説明

フィルム開口機構

【課題】筒状フィルムの長短に拘わらず、筒状フィルムのマンドレルからの送出タイミングにずれが発生したり、筒状フィルムに皺が発生したりすることがないフィルム開口機構を提供する。
【解決手段】筒状フィルムFを被嵌することによって所定状態に開口するマンドレル30と、マンドレル30に被嵌された筒状フィルムFを、フィードベルト46によって、マンドレル30との間に挟み込んでマンドレル30の下方側に移送する上流側フィードベルトユニット40A及び下流側フィードベルトユニット40Bからなるフィルム移送ユニット40と、マンドレル30とフィードベルト46とを、磁気吸引力によって吸着させる吸着手段とを備えており、吸着手段は、マンドレル30におけるフィードベルト46による筒状フィルムFの挟み込み部分に埋設した永久磁石と、フィードベルト46に埋め込んだスチール製の芯線とによって構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート状に折り畳まれた筒状フィルムを、所定形状に開口しながら容器等の被嵌体に被嵌するフィルム被嵌装置に搭載されるフィルム開口機構に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のフィルム被嵌装置に搭載されるフィルム開口機構は、図7に示すように、駆動ローラ61a及び従動ローラ61bからなるフィルム送給ローラユニット61によって送給されたシート状に折り畳まれた状態の長尺フィルムLFを、剪断刃62a、62bを有するフィルム切断ユニット62によって所定長に切断することで形成された個別の筒状フィルムFを被嵌することによって、所定形状に開口する砲弾型のマンドレル63と、このマンドレル63に被嵌された筒状フィルムFをマンドレル63の下端側に移送するフィルム移送ユニット64とを備えており、フィルム移送ユニット64によってマンドレル63の下端部に移送されてきた所定形状に開口された状態の筒状フィルムFを、マンドレル63との間に挟み込む一対のショットローラ65a、65bを有するフィルム送出ユニット65によって、所定のタイミングでフィルム被嵌位置αに送出することで、フィルム被嵌位置αに搬送されてくる容器Bに筒状フィルムFが被嵌されるようになっている。
【0003】
前記マンドレル63には、図8に示すように、その下半部における容器Bの搬送方向の上流側及び下流側の側面に、周面が僅かに突出した状態で、上位ローラ63a、中位ローラ63b、下位ローラ63c及び下端ローラ63dがそれぞれ回転可能に取り付けられており、中位ローラ63bの周面下部を露出させる窪み部63eが形成されている。
【0004】
前記フィルム移送ユニット64は、図7に示すように、マンドレル63に被嵌した状態で、フィルム切断ユニット62によって長尺フィルムLFから切り離された筒状フィルムFを、マンドレル63との間に挟み込んでマンドレル63の下方側に移送する、マンドレル63における容器Bの搬送方向の上流側及び下流側にそれぞれ配設された上流側フィードベルトユニット64A及び下流側フィードベルトユニット64Bから構成されており、上流側フィードベルトユニット64A及び下流側フィードベルトユニット64Bは、それぞれ駆動プーリ64aと4個の従動プーリ64b、64c、64d、64eと、これらに掛け渡されるフィードベルト64fとから構成されている。
【0005】
前記駆動プーリ64a及び従動プーリ64d、64eは、マンドレル63の下位ローラ63c及び上位ローラ63a、中位ローラ63bとの間にフィードベルト64fを介して、筒状フィルムFを挟み込むようになっており、図7に示すように、従動プーリ64eが、マンドレル63に形成された窪み部63eに入り込むことで、中位ローラ63bを介して、マンドレル63を支持するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−091733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したようなフィルム開口機構では、マンドレル63の上位ローラ63a、中位ローラ63b及び下位ローラ63c部分は、フィルム移送ユニット64の従動プーリ64d、64e及び駆動プーリ64aが、フィードベルト64fを介して、筒状フィルムFを挟み込んでいるので、筒状フィルムFに対して十分なグリップ力を確保することができるが、フィードベルト64fだけがマンドレル63との間に筒状フィルムFを挟み込んでいる部分は、筒状フィルムFに対して十分なグリップ力を確保することができない。
【0008】
従って、筒状フィルムFが短く、マンドレル63上での移送途中において、筒状フィルムFがローラとプーリとの間に全く挟み込まれていない状態が存在する場合は、筒状フィルムFがフィードベルト64fに対してスリップし易く、マンドレル63からの筒状フィルムFの送出タイミングにずれが発生するおそれがあるといった問題がある。
【0009】
これに対して、筒状フィルムFが長く、マンドレル63上での移送途中において、筒状フィルムFが、いずれかのローラとプーリとの間に必ず挟み込まれている場合は、マンドレル63からの筒状フィルムFの送出タイミングにずれが発生するおそれはないが、筒状フィルムFにおけるローラとプーリとの間に挟み込まれていない部分がスリップするおそれはあるので、例えば、筒状フィルムFにおける搬送方向の下流側がスリップした場合、そのスリップしている搬送方向下流側の部分がスリップしていない搬送方向上流側の部分に押されて、筒状フィルムFに皺が発生するおそれがある。
【0010】
そこで、この発明の課題は、筒状フィルムの長短に拘わらず、筒状フィルムのマンドレルからの送出タイミングにずれが発生したり、筒状フィルムに皺が発生したりすることがないフィルム開口機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、シート状に折り畳まれた筒状フィルムを所定形状に開口して送出するフィルム開口機構であって、筒状フィルムを被嵌することによって所定状態に開口するマンドレルと、前記マンドレルに被嵌された筒状フィルムを、フィードベルトによって、前記マンドレルとの間に挟み込んで前記マンドレルの下方側に移送する少なくとも1組のフィードベルトユニットとを備え、前記マンドレルと前記フィードベルトとを、磁気吸引力によって吸着させる吸着手段を設けたことを特徴とするフィルム開口機構を提供するものである。
【0012】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明のフィルム開口機構において、前記吸着手段を、前記マンドレルにおける前記フィードベルトによる筒状フィルムの挟み込み部分に埋設した磁石と、前記フィードベルトに設けた磁性体とによって構成したことを特徴としている。
【0013】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明のフィルム開口機構において、前記マンドレルにおける前記フィードベルトによる筒状フィルムの挟込面と筒状フィルムとの間の摩擦係数が、前記フィードベルトと筒状フィルムとの間の摩擦係数よりも小さくなっていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、請求項1に係る発明のフィルム開口機構は、マンドレルとフィードベルトとを、磁気吸引力によって吸着させる吸着手段を設けたので、フィードベルトだけがマンドレルとの間に筒状フィルムFを挟み込んでいる部分についても、筒状フィルムに対して十分なグリップ力を確保することができる。
【0015】
従って、筒状フィルムが短く、マンドレル上での移送途中において、筒状フィルムがローラとプーリとの間に全く挟み込まれていない状態が存在する場合であっても、筒状フィルムがフィードベルトに対してスリップし難く、マンドレルからの筒状フィルムの送出タイミングにずれが発生しにくい。
【0016】
また、筒状フィルムが長い場合であっても、筒状フィルムが部分的にスリップすることがなく、筒状フィルム全体が均一な移送速度で移送されるので、筒状フィルムに皺が発生するおそれもない。
【0017】
また、請求項2に係る発明のフィルム開口機構は、吸着手段を、マンドレルにおけるフィードベルトによる筒状フィルムの挟み込み部分に埋設した磁石と、フィードベルトに設けた磁性体とによって構成しているので、フィルム開口機構自体が簡単かつコンパクトになるという効果が得られる。
【0018】
請求項3に係る発明のフィルム開口機構は、マンドレルにおけるフィードベルトによる筒状フィルムの挟込面と筒状フィルムとの間の摩擦係数が、フィードベルトと筒状フィルムとの間の摩擦係数よりも小さくなっているので、フィードベルトに対して筒状フィルムがさらにスリップしにくく、筒状フィルムを確実に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明に係るフィルム開口機構を搭載したフィルム被嵌装置の一実施形態を示す概略正面図である。
【図2】同上のフィルム開口機構を示す断面図である。
【図3】同上のフィルム開口機構を構成しているマンドレルを示す斜視図である。
【図4】(a)は同上のマンドレルを示す側面図、(b)は同上のマンドレルを示す縦断面図である。
【図5】磁気吸引力の異なる永久磁石をマンドレルに埋設する場合の一例を示す説明図である。
【図6】フィルム開口機構の他の実施形態を示す断面図である。
【図7】従来のフィルム開口機構を搭載したフィルム被嵌装置を示す概略正面図である。
【図8】同上のフィルム開口機構を構成しているマンドレルを示す拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明のフィルム開口機構が搭載されたフィルム被嵌装置を示している。同図に示すように、このフィルム被嵌装置1は、筒状フィルムFが連続的に繋がった、シート状に折り畳まれた状態の長尺フィルムLFから個別の筒状フィルムFを切り離しながら、この筒状フィルムFをフィルム被嵌位置αに順次送出することで、ベルトコンベアによって所定の搬送ピッチでフィルム被嵌位置αに順次搬送されてくる扁平な缶容器(以下、容器という。)Bの胴部に被嵌するようになっており、ロールフィーダに装着された原反ロール(図示せず)から長尺フィルムLFを引き出して送出する、長尺フィルムLFを挟み込む駆動ローラ11及び従動ローラ12を有する長尺フィルム送出ユニット10と、この長尺フィルム送出ユニット10によって送出されてくる長尺フィルムLFを所定長に切断することで個別の筒状フィルムFを形成する、相互に接近離反することによって開閉する剪断刃21、22を有するフィルム切断ユニット20と、このフィルム切断ユニット20によって長尺フィルムLFから切り離された筒状フィルムFを被嵌することによって所定状態に開口する砲弾型のマンドレル30と、このマンドレル30に被嵌された筒状フィルムFをマンドレル30の下端側に移送するフィルム移送ユニット40と、このフィルム移送ユニット40によってマンドレル30の下端部に移送されてきた筒状フィルムFをフィルム被嵌位置αに送出するフィルム送出ユニット50とを備えており、本発明のフィルム開口機構は、上述したマンドレル30及びフィルム移送ユニット40とから構成されている。
【0021】
なお、このフィルム被嵌装置1では、フィルム切断ユニット20によって切断された長尺フィルムLFの端部をマンドレル30に被嵌した後に、フィルム切断ユニット20が所定長の筒状フィルムFを切り離すようになっており、フィルム切断ユニット20における長尺フィルムLFの送出方向の上流側には、擬似接着状態となる長尺フィルムLFの切断端をマンドレル30に確実に被嵌することができるように、長尺フィルムLFの切断端の擬似接着状態を解除するためのインナーガイドユニット(図示せず)が設けられている。
【0022】
前記マンドレル30は、図3及び図4に示すように、上端側が先細の楔状で、下端側が円形状に形成された金属製の本体部31を備えており、この本体部31における楔状の上端部に被嵌された筒状フィルムFが、本体部31の下方側に移送されることによって徐々に開口されていき、本体部31の下端部において円形状に整形されるようになっている。
【0023】
前記本体部31には、その下半部における容器Bの搬送方向の上流側及び下流側の側面に、周面が僅かに突出した状態で、最上位ローラ32、上位ローラ33、中位ローラ34、下位ローラ35及び最下位ローラ36がそれぞれ回転可能に支持されており、本体部31の両側面には、中位ローラ34の周面下部を露出させる窪み部31aが形成されている。なお、上位ローラ33及び下位ローラ35は、それぞれの外周面における幅方向の両端部が径方向外側に張り出すことで、それぞれの外周面に溝部33a、35aが形成されている。
【0024】
前記本体部31における各ローラが取り付けられている両側面には、最上位ローラ32の上側、上位ローラ33と中位ローラ34との間及び中位ローラ34と下位ローラ35との間に磁石収容凹部が形成されており、この磁石収容凹部に永久磁石37a、37b、37c、37d、37e、37fをそれぞれ収容した状態で、それらの永久磁石37a、37b、37c、37d、37e、37fを樹脂プレート38a、38b、38cでそれぞれ押さえ込むように、樹脂プレート38a、38b、38cを本体部31にそれぞれボルト止めすることによって、永久磁石37a、37b、37c、37d、37e、37fが本体部31に保持されている。
【0025】
前記フィルム移送ユニット40は、図2に示すように、マンドレル30に被嵌した状態で、フィルム切断ユニット20によって長尺フィルムLFから切り離された筒状フィルムFを、マンドレル30との間に挟み込んでマンドレル30の下方側に移送する、マンドレル30における容器Bの搬送方向の上流側及び下流側にそれぞれ配設された上流側フィードベルトユニット40A及び下流側フィードベルトユニット40Bから構成されており、上流側フィードベルトユニット40A及び下流側フィードベルトユニット40Bは、それぞれ駆動プーリ41と4個の従動プーリ42、43、44、45と、これらに掛け渡されるフィードベルト46とから構成されている。
【0026】
前記駆動プーリ41及び従動プーリ44、45は、マンドレル30の下位ローラ35及び上位ローラ33、中位ローラ34に対応する位置にそれぞれ配設されており、下位ローラ35及び上位ローラ33、中位ローラ34との間にフィードベルト46を介して、筒状フィルムFを挟み込むようになっている。
【0027】
上流側フィードベルトユニット40A及び下流側フィードベルトユニット40Bの駆動プーリ41及び従動プーリ44、45は、それぞれ同一の支持部材に回転可能に支持されており、従動プーリ45が、マンドレル30における本体部31に形成された窪み部31aに入り込んで、中位ローラ34の下側周面に当接することで、マンドレル30を支持するようになっている。
【0028】
また、駆動プーリ41及び従動プーリ44は、上位ローラ33の溝部33a及び下位ローラ35の溝部35aにそれぞれ嵌り込んでおり、これによって、マンドレル30が、前後方向及び左右方向に位置決めされるようになっている。
【0029】
前記フィードベルト46は、スチール製の芯線が埋め込まれたウレタン製のタイミングベルトであり、マンドレル30における本体部31の両側面に埋設された永久磁石37a、37b、37c、37d、37e、37fの磁気吸引力によって、本体部31の側面における最上位ローラ32の上側部分、上位ローラ33と中位ローラ34との間の部分及び中位ローラ34と下位ローラ35との間の部分にそれぞれ吸着されるようになっている。
【0030】
なお、各永久磁石37a、37b、37c、37d、37e、37fは、全て同一の磁気吸引力(例えば、1.71kgf、2.53kgf、4.87kgf程度)を有しており、筒状フィルムF(裏面に白色インキ[大日精化工業株式会社製のNT−ハイラミック]による全面印刷が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム)の表面に対するフィードベルト46の静摩擦係数が0.62、動摩擦係数が1.74、筒状フィルムF(裏面に白色インキ[大日精化工業株式会社製のNT−ハイラミック]による全面印刷が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム)の裏面に対する樹脂プレート38a、38b、38c(樹脂材料:ポリアセタール)の静摩擦係数が0.26、動摩擦係数が0.21である。
【0031】
前記フィルム送出ユニット50は、図2に示すように、マンドレル30の最下位ローラ36、36に対応する位置にそれぞれ配設された、フィルム移送ユニット40によってマンドレル30の下端部まで移送されてくる筒状フィルムFを受け取って最下位ローラ36、36との間に挟み込む、フィルム移送ユニット40の駆動プーリ41、41の回転駆動力を利用して回転するショットローラ51、51を備えており、このショットローラ51、51が、筒状フィルムFを最下位ローラ36、36との間に挟み込んだ状態で回転することによって、筒状フィルムFがマンドレル30の下端部から送出され、フィルム被嵌位置αに搬送されてきた容器Bに被嵌されるようになっている。
【0032】
以上のように、このフィルム被嵌装置1に搭載されたフィルム開口機構は、マンドレル30の本体部31に埋設した永久磁石37a、37b、37c、37d、37e、37fの磁気吸引力によって、スチール製の芯線が埋め込まれたフィルム移送ユニット40のフィードベルト46を、マンドレル30の本体部31の両側面に吸着させるようにしたので、駆動プーリ41及び従動プーリ44、45と、下位ローラ35及び上位ローラ33、中位ローラ34とによって挟み込まれておらず、フィードベルト46だけが本体部31との間に筒状フィルムFを挟み込む部分についても、筒状フィルムFに対して十分なグリップ力を確保することができる。
【0033】
従って、図1に示すように、筒状フィルムFが短く、マンドレル30上での移送途中において、筒状フィルムFが駆動プーリ41及び従動プーリ44、45と、下位ローラ35及び上位ローラ33、中位ローラ34との間に全く挟み込まれていない状態が存在する場合であっても、筒状フィルムFがフィードベルト46に対してスリップし難く、マンドレル30からの筒状フィルムFの送出タイミングにずれが発生しにくい。
【0034】
また、筒状フィルムFが長い場合であっても、筒状フィルムFにおける、駆動プーリ41及び従動プーリ44、45と、下位ローラ35及び上位ローラ33、中位ローラ34との間に挟み込まれておらず、フィードベルト46だけが本体部31との間に挟み込んでいる箇所が部分的にスリップすることがなく、筒状フィルムF全体が均一な移送速度で安定した状態で移送されるので、筒状フィルムFに皺が発生するおそれもない。
【0035】
また、上述したように、筒状フィルムFに対するフィードベルト46の摩擦係数(静摩擦係数:0.62、動摩擦係数:1.74)が、筒状フィルムFに対する樹脂プレート38a、38b、38cの摩擦係数(静摩擦係数:0.26、動摩擦係数:0.21)よりも大きくなっているので、フィードベルト46に対して筒状フィルムFがさらにスリップしにくく、筒状フィルムFを確実に搬送することができる。
【0036】
なお、筒状フィルムFに対するフィードベルト46の摩擦係数及び筒状フィルムFに対する樹脂プレート38a、38b、38cの摩擦係数は、上述した数値に限定されるものではなく、[(筒状フィルムFに対するフィードベルト46の動摩擦係数)−(筒状フィルムFに対する樹脂プレート38a、38b、38cの動摩擦係数)]が、1.0以上の範囲内になるように、フィードベルト46や樹脂プレート38a、38b、38cの素材及び表面性状等を設定すればよい。
【0037】
また、上述した実施形態では、同一の磁気吸引力を有する永久磁石37a、37b、37c、37d、37e、37fを使用しているが、これに限定されるものではなく、設置個所に応じて、磁気吸引力の異なる永久磁石を使用することも可能である。具体的には、図5に示すように、磁気吸引力が作用しない状態から作用する状態に移行する際に、永久磁石の磁気吸引力が抵抗とならないように、本体部31の上端部に設置する永久磁石37a、上位ローラ33や中位ローラ34の後に設置される永久磁石37e、37fについては、磁気吸引力が弱いものを使用すると共に、永久磁石37aに続く永久磁石37bについては、磁気吸引力が中程度のものを使用し、これに続く2つの永久磁石37c、37dについては、磁気吸引力が強いものを使用するようにしてもよい。
【0038】
また、マンドレル30に対するフィードベルト46の吸着力を調整するには、マンドレル30に埋設する永久磁石37a、37b、37c、37d、37e、37fの厚みを調整すればよく、さらに微調整が必要な場合は、各永久磁石37a、37b、37c、37d、37e、37fと、磁性体を埋め込んだフィードベルト46との間の距離、即ち、各永久磁石37a、37b、37c、37d、37e、37fの埋設深さを調整すればよい。
【0039】
また、上述した実施形態では、フィルム移送ユニット40のフィードベルト46にスチール製の芯線を埋め込んでいるが、これに限定されるものではなく、鉄粉等の磁性体からなる粉体を練り込んだ樹脂によって形成されたフィードベルトを使用したり、フィードベルトにおける筒状フィルムFとの接触面に磁性体をコーティングしたり、磁性体シート等を貼り付けたりすることも可能である。
【0040】
さらに、図6に示すように、磁性体プレート47aや磁性体ピース47b、47cをマンドレル30における本体部31の側面に対して接近離反可能に支持し、本体部31に埋設した永久磁石37a、37b、37c、37d、37e、37fの磁気吸引力によって、磁性体プレート47aや磁性体ピース47b、47cをマンドレル30側に吸着させることで、磁性体が埋め込まれていないフィードベルトをマンドレル30と磁性体プレート47aや磁性体ピース47b、47cとの間に挟み込むようにしてもよい。
【0041】
逆に、マンドレル30における本体部31の側面を磁性体によって形成すると共に、永久磁石からなる磁気プレートや磁気ピースをマンドレル30における本体部31の側面に対して接近離反可能に支持し、磁気プレートや磁気ピースの磁気吸引力によって、磁気プレートや磁気ピース自体をマンドレル30側に吸着させることで、磁性体が埋め込まれていないフィードベルトをマンドレルと磁気プレートや磁気ピースとの間に挟み込むようにしてもよい。
【0042】
また、上述した各実施形態では、永久磁石を使用しているが、これに限定されるものではなく、電磁石を使用することも可能であり、電磁石を使用すると、磁気吸引力の調整も容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のフィルム開口機構は、シュリンクラベルやキャップシール等の筒状フィルムを容器等の被嵌体に被嵌する装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 フィルム被嵌装置
10 長尺フィルム送出ユニット
11 駆動ローラ
12 従動ローラ
20 フィルム切断ユニット
21、22 剪断刃
30 マンドレル
31 本体部
31a 窪み部
32 最上位ローラ
33 上位ローラ
33a 溝部
34 中位ローラ
35 下位ローラ
35a 溝部
36 最下位ローラ
37a、37b、37c、37d、37e、37f 永久磁石(吸着手段)
38a、38b、38c 樹脂プレート
40 フィルム移送ユニット
40A 上流側フィードベルトユニット
40B 下流側フィードベルトユニット
41 駆動プーリ
42、43、44、45 従動プーリ
46 フィードベルト
47a 磁性体プレート
47b、47c 磁性体ピース
50 フィルム送出ユニット
51 ショットローラ
B 缶容器
F 筒状フィルム
LF 長尺フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状に折り畳まれた筒状フィルムを所定形状に開口して送出するフィルム開口機構であって、
筒状フィルムを被嵌することによって所定状態に開口するマンドレルと、
前記マンドレルに被嵌された筒状フィルムを、フィードベルトによって、前記マンドレルとの間に挟み込んで前記マンドレルの下方側に移送する少なくとも1組のフィードベルトユニットと
を備え、
前記マンドレルと前記フィードベルトとを、磁気吸引力によって吸着させる吸着手段を設けたことを特徴とするフィルム開口機構。
【請求項2】
前記吸着手段を、前記マンドレルにおける前記フィードベルトによる筒状フィルムの挟み込み部分に埋設した磁石と、前記フィードベルトに設けた磁性体とによって構成した請求項1に記載のフィルム開口機構。
【請求項3】
前記マンドレルにおける前記フィードベルトによる筒状フィルムの挟込面と筒状フィルムとの間の摩擦係数が、前記フィードベルトと筒状フィルムとの間の摩擦係数よりも小さくなっている請求項1または2に記載のフィルム開口機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−201573(P2011−201573A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71510(P2010−71510)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)