃
30、30A、30B マンドレル
30Ba フィルム逃がし部
31 フィルム開口部
31a 窪み部
32 上位ローラ
33 中位ローラ
34 下位ローラ
35、35A、35B フィルム整形部
35a、35Aa 本体部
35b 取付部
36 ローラ
40 フィルム移送手段
40A 上流側フィードベルトユニット
40B 下流側フィードベルトユニット
41 駆動プーリ
42、43、44、45 従動プーリ
46 フィードベルト
47 支持部材
50、50A フィルム送出手段
51 上流側ショットローラ(上流側送出ローラ)
52、52Aa、52Ab 下流側ショットローラ(下流側送出ローラ)
60 容器検出センサ
B、Ba 容器
F、Fa 筒状フィルム
LF 長尺フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンドレルに被嵌されることによって所定の開口状態に整形された筒状フィルムを、フィルム送出手段によって前記マンドレルから順次送出することで、前記マンドレルの下方側の被嵌位置に順次搬送されてくる被嵌体に被嵌するフィルム被嵌装置において、
前記フィルム送出手段は、被嵌体の搬送方向の上流側で前記マンドレルの下端部との間に筒状フィルムを挟み込む上流側送出ローラと、被嵌体の搬送方向の下流側で前記マンドレルの下端部との間に筒状フィルムを挟み込む下流側送出ローラとを備え、
被嵌体が被嵌位置に搬送されてくる前に、前記上流側送出ローラ及び前記下流側送出ローラの双方を駆動して筒状フィルムの所定位置を前記マンドレルとの間に挟み込んだ後、筒状フィルムにおける被嵌体の搬送方向の下流側を下げることによって傾斜させた状態で待機させ、
前記フィルム送出手段の前記上流側送出ローラ及び前記下流側送出ローラの双方を駆動して筒状フィルムを前記マンドレルから送出することで、被嵌位置に搬送されてきた被嵌体に被嵌する際、前記上流側送出ローラの周速を前記下流側送出ローラの周速より大きくするようにしたことを特徴とするフィルム被嵌装置。
【請求項2】
マンドレルに被嵌されることによって所定の開口状態に整形された筒状フィルムを、フィルム送出手段によって前記マンドレルから順次送出することで、前記マンドレルの下方側の被嵌位置に順次停止しながら断続的に搬送される被嵌体に被嵌するフィルム被嵌装置において、
前記フィルム送出手段は、被嵌体の搬送方向の上流側で前記マンドレルの下端部との間に筒状フィルムを挟み込む上流側送出ローラと、被嵌体の搬送方向の下流側で前記マンドレルの下端部との間に筒状フィルムを挟み込む下流側送出ローラとを備え、
被嵌体が被嵌位置に搬送されてくる前に、前記上流側送出ローラ及び前記下流側送出ローラの双方を駆動して筒状フィルムの所定位置を前記マンドレルとの間に挟み込んだ後、筒状フィルムにおける被嵌体の搬送方向の下流側を下げることによって傾斜させた状態で待機させ、
前記フィルム送出手段の前記上流側送出ローラ及び前記下流側送出ローラの双方を駆動して筒状フィルムを前記マンドレルから送出することで、被嵌位置に搬送されてきた被嵌体に被嵌する際、前記上流側送出ローラの周速と前記下流側送出ローラの周速とを同速にしたことを特徴とするフィルム被嵌装置。
【請求項3】
マンドレルに被嵌されることによって所定の開口状態に整形された筒状フィルムを、フィルム送出手段によって前記マンドレルから順次送出することで、前記マンドレルの下方側の被嵌位置に順次搬送されてくる被嵌体に被嵌するフィルム被嵌装置において、
前記フィルム送出手段は、被嵌体の搬送方向の上流側で前記マンドレルの下端部との間に筒状フィルムを挟み込む上流側送出ローラと、被嵌体の搬送方向の下流側で前記マンドレルの下端部との間に筒状フィルムを挟み込む下流側送出ローラとを備え、
前記マンドレルは、その下端面が被嵌体の搬送方向の上流側を向くように傾いており、
被嵌体が被嵌位置の直前まで搬送されてきたとき、筒状フィルムは、前記マンドレルの下端面に略直交する方向に傾斜し、前記マンドレルの下端部から突出した状態で待機していることを特徴とするフィルム被嵌装置。
【請求項4】
前記マンドレルの下部における被嵌体の搬送方向の上流側には、前記上流側送出ローラの上側にフィルム逃がし部が形成されており、筒状フィルムを傾斜させる際に、筒状フィルムの上半部における被嵌体の搬送方向の上流側が前記フィルム逃がし部に入り込むようになっている請求項1に記載のフィルム被嵌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−173593(P2011−173593A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37146(P2010−37146)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)