説明

フォームプレートの製造方法

本発明は、ポリマー被膜を有し、且つ事前発泡されたフォーム粒子から、成形型内で圧力下にフォーム成形物を製造する方法であって、ポリマー被膜が不透熱性化合物を含むことを特徴とする方法に関し、及びこれらから製造される成形物、及びその使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー被膜(polymer coating)を有する、事前発泡されたフォームから、フォーム成形物を製造する方法、及びこれらから製造されたフォーム成形物、及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
膨張フォーム(発泡フォーム:expanded foam)は、通常、フォーム粒子、例えば、事前発泡した、膨張可能なポリスチレン粒子(EPS)又は膨張したポリプロピレン粒子(EPP)を、閉鎖した成形型(mold)内で、蒸気を使用して焼結すること(sintering)により得られる。フォーム粒子を、後に膨張可能とするために、及び溶融してフォーム成形物を形成するために、これらは通常、少量の発泡剤を含む。従って、フォーム粒子は、事前発泡の後、あまりに長期間保管されるべきではない。これに加え、膨張したフォームから粉砕された、不要になったリサイクルフォーム材料は、後に膨張性を有していないために、新しいフォーム成形物を製造するために、これらは少量でしか混合できない。
【0003】
特許文献1(WO00/050500)には、火炎に対して抵抗性を有するフォームが記載されており、このフォームは、ナトリウムシリケート水溶液と高分子量のビニルアセテートコポリマーのラテックスが混合された、事前発泡したポリスチレン粒子を、成形型に注がれた状態で、振りながら乾燥させることにより製造されている。この技術は、ポリスチレンポリマー粒子は、数箇所でしか互いに粘着結合しておらず、基礎がゆるく、従って、機械的強度が不十分である。
【0004】
特許文献2(WO2005/105404)は、フォーム成形物を製造するための、エネルギー節約型の方法が記載されている。この方法では、事前発泡された粒子は、膨張性ポリマーの軟化温度よりも低い軟化温度を有する樹脂溶液で被覆されている。被覆されたフォーム粒子は、次に成形型内で外圧下に、又はフォーム粒子を後膨張(後発泡:after-expansion)させることにより、通常の方法で、加熱された蒸気を使用して互いに融合される。ここで、被膜の水溶性成分は、洗浄除去可能である。導入箇所での温度が比較的高く、そして、凝縮した場合の蒸気冷却のために、フォーム粒子の融合及び密度は、フォーム体全体に渡って大きく変動し得るものとなる。これに加え、フォーム粒子の隙間に、凝縮した蒸気が閉じ込められ得る。
【0005】
カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム又は金属酸化物等の不透熱性材料(athermaous material)をフォームに挿入することにより、熱伝導性を低下させることは、例えば特許文献3(WO98/51734)から公知である。膨張性ポリスチレンに不透熱性材料を導入することは、しかしながら、発泡特性(発泡挙動)に影響を及ぼし得る。
【0006】
特許文献4(EP−A620246)には、カーボンブラック等の粒子状不透熱性材料が、事前発泡されたポリスチレンフォーム粒子の表面に得ることができる、膨張したポリスチレンフォームか開示されている。しかしながら、このことは通常、加工の間、高度のダスト汚染をもたらし、そしてフォーム成形物を形成するために、加熱蒸気を使用するのに、融合性を悪化させることとなる。
【0007】
【特許文献1】WO00/050500
【特許文献2】WO2005/105404
【特許文献3】WO98/51734
【特許文献4】EP−A620246
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、上述した不利な点を解消し、そして熱伝導性が低く、そして良好な機械的特性を有するフォーム成形物を製造するための単純で、及びエネルギーを節約する方法を見出すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、ポリマー被膜を有する、事前発泡されたフォーム粒子を焼結することにより、フォーム成形物を製造する方法であって、ポリマー被膜が不透熱性化合物を含む方法が見出された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
フォーム粒子として、膨張ポリエチレン(EPE)又は膨張ポリプロピレン(EPP)等の膨張ポリオレフィン(発泡ポリオレフィン:expanded polyolefin)又は膨張性スチレンポリマー(発泡性スチレンポリマー:expandable styrene polymer)、特に膨張性ポリスチレン(EPS)の事前発泡した粒子を使用することが可能である。フォーム粒子は、通常、平均粒子径が2〜10mmの範囲である。フォーム粒子のかさ密度は、DIN EN ISO60で測定して、通常、5〜50kg/m3であり、好ましくは5〜40kg/m3であり、そして特に8〜16kg/m3である。
【0011】
スチレンポリマーに基づくフォーム粒子は、加熱空気又は蒸気を使用して、プレフォーマー(事前発泡器)内で、EPSを所望の密度に事前発泡することにより得ることができる。圧力プレフォーマー又は連続プレフォーマー内で、単一の又は複数の事前発泡を行うことにより、最終的なかさ密度が10g/l未満のものがここで得られる。
【0012】
好ましい方法は、以下の工程、
a)膨張可能なスチレンポリマーを事前発泡してフォーム粒子を形成する工程、
b)フォーム粒子を、ポリマー溶液又は水性ポリマー分散物で被覆する工程、
c)被覆されたフォーム粒子を成形型内に導入し、そして蒸気を使用することなく、圧力下で焼結する工程、
を含む。
【0013】
その高い断熱特性に基づいて、カーボンブラック、アルミニウム又はグラファイト等の不透熱性固体物、特に、平均粒子径が1〜50μmのグラファイトを、ESPに対して0.1〜10質量%の量で、特に2〜8質量%の量で含む、事前発泡した膨張性スチレンポリマーを使用することが特に好ましく、及び例えば、EP−B981574及びEP−B981575により公知である。
【0014】
ポリマーフォーム粒子は、難燃剤を施すことが可能である。これらはその目的のために、例えば、1〜6質量%の、ヘキサブロモシクロデカン(HBCD)等の有機臭素化合物、及び、所望により、追加的に、0.1〜0.5質量%のビクミル(bicumyl)又は過酸化物(peroxide)を含むことができる。
【0015】
本発明の方法は、リサイクルされたフォーム成形物から粉砕されたフォーム粒子を使用して行うこともできる。本発明のフォーム成形物を製造するために、リサイクルされたフォーム材料を100%使用するか、又は2〜90質量%、特に5〜25質量%を新しい材料と一緒に使用することができ、これにより、強度と機械的特性が大きく損なわれることがない。
【0016】
通常、被膜(被覆物)は、ポリマーフィルムを含み、このポリマーフィルムは、−60℃〜+100℃の範囲に1つ以上のガラス遷移温度を有し、そして所望により、充填剤が挿入されていても良い。ポリマーフィルムのガラス遷移温度は、−30℃〜+80℃の範囲が好ましく、−10℃〜+60℃の範囲が特に好ましい。ガラス遷移温度は、差異スキャンニングカロリメトリー(DSC)によって測定可能である。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリマーフィルムの分子量は、400000g/mol未満であることが好ましい。
【0017】
フォーム粒子を被覆するために、通常の方法を使用することができ、この通常の方法は、通常のミキサー、スプレー装置、浸漬装置、又はドラム装置内で、フォーム粒子を、ポリマー溶液又はポリマー分散物で、スプレー(噴霧)すること、浸漬又はぬらすこと(wetting)、又は固体ポリマー又は固体上に吸収されたポリマーでドラム被覆すること等である。
【0018】
被覆に適切なポリマーは、例えば、以下のモノマーに基づいたポリマーであり、すなわち、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、tert−ブチルスチレン、ビニルスチレン、ビニルトルエン、1,2−ジフェニルエチレン、1,1−ジフェニルエチレン等のビニル芳香族モノマー、エチレン又はプロピレン等のアルケン、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、ピペリレン又はイソプレン等のジエン、アクリル酸及びメタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸、これらのエステル、特にアルキルエステル、特にアクリル酸のC1-10アルキルエステル酸、特にブチルエステル、好ましくは、n−ブチルアクリレート、及びメタクリル酸のC1-10−アルキルエステル、特にメチルメタクリレート(MMA)、又はカルボキシアミド、例えばアクリルアミド及びメタクリルアミド等のモノマーに基づいたポリマーである。
【0019】
ポリマーは、適切であれば、1〜5質量%のコモノマー、例えば、(メト)アクリロニトリル、(メト)アクリルアミド、ウレイド(メト)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メト)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メト)アクリレート、アクリルアミドプロパンスルホン酸、メチロールアクリルアミド又はビニルスルホン酸のナトリウム塩を含むことができる。
【0020】
被膜(被覆物)のポリマーは、1種以上のモノマー、スチレン、ブタジエン、アクリル酸、C1-4−アルキルアクリレート、C1-4−アルキルメタクリレート、アクリルアミド、メトアクリルアミド、又はメチロールアクリルアミドから形成されることが好ましい。
【0021】
ポリマー被膜のために適切なバインダーは、特にアクリレート樹脂であり、このアクリレート樹脂は、適切であれば、セメント、石灰セメント又はギプスプラスターに基づいた、水中硬化性(hydraulic)バインダーと一緒に、フォーム粒子に水性ポリマー分散物として施されることが好ましい。適切なポリマー分散物は、例えば、WO00/50480に記載されているように、エチレン性不飽和モノマー、例えばスチレン、アクリレート、又はメタクリレートの遊離基乳濁重合によって得ることができる。
【0022】
純粋なアクリレート、又はスチレン−アクリレート(スチレン−アクリレートは、モノマー、スチレン、n−ブチルアクリレート、メチルメトアクリレート(MMA)、メタクリル酸、アクリルアミド又はメチロールアクリルアミドから生成される)が特に好ましい。
【0023】
ポリマー分散物は、それ自身公知の方法、例えば、乳濁、懸濁又は分散重合により、好ましくは水性相中で製造される。ポリマーを溶解(solution)又はバルク重合によって製造し、適切であれば、これを粉砕し、そして次にポリマー粒子を通常の方法で、水中に分散させることも可能である。重合において、開始剤、乳化剤又は懸濁助剤、調節剤(regulator)又はそれぞれの重合法のための他の通常の助剤が付随して使用され、そして、重合は、適切な反応器内で、連続的又は非連続的(バッチ式)に、それぞれの方法における通常の温度と圧力で行われる。
【0024】
0.1〜100μmの範囲、特に0.5〜10μmの範囲に粒子サイズ(粒子径)を有する充填剤は、ポリスチレンフォーム中に10質量%の割合で存在する場合には、熱伝導性を1〜3mW低減させる。従って、カーボンブラック及びグラファイト等のIR吸収剤が比較的低い量であっても、比較的低い熱伝導性が達成される。
【0025】
熱伝導性を低下させるために、カーボンブラック、コークス、アルミニウム又はグラファイトを、被膜の固体物に対して、0.1〜10質量%、特に2〜8質量%の量で使用することが好ましい。
【0026】
平均主要サイズ(mean primary particle size)が、10〜300nmの範囲、特に30〜200nmの範囲のカーボンブラックを使用することが好ましい。BET表面積は、10〜120m2/gの範囲であることが好ましい。
【0027】
グラファイトとして、平均粒子サイズが1〜50μmの範囲のグラファイトを使用することが好ましい。
【0028】
ポリマー被膜は、顔料又は難燃剤等の無機充填剤等の更なる添加剤を含むこともできる。添加剤の割合は、その種類と所望の効果に依存し、そして、無機充填剤の場合は、添加剤を含んだ被膜に対して、通常10〜99質量%、好ましくは20〜98質量%である。
【0029】
被覆混合物は、ウォーターガラス等の水結合性の膨張性組成物を含むことが好ましい。このことは、ポリマー分散物からのより良好で、迅速なフィルム形成をもたらし、そして従って、フォーム成形のより迅速な硬化をもたらす。
【0030】
ポリマー被膜は、膨張性グラファイト、ホウ酸塩、特に亜鉛ホウ酸塩、メラミン化合物又はりん化合物等の難燃剤、又は通常80〜100℃以上の高温での作用により、膨張(expand)、膨潤(swell)、又は発泡する膨張性組成物(intumescent composition)を含むことが好ましく、そして、この方法で、内部に存在する断熱フォームを火炎と熱から保護する絶縁性及び耐熱性フォームが形成される。難燃剤又は膨張性組成物の量は、ポリマー被膜に対して、通常、2〜99質量%、好ましくは5〜98質量%である。
【0031】
難燃剤がポリマー被膜中に使用される場合、以下のようなフォーム粒子の使用において、十分な火炎保護を達成することができる。すなわち、難燃剤を何ら含まないフォーム粒子、特に、ハロゲン化難燃剤を含まないフォーム粒子の使用において、十分な火炎保護を達成することができる。また、ポリマー被膜中の難燃剤は、フォーム粒子の表面に集中し、そして熱又は火炎の作用下に固体フレームワークを形成するので、難燃剤がより少量で良いことになる。
【0032】
ポリマー被膜は、化学的に結合した水を含んだ物質、又は40℃を超える温度で水が除去された物質、例えばアルカリ金属シリケート、金属ヒドロキシド、金属塩水和物、及び金属酸化物水和物を、添加剤として含むことが好ましい。
【0033】
この被膜(被覆物)が被覆されたフォーム粒子は、加工してフォーム成形物を形成することができ、このフォーム成形物は、耐火性が増しており及びDIN4102に従うクラスBに適合した燃焼特性(燃焼挙動)を示す。
【0034】
適切な金属水酸化物は、特に、元素周期表の族2(アルカリ土類金属)及び13(ホウ素族)である。マグネシウム水酸化物及びアルミニウム水酸化物が特に好ましい。後者が特に好ましい。
【0035】
適切な金属塩水和物は、その結晶構造中に結晶水が導入(構成)される、全ての金属塩である。類似して、適切な酸化金属水和物は、結晶構造中に結晶水が導入される、全ての酸化金属(金属酸化物)である。結晶水の分子の数は、式単位で、可能な最大値であり、又は最大値未満が可能であり、例えば、カッパーサルフェートペンタヒドレート、トリヒドレート又はモノヒドレートである。結晶水に加え、金属塩水和物及び酸化金属水和物も構造水を含むことができる。
【0036】
好ましい金属塩水和物は、金属ハロゲン化物(特にクロリド)、サルフェート、カルボネート、ホスフェート、ニトレート、又はボレートの水和物である。適切な金属塩水和物は、例えば、マグネシウムサルフェートデカヒドレート、ナトリウムサルフェートデカヒドレート、カッパースルフェートペンタヒドレート、ニッケルサルフェートヘプタヒドレート、コバルト(II)クロリドヘキサヒドレート、クロミウム(III)クロリドヘキサヒドリド、ナトリウムカルボネートデカヒドレート、マグネシウムクロリドヘキサヒドレート及び錫ボレートヒドレートである。マグネシウムスルフェートデカヒドレート及び錫ボレートヒドレートが特に好ましい。
【0037】
更なる可能な金属塩ヒドレートは、明礬等の二重塩(double salt)、例えば、一般式:MIIII(SO42・12H2Oのものである。MIは、例えば、カリウム、ナトリウム、ルビジウム、セシウム、アンモニウム、タリウム又はアルミニウムイオンが可能である。MIIIは、例えば、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スカンジウム、チタニウム、バナジウム、クロミウム、マンガン、鉄、コバルト、ロジウム又はイリジウムが可能である。
【0038】
適切な酸化金属ヒドレートは、例えば、アルミニウムオキシドヒドレート、及び好ましくは亜鉛オキシドヒドレート又はホウ素トリオキシドヒドレートである。
【0039】
好ましいポリマー被膜(ポリマー被覆物)は、
40〜80質量部、好ましくは50〜70質量部のウォーターガラス溶液(ウォーターガラス溶液は、水の含有量が40〜90質量%、好ましくは50〜70質量%である)、
20〜60質量部、好ましくは30〜50質量%のウォーターガラス粉(ウォーターガラス粉は、水の含有量が0〜30質量%、好ましくは1〜25質量%である)、及び、
5〜40質量部、好ましくは10〜30質量%のポリマー分散物(ポリマー分散物は、固体の含有量が10〜60質量%、好ましくは20〜50質量%である)、
を混合するか、又は
20〜95質量部、好ましくは40〜90質量%のアルミニウム水酸化物懸濁物(アルミニウム水酸化物懸濁物は、アルミニウム水酸化物の含有量が10〜90質量%、好ましくは20〜70質量%である)、
5〜40質量部、好ましくは10〜30質量%のポリマー分散物(ポリマー分散物は、固体の含有量が10〜60質量%、好ましくは20〜50質量%である)、
を混合することにより得ることができる。
【0040】
本発明の方法では、例えば、可動性(ムーバブル)パンチを使用して成形型の体積を減少させることにより圧力を発生させることができる。通常、0.5〜30kg/cm2の範囲の圧力が設定可能である。被覆されたフォーム粒子の混合物は、この目的のために、開口した成形型内に導入される。成形型を閉鎖した後、フォーム粒子は、パンチを使用してプレスされ、フォーム粒子間の空気が逃げ、そして間隙間の体積が減少する。フォーム粒子は、ポリマー被膜によって結合され、フォーム成形物が得られる。
【0041】
成形型は、フォーム体の所望のジオメトリー(幾何学形状)に従い構成される。充填の程度は、特に、後の成形の所望の厚さに依存する。フォームボードの場合、単純な箱型成形型を使用することができる。より複雑なジオメトリーの場合、特に、成形型内に導入された粒子のベッド(集積物)を圧縮し、これにより望ましくないボイド(隙間)を除去することが必要であって良い。圧縮は、例えば、成形型のゆさぶり(振動)、タンブリング(でんぐりがえし)、又は他の適切な手段によって行うことができる。
【0042】
セッティング(setting)を速めるために、成形型内に加熱空気を吹き込むか、又は成形型を加熱することができる。本発明に従えば、成形型内に蒸気は導入されず、従って、ポリマー被膜の水溶性成分が洗浄除去されることがなく、そして間隙内に凝縮水が形成されない。しかしながら、オイル又は蒸気等の伝熱媒体を、成形型を加熱するために使用することが可能である。加熱空気又は成形型は、この目的のために、20〜120℃、好ましくは30〜90℃の範囲の温度に加熱されることが有利である。
【0043】
この代わりに、又はこれに加え、マイクロ波エネルギーを投入し、焼結(sintering)を行うことができる。通常、周波数が0.85〜100GHz、好ましくは0.9〜10GHzのマイクロ波、及び0.1〜15分の照射時間がここで使用される。
【0044】
温度範囲が80〜150℃の範囲の加熱空気が使用されるか、又はマイクロ波エネルギーが投入される場合、通常、0.1〜1.5バールのゲージ圧が設定され、従って、この工程は、外部圧力なして、及び成形型の体積を減少させることなく行うことができる。マイクロ波又は昇温によって発生する内部圧力は、フォーム粒子を更に僅かに膨張させ、また、ポリマー被膜を介しての粘着性結合に加え、フォーム粒子の軟化の結果として、これらを互いに融合させる。この結果、フォーム粒子間の間隙は消滅する。この場合、セッティングを速めるために、上述した伝熱媒体によって成形型を追加的に加熱することもできる。
【0045】
ポリウレタンフォームを製造するために使用されるダブルベルトプラントも、本発明のフォーム成形物を連続的に製造するのに適切である。例えば、事前発泡された、及び被覆されたフォーム粒子を、適切であれば、穿孔を有していて良い下部又は2つの金属ベルトに供給することができ、及び互いに動作する金属ベルトにより圧縮されることなく、又は圧縮されて加工され、連続的なフォームボードが製造される。本方法の1実施の形態では、2つのベルトの間の体積は徐々に減少され、この結果、ベルトの間の製造物は圧縮され、そしてフォーム粒子間の間隙が消滅する。硬化領域の後、連続ボード(連続的に繋がったボード)が得られる。他の実施の形態では、ベルト間の体積は、一定に維持可能であり、そしてフォームは、加熱空気又はマイクロ波照射によって加熱された領域を通過し、この領域でフォーム粒子が後発泡(after-forming)される。ここでも、間隙は消滅し、そして連続ボードが得られる。連続工程に関する2つの実施の形態を組み合わせることもできる。
【0046】
フォームボードの厚さ、長さ及び幅は、広い範囲で変動可能であり、そして、工具のサイズと閉鎖力(closure force)によって規定される。フォームボードの厚さは、通常1〜500mm、好ましくは10〜300mmである。
【0047】
フォーム成形物のDIN53420に従う密度は、通常、10〜120kg/m3、好ましくは20〜70kg/m3である。本発明の方法では、全断面に渡って均一な密度を有するフォーム成形物を得ることができる。表面層の密度は、フォーム成形物の内部領域の密度に略等しくなる。
【0048】
本発明の方法は、ボード、ブロック、チューブ、ロッド、プロフィール等の単純(simple)又は複合(complex)フォーム成形物を製造するのに適している。後に鋸切断又はカットしてボードを製造可能なボード又はブロックが好ましい。これらは、例えば、外部壁の絶縁のために、建造物及び構造物に使用することができる。これらは、サンドイッチ構造、例えば、冷凍貯蔵又は倉庫の構造用に使用される構造絶縁パネル(SIP)のコア層として使用されることが特に好ましい。
【0049】
更に可能な適用は、木製パレットの代わりとしてのフォームパレット、天井のフェースパネル、絶縁容器、ワゴン車である。難燃剤を含んだ場合、航空貨物用にも適切である。
【実施例】
【0050】
実施例
被覆混合物B1の製造:
ウォータガラス粉(Portil N)40部を、60部のウォーターガラス溶液(Woellner ナトリウム シリケート 38/40、固体含有量:36%、密度:1.37、SiO2:Na2のモル割合=3.4)に、攪拌しながら少しずつ加え、そして混合物を、3〜5分間、均質化した。次に、20部のアクリレート分散物(Acronal S790、固体含有量:約50%)及び5部のグラファイト粉UF298(Kropfuhlより)を中に攪拌した。
【0051】
被覆混合物B2の製造:
ウォータガラス粉(Portil N)40部を、60部のウォーターガラス溶液(Woellner ナトリウム シリケート 38/40、固体含有量:36%、密度:1.37、SiO2:Na2のモル割合=3.4)に、攪拌しながら少しずつ加え、そして混合物を、3〜5分間、均質化した。次に、5部のアクリレート分散物(Acronal S790、固体含有量:約50%)及び2部のグラファイト粉UF298(Kropfuhlより)を中に攪拌した。
【0052】
被覆混合物B3の製造:
ウォータガラス粉(Portil N)40部を、60部のウォーターガラス溶液(Woellner ナトリウム シリケート 38/40、固体含有量:36%、密度:1.37、SiO2:Na2のモル割合=3.4)に、攪拌しながら少しずつ加え、そして混合物を、3〜5分間、均質化した。次に、5部のアクリレート分散物(Acronal S790、固体含有量:約50%)を中に攪拌した。
【0053】
ポリスチレンフォーム粒子I(密度:10g/l)
連続事前発泡器で、膨張可能なポリスチレン(BASF AktiengesellschaftからのStyropor(登録商標)F315)を約10g/lの密度まで事前発泡した。
【0054】
ポリスチレンフォーム粒子II(密度:12g/l)
連続事前発泡器で、膨張可能なポリスチレン(BASF AktiengesellschaftからのNeopor(登録商標)2200、原料のビーズサイズ:1.4〜2.3mm)を約18g/lの密度まで事前発泡した。約4時間、一時的に保管した後、同一の事前発泡器の上で、粒子を所望の密度にまで後発泡させた。事前発泡したポリスチレンフォーム粒子は、粒子径が6〜10mmの範囲であった。
【0055】
実施例1
ミキサー内でポリマーフォーム粒子を、被覆混合物B1で、1:2の質量割合に被覆した。被覆されたポリスチレンフォーム粒子を、70℃に加熱したテフロン(登録商標)被覆した成形型内に導入し、そしてパンチを使用して、最初の体積の50%にまでプレスした。70℃で30分間硬化させた後、フォーム成形物を成形型から除去した。成形物を、環境温度(ambient temperature)で数日間保管するという条件に置いた。保管した成形物の密度は、44g/lであった。
【0056】
実施例2
実施例1が繰り替えされたが、ここでは、ミキサー内で、被覆混合物B2で、1:2の質量割合で被覆された、密度が約12g/lの事前発泡したグラファイト含有ポリスチレンフォーム粒子IIが使用された。保管された成形物の密度は51g/lであった。
【0057】
実施例1及び2のフォームボードは、熱伝導率が相当に低減されていた(表1)。更に、これらは、燃焼試験おいて、もはや「したたり落ちる」ものではなく、そして、熱の作用を受けて軟化するものではなかった。これらは、自己消火性であり、そしてB2とEの要求に適合するものであった。
【0058】
比較例1
ポリスチレンフォーム粒子Iを、被覆混合物B3で、1:2の質量割合に被覆した。被覆されたポリスチレンフォーム粒子を、70℃に加熱したテフロン(登録商標)被覆した成形型内に導入し、そしてパンチを使用して、最初の体積の40%にまでプレスした。70℃で30分間硬化させた後、フォーム成形物を成形型から除去した。成形物を、環境温度(ambient temperature)で数日間保管するという条件に置いた。保管した成形物の密度は、42g/lであった。
【0059】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー被膜を有し、且つ事前発泡されたフォーム粒子から、成形型内において圧力下でフォーム成形物を製造する方法であって、ポリマー被膜が不透熱性化合物を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
ポリマー被膜が、不透熱性化合物として、カーボンブラック、コークス、アルミニウム粉、又はグラファイトを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
事前発泡されたフォーム粒子を、蒸気を使用せずに焼結することを特徴とする請求項1又は2の何れか1項に記載の方法。
【請求項4】
膨張したポリオレフィン、又は膨張可能なスチレンポリマーを事前発泡した粒子を、フォーム粒子として使用することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
リサイクルされたフォーム成形物からの粉砕粒子を、フォーム粒子として使用することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
a)膨張可能なスチレンポリマーを事前発泡してフォーム粒子を形成する工程、
b)フォーム粒子を、ポリマー溶液又は水性ポリマー分散物で被覆する工程、
c)被覆されたフォーム粒子を成形型内に導入し、そして蒸気を使用することなく、圧力下で焼結する工程、
を含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
アクリレート分散物、及びカーボンブラック、コークス、アルミニウム粉又はグラファイトを、工程b)での被覆組成物として使用することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程a)で使用する、膨張可能なスチレンポリマーが、不透熱性化合物を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ポリマー被膜が、無機充填物を含み、及びガラス遷移温度が−60〜+60℃の範囲であるポリマーフィルムを含むことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載の方法によって得られるフォーム成形物。

【公表番号】特表2009−506150(P2009−506150A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527432(P2008−527432)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065177
【国際公開番号】WO2007/023091
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】