説明

フェースマスク

顔の皮膚の洗浄のためのフェースマスクである。フェースマスク(100)はフェースマスクの洗浄信号発生器が生成する電気洗浄信号を受ける2個以上の電極(22,23)を備え、フェースマスク(100)内にある電極は正電極(22)と負電極(23)とを備える電極対(24)として配置され、全ての電極対(24)はフェースマスク(100)内の実質的に顔の領域内にある。このフェースマスクの特徴は、フェースマスク(100)の外縁が、フェースマスクのユーザの皮膚にフェースマスクを付けるための掴み手段(120)を備える縁部(101)を有することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚の洗浄に関するものであって、特に顔の皮膚を洗浄するためのフェースマスクに関し、フェースマスクは洗浄信号を生成する洗浄信号発生器に接続する2個以上の電極を備える。
【背景技術】
【0002】
図1に係るフェースマスクは周知のものであって、フェースマスクの外部の洗浄信号発生器1が生成する電気洗浄信号を受ける2個以上の電極22,23を備え、フェースマスク内にある電極は正電極と負電極とを備える電極対として配置され、フェースマスク内にある。また、フェースマスクは皮膚に当たる繊維層を備える。繊維材料は優れた吸着性を有し、電極が与える電流により強化される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フェースマスクは、フェースマスクをユーザの顔に押し付ける硬い外側部を備える。この硬い部分は、例えば頭または耳の後ろで、バンド30などで締めて顔に固定する。このようにバンドを締めるのはユーザにとって面倒でありまた不便である。また、顔の形はユーザにより異なるので、硬い部分の下部を皮膚に均一に当てることはできない。したがって、電流は処置する全ての領域に均一に分布しない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、ユーザの顔に密着しかつフェースマスクと洗浄する領域との間を洗浄液を通して電気的に接続するフェースマスクを提供することである。本発明の目的は、独立クレームに開示される特徴を有するフェースマスクにより達成される。本発明の好ましい実施の形態は従属クレームに開示されている。
本発明の目的は顔の皮膚を洗浄するためのフェースマスクを提供することであって、このフェースマスクは、フェースマスクのユーザの皮膚にフェースマスクを付けるための掴み手段(gripping means)を設けた縁部を備える。この掴み手段により、全ての顔の形に合うようにフェースマスクを調整することができる。掴み手段は適当な接着剤で作ってよく、使用後は容易に除去することができるが、使用中はフェースマスクを顔に密着させる。接着剤は点状でよく、または縁部をより広くカバーしてよい。
【0005】
1つの実施の形態では、フェースマスクはフェースマスクのユーザの鼻の部分に設ける位置合わせ部を備える。電極の間の或る部分は絶縁部を含み、マスク内で電流が皮膚を通らずに電極の間に流れるのを防ぐ。位置合わせ部は、フェースマスクをフェースマスクのユーザの鼻に密着させるための掴み手段も備える。フェースマスクには別の位置合わせ部(例えば、あごの部分)も設けてよい。顔の前面のあごにこのような位置合わせ部を設ける目的は、口の開口部を調整できるようにすることである。フェースマスクは目と口の部分に十分の大きさの開口部を備える。導電層内の開口部は更に大きい。それは吸着層の導電層がユーザの皮膚または目に直接触れるのを防ぐためである。
【0006】
別の実施の形態では、フェースマスクの縁部は伸縮性があり、マスクを付けている間固定することができる。
更に別の実施の形態では、フェースマスクは層構造を有し、皮膚に当てる吸着層と、導電層と、上部プラスチック層(他の層より広くて、フェースマスクをユーザの顔に付けるための縁部を持つフェースマスクの縁を形成する)とを備える。
フェースマスクは層構造を有し、少なくとも1つの吸着層と1つの導電層とを含む。更に、導電層は適当な外側の表面層でカバーしてよい。この表面層は粘着性のプラスチック・フィルムでよく、これを導電層および吸着層の上にスプレイして、粘着性のプラスチック・フィルムを導電層および吸着層に固定させる。スプレイ可能なプラスチック・フィルムは柔軟で薄い。
【0007】
吸着層は、繊維で、または吸着性を有する材料で作ってよい。繊維織、すなわち対応する吸着層は洗浄液を受けて吸着層に結合させることが可能でなければならない。かかる繊維織の代わりにフィルムを用いてもよい。その場合は、使用中は洗浄液がフェースマスク内に留まるように、洗浄液を更に固い形(例えば、ゲル状の洗浄液)にしなければならない。
繊維織は、例えばFi−brella(TM)と呼ばれる繊維織物で作ってよい。これはウォーター・ニードル・パンチ状(water needle−punched)で、固着剤を含まない(binder−free)。衛生的であり吸着性が十分なヘルスケアおよび医療用の材料も本発明に係るマスクの材料に適している。
【0008】
吸着層は薄い。吸着材料の厚さは好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下、最も好ましくは1mm以下である。薄い吸着層は皮膚の輪郭どおりの形に容易にすることができる。薄い繊維自体は軽いので、皮膚の上に容易に留まる。しかし吸着層は、処置期間の始めに皮膚に与えるべき液量に対応する少なくとも或る量の液を受けることができるだけの十分な吸着性および厚さを有しなければならない。皮膚が受けることができる液の量は限られる。しかし、処置中に皮膚が乾くのを防ぐために、少なくともこの液量を繊維内に吸着しなければならない。液を皮膚内に与えた後は、電流に助けられて湿った皮膚から戻る液および不純物を受けることができるように、この薄い吸着層は十分乾燥していなければならない。
【0009】
導電層は、例えばアルミニウム板から切り取った2個以上の別個の電極を備えてよい。これらの板は、切ってフェースマスク内に(例えばマスク内の鼻の両側に)置いてよい。必要に応じて炭層で覆ったアルミニウム層を用いてよい。これは、この層がユーザにとってアルミニウム層より適当である場合である。または、金や銀などの貴金属でアルミニウム層にめっきしてよい。
【0010】
導電層は、例えばスクリーン印刷法により吸着層に付着させた銀または炭ペーストで作ってよい。導電層は印刷またはエッチングにより実現してもよい。短絡回路を避けるために、電極は互いに少し間隔をあけなければならない。板状の電極には、フェースマスクを密着させるために切込みを設けてよく、または穴をあけてよい。ユーザは、ユーザの顔に密着するように板の種々の部分を軽くたたくとよい。
【0011】
導電層の電極は網状でもよい。かかる網状の電極は繊維内に直接(例えば、蒸着または注入により)形成してよい。1つの一般的な方法は、2つの繊維層を用いて、1つの層を蒸着アルミニウムで形成することである。蒸着により、導電層に種々の形の電極パターンを形成することができる。かかるパターンにより、或る領域(例えば、鼻または額)に別の有効性を加えることができる。電極パターンはスクリーン印刷により繊維内に形成してもよい。アルミニウムに加えて、導電層は、例えば金、銀、炭で作ってよい。導電電極はグラファイト板でもよい。電極部はプラスチックの分子構造を電気に似たものにしたナノテクノロジを用いて実現してもよい。かかるフェースマスクは、例えば金属に対するアレルギのある人にとって好ましい。フェースマスクは或る場所の導電層を硬くすることにより密着させてよい。例えば、鼻の領域に更に厚い二重の導電層を設けてよい。また、フェースマスクの異なる部分に異なる厚さの材料を用いてもよい。
【0012】
フェースマスクの最上層はプラスチック・フィルムでよい。種々の層を、例えば超音波により互いに接着してよい。その場合は、導電層は吸着層と表面層との間に設ける。導電層は上部プラスチック層の下側に直接設けてもよい。導電層は穴をあけてもよい。その場合は、プラスチック層を加熱することにより最上層を最下層に接着させて、導電層内に形成される穴を通して最上層と最下層とを接着させる。このような接着法を用いると、種々の層を互いに接着させるのににかわを用いなくてよくなる。接着は、溶けるにかわ点、シリコン点、またはプラスチック・リベットを用いて実現してもよい。吸着層と上部層とはユーザが互いに接着させてもよい。その場合は、1つの層ににかわ部を設け、各層を互いに受けて接着させる。例えば液が吸着層内にすでに吸着されているときには、ユーザはこのようなにかわ付けを行うことが好ましい。
【0013】
フェースマスクの吸着層の上にある最上部のプラスチック層は少なくとも部分的に透湿性でよく、これにより処置の間に吸着層はよく乾燥する。その場合は、皮膚が受けられない「過剰の」吸着液はフェースマスクの外側のプラスチック層を通して蒸発してよい。これにより吸着層は乾燥し、処置が終わるころに不純物は液と共に皮膚から吸着層に吸着される。
【0014】
掴み手段は除去可能なカバー紙で覆った接着剤で作ってよい。縁部に加えて、フェースマスク全体を除去可能なカバー紙で覆ってよい。その場合は、吸着層は保管している間清潔に保たれる。フェースマスクの製作中に洗浄液をすでにフェースマスク内に吸着させてあるときは、フェースマスク全体を覆うカバー紙は特に好ましい。カバー紙上にしっかり固まって保存性がよくなるようにするために、洗浄液はゲル状でもよい。かかる掴み手段は縁部内に設ける両面ステッカ・テープで実現してもよい。
【0015】
フェースマスクは部分フェースマスクでもよい。部分フェースマスクとは、例えば額の上に置くマスク、または鼻の領域の上に置くフェースマスクを指す。フェースマスクはすでに、例えば鼻の部分で伸ばしておいてよい。また、フェースマスクを一層密着させるために、マスクの厚さを鼻の部分で変えてよい。
フェースマスクの電極には外部装置から導体ワイヤで電流を与えてよい。導体ワイヤをフェースマスクから外に伸ばしてよく、または導体ワイヤを受けるコネクタをマスクに設けてよい。コネクタはフェースマスクの下部に、例えばあごの下に設けてよい。
【0016】
好ましい実施の形態に関して、添付の図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0017】
図2は、本発明に係るフェースマスクの、皮膚に当てる吸着層の前面図である。フェースマスク100は導体ワイヤ11を接続するコネクタ10を含む。またフェースマスク内に電極の導体を設けて、コネクタ10を用いずに、洗浄信号を生成する洗浄信号発生器に導体を直接接続するようにしてよい。ここではフェースマスクの形は長方形であるが、別の形でもよい(例えば楕円形でよい)。フェースマスク100の大きさも変わってよく、図5から図7に示すように、或る領域だけを覆う部分フェースマスク100でもよい。フェースマスク100の外縁は、フェースマスクをユーザの皮膚に付けるための掴み手段120を備える縁部101を有する。
【0018】
縁部101はここでは、掴み手段120(例えば、繊維に接着したにかわ点)を備える伸縮性の繊維で作る。ここでは掴み手段は、フェースマスクをユーザの皮膚の上に固定するための6つのにかわ点を備える。伸縮性の縁部および掴み手段により、フェースマスクを密着させることができる。図には6つのにかわ点を示すが、その数と大きさは変わってよい。テープ状の掴み手段で縁部を完全に覆ってもよいが、その場合は縁部に従ってたわむ必要がある。除去可能なカバー紙で掴み手段を覆ってもよい。縁部101に加えてフェースマスク全体を除去可能なカバー紙で覆ってもよく、その場合は、吸着層は保管している間清潔に保たれる。
【0019】
図3は、本発明に係るフェースマスク100の第1の実施の形態を示す。このフェースマスクは縁部101に加えて絶縁部110を備える。絶縁部110の目的は、フェースマスク100内で電流が皮膚を通らずに電極の間に流れるのを防ぐことである。絶縁部の大きさおよび形は電極の形に従って変わってよいことが分かる。縁部はプラスチック材料で作ってもよい。その場合は、最上部のプラスチック層は他の層より大きい。伸縮性の最上部のプラスチック層によりフェースマスクをユーザの顔の上に付けることができる。
【0020】
図4は本発明に係るフェースマスクの第2の実施の形態を示す。フェースマスク100は2つの位置合わせ部121および122を備える。フェースマスクはユーザの鼻の部分に第1の位置合わせ部121を有する。ここにはフェースマスクのユーザの鼻に応じてフェースマスクを調整して付けるための掴み手段120を備える。第2の位置合わせ部122はユーザのあごの部分に設ける。第2の位置合わせ部の目的はユーザの口の部分のフェースマスクの開口部を調整することである。位置合わせ部の幅および長さは変わってよい。
【0021】
図5は本発明に係るフェースマスクの第3の実施の形態を示す。フェースマスク100は顔の或る部分を覆う部分フェースマスクである。ここに開示する部分フェースマスクは顔の下部を覆う。
【0022】
図6および図7は本発明に係るフェースマスクの導電層を、電極が見える形で示す。図6は本発明に係るフェースマスクの第4の実施の形態を示す。フェースマスク100は顔の或る部分を覆う部分フェースマスクである。ここに開示する部分フェースマスクは顔の上部を覆う。図から明らかなようにコネクタから電極22および23まで導体を設け、導体11の電流を電極に向けて流す。また、電極22、23の大きさおよび形は図に示すものとは異なってよいことが分かる。
【0023】
図7は本発明に係るフェースマスクの第5の実施の形態を示す。フェースマスク100内の下部電極は片状であるが、上部電極は網状に重なり合う。片状および網状の電極は、例えば蒸着または注入により繊維内に直接形成してよい。蒸着により導電層に種々の形の電極パターンを形成することができる。かかるパターンにより、或る領域(例えば、鼻の領域または額の領域)に別の有効性を加えることができる。またかかるパターンにより、或る点の電極を全くなくすることができる。必要に応じて、例えば額の両側の電極22、23を全くなくしてよい。電極パターンはスクリーン印刷により繊維内に形成してよい。
【0024】
当業者に明らかなように、技術が進歩するに従って、本発明の基本的考えを多くの異なる方法で実現してよい。このように、本発明およびその実施の形態は上に説明した例に限定されるものではなく、クレームの範囲内で変わってよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】バンドで固定する従来技術のフェースマスクを示す。
【図2】本発明に係るフェースマスクの前面である。
【図3】本発明に係るフェースマスクの第1の実施の形態を示す。
【図4】本発明に係るフェースマスクの第2の実施の形態を示す。
【図5】本発明に係るフェースマスクの第3の実施の形態を示す。
【図6】本発明に係るフェースマスクの第4の実施の形態を示す。
【図7】本発明に係るフェースマスクの第5の実施の形態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔の皮膚の洗浄のためのフェースマスクであって、
前記フェースマスクの洗浄信号発生器が生成する電気洗浄信号を受ける2個以上の電極(22,23)を備え、
該電極(22,23)は正電極(22)と負電極(23)とを備える電極対(24)として前記フェースマスク(100)内に配置され、全ての前記電極対(24)は前記フェースマスク(100)内にあり、
その特徴は、
前記フェースマスク(100)は皮膚に当たる薄い吸着層を備え、フェースマスク(100)の外縁は、フェースマスクのユーザの皮膚にフェースマスクを付けるための掴み手段(120)を備える縁部(101)を有する、
ことである前記フェースマスク(100)。
【請求項2】
前記吸着層は繊維織で作ることを特徴とする請求項1記載のフェースマスク。
【請求項3】
前記吸着層はウォーター・ニードル・パンチ状の、固着剤を含まない繊維織物で作ることを特徴とする請求項2記載のフェースマスク。
【請求項4】
前記吸着層の厚さは3mm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載のフェースマスク。
【請求項5】
前記吸着層の厚さは2mm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載のフェースマスク。
【請求項6】
前記吸着層の厚さは1mm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載のフェースマスク。
【請求項7】
前記フェースマスク(100)は、ユーザの鼻の部分に前記ユーザの鼻に応じて前記フェースマスクを付けるための掴み手段(120)を備える位置合わせ部(121)を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載のフェースマスク。
【請求項8】
前記縁部(101)は弾性を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載のフェースマスク。
【請求項9】
フェースマスク(100)は層構造であり、
皮膚に当てる吸着層と、
導電層および上部プラスチック層であって、他の層より広く、前記フェースマスクをユーザの顔に付けることができる前記縁部を持つ前記フェースマスクの縁を形成する、前記導電層および前記上部プラスチック層と、
を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載のフェースマスク。
【請求項10】
前記上部プラスチック層は少なくとも部分的に透湿性であることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項記載のフェースマスク。
【請求項11】
前記吸着層は繊維で作り、前記導電層は前記繊維内に蒸着させて形成することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項記載のフェースマスク。
【請求項12】
前記導電層は前記上部のプラスチック層の下側に形成することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項記載のフェースマスク。
【請求項13】
前記導電層は網状であることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項記載のフェースマスク。
【請求項14】
前記導電層は穴があいていることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項記載のフェースマスク。
【請求項15】
前記フェースマスク(100)は前記ユーザの顔の或る部分だけを覆う部分フェースマスクであることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項記載のフェースマスク。
【請求項16】
前記掴み手段(120)は接着剤を含み、除去可能なカバー紙を備えることを特徴とする請求項1から15のいずれか一項記載のフェースマスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−517154(P2009−517154A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542787(P2008−542787)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【国際出願番号】PCT/FI2006/050527
【国際公開番号】WO2007/063186
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(508160358)
【出願人】(508160369)
【Fターム(参考)】