説明

フッ素重合体の共縮合重合

ハロゲン化銅触媒の存在下で、A)式N3(Y)p−(CH2n−R−(CH2m−(Y)p3の化合物(式中、YはSO、SO2、C64、又はCO、p=0又は1、n及びmは独立に1〜4であり、及びRはi)C3〜C10フルオロアルキレン基、ii)C3〜C10フルオロアルコキシレン基、iii)置換アリール基、iv)フッ化ビニリデンとパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、v)フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合単位を含むオリゴマー、vi)テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、及びvii)テトラフルオロエチレンと炭化水素オレフィンの共重合単位を含むオリゴマーからなる群から選択される)を、B)テレケリックジイン又はジニトリルと反応させることを含む共縮合重合によりフッ素化共重合体を合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン化銅触媒の存在下でA)式N3(Y)p−(CH2n−R−(CH2m−(Y)p3(式中、YはSO、SO2、C64、又はCO、p=0又は1、n及びmは独立に1〜4であり、及びRはi)C3〜C10フルオロアルキレン基、ii)C3〜C10フルオロアルコキシレン基、iii)置換アリール基、iv)フッ化ビニリデンとパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、v)フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合単位を含むオリゴマー、vi)テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、及びvii)テトラフルオロエチレンと炭化水素オレフィンの共重合単位を含むオリゴマーからなる群から選択される)で表されるテレケリックフルオロアジド化合物を、B)テレケリックジイン又はジニトリル化合物と反応させることを含むフッ素化共重合体を製造するための共縮合重合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素重合体は、典型的にはフルオロオレフィンとフルオロビニルエーテルからフリーラジカルエマルジョン、溶液又は懸濁重合方法により製造される。製造されたフッ素重合体のタイプは、このような方法により製造されたものに限定される。
【0003】
1,2,3−トリアゾールを生成するアジドとアルキンとの1,3−双極性環状付加反応は、フイスゲン(Huisgen)反応と呼ばれている。この反応はまた「クリックケミストリー(Click Chemistry)」H.C.Kolb M.G.Finn及びK.B.Sharpless,Angewandte Chemie International Edition、40(11),2004−2021(2001),PP.と呼ばれる反応の一つである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クリックケミストリーをフッ素化学品にまで拡張して、新規なフッ素重合体を製造できるようにすることは有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、フッ素化共重合体を製造する新規な共縮合重合方法に関するものである。したがって、本発明の一つの態様は、
A)窒素系の配位子とハロゲン化銅(I)触媒を反応器に供給するステップと、
B)式N3(Y)p−(CH2n−R−(CH2m−(Y)p3で表され、式中YはSO、SO2、C64、又はCO、p=0又は1、n及びmは独立に1〜4であり、及びRはi)C3〜C10フルオロアルキレン基、ii)C3〜C10フルオロアルコキシレン基、iii)置換アリール基、iv)フッ化ビニリデンとパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、v)フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合単位を含むオリゴマー、vi)テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、及びvii)テトラフルオロエチレンと炭化水素オレフィンの共重合単位を含むオリゴマーからなる群から選択される、テレケリックフルオロアジド化合物を反応器に追加するステップと、
C)テレケリックジイン又はジニトリル化合物を反応器に追加するステップと、
D)前記フルオロアジド化合物(B)と前記テレケリックジイン又はジニトリル化合物(C)を反応させてフッ素化共重合体を形成するステップと
を含むフッ素化共重合体を製造する方法である。
【0006】
本発明は、フッ素化共重合体を製造する為の共縮合重合方法に向けられたものである。「共縮合」の用語は、新たな製品を導く反応物間の縮合を意味する。この方法において、テレケリックフッ素化ビスアジド化合物は、ハロゲン化銅(I)触媒の存在下でテレケリックジイン又はジニトリル(ジシアノ)化合物と反応する。任意選択的にハロゲン化銅(I)はハロゲン化銅(II)とアスコルビン酸のような還元剤との反応によって現場で生成することも出来る。重合媒体は、二座窒素配位試薬(例、2,2’−ビピリジン)、ヘキサメチレンテトラミン、2−ピリジンカルボアルデヒドアルキルイミン、多座線状ポリアミン、1,10−フェナントロリン、及び1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミンなどのような窒素系配位子である。
【0007】
本発明の方法で使用できるテレケリックフッ素化ビスアジド化合物は、式N3(Y)p−(CH2n−R−(CH2m−(Y)p3で表され、式中YはSO、SO2、C64、又はCO、p=0又は1、n及びmは独立に1〜4であり、及びRはi)C3〜C10フルオロアルキレン基、ii)C3〜C10フルオロアルコキシレン基、iii)置換アリール基、iv)フッ化ビニリデンとパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、v)フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合単位を含むオリゴマー、vi)テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、及びvii)テトラフルオロエチレンと炭化水素オレフィンの共重合単位を含むオリゴマーからなる群から選択される。炭化水素オレフィンにはエチレン(E)及びプロピレン(P)が含まれる。
【0008】
これらのオリゴマー(即ち、低分子量共重合体)は、米国特許出願公開第20090105435A1号明細書に開示された方法に従って製造することが出来る。これらの方法では、VF2又はTFEはI−(CF24−Iの存在下でヨウ素移行共重合される。その結果生成される共重合体は次にエチレン化され、最後にNaN3と反応しジアジドテレケリックオリゴマーを生成する。このようなオリゴマーは、10〜60モルパーセントのパーフルオロ(メチルビニルエーテル)を含むことが好ましい。このオリゴマーは1000〜25,000、好ましくは1200〜12,000、最も好ましくは1500〜5000の数平均分子量を有する。
【0009】
本発明の方法に含まれるオリゴマーの具体的な例としては、TFE/PMVE、VF2/PMVE、VF2/TFE/PMVE、TFE/PMVE/E、VF2/HFP、VF2/HFP/TFE、TFE/P及びTFE/VF2が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0010】
本発明の方法で使用できるテレケリックジイン又はジニトリル(ジシアノ)化合物はNC−(CF2n−CN(n=2〜20)(米国特許第2,515,246号明細書及びJournal of Industrial and Engineering Chemistry(Washington,D.C.)(1947),39,415−17を参照)、及びHC≡C−(CF2n−C≡CH (n=2〜20)(K.Baum,et al.,J.Org.Chem.,47,2251(1982)を参照)を含むがこれらに限定されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
重合反応は15℃と100℃との間(好ましくは20℃と80℃との間)の温度、及び0.1MPaと7MPaとの間(好ましくは0.1MPaと7MPaとの間)の圧力で行うことが出来る。
【0012】
共縮合重合反応の例としては、
【0013】
【化1】

【0014】
上記において、Rはテレケリックフッ素化ビスアジド化合物の式で定義されたものと同じである。上記の反応において触媒としてはCuBrが示されているが、いずれのハロゲン化銅(I)も使用可能である。
【0015】
本発明の共縮合方法によって合成された共重合体は、5000〜20,000、好ましくは10,000〜100,000の間の数平均分子量を有する。
【0016】
これらの共重合体は自動車産業、航空宇宙産業及び電子産業で使用される封止剤、O−リング、シャフトシールを含む多くの産業用途に使用される。
【実施例】
【0017】
テスト方法
核磁気共鳴分光法:
共重縮合で得られたフッ素重合体の組成と構造は、19F及び1H NMR分光法により決定される。NMRスペクトルは、ブルーカー(BRUKER)(登録商標)AC250、又はAC400(250及び400MHz)装置で、重水素化アセトンを溶媒とて使用し、1H(又は19F)核についてはテトラメチルシラン(TMS)(又はCFCl3)を標準として使用して記録した。結合定数及び化学シフトは、それぞれHz及びppmで与えられる。1H(又は19F)NMRスペクトルの実験条件は次の通りである:フリップ角90°(又は30°)、取得時間4.5s(又は0.7s)、パルス遅延2s(又は5s)、スキャンの数16(又は128)、及び19FNMRのパルス幅5μs。
【0018】
クロマトグラフィー
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、Polymer Laboratories製の二つのPLgel 5μm混合カラム−C及びスペクトラ物理SP8430RI検出器(Spectra Physics SP8430RI detector)を備えたスペクトラ物理装置(Spectra−Physics apparatus)を用いて行った。ジメチルホルムアミド(DMF)を溶離剤、温度を30℃及び流速を0.8mL min-1で行った。ポリスチレン又はポリメチルメタクリレート標準(Polymer Laboratories)を使用し分子量の相対値を得た。注入の前に既知の濃度(約2重量%)の試料を200ミクロンPTFEクロマフィル膜により濾過した。
【0019】
熱的性質
ガラス転移温度(Tg)は、インジウム及びn−デカンで較正したパーキンエルマーピリス1(Perkin Elmer Pyris 1)装置を使用した示差走査熱量計(DSC)で決定した。試料(約10mg)は最初−105℃で10分間冷却し、続いて加熱速度20℃/分で−100℃から50℃まで加熱した。(第二の再冷却は−105℃まで行い、同じサイクルを3回繰り返した)。ここで報告したTg値は、示差熱流の変曲点に相当する。
【0020】
TGA解析は、テキサスインストルメント(Texas Instrument)ATG51−133装置を用いて、空気下、加熱速度20℃/分で室温(約20℃)から550℃まで行った。
【0021】
例として次のビスアジド化合物を使用した。
1.テレケリックビス(アジド)ポリ(VF2−co−PMVE)共重合体。これはパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)とフッ化ビニリデン(VF2)から多段プロセスで合成した。
【0022】
入口及び出口バルブ、圧力計、及び破壊ディスクを備えた1ガロンのハステロイ(Hastelloy)(HC−276)オートクレーブを脱気し3.0MPaの窒素で2時間加圧し漏れをチェックした。この操作の後、2.67kPaの真空引きを30分間行い、残余酸素を除去した。真空下でオートクレーブに予め調製した溶液を入れた。
【0023】
予め調製した溶液: Na228(7.36g、0.031mol)、1,4−ジヨードパーフルオロブタン(IC48I)(143g、0.315mol)、及び脱イオン水(1.6kg)を混合し、次いでアルゴンを0℃で20分ふき込み発泡させ、反応混合物中の残余酸素を除去した。
【0024】
この予め調製した溶液をオートクレーブに追加した後、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)(332g、2.0モル)及びフッ化ビニリデン(VF2)(192g、3.0モル)のガス移行によりモノマーを導入した。供給するVF2/PMVEのモル比は60/40とした。PMVEの導入を容易にするために、オートクレーブを乾燥氷/アセトン浴中で約−40℃に冷却した。PMVEの導入中反応器の圧力のわずかな増加が観察された(0〜0.2MPa)。次いでオートクレーブを室温に暖めた。オートクレーブ内の圧力は0.2から0.5MPaに増加した。次いでVF2を室温で導入した。オートクレーブ内の圧力はすばやく(0.5から2.0〜2.5MPaへ)増加した。VF2の導入の後、混合物は加熱せずに10分間混合した(攪拌速度=900rpm)。オートクレーブ内の圧力はゆっくりと(2.5から1.5MPaに)減少した。次いでオートクレーブは、突然の発熱(約20℃)を避けるためにゆっくりと段階的に80℃まで加熱した。このような大きな発熱は反応の収率を下げるであろう。圧力が4.0〜4.5MPaに達すると、小さな発熱が観測され(約5℃)そして次いで圧力の大きな低下が観測された(4.5から0.5MPaへ)。反応は8時間進ませた。次いでオートクレーブを氷浴に約60分つけ、未反応の気体をゆっくりと放出させた。減圧したオートクレーブから約2150〜2200gの液体が得られた。液体に溶けている過剰の単量体を真空下(20mmHg)で放出した。この液体は2,3−ジヒドロパーフルオロペンタンで2回抽出し、そして水で洗浄しNa228の少量の残りを除去した。抽出物はMgSO4上で乾燥した。溶媒を蒸留(室温/20mmHg)で除去し、透明で粘性のあるやや桃色の生成物を得た(収率=90〜95%)。残りのヨウ素を除去するために、液体はチオ硫酸ナトリウム溶液(水中で5重量%)で洗浄した。得られたオリゴマー生成物は無色であった。
【0025】
オリゴマーは、テスト方法のところで述べたように19F及び1H NMR分光法及びSEC解析によりキャラクタライズした。数平均分子量は2410g/mol(19F NMRによる);2765g/mol(SECによる)、及び多分散度指数(PDI)は1.147であった。オリゴマーの組成は、VF2が73.4mol%及びPMVEが26.6mol%であった。ガラス転移温度(Tg)は−55℃であり、そして分解温度(Td)は220℃であった。
【0026】
上記のオリゴマーを次の方法でエチレン化した。入口及び出口バルブ、圧力計、及び破壊ディスクを備えた160−mLのハステロイ(Hastelloy)(HC−276)オートクレーブを脱気し30バールの窒素で加圧し漏れをチェックした。次いで、0.5mmHgの真空引きを30分行い、続いてAr雰囲気にした。このオートクレーブの脱気過程を5回繰り返した。真空下で、5.0g(2.87×10-2mol)のt−ブチルパーオキシピバレート(TBPPI)、50mlのt−ブタノール及び100.0g(0.077mol)の(上記で調製した)ポリ(VDF−co−PMVE)オリゴマーをオートクレーブ中に移送した。エチレン6.0g(0.214mol)をオートクレーブに導入した。それから、オートクレーブをだんだん加熱して75℃にした。約10℃の発熱が観測され、圧力は15バールから18バールまで増加し、次いで16時間で14バールに減少した。反応後、オートクレーブを氷浴に約60分間つけ、未反応のエチレン0.5gをゆっくりと除去した。オートクレーブを開けた後、反応混合物を2−ブタノン(MEK)100mL中に溶かし、蒸留水(2×100mL)、Na225溶液(100mL)及び塩水(100mL)を用いてそれぞれ分離漏斗中で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥し、焼結ガラス(G4)で濾過した。約10mmHgの真空下、40℃で回転真空エバポレータにより有機溶媒を除去した。結果として生じた少し黄色の粘性液体を40℃の温度、0.01ミリバールの圧力で乾燥した。結果として生じた粘性液体を40℃、0.01ミリバールの圧力下で乾燥し、一定重量にした。反応の収率は91%であった。生成物は1H NMRと19F NMR分光法で解析した。末端−CF2I(約−39ppm)シグナルに相当するシグナルの不存在は、I[(VDF)xPMVE]y−C48[PMVE(VDF)zqIがICH2CH2−[(VDF)xPMVE]y−C48[PMVE(VDF)zq−CH2CH2Iに定量的に変換したことを示した。
【0027】
次いで、このエチレン化したオリゴマーをアジ化ナトリウムと反応させ、テレスコピックビス(アジド)ポリ(VF2−co−PMVE)共重合体を生成させた。DMSO20mLを含む丸底フラスコ中でエチレン化したジヨードポリ(VDF−co−PMVE)オリゴマー2.03g(1.3mmol)とアジ化ナトリウム2.70g(4.0mmol)の求核置換を50℃で12時間行った。次いで、ジエチルエーテルで溶かしたジアジドを水から沈殿させ、蒸留水で5回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。真空下で乾燥後、粘性のある黄色の油1.22g(0.9mmol)が得られ、N3CH2CH2−[(VDF)xPMVE]y−C48[PMVE(VDF)zq−CH2CH23の収率は70%であった。
【0028】
2.テレケリック1,10−ジアゾ−1H,1H,2H,2H,9H,9H,10H,10H−パーフルオロデカン。これはα,ω−ジヨードパーフルオロヘキサンから多段プロセスで合成した。
【0029】
α,ω−ジヨードパーフルオロヘキサンのエチレンへのバッチビス単一付加は、圧力計、破壊ディスク、入口及び出口バルブ、及び機械的アンカーを備えた160mLハステロイ(Hastelloy)(HC276)オートクレーブパルシステム(Parr System)中で行った。電子装置がオートクレーブの撹拌と加熱の両方を調整・制御した。オートクレーブは閉じたまま20分間放置し、30バールの窒素圧でパージして漏洩を防止した後脱気した。次いで、15分間2mmHGの真空引きを行った。乾燥tert−ブタノール(40mL)中の30.13g(54.2mmol)のI−C612−Iと開始剤ジ−4−tert−ブチルシクロヘキシルパーオキシジカーボネート(4.22g、10mmol)を導入バルブにしっかりと結合された漏斗を経由して導入した。次に、エチレン(4.0g、0.14mol)を二重計量して導入した。次にオートクレーブで7時間かけて50℃まで加熱した。反応後、オートクレーブは室温に冷却した後氷浴に入れた。未反応の単量体を脱気した後、オートクレーブを開いた。tert−ブタノールを蒸発させた。単量体はTHF中で可溶化し、冷ペンタンから沈殿させた。フッ素化ジヨード生成物を濾過、洗浄し、室温、20mmHgの真空下で24時間乾燥させた。収率は80%であった。FTIR:1138cm-1(VC-F
【0030】
【化2】

【0031】
1H NMR(δ CDCl3)α:3.2ppm(t,3HH=7.01Hz);β:2.6ppm(m,4H);
19F NMR(δ CDCl3)g:−115.2ppm(m,4F);h:−121.8ppm(m,4F);h:−121.8ppm(m,4F);i:−123.8ppm(m,4F)。
【0032】
DMSO(25mL)に溶かしたアジ化ナトリウム2.21g(30.8mmol)と(上記で製造した)1,10−ジヨード−1H,1H,2H,2H,9H,9H,10H,10H−パーフルオロデカン7.80g(12.8mmol)と水(1mL)からなる混合物を50℃で48時間撹拌した。次いで、反応混合物を水に注ぎジエチルエーテルで抽出した。この操作を2回繰り返した。有機層を水で2回洗浄し、次いで10%亜硫酸ナトリウム溶液で2回、再び水(3回)と塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、次いで真空下で溶媒を蒸発させ、5.0gの薄緑の油を得た。フッ素化ジアジドの収率は94%であった。
FTIR:2100cm-1(VN3);1138(VC-F)。
【0033】
【化3】

【0034】
1H NMR(δ CDCl3)α:3.55ppm(t,3HH=7.07Hz,4H);β:2.30ppm(m,4H);
19F NMR(δ CDCl3)g:−114.2ppm(m,4F);h:−121.8ppm(m,4F);i:−123.8ppm(m,4F)。
【0035】
3.テレケリック−1,10−ジアジド−3−トリフルオロメチル−3,4,4,5,5,7,7,8,8−ノナフルオロデカン。
【0036】
これはI−(C24)−(CH2CF2)−CF2CF(CF3)−Iから多段階プロセスで合成された(B. Ameduri et al.,J.Fluorine Chem.78,145(1996))。
【0037】
入り口と出口のバルブ、圧力計及び破壊ディスクを備えた160−mlハステロイ(Hastelloy)(HC−276)オートクレーブを脱気し及び30バールの窒素で加圧し漏れがないかチェックした。それから、0.5mmHgの真空で5分間引き、次いでAr雰囲気にした。オートクレーブのこの脱気過程は5回繰り返した。乾燥tert−ブタノール(40mL)中に入れたI−(C24)−(CH2CF2)−CF2CF(CF3)−I(21.01g、37mmol)及びジ−4−t−ブチロシクロヘキシルパーオキシジカーボネート(0.60g、15mmol)を、導入バルブがしっかりと結合された漏斗を経由して、導入バルブに導入した。次に、エチレン(2.00g、74mmol)を追加した。それからオートクレーブを7時間かけて50℃まで加熱した。反応後、オートクレーブは室温に冷却し,次いで氷浴に入れた。未反応の単量体を脱気後、オートクレーブを開けて、全生成物混合物を蒸留して沸点69〜72℃/19mmHgの赤い液体12,7g(20mmol)を得た。収率は60%であった。FTIR:1138cm-1(VC-F)。
【0038】
【化4】

【0039】
1H NMR(δ CDCl3)α:3.2ppm(t,4H,3HH=7.05Hz);ω:2.8ppm(qi,2H)(3HF=15.20Hz);β:2.8ppm(m,4H);
19F NMR(δ CDCl3)a:−115.2ppm(m,2F);b:−113.2ppm(m,2F);c:−111.2ppm(m,2F);d:−118.0ppm(m,2F);e:−181.0ppm(m,1F);f:−73.9ppm(m,3F)。
【0040】
DMSO(25mL)に溶かしたアジ化ナトリウム1.21g(18.0mmol)と(上記で製造した)1,10−ジヨード−3−トリフルオロメチル−3,4,4,5,5,7,7,8,8−ノナフルオロデカン3.70g(6.0mmol)と水(0.5mL)を含む混合物3.70g(6.0mmol)を50℃で48時間撹拌した。次いで、反応混合物を水に注ぎ酸化ジエチルで抽出した。この操作を2回繰り返した。有機層を水で2回洗浄し、次いで10%の亜硫酸ナトリウム溶液で2回、再び水(3回)と塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させて濾過し、次いで真空下(10-2mmHg)4時間かけて溶媒を蒸発させ、2.3gの薄緑の油を得た。TFE、VDF及びHFPの基礎単位を含むフッ素化ジアジドの収率は90%であった。
FTIR:2100cm-1(VN3);1138(VC-F)。
【0041】
【化5】

【0042】
1H NMR(δ CDCl3)α:3.5ppm(t,4H,3HH=7.0Hz);ω:2.8ppm(qi,2H,3HF=16.0Hz);β:2.2ppm(m,4H);
19F NMR(δ CDCl3)a:−114.2ppm(m,2F);b:−113.2ppm(m,2F);c:−111.2ppm(m,2F);d:−118.0ppm(m,2F);e:−181.8ppm(m,1F);f:−73.9ppm(m,3F)。
【0043】
実施例では次のジインを使用した。
1.α、ω−ジプロパルギルエーテルビスフェノールAF。それは以下に示すようにして合成した。
【0044】
【化6】

【0045】
炎で乾燥させた250mLの3首丸底フラスコに臭化プロパルギル(10.05g、53.7mmol)、ビスフェノールAF(12.80g、107.4mmol)及び無水炭酸カリウム(20.70g、150mmol)を供給した。フラスコは窒素を流し、次いで注入器によりアセトン(20mL)を追加した。混合物は室温で12時間撹拌した。得られた溶液をジエチルエーテル(20mL)及び塩水(200mL)に注いだ。有機層を分離し塩水で2回洗浄(毎回100mL)し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、芳香族テレケリックジイン(11.13g、26.7mmol)を得た。収率=50%。FTIR:3300cm-1(VC≡CH);1138(VC-F)。
【0046】
【化7】

【0047】
1H NMR(δ アセトン d6)a:3.1ppm(s,2H);b:4.8ppm(s,4H);c,d:7.3−7.4ppm(d,3HH=8.09Hz,8H);19F NMR(δ アセトン d6)e:−63.2ppm(m,6F)。
【0048】
実施例1
この例では、本発明の方法を用いてテレケリックビス(アジド)ポリ(VF2−co−PMVE)とテレケリックα,ω−ジプロパルギルエーテルビスフェノールAFの共重合体を製造した。冷却管を備えた3首丸底フラスコにCuBr47mg(0.3mmol)、ビピリジン272mg及びTHF20mlを供給して混合した。混合物はCu(I)の過剰な酸化を避けるためにアルゴンで10分間パージした。(上記で製造した)テレケリックジアジドポリ(VDF−co−PMVE)共重合体1.02g(0.7mmol)を追加し、次いで(上記で製造した)テレケリックα,ω−ジプロパルギルエーテルビスフェノールAFを追加した。反応は50℃で約24時間撹拌した。銅はシリカカラムを用いて混合物から分離した。最終生成物はジエチルエーテルから沈殿させ,真空下において40℃で6時間乾燥させた。白い粘性のある液体が得られた(0.9g)。収率は70%であった。
【0049】
実施例2
この例では、本発明の方法を用いてポリ(1,10−ジトリアゾ−1H,1H,2H,2H,9H,9H,10H,10H−パーフルオロデカン−co−メチレンエーテルヘキサフルオロビスフェノールAF)共重合体を製造した。磁気攪拌機を備えた100mLの3首丸底フラスコに臭化銅(100mg、0.66mmol)と2,2’−ビピリジン(dNbipy)(248mg、1.32mmol)を入れた。フラスコは3枚の隔膜でシールした。懸濁液は乾燥窒素で20分間パージした。20mLのTHFに入れたα、ω−ジプロパルギルエーテルビスフェノールAF(1.18g、4.54mmol)及び1,10−ジトリアゾ−1H,1H,2H,2H,9H,9H,10H,10H−パーフルオロデカン(2.01g、4.54mmol)の上記で製造した反応物を注入器で隔膜を介して追加した。結果として生じた混合物を室温で48時間撹拌した。次いで脱気したDMF(20mL)を加えて重合体を可溶化した。最終の混合物を短いシリカカラムを通して銅触媒を除去した。この混合物は冷ジエチルエーテル(500mL)から沈殿させた。沈殿物は真空下で乾燥させ1.5gの無色のゴム質を得た(収率=60%)。FTIR:3135cm-1(VC=CH);1138(VC-F)。
【0050】
【化8】

【0051】
1H NMR(δ DMSO):β:3.05ppm(m,4H);α:4.90ppm(t,4H,3HH=7.07Hz);b:5.3ppm(s,4H);c:7.4ppm(d,4H,3HH=6.90Hz);d:7.2ppm(d,4H,3HH=7.01Hz);e:8.4ppm(s,2H);
19F NMR(δ DMSO):f:−65ppm(s,6F);g:−114ppm(m,4F);h:−122ppm(m,4F);i:−124ppm(m,4F)。
【0052】
DMF中のSEC解析:Mn:34,000g/mol;PDI:1.5
空気下のTGA解析:T5% wt loss:300℃;T10% wt loss:310℃
DSC解析:Tg1=95℃;Tg2=155℃
固有粘度:0.7dL/g(N,N−ジメチルホルムアミド、25℃で測定)
【0053】
実施例3
この例では、本発明の方法を用いてポリ(α、ω−ジトリアゾロ−1,10−ジアジド−3−トリフルオロメチル−3,4,4,5,5,7,7,8,8−ノナフルオロデカン−co−メチレンエーテルヘキサフルオロビスフェノールAF)共重合体を製造した。1,10−ジアジド−3−トリフルオロメチル−3,4,4,5,5,7,7,8,8−ノナフルオロデカンは、TFE/VF2/HFPと呼ばれることがある。
【0054】
臭化銅(100mg、0.66mmol)及び2,2’−ビピリジン(dNbipy)(248mg、1.32mmol)を、磁気攪拌機を備えた100mLの3首丸底フラスコに投入し、次いで3枚の隔膜でシールした。懸濁液は乾燥窒素で30分間パージした。20mLのTHFに入れた(上記で製造した)テレケリック−1,10−ジアジド−3−トリフルオロメチル−3,4,4,5,5,7,7,8,8−ノナフルオロデカン(2.25g、2.2mmol)と(上記で製造した)テレケリックα、ω−ジプロパルギルエーテルビスフェノールAF(0.92g、2.2mmol)は注入器で隔膜を介して追加した。結果として生じた混合物を室温で48時間撹拌した。最終の混合物は短いシリカカラムを通して銅触媒を除去した。この混合物は冷ジエチルエーテル(500mL)から沈殿させた。沈殿物は濾過し真空下で乾燥させ3.04gの赤色の粉末を得た(収率=70%)。FTIR:3135cm-1(VC=CH);1138(VC-F)。
【0055】
【化9】

【0056】
1H NMR(δ CDCl3)α:4.8ppm(t,4H,3HH=7.05Hz);ω:2.8ppm(qi,2H,3HH=15.01Hz);β:3.0ppm(m,4H);b’:5.3ppm(s,4H);c’:7.4ppm(d,4H,3HH=6.90Hz);d’:7.2ppm(d,4H, 3HH=7.01Hz);e’:8.4ppm(s,2H);

19F NMR(δ CDCl3)a:−115.2ppm(m,2F);b:−113.2ppm(m,2F);c:−111.2ppm(m,4F);d:−118.0ppm(m,2F);e:−181.8ppm(m,1F);f:−73.9ppm(m,3F);g:−63.5ppm(s,6F)。
【0057】
DMF中のSEC解析:Mn:26,000g/mol;PDI:1.6
空気下のTGA解析:T5% wt loss:300℃;T10% wt loss:310℃
DSC解析:αc=65℃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)窒素系の配位子とハロゲン化銅(I)触媒を反応器に供給するステップと、
B)式N3(Y)p−(CH2n−R−(CH2m−(Y)p3で表され、式中、YはSO、SO2、C64、又はCO、p=0又は1、n及びmは独立に1〜4であり、及びRはi)C3〜C10フルオロアルキレン基、ii)C3〜C10フルオロアルコキシレン基、iii)置換アリール基、iv)フッ化ビニリデンとパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、v)フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合単位を含むオリゴマー、vi)テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、及びvii)テトラフルオロエチレンと炭化水素オレフィンの共重合単位を含むオリゴマーからなる群から選択される、テレケリックフルオロアジド化合物を反応器に追加するステップと、
C)テレケリックジイン又はジニトリル化合物を反応器に追加するステップと、
D)前記フルオロアジド化合物(B)と前記テレケリックジイン又はジニトリル化合物(C)を反応させてフッ素化共重合体を形成するステップと
を含むフッ素化共重合体を製造する方法。
【請求項2】
前記ハロゲン化銅(I)触媒がハロゲン化銅(II)と還元剤との反応により生成される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記窒素系配位子が、2,2’−ビピリジン、ヘキサメチレンテトラミン、2−ピリジンカルボアルデヒドアルキルイミン、多座線状テトラミン、1,10−フェナントロリン、及び1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミンからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記テレケリックフルオロアジド化合物の前記式中のRが、i)フッ化ビニリデンとパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、ii)フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合単位を含むオリゴマー、iii)テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(メチルビニルエーテル)の共重合単位を含むオリゴマー、iv)テトラフルオロエチレンと炭化水素オレフィンの共重合単位を含むオリゴマーからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記オリゴマーが1000〜25,000の間の数平均分子量を持つ請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記オリゴマーが1500〜5,000の間の数平均分子量を持つ請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記テレケリックジニトリルが式NC−(CF2n−CNであり、式中、nは2〜20の間の整数である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記テレケリックジインが、HC≡C−(CF2n−C≡CH(式中、nは2〜20の間の整数)、及びα,ω−ジプロパルギルエーテルビスフェノールAFからなる群から選択される請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2012−530799(P2012−530799A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516081(P2012−516081)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/030676
【国際公開番号】WO2010/147696
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【出願人】(511304822)ル ソントル ナショナル ドゥ ラ リシェルシュ シアンティフィーク (5)
【Fターム(参考)】