フック固定解除装置
【課題】フック部を固定対象物に確実に固定し、当該固定解除を遠隔操作することができるフック固定解除装置を提供することにある。
【解決手段】筒状の本体部11、本体部の一端に旋回自在に軸支された爪状の1つのフック部12、本体部の他端から本体内部に挿入されて、フック部の略中央に繋留されたテザー13、本体内部のテザーの途中に固着されたストッパ14、ストッパを係止・係止解除可能なトリガ15を備える。トリガをストッパに係止させてフック部を本体部に対し折れ曲げた状態で固定対象物に固定させ、トリガをストッパから係止解除させてフック部を本体部に対し直線状態にして固定対象物から外して回収する。投擲装置の場合は投擲の軌道が固定対象物の上方を越えるように射出することにより、テザーを巻き取るのみでフック部を固定対象物に引っ掛けて確実に固定することができ、また、当該固定解除を遠隔で操作することができる。
【解決手段】筒状の本体部11、本体部の一端に旋回自在に軸支された爪状の1つのフック部12、本体部の他端から本体内部に挿入されて、フック部の略中央に繋留されたテザー13、本体内部のテザーの途中に固着されたストッパ14、ストッパを係止・係止解除可能なトリガ15を備える。トリガをストッパに係止させてフック部を本体部に対し折れ曲げた状態で固定対象物に固定させ、トリガをストッパから係止解除させてフック部を本体部に対し直線状態にして固定対象物から外して回収する。投擲装置の場合は投擲の軌道が固定対象物の上方を越えるように射出することにより、テザーを巻き取るのみでフック部を固定対象物に引っ掛けて確実に固定することができ、また、当該固定解除を遠隔で操作することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定対象物に対し固定されたテザー先端のフック部を遠隔操作で固定解除するフック固定解除装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、人荷の運搬等に用いられる移動機械には様々な種類のものが存在しており、これらは運用する環境に応じて使い分けられている。例えば車輪による移動機械である自動車等は、平地の移動は容易であるが、荒地では移動が困難となる。一方、クローラによる移動機械であるトラクタ等は、車輪に比べて低速であるが、荒地での走行性能は高い。しかし、このクローラ方式でも、急斜面や沼地などの険しい不整地の走破は困難である。そこで、斜面上方や沼地対岸の立木等にケーブル、ワイヤ、ロープ等のテザーを固定してロボットに牽引させることにより、急斜面であっても登坂可能となる。テザーを立木等の固定対象物に固定する際は、テザーに連結されたグリッパを備えた投擲装置が用いられる。この投擲装置は、グリッパが開いた状態で射出装置から固定対象物に向かって投擲されることにより、装置先端が固定対象物に当たった衝撃でグリッパが閉じてロックされる構造となっている(非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】中本,福島,広瀬:“ハイパー・テザーの研究 その12 グリッパ型投擲・投錨機構の開発”,日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演会’02 講演論文集,2A1−J10,pp.1−2,2002
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した投擲装置では、固定対象物に直接狙いを定めて投擲を行うため、射出装置側の再現性が高くなければ命中精度が低くなってしまうという問題がある。また、仮に固定対象物に命中したとしても、グリッパが異方性を持っているため、固定対象物を把持できる確率も低くなるという問題もある。そして、固定対象物に固定されたグリッパを固定解除する際は、人が固定対象物まで移動し、人手によりグリッパを開いて固定対象物から外さなければならないという問題もある。
【0005】
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、その目的は、フック部を固定対象物に確実に固定することができると共に、当該固定解除を遠隔操作することができるフック固定解除装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的達成のため、本発明のフック固定解除装置では、筒状の本体部と、当該本体部の一端に旋回自在に軸支された爪状の1つのフック部と、前記本体部の他端から当該本体内部に挿入されて、前記フック部の略中央に繋留されたテザーとを備え、前記フック部を固定対象物に対し固定した後に固定解除するフック固定解除装置であって、前記本体内部の前記テザーの途中に固着されたストッパと、当該ストッパを係止・係止解除可能なトリガとを備え、前記トリガを前記ストッパに係止させて前記フック部を前記本体部に対し折れ曲げた状態で前記固定対象物に固定させ、前記トリガを前記ストッパから係止解除させて前記フック部を前記本体部に対し直線状態にして前記固定対象物から固定解除することを特徴としている。これにより、例えば本体部とフック部とテザーを備えた投擲装置の場合は、投擲の軌道が固定対象物の上方を越えるように射出することにより、テザーを巻き取るのみでフック部を固定対象物に引っ掛けて確実に固定することができ、また、フック部を固定対象物から外して固定解除する操作を遠隔で行うことができる。
【0007】
また、前記フック部は、前記本体部に対し直線状態となる方向に付勢されていることを特徴としている。これにより、フック部を固定解除した後はフック部と本体部を直線状態で維持することができるので、投擲装置を地上においてスムーズに引き摺って回収することができる。
【0008】
また、前記トリガによる前記ストッパの係止状態を継続・継続解除させる電動機構を備えたことを特徴としている。より具体的には、前記電動機構は、前記トリガと接触・離間可能なロッドと、当該ロッドに固定されたナットと、当該ナットと噛み合うスクリューと、当該スクリューを回転させるモータとを備え、当該モータを駆動して前記スクリューを回転させて前記ナットと共に前記ロッドを移動させることにより、前記ロッドを前記トリガに対し接触させて前記トリガを前記ストッパの係止状態で押さえ込み、一方、前記ロッドを前記トリガに対し離間させて前記トリガを前記ストッパの係止解除状態とすることを特徴としている。これにより、フック部を固定対象物に確実に引っ掛けて固定しておくことができ、また、フック部を固定対象物から外して固定解除する操作を遠隔で行うことができる。
【0009】
また、前記モータに電流を供給する電線と前記テザーを組み合わせ、前記本体内部の他端から前記モータに至る前記電線をコイル状に形成したことを特徴としている。これにより、フック部を固定対象物から外して固定解除する際のテザーの移動に伴うストッパの移動をスムーズに行うことができる。
【0010】
また、前記トリガによる前記ストッパの係止状態を継続・継続解除させる空圧機構を備えたことを特徴としている。より具体的には、前記空圧機構は、前記トリガを前記ストッパの係止方向へ付勢するスプリングと、前記ストッパに装着され、前記トリガを前記ストッパの係止解除方向へ押圧するエアバッグとを備え、当該エアバッグから空気を排出させて前記スプリングにより前記トリガを前記ストッパの係止状態で押さえ込み、一方、前記エアバッグに空気を供給して前記トリガを押圧することにより前記ストッパの係止解除状態とすることを特徴としている。これにより、フック部を固定対象物に確実に引っ掛けて固定しておくことができ、また、フック部を固定対象物から外して固定解除する操作を遠隔で行うことができる。
【0011】
エアバッグに空気を供給するチューブと前記テザーを組み合わせたことを特徴としている。これにより、投擲装置自体にエア供給源を搭載する必要が無いので、投擲装置を小型化することができる。
【0012】
また、前記本体部の他端は弾性のある部材が取り付けられていることを特徴としている。これにより、テザーを巻き取ってフック部を固定対象物に引っ掛ける際に弾性部材が固定対象物に沿って変形するので、投擲装置に掛かるテザーの引張力及びその変動を小さくして投擲装置の跳ね上がりによる固定対象物からの脱落を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
図1及び図2は、本発明の一実施の形態に係るフック固定解除装置を備えた投擲装置を示す一部断面平面図である。この投擲装置はフック10とテザー13を備えており、フック10は筒状の柄(本体部)11の一端(先端)に1本の爪(係止部)12の一端(後端)が旋回自在に軸支されている。そして、テザー13は、柄11の他端(後端)から挿入されて柄11の内部を通され、柄11の一端手前で外部に引き出されて爪12の後端から他端(先端)側へ所定距離離れた略中央の位置に繋留されている。更に、柄11の内部には、図1に示す爪12を柄11に対し折り曲げられた状態に保持・保持解除するロック機構(フック固定解除装置)が設けられている。このロック機構は、爪12を柄11に対し折り曲げた状態で維持するストッパ14と、このストッパ14を係止・係止解除するトリガ15を備えている。
【0015】
ストッパ14は、図1に示すときに柄11の後端近傍に位置するようにテザー13に固着されており、テザー13と共に柄11の先端側に移動可能となっている。トリガ15は、柄11の後端近傍に旋回自在に取り付けられており、ストッパ14が図1に示す柄11の後端近傍に位置しているときに係止して、ストッパ14がテザー13と共に柄11の先端側に移動しないように押えている。これにより、爪12は図1に示すように柄11に対し折り曲げ状態となる。従って、フック10を固定対象物に対し引っ掛けて固定することができる。一方、テザー13が先端側から爪12により引っ張られることにより、ストッパ14はトリガ15を押し上げて係止解除させるので、テザー13はストッパ14と共に柄11の先端側に移動する。これにより、爪12は図2に示すように柄11に対し旋回して直線状態となる。従って、フック10を固定対象物から外して固定解除することができる。
【0016】
このような構成によれば、本実施形態のフック10は、爪12の本数を1本のみの単爪型として爪12の長さをより長くすることができるので、多本数の爪を備えた複爪型のフックと同様の強度を保ちながら軽量化を実現することができる。また、仮にロック機構を爪12の一端付近に設けたとすると、このロック機構はモーメント中心から近距離でフック10に作用する大荷重を支えなければならず、強度を確保するにはロック機構が大型化してしまうが、本実施形態のロック機構は爪12の一端から遠ざけた位置に設けているので、ロック機構への負担が軽減され、ロック機構を小型化することができる。次に、このフック10の使用手順について図3を参照して説明する。
【0017】
図3は、フック10の固定対象物に対する引掛け状態と取外し状態を示す斜視図である。ここで、フック10は、投擲、引掛、牽引、固定解除、回収の順で使用される。
【0018】
(1)投擲:ロボットに搭載された射出装置にフック10を装填し、立木等の固定対象物1の上方を狙ってフック10を投擲する。
【0019】
(2)引掛:フック10の投擲後、フック10はテザー13を介して固定対象物1に吊り下がった状態となるので、テザー13を巻き取って柄11を固定対象物1の上に乗り上げさせ、図3に示すように、爪12を固定対象物1に引っ掛けて固定する。ここで、フック10を複爪型から単爪型としたことにより、固定対象物1に引掛可能な角度が唯1つの爪12の方向のみに限定される。しかし、柄11の中心軸から重心がオフセットしているため、柄11が固定対象物1に乗り上げる際に爪12の方向が鉛直下向きとなり、初期の爪12の方向に拠らず引掛動作は可能である。
【0020】
(3)牽引:固定対象物1に固定された爪12に繋がるテザー13を利用し、ロボットの急斜面登坂や空中移動等を行う。
【0021】
(4)固定解除:登坂や移動等の後、固定対象物1に引っ掛かっている爪12のロックを解除して寝かせることにより爪12の固定を解除し、フック10を地面に落下させる。このとき、爪12の移動方向が固定対象物1から受ける力の方向と一致しているため、ロック解除に要する力を抑えることができる。
【0022】
(5)回収:地面に落下したフック10を、テザー13を巻き取ることによって引き摺って射出装置側に回収する。このとき、フック10全体が一直線状となっているため、地面の凹凸等に爪12が引っ掛かってしまうようなおそれは無くなる。
【0023】
(6)形状初期化:回収して射出装置に固定したフック10を、テザー13を引くことにより爪12を折り曲げて次の投擲に向けて形状初期化する。このときの形状初期化は、射出装置側で自動的に行うことができる。
【0024】
上述したロック機構では、牽引中に誤ってテザー13が先端側から爪12により引っ張られてしまった場合は、ストッパ14がトリガ15を押し上げて係止解除してしまうおそれがある。そこで、トリガ15によるストッパ14の係止状態を継続・継続解除させる仕組みをロック機構に備えることが望ましい。このようなロック機構として、モータで行う電動式ロック機構(フック固定解除装置)と、エアバッグの膨張を利用して行う空圧式ロック機構(フック固定解除装置)についてそれぞれ説明する。
【0025】
図4及び図5は、電動式ロック機構を備えたフックの詳細を示す一部断面斜視図である。このフック100は、筒状の柄(本体部)101の一端(先端)に付勢機構110を介して1本の爪(係止部)102の一端(後端)が旋回自在に軸支されている。そして、テザー103は、柄101の他端(後端)に取り付けられている弾性部材120から挿入されて柄101の内部を通され、柄101の先端手前で外部に引き出されて爪102の後端から他端(先端)側へ所定距離離れた略中央の位置に繋留されている。更に、柄101の内部には、図4に示すように爪102を柄101に対し折り曲げられた状態に保持する電動式ロック機構130が設けられている。この電動式ロック機構130は、爪102を柄101に対し折り曲げた状態で維持するストッパ131と、このストッパ131を係止・係止解除するトリガ132と、このトリガ132と接触・離間可能なロッド133と、このロッド133に固定されたナット134と、このナット134と噛み合うスクリュー135と、このスクリュー135を回転させるモータ136を備えている。
【0026】
ストッパ131は、図4に示すときに柄101の後端近傍に位置するようにテザー103に固着されており、テザー103と共に柄101の先端側に移動可能となっている。トリガ132は、柄101の後端近傍に旋回自在に取り付けられており、ストッパ131が図4に示す柄101の後端近傍に位置しているときに係止して、ストッパ131がテザー103と共に柄101の先端側に移動しないように押えている。これにより、爪102は柄101に対し折り曲げ状態となる。従って、フック100を固定対象物に対し引っ掛けて固定することができる。ところが、牽引中に誤ってテザー13が先端側から爪12により引っ張られてしまった場合は、ストッパ131がトリガ132を押し上げて係止解除してしまうおそれがある。そこで、上記電動式ロック機構130が設けられている。
【0027】
図6〜図8は、電動式ロック機構130の動作を示す平面図である。モータ136を駆動してスクリュー135を回転させて、ナット134と共にロッド133を柄101の他端側に移動させることにより、図6に示すように、ロッド133をトリガ132の上部に挿入する。これにより、トリガ132は回転を拘束されてストッパ131の係止状態で押さえ込まれ、それに引っ掛かっているストッパ131もトリガ1321部分を通過することができない。従って、爪102を支えているテザー103はそのままの状態で維持され、爪102は柄101に対し折り曲げ状態が維持され、フック100を固定対象物に引っ掛けたままで固定することができる。
【0028】
一方、図7に示すように、モータ136を先程とは逆駆動してスクリュー135を逆回転させて、ナット134と共にロッド133を柄101の先端側に移動させることにより、ロッド133をトリガ132の上部から引き抜く。これにより、トリガ132は回転できるようになるので、テザー103を射出装置側に引っ張って爪102を固定対象物に押し付けることにより、ストッパ131はトリガ132を押し上げて係止解除させる。ストッパ131とトリガ132は互いにテーパ面で接触しているため、ストッパ131からトリガ132に作用する負荷の一部がトリガ132を回転させる動力に利用される。そして、図8に示すように、テザー103はストッパ131と共に柄101の先端側に移動し、爪102は柄101に対し旋回して直線状態となるので、フック100を固定対象物から外して固定解除することができる。
【0029】
このような電動式ロック機構130の場合はモータ136に電流を供給する必要がある。この電流の供給源として、フック100の内部にバッテリを搭載しても良く、制御信号を無線式とすれば、万一使用中にテザー103が切断された場合でも制御不能となることは無い。しかし、重量物であるバッテリをフック100に搭載するのはエネルギ面で不利となる。そこで、射出側からフック100まで繋がるテザー103に導線を配線する。導線の電気抵抗による通電効率低下は避けられないが、モータ136は消費電流が小さいものを使用するため、効率低下の程度を低く抑えることができる。但し、テザー103は爪102に連結されているため、爪102の旋回動作の際にテザー103が柄101内部で移動することになる。したがって、モータ136に電流供給を行う場合、この移動に対応可能な配線を行わなければならない。そこで、図4及び図5に示すようなコイル状の配線137を柄101の後端部に取り付ける。そして、テザー103内の導線をこのコイル状配線137に接続し、コイルの伸縮を利用してテザー103の移動に対応する。
【0030】
また、固定対象物に引っ掛かっているフック100を落下させて回収する場合、爪102と柄101を直線状にする必要がある。これに要する力は、フック100が固定対象物に引っ掛かった状態からテザー103を引っ張ることによって発生させることができるため、爪102の旋回軸はフリー状態とすれば十分ということになる。しかし、テザー103が爪102に直結しているため、フック100を固定対象物から落下させて回収する際には、柄101が何らかの抵抗を受ける度に爪102が折れ曲がってしまうおそれがある。そこで、回収時のテザー103の張力程度では爪102が折れ曲がらないようにするため、爪102の旋回軸に付勢機構110を設けた。
【0031】
この付勢機構110は、図4及び図5に示すように、固定軸部111、可動軸部112、圧縮コイルバネ113、プーリ114及びワイヤ115を備えている。固定軸部111は、一端側に爪102が旋回軸102aを介して取り付けられ、他端側に柄101が挿入固定されている。更に、固定軸部111の他端側には、圧縮コイルバネ113と可動軸部112が挿入可能な中空部が穿設されている。可動軸部112は、一端側に圧縮コイルバネ113が挿入可能な中空部が穿設され、他端側にプーリ114が回転自在に軸支されている。そして、ワイヤ115は、爪102に一端が繋留され、旋回軸102aに沿って引き回され、固定軸部111に沿って引き回されてプーリ114に掛けられ、可動軸部112に他端が繋留されている。
【0032】
図9及び図10は、付勢機構110の動作を示す断面図である。図9に示すように、爪102が柄101に対し折り曲げ状態にあるときは、ワイヤ115が爪102に引っ張られてプーリ114を押すので、可動軸部112が固定軸部111の他端側の中空部に押し込まれて圧縮コイルバネ113が圧縮される。そして、図10に示すように、爪102が柄101に対し旋回して直線状態になると、ワイヤ115が緩むので、圧縮コイルバネ113が復元して可動軸部112を固定軸部111の他端側の中空部から押し上げ、プーリ114がワイヤ115を柄101の後端方向へ引っ張る。このため、爪102の柄101に対する直線状態は維持されるので、回収時のテザー103の張力程度では爪102が折れ曲がらないようにすることができる。
【0033】
また、フック100を射出装置により投擲して固定対象物を越えさせた後、テザー103をウインチにより引っ張って柄101を固定対象物に乗り上げさせる際、テザー103には非常に大きな牽引力が掛かる。このため、ウインチに大きな負荷が掛かり、また負荷の変動も大きくなるので、フック100が固定対象物で跳ね上がって落下するおそれがある。そこで、このフック100の後端部には、例えばウレタン樹脂でなる柔軟な円錐状の弾性部材120が取り付けられている。これにより、テザー103をウインチにより引っ張ると弾性部材120が固定対象物に沿って曲がるので、柄101を固定対象物に確実に乗り上げさせ、爪102を固定対象物に確実に引っ掛けて固定することができる。
【0034】
図11及び図12は、空圧式ロック機構を備えたフックの詳細を示す一部断面斜視図である。このフック200は、筒状の柄(本体部)201の一端(先端)に付勢機構210を介して1本の爪(係止部)202の一端(後端)が旋回自在に軸支されている。そして、テザー203は、柄201の他端(後端)に取り付けられている弾性部材220から挿入されて柄201の内部を通され、柄201の先端手前で外部に引き出されて爪202の後端から他端(先端)側へ所定距離離れた略中央の位置に繋留されている。更に、柄201の内部には、図11に示すように爪202を柄201に対し折り曲げられた状態に保持する空圧式ロック機構230が設けられている。この空圧式ロック機構230は、爪202を柄201に対し折り曲げた状態で維持するストッパ231と、このストッパ231を係止・係止解除するトリガ232と、このトリガ232をストッパ231の係止方向へ付勢する板バネ(スプリング)233と、ストッパ231に内蔵され、トリガ232をストッパ231の係止解除方向へ押圧する押圧ブロック234を有するエアバッグ235を備えている。
【0035】
ストッパ231は、図11に示すときに柄201の後端近傍に位置するようにテザー203に固着されており、テザー203と共に柄201の先端側に移動可能となっている。トリガ232は、柄201の後端近傍に旋回自在に取り付けられており、ストッパ231が図11に示す柄201の他端近傍に位置しているときに係止して、ストッパ231がテザー203と共に柄201の先端側に移動しないように押えている。これにより、爪202は柄201に対し折り曲げ状態となる。従って、フック200を固定対象物に対し引っ掛けて固定することができる。ところが、牽引中に誤ってテザー13が先端側から爪12により引っ張られてしまった場合は、ストッパ231がトリガ232を押し上げて係止解除してしまうおそれがある。そこで、上記空圧式ロック機構230が設けられている。
【0036】
図13〜図15は、空圧式ロック機構230の動作を示す平面図である。図13に示すように、エアバッグ235から空気を排出させて板バネ233によりトリガ232をストッパ231の係止状態で押さえ込む。これにより、トリガ232は回転を拘束されてストッパ231の係止状態で押さえ込まれ、それに引っ掛かっているストッパ231もトリガ232部分を通過することができない。従って、爪202を支えているテザー203はそのままの状態で維持され、爪202は柄201に対し折り曲げ状態が維持され、フック200を固定対象物に引っ掛けたままで固定することができる。
【0037】
一方、図14に示すように、エアバッグ235に射出装置に搭載されているコンプレッサから空気を供給してエアバッグ235を膨張させ、押圧ブロック234によりトリガ232を押圧する。これにより、トリガ232は板バネ233の付勢力に反して回転するので、テザー203を射出装置側に引っ張って爪202を固定対象物に押し付けることにより、図15に示すように、テザー203はストッパ231と共に柄201の先端側に移動し、爪202は柄201に対し旋回して直線状態となるので、フック200を固定対象物から外して固定解除することができる。
【0038】
このような空圧式ロック機構230の場合はエアバッグ235に高圧の空気を供給する必要がある。そこで、テザー203にチューブの機能を持たせ、そのテザー203から空気の供給を行う。これにより、投擲装置200自体にエア供給源を搭載する必要が無いので、投擲装置200を小型化することができる。このテザー203には主に3つの性能、即ち耐圧性、耐摩性、耐荷重性が求められる。このため、一般的な例えばポリウレタン製耐圧チューブに高強度・低伸度の例えば超高強度ポリエチレン繊維やアラミド繊維を並列に配置する。このような配置のテザー203として、チューブの横に繊維を並べた構造、繊維がチューブの肉内部に埋め込まれた構造、チューブ内の空隙に繊維を通した構造がある。これらのうち、チューブ内の空隙に繊維を通した構造のテザー203は、チューブ内の空隙の一部を繊維が占有するため有効断面積の点では不利であるが、エアバッグ235が膨張し終えるまでの過渡状態でしか空気を流さないことから問題は無く、繊維が中心軸上に位置するのでチューブの屈曲を阻害せず、また外部環境からも保護されている点で優れている。
【0039】
また、固定対象物に引っ掛かっているフック200を落下させて回収する場合、爪202と柄201を直線状にする必要がある。これに要する力は、フック200が固定対象物に引っ掛かった状態からテザー203を引っ張ることによって発生させることができるため、爪202の旋回軸はフリー状態とすれば十分ということになる。しかし、テザー203が爪202に直結しているため、フック200を固定対象物から落下させて回収する際には、柄201が何らかの抵抗を受ける度に爪202が折れ曲がってしまうおそれがある。そこで、回収時のテザー203の張力程度では爪202が折れ曲がらないようにするため、爪202の旋回軸に付勢機構210を設けた。
【0040】
この付勢機構210は、図11及び図12に示すように、固定軸部211、引張コイルバネ212及びワイヤ213を備えている。固定軸部211は、一端側に爪202が旋回軸202aを介して取り付けられ、他端側に柄201が挿入固定されている。引張コイルバネ212は、一端が柄201の内部に係止されている。そして、ワイヤ213は、爪202に一端が繋留され、旋回軸に沿って引き回され、固定軸部211に沿って引き回され、引張コイルバネ212の他端に他端が繋留されている。
【0041】
このような構成によれば、爪202が柄201に対し折り曲げ状態にあるときは、ワイヤ213が爪202に引っ張られて引張コイルバネ212が伸張される。そして、爪202が柄201に対し旋回して直線状態になると、ワイヤ213が緩むので、引張コイルバネ212が復元してワイヤ213を柄201の後端方向へ引っ張る。このため、爪202の柄201に対する直線状態は維持されるので、回収時のテザー203の張力程度では爪202が折れ曲がらないようにすることができる。
【0042】
また、フック200を射出装置により投擲して固定対象物を越えさせた後、テザー203をウインチにより引っ張って柄201を固定対象物に乗り上げさせる際、テザー203には非常に大きな牽引力が掛かる。このため、ウインチに大きな負荷が掛かり、また負荷の変動も大きくなるので、フック200が固定対象物で跳ね上がって落下するおそれがある。そこで、このフック200の後端部には、例えばウレタン樹脂でなる柔軟な円錐状の弾性部材220が取り付けられている。これにより、テザー203をウインチにより引っ張ると弾性部材220が固定対象物に沿って曲がるので、柄202を固定対象物に確実に乗り上げさせ、爪202を固定対象物に確実に引っ掛けて、テザー203を固定することができる。
【0043】
以上のように、本実施形態のロック機構(電動式ロック機構130、空圧式ロック機構230)を備えた投擲装置10、100、200によれば、トリガ15、132、232をストッパ14、131、231に係止させて爪12、102、202を柄11、101、201に対し折れ曲げた状態で投擲して固定対象物に固定させ、トリガ15、132、232をストッパ14、131、231から係止解除させて爪12、102、202を柄11、101、201に対し直線状態にして固定対象物から外して回収するので、投擲の軌道が固定対象物の上方を越えるように射出することにより、テザー13、103、203を巻き取るのみで爪12、102、202を固定対象物に引っ掛けて確実に固定することができ、また、爪12、102、202を固定対象物から外して固定解除する操作を遠隔で行うことができる。また、爪12、102、202は、柄11、101、201に対し直線状態となる方向に付勢されているので、爪12、102、202を固定解除した後は爪12、102、202と柄11、101、201を直線状態で維持することができ、投擲装置10、100、200を地上においてスムーズに引き摺って回収することができる。
【0044】
尚、上述した本実施形態の電動式ロック機構130のロッド133の移動にリニアモータを用いても良く、更には空圧式ロック機構230としてエアシリンダや油圧式ロック機構として油圧シリンダ等を用いることも可能である。また、空圧式ロック機構230のエアバッグ235の代わりに、液圧式ロック機構として水や油でバッグを膨張させるようにしても良く、更には電動式ロック機構130としてカムを有するモータ等を用いることも可能である。
【0045】
また、本実施形態の電動式ロック機構130や空圧式ロック機構230は投擲装置10、100、200に適用した場合を説明したが、例えば船のアンカー(碇)に適用することにより、碇が珊瑚等に引っ掛かって外れなくなった場合でも従来ように切り離さずに回収することができる。この場合、空圧の代わりに海水等の水圧を利用した水圧式ロック機構とすることができる。また、例えば工事現場等でフックを引っ掛けてワイヤを張った後、従来はフックの引掛け位置まで行ってフックを外し、もしくは、ワイヤを揺らしてフックを無理に外す作業が必要であったが、本実施形態では遠隔操作により簡単にフックを外すことができる。また、本実施形態では爪12、102、202を1本としたが、用途によっては複数本で構成しても同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施の形態に係る投擲装置を示す第1の一部断面平面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る投擲装置を示す第2の一部断面平面図である。
【図3】図1のフックの固定対象物に対する引掛け状態と取外し状態を示す斜視図である。
【図4】電動式ロック機構を備えたフックの詳細を示す第1の一部断面斜視図である。
【図5】電動式ロック機構を備えたフックの詳細を示す第2の一部断面斜視図である。
【図6】電動式ロック機構の動作を示す第1の平面図である。
【図7】電動式ロック機構の動作を示す第2の平面図である。
【図8】電動式ロック機構の動作を示す第3の平面図である。
【図9】付勢機構の動作を示す第1の断面図である。
【図10】付勢機構の動作を示す第2の断面図である。
【図11】空圧式ロック機構を備えたフックの詳細を示す第1の一部断面斜視図である。
【図12】空圧式ロック機構を備えたフックの詳細を示す第2の一部断面斜視図である。
【図13】空圧式ロック機構の動作を示す第1の平面図である。
【図14】空圧式ロック機構の動作を示す第2の平面図である。
【図15】空圧式ロック機構の動作を示す第3の平面図である。
【符号の説明】
【0047】
10、100、200 フック、11、101、201 柄、12、102、202 爪、13、103、203 テザー、14、131、231 ストッパ、15、132、232 トリガ、110、210 付勢機構、111 固定軸部、112 可動軸部、113 圧縮コイルバネ、114 プーリ、115 ワイヤ、120、220 弾性部材、130 電動式ロック機構、133 ロッド、134 ナット、135 スクリュー、136 モータ、211 固定軸部、212 引張コイルバネ、213 ワイヤ、230 空圧式ロック機構、233 板バネ、231 ストッパ、234 押圧ブロック、235 エアバッグ
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定対象物に対し固定されたテザー先端のフック部を遠隔操作で固定解除するフック固定解除装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、人荷の運搬等に用いられる移動機械には様々な種類のものが存在しており、これらは運用する環境に応じて使い分けられている。例えば車輪による移動機械である自動車等は、平地の移動は容易であるが、荒地では移動が困難となる。一方、クローラによる移動機械であるトラクタ等は、車輪に比べて低速であるが、荒地での走行性能は高い。しかし、このクローラ方式でも、急斜面や沼地などの険しい不整地の走破は困難である。そこで、斜面上方や沼地対岸の立木等にケーブル、ワイヤ、ロープ等のテザーを固定してロボットに牽引させることにより、急斜面であっても登坂可能となる。テザーを立木等の固定対象物に固定する際は、テザーに連結されたグリッパを備えた投擲装置が用いられる。この投擲装置は、グリッパが開いた状態で射出装置から固定対象物に向かって投擲されることにより、装置先端が固定対象物に当たった衝撃でグリッパが閉じてロックされる構造となっている(非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】中本,福島,広瀬:“ハイパー・テザーの研究 その12 グリッパ型投擲・投錨機構の開発”,日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演会’02 講演論文集,2A1−J10,pp.1−2,2002
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した投擲装置では、固定対象物に直接狙いを定めて投擲を行うため、射出装置側の再現性が高くなければ命中精度が低くなってしまうという問題がある。また、仮に固定対象物に命中したとしても、グリッパが異方性を持っているため、固定対象物を把持できる確率も低くなるという問題もある。そして、固定対象物に固定されたグリッパを固定解除する際は、人が固定対象物まで移動し、人手によりグリッパを開いて固定対象物から外さなければならないという問題もある。
【0005】
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、その目的は、フック部を固定対象物に確実に固定することができると共に、当該固定解除を遠隔操作することができるフック固定解除装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的達成のため、本発明のフック固定解除装置では、筒状の本体部と、当該本体部の一端に旋回自在に軸支された爪状の1つのフック部と、前記本体部の他端から当該本体内部に挿入されて、前記フック部の略中央に繋留されたテザーとを備え、前記フック部を固定対象物に対し固定した後に固定解除するフック固定解除装置であって、前記本体内部の前記テザーの途中に固着されたストッパと、当該ストッパを係止・係止解除可能なトリガとを備え、前記トリガを前記ストッパに係止させて前記フック部を前記本体部に対し折れ曲げた状態で前記固定対象物に固定させ、前記トリガを前記ストッパから係止解除させて前記フック部を前記本体部に対し直線状態にして前記固定対象物から固定解除することを特徴としている。これにより、例えば本体部とフック部とテザーを備えた投擲装置の場合は、投擲の軌道が固定対象物の上方を越えるように射出することにより、テザーを巻き取るのみでフック部を固定対象物に引っ掛けて確実に固定することができ、また、フック部を固定対象物から外して固定解除する操作を遠隔で行うことができる。
【0007】
また、前記フック部は、前記本体部に対し直線状態となる方向に付勢されていることを特徴としている。これにより、フック部を固定解除した後はフック部と本体部を直線状態で維持することができるので、投擲装置を地上においてスムーズに引き摺って回収することができる。
【0008】
また、前記トリガによる前記ストッパの係止状態を継続・継続解除させる電動機構を備えたことを特徴としている。より具体的には、前記電動機構は、前記トリガと接触・離間可能なロッドと、当該ロッドに固定されたナットと、当該ナットと噛み合うスクリューと、当該スクリューを回転させるモータとを備え、当該モータを駆動して前記スクリューを回転させて前記ナットと共に前記ロッドを移動させることにより、前記ロッドを前記トリガに対し接触させて前記トリガを前記ストッパの係止状態で押さえ込み、一方、前記ロッドを前記トリガに対し離間させて前記トリガを前記ストッパの係止解除状態とすることを特徴としている。これにより、フック部を固定対象物に確実に引っ掛けて固定しておくことができ、また、フック部を固定対象物から外して固定解除する操作を遠隔で行うことができる。
【0009】
また、前記モータに電流を供給する電線と前記テザーを組み合わせ、前記本体内部の他端から前記モータに至る前記電線をコイル状に形成したことを特徴としている。これにより、フック部を固定対象物から外して固定解除する際のテザーの移動に伴うストッパの移動をスムーズに行うことができる。
【0010】
また、前記トリガによる前記ストッパの係止状態を継続・継続解除させる空圧機構を備えたことを特徴としている。より具体的には、前記空圧機構は、前記トリガを前記ストッパの係止方向へ付勢するスプリングと、前記ストッパに装着され、前記トリガを前記ストッパの係止解除方向へ押圧するエアバッグとを備え、当該エアバッグから空気を排出させて前記スプリングにより前記トリガを前記ストッパの係止状態で押さえ込み、一方、前記エアバッグに空気を供給して前記トリガを押圧することにより前記ストッパの係止解除状態とすることを特徴としている。これにより、フック部を固定対象物に確実に引っ掛けて固定しておくことができ、また、フック部を固定対象物から外して固定解除する操作を遠隔で行うことができる。
【0011】
エアバッグに空気を供給するチューブと前記テザーを組み合わせたことを特徴としている。これにより、投擲装置自体にエア供給源を搭載する必要が無いので、投擲装置を小型化することができる。
【0012】
また、前記本体部の他端は弾性のある部材が取り付けられていることを特徴としている。これにより、テザーを巻き取ってフック部を固定対象物に引っ掛ける際に弾性部材が固定対象物に沿って変形するので、投擲装置に掛かるテザーの引張力及びその変動を小さくして投擲装置の跳ね上がりによる固定対象物からの脱落を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
図1及び図2は、本発明の一実施の形態に係るフック固定解除装置を備えた投擲装置を示す一部断面平面図である。この投擲装置はフック10とテザー13を備えており、フック10は筒状の柄(本体部)11の一端(先端)に1本の爪(係止部)12の一端(後端)が旋回自在に軸支されている。そして、テザー13は、柄11の他端(後端)から挿入されて柄11の内部を通され、柄11の一端手前で外部に引き出されて爪12の後端から他端(先端)側へ所定距離離れた略中央の位置に繋留されている。更に、柄11の内部には、図1に示す爪12を柄11に対し折り曲げられた状態に保持・保持解除するロック機構(フック固定解除装置)が設けられている。このロック機構は、爪12を柄11に対し折り曲げた状態で維持するストッパ14と、このストッパ14を係止・係止解除するトリガ15を備えている。
【0015】
ストッパ14は、図1に示すときに柄11の後端近傍に位置するようにテザー13に固着されており、テザー13と共に柄11の先端側に移動可能となっている。トリガ15は、柄11の後端近傍に旋回自在に取り付けられており、ストッパ14が図1に示す柄11の後端近傍に位置しているときに係止して、ストッパ14がテザー13と共に柄11の先端側に移動しないように押えている。これにより、爪12は図1に示すように柄11に対し折り曲げ状態となる。従って、フック10を固定対象物に対し引っ掛けて固定することができる。一方、テザー13が先端側から爪12により引っ張られることにより、ストッパ14はトリガ15を押し上げて係止解除させるので、テザー13はストッパ14と共に柄11の先端側に移動する。これにより、爪12は図2に示すように柄11に対し旋回して直線状態となる。従って、フック10を固定対象物から外して固定解除することができる。
【0016】
このような構成によれば、本実施形態のフック10は、爪12の本数を1本のみの単爪型として爪12の長さをより長くすることができるので、多本数の爪を備えた複爪型のフックと同様の強度を保ちながら軽量化を実現することができる。また、仮にロック機構を爪12の一端付近に設けたとすると、このロック機構はモーメント中心から近距離でフック10に作用する大荷重を支えなければならず、強度を確保するにはロック機構が大型化してしまうが、本実施形態のロック機構は爪12の一端から遠ざけた位置に設けているので、ロック機構への負担が軽減され、ロック機構を小型化することができる。次に、このフック10の使用手順について図3を参照して説明する。
【0017】
図3は、フック10の固定対象物に対する引掛け状態と取外し状態を示す斜視図である。ここで、フック10は、投擲、引掛、牽引、固定解除、回収の順で使用される。
【0018】
(1)投擲:ロボットに搭載された射出装置にフック10を装填し、立木等の固定対象物1の上方を狙ってフック10を投擲する。
【0019】
(2)引掛:フック10の投擲後、フック10はテザー13を介して固定対象物1に吊り下がった状態となるので、テザー13を巻き取って柄11を固定対象物1の上に乗り上げさせ、図3に示すように、爪12を固定対象物1に引っ掛けて固定する。ここで、フック10を複爪型から単爪型としたことにより、固定対象物1に引掛可能な角度が唯1つの爪12の方向のみに限定される。しかし、柄11の中心軸から重心がオフセットしているため、柄11が固定対象物1に乗り上げる際に爪12の方向が鉛直下向きとなり、初期の爪12の方向に拠らず引掛動作は可能である。
【0020】
(3)牽引:固定対象物1に固定された爪12に繋がるテザー13を利用し、ロボットの急斜面登坂や空中移動等を行う。
【0021】
(4)固定解除:登坂や移動等の後、固定対象物1に引っ掛かっている爪12のロックを解除して寝かせることにより爪12の固定を解除し、フック10を地面に落下させる。このとき、爪12の移動方向が固定対象物1から受ける力の方向と一致しているため、ロック解除に要する力を抑えることができる。
【0022】
(5)回収:地面に落下したフック10を、テザー13を巻き取ることによって引き摺って射出装置側に回収する。このとき、フック10全体が一直線状となっているため、地面の凹凸等に爪12が引っ掛かってしまうようなおそれは無くなる。
【0023】
(6)形状初期化:回収して射出装置に固定したフック10を、テザー13を引くことにより爪12を折り曲げて次の投擲に向けて形状初期化する。このときの形状初期化は、射出装置側で自動的に行うことができる。
【0024】
上述したロック機構では、牽引中に誤ってテザー13が先端側から爪12により引っ張られてしまった場合は、ストッパ14がトリガ15を押し上げて係止解除してしまうおそれがある。そこで、トリガ15によるストッパ14の係止状態を継続・継続解除させる仕組みをロック機構に備えることが望ましい。このようなロック機構として、モータで行う電動式ロック機構(フック固定解除装置)と、エアバッグの膨張を利用して行う空圧式ロック機構(フック固定解除装置)についてそれぞれ説明する。
【0025】
図4及び図5は、電動式ロック機構を備えたフックの詳細を示す一部断面斜視図である。このフック100は、筒状の柄(本体部)101の一端(先端)に付勢機構110を介して1本の爪(係止部)102の一端(後端)が旋回自在に軸支されている。そして、テザー103は、柄101の他端(後端)に取り付けられている弾性部材120から挿入されて柄101の内部を通され、柄101の先端手前で外部に引き出されて爪102の後端から他端(先端)側へ所定距離離れた略中央の位置に繋留されている。更に、柄101の内部には、図4に示すように爪102を柄101に対し折り曲げられた状態に保持する電動式ロック機構130が設けられている。この電動式ロック機構130は、爪102を柄101に対し折り曲げた状態で維持するストッパ131と、このストッパ131を係止・係止解除するトリガ132と、このトリガ132と接触・離間可能なロッド133と、このロッド133に固定されたナット134と、このナット134と噛み合うスクリュー135と、このスクリュー135を回転させるモータ136を備えている。
【0026】
ストッパ131は、図4に示すときに柄101の後端近傍に位置するようにテザー103に固着されており、テザー103と共に柄101の先端側に移動可能となっている。トリガ132は、柄101の後端近傍に旋回自在に取り付けられており、ストッパ131が図4に示す柄101の後端近傍に位置しているときに係止して、ストッパ131がテザー103と共に柄101の先端側に移動しないように押えている。これにより、爪102は柄101に対し折り曲げ状態となる。従って、フック100を固定対象物に対し引っ掛けて固定することができる。ところが、牽引中に誤ってテザー13が先端側から爪12により引っ張られてしまった場合は、ストッパ131がトリガ132を押し上げて係止解除してしまうおそれがある。そこで、上記電動式ロック機構130が設けられている。
【0027】
図6〜図8は、電動式ロック機構130の動作を示す平面図である。モータ136を駆動してスクリュー135を回転させて、ナット134と共にロッド133を柄101の他端側に移動させることにより、図6に示すように、ロッド133をトリガ132の上部に挿入する。これにより、トリガ132は回転を拘束されてストッパ131の係止状態で押さえ込まれ、それに引っ掛かっているストッパ131もトリガ1321部分を通過することができない。従って、爪102を支えているテザー103はそのままの状態で維持され、爪102は柄101に対し折り曲げ状態が維持され、フック100を固定対象物に引っ掛けたままで固定することができる。
【0028】
一方、図7に示すように、モータ136を先程とは逆駆動してスクリュー135を逆回転させて、ナット134と共にロッド133を柄101の先端側に移動させることにより、ロッド133をトリガ132の上部から引き抜く。これにより、トリガ132は回転できるようになるので、テザー103を射出装置側に引っ張って爪102を固定対象物に押し付けることにより、ストッパ131はトリガ132を押し上げて係止解除させる。ストッパ131とトリガ132は互いにテーパ面で接触しているため、ストッパ131からトリガ132に作用する負荷の一部がトリガ132を回転させる動力に利用される。そして、図8に示すように、テザー103はストッパ131と共に柄101の先端側に移動し、爪102は柄101に対し旋回して直線状態となるので、フック100を固定対象物から外して固定解除することができる。
【0029】
このような電動式ロック機構130の場合はモータ136に電流を供給する必要がある。この電流の供給源として、フック100の内部にバッテリを搭載しても良く、制御信号を無線式とすれば、万一使用中にテザー103が切断された場合でも制御不能となることは無い。しかし、重量物であるバッテリをフック100に搭載するのはエネルギ面で不利となる。そこで、射出側からフック100まで繋がるテザー103に導線を配線する。導線の電気抵抗による通電効率低下は避けられないが、モータ136は消費電流が小さいものを使用するため、効率低下の程度を低く抑えることができる。但し、テザー103は爪102に連結されているため、爪102の旋回動作の際にテザー103が柄101内部で移動することになる。したがって、モータ136に電流供給を行う場合、この移動に対応可能な配線を行わなければならない。そこで、図4及び図5に示すようなコイル状の配線137を柄101の後端部に取り付ける。そして、テザー103内の導線をこのコイル状配線137に接続し、コイルの伸縮を利用してテザー103の移動に対応する。
【0030】
また、固定対象物に引っ掛かっているフック100を落下させて回収する場合、爪102と柄101を直線状にする必要がある。これに要する力は、フック100が固定対象物に引っ掛かった状態からテザー103を引っ張ることによって発生させることができるため、爪102の旋回軸はフリー状態とすれば十分ということになる。しかし、テザー103が爪102に直結しているため、フック100を固定対象物から落下させて回収する際には、柄101が何らかの抵抗を受ける度に爪102が折れ曲がってしまうおそれがある。そこで、回収時のテザー103の張力程度では爪102が折れ曲がらないようにするため、爪102の旋回軸に付勢機構110を設けた。
【0031】
この付勢機構110は、図4及び図5に示すように、固定軸部111、可動軸部112、圧縮コイルバネ113、プーリ114及びワイヤ115を備えている。固定軸部111は、一端側に爪102が旋回軸102aを介して取り付けられ、他端側に柄101が挿入固定されている。更に、固定軸部111の他端側には、圧縮コイルバネ113と可動軸部112が挿入可能な中空部が穿設されている。可動軸部112は、一端側に圧縮コイルバネ113が挿入可能な中空部が穿設され、他端側にプーリ114が回転自在に軸支されている。そして、ワイヤ115は、爪102に一端が繋留され、旋回軸102aに沿って引き回され、固定軸部111に沿って引き回されてプーリ114に掛けられ、可動軸部112に他端が繋留されている。
【0032】
図9及び図10は、付勢機構110の動作を示す断面図である。図9に示すように、爪102が柄101に対し折り曲げ状態にあるときは、ワイヤ115が爪102に引っ張られてプーリ114を押すので、可動軸部112が固定軸部111の他端側の中空部に押し込まれて圧縮コイルバネ113が圧縮される。そして、図10に示すように、爪102が柄101に対し旋回して直線状態になると、ワイヤ115が緩むので、圧縮コイルバネ113が復元して可動軸部112を固定軸部111の他端側の中空部から押し上げ、プーリ114がワイヤ115を柄101の後端方向へ引っ張る。このため、爪102の柄101に対する直線状態は維持されるので、回収時のテザー103の張力程度では爪102が折れ曲がらないようにすることができる。
【0033】
また、フック100を射出装置により投擲して固定対象物を越えさせた後、テザー103をウインチにより引っ張って柄101を固定対象物に乗り上げさせる際、テザー103には非常に大きな牽引力が掛かる。このため、ウインチに大きな負荷が掛かり、また負荷の変動も大きくなるので、フック100が固定対象物で跳ね上がって落下するおそれがある。そこで、このフック100の後端部には、例えばウレタン樹脂でなる柔軟な円錐状の弾性部材120が取り付けられている。これにより、テザー103をウインチにより引っ張ると弾性部材120が固定対象物に沿って曲がるので、柄101を固定対象物に確実に乗り上げさせ、爪102を固定対象物に確実に引っ掛けて固定することができる。
【0034】
図11及び図12は、空圧式ロック機構を備えたフックの詳細を示す一部断面斜視図である。このフック200は、筒状の柄(本体部)201の一端(先端)に付勢機構210を介して1本の爪(係止部)202の一端(後端)が旋回自在に軸支されている。そして、テザー203は、柄201の他端(後端)に取り付けられている弾性部材220から挿入されて柄201の内部を通され、柄201の先端手前で外部に引き出されて爪202の後端から他端(先端)側へ所定距離離れた略中央の位置に繋留されている。更に、柄201の内部には、図11に示すように爪202を柄201に対し折り曲げられた状態に保持する空圧式ロック機構230が設けられている。この空圧式ロック機構230は、爪202を柄201に対し折り曲げた状態で維持するストッパ231と、このストッパ231を係止・係止解除するトリガ232と、このトリガ232をストッパ231の係止方向へ付勢する板バネ(スプリング)233と、ストッパ231に内蔵され、トリガ232をストッパ231の係止解除方向へ押圧する押圧ブロック234を有するエアバッグ235を備えている。
【0035】
ストッパ231は、図11に示すときに柄201の後端近傍に位置するようにテザー203に固着されており、テザー203と共に柄201の先端側に移動可能となっている。トリガ232は、柄201の後端近傍に旋回自在に取り付けられており、ストッパ231が図11に示す柄201の他端近傍に位置しているときに係止して、ストッパ231がテザー203と共に柄201の先端側に移動しないように押えている。これにより、爪202は柄201に対し折り曲げ状態となる。従って、フック200を固定対象物に対し引っ掛けて固定することができる。ところが、牽引中に誤ってテザー13が先端側から爪12により引っ張られてしまった場合は、ストッパ231がトリガ232を押し上げて係止解除してしまうおそれがある。そこで、上記空圧式ロック機構230が設けられている。
【0036】
図13〜図15は、空圧式ロック機構230の動作を示す平面図である。図13に示すように、エアバッグ235から空気を排出させて板バネ233によりトリガ232をストッパ231の係止状態で押さえ込む。これにより、トリガ232は回転を拘束されてストッパ231の係止状態で押さえ込まれ、それに引っ掛かっているストッパ231もトリガ232部分を通過することができない。従って、爪202を支えているテザー203はそのままの状態で維持され、爪202は柄201に対し折り曲げ状態が維持され、フック200を固定対象物に引っ掛けたままで固定することができる。
【0037】
一方、図14に示すように、エアバッグ235に射出装置に搭載されているコンプレッサから空気を供給してエアバッグ235を膨張させ、押圧ブロック234によりトリガ232を押圧する。これにより、トリガ232は板バネ233の付勢力に反して回転するので、テザー203を射出装置側に引っ張って爪202を固定対象物に押し付けることにより、図15に示すように、テザー203はストッパ231と共に柄201の先端側に移動し、爪202は柄201に対し旋回して直線状態となるので、フック200を固定対象物から外して固定解除することができる。
【0038】
このような空圧式ロック機構230の場合はエアバッグ235に高圧の空気を供給する必要がある。そこで、テザー203にチューブの機能を持たせ、そのテザー203から空気の供給を行う。これにより、投擲装置200自体にエア供給源を搭載する必要が無いので、投擲装置200を小型化することができる。このテザー203には主に3つの性能、即ち耐圧性、耐摩性、耐荷重性が求められる。このため、一般的な例えばポリウレタン製耐圧チューブに高強度・低伸度の例えば超高強度ポリエチレン繊維やアラミド繊維を並列に配置する。このような配置のテザー203として、チューブの横に繊維を並べた構造、繊維がチューブの肉内部に埋め込まれた構造、チューブ内の空隙に繊維を通した構造がある。これらのうち、チューブ内の空隙に繊維を通した構造のテザー203は、チューブ内の空隙の一部を繊維が占有するため有効断面積の点では不利であるが、エアバッグ235が膨張し終えるまでの過渡状態でしか空気を流さないことから問題は無く、繊維が中心軸上に位置するのでチューブの屈曲を阻害せず、また外部環境からも保護されている点で優れている。
【0039】
また、固定対象物に引っ掛かっているフック200を落下させて回収する場合、爪202と柄201を直線状にする必要がある。これに要する力は、フック200が固定対象物に引っ掛かった状態からテザー203を引っ張ることによって発生させることができるため、爪202の旋回軸はフリー状態とすれば十分ということになる。しかし、テザー203が爪202に直結しているため、フック200を固定対象物から落下させて回収する際には、柄201が何らかの抵抗を受ける度に爪202が折れ曲がってしまうおそれがある。そこで、回収時のテザー203の張力程度では爪202が折れ曲がらないようにするため、爪202の旋回軸に付勢機構210を設けた。
【0040】
この付勢機構210は、図11及び図12に示すように、固定軸部211、引張コイルバネ212及びワイヤ213を備えている。固定軸部211は、一端側に爪202が旋回軸202aを介して取り付けられ、他端側に柄201が挿入固定されている。引張コイルバネ212は、一端が柄201の内部に係止されている。そして、ワイヤ213は、爪202に一端が繋留され、旋回軸に沿って引き回され、固定軸部211に沿って引き回され、引張コイルバネ212の他端に他端が繋留されている。
【0041】
このような構成によれば、爪202が柄201に対し折り曲げ状態にあるときは、ワイヤ213が爪202に引っ張られて引張コイルバネ212が伸張される。そして、爪202が柄201に対し旋回して直線状態になると、ワイヤ213が緩むので、引張コイルバネ212が復元してワイヤ213を柄201の後端方向へ引っ張る。このため、爪202の柄201に対する直線状態は維持されるので、回収時のテザー203の張力程度では爪202が折れ曲がらないようにすることができる。
【0042】
また、フック200を射出装置により投擲して固定対象物を越えさせた後、テザー203をウインチにより引っ張って柄201を固定対象物に乗り上げさせる際、テザー203には非常に大きな牽引力が掛かる。このため、ウインチに大きな負荷が掛かり、また負荷の変動も大きくなるので、フック200が固定対象物で跳ね上がって落下するおそれがある。そこで、このフック200の後端部には、例えばウレタン樹脂でなる柔軟な円錐状の弾性部材220が取り付けられている。これにより、テザー203をウインチにより引っ張ると弾性部材220が固定対象物に沿って曲がるので、柄202を固定対象物に確実に乗り上げさせ、爪202を固定対象物に確実に引っ掛けて、テザー203を固定することができる。
【0043】
以上のように、本実施形態のロック機構(電動式ロック機構130、空圧式ロック機構230)を備えた投擲装置10、100、200によれば、トリガ15、132、232をストッパ14、131、231に係止させて爪12、102、202を柄11、101、201に対し折れ曲げた状態で投擲して固定対象物に固定させ、トリガ15、132、232をストッパ14、131、231から係止解除させて爪12、102、202を柄11、101、201に対し直線状態にして固定対象物から外して回収するので、投擲の軌道が固定対象物の上方を越えるように射出することにより、テザー13、103、203を巻き取るのみで爪12、102、202を固定対象物に引っ掛けて確実に固定することができ、また、爪12、102、202を固定対象物から外して固定解除する操作を遠隔で行うことができる。また、爪12、102、202は、柄11、101、201に対し直線状態となる方向に付勢されているので、爪12、102、202を固定解除した後は爪12、102、202と柄11、101、201を直線状態で維持することができ、投擲装置10、100、200を地上においてスムーズに引き摺って回収することができる。
【0044】
尚、上述した本実施形態の電動式ロック機構130のロッド133の移動にリニアモータを用いても良く、更には空圧式ロック機構230としてエアシリンダや油圧式ロック機構として油圧シリンダ等を用いることも可能である。また、空圧式ロック機構230のエアバッグ235の代わりに、液圧式ロック機構として水や油でバッグを膨張させるようにしても良く、更には電動式ロック機構130としてカムを有するモータ等を用いることも可能である。
【0045】
また、本実施形態の電動式ロック機構130や空圧式ロック機構230は投擲装置10、100、200に適用した場合を説明したが、例えば船のアンカー(碇)に適用することにより、碇が珊瑚等に引っ掛かって外れなくなった場合でも従来ように切り離さずに回収することができる。この場合、空圧の代わりに海水等の水圧を利用した水圧式ロック機構とすることができる。また、例えば工事現場等でフックを引っ掛けてワイヤを張った後、従来はフックの引掛け位置まで行ってフックを外し、もしくは、ワイヤを揺らしてフックを無理に外す作業が必要であったが、本実施形態では遠隔操作により簡単にフックを外すことができる。また、本実施形態では爪12、102、202を1本としたが、用途によっては複数本で構成しても同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施の形態に係る投擲装置を示す第1の一部断面平面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る投擲装置を示す第2の一部断面平面図である。
【図3】図1のフックの固定対象物に対する引掛け状態と取外し状態を示す斜視図である。
【図4】電動式ロック機構を備えたフックの詳細を示す第1の一部断面斜視図である。
【図5】電動式ロック機構を備えたフックの詳細を示す第2の一部断面斜視図である。
【図6】電動式ロック機構の動作を示す第1の平面図である。
【図7】電動式ロック機構の動作を示す第2の平面図である。
【図8】電動式ロック機構の動作を示す第3の平面図である。
【図9】付勢機構の動作を示す第1の断面図である。
【図10】付勢機構の動作を示す第2の断面図である。
【図11】空圧式ロック機構を備えたフックの詳細を示す第1の一部断面斜視図である。
【図12】空圧式ロック機構を備えたフックの詳細を示す第2の一部断面斜視図である。
【図13】空圧式ロック機構の動作を示す第1の平面図である。
【図14】空圧式ロック機構の動作を示す第2の平面図である。
【図15】空圧式ロック機構の動作を示す第3の平面図である。
【符号の説明】
【0047】
10、100、200 フック、11、101、201 柄、12、102、202 爪、13、103、203 テザー、14、131、231 ストッパ、15、132、232 トリガ、110、210 付勢機構、111 固定軸部、112 可動軸部、113 圧縮コイルバネ、114 プーリ、115 ワイヤ、120、220 弾性部材、130 電動式ロック機構、133 ロッド、134 ナット、135 スクリュー、136 モータ、211 固定軸部、212 引張コイルバネ、213 ワイヤ、230 空圧式ロック機構、233 板バネ、231 ストッパ、234 押圧ブロック、235 エアバッグ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の本体部と、当該本体部の一端に旋回自在に軸支された爪状の1つのフック部と、前記本体部の他端から当該本体内部に挿入されて、前記フック部の略中央に繋留されたテザーとを備え、前記フック部を固定対象物に対し固定した後に固定解除するフック固定解除装置であって、
前記本体内部の前記テザーの途中に固着されたストッパと、
当該ストッパを係止・係止解除可能なトリガとを備え、
前記トリガを前記ストッパに係止させて前記フック部を前記本体部に対し折れ曲げた状態で前記固定対象物に固定させ、
前記トリガを前記ストッパから係止解除させて前記フック部を前記本体部に対し直線状態にして前記固定対象物から固定解除することを特徴とするフック固定解除装置。
【請求項2】
前記フック部は、前記本体部に対し直線状態となる方向に付勢されていることを特徴とする請求項1に記載のフック固定解除装置。
【請求項3】
前記トリガによる前記ストッパの係止状態を継続・継続解除させる電動機構を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のフック固定解除装置。
【請求項4】
前記電動機構は、前記トリガと接触・離間可能なロッドと、当該ロッドに固定されたナットと、当該ナットと噛み合うスクリューと、当該スクリューを回転させるモータとを備え、当該モータを駆動して前記スクリューを回転させて前記ナットと共に前記ロッドを移動させることにより、前記ロッドを前記トリガに対し接触させて前記トリガを前記ストッパの係止状態で押さえ込み、一方、前記ロッドを前記トリガに対し離間させて前記トリガを前記ストッパの係止解除状態とすることを特徴とする請求項3に記載のフック固定解除装置。
【請求項5】
前記モータに電流を供給する電線と前記テザーを組み合わせ、前記本体内部の他端から前記モータに至る前記電線をコイル状に形成したことを特徴とする請求項4に記載のフック固定解除装置。
【請求項6】
前記トリガによる前記ストッパの係止状態を継続・継続解除させる空圧機構を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のフック固定解除装置。
【請求項7】
前記空圧機構は、前記トリガを前記ストッパの係止方向へ付勢するスプリングと、前記ストッパに装着され、前記トリガを前記ストッパの係止解除方向へ押圧するエアバッグとを備え、当該エアバッグから空気を排出させて前記スプリングにより前記トリガを前記ストッパの係止状態で押さえ込み、一方、前記エアバッグに空気を供給して前記トリガを押圧することにより前記ストッパの係止解除状態とすることを特徴とする請求項6に記載のフック固定解除装置。
【請求項8】
前記エアバッグに空気を供給するチューブと前記テザーを組み合わせたことを特徴とする請求項7に記載のフック固定解除装置。
【請求項9】
前記本体部の他端は弾性のある部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載のフック固定解除装置。
【請求項1】
筒状の本体部と、当該本体部の一端に旋回自在に軸支された爪状の1つのフック部と、前記本体部の他端から当該本体内部に挿入されて、前記フック部の略中央に繋留されたテザーとを備え、前記フック部を固定対象物に対し固定した後に固定解除するフック固定解除装置であって、
前記本体内部の前記テザーの途中に固着されたストッパと、
当該ストッパを係止・係止解除可能なトリガとを備え、
前記トリガを前記ストッパに係止させて前記フック部を前記本体部に対し折れ曲げた状態で前記固定対象物に固定させ、
前記トリガを前記ストッパから係止解除させて前記フック部を前記本体部に対し直線状態にして前記固定対象物から固定解除することを特徴とするフック固定解除装置。
【請求項2】
前記フック部は、前記本体部に対し直線状態となる方向に付勢されていることを特徴とする請求項1に記載のフック固定解除装置。
【請求項3】
前記トリガによる前記ストッパの係止状態を継続・継続解除させる電動機構を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のフック固定解除装置。
【請求項4】
前記電動機構は、前記トリガと接触・離間可能なロッドと、当該ロッドに固定されたナットと、当該ナットと噛み合うスクリューと、当該スクリューを回転させるモータとを備え、当該モータを駆動して前記スクリューを回転させて前記ナットと共に前記ロッドを移動させることにより、前記ロッドを前記トリガに対し接触させて前記トリガを前記ストッパの係止状態で押さえ込み、一方、前記ロッドを前記トリガに対し離間させて前記トリガを前記ストッパの係止解除状態とすることを特徴とする請求項3に記載のフック固定解除装置。
【請求項5】
前記モータに電流を供給する電線と前記テザーを組み合わせ、前記本体内部の他端から前記モータに至る前記電線をコイル状に形成したことを特徴とする請求項4に記載のフック固定解除装置。
【請求項6】
前記トリガによる前記ストッパの係止状態を継続・継続解除させる空圧機構を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のフック固定解除装置。
【請求項7】
前記空圧機構は、前記トリガを前記ストッパの係止方向へ付勢するスプリングと、前記ストッパに装着され、前記トリガを前記ストッパの係止解除方向へ押圧するエアバッグとを備え、当該エアバッグから空気を排出させて前記スプリングにより前記トリガを前記ストッパの係止状態で押さえ込み、一方、前記エアバッグに空気を供給して前記トリガを押圧することにより前記ストッパの係止解除状態とすることを特徴とする請求項6に記載のフック固定解除装置。
【請求項8】
前記エアバッグに空気を供給するチューブと前記テザーを組み合わせたことを特徴とする請求項7に記載のフック固定解除装置。
【請求項9】
前記本体部の他端は弾性のある部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載のフック固定解除装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−201545(P2008−201545A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−40529(P2007−40529)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】
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