説明

フラフープ

【課題】 初心者はコツを覚えるまでは直ぐにフラフープを下に落としてしまうなど、なかなか上達しないがために面白くなくなり、練習を直ぐに諦めてしまう傾向が強い。そこで比較的短時間で上達出来て面白さが分かるようなフラフープを提供する。
【解決手段】 回転中に身体と接触する側に、回転の加速を付けるべく回転方向に摩擦抵抗を増やすための縦リブと、落下を阻止するべく落下方向の摩擦抵抗を増やすための横リブと、を備えているフラフープとした。なお複数箇所に接続部を備えており、この接続部から分解可能に且つ組立可能に形成されているものとすることが出来る。これ等のリブの存在により、身体との間の回転方向の滑りを軽減させ、また身体との間の落下方向の滑りを軽減させることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転方向や落下方向の摩擦を大きくすることによって、運動性能を格段に向上させることを可能にした、全く新しいフラフープに関する。
【背景技術】
【0002】
フラフープは、合成樹脂製の中空パイプを環状に成形したものであり、これを腰に当てて腰を回す動作を行い、腰から下に落ちないようにさせつつ回転を継続させて遊ぶおもちゃである。
【特許文献】特になし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
初心者はコツを覚えるまでは直ぐにフラフープを下に落としてしまうが、熟練することにより腰の位置で回転を続けることが出来るようになる。フラフープをうまく回せるようになりたいがために何度も練習を行うのであり、これが楽しさに繋るのではあるが、一方で人によってはなかなか上達しないがために面白くなくなり、練習を諦めてしまうと言うようなことが起っている。
【0004】
そこで本発明はこのような問題を解決して、比較的に短時間で上達出来て面白さが分かるような、そうしたフラフープの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
当発明者はフラフープの練習を観察する内に次のような知見を得ることが出来た。すなわちフラフープはタイミング良く腰を振って常に回転を加速し続けることが必要なため、身体との間の回転方向の滑りを可能な限り軽減させるようにしなくてはならないし、また身体との間の落下方向の滑りも出来るだけ軽減させる必要があるのである。
【0006】
上記課題は、請求項1の発明によれば、回転中に身体と接触する側に、回転の加速を付けるべく回転方向に摩擦抵抗を増やすための縦リブと、落下を阻止するべく落下方向の摩擦抵抗を増やすための横リブと、を備えていることを特徴とするフラフープとすることにより達成される。
【0007】
本発明によれば、前記縦リブが回転方向の摩擦抵抗を増やすので、腰を振った際に身体との間の回転方向の滑りが少なくなって、フラフープの回転の加速ロスが低減する。と同時に前記横リブが身体との間の落下方向の滑りを少さくして、フラフープが落下し難くなる。従ってフラフープの運動性能が向上する。
【0008】
次に請求項2のフラフープは請求項1のフラフープに付き、更に回転中に身体と接触する側に、身体を押圧するための指圧用リブを備えているものである。
【0009】
フラフープが回転することにより、指圧用リブが当る部位の身体をフラフープの勢いで押圧して、身体に指圧効果を加えることが出来る。指圧用リブの形状は任意であり、一般的な円形ドーム形状の突起などもこの指圧用リブに含まれるものとする。また指圧用リブの頂部にゴムなどの弾性体を設けても良い。
【0010】
次に請求項3のフラフープは請求項1または請求項2のフラフープに関して、前記フラフープに外装フィルムが被せられておりこの外装フィルムの表面に前記リブが現われるように構成したものである。
【0011】
外装フィルムはフラフープに美しさを加えることが出来る。また外装フィルムに宣伝広告などを入れる際にも利用し得る。或いは外装フィルムにフラフープの強度を向上させることが可能である。このような外装フィルムを被せた時にこの表面に前記縦リブと前記横リブとが、或いは前記縦リブと前記横リブと前記指圧用リブとが現われるようにして、本願発明を実装することが出来る。
【0012】
次に請求項4のフラフープは請求項1のフラフープに関して、複数箇所に接続部を備えておりこの接続部から分解可能に且つ組立可能に形成されているものである。
【0013】
このフラフープは好ましくは等分に(回転対称の位置で)分割されてパーツとなり、その各々の端部に、例えば一方にはオス型の接続部が、他方にはメス型の接続部が設けられる。収納や運搬の際には分解することが出来、この使用に際しては前記接続部を以て環状に復元して使用するのである。なお分割されたパーツの間に接続用のパーツを加えるようにすることも可能である。なお例えば6分割した場合では、6個のパーツを以て環状に復元すると考えるのが一般的ではあるが、ここで予備の上記同様のパーツを用意しておき、必要に応じて8個のパーツを使って環状に復元し、6個の場合よりも一回り大きな径のフラフープに仕立てて遊ぶと言うようなことも可能である。この場合には各パーツは、曲率径をある程度変えられるような柔軟性が要求される。なお前記リブがあることによって、リブを曲率径の変化分を吸収するものとして構成し得る。また前記リブは組立・分解の際に滑り止めとしての作用を生ずる。
【0014】
次に請求項5のフラフープは請求項4のフラフープに関して、分解された各部(パーツ)に外装フィルムが被せられており、この外装フィルムの表面に前記縦リブと前記横リブとが現われているものとすることが出来る。
【0015】
前記分解された各部ごとに外装フィルムを被せるようにして成るものである。外装フィルムの一例としてフラフープに被せた後に熱収縮加工してフラフープに密着させるシュリンクフィルムを上げるが、一繋りの大きな環状のフラフープであるが故に、シュリンクフィルムに捩れを生じたり、端部が合わないなどの問題を生ずる場合がある。特に図形や文字が印刷されているものでは、捩れや端部でのずれが目立ち易い。そこで分解された各部毎に外装フィルムを被せるようにすればこの問題が軽減するのである。なおこのような外装フィルムを被せた時に、この表面に前記縦リブと前記横リブとが、或いは前記縦リブと前記横リブと前記指圧用リブとが現われるようにして本願発明を実装するのである。
【0016】
次に請求項6のフラフープは請求項1または請求項4のフラフープに関して、前記リブがゴムなどの被着体を付着させることによって設けられているものであるものとすることが出来る。
【0017】
前記リブはフラフープの成型時に設けることが出来る。この場合にリブは凸形または凹形またはその混合形となる(金型に依る)。これに対して後からゴムなどの被着体をフラフープの表面に付着させて凸形のリブとしたものとすることが可能である。これによっても、縦リブが回転方向の摩擦抵抗を増やし、横リブが身体との間の落下方向の滑りを少さくして、フラフープの運動性能を向上させることが出来る。また指圧用リブを備える場合ではフラフープの勢いで身体を押圧して指圧することが出来る。なお被着体がゴムなどの弾性体であると、摩擦抵抗の更なる増加作用が得られる。また指圧用リブを備える場合では、指圧用リブが身体を弾性的に押圧するために当りがよりソフトなものとなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フラフープが身体と接触する側に縦リブと横リブとを備えることによって運動性能が格段に向上する。このようであるから、初心者でも比較的に短時間で上達出来て面白さが分かるようになり、継続的に使用されるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下では本発明の7種類の実施形態を図面を参照しつつ説明するが、本発明はこれ等の実施形態に限定されるものではない。
【0020】
第1実施形態
図1及び図2は第1実施形態のフラフープ1を表す。図1は環状のフラフープ1の一部を平面視したものであり、身体と接触する内側面に、単独で存在する所の縦リブ2と、3個1組でその間を横リブ21で繋いだ縦リブ20,20,20とを有する。図2はこの内側面の説明図である。
【0021】
この内、縦リブ2,20はフラフープ1に回転の加速を付けるべく回転方向に摩擦抵抗を増やすための凸部であり、横リブ21はフラフープ1の落下を阻止するべく落下方向の摩擦抵抗を増やすための凸部である。なお第7実施形態で取り上げるが横リブ21を縦リブ20から独立させて設ける設計も可能である。
【0022】
第2実施形態
この実施形態のフラフープ1は、図3の部分断面図で表されている通り、フラフープ1の周りをシュリンクフィルム3で被覆したものである。フラフープ1は第1実施形態と同様に縦リブ2,20及び横リブ21を備えているため、図2のX−X線断面図と同じ箇所を断面にして表したものが図3である。
【0023】
すなわちシュリンクフィルム3にはその下の縦リブ20及び横リブ21が現われている。これはシュリンクフィルム3に縦リブと横リブ21とが設けられているのと同じことになる。なおこれ等のリブ2,20,21の摩擦抵抗に付いては上述した通りである。
【0024】
第3実施形態
図4はこの実施形態のフラフープ4を平面図で表したものである。フラフープ4は環状に繋げて一つのフラフープと成るものを6等分した内の1個分である。このパーツとしてのフラフープ4には、その一端部側に接続凸具40が設けられており、他端部側は切断面として中空の口となっており、この口は前記接続凸具40がきつく填め込まれる接続凹具41の役目を担う。すなわち接続凸具40と接続凹具41とでこの実施形態の接続部が構成される。なおリブに関しては身体と接触する内側面に単独で存在する所の縦リブ5と、3個1組でその間を横リブ51で繋いだ縦リブ50,50,50とを有する。
【0025】
このフラフープ4を6個、円形に並べ、接続凸具40を隣のパーツの接続凹具41に差し入れるようにして、環状のフラフープに組み立てる。なおまた不使用時には分解しておくことが可能である。縦リブ5,50はフラフープ4に回転の加速を付けるべく回転方向に摩擦抵抗を増やすための凸部であり、横リブ51はフラフープ4の落下を阻止するべく落下方向の摩擦抵抗を増やすための凸部である。なおここでの縦リブ5,50には、組立時や分解時にフラフープ4が矢線で示した方向によりしなり易くなるような性質が備わっている。
【0026】
第4実施形態
この実施形態のフラフープ4は、図5の内側面の説明図で表されている通り、上述の第3実施形態のフラフープ4の周りをシュリンクフィルム6で被覆したものである。このシュリンクフィルム6の一側の終端部60はフラフープ4の本体部分と接続凸具40との間の段差部に掛かるように設けられている。フラフープ4は縦リブ5,50及び横リブ51を備えており、これ等がシュリンクフィルム6の表面に突出している。
【0027】
このフラフープ4を6個環状に繋げると使用可能な一つのフラフープと成る。前記シュリンクフィルム6は6等分した内の1個分のフラフープ4だけを被覆するものであるから、ずれや捩れを生じ難い。従ってシュリンクフィルム6に印刷を施す際にもこの実施形態は好適なものとなっている。なおシュリンクフィルム6の表面に浮き出ているリブ5,50,51には組立・分解の際の滑り止めとしての役割を担わせることが可能である。
【0028】
第5実施形態
この実施形態のフラフープ1は、図6の内側面の説明図で表されている通り、身体と接触する内側面に単独で存在する縦リブ7と、縦リブ70と横リブ71とで十字形に成るように設けたものと、やはり単独で存在して身体を押圧するための指圧用リブである所の指圧突起72とを、同一の高さのものとして有する。
【0029】
このフラフープ7では、縦リブ7、縦リブ70及び横リブ71を細身のものとしている。このように細身であっても、縦リブ7,70はフラフープ1に回転の加速を付けるべく回転方向に摩擦抵抗を増やすための凸部としての役割を担い、横リブ71はフラフープ1の落下を阻止するべく落下方向の摩擦抵抗を増やすための凸部としての役割を果たす。なお指圧突起72はフラフープが回転する時の勢いによって指圧突起72が当る身体部位を指圧してくれる。
【0030】
第6実施形態
図7はこの実施形態のフラフープ4を、内側面の説明図で表したものである。フラフープ4は環状に繋げて一つのフラフープと成るものを6等分した内の1個分である。このパーツとしてのフラフープ4は、第3実施形態のように接続凸具40を備える。そしてリブに関しては、身体と接触する内側面に単独で存在する縦リブ8と、中央部が突出して指圧突起81となっている十字形の縦横リブ80とを有する。またこれ等の周りはシュリンクフィルム6で被覆されており、このシュリンクフィルム6の一側の終端部60はフラフープ4の本体部分と接続凸具40との間の段差部に掛かるように設けられている。従って前記縦リブ8や指圧突起81を備えた縦横リブ80はシュリンクフィルム6の表面に突出した状態にある。
【0031】
前記縦横リブ80は縦リブと横リブとから成るものであり、縦リブが回転方向の摩擦抵抗を増やし、横リブが身体との間の落下方向の滑りを少さくする。また縦リブ8と縦横リブ80とは同じ高さであるが、縦横リブ80の中央部に設けられた指圧突起81は、縦リブ8や縦横リブ80よりも高さが高く成るようにしてある。従ってシュリンクフィルム6の表面の浮き出しも指圧突起81がより高いものとなり指圧効果を発揮する。と同時に、縦リブ8と縦横リブ80とは本発明本来の役目を果たし得る。
【0032】
第7実施形態
この実施形態のフラフープ1は、図8の部分断面図で表されている通り、合成樹脂製のフラフープ1の身体と接触する側にゴム製に成る縦リブ9、横リブ90及び指圧突起91を付着させて成るものである。すなわち指圧突起91を中心に据えてこの上下両側に幾分離して縦リブ9を設け、また指圧突起91の左右両側に幾分離して横リブ90を設けて、全体として十字形を呈するように配設したものである。なお指圧突起91は縦リブ9や横リブ90よりも高さが高く成るように設けられている。
【0033】
縦リブ9、横リブ90及び指圧突起91は各々ゴム製であることから、回転の加速を付けるべく回転方向に摩擦抵抗を増やすために、また落下を阻止するべく落下方向の摩擦抵抗を増やすために、十分な効果を発揮する。なお上述した第3実施形態のパーツとしてのフラフープ4にこのゴム製の縦リブ9及び横リブ90を設けるようにしても良い。
【0034】
以上、各種の実施形態を説明したが、この発明はこれ等に限定されるものではなく、例えば縦リブや横リブの形状や意匠は任意であり、縦リブや横リブの間にドット形状のリブを置いたり、横リブを同じ箇所に複数列設けたりなど任意設計を行って良い。リブ上に更に細かい凹凸を付けるなども可能である。フラフープの材質にも拘らないから、例えば紙のパイプをフラフープ形に構成したり、篠竹を薄くくり抜いて前記パーツに構成したものなども提供することが出来る。また分割とする場合の前記接続具の設計も自由であるから、例えばパーツの一端部に凹凸両方の接続具を備え、他端部にこれに合致する凹凸両方の接続具を備えるようにしても良い。或いは接続具を独立させて、例えば両端部に接続凸具を備えたものとし、これに合致するようにしてフラフープのパーツの両端部を接続凹具とする組み合わせなども可能である(フラフープのパーツの数が6であるならば、独立した接続具の数も6である)。また分割構成の場合のパーツの数は上述した6個に拘らず、等分に分割するか否かも自由に決定することが出来る。
【0035】
なおこの発明によれば摩擦抵抗が増えて落下を阻止する方向に力が働くようになっているために、フラフープは完全な円でなくとも良く、平面形状が楕円形や花形など自由な設計が可能である。また側面形状も波形を呈するものなど、任意設計を行い得る。なお縦リブや横リブをフラフープに対して着脱自在に且つ取り付け位置の変更が行い得るように設ければ、ユーザーがリブの位置を自由に変えることが出来るようになる。指圧用リブに関しても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
この発明のフラフープはこれをムービング・ディスプレイ用に構成することが可能である。機械的に腰を振る動作を行わせてフラフープを回すディスプレイとするのである。このような用途にあってもこの発明は、回転の加速を付けるべく回転方向に摩擦を増やしたり、落下を阻止するべく落下方向の摩擦を増やすことが出来る。更にこの発明をヒューマノイド・ロボットが使用するものとして構成するなど、自由な設計が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第1実施形態の部分平面図である。
【図2】同実施形態の内側面の説明図である。
【図3】第2実施形態の部分断面図である。
【図4】第3実施形態の平面図である。
【図5】第4実施形態の内側面の説明図である。
【図6】第5実施形態の内側面の説明図である。
【図7】第6実施形態の内側面の説明図である。
【図8】第7実施形態の部分断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 フラフープ
2 縦リブ
20 縦リブ
21 横リブ
3 シュリンクフィルム
4 フラフープ
40 接続凸具
41 接続凹具
5 縦リブ
50 縦リブ
51 横リブ
6 シュリンクフィルム
60 終端部
7 縦リブ
70 縦リブ
71 横リブ
72 指圧突起
8 縦リブ
80 横リブ
81 指圧突起
9 縦リブ
90 横リブ
91 指圧突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラフープの、回転中に身体と接触する側に、回転の加速を付けるべく回転方向に摩擦抵抗を増やすための縦リブと、落下を阻止するべく落下方向の摩擦抵抗を増やすための横リブと、を備えていることを特徴とするフラフープ。
【請求項2】
更に回転中に身体と接触する側に、身体を押圧するための指圧用リブを備えている、請求項1に記載のフラフープ。
【請求項3】
前記フラフープに外装フィルムが被せられており、この外装フィルムの表面に前記リブが現われている、請求項1または請求項2に記載のフラフープ。
【請求項4】
複数箇所に接続部を備えておりこの接続部から分解可能に且つ組立可能に形成されている、請求項1に記載のフラフープ。
【請求項5】
分解された各部に外装フィルムが被せられており、この外装フィルムの表面に前記リブが現われている、請求項4に記載のフラフープ。
【請求項6】
前記リブがゴムなどの被着体を付着させることによって設けられているものである、請求項1または請求項4に記載のフラフープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−24987(P2011−24987A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189554(P2009−189554)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(309023450)株式会社NS企画 (6)