説明

フッ素樹脂体の熱融着方法

【課題】押圧状態によって生じるヘッド部の回転を吸収するとともに正常位置への復帰を図る構成により、加えて、首振りの影響を積極的に吸収するとともに復帰を図る構成により、良好な転写、転写の均一化に貢献する塗膜転写具を提供する。
【解決手段】ヘッド部1を一端で支える支柱2の他端に設けられ、支柱2の軸の中心から周辺までの距離が回転方向に応じて変化する異形部材4を設けておき、狭持板3で、ヘッド部1が被転写物を押圧していないときは異形部材4の最も狭い間隔の相対する両辺を弾力的に狭持し、被転写物を押圧して支柱2の軸廻りに回転が生じたときは、異形部材4が回転して狭持している両辺の間隔を強制的に大きく広げられるとともに復帰力を生じさせる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被転写物、例えば紙等に、転写層、例えば糊を塗布したテープ状の層や文字修正のための膜を塗布したテープ状の層等を有する転写テープを送り出してその転写層を貼り付ける塗膜転写具(塗膜転写具、或いは塗布具等と称せられるが、代表して「塗膜転写具」と言う。)に関する。特に、塗膜転写具を手にもって、ヘッド部で転写テープを被転写物に押圧して移動させながら転写させるときに、押圧力の係り方によってヘッド部がヘッド部の軸中心に回転(或いはよじれ)或いは移動方向と反対方向へ首振りする(傾斜する)ことがあるが、それらに応答してできるだけ均一な転写を行える塗膜転写具に係る。
【背景技術】
【0002】
一般に、塗膜転写具のヘッド部を押圧しながら移動させて、ある距離だけ転写しようとすると転写テープの幅方向(移動方向と直交する方向)に均等に力が係らず片押し状態(幅方向へ回転力が生じる状態)となり、転写された転写層にむらを生ずることがある。また、塗膜転写具を転写したい距離だけ移動させながら押圧するにあたっては、その距離により、或いは押圧する人により押圧力が異なり(ヘッド部の移動方向と反対方向への首振り状態が異なる)、均一に転写できないことがある。
【0003】
特許文献1の技術は、上記のようなヘッド部の圧着ブレードの前端を狭持して回転力を吸収しようとする技術である。
【0004】
【特許文献1】実開平7−13860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1の技術は回転力を吸収しようとするが、実際に起こるヘッド部の回転は、その回転の中心点をいつも一定にして回転するのではない。そのままでの構造であれば、片押しによる回転は、首振りの現象を伴って生じる。さらには、ケースの持ち方によるヘッドの傾きによって生ずる場合や、意図的に、斜め引き、或いは曲線引きすることによってヘッド部の回転や首振りの双方が生ずる場合がある。したがって、特許文献1の技術では、ヘッド部の回転及び首振りによる、均一化への悪影響を取り切れていない。
【0006】
本発明は、上記問題点を改善するものであって、押圧状態によって生じるヘッド部の回転を吸収するとともに正常位置への復帰を図る構成により、加えて、首振りの影響を積極的に吸収するとともに復帰を図る構成により、良好な転写、転写の均一化に貢献する塗膜転写具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、テープの片面に転写層を設けた転写テープを送り出す巻出部と、送り出された前記転写テープを被転写物に押圧しながら移動させることにより前記転写層を転写させるヘッド部と該ヘッド部を一端で支える支柱とを有する転写部と、転写後のテープを巻き取る巻取部と、前記巻出部、転写部、及び巻取部を収容し、前記転写部の前記ヘッド部を外部へ出すための窓を有するケースと、を備えた塗膜転写具にあって、
前記転写部の支柱の他端に設けられ、該支柱の軸の中心から周辺までの距離が回転方向に応じて変化する異形部材と、前記ケースの内側に設けられ、前記ヘッド部が被転写物を押圧していないときは前記異形部材の相対する2つの辺であって最も狭い間隔の両辺を弾力的に狭持する弾力的狭持機構と、を備えた。
【0008】
上記課題を解決するため、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記弾力的狭持機構は、前記前記ヘッド部が被転写物を押圧時に支柱の軸廻りに回転が生じたときは、前記異形部材が回転して前記狭持している両辺の間隔を強制的に最も狭い間隔から大きく広げられるとともに、復帰力を生じさせる構成とした。
【0009】
上記課題を解決するため、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記窓を構成する前記ケースの窓枠は円形の内周を有し、前記窓枠の内周に沿って回転可能にされ、転写部の前記支柱が挿入されたリングと、該リングの中央付近で前記テープの移動方向と直交する方向から橋渡しされた軸部材とを有し、前記軸部材が該リング内に挿入された前記転写部の支柱の該リングに対する位置を一定に維持させるとともに、軸部材の軸廻りに前記支柱を該リングとともに回転可能に支持する構成とした。
【0010】
上記課題を解決するため、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記支柱は、前記ヘッド部が転写方向に移動しながら押圧されたときの押圧状態に応じて、前記ヘッド部を前記転写テープの移動方向に傾斜させるとともに、復帰力を生じさせる弾性を備えた。
【0011】
上記課題を解決するため、請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記ケースの窓枠に固定して設けられ、前記転写テープの移動方向と直交する側に、少なくとも中心軸より所定角度範囲に亘って円形の内周を有する円形部を備えたリングと、
前記ヘッド部と前記支柱との間に設けられ、前記リングの前記円形部の内周に沿ってヘッド部の回転を案内する回転ガイドと、
前記リングの内周の前記所定角度範囲の境界位置に設けられ、前記回転ガイドに係止することにより、前記所定角度範囲以上のヘッド部の回転を規制するストッパと、を備えた。
【発明の効果】
【0012】
請求項1又は2に記載の発明によれば、例えば、操作者のケースの持ち方による紙面に対するヘッドの傾き、斜め引き、曲線引き等の押圧状態がヘッドに生ずるが、それらの押圧状態でヘッド部が回転する力が働くとそれに追随して回転可能にするとともに、回転量が大きくなるのに応じて元へ復帰させる力を働かせることにより、回転力を吸収し、転写の均一化が図れる。請求項3及び5に記載の発明によれば、押圧状態でヘッド部が回転する力が働くと、ヘッド部がリング内の所定位置、例えば中央で回転し、また軸部を中心に回転する構成としたので、バラツキを少なくすることができるので、転写の均一化に貢献する。請求項4の発明によれば、押圧・移動状態で生じる首振りの力に応じて傾斜し、復帰する構成にしてあるので、首振りの力を吸収し、転写の均一化に貢献する。また、請求項5に記載の発明によれば、ヘッド部の回転範囲を規制することができるので、過大の回転を規制し、破損を防止する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の塗膜転写具に係る実施形態を図をもって説明する。図1は、第1の実施形態の一例の全体構造を示す図である。図2は、ヘッド部を支持する構造を説明するための図である。図3は、ヘッド部の回転構造を説明するための図である。図4は、ヘッド部の首振りの構造を説明するための図である。図5は、第1の実施形態の他の実施形態の外観斜視図である。図6は、第2の実施形態のヘッド部の構造を示す図である。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、操作者がヘッド部1を被転写物60(例えば、紙)を押圧して、操作者の手前に(図1では、左方向)に移動させながら転写層10bを転写している状態を示している。図1のケース20は透明な樹脂で成形されている。ここで、ケース20内の巻出部30には、予め転写テープ10が巻かれている。転写テープ10は、テープ10aと転写層10bが貼り合わせて構成されている。転写テープ10は、ガイド柱8からリング5内を通ってヘッド部1に係り、さらにリング5を潜ってガイド柱8を経て巻取部40へ巻取られる。ヘッド部1において、転写層10bは被転写物60に転写されるが、残りのテープ10aだけが巻取部40に巻き取られる。巻出部30と巻取部40は、連動機構50によりほぼ同じタイミングで互いに反対方向へ回転する。互いの連動には、遊び(タイムラグ)を有し、転写テープ10(或いはテープ10a)が張られた状態を維持している。
【0015】
ヘッド部1は、ケースの窓20aから突き出た状態で支柱2に支持され、支柱2はヘッド部1とは反対側の端部を狭持板3で回転可能に狭持されるとともに、ヘッド部1近くでリング5により回転可能に保持されている。
【0016】
ヘッド部1及びヘッド部1が係合するその周辺の機構については、図2にその詳細構成を示す。図2(A)はヘッド部1の斜視図で、図2(B)は図2(A)の矢視X側方向から見た図で、図2(C)は図2(A)の矢視Y側方向から見た図である。いずれも模擬的に示した図である。
【0017】
図2(A)(B)に示すように、支柱2の一端にヘッド部1が設けられ、他端に異形部材として角形部材4が設けられている。ヘッド部1は、支柱2の両側に略3角形の板状のテープガイド1bが設けられ、その頂部にテープ押圧ローラ1aが張られている。テープ押圧ローラ1aは、転写テープ10が張架されてスムーズに流れるようにするため柱状の形状であって、回転しないものであっても、転写テープ10の移動方向に回転可能な構造であっても良い。テープ押圧ローラ1aの長さ(テープガイド1b間の距離)は転写テープ10の幅とほぼ同じか、より長くされている。2つのテープガイド1bは、巻出部30や巻取部40側に末広がりの略3角形の板状に形成されているが、その末広がりの部分で、巻出部30から巻取部40側へ流れる転写テープ10(テープ10a)がテープ押圧ローラ1aからその長さ方向へ外れないようにガイドする機能を有している。
【0018】
図2(B)(C)に示すように、支柱2の中央の位置からヘッド部1側寄りの位置に、転写テープ10の移動方向と直交する方向(テープ押圧ローラ1aの軸方向と同一方向)に長さ方向を有する柱状形状の軸部材6が設けられている。図2(C)に示すように、支柱2を角形部材4側からリング5に挿入されることにより、軸部材6の両端がリング5の係合溝7に嵌合することによって、リング5の中央に橋渡しされた形になる。図2(A)(B)は、その軸部材6と係合溝7との嵌合状態を示す。このリング5は、図1のようにケース20の窓枠20b内に取り付けられ、窓枠20bの周囲に沿って回転可能に支持されている。
【0019】
支柱2の他端に取り付けられている角形部材4は、ケース20に取り付けられた2枚の狭持板3(弾力的狭持機構)によって狭持されている。通常は角形部材4(異形部材)の辺間の距離が最短となる距離を有する、相対する両辺で挟み込まれている。
【0020】
図3は、ヘッド部1に回転が生じたときの状態を説明するための図である。図3(A)はヘッド部1とその周辺機構の全体図で、図3(B)(C)(D)は、図3(A)の矢視Zから見た図である。なお図3(B)(C)は断面が異形な部材である角形部材4として断面形状が長方形の部材を用いた場合で、図3(D)は、断面が楕円形の部材を用いた場合の例である。図3(A)で押圧状態により、ヘッド部1に実線で示す状態から点線で示すように回転した場合、支柱2はねじれながら回転する。支柱2の回転は、軸部材6を介してリング5を回転させる。つまり支柱2とリング5は共に回転する。逆にリング5と軸部材6によって、リングの中央位置で回転、或いはケース20の窓枠20bの中央で回転するように、その回転の中心位置が規制される。つまり、リング5と軸部材6(いわば支柱2の支持機構)は、ヘッド部1の回転を積極的に助けることにより回転を吸収するととともに、その回転位置を規制することにより、回転による支柱2のブレ範囲が狭く制限され安定化される。
【0021】
一方で、支柱2の他端に設けられた角形部材4は、ヘッド部1が回転していないときは図3(B)に示すように間隔が狭い方の相対する両辺を板状の2枚の弾力性のある狭持板3で密着して狭持されている。ヘッド部1が回転すると図3(C)に示すように角形部材4の角から回転力が狭持板3に伝えられて、弾力性のある2枚の狭持板3の間隔が広げられる。しかし、さらに回転が続くと狭持板3の間隔が広げられる反面、狭持板3の弾力性のある反発力により回転を戻す力が強くなる。角形部材4が図3(D)のような楕円形の断面をしていても同様の効果を有する。上記のようにリング5と軸部材6によりヘッド部1の回転を積極的に吸収するとしても異常状態ではあるので、角形部材4及び狭持板3は正常な状態へ戻そうとするものである。なお、狭持板3に弾力性を有するのみではなく、支柱2は回転方向に対する弾力性を有しても良い。そのために、支柱2は、樹脂性材料で形成することが望ましい。又、形状は、支柱2のヘッド部1側を太く、角形部材4側を細くする構成にすることにより、弾力性をもたせることもできる。
【0022】
図4は、ヘッド部1の転写テープ10の移動方向への首振りの状態を説明するための図である。首振りは、操作者がテープ移動方向に移動させるときの押圧力のバラツキによって生じがちである。図4(A)は、リング5と窓枠20bとの間に隙間がほとんど無い場合で、ヘッド部1が図4(A)の実線の状態から点線の状態へ首振りが生じたときの首振りの範囲は、ヘッド部1は、支柱2の途中に設けられている軸部材6を支点として、その軸中心の廻りを回転(傾斜)するので、支柱2の軸部材6からヘッド部までの長さと弾力性に依存する。そしてこの首振りの範囲で、この回転(傾斜)は軸部材6を起点として、積極的に首振りを吸収するとともに、支柱2の弾力性により復帰力が働く。図4(B)は、リング5と窓枠20bとの間に隙間を大きくした場合で、この場合、ヘッド部1が図4の実線の状態から点線の状態へ首振りが生じたときの首振りの範囲は、ヘッド部1は、リング5とともに狭持板3に狭持されている位置を支点として回転(傾斜)するので、支柱2の長さと弾力性に依存する。そしてこの首振りの範囲で、積極的に首振りを吸収するとともに、支柱2の弾力性により復帰力が働く。
【0023】
一方、支柱2の長さ方向の軸部材6から角形部材4までの部分は、ヘッド部1の首振りにともなって軸部材6又は狭持板3の位置を中心に回転(傾斜)しようとするが、角形部材4の両辺は弾力性のある狭持板3で狭持されているため、その狭持板3との摩擦力による反発力を受け、角形部材4の位置を元の位置へ戻そうとする。このように首振りにおいても、角形部材4と狭持板3は、支柱2の弾力性とともに協働して支柱2及びヘッド1を積極的に首振りを吸収し、かつ正常な常態へ復帰させようとするものである。
【0024】
上記の狭持板3は、図3(C)(D)のように一端側の2枚の狭持板3の間隔が変わることがあるため、狭持板3を2枚の板部材で構成するときは、ケース20の内壁にテープ移動方向に向けて立てている。
【0025】
「第1の実施形態の他の実施形態」
図5に塗膜転写具の他の実施形態の概要を示す外観斜視図を示す。図1の実施形態が、操作者が塗膜転写具を押圧しつつ手元に引きながら転写するものであったが、図5は、操作者が左から右方向へ塗膜転写具を押圧しつつ移動させることにより転写するものである。図1も同様であるが図5のケース20は透明な樹脂で成形されている。
【0026】
図5において、図1と同一符号の部材は、形が多少異なることがあるが、基本機能は同一である。図5では、巻出部30と巻取部40は、同軸構造にされて連動する構成にされている。
【0027】
テープ押圧ローラ1aの向き(つまりは、テープ移動方向)と、実施に配置された巻取部40の巻き取り方向との関係から、図5におけるテープ押圧ローラ1aから巻取部40までの間に、テープ10aはガイド柱8により90度だけ捩れるようにして流されて巻き取られる。
【0028】
その他、の機構・動作は、図1と同じである。しかしながら、図5の形態では操作者が左側から右側へ、塗膜転写具を移動させるので転写層10bが転写されている状態が視認しやすい。したがって、押圧の仕方で、転写に影響があるかどうか視認しやすいので、操作者は悪影響があると認識したときは押圧する力の配分を調整しやすい。
【0029】
[第2の実施形態]
図6に示すように、第2の実施形態は、第1の実施形態及び他の実施形態に対して、ヘッド部1の周囲にあるリング11をケース20に固定し、そのヘッド部1内にリング11の内周に沿って回転をガイドする回転ガイド1cと、その回転ガイド1cの回転範囲を抑制するストッパ11aとをリング11内に設けたことを特徴とするものである。
【0030】
図6において、図1及び図5と同一符号を付してある要素は、機能も同一である。図6は、ヘッド部1付近及びリング11付近だけを示しているが、それ以外の要素は、図1及び図5のものがそのまま採用できるので、ここでは説明を省略する。
【0031】
図6(A)において、リング11は、ケース20に回転不能に固定されている。リング11は、特別に作らず図1の窓枠20bを利用しても良い。図6(A)でテープガイド1bと支柱2の間には、板状の形状を有しその中心を支柱2の中心に固定され、半径がリング11の半径より短くされた回転ガイド1cが設けられている。図6(A)の矢視Wから見た図が図6(B)である。図6(B)のように回転ガイド1cは、ヘッド部1が押圧状態により軸中心(=支柱2の軸中心)に回転しょうとするとき、ヘッド部1の回転をリングの内周に沿ってガイドする。つまり、回転ガイド1cは、ヘッド部1の回転中心をリング11のほぼ中心に規制するためのものでもある。
【0032】
リング11の内周の4カ所にストッパ11aが設けられていつ。ストッパ11aは、ヘッド部1が回転し、回転ガイド1cが大きく回転したとき、回転ガイド1cに係合して、その回転を停止させるものである。ストッパ11aのリング11中心方向の先端位置とリング中心位置との距離は、回転ガイド1cの半径より短くされている。したがって、図6(B)に示すように回転ガイド1cの回転範囲がストッパ11aで規制される。
【0033】
図6(C)は回転ガイド1cの回転範囲をリング12の形状で規制するものである。リング12も窓枠20bを変形して兼ねて利用してもよい。図6(C)でリング12の断面を、回転ガイド1cの面方向の相対する辺を円形にした円形部12aとその間を直線にした方形部12bとに分け、リング12の回転中心からの円形部12aまでの距離を回転ガイド1cの半径より長く、リング12の回転中心からの方形部12bまでの距離を回転ガイド1cの半径より短く構成している。したがって、回転ガイド1cの回転は方形部12bで回転を停止される。つまり、回転範囲は、円形部12aの範囲に規制されている。
【0034】
上記図6(B)、(C)に共通の構成を言えば、次のように言える。つまり、ケース20の窓枠20bに固定して設けられ、少なくとも転写テープ10の移動方向と直交する側に、少なくとも中心軸より所定角度範囲(上記の回転範囲)に亘って円形の内周を有する円形部12a(或いは11の一部)を備えたリング12(11)と、ヘッド部1と支柱2との間に設けられ、リング12の円形部12aの内周に沿ってヘッド部1の回転を案内する回転ガイド1cと、リング12の内周の所定角度範囲の境界位置に設けられ、回転ガイド1cに係止することにより、所定角度範囲以上にヘッド部1が回転するのを規制するストッパ11a(12b)と、を備えている。
【0035】
第2の実施形態では、上記のように構成することで、押圧状態によりヘッド部1に回転が生じたときはリング11の中央を中心に回転させるようにして転写の均一化を図るとともに、過大な回転を規制することで破損等を防止するものである。
【0036】
なお、第1の実施形態及び他の実施形態はリング5が窓枠20b内を回転するが、そのリング5と窓枠20bとの関係を、第2の実施形態の回転ガイド1cとリング11(或いは12)との係合構造を適用すれば、同様の効果を生ずる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第1の実施形態の一例の全体構造を示す図である。
【図2】ヘッド部を指示する構造を説明するための図である。
【図3】ヘッド部の回転の構造を説明するための図である。
【図4】ヘッド部の首振りの構造を説明するための図である。
【図5】第1の実施形態の他の実施形態の外観斜視図である。
【図6】第2の実施形態のヘッド部の構造を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1 ヘッド部、 1a テープ押圧ローラ、 1b テープガイド、
1c 回転ガイド、 2 支柱、
3 狭持板、 4 角形部材(異形部材)、 5 リング、
6 軸部材、 7 係合溝、 8 ガイド柱、 10 転写テープ、 11 リング、 11a ストッパ、 12 リング、 12a 円形部、 12b 方形部、
10a テープ、 10b 転写層、 20 ケース、 20a 窓、
20b 窓枠、 30 巻出部、40 巻取部、 50 連動機構、
60 被転写物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープの片面に転写層を設けた転写テープを送り出す巻出部と、送り出された前記転写テープを被転写物に押圧しながら移動させることにより前記転写層を転写させるヘッド部と該ヘッド部を一端で支える支柱とを有する転写部と、転写後のテープを巻き取る巻取部と、前記巻出部、転写部、及び巻取部を収容し、前記転写部の前記ヘッド部を外部へ出すための窓を有するケースと、を備えた塗膜転写具であって、
前記転写部の支柱の他端に設けられ、該支柱の軸の中心から周辺までの距離が回転方向に応じて変化する異形部材と、前記ケースの内側に設けられ、前記ヘッド部が被転写物を押圧していないときは前記異形部材の相対する2つの辺であって最も狭い間隔の両辺を弾力的に狭持する弾力的狭持機構と、を備えた塗膜転写具。
【請求項2】
前記弾力的狭持機構は、前記前記ヘッド部が被転写物を押圧時に支柱の軸廻りに回転が生じたときは、前記異形部材が回転して前記狭持している両辺の間隔を強制的に最も狭い間隔から大きく広げられるとともに、復帰力を生じさせることを特徴とする請求項1に記載の塗膜転写具。
【請求項3】
前記窓を構成する前記ケースの窓枠は円形の内周を有し、
前記窓枠の内周に沿って回転可能にされ、転写部の前記支柱が挿入されたリングと、該リングの中央付近で前記テープの移動方向と直交する方向から橋渡しされた軸部材とを有し、前記軸部材が該リング内に挿入された前記転写部の支柱の該リングに対する位置を一定に維持させるとともに、軸部材の軸廻りに前記支柱を該リングとともに回転可能に支持する構成としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の塗膜転写具。
【請求項4】
前記支柱は、前記ヘッド部が転写方向に移動しながら押圧されたときの押圧状態に応じて、前記ヘッド部を前記転写テープの移動方向に傾斜させるとともに、復帰力を生じさせる弾性を有することを特徴とする請求項3に記載の塗膜転写具。
【請求項5】
前記ケースの窓枠に固定して設けられ、前記転写テープの移動方向と直交する側に、少なくとも中心軸より所定角度範囲に亘って円形の内周を有する円形部を備えたリングと、
前記ヘッド部と前記支柱との間に設けられ、前記リングの前記円形部の内周に沿ってヘッド部の回転を案内する回転ガイドと、
前記リングの内周の前記所定角度範囲の境界位置に設けられ、前記回転ガイドに係止することにより、前記所定角度範囲以上のヘッド部の回転を規制するストッパと、を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の塗膜転写具。

【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−166437(P2009−166437A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−9738(P2008−9738)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(301033282)プラスステーショナリー株式会社 (24)