説明

フッ素飲料

【課題】歯牙の形成に関与するフッ素の摂取を、フッ素化した水道水によるフッ素摂取よりも確実に且つ正確な摂取量管理が可能なフッ素飲料を提供する。
【解決手段】純水(RO水)に、適宜なフッ素化合物を添加溶解して、フッ素濃度が0.6〜1.2ppmの範囲内でフッ素水を製出し、製出したフッ素水の正確な含有濃度を表示したボトルに詰めてなるもので、不純物を含まないので、正確な濃度に調整したフッ素イオンを含み、且つ濃度表示がなされているので、適切量のフッ素摂取ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、虫歯対策としての飲用に供するフッ素飲料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、フッ素が歯牙の虫歯対策に効果があることが知られている。例えば歯科医院でのフッ素塗布や学校でのフッ素洗口のように歯牙表面に直接作用して歯牙表面を強化させる局所利用のほか、フッ素補助剤(フッ素錠剤、フッ素ドロップ等)の摂取によって歯牙形成時にその構成成分が歯の石灰化もしくは再石灰化に関与して、虫歯予防に効果的であるとされてきた。
【0003】
フッ素の摂取は、特に乳幼児の歯牙発育段階においては非常に効果的で、乳歯の虫歯減少率は30〜60%、混合歯列の場合には20〜40%といわれている。
【0004】
勿論一般の飲用水には、微量であるフッ素化合物が溶け込んでおり、微量のフッ素イオンが含まれている他、天然ミネラル水には、フッ素化合物(フッ素イオン)を多く含有するものも知られている(特許文献1参照)。
【0005】
更に飲料水に存在するフッ素イオンを、さらにその濃度を高めるためフッ素を補充添加して、公共の水道水として提供することも諸外国では広く行われている(非特許文献2)。わが国でも一部地域(例えば埼玉県吉川市)に採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−296448号公報。
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】山下文夫(宮崎県子供の歯を守る会)翻訳、アメリカ歯科医師会編FluoridationFacts1999年版引用“水道水フッ素化を理解するための質問と解答とその解説”2009年9月8日検索、インターネット<URL:http://www18.ocn.ne.jp/〜yamasita/nitifi.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、フッ素の過剰摂取は、エナメル斑(歯牙フッ素症)を招くので、前記のフッ素補助剤については、歯科医師の処方が必要であり、簡易にフッ素を摂取することができなく、虫歯予防種手段として、一般人が汎用することができない。
【0009】
また水道水のフッ素化を考慮した場合に、我が国における水道水の利用のうち飲料用として使用される割合は非常に低く、上水道と中水道の二系統を備えている水道システム以外では、効率面からフッ素化設備の設置は過剰設備といえる。
【0010】
更に水道水には、多くのミネラル成分(例えばカルシウム成分他)が含有されており、これらのミネラル成分とフッ素イオンが結合して沈殿物(固形物)となり、水道水のフッ素イオン濃度が必ずしも一定の品質が維持されるものではない。
【0011】
そこで本発明は、フッ素イオンの摂取量が的確に判断できる新規なフッ素飲料を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るフッ素飲料は、純水(RO水)に、適宜なフッ素化合物を添加溶解して、フッ素濃度が0.6〜1.2ppmの範囲内となるようにフッ素水を製出し、製出したフッ素水のフッ素含有濃度を表示したボトルに詰めてなることを特徴とするものである。
【0013】
而して前記フッ素飲料は、所定濃度のフッ素イオンを含むものであるから、その喫飲によってフッ素摂取がなされる。特に濃度表示がなされており、且つ不純物による濃度変化もないので、適切量のフッ素摂取ができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の構成は上記のとおりで、一定の濃度品質を保持したフッ素飲料で、生後6カ月から16歳までの発育期に喫飲することで、虫歯予防が実現し、摂取量の管理も容易に行うことができるので、永久歯の歯牙フッ素症(エナメル斑)のリスクを避けることができる。また水道水のフッ素化よって高濃度(自然界のフッ素含有水よりも高濃度)のフッ素摂取に問題がある人(人工透析患者等の重篤な腎疾患を有する人)が、水道水の飲用を避けなればならない煩雑さの問題も回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態の製造工程の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明の実施形態を、その製造工程に添って説明する。本発明に係るフッ素飲料は、水道水を原料として、純水製造工程、フッ素化合物添加工程、瓶詰工程を経て製出されるものである。
【0017】
純水製造工程は、公知の純水製造と同様で、水道水を原料として、水道水を活性炭槽濾過膜、イオン交換軟化装置、前処理膜、中空糸膜、逆浸透膜、後処理膜、更に必要に応じてセラミックフィルターを順次通過させて純水を製出するものである。勿論他の純水製造手段を採用して製造しても良い。
【0018】
フッ素化合物添加工程は、前記の純水製造工程で製出された純水に、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズ等の微量のフッ素化合物を添加混入して溶解させて、所望のフッ素濃度(0.6〜1.2ppmの範囲内)のフッ素水を製出するものである。
【0019】
瓶詰工程は、ガラス瓶、ペットボトル等の飲料容器に前記フッ素水を詰め、密封するものであり、必要に応じて密封前にオゾン殺菌や紫外線殺菌処理を行う。特に前記の飲料容器には、瓶詰したフッ素水のフッ素濃度を明確に表示するようにしたものである。
【0020】
従って前記のフッ素飲料であるフッ素水は、不純物を含まないので、フッ素イオンが不純物と結合することなくイオン状態で存在することになるので、前記飲料の喫飲によってフッ素の摂取が確実になされると共に、フッ素濃度を確認して、所定期間毎に所定量のフッ素水を喫飲することで、的確且つ正確な量のフッ素の摂取が可能となるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
純水(RO水)に、適宜なフッ素化合物を添加溶解して、フッ素濃度が0.6〜1.2ppmの範囲内となるようにフッ素水を製出し、当該フッ素水のフッ素含有濃度を表示したボトルに詰めてなることを特徴とするフッ素飲料。
【請求項2】
フッ素化合物が、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズである請求項1記載のフッ素飲料。

【図1】
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【公開番号】特開2011−57626(P2011−57626A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209917(P2009−209917)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(309031949)
【Fターム(参考)】