説明

フィルム送出装置

【課題】ロール支持部材にフィルムロール(以下、ロールという。)が適正な状態で吊り下げられているか否かに拘わらず、ロールホルダがロールを所定状態で確実に受け取ることができるフィルム送出装置を提供する。
【解決手段】ロールをストックするロールストック手段からロールを取り出して、フィルム送出ステーションSに供給するロール供給手段20を備えている。ロール供給手段20は、ロール支持部材14に吊り下げられているロールの紙管内に進入し、その内周面をクランプした状態でロールをロール支持部材14から取り出すロールホルダ23と、ロールホルダ23がロールの紙管内に進入する際、ロールの端面の位置を検出するロール検出センサとを有し、ロール検出センサが検出したロールの一方の端面の位置と既取得の紙管幅データとに基づいて、ロールの他方の端面の位置を算出することで、ロールの吊下位置を認識するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、長尺の帯状フィルムを巻回したフィルムロールから、帯状フィルムを繰り出して送出するフィルム送出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のフィルム送出装置としては、図10(a)、(b)に示すようなものがある。このフィルム送出装置60は、同図に示すように、ボトル等に装着されるシュリンクラベルやストレッチラベルのような合成樹脂フィルムによって形成された筒状のラベルが連続的に繋がった状態でシート状に折り畳まれた長尺帯状のラベル形成基材(以下、帯状フィルムという。)を紙管にロール状に巻回したフィルムロールRから、帯状フィルムを繰り出してラベリング装置に送出するものであり、複数のフィルムロールRをストックするロールストック手段61と、ロールストック手段61からフィルムロールRを1個づつ取り出してフィルム送出ステーションSに供給するロール供給手段62と、フィルム送出ステーションSに供給されたフィルムロールRを、ロールセット位置γにセットするロールセッティング手段63と、フィルム送出ステーションSのロールセット位置γにセットされたフィルムロールRから帯状フィルムを繰り出してラベリング装置に送出するフィルム送出手段64と、フィルム送出ステーションSのロールセット位置γにセットされていたフィルムロールRから送出し終えた送出済みの帯状フィルムの終端部と、フィルム送出ステーションSに新たに供給されたフィルムロールRから繰り出された送出前の帯状フィルムの始端部とを接続するフィルム接続手段65とから構成されている。
【0003】
ロールストック手段61は、図10(a)、(b)に示すように、ロール供給位置αにおいて供給されたフィルムロールRを吊り下げる複数のロール支持部材61Aと、このロール支持部材61Aに吊り下げられたフィルムロールRを、ロール供給位置αとロール取出位置βとを通過するように、水平面上を循環移動させるロール移送機構61Bとを備えており、各ロール支持部材61Aは、図11(a)、(b)に示すように、供給されたフィルムロールRを、その紙管PPの内周面で支持する、水平に張りだした2本の支持棒61aを有している。
【0004】
また、ロール供給手段62は、ロール取出位置βにおいて、ロール支持部材61Aに吊り下げられているフィルムロールRの紙管PP内に進入したり、ロール取出位置βから後退したりするロールホルダ62Aを備えており、このロールホルダ62Aは、図12に示すように、フィルムロールRの紙管PP内に挿入した3本のチャック爪62aを開閉させることによって、紙管PPをクランプしてフィルムロールRを保持したり、紙管PPをアンクランプしてその保持を解除したりすることができるようになっている。従って、ロール取出位置βにおいて、ロール支持部材61Aに吊り下げられているフィルムロールRの紙管PP内に、チャック爪62aを閉じたロールホルダ62Aが進入した後、チャック爪62aを開くことによってフィルムロールRを保持し、その状態でロールホルダ62Aを後退させると、ロール支持部材61Aからロールホルダ62AにフィルムロールRが引き渡される。
【0005】
【特許文献1】特開2004−10211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ロール供給位置αにおいて、図11(b)に示すように、作業者がロール支持部材61Aの基板61bにフィルムロールRの端面を押し当てるように、フィルムロールRを支持棒61aに適正に吊り下げると、ロール取出位置βでは、常に、所定の位置にフィルムロールRが吊り下げられた状態となるので、ロール供給手段62のロールホルダ62Aが所定の状態でフィルムロールRを確実に受け取ることができる。
【0007】
しかしながら、例えば、図13に示すように、作業者がロール支持部材61Aの基板61bとフィルムロールRの端面との間に隙間が形成されるような状態で、フィルムロールRを支持棒61aに吊り下げると、ロール取出位置βでは、所定の位置とは異なる位置にフィルムロールRが吊り下げられた状態となるので、ロール供給手段62のロールホルダ62Aが適正な状態でフィルムロールRを受け取ることができず、その結果、フィルム送出ステーションSのロールセット位置γにフィルムロールRを適正にセットすることができなくなるといった問題がある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、ロール支持部材にフィルムロールが適正な状態で吊り下げられているか否かに拘わらず、ロールホルダがフィルムロールを所定の状態で確実に受け取ることができるフィルム送出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、長尺の帯状フィルムを巻回したフィルムロールから、帯状フィルムを繰り出して送出するフィルム送出装置であって、フィルムロールを吊り下げる吊下部を有する複数のロール支持部材が搭載されたロールストック手段と、前記ロールストック手段からフィルムロールを1個づつ取り出してフィルム送出ステーションに供給するロール供給手段と、前記ロール支持部材に吊り下げられているフィルムロールの端面の位置を検出するセンサとを備え、前記ロール供給手段は、前記ロール支持部材に吊り下げられているフィルムロール内に進入して、その内周面をクランプした状態で、フィルムロールを前記ロール支持部材から取り出すロールホルダを有しており、前記センサが検出したフィルムロールの一方の端面の位置と、予め、取得しているロール幅データとに基づいて、前記ロール支持部材に吊り下げられたフィルムロールの他方の端面の位置を算出することで、前記ロール支持部材におけるフィルムロールの吊下位置を認識するようになっていることを特徴とするフィルム送出装置を提供するものである。
【0010】
また、上記の課題を解決するため、請求項2にかかる発明は、長尺の帯状フィルムを巻回したフィルムロールから、帯状フィルムを繰り出して送出するフィルム送出装置であって、フィルムロールを吊り下げる吊下部を有する複数のロール支持部材が搭載されたロールストック手段と、前記ロールストック手段からフィルムロールを1個づつ取り出してフィルム送出ステーションに供給するロール供給手段と、前記ロール支持部材に吊り下げられているフィルムロールの端面の位置を検出するセンサとを備え、前記ロール供給手段は、前記ロール支持部材に吊り下げられているフィルムロール内に進入して、その内周面をクランプした状態で、フィルムロールを前記ロール支持部材から取り出すロールホルダを有しており、前記センサがフィルムロールの両方の端面の位置を検出することによって、前記ロール支持部材におけるフィルムロールの吊下位置を認識するようになっていることを特徴とするフィルム送出装置を提供するものである。
【0011】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1または2にかかる発明のフィルム送出装置において、前記ロールホルダがフィルムロールの内周面をクランプすると、そのフィルムロールを吊り下げていた前記ロール支持部材の前記吊下部を僅かに降下させるようにしたのである。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、請求項1にかかる発明のフィルム送出装置では、センサによって検出されたフィルムロールの一方の端面の位置と、予め、取得しているロール幅データとに基づいて、ロール支持部材に吊り下げられたフィルムロールの他方の端面の位置を算出することで、ロール支持部材におけるフィルムロールの吊下位置を認識するようになっているので、ロール支持部材に吊り下げられているフィルムロールの実際の吊下位置に応じて、フィルムロール内へのロールホルダの進入量を調整することが可能になる。従って、ロール支持部材にフィルムロールが適正な状態で吊り下げられているか否かに拘わらず、ロールホルダがフィルムロールRを所定の状態で確実に受け取ることができる。
【0013】
また、請求項2にかかる発明のフィルム送出装置では、センサによってフィルムロールの両方の端面の位置を検出することで、ロール支持部材におけるフィルムロールの吊下位置を認識するようになっているので、ロール支持部材に吊り下げられているフィルムロールの実際の吊下位置に応じて、フィルムロール内へのロールホルダの進入量を調整することが可能になると共に、予め、ロール幅データを取得しておく必要もない。従って、ロール支持部材にフィルムロールが適正な状態で吊り下げられているか否かに拘わらず、ロールホルダがフィルムロールRを所定の状態で確実に受け取ることができる。
【0014】
また、請求項3にかかる発明のフィルム送出装置では、ロール供給手段のロールホルダがフィルムロールの内周面をクランプすると、そのフィルムロールを吊り下げていたロール支持部材の吊下部を僅かに降下させることによって、そのフィルムロールから吊下部を離反させるようになっているので、ロール供給手段がロール支持部材の吊下部からフィルムロールを円滑に取り外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1〜図3に示すフィルム送出装置1は、図9(a)、(b)に示すように、ボトル等に装着されるシュリンクラベルやストレッチラベルのような合成樹脂フィルムによって形成された筒状のラベルが連続的に繋がった状態でシート状に折り畳まれた長尺帯状のラベル形成基材(以下、帯状フィルムという。)Fを紙管PPにロール状に巻回したフィルムロールRから、帯状フィルムFを繰り出してラベリング装置に送出するものであり、同図に示すように、ロール供給位置αに供給される複数のフィルムロールRをストックするロールストック手段10と、ロール取出位置βにおいて、ロールストック手段10からフィルムロールRを1個づつ取り出して、ロールストック手段10に隣接して設けられたフィルム送出ステーションSに供給するロール供給手段20と、フィルム送出ステーションSに供給されたフィルムロールRを、ロールセット位置γにセットするロールセッティング手段30と、フィルム送出ステーションSのロールセット位置γにセットされたフィルムロールRから帯状フィルムFを繰り出してラベリング装置に送出するフィルム送出手段40と、フィルム送出ステーションSのロールセット位置γにセットされていたフィルムロールRから送出し終えた送出済みの帯状フィルムFの終端部と、フィルム送出ステーションSに新たに供給されたフィルムロールRから繰り出された送出前の帯状フィルムFの始端部とを接続するフィルム接続手段50とから構成されている。
【0016】
なお、フィルム繰出手段10にセットされるフィルムロールRは、図9(a)、(b)に示すように、その繰出端である筒状フィルムFの始端部における相互に重なり合った部分を離反させることができるように、筒状フィルムFにおける始端部の両側縁が予め斜めに切除されている。
【0017】
前記ロールストック手段10は、図1、図2、図4、図5及び図6に示すように、水平状態に固定設置された支持軸12に回転可能に支持され、駆動モータ13によって断続的に回転する回転円盤11と、この回転円盤11の同心円上に回転可能に支持された4つのロール支持部材14とを備えており、回転円盤11は、4つのロール支持部材14がロール供給位置αとロール取出位置βとを通過して鉛直面上を循環移動するように、垂直状態に配置されている。
【0018】
各ロール支持部材14は、供給されたフィルムロールRを、その紙管PPの内周面で支持する、支持円盤15aから水平に張りだした4本の支持棒15bを有しており、4本の支持棒15bには、図5に示すように、複数のフィルムロールRを吊り下げることができるようになっている。
【0019】
また、回転円盤11を支持している、固定設置された支持軸12及び各ロール支持部材14の回転軸には、それぞれ歯車16a、16bが取り付けられており、水平軸12に取り付けられた歯車16a及び各ロール支持部材14の回転軸に取り付けられた歯車16bは、回転円盤11に回転可能に支持された4つの中間歯車17に歯合している。これによって、回転円盤11が一方の方向に回転すると、各中間歯車17が同方向に回転し、これに伴って、各歯車16bが逆方向に回転するので、各ロール支持部材14が回転円盤11の回転方向と逆方向に回転し、4本の支持棒15bを有する各ロール支持部材14が、常時、所定の姿勢を維持するようになっている。なお、駆動モータ13、歯車16a、16b及び中間歯車17等の駆動機構については、正面側から視認できないように、カバー部材18によって隠蔽されている。
【0020】
また、ロールストック手段10を取り囲んでいる上部フレームには、透過型のロール検出センサの発光部19aが取り付けられていると共に、固定設置された支持軸12には、ロール検出センサの受光部19bが取り付けられており、発光部19aから出射された光が遮光されるか否かによって、最上位に位置しているロール支持部材14、即ち、ロール取出位置βの手前に位置しているロール支持部材14の支持棒15bにフィルムロールRが吊り下げられているか否かを検出するようになっている。
【0021】
そして、ロール検出センサ19によって、ロール取出位置βの手前に位置しているロール支持部材14にフィルムロールRが吊り下げられていることが検出されると、そのロール支持部材14をロール取出位置βまで移送して停止させるが、そのロール支持部材14にフィルムロールRが吊り下げられていることが検出されなければ、そのロール支持部材14からフィルムロールRを取り出すことができないので、ロール取出位置βを通過させるようになっている。
【0022】
前記ロール供給手段20は、図3及び図8(a)、(b)に示すように、フィルム送出ステーションS内をY軸方向に移動するベース部材21と、このベース部材21上をX軸方向に移動するコラム22と、このコラム22に取り付けられたロールホルダ23とを備えており、ベース部材21及びコラム22を適宜移動させることによって、ロールホルダ23を、後述する段取り位置δを経由して、ロール取出位置βとロールセット位置γとの間で移動させることができるようになっている。
【0023】
前記ロールホルダ23は、フィルムロールRの紙管PP内に挿入可能な6本のチャック爪23aを有しており、フィルムロールRの紙管PP内に挿入した6本のチャック爪23aを開閉させることによって、フィルムロールRの紙管PPをクランプしたり、アンクランプしたりすることができるようになっている。
【0024】
従って、ロールホルダ23をロール取出位置βに移動させ、ロール支持部材14に吊り下げられているフィルムロールRの紙管PP内にロールホルダ23のチャック爪23aを挿入した後、フィルムロールRの紙管PPをクランプした状態で、ロールホルダ23をロール支持部材14から離反する方向に移動させると、ロール支持部材14に吊り下げられているフィルムロールRを取り出すことができる。なお、ロール支持部材14に吊り下げられているフィルムロールRの紙管PP内にロールホルダ23のチャック爪23aを挿入する際、4本の支持棒15bの間にチャック爪23aが挿入されるように、両者の位置関係が設定されている。
【0025】
また、コラム22には、図8(a)、(b)に示すように、発光部及び受光部を有する反射型のロール検出センサ24が取り付けられていると共に、各チャック爪23aの先端部の外面側には、ロール検出センサ24の発光部から出射された光をロール検出センサ24の受光部に向けて反射させる反射鏡(図示せず)が取り付けられており、ロール取出位置βにおいて、ロール支持部材14に吊り下げられているフィルムロールRの紙管PP内にチャック爪23aを挿入する際、ロール検出センサ24の発光部から出射された光が受光部に受光されなくなった時点で、その検出位置にフィルムロールRの一方の端面が位置していることが検出されるようになっている。
【0026】
そして、このようにして検出されたフィルムロールRの一方の端面の位置と、オペレータによって、予め、入力されているフィルムロールRの紙管幅データ(ロール幅データ)とに基づいて、フィルムロールRの他方の端面の位置を算出することによって、ロール支持部材14に吊り下げられているフィルムロールRの吊下位置を把握し、この吊下位置に応じて、フィルムロールRの紙管PP内に進入しているチャック爪23aの停止位置を調整することで、フィルムロールRに対してチャック爪23aが、常時、所定量だけ挿入されるようになっている。
【0027】
また、ロールホルダ23が、ロール支持部材14に吊り下げられているフィルムロールRの紙管PPをクランプすると、上述したロールストック手段10の回転円盤11が僅かに回転し、これに伴って、ロール取出位置βに位置しているロール支持部材14の4本の支持棒15bが僅かに降下するので、ロール取出位置βにおいて、フィルムロールRを吊り下げていたロール支持部材14の支持棒15bが、フィルムロールRの紙管PPの内周面から離反するようになっている。
【0028】
前記ロールセッティング手段30は、図1、図2及び図3に示すように、ロールセット位置γから退避することができるように、フィルム送出ステーションS内をY軸方向に移動するベース部材31と、このベース部材31に立設されたコラム32と、このコラム32に回転可能に取り付けられた、フィルムロールRを保持するロールホルダ33とから構成されており、ロールホルダ33は、上述したロール供給手段20のロールホルダ23と同様に、フィルムロールRの紙管PP内に挿入したチャック爪33aを開閉させることによって、フィルムロールRをクランプしたり、アンクランプしたりすることができるようになっている。なお、コラム32には、フィルム送出手段40の構成要素である、ロールホルダ33を回転駆動させる、ロール駆動用モータ41を備えた駆動機構が取り付けられている。
【0029】
前記フィルム送出手段40は、図1、図2及び図3に示すように、ロールセッティング手段30によって、ロールセット位置γにセットされたフィルムロールRを回転させるロール駆動用モータ41と、フィルムロールRから繰り出された帯状フィルムFを挟み込んでラベリング装置に送出する上下一対のフィルム送出ローラ42及びフィルム送出ローラ42を駆動させるサーボモータ43を有する駆動機構と、フィルム送出ローラ42の上流側に設置された、ファン44a及び風道44bを有するエアダンサユニット44と、フィルム送出ローラ42の下流側に設置された複数の固定ローラ45a及び複数の固定ローラ45a間を昇降する複数の可動ローラ45bを有するアキュームユニット45とを備えており、帯状フィルムFの送出中は、アキュームユニット45の可動ローラが常時所定の高さ位置に保持されるようにサーボモータ43を制御すると共に、エアダンサユニット44の風道内で垂れ下がった帯状フィルムFの下端位置に応じてロール駆動用モータ41を制御することによって、ラベリング装置側が要求している送出速度で帯状フィルムFがラベリング装置側に送出され、帯状フィルムFの送出速度の変動やフィルムロールRの外径変動に伴う帯状フィルムFの繰出速度の変動に追従してフィルムロールRが回転するようになっている。なお、帯状フィルムFの接続時等、ラベリング装置の運転中に帯状フィルムFの送出動作が一時的に停止された場合は、アキュームユニット45に蓄えられている帯状フィルムFがラベリング装置側に引き出され、アキュームユニット45の可動ローラが徐々に上昇していくことになる。
【0030】
前記フィルム接続手段50は、図1、図2及び図3に示すように、フィルム送出ステーションS内の段取位置δに供給された新たなフィルムロールRから帯状フィルムFを繰り出して、その始端部の重ね合わせ部分を相互に離反させながら、離反した状態の帯状フィルムFの始端部を、帯状フィルムFの送出経路に隣接する所定のフィルム待機位置に位置決めする段取ユニット51と、ロールセット位置γにセットされたフィルムロールRから送出されている帯状フィルムFの終端部を所定位置で切断する切断ユニット52と、切断ユニット52によって切断された帯状フィルムFの終端部を、帯状フィルムFの送出経路に設定されたフィルム接続位置に位置決めした後、フィルム待機位置に位置決めされた送出前の帯状フィルムFの始端部を、ロール供給手段20のロールホルダ23と共に帯状フィルムFの送出経路に移送することによって、切断ユニット52によって切断された筒状フィルムFの終端部が位置決めされているフィルム接続位置において、送出済みの筒状フィルムFの終端部を送出前の筒状フィルムFの始端部に挟み込ませる移送ユニット53と、フィルム接続位置において、送出済みの帯状フィルムFの終端部を送出前の帯状フィルムFの始端部に挟み込んだ状態で、双方の帯状フィルムF、Fの重ね合わせ部分を相互に接続する接続ユニット54とを備えている。
【0031】
以上のように、このフィルム送出装置1では、ロール支持部材14に吊り下げられているフィルムロールRの紙管PP内にロールホルダ23が進入する際に、ロール検出センサ24によって検出されたフィルムロールRの一方の端面の位置と、予め、入力されているフィルムロールRの紙管幅データとに基づいて、ロール支持部材14に吊り下げられたフィルムロールRの他方の端面の位置を算出することによって、ロール支持部材14に吊り下げられているフィルムロールRの吊下位置を把握し、フィルムロールRの実際の吊下位置に応じて、フィルムロールRの紙管PP内に進入しているチャック爪23aの停止位置を調整するようになっているので、図7に示すように、フィルムロールRがロール支持部材14の支持棒15bの適正な位置に吊り下げられていない場合であっても、ロールホルダ23がフィルムロールRを所定の状態で確実に受け取ることができる。従って、重量の大きいフィルムロールRをロール支持部材14の支持棒15bの所定位置に正確に吊り下げる必要がなくなり、フィルムロールRのロール支持部材14への吊下作業の負担が軽減されるという効果が得られる。
【0032】
また、このフィルム送出装置1では、ロール供給手段20のロールホルダ23がフィルムロールRの紙管PPの内周面をクランプすると、ロールストック手段10の回転円盤11が僅かに回転し、そのフィルムロールRを吊り下げていたロール支持部材14の支持棒15bが、フィルムロールRの紙管PPの内周面から離反するようになっているので、フィルムロールRの紙管PPと支持棒15bとの接触抵抗がなくなり、ロール供給手段20がロール支持部材14からフィルムロールRを円滑に取り外すことができる。
【0033】
また、このフィルム送出装置1では、ロール検出センサ19によって、ロール取出位置βの手前に位置しているロール支持部材14にフィルムロールRが吊り下げられていることが検出されない場合は、ロール取出位置βを通過させるようになっているので、無駄な動きが少なく、ロールストック手段10からフィルムロールRを効率よく取り出すことができる。
【0034】
なお、上述した実施形態では、ロール支持部材14に吊り下げられているフィルムロールRの吊下位置を認識するために、ロール支持部材14に吊り下げられているフィルムロールRの紙管PP内にロールホルダ23が進入する際、フィルムロールRの一方の端面の位置を、ロール検出センサ24によって検出するようになっているが、これに限定されるものではなく、ロールホルダ23側にフィルムロールRの一方の端面までの距離を測定するセンサを設け、ロールホルダ23がフィルムロールRの紙管PP内に進入する前に、基準位置からフィルムロールRの一方の端面までの距離をセンサによって測定することで、フィルムロールRの一方の端面の位置を検出したり、ロールストック手段10側にフィルムロールRの他方の端面までの距離を測定するセンサを設け、ロールホルダ23がフィルムロールRの紙管PP内に進入する前に、基準位置からフィルムロールRの他方の端面までの距離を測定することで、フィルムロールRの他方の端面の位置を検出したりすることも可能である。
【0035】
また、ロールストック手段10側におけるロール供給位置αとロール取出位置βとの間に設定されたロール検出位置に、ロール支持部材14に吊り下げられているフィルムロールRの外側を支持棒15bの張出方向に移動することで、ロール支持部材14に吊り下げられているフィルムロールRの端面の位置を検出するロール検出センサを設け、ロール供給位置αにおいて供給されたフィルムロールRがロール取出位置βまで移送される間に、ロール支持部材14に吊り下げられているフィルムロールRの端面の位置をロール検出センサによって検出するようにしてもよい。
【0036】
また、上述した実施形態では、オペレータによって、予め、フィルムロールRの紙管幅データを入力するようになっているが、これに限定されるものではなく、紙管幅データは種々の方法で取得すればよい。例えば、バーコード、2次元コード、ICタグ等の情報付与手段によって、フィルムロールRに製品情報を付与する場合は、紙管幅情報を加えておくことによって、情報付与手段から各種製品情報を取得する際、紙管幅情報も併せて取得することができるので、オペレータにフィルムロールRの紙管幅データを入力させる必要がなくなる。
【0037】
また、上述した実施形態では、ロール検出センサ24によって検出されたフィルムロールRの一方の端面の位置と、予め、入力されているフィルムロールRの紙管幅データとに基づいて、ロール支持部材14に吊り下げられたフィルムロールRの他方の端面の位置を算出するようになっているが、これに限定されるものではなく、ロール検出センサ24によって、フィルムロールRの両方の端面の位置を検出することも可能であり、その場合は、予め、フィルムロールRの紙管幅データを入力しておく必要がなくなるという効果が得られる。具体的には、ロール検出センサ24の発光部から出射された光が受光部に受光されなくなった後、再び、受光され始めた時点で、その検出位置にフィルムロールRの他方の端面が位置していると認識すればよい。ただし、ロール支持部材14に複数のフィルムロールRを吊り下げる場合は、隣りのフィルムロールRとの間にある程度の隙間を開けておく必要がある。
【0038】
特に、ロール検出センサ24によって、フィルムロールRの両方の端面の位置を検出すると、紙管幅の異なる複数種類のフィルムロールRが混在した状態でロール支持部材14に吊り下げられている場合であっても、特定の紙管幅を有するフィルムロールRだけを選択して取り出すことができる。ただし、ロール支持部材14における支持棒15bの先端側に吊り下げられているフィルムロールRの紙管幅が、対象としているフィルムロールRの紙管幅と異なる場合は、そのロール支持部材14から対象としているフィルムロールRを取り出すことはできないので、他のロール支持部材14から取り出すことになる。
【0039】
また、上述した実施形態では、一つのロール支持部材14に複数のフィルムロールRを吊り下げることができるようになっているが、これに限定されるものではなく、一つのロール支持部材に一つのフィルムロールしか吊り下げることができない場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【0040】
また、上述した実施形態では、フィルム送出ステーションSにおいて、ロールセット位置γにセットされていたフィルムロールRから送出し終えた送出済みの帯状フィルムFの終端部と、フィルム送出ステーションSに新たに供給されたフィルムロールRから繰り出された送出前の帯状フィルムFの始端部との接続を自動的に行うフィルム接続手段50を備えているが、これに限定されるものではなく、本発明は帯状フィルムFの接続を手作業で行うフィルム送出装置にも適用することができることはいうまでもない。
【0041】
また、上述した実施形態では、筒状のラベルが連続的に繋がった状態でシート状に折り畳まれた長尺の帯状フィルムFを紙管PPにロール状に巻回したフィルムロールRから、帯状フィルムFを繰り出してラベリング装置に送出するフィルム送出装置について説明したが、これに限定されるものではなく、本発明は、単なる帯状フィルムをフィルムロールから繰り出して送出する各種フィルム送出装置に適用することができる。
【0042】
また、上述した実施形態では、長尺の帯状フィルムFを紙管PPにロール状に巻回したフィルムロールRを使用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、紙管のないフィルムロールを使用する場合についても、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明にかかるフィルム送出装置の一実施形態を示す概略平面図である。
【図2】同上のフィルム送出装置を示す概略側面図である。
【図3】同上のフィルム送出装置を構成しているフィルム送出ステーションを示す拡大平面図である。
【図4】同上のフィルム送出装置を構成しているロールストック手段であって、ロール支持部材がロール取出位置に位置している状態を示す正面図である。
【図5】同上のロールストック手段において、ロール支持部材がロール供給位置に位置している状態を示す正面図である。
【図6】同上のロールストック手段を示す平面図である。
【図7】同上のロールストック手段へのフィルムロールの吊り下げ状態を示す平面図である。
【図8】(a)は同上のロール供給手段を示す平面図、(b)は同上のロール供給手段を示す正面図である。
【図9】(a)は同上のフィルム送出装置にセットされるフィルムロールを示す平面図、(b)は同上のフィルムロールを示す側面図である。
【図10】(a)は従来のフィルム送出装置の一実施形態を示す概略平面図、(b)は同上の筒状フィルム送出装置を示す概略側面図である。
【図11】(a)は同上のフィルム送出装置のロールストック手段を構成しているロール支持部材を示す正面図、(b)は同上のロール支持部材を示す側面図である。
【図12】同上の筒状フィルム送出装置のロール供給手段を示す側面図である。
【図13】同上のロールストック手段へのフィルムロールの不適正な吊り下げ状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 フィルム送出装置
10 ロールストック手段
11 回転円盤
12 支持軸
13 駆動モータ
14 ロール支持部材
15a 支持円盤
15b 支持棒(吊下部)
16a、16b 歯車
17 中間歯車
18 カバー部材
19a 発光部
19b 受光部
20 ロール供給手段
21 ベース部材
22 コラム
23 ロールホルダ
23a チャック爪
24 ロール検出センサ
30 ロールセッティング手段
31 ベース部材
32 コラム
33 ロールホルダ
40 フィルム送出手段
41 ロール駆動用モータ
42 フィルム送出ローラ
43 サーボモータ
44 エアダンサユニット
45 アキュームユニット
50 フィルム接続手段
51 段取ユニット
52 切断ユニット
53 移送ユニット
54 接続ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の帯状フィルムを巻回したフィルムロールから、帯状フィルムを繰り出して送出するフィルム送出装置であって、
フィルムロールを吊り下げる吊下部を有する複数のロール支持部材が搭載されたロールストック手段と、
前記ロールストック手段からフィルムロールを1個づつ取り出してフィルム送出ステーションに供給するロール供給手段と、
前記ロール支持部材に吊り下げられているフィルムロールの端面の位置を検出するセンサと
を備え、
前記ロール供給手段は、前記ロール支持部材に吊り下げられているフィルムロール内に進入して、その内周面をクランプした状態で、フィルムロールを前記ロール支持部材から取り出すロールホルダを有しており、
前記センサが検出したフィルムロールの一方の端面の位置と、予め、取得しているロール幅データとに基づいて、前記ロール支持部材に吊り下げられたフィルムロールの他方の端面の位置を算出することで、前記ロール支持部材におけるフィルムロールの吊下位置を認識するようになっていることを特徴とするフィルム送出装置。
【請求項2】
長尺の帯状フィルムを巻回したフィルムロールから、帯状フィルムを繰り出して送出するフィルム送出装置であって、
フィルムロールを吊り下げる吊下部を有する複数のロール支持部材が搭載されたロールストック手段と、
前記ロールストック手段からフィルムロールを1個づつ取り出してフィルム送出ステーションに供給するロール供給手段と、
前記ロール支持部材に吊り下げられているフィルムロールの端面の位置を検出するセンサと
を備え、
前記ロール供給手段は、前記ロール支持部材に吊り下げられているフィルムロール内に進入して、その内周面をクランプした状態で、フィルムロールを前記ロール支持部材から取り出すロールホルダを有しており、
前記センサがフィルムロールの両方の端面の位置を検出することによって、前記ロール支持部材におけるフィルムロールの吊下位置を認識するようになっていることを特徴とするフィルム送出装置。
【請求項3】
前記ロールホルダがフィルムロールの内周面をクランプすると、そのフィルムロールを吊り下げていた前記ロール支持部材の前記吊下部を僅かに降下させるようになっている請求項1または2に記載のフィルム送出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−62920(P2007−62920A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−250635(P2005−250635)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】