説明

フッ素樹脂コート容器

【目的】 容易かつ安価で外観が美しくかつ清潔に使用できる容器を提供する。
【構成】 金属被覆処理を施した金属板の側縁を残した表面に適宜模様及び文字を印刷し、更にその上からフッ素樹脂塗料を塗布し、乾燥後焼成処理を行なった樹脂コート板を巻廻してこの側縁部を溶着接合することにより容器胴を形成し、該胴に対し容器胴と同条件で全面にフッ素樹脂被覆を施した底板を、巻締接合により接合させることでフッ素樹脂コート容器を構成したものである。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案はフッ素樹脂コート容器に係り、特に容器の模様及び文字の印刷を簡単に行なえるようにすることにより食用油などの液体を収容するに、好適で安価な樹脂コート容器を得ることのできるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から知られているフッ素樹脂コート容器として、金属被覆処理を施した金属板の側縁を残した表面にフッ素樹脂塗料を塗布し、乾燥後焼成処理を行った樹脂コート板を巻廻してこの側縁部を溶着接合することにより容器胴を形成し、該胴に対し底板を巻締接合により接合して成るものがある。該金属製容器は非粘着性、耐寒性、耐食性等優れた特性を持つフッ素樹脂でコーティングしてあるため、液体を収容して使用する場合に、該金属製容器の開口部分からの液だれによる汚れが付着しにくく、清掃が容易にできるという利点がある。
【0003】
しかし、その外観は金属被覆処理を施したのみである為、大変味気ないものであった。また、外観をよくするためにラベル等を貼り付けることが考えられるが、手間やコストがかかった。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
本考案が解決すべき課題は、外観の美しいフッ素樹脂コート容器を容易かつ安価で提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本考案は、金属被覆処理を施した金属板の側縁を残した表面に適宜模様及び文字を印刷し、更にその上からフッ素樹脂塗料を塗布し、乾燥後焼成処理を行なった樹脂コート板を巻廻してこの側縁部を溶着接合することにより容器胴を形成し、該胴に対し容器胴と同条件で全面にフッ素樹脂被覆を施した底板を、巻締接合により接合して成るフッ素樹脂コート容器を提供する。
【0006】
【作用】
金属被覆処理を施した金属板の表面に模様及び文字等を印刷し、更にその上からフッ素樹脂コートを施した樹脂コート板を使用するので、容器の外観を容易に向上できる。
【0007】
【実施例】
以下この考案における実施例について説明する。
【0008】
図1から図4はいずれも本発明の一実施例を説明するもので、図1は比較的薄い金属圧延鋼板にメッキ等の金属被覆を施した後、適宜模様及び文字を印刷し更にその両側縁を一部残してフッ素樹脂被覆を施した状態の説明図を示している。
図2、3は成形過程における状態を示し、図4は素材の供給状態の一例を示している。
【0009】
金属圧延鋼板1は例えば3×6板サイズの表面に予めニッケルメッキ等の処理層2を全面的に施した後、容器の外壁となる部分に適宜の模様あるいは文字M等を印刷し、更にポリ四フッ化エチレン樹脂塗料を塗膜量65mg/100cm2で割り付け部分に塗布し乾燥後に焼付温度200〜210℃、焼付時間5〜15分の条件で焼成処理を行って形成した樹脂被覆3を施してある。これを所要寸方に切断することにより、金属保護被覆面が露出している両側縁C、C’だけを残して全面にフッ素樹脂被覆を施した金属板4が樹脂コート板Aとして得られる。
【0010】
5は前述の金属板4を中空状に巻廻して両側縁C、C’を重ね合わせてシーム溶接などにより溶着させた容器胴である。両側縁C、C’の面積はシーム溶接が可能な限り小さいことが必要であり、特に幅を細くすることが望ましい。6は底板で、容器胴の金属板4と同条件で全面に樹脂被覆処理が施されており、周知の巻締接合により容器胴5に液密にして同体的に取り付けられる。8は容器胴5の外壁面に適宜取り付けられる把手、9は容器胴5の上端縁部に設けられる注ぎ口である。
【0011】
上記実施例では金属板として比較的薄い圧延金属鋼板を用いたが、これに限定されるものではない。また、フッ素樹脂についても前記の四フッ化エチレン以外に非粘着特性を有するフッ素樹脂として、例えば四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデンなどがあり、実用新案登録請求の範囲を逸脱しない範囲で種々態様の実施が可能である。
【0012】
【考案の効果】
本考案は、金属被覆処理を施した金属板の側縁を残した表面に適宜模様及び文字を印刷し、更にその上からフッ素樹脂塗料を塗布し、乾燥後焼成処理を行なった樹脂コート板を巻廻してこの側縁部を溶着接合することにより容器胴を形成し、該胴に対し容器胴と同条件で全面にフッ素樹脂被覆を施した底板を、巻締接合により接合してフッ素樹脂コート容器を成したので、従来のような容器外壁面に表示ラベル等を貼り付けるという手間が省けると共にデザイン性が向上し、外観をすっきりと美しく見せることができるようになった。また、フッ素樹脂コートにより汚れが付きにくいため、より清潔に使用することが可能である。
【0013】
更に、予め金属板を必要寸法に形成しておき巻締接合させることで大量に加工させることが可能であり、従来実施されていたように全面に表面処理を施した材料を用いた場合の溶接不良や特殊溶接をなくして安価に品質の勝れた容器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属鋼板へのフッ素樹脂コートの処理状態を示し、(a)は平面、(b)は(a)におけるB−B断面を示している。
【図2】金属鋼板の巻廻接合状態の説明図
【図3】容器の形成過程を示し、(a)は折り曲げの第一段階、(b)は折り曲げ接合後の断面図である。
【図4】容器の外観図。
【符号の説明】
1 金属板としての金属圧延鋼板
3 フッ素樹脂被覆
5 容器胴
6 底板
A 樹脂コート板
M 模様及び文字

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 金属被覆処理を施した金属板の側縁を残した表面に適宜模様及び文字を印刷し、更にその上からフッ素樹脂塗料を塗布し、乾燥後焼成処理を行なった樹脂コート板を巻廻してこの側縁部を溶着接合することにより容器胴を形成し、該胴に対し容器胴と同条件で全面にフッ素樹脂被覆を施した底板を、巻締接合により接合して成るフッ素樹脂コート容器。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【登録番号】第3038039号
【登録日】平成9年(1997)3月19日
【発行日】平成9年(1997)6月6日
【考案の名称】フッ素樹脂コート容器
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平8−12455
【出願日】平成8年(1996)11月20日
【出願人】(000157636)丸忠産業株式会社 (1)