フラワーアレンジメント用具
【課題】 作業机等の準備がいらず、作業性を向上させ花材保持ブロックに円滑且つ精度良く花材を生けることができるフラワーアレンジメント用具を提供する。
【解決手段】 枠状部(11)に支脚(12)を設けた脚付枠状の作業台(10)と、板面を貫通する透孔(21)を形成して該作業台上に水平に載置される板状体(20)と、変形可能にして前記透孔よりも大きな板状片で、その中央にブーケホルダー(5)の柄部(5a)が貫通し得る挿入部(81)を設けると共に外周縁から該挿入部に向けて切込み部(82)を複数設けた補助片(8)と、花材の組付位置マーク(31)を前記板状体(20)の上面に表示する位置マーク表示手段(30)とを具備し、前記挿入部(81)に柄部(5a)を貫通させて、補助片(8)が取付けられたブーケホルダー(5)の柄部(5a)を前記透孔に貫挿し、前記板面下に突き出す該柄部を下方へ引っ張ることにより前記補助片(8)が柄部(5a)に寄せ付けられてブーケホルダー(5)及び板状体(20)と一体化する。
【解決手段】 枠状部(11)に支脚(12)を設けた脚付枠状の作業台(10)と、板面を貫通する透孔(21)を形成して該作業台上に水平に載置される板状体(20)と、変形可能にして前記透孔よりも大きな板状片で、その中央にブーケホルダー(5)の柄部(5a)が貫通し得る挿入部(81)を設けると共に外周縁から該挿入部に向けて切込み部(82)を複数設けた補助片(8)と、花材の組付位置マーク(31)を前記板状体(20)の上面に表示する位置マーク表示手段(30)とを具備し、前記挿入部(81)に柄部(5a)を貫通させて、補助片(8)が取付けられたブーケホルダー(5)の柄部(5a)を前記透孔に貫挿し、前記板面下に突き出す該柄部を下方へ引っ張ることにより前記補助片(8)が柄部(5a)に寄せ付けられてブーケホルダー(5)及び板状体(20)と一体化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブーケやアレンジメント作品等を製作するためのフラワーアレンジメント用具に関する。
【背景技術】
【0002】
フラワーアレンジメントはヨーロッパが発祥とされ、その種類として(1)ブーケ,(2)アレンジメント,(3)コサージ等があり、我国でも愛好者が広がりつつある。フラワーアレンジメント(特に基本形)の作品を美しく作るにはフラワースクールに何度も通い続けて、花を生けて勉強するのが主流である。そのスクールでは、ラウンド型,ダイヤ型,キャスケード型等のフラワーアレンジの基本形につき、物差し,メジャー等を使用し、底辺面や高さ,側面を測りながら生けていく方法を教えている。
そして、そこで製作される例えばブライダルブーケは、ウエディングドレスを着た花嫁をより美しく見せることができるもので、バラ,ラン,ユリ,トルコ桔梗, ,フリージャ等の多数の生花や枝葉(以下、花材という)をラウンド型やキャスケード型等の立体形状にアレンジされる。生花を用いたこのようなフラワーアレンジメント作品が可能であれば自分の感性を生かして手作りし、親しい友人や愛娘の結婚式にプレゼントできるようにしたいという要望は大きい。
しかし、多数の花材を所定形状にバランス良く配置することは、初心者にとって容易でなく、従来はフラワーアレンジメントに興味をもっていても個人がこれを手作りすることは困難であった。フラワーアレンジメントは本や写真などを参考にしても、素人では多数の花材を美しく立体形状にアレンジできなかった。結局、フラワーアレンジメントをマスターするにはスクールに通い勉強することになるが、そのための時間と費用が嵩む状況にあった。
こうしたことから、本発明者は初心者でも手軽にフラワーアレンジメント作品を作製できるフラワーアレンジメント用教具を既に提案した(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特許第3455475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で提案したフラワーアレンジメント用教具は、例えばブライダルブーケを作るにあたって、まず図13に示すごとくブーケホルダー1の柄部1aを円筒状のスタンド2に差すことにより、ブーケホルダー1を真直に支持する。次に、表面に等角間隔で花の組付位置マーク3a,3b,3c等が表示された一対の略半円形のシート状表示体3をその内縁部に突設された針状の軸体3dを花材保持ブロック1bに差し込み、図14のごとくシート状表示体3を水平に止着する。その後、この組付位置マーク3a,3b,3cに沿って花材4の軸4aを花材保持ブロック1bに差し込むことにより、花材4を花材保持ブロック1bの周囲に均等にバランス良く配置できるようにするものである。尚、ブーケホルダー1は柄部1aの上端に受器部1cを形成し、該受器部上に吸水性発泡体等の多孔質体を球状に形成してなる花材保持ブロック1bを配置し、該花材保持ブロック1bを篭体1dにより囲ってなるものを例示する。
【0005】
しかるに、一般にブーケホルダーには、図13に示す柄部1aの上端に受器部1cを真直に形成したものの他、花嫁が柄部1aを持ったとき花束全体が自然に前方に向くように、図6のブーケホルダー5のごとく柄部5aの上端に受器部5cを前方に所定角度で折れ曲がった形状にし、篭体5dによって囲われた花材保持ブロック5bが前向き傾斜状に支持されるものがある。受器部5cが柄部5aに対し折れ曲がって形成されたブーケホルダー5は、柄部5aを上記スタンド2に差したとき花材保持ブロック5bが傾斜状になるために、これにシート状表示体3を装着するとこのシート状表示体3も傾斜し、ブーケ作りが困難になった(第1の問題)。そして、ブーケホルダーを上記のようなスタンド2に支持しただけでは不安定であり、花材を差し込む際に作業し難いという問題があった(第2の問題)。さらにキャスケード型のブーケ等においては、柄部の領域まで覆い尽くすような立体感溢れる形状ものが形成されるが、図14のごとく、シート状表示体3の軸体3dを花材保持ブロック1bに差し込んでシート状表示体3を水平に止着すると、該シート状表示体自身が邪魔をし、これよりも下方に花材を生けるのを阻むため、立体感溢れる形状ものができなかった(第3の問題)。加えて、特許文献1で、図15のごとくシート状体からなる教具60を提供したが、スタンド2に立てるブーケについては該スタンドに教具60を取付けることができなかった(第4の問題)。
【0006】
一方、アレンジメントに関しては、特許文献1でシート面61の一方の面に支持部材たる花材保持ブロック72又はこれを保持するための器71が置かれる位置マークPと花の組付け位置マーク3a,3b,3cとが表示されたシート状体を用いた教具60が有効であった(図15,図16)。当該教具60は図16のごとくテーブル等に敷かれ、位置マークPに器71を置いて、まず水平よりも上方側のアレンジメント作品を完成させる。その後、絵柄Eに描かれた花材の組付位置マーク3a〜3cに沿って、図16のごとく先端に向けて下方傾斜する花材4を生けていく。花材4の先端が対応する絵柄Eの花マークに近接させるようにして、該花材の軸4aを花材保持ブロック72に差し込んでいく。かくして、テーブル面GL近くまで花材4に埋もれたボリューム感溢れる形状のアレンジメント作品ができるようにしている。
【0007】
しかし、前記教具60を用いた場合、器71が大きいと器71の高さも高くなって、花材と花の組付け位置マークとの位置が離れ、花材を上手に生けることが難しくなっていた(第5の問題)。加えて、シート状の教具60を用いていることから、作業し易い作業位置を確保するため適当な机などの作業机等を別途用意し、その上に教具を置いて生ける必要があった(第6の問題)。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するもので、作業机等の準備がいらず、作業性を向上させて、しかも花材保持ブロックに円滑且つ精度良く花材を生けることができ、華麗で見事なブーケやアレンジメント等のフラワーアレンジメント作品を初心者でも簡単に製作できるフラワーアレンジメント用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、枠状部(11)に支脚(12)を設けた脚付枠状の作業台(10)と、板面を貫通する透孔(21)を形成して該作業台上に水平に載置される板状体(20)と、変形可能にして前記透孔よりも大きな板状片で、その中央にブーケホルダー(5)の柄部(5a)が貫通し得る挿入部(81)を設けると共に外周縁から該挿入部に向けて切込み部(82)を複数設けた補助片(8)と、花材の組付位置マーク(31)を前記板状体(20)の上面に表示する位置マーク表示手段(30)と、を具備し、前記挿入部(81)に前記柄部(5a)を貫通させて、補助片(8)が取付けられたブーケホルダー(5)の柄部(5a)を前記透孔に上方から下方へ貫挿し、前記板面下に突き出す該柄部を下方へ引っ張ることにより、前記補助片(8)が透孔(21)を埋めるように変形して柄部(5a)に寄せ付けられてブーケホルダー(5)及び板状体(20)と一体化することを特徴とするフラワーアレンジメント用具にある。
請求項2の発明たるフラワーアレンジメント用具は、請求項1で、補助片(8)の切込み部(82)に切取り部分(821)を形成することを特徴とする。
【0010】
請求項1の発明のごとく作業台と透孔を形成した板状体と位置マーク表示体と補助片を備えると、ブーケホルダーを起立状態で安定して不動に支持することができるので、花材を差し込み易く作業し易くなる。作業台で適度な高さが確保されるため、作業机等を別途用意する必要はない。挿入部(81)に前記柄部(5a)を貫通させて、補助片(8)が取付けられたブーケホルダー(5)の柄部(5a)を前記透孔に上方から下方へ貫挿し、前記板面下に突き出す該柄部を下方へ引っ張ることにより、前記補助片(8)が透孔(21)を埋めるように変形して柄部(5a)に寄せ付けられてブーケホルダー(5)及び板状体(20)と一体化すると、ブーケホルダーが作業台上に真っ直ぐ上方を向いて固定される状態にでき、ブーケ作りがし易くなる。組付位置マークに従って花材を差し込むだけで花材保持ブロックに円滑且つ精度良く花材を生けることが可能で、バランスの採れた美しいブーケを簡単に作成することができる。ブーケやアレンジメントの下部の所は、板状体の上面に表示する位置マーク表示手段に沿わせて花材を生けていくことになるので、立体感溢れる形状の作品ができる。種々の形態で組付位置マークが表示された位置マーク表示手段(30)を用意すれば、この位置マーク表示手段を交換するだけで、様々な形のブーケを作成できる。
請求項2の発明のごとく補助片(8)の切込み部(82)に切取り部分(821)を形成すると、該切取り部分によって補助片の変形が一層し易くなり、柄部を下方側に引っ張ることにより、透孔の周縁で、補助片が透孔を埋めるように変形すると共に柄部に寄せ付けられてブーケホルダーをより簡単に係止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のフラワーアレンジメント用具は、作業机などが不要で、補助片が変形することによりブーケホルダーが作業台の板状体と一体化するので、作業がし易くなり、花材保持ブロックに円滑且つ精度良く花材を生けることが可能で、華麗で見事なブーケやアレンジメント等のフラワーアレンジメント作品を初心者でも簡単に製作でき優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るフラワーアレンジメント用具について詳述する。
(1)実施形態1
図1〜図9は本発明のフラワーアレンジメント用具の一形態で、図1はその分解斜視図、図2はその使用状態を示す斜視図、図3は同じくその使用状態を示す縦断面図、図4は位置マーク表示手段たるシート状表示体の斜視図、図5は本フラワーアレンジメント用具により製作したブライダルブーケの一例を示す斜視図、図6はブーケホルダーの一例を示す斜視図、図7は(イ)が補助具の平面図、(ロ)が(イ)のI-I線斜視図である。図8は図7とは別態様の補助具の平面図、図9は図3の要部拡大図である。尚、図3,図9の補助片の断面を示すハッチング表示は図面を分かり易くするため省く。
【0013】
フラワーアレンジメント用具は作業台10と板状体20と位置マーク表示手段30と補助具8と起立性シート状表示体50とを具備する。フラワーアレンジメント作品を製作する場合、フラワーアレンジメント用具とは別にフラワーアレンジメント作品の素材たる花材4とブーケホルダー5が準備される。
【0014】
例えば図5のようなラウンドブーケ作品(以下、単に「ブーケ作品」という)を製作するにあたり、これに必要な生花や枝葉の花材4を準備する。またブーケホルダー5として、本実施形態は図3〜図6のごとく柄部5aの上端から上方へ延設する受器部5cが前方に所定角度(約20度)で折れ曲がり、該受器部5cに収納され且つ篭体5dによって囲われた花材保持ブロック5bが前向き傾斜状に支持されるブーケホルダー5を用意する。柄部5aの付け根に形成した拡径部5a1からラッパ状に広がる受器部5cが延設され、該受器部5cに花材保持ブロック5bを収納した後、篭体5dで囲ったブーケホルダー5である。図6中、符号5c1は受器部5cから突出する複数の係合突起で、花材保持ブロック5bを囲った篭体5dに係合し、受器部外面に設けたストッパたる突起5c2とで篭体5dを受器部5cに取外し可能に係止する。尚、図6以外の図面では係合突起5c1,突起5c2の図示を省略する。篭体5dでカバーされた部分には花材保持ブロック5bの露出部5b1が現れる。ここでは篭体5dで覆われた箇所だけでなく、受器部5cに窓口を形成して該窓口からも花材保持ブロック5bの露出部5b1が現れるようにしている。花材保持ブロック5bは保水性を有する樹脂発泡体で、商品名「オアシス」と呼ばれるもの等が用いられる。花材保持ブロック5bは略球形の所定形状にして図6のようなブライディ(株式会社クラウディアの商品名)たる柄部5a付き受器部5cと篭体5dに保持されてこの中に納まる。
【0015】
作業台10は枠状部11に支脚12を設けた脚付枠状体にした木製品である。図1のごとく帯板の幅方向を起立させて四角形の枠体(枠状部11)を形成し、その中空内四隅に柱状の支脚12の上部を固着して脚付枠状体とする。枠状部上面が支脚12によって作業し易い所定高さで水平に支持される。
【0016】
板状体20は板面を貫通する透孔21を形成して該作業台10上に水平に載置される方形の木製板である。該板状体20は枠状部11上に載置し、ブーケホルダー5の柄部5aを上から該透孔21に貫挿し花材保持ブロック5bの露出部を該板面よりも上方側に配して該透孔21の周縁でブーケホルダー5を受け支える構成である。本実施形態は、透孔21の孔径をブーケホルダー5に係る受器部5cに設けた窓口の下縁位置又は当該位置よりも少し柄部5a寄りのラッパ状受器部5cの外径に等しくする。ブーケホルダー5の受器部上縁を水平にして柄部5aの先端を該透孔21へ貫通させ、ブーケホルダー5を板状体20に挿着すると、篭体5dで囲われた花材保持ブロック5bの露出部5b1、さらに受器部5cの窓口から花材保持ブロック5bの露出部5b1が板状体20の板面よりも上方側に配されるようにしている。
本実施形態の板状体20は、対向縁にそれぞれ半円状の切欠21a,21bが形成された半割板状の一対の板状体20a,20bからなり、該板状体20a,20bの裏面に図3のごとく位置決め用の棒材22a,22bを固着する。枠状部11の内壁に棒材22a,22bが嵌入、当接して、該板状体20a,20bを作業台10上に隣り合わせに配置することにより、作業台10上での板状体20a,20bの横ズレを防止すると共に、切欠21a,21bが合わさって、板状体20の中央板面に円形の透孔21が形成される。
【0017】
位置マーク表示手段30は花材4の組付位置マーク31を前記板状体20の上面に表示する表示体である。ここでの位置マーク表示手段30はシート状表示体で、半割板状の一対の板状体20a,20bと平面視同形状のフィルム又はシートからなり、組付位置マーク31たる大花マーク31a,小花マーク31b,葉マーク31cが等角間隔で半円状切欠32a,32bを中心として放射状に表記されている。半円状切欠32a,32bを切欠21a,21bbに一致させ、位置マーク表示手段30を板状体20の上に重ね合わせるようにして載置することで、花材4の組付位置マーク31が板状体20の上面に表示される。ブーケホルダー5の柄部5aを透孔21に貫挿し、ブーケ作品の底面を形成する花材4を該組付位置マーク31に沿って配した後、所定長さに切った花材4の軸4aを図3のごとく花材保持ブロック5bの露出部へ順次挿入すれば、ブーケ作品の底面部分が綺麗に配列された姿態で完成する。
位置マーク表示手段30は図1の分割構成に代え、板状体20と平面視同形の一枚ものとすることができる。また本実施形態は、図1のごとく板状体20と平面視を同じくするシート又はフィルムに花材4の組付位置マーク31を印刷や後書き等で表記した位置マーク表示手段30とし、板状体20とは別体とするが、板状体20の上面に直かに位置マーク表示手段30を直接描いたり印刷したりすることができる。板状体20の上面に位置マーク表示手段30を直接描けば、板状体20と位置マーク表示手段30とがズレる心配がなく、またフラワーアレンジメント用具の部品点数が減りより好ましくなる。
【0018】
補助片8は変形可能にして前記透孔21よりも大きな板状片である。補助片8はその中央にブーケホルダー5の柄部5aが貫通する挿入部81を設けると共にその外周縁800から該挿入部81に向けて切込み部82を放射線状に複数設けたものである。尚、図1では切込み部82の数を減らし簡略図示する。補助片8は所定厚みのゴム製又は樹脂製円板状で、弾性変形可能にして可撓性をも有し、板状体20とブーケホルダー5とを一体化させる係止具となっている。補助片8は使い捨てでも構わないが、ここでは使用後に弾性復元させて再使用可能とする。挿入部81にブーケホルダー5の柄部5aを貫通させ補助片8が取付けられたブーケホルダー5を用意し、その柄部を作業台10に載置された板状体20の透孔21に貫挿する。挿入部81に柄部5aを貫通させて、補助片8が取付けられたブーケホルダー5の柄部5aを透孔21に上方から下方へ貫挿し、板状体20の板面下に突き出す該柄部を下方へ引っ張ることにより、補助片8が透孔21を埋めるように変形して柄部5aに寄せ付けられてブーケホルダー5及び板状体20と密着、一体化する構成である。より詳しくは、花材保持ブロック5bの露出部5b1を前記板面よりも上方側に配して、透孔下に突出す該柄部を下方側に引っ張ることにより、該透孔21の周縁201で、補助片8が透孔21を埋めるように弾性変形して柄部5aに寄せ付けられてブーケホルダー5及び板状体20と一体化する。尚、板状体20よりも上方に現れるブーケホルダー5の割合は、補助片8の厚みや透孔21,挿入部81の孔径を変更することによって容易に調節できる。
【0019】
本実施形態の補助片8は図7(イ)ごとくの平面視ほぼ円形で、且つ市販の吸盤片のごとく中央に向け皿状に窪みのある形状である(図7のロ)。補助片8は中央(中心部)にブーケホルダー5の柄部5aの径よりも小さな通孔811を形成し、また該通孔811から補助片8の本体部80へ切込みライン812を放射線状に形成する挿入部81を有する。切込みライン812を形成することによって柄部5aを挿入部81に貫通させることができ、且つその貫通した柄部5aに切込ライン812の入った本体部80の箇所が弾性変形で復元して、補助片8を柄部に係止,保持させることができる。さらに、ここでは補助片8の外周縁に設けられた切込み部82にV字状の切取り部分821を形成する。V字状切取り部分821の先端は、補助片8の中心を透孔の中心に合わせて板状体20に載せたときに図7(イ)のごとく透孔21の周縁201近くに達する。補助片8の変形を容易にするためである。
【0020】
補助片8は図7の補助片8に代え、図8のごとくの補助片8とすることができる。図8の補助片8は挿入部81に切込みライン812を設けるだけである。切込み部82に図7に示すような切取り部分821は設けていない。図7の補助片8に比べると作業性に若干劣るが、本発明で要求されるブーケホルダー5及び板状体20と一体化させる補助片8の機能は発揮する。
【0021】
起立性シート状表示体50は、中心部側にくり抜き部分を設けた板体(ここでは半円板)の少なくとも一方の面に花材4の組付位置マーク31が表示され、且つ該くり抜き部分の内縁から突設する針状軸体51が設けられたものである。該軸体51をブーケホルダー5の花材保持ブロック5bに差し込むことにより、該花材保持ブロック5b上に起立状に装着できる。
詳しくは、ブーケ作品の大きさに対応させた半円板とし、且つその中心部に小さな半円形にくり抜いた所定厚みで剛性のある板体を主部とする(図2)。そして、中心部の半円形のくり抜き部分の内周縁から2本の軸体51が平行突出するよう形成する。該軸体51を使ってブーケホルダー5の花材保持ブロック5bに取付けた際、図3のごとく該花材保持ブロック5bをうまく取り囲めるほどの半円形のくり抜き部分が形成されている。さらに、起立性シート状表示体50のその板体に、組付位置マーク31たる大花マーク31a,小花マーク31b,葉マーク31cが等角間隔にて半円状切欠を中心として放射状に表記される。
【0022】
本フラワーアレンジメント用具は例えば次のように用いられる。作業台10上に板状体20を載置し、さらに位置マーク表示手段30を板状体20の上面に重ね合わせ載置する一方、挿入部81に柄部5aを貫通させて補助片8が取着されたブーケホルダー5を用意する。皿状に窪みのある側の補助片8へ柄部5aを突っ込むことで、柄部5aが補助片8を容易く貫通できる。該補助片8付きブーケホルダー5の受器部上縁を水平にし、花材保持ブロック5bの露出部5b1を板状体20の板面よりも上方側に配して、柄部5aを透孔21に貫挿し、花材保持ブロック5bの露出部5b1を板状体20の板面よりも上方側に配するようにして、透孔21を貫通した該柄部5aを下方側に引っ張る。この下方側へ柄部5aを引っ張ることによって、該透孔の周縁201で、補助片8が透孔21を埋めるように弾性変形して柄部5aに寄せ付けられてブーケホルダー及び板状体20と一体化する。
詳しくは、平面視円形の補助片8には柄部5aが挿入されることで当初の皿状よりも深い窪みができ、外周縁部分800が上向く。この補助片8付きブーケホルダーの柄部5aを透孔21に貫挿し、板状体20の下側に現れた柄部5aを下方側に引っ張ると、該透孔の周縁201では補助片8がその周縁201に当接しながら透孔21を埋めるように弾性変形して透孔周縁201に密着する。と同時に、補助片8は透孔21を埋めつつ弾性変形しながら窄まり柄部5aに寄せ付けられ、該柄部に付着し、最終的に図9のごとく透孔周縁201で該透孔周縁と補助片8とブーケホルダー5とが密着、一体化する。そして、板状体20とブーケホルダー5とに密着した補助片8は弾性変形しているので、その復元力でもって両者と強固に一体化することとなる。さらに、本実施形態は補助片8が図9のごとく拡径部5a1を巻き込んで大きく屈曲しているので、弾性復元力が大きくより一層の一体化が図られる。補助片8が拡径部5a1を巻き込んでいることから、補助片8とブーケホルダーの一体化は完璧になる。
【0023】
かくして、図2,図3のごとく、位置マーク表示手段30 が板状体20の上面に表示され且つ該板状体が作業台10上に水平に載置されて、ブーケホルダー5がその受け器部5c,花材保持ブロック5bを真っ直ぐ上方に向くようにして、補助片8を介して板状体20に固定、一体化される。次に、起立性シート状表示体50の軸体51をブーケホルダー5の花材保持ブロック5bへ上から垂直に差し込み、装着する。続いて、花材4を起立性シート状表示体50の組付位置マーク31に沿って配し、所定長さに切った花材4の軸4aを図3のごとく花材保持ブロック5bへ挿入すれば、ブーケ作品を形成する一つの半円縦断面部分が完成する。この半円縦断面部分は、特許文献1の図6のごとく花材4がつくる所定幅をもち、且つその外周面が花で彩られる。次いで、起立性シート状表示体50を抜き取り図3の紙面垂直方向に起立性シート状表示体50を配設替えしその軸体51をブーケホルダー5の花材保持ブロック5bに差し込む。その後、花材4を起立性シート状表示体50の組付位置マーク31に沿って配し、所定長さに切った花材4の軸4aを花材保持ブロック5bへ挿入すれば、前述の半円縦断面部分と直行する新たな半円縦断面部分が完成する。
【0024】
ブーケ作品を製作する際、前記位置マーク表示手段30を使ってブーケ作品の底面部分と、前記起立性シート表示体を使って直行する半円縦断面部分と、の手順は問わない。これらを完成させると、少なくともこれらの部分が規則性をもって綺麗にブーケの外観を形づくるので、後は残り少ない花材保持ブロック5bの露出部分を隠すようにそこへ花材4を挿入してやれば豪華で且つ見事な図5ごとくのブーケを作ることができる。
【0025】
このように構成したフラワーアレンジメント用具は、図2のごとく作業台10上に板状体20a,20bを隣り合わせに配置することによってできた透孔21へ切欠32a,32bを一致させるようにして、位置マーク表示手段30を板状体20に重ね合わせた後、既述のごとく補助片8を取付けたブーケホルダー5の受器部5cの上縁を水平にして、柄部5aを透孔21に貫挿すれば、補助片8を介してブーケホルダー5と板状体20が一体化され、花材保持ブロック5bが板状体20,位置マーク表示手段30の上側に配設される。補助片8を使ってブーケホルダー5を係止するので、ブーケホルダー5が板状体20,位置マーク表示手段30上でしっかり固定される。作業台10上のブーケホルダー5が安定し、ブーケの製作作業が円滑に進む。
また、柄部5aの上端から上方へ延設する受器部5cが前方に折れ曲がるブーケホルダー5は、従来のブーケスタンド(図16の符号2)を使うと、傾いた状態のままブーケ作品を作ることを強いられるので製作困難であったが、本フラワーアレンジメント用具によればブーケホルダー5の柄部5aを傾けてブーケの正面が上向き状態になるので、ブーケ作りが非常に行い易くなっている。
さらに、作業台10上に位置マーク表示手段30や起立性シート状表示体50が配されるので、フラワーアレンジメント用具だけで足り、別途、作業机等を準備しなくて済む。位置マーク表示手段30たるシート状表示体は、図14のシート状表示体3と違って、ブーケホルダー5から離れた下方の板状体上面に配されるので、立体感溢れる形状のブーケ作りができる。位置マーク表示手段30と起立性シート状表示体50の組付位置マーク31に沿ってバラ,ユリ,チューリップ,ラン,トルコ桔梗等の花材4の軸4aを花材保持ブロック5bに差し込んでいけば、手作りで生花からなる華麗で豪華なブーケを素人でも楽に製作できる。
【0026】
加えて、位置マーク表示手段30や起立性シート状表示体50は、使用する花材4の大きさや種類、形状、及び製作しようとするブーケの型に合わせて種々の組付位置マーク31が表示されたものを予め用意しておけば、該位置マーク表示手段30,起立性シート状表示体50を交換するだけで別のブーケ作品に対処できる。例えば、図4に示した位置マーク表示手段30は、図2に示したものに代えて板状体20b上に差し替え配置することによりオーバル型のブライダルブーケを作成するものである。これらのシート状表示体30,50を使用することにより、花材4の配置バランスが精度良く保たれ見栄えの良いオーバル型ブーケを初心者でも簡単に作成できる。
【0027】
また、板状体20は板状体20a,20bに2分割されていることから、一方の板状体を外せば出来上がったブーケを簡単に取り出すことができ、着脱を容易にする。また補助片8は弾性変形可能であり、弾性変形した補助片8の復元力以上の外力でもって引き離せば、ブーケホルダー5の柄部5aをその透孔21から簡単に取り外すことができる。それでいて、作業者が作業中にブーケホルダー5に当ったりした場合でも、ブーケホルダー5が補助片8を介在して透孔21と密着し、さらに弾性変形した補助片8の復元力でもってより一体化しているので不用意に動くことはない。
アレンジメント作品を製作する場合も、上記一連の効果と同様の効果が得られる。図15の教具60の相当品が位置マーク表示手段30になるので、アレンジメント作品にも円滑対応できる。
【0028】
(2)実施形態2
本実施形態は、実施形態の位置マーク表示手段30と板状体20とを、図10〜図12のごとく一体品の位置マーク表示手段30付き板状体20にするフラワーアレンジメント用具である。板状体20の板面に位置マーク手段30が直接描かれている。また、実施形態1では位置マーク表示手段30と板状体20が二分割構成であったが、一枚物の位置マーク表示手段付き板状体とする。作業台10上に水平に載置される板状体上面1aに、透孔21から組付位置マーク31たる大花マーク31a,小花マーク31b,葉マーク31cが透孔21を中心として放射線状に等角間隔で描かれる。尚、図10は位置マーク表示手段30付き板状体20の一例を図示する平面図、図11はその裏面図である。図12は図1の二分割構成の位置マーク表示手段30と板状体20とを一体品の位置マーク表示手段30付き板状体20に変更したものを用いて図1に対応する斜視図を図示するものである。
各板状体20の裏面の四隅近くには滑り止め用粘着パッド25が貼着されていて、板状体20を作業台10上に水平載置すると、該粘着パッドが作業台の上面1aに載る。板状体20が作業台10に載置されると、粘着パッド25が作業台上面1aに載ることによって板状体20が該作業台10と一体化し、実施形態1の位置決め用棒材22a,22bなしでも必要以上の外力を加えないと動かなくなっている。ブーケ作品を制作するうえで何ら支障はない。他の構成は実施形態1と同様でその説明を省く。
【0029】
このように構成したフラワーアレンジメント用具は、実施形態1の効果に加え、位置マーク表示手段30付き板状体20になることでフラワーアレンジメント用具の部品点数が減る。一枚物の位置マーク表示手段付き板状体とすることで、フラワーアレンジメント用具の部品点数がさらに減る。位置決め用棒材22a,22bをなしにして粘着パッド25を用いるので、該位置決め用棒材がない分だけフラワーアレンジメント用具が嵩張らない。フラワーアレンジメント用具の収納,保管に便利になる。
【0030】
尚、本発明においては、前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。作業台10,板状体20,位置マーク表示手段30,補助片8等の形状,大きさ等は用途等に合わせて適宜選択できる。例えば、補助片8はその構成材料に弾性変形度合いの大きい発泡体,スポンジを用い、補助片8が透孔21を埋めるように容易く変形して柄部5aに寄せ付けられてブーケホルダー5及び板状体20と一体化するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態1のフラワーアレンジメント用具の分解斜視図である。
【図2】図1のフラワーアレンジメント用具の使用状態を示す斜視図である。
【図3】図1のフラワーアレンジメント用具の使用状態を示す縦断面図である。
【図4】位置マーク表示手段たるシート状表示体の斜視図である。
【図5】本フラワーアレンジメント用具により製作したブライダルブーケの一例を示す斜視図である。
【図6】ブーケホルダーの一例を示す斜視図である。
【図7】(イ)が補助具の平面図、(ロ)が(イ)のI-I線矢視図である。
【図8】図7とは別態様の補助具の平面である。
【図9】図3の要部拡大図である。
【図10】実施形態2の位置マーク表示手段付き板状体の平面図である。
【図11】図10の裏面図である。
【図12】図1の位置マーク表示手段と板状体を、位置マーク表示手段付き板状体に代えたフラワーアレンジメント用具の分解斜視図である。
【図13】従来技術の斜視図である。
【図14】従来技術の正面図である。
【図15】従来技術の斜視図である。
【図16】従来技術の縦断面図である。
【符号の説明】
【0032】
5 ブーケホルダー
5a 柄部
5b 花材保持ブロック
10 作業台
11 棒状部
12 支脚
20 板状体
20a,20b 板状体
21 透孔
30 位置マーク表示手段
31 組付位置マーク
50 起立性シート状表示体
8 補助片
800 外周縁
81 挿入部
82 切込み部
821 切取り部分
【技術分野】
【0001】
本発明はブーケやアレンジメント作品等を製作するためのフラワーアレンジメント用具に関する。
【背景技術】
【0002】
フラワーアレンジメントはヨーロッパが発祥とされ、その種類として(1)ブーケ,(2)アレンジメント,(3)コサージ等があり、我国でも愛好者が広がりつつある。フラワーアレンジメント(特に基本形)の作品を美しく作るにはフラワースクールに何度も通い続けて、花を生けて勉強するのが主流である。そのスクールでは、ラウンド型,ダイヤ型,キャスケード型等のフラワーアレンジの基本形につき、物差し,メジャー等を使用し、底辺面や高さ,側面を測りながら生けていく方法を教えている。
そして、そこで製作される例えばブライダルブーケは、ウエディングドレスを着た花嫁をより美しく見せることができるもので、バラ,ラン,ユリ,トルコ桔梗, ,フリージャ等の多数の生花や枝葉(以下、花材という)をラウンド型やキャスケード型等の立体形状にアレンジされる。生花を用いたこのようなフラワーアレンジメント作品が可能であれば自分の感性を生かして手作りし、親しい友人や愛娘の結婚式にプレゼントできるようにしたいという要望は大きい。
しかし、多数の花材を所定形状にバランス良く配置することは、初心者にとって容易でなく、従来はフラワーアレンジメントに興味をもっていても個人がこれを手作りすることは困難であった。フラワーアレンジメントは本や写真などを参考にしても、素人では多数の花材を美しく立体形状にアレンジできなかった。結局、フラワーアレンジメントをマスターするにはスクールに通い勉強することになるが、そのための時間と費用が嵩む状況にあった。
こうしたことから、本発明者は初心者でも手軽にフラワーアレンジメント作品を作製できるフラワーアレンジメント用教具を既に提案した(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特許第3455475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で提案したフラワーアレンジメント用教具は、例えばブライダルブーケを作るにあたって、まず図13に示すごとくブーケホルダー1の柄部1aを円筒状のスタンド2に差すことにより、ブーケホルダー1を真直に支持する。次に、表面に等角間隔で花の組付位置マーク3a,3b,3c等が表示された一対の略半円形のシート状表示体3をその内縁部に突設された針状の軸体3dを花材保持ブロック1bに差し込み、図14のごとくシート状表示体3を水平に止着する。その後、この組付位置マーク3a,3b,3cに沿って花材4の軸4aを花材保持ブロック1bに差し込むことにより、花材4を花材保持ブロック1bの周囲に均等にバランス良く配置できるようにするものである。尚、ブーケホルダー1は柄部1aの上端に受器部1cを形成し、該受器部上に吸水性発泡体等の多孔質体を球状に形成してなる花材保持ブロック1bを配置し、該花材保持ブロック1bを篭体1dにより囲ってなるものを例示する。
【0005】
しかるに、一般にブーケホルダーには、図13に示す柄部1aの上端に受器部1cを真直に形成したものの他、花嫁が柄部1aを持ったとき花束全体が自然に前方に向くように、図6のブーケホルダー5のごとく柄部5aの上端に受器部5cを前方に所定角度で折れ曲がった形状にし、篭体5dによって囲われた花材保持ブロック5bが前向き傾斜状に支持されるものがある。受器部5cが柄部5aに対し折れ曲がって形成されたブーケホルダー5は、柄部5aを上記スタンド2に差したとき花材保持ブロック5bが傾斜状になるために、これにシート状表示体3を装着するとこのシート状表示体3も傾斜し、ブーケ作りが困難になった(第1の問題)。そして、ブーケホルダーを上記のようなスタンド2に支持しただけでは不安定であり、花材を差し込む際に作業し難いという問題があった(第2の問題)。さらにキャスケード型のブーケ等においては、柄部の領域まで覆い尽くすような立体感溢れる形状ものが形成されるが、図14のごとく、シート状表示体3の軸体3dを花材保持ブロック1bに差し込んでシート状表示体3を水平に止着すると、該シート状表示体自身が邪魔をし、これよりも下方に花材を生けるのを阻むため、立体感溢れる形状ものができなかった(第3の問題)。加えて、特許文献1で、図15のごとくシート状体からなる教具60を提供したが、スタンド2に立てるブーケについては該スタンドに教具60を取付けることができなかった(第4の問題)。
【0006】
一方、アレンジメントに関しては、特許文献1でシート面61の一方の面に支持部材たる花材保持ブロック72又はこれを保持するための器71が置かれる位置マークPと花の組付け位置マーク3a,3b,3cとが表示されたシート状体を用いた教具60が有効であった(図15,図16)。当該教具60は図16のごとくテーブル等に敷かれ、位置マークPに器71を置いて、まず水平よりも上方側のアレンジメント作品を完成させる。その後、絵柄Eに描かれた花材の組付位置マーク3a〜3cに沿って、図16のごとく先端に向けて下方傾斜する花材4を生けていく。花材4の先端が対応する絵柄Eの花マークに近接させるようにして、該花材の軸4aを花材保持ブロック72に差し込んでいく。かくして、テーブル面GL近くまで花材4に埋もれたボリューム感溢れる形状のアレンジメント作品ができるようにしている。
【0007】
しかし、前記教具60を用いた場合、器71が大きいと器71の高さも高くなって、花材と花の組付け位置マークとの位置が離れ、花材を上手に生けることが難しくなっていた(第5の問題)。加えて、シート状の教具60を用いていることから、作業し易い作業位置を確保するため適当な机などの作業机等を別途用意し、その上に教具を置いて生ける必要があった(第6の問題)。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するもので、作業机等の準備がいらず、作業性を向上させて、しかも花材保持ブロックに円滑且つ精度良く花材を生けることができ、華麗で見事なブーケやアレンジメント等のフラワーアレンジメント作品を初心者でも簡単に製作できるフラワーアレンジメント用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、枠状部(11)に支脚(12)を設けた脚付枠状の作業台(10)と、板面を貫通する透孔(21)を形成して該作業台上に水平に載置される板状体(20)と、変形可能にして前記透孔よりも大きな板状片で、その中央にブーケホルダー(5)の柄部(5a)が貫通し得る挿入部(81)を設けると共に外周縁から該挿入部に向けて切込み部(82)を複数設けた補助片(8)と、花材の組付位置マーク(31)を前記板状体(20)の上面に表示する位置マーク表示手段(30)と、を具備し、前記挿入部(81)に前記柄部(5a)を貫通させて、補助片(8)が取付けられたブーケホルダー(5)の柄部(5a)を前記透孔に上方から下方へ貫挿し、前記板面下に突き出す該柄部を下方へ引っ張ることにより、前記補助片(8)が透孔(21)を埋めるように変形して柄部(5a)に寄せ付けられてブーケホルダー(5)及び板状体(20)と一体化することを特徴とするフラワーアレンジメント用具にある。
請求項2の発明たるフラワーアレンジメント用具は、請求項1で、補助片(8)の切込み部(82)に切取り部分(821)を形成することを特徴とする。
【0010】
請求項1の発明のごとく作業台と透孔を形成した板状体と位置マーク表示体と補助片を備えると、ブーケホルダーを起立状態で安定して不動に支持することができるので、花材を差し込み易く作業し易くなる。作業台で適度な高さが確保されるため、作業机等を別途用意する必要はない。挿入部(81)に前記柄部(5a)を貫通させて、補助片(8)が取付けられたブーケホルダー(5)の柄部(5a)を前記透孔に上方から下方へ貫挿し、前記板面下に突き出す該柄部を下方へ引っ張ることにより、前記補助片(8)が透孔(21)を埋めるように変形して柄部(5a)に寄せ付けられてブーケホルダー(5)及び板状体(20)と一体化すると、ブーケホルダーが作業台上に真っ直ぐ上方を向いて固定される状態にでき、ブーケ作りがし易くなる。組付位置マークに従って花材を差し込むだけで花材保持ブロックに円滑且つ精度良く花材を生けることが可能で、バランスの採れた美しいブーケを簡単に作成することができる。ブーケやアレンジメントの下部の所は、板状体の上面に表示する位置マーク表示手段に沿わせて花材を生けていくことになるので、立体感溢れる形状の作品ができる。種々の形態で組付位置マークが表示された位置マーク表示手段(30)を用意すれば、この位置マーク表示手段を交換するだけで、様々な形のブーケを作成できる。
請求項2の発明のごとく補助片(8)の切込み部(82)に切取り部分(821)を形成すると、該切取り部分によって補助片の変形が一層し易くなり、柄部を下方側に引っ張ることにより、透孔の周縁で、補助片が透孔を埋めるように変形すると共に柄部に寄せ付けられてブーケホルダーをより簡単に係止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のフラワーアレンジメント用具は、作業机などが不要で、補助片が変形することによりブーケホルダーが作業台の板状体と一体化するので、作業がし易くなり、花材保持ブロックに円滑且つ精度良く花材を生けることが可能で、華麗で見事なブーケやアレンジメント等のフラワーアレンジメント作品を初心者でも簡単に製作でき優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るフラワーアレンジメント用具について詳述する。
(1)実施形態1
図1〜図9は本発明のフラワーアレンジメント用具の一形態で、図1はその分解斜視図、図2はその使用状態を示す斜視図、図3は同じくその使用状態を示す縦断面図、図4は位置マーク表示手段たるシート状表示体の斜視図、図5は本フラワーアレンジメント用具により製作したブライダルブーケの一例を示す斜視図、図6はブーケホルダーの一例を示す斜視図、図7は(イ)が補助具の平面図、(ロ)が(イ)のI-I線斜視図である。図8は図7とは別態様の補助具の平面図、図9は図3の要部拡大図である。尚、図3,図9の補助片の断面を示すハッチング表示は図面を分かり易くするため省く。
【0013】
フラワーアレンジメント用具は作業台10と板状体20と位置マーク表示手段30と補助具8と起立性シート状表示体50とを具備する。フラワーアレンジメント作品を製作する場合、フラワーアレンジメント用具とは別にフラワーアレンジメント作品の素材たる花材4とブーケホルダー5が準備される。
【0014】
例えば図5のようなラウンドブーケ作品(以下、単に「ブーケ作品」という)を製作するにあたり、これに必要な生花や枝葉の花材4を準備する。またブーケホルダー5として、本実施形態は図3〜図6のごとく柄部5aの上端から上方へ延設する受器部5cが前方に所定角度(約20度)で折れ曲がり、該受器部5cに収納され且つ篭体5dによって囲われた花材保持ブロック5bが前向き傾斜状に支持されるブーケホルダー5を用意する。柄部5aの付け根に形成した拡径部5a1からラッパ状に広がる受器部5cが延設され、該受器部5cに花材保持ブロック5bを収納した後、篭体5dで囲ったブーケホルダー5である。図6中、符号5c1は受器部5cから突出する複数の係合突起で、花材保持ブロック5bを囲った篭体5dに係合し、受器部外面に設けたストッパたる突起5c2とで篭体5dを受器部5cに取外し可能に係止する。尚、図6以外の図面では係合突起5c1,突起5c2の図示を省略する。篭体5dでカバーされた部分には花材保持ブロック5bの露出部5b1が現れる。ここでは篭体5dで覆われた箇所だけでなく、受器部5cに窓口を形成して該窓口からも花材保持ブロック5bの露出部5b1が現れるようにしている。花材保持ブロック5bは保水性を有する樹脂発泡体で、商品名「オアシス」と呼ばれるもの等が用いられる。花材保持ブロック5bは略球形の所定形状にして図6のようなブライディ(株式会社クラウディアの商品名)たる柄部5a付き受器部5cと篭体5dに保持されてこの中に納まる。
【0015】
作業台10は枠状部11に支脚12を設けた脚付枠状体にした木製品である。図1のごとく帯板の幅方向を起立させて四角形の枠体(枠状部11)を形成し、その中空内四隅に柱状の支脚12の上部を固着して脚付枠状体とする。枠状部上面が支脚12によって作業し易い所定高さで水平に支持される。
【0016】
板状体20は板面を貫通する透孔21を形成して該作業台10上に水平に載置される方形の木製板である。該板状体20は枠状部11上に載置し、ブーケホルダー5の柄部5aを上から該透孔21に貫挿し花材保持ブロック5bの露出部を該板面よりも上方側に配して該透孔21の周縁でブーケホルダー5を受け支える構成である。本実施形態は、透孔21の孔径をブーケホルダー5に係る受器部5cに設けた窓口の下縁位置又は当該位置よりも少し柄部5a寄りのラッパ状受器部5cの外径に等しくする。ブーケホルダー5の受器部上縁を水平にして柄部5aの先端を該透孔21へ貫通させ、ブーケホルダー5を板状体20に挿着すると、篭体5dで囲われた花材保持ブロック5bの露出部5b1、さらに受器部5cの窓口から花材保持ブロック5bの露出部5b1が板状体20の板面よりも上方側に配されるようにしている。
本実施形態の板状体20は、対向縁にそれぞれ半円状の切欠21a,21bが形成された半割板状の一対の板状体20a,20bからなり、該板状体20a,20bの裏面に図3のごとく位置決め用の棒材22a,22bを固着する。枠状部11の内壁に棒材22a,22bが嵌入、当接して、該板状体20a,20bを作業台10上に隣り合わせに配置することにより、作業台10上での板状体20a,20bの横ズレを防止すると共に、切欠21a,21bが合わさって、板状体20の中央板面に円形の透孔21が形成される。
【0017】
位置マーク表示手段30は花材4の組付位置マーク31を前記板状体20の上面に表示する表示体である。ここでの位置マーク表示手段30はシート状表示体で、半割板状の一対の板状体20a,20bと平面視同形状のフィルム又はシートからなり、組付位置マーク31たる大花マーク31a,小花マーク31b,葉マーク31cが等角間隔で半円状切欠32a,32bを中心として放射状に表記されている。半円状切欠32a,32bを切欠21a,21bbに一致させ、位置マーク表示手段30を板状体20の上に重ね合わせるようにして載置することで、花材4の組付位置マーク31が板状体20の上面に表示される。ブーケホルダー5の柄部5aを透孔21に貫挿し、ブーケ作品の底面を形成する花材4を該組付位置マーク31に沿って配した後、所定長さに切った花材4の軸4aを図3のごとく花材保持ブロック5bの露出部へ順次挿入すれば、ブーケ作品の底面部分が綺麗に配列された姿態で完成する。
位置マーク表示手段30は図1の分割構成に代え、板状体20と平面視同形の一枚ものとすることができる。また本実施形態は、図1のごとく板状体20と平面視を同じくするシート又はフィルムに花材4の組付位置マーク31を印刷や後書き等で表記した位置マーク表示手段30とし、板状体20とは別体とするが、板状体20の上面に直かに位置マーク表示手段30を直接描いたり印刷したりすることができる。板状体20の上面に位置マーク表示手段30を直接描けば、板状体20と位置マーク表示手段30とがズレる心配がなく、またフラワーアレンジメント用具の部品点数が減りより好ましくなる。
【0018】
補助片8は変形可能にして前記透孔21よりも大きな板状片である。補助片8はその中央にブーケホルダー5の柄部5aが貫通する挿入部81を設けると共にその外周縁800から該挿入部81に向けて切込み部82を放射線状に複数設けたものである。尚、図1では切込み部82の数を減らし簡略図示する。補助片8は所定厚みのゴム製又は樹脂製円板状で、弾性変形可能にして可撓性をも有し、板状体20とブーケホルダー5とを一体化させる係止具となっている。補助片8は使い捨てでも構わないが、ここでは使用後に弾性復元させて再使用可能とする。挿入部81にブーケホルダー5の柄部5aを貫通させ補助片8が取付けられたブーケホルダー5を用意し、その柄部を作業台10に載置された板状体20の透孔21に貫挿する。挿入部81に柄部5aを貫通させて、補助片8が取付けられたブーケホルダー5の柄部5aを透孔21に上方から下方へ貫挿し、板状体20の板面下に突き出す該柄部を下方へ引っ張ることにより、補助片8が透孔21を埋めるように変形して柄部5aに寄せ付けられてブーケホルダー5及び板状体20と密着、一体化する構成である。より詳しくは、花材保持ブロック5bの露出部5b1を前記板面よりも上方側に配して、透孔下に突出す該柄部を下方側に引っ張ることにより、該透孔21の周縁201で、補助片8が透孔21を埋めるように弾性変形して柄部5aに寄せ付けられてブーケホルダー5及び板状体20と一体化する。尚、板状体20よりも上方に現れるブーケホルダー5の割合は、補助片8の厚みや透孔21,挿入部81の孔径を変更することによって容易に調節できる。
【0019】
本実施形態の補助片8は図7(イ)ごとくの平面視ほぼ円形で、且つ市販の吸盤片のごとく中央に向け皿状に窪みのある形状である(図7のロ)。補助片8は中央(中心部)にブーケホルダー5の柄部5aの径よりも小さな通孔811を形成し、また該通孔811から補助片8の本体部80へ切込みライン812を放射線状に形成する挿入部81を有する。切込みライン812を形成することによって柄部5aを挿入部81に貫通させることができ、且つその貫通した柄部5aに切込ライン812の入った本体部80の箇所が弾性変形で復元して、補助片8を柄部に係止,保持させることができる。さらに、ここでは補助片8の外周縁に設けられた切込み部82にV字状の切取り部分821を形成する。V字状切取り部分821の先端は、補助片8の中心を透孔の中心に合わせて板状体20に載せたときに図7(イ)のごとく透孔21の周縁201近くに達する。補助片8の変形を容易にするためである。
【0020】
補助片8は図7の補助片8に代え、図8のごとくの補助片8とすることができる。図8の補助片8は挿入部81に切込みライン812を設けるだけである。切込み部82に図7に示すような切取り部分821は設けていない。図7の補助片8に比べると作業性に若干劣るが、本発明で要求されるブーケホルダー5及び板状体20と一体化させる補助片8の機能は発揮する。
【0021】
起立性シート状表示体50は、中心部側にくり抜き部分を設けた板体(ここでは半円板)の少なくとも一方の面に花材4の組付位置マーク31が表示され、且つ該くり抜き部分の内縁から突設する針状軸体51が設けられたものである。該軸体51をブーケホルダー5の花材保持ブロック5bに差し込むことにより、該花材保持ブロック5b上に起立状に装着できる。
詳しくは、ブーケ作品の大きさに対応させた半円板とし、且つその中心部に小さな半円形にくり抜いた所定厚みで剛性のある板体を主部とする(図2)。そして、中心部の半円形のくり抜き部分の内周縁から2本の軸体51が平行突出するよう形成する。該軸体51を使ってブーケホルダー5の花材保持ブロック5bに取付けた際、図3のごとく該花材保持ブロック5bをうまく取り囲めるほどの半円形のくり抜き部分が形成されている。さらに、起立性シート状表示体50のその板体に、組付位置マーク31たる大花マーク31a,小花マーク31b,葉マーク31cが等角間隔にて半円状切欠を中心として放射状に表記される。
【0022】
本フラワーアレンジメント用具は例えば次のように用いられる。作業台10上に板状体20を載置し、さらに位置マーク表示手段30を板状体20の上面に重ね合わせ載置する一方、挿入部81に柄部5aを貫通させて補助片8が取着されたブーケホルダー5を用意する。皿状に窪みのある側の補助片8へ柄部5aを突っ込むことで、柄部5aが補助片8を容易く貫通できる。該補助片8付きブーケホルダー5の受器部上縁を水平にし、花材保持ブロック5bの露出部5b1を板状体20の板面よりも上方側に配して、柄部5aを透孔21に貫挿し、花材保持ブロック5bの露出部5b1を板状体20の板面よりも上方側に配するようにして、透孔21を貫通した該柄部5aを下方側に引っ張る。この下方側へ柄部5aを引っ張ることによって、該透孔の周縁201で、補助片8が透孔21を埋めるように弾性変形して柄部5aに寄せ付けられてブーケホルダー及び板状体20と一体化する。
詳しくは、平面視円形の補助片8には柄部5aが挿入されることで当初の皿状よりも深い窪みができ、外周縁部分800が上向く。この補助片8付きブーケホルダーの柄部5aを透孔21に貫挿し、板状体20の下側に現れた柄部5aを下方側に引っ張ると、該透孔の周縁201では補助片8がその周縁201に当接しながら透孔21を埋めるように弾性変形して透孔周縁201に密着する。と同時に、補助片8は透孔21を埋めつつ弾性変形しながら窄まり柄部5aに寄せ付けられ、該柄部に付着し、最終的に図9のごとく透孔周縁201で該透孔周縁と補助片8とブーケホルダー5とが密着、一体化する。そして、板状体20とブーケホルダー5とに密着した補助片8は弾性変形しているので、その復元力でもって両者と強固に一体化することとなる。さらに、本実施形態は補助片8が図9のごとく拡径部5a1を巻き込んで大きく屈曲しているので、弾性復元力が大きくより一層の一体化が図られる。補助片8が拡径部5a1を巻き込んでいることから、補助片8とブーケホルダーの一体化は完璧になる。
【0023】
かくして、図2,図3のごとく、位置マーク表示手段30 が板状体20の上面に表示され且つ該板状体が作業台10上に水平に載置されて、ブーケホルダー5がその受け器部5c,花材保持ブロック5bを真っ直ぐ上方に向くようにして、補助片8を介して板状体20に固定、一体化される。次に、起立性シート状表示体50の軸体51をブーケホルダー5の花材保持ブロック5bへ上から垂直に差し込み、装着する。続いて、花材4を起立性シート状表示体50の組付位置マーク31に沿って配し、所定長さに切った花材4の軸4aを図3のごとく花材保持ブロック5bへ挿入すれば、ブーケ作品を形成する一つの半円縦断面部分が完成する。この半円縦断面部分は、特許文献1の図6のごとく花材4がつくる所定幅をもち、且つその外周面が花で彩られる。次いで、起立性シート状表示体50を抜き取り図3の紙面垂直方向に起立性シート状表示体50を配設替えしその軸体51をブーケホルダー5の花材保持ブロック5bに差し込む。その後、花材4を起立性シート状表示体50の組付位置マーク31に沿って配し、所定長さに切った花材4の軸4aを花材保持ブロック5bへ挿入すれば、前述の半円縦断面部分と直行する新たな半円縦断面部分が完成する。
【0024】
ブーケ作品を製作する際、前記位置マーク表示手段30を使ってブーケ作品の底面部分と、前記起立性シート表示体を使って直行する半円縦断面部分と、の手順は問わない。これらを完成させると、少なくともこれらの部分が規則性をもって綺麗にブーケの外観を形づくるので、後は残り少ない花材保持ブロック5bの露出部分を隠すようにそこへ花材4を挿入してやれば豪華で且つ見事な図5ごとくのブーケを作ることができる。
【0025】
このように構成したフラワーアレンジメント用具は、図2のごとく作業台10上に板状体20a,20bを隣り合わせに配置することによってできた透孔21へ切欠32a,32bを一致させるようにして、位置マーク表示手段30を板状体20に重ね合わせた後、既述のごとく補助片8を取付けたブーケホルダー5の受器部5cの上縁を水平にして、柄部5aを透孔21に貫挿すれば、補助片8を介してブーケホルダー5と板状体20が一体化され、花材保持ブロック5bが板状体20,位置マーク表示手段30の上側に配設される。補助片8を使ってブーケホルダー5を係止するので、ブーケホルダー5が板状体20,位置マーク表示手段30上でしっかり固定される。作業台10上のブーケホルダー5が安定し、ブーケの製作作業が円滑に進む。
また、柄部5aの上端から上方へ延設する受器部5cが前方に折れ曲がるブーケホルダー5は、従来のブーケスタンド(図16の符号2)を使うと、傾いた状態のままブーケ作品を作ることを強いられるので製作困難であったが、本フラワーアレンジメント用具によればブーケホルダー5の柄部5aを傾けてブーケの正面が上向き状態になるので、ブーケ作りが非常に行い易くなっている。
さらに、作業台10上に位置マーク表示手段30や起立性シート状表示体50が配されるので、フラワーアレンジメント用具だけで足り、別途、作業机等を準備しなくて済む。位置マーク表示手段30たるシート状表示体は、図14のシート状表示体3と違って、ブーケホルダー5から離れた下方の板状体上面に配されるので、立体感溢れる形状のブーケ作りができる。位置マーク表示手段30と起立性シート状表示体50の組付位置マーク31に沿ってバラ,ユリ,チューリップ,ラン,トルコ桔梗等の花材4の軸4aを花材保持ブロック5bに差し込んでいけば、手作りで生花からなる華麗で豪華なブーケを素人でも楽に製作できる。
【0026】
加えて、位置マーク表示手段30や起立性シート状表示体50は、使用する花材4の大きさや種類、形状、及び製作しようとするブーケの型に合わせて種々の組付位置マーク31が表示されたものを予め用意しておけば、該位置マーク表示手段30,起立性シート状表示体50を交換するだけで別のブーケ作品に対処できる。例えば、図4に示した位置マーク表示手段30は、図2に示したものに代えて板状体20b上に差し替え配置することによりオーバル型のブライダルブーケを作成するものである。これらのシート状表示体30,50を使用することにより、花材4の配置バランスが精度良く保たれ見栄えの良いオーバル型ブーケを初心者でも簡単に作成できる。
【0027】
また、板状体20は板状体20a,20bに2分割されていることから、一方の板状体を外せば出来上がったブーケを簡単に取り出すことができ、着脱を容易にする。また補助片8は弾性変形可能であり、弾性変形した補助片8の復元力以上の外力でもって引き離せば、ブーケホルダー5の柄部5aをその透孔21から簡単に取り外すことができる。それでいて、作業者が作業中にブーケホルダー5に当ったりした場合でも、ブーケホルダー5が補助片8を介在して透孔21と密着し、さらに弾性変形した補助片8の復元力でもってより一体化しているので不用意に動くことはない。
アレンジメント作品を製作する場合も、上記一連の効果と同様の効果が得られる。図15の教具60の相当品が位置マーク表示手段30になるので、アレンジメント作品にも円滑対応できる。
【0028】
(2)実施形態2
本実施形態は、実施形態の位置マーク表示手段30と板状体20とを、図10〜図12のごとく一体品の位置マーク表示手段30付き板状体20にするフラワーアレンジメント用具である。板状体20の板面に位置マーク手段30が直接描かれている。また、実施形態1では位置マーク表示手段30と板状体20が二分割構成であったが、一枚物の位置マーク表示手段付き板状体とする。作業台10上に水平に載置される板状体上面1aに、透孔21から組付位置マーク31たる大花マーク31a,小花マーク31b,葉マーク31cが透孔21を中心として放射線状に等角間隔で描かれる。尚、図10は位置マーク表示手段30付き板状体20の一例を図示する平面図、図11はその裏面図である。図12は図1の二分割構成の位置マーク表示手段30と板状体20とを一体品の位置マーク表示手段30付き板状体20に変更したものを用いて図1に対応する斜視図を図示するものである。
各板状体20の裏面の四隅近くには滑り止め用粘着パッド25が貼着されていて、板状体20を作業台10上に水平載置すると、該粘着パッドが作業台の上面1aに載る。板状体20が作業台10に載置されると、粘着パッド25が作業台上面1aに載ることによって板状体20が該作業台10と一体化し、実施形態1の位置決め用棒材22a,22bなしでも必要以上の外力を加えないと動かなくなっている。ブーケ作品を制作するうえで何ら支障はない。他の構成は実施形態1と同様でその説明を省く。
【0029】
このように構成したフラワーアレンジメント用具は、実施形態1の効果に加え、位置マーク表示手段30付き板状体20になることでフラワーアレンジメント用具の部品点数が減る。一枚物の位置マーク表示手段付き板状体とすることで、フラワーアレンジメント用具の部品点数がさらに減る。位置決め用棒材22a,22bをなしにして粘着パッド25を用いるので、該位置決め用棒材がない分だけフラワーアレンジメント用具が嵩張らない。フラワーアレンジメント用具の収納,保管に便利になる。
【0030】
尚、本発明においては、前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。作業台10,板状体20,位置マーク表示手段30,補助片8等の形状,大きさ等は用途等に合わせて適宜選択できる。例えば、補助片8はその構成材料に弾性変形度合いの大きい発泡体,スポンジを用い、補助片8が透孔21を埋めるように容易く変形して柄部5aに寄せ付けられてブーケホルダー5及び板状体20と一体化するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態1のフラワーアレンジメント用具の分解斜視図である。
【図2】図1のフラワーアレンジメント用具の使用状態を示す斜視図である。
【図3】図1のフラワーアレンジメント用具の使用状態を示す縦断面図である。
【図4】位置マーク表示手段たるシート状表示体の斜視図である。
【図5】本フラワーアレンジメント用具により製作したブライダルブーケの一例を示す斜視図である。
【図6】ブーケホルダーの一例を示す斜視図である。
【図7】(イ)が補助具の平面図、(ロ)が(イ)のI-I線矢視図である。
【図8】図7とは別態様の補助具の平面である。
【図9】図3の要部拡大図である。
【図10】実施形態2の位置マーク表示手段付き板状体の平面図である。
【図11】図10の裏面図である。
【図12】図1の位置マーク表示手段と板状体を、位置マーク表示手段付き板状体に代えたフラワーアレンジメント用具の分解斜視図である。
【図13】従来技術の斜視図である。
【図14】従来技術の正面図である。
【図15】従来技術の斜視図である。
【図16】従来技術の縦断面図である。
【符号の説明】
【0032】
5 ブーケホルダー
5a 柄部
5b 花材保持ブロック
10 作業台
11 棒状部
12 支脚
20 板状体
20a,20b 板状体
21 透孔
30 位置マーク表示手段
31 組付位置マーク
50 起立性シート状表示体
8 補助片
800 外周縁
81 挿入部
82 切込み部
821 切取り部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状部(11)に支脚(12)を設けた脚付枠状の作業台(10)と、板面を貫通する透孔(21)を形成して該作業台上に水平に載置される板状体(20)と、変形可能にして前記透孔よりも大きな板状片で、その中央にブーケホルダー(5)の柄部(5a)が貫通し得る挿入部(81)を設けると共に外周縁から該挿入部に向けて切込み部(82)を複数設けた補助片(8)と、花材の組付位置マーク(31)を前記板状体(20)の上面に表示する位置マーク表示手段(30)と、を具備し、前記挿入部(81)に前記柄部(5a)を貫通させて、補助片(8)が取付けられたブーケホルダー(5)の柄部(5a)を前記透孔に上方から下方へ貫挿し、前記板面下に突き出す該柄部を下方へ引っ張ることにより、前記補助片(8)が透孔(21)を埋めるように変形して柄部(5a)に寄せ付けられてブーケホルダー(5)及び板状体(20)と一体化することを特徴とするフラワーアレンジメント用具。
【請求項2】
前記補助片(8)の切込み部(82)に切取り部分(821)を形成する請求項1記載のフラワーアレンジメント用具。
【請求項1】
枠状部(11)に支脚(12)を設けた脚付枠状の作業台(10)と、板面を貫通する透孔(21)を形成して該作業台上に水平に載置される板状体(20)と、変形可能にして前記透孔よりも大きな板状片で、その中央にブーケホルダー(5)の柄部(5a)が貫通し得る挿入部(81)を設けると共に外周縁から該挿入部に向けて切込み部(82)を複数設けた補助片(8)と、花材の組付位置マーク(31)を前記板状体(20)の上面に表示する位置マーク表示手段(30)と、を具備し、前記挿入部(81)に前記柄部(5a)を貫通させて、補助片(8)が取付けられたブーケホルダー(5)の柄部(5a)を前記透孔に上方から下方へ貫挿し、前記板面下に突き出す該柄部を下方へ引っ張ることにより、前記補助片(8)が透孔(21)を埋めるように変形して柄部(5a)に寄せ付けられてブーケホルダー(5)及び板状体(20)と一体化することを特徴とするフラワーアレンジメント用具。
【請求項2】
前記補助片(8)の切込み部(82)に切取り部分(821)を形成する請求項1記載のフラワーアレンジメント用具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−275563(P2007−275563A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65913(P2007−65913)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(599125777)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(599125777)
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