説明

フランジ防護カバー

【課題】支柱の接続部のボルト締めされたフランジを覆うようにしてネットが触れても該ネットが破損しないようにしたフランジ防護カバーを提供する。
【解決手段】下部支柱20aの上端外周面と上部支柱20bの下端外周面にそれぞれ周設されボルト締めすることにより接続されるフランジ21,22に覆設するフランジ防護カバーAであって、軟弾性の素材からなる屈曲自在なシート本体1から形成され、その中央部に該シート本体1を断面円弧状に湾曲させたときその中心軸線に沿うように開設される複数のスリット2を設け、支柱20の接続部の外周面に各スリット2間の短冊状片部3がフランジ21,22の上側面に対し直交するようにシート本体1を配置し、フランジ21,22の外周縁に合わせて各短冊状片部3が外側へ湾曲するようにしてシート本体1を該フランジ21,22に覆設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ練習場やバッティングセンターにおいて、その練習場の周囲を囲うネットを支持するコンクリート製の支柱の接続部に被着されるフランジ防護カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、市街地や郊外に存在するゴルフ練習場及びバッティングセンターにあっては、その練習場の周囲にネットを張り巡らし、遊技者が練習して打ったゴルフボールや野球のボールが練習場の外に飛び出さないようにしている。特に、これらゴルフボールや野球のボールは上方へ高く飛ぶ場合が多いことから、ネットの高さもその分高くしてある。このネットは該ネットに沿って所定の間隔離して立設される支柱により支持される。支柱としてはコンクリート製のものがあり、該支柱は高さが高いため途中で継ぎ足すようにしている。
【0003】
すなわち、前記支柱には、例えば、コンクリート製の所定長さの単位支柱をそれぞれ複数本接続してなり、各単位支柱の上端外周面又は下端外周面にそれぞれフランジを周設し、両フランジに互いに連通する複数のボルト挿通孔を開設している。そして、両フランジを上下方向で重ねた状態で、連通する各ボルト挿通孔にボルトを挿通すると共に該各ボルトにナットを螺締めして両フランジを接続している。これにより各支柱が形成される(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−101325号公報(第5−8頁。図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に示すような従来のコンクリート製の支柱にあっては、接続部であるフランジの各ボルトの頭部や先端部、更にはナットが外部に露出しており、しかも、支柱にネットが纏わりついているので、ネットが風によって煽られるとネットの目が前記ボルトやナットに引っ掛かり、そこからネットが破損して穴が開き、引いてはその穴からゴルフボールや野球のボールが外へ飛び出してしまうといった課題が有った。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされたもので、支柱の接続部すなわちボルト締めされたフランジを覆うようにしてネットの接触を防ぎ該ネットが破損しないようにしたフランジ防護カバーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明のフランジ防護カバーは、下部支柱の上端外周面と上部支柱の下端外周面にそれぞれ周設されボルト締めすることにより接続されるフランジに覆設するフランジ防護カバーであって、軟弾性の素材からなる屈曲自在なシート本体から形成され、その中央部に前記シート本体を断面円弧状に湾曲させたときその中心軸線に沿うように開設される複数のスリットを設け、前記支柱の接続部の外周面に前記各スリット間の短冊状片部が前記フランジの上側面に対し直交するように前記シート本体を配置すると共に、前記フランジの外周縁に合わせて前記各短冊状片部が外側へ湾曲するようにして前記シート本体を該フランジに覆設したことを特徴とする。
【0008】
この際、前記シート本体に該シート本体を前記フランジに覆設したときその周方向に沿って並ぶように複数のバンド挿通孔を開設し、前記各バンド挿通孔に締付用バンドを挿通して締め止めするようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るフランジ防護カバーは、軟弾性の素材からなる屈曲自在なシート本体から形成され、その中央部にシート本体を断面円弧状に湾曲させたとき、その中心軸線に沿うように開設される複数のスリットを設けて構成される。そして、支柱の接続部の外周面に各スリット間の短冊状片部がフランジの上側面に対し直交するようにシート本体を配置すると共に、フランジの外周縁に合わせて各短冊状片部が外側へ湾曲するようにしてシート本体を該フランジに覆設することにより、フランジの外周縁に合わせて各短冊状片部が外側へ湾曲してボルト締めしたフランジを覆うことになる。よって、風によってネットが煽られても、該ネットが直接にボルトやナットに接触することがなくなり、ネットの破損が防止されるという効果が有る。また、各スリットの長さによって各短冊状片部が外側へ湾曲する度合いが異なるので、フランジの外径の異なる支柱にも十分に使用して対応でき、至便であるという効果も有る。
【0010】
また、前記シート本体に該シート本体をフランジに覆設したときその周方向に沿って並ぶように複数のバンド挿通孔を開設し、該各バンド挿通孔に締付用バンドを挿通して締め止めするようにすれば、フランジ防護カバーが締付用バンドによって支柱にしっかりと被着され外れることがなく、長期に亘り使用できるという効果が有る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るフランジ防護カバーの展開斜視図。
【図2】ネットを取着する前の支柱の接続部の斜視図。
【図3】支柱の接続部にフランジ防護カバーを覆設した状態の表面斜視図。
【図4】支柱の接続部にフランジ防護カバーを覆設した状態の裏面斜視図。
【図5】支柱の接続部にフランジ防護カバーを覆設した状態の側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るフランジ防護カバーの最良の実施の形態について説明する。図1は本発明に係るフランジ防護カバーの展開斜視図である。該フランジ防護カバーAは、例えばポリエチレン、塩化ビニル、ゴム、合成ゴムといった軟弾性の素材からなる方形状のシート本体1からなり、屈曲自在に形成されている。そして、その中央部に前記シート本体1を断面円弧状に湾曲させたとき、その中心軸線に沿うようにして複数本の直線状のスリット2が開設されている。よって、この場合は複数のスリット2は、方形状のシート本体1における対向する一方の両側端縁1a,1aと直交し、対向する他方の両側端縁1b,1bと平行をなす。シート本体1の外形形状は方形状に限らず、円形、楕円形、正六角形等のその他の形状であっても良い。
【0013】
前記各スリット2は平行に開設されその間隔は同じであって、しかも、長さも同じである。各スリット2間には、短冊状片部3が形成される。これら短冊状片部3が、後記するコンクリート製の支柱20の接続部に設けられるフランジ21,22を覆うことになる。各スリット2両側の終端には、それぞれ該スリット2と連通する円形状の切り裂け防止孔4,4が設けられている。これはシート本体1を屈曲させるのに伴い各スリット2の終端が更に裂かれて広がるのを防止するためである。これにより各スリット2の長さ、換言すれば短冊状片部3の長さ、が常に一定に保たれる。
【0014】
前記シート本体1の所定位置、すなわち、複数のスリット2の長手方向に沿った両外側位置と、同じく複数のスリット2の長手方向に沿った方向であってシート本体1の両側端縁1a,1aに沿って、バンド挿通孔5が複数個(4個)開設されている。これらバンド挿通孔5には後記する締付用バンド26が挿通され、フランジ防護カバーAがコンクリート製の支柱20に取付けられることになる。
【0015】
次に、ゴルフ練習場またはバッティングセンターでその周囲を囲うように張り巡らされるネットを支持する支柱について説明する。図2はネットを取着する前の支柱の接続部の斜視図であり、該支柱20は、コンクリート製であって途中で上下方向に2分割されている。そして、下部支柱20aの上端に該下部支柱20aの外径よりも大径のフランジ21が周設され、上部支柱20bの下端にも該上部支柱20bの外径よりも大径のフランジ22が周設されている。これらフランジ21,22には、互いに連通するボルト挿通孔23,23が周方向に沿って複数個開設される。下部支柱20aの上に上部支柱20bを重ね、両フランジ21,22を重ね合わせて連通するボルト挿通孔23,23にそれぞれ上からボルト24を挿通すると共に下部支柱20bのフランジ21の下面で各ボルト24にナット25を螺締する。これにより、支柱20が形成される。
【0016】
本発明は上記構成からなり、本発明のフランジ防護カバーの使用方法について説明する。図3、図5に示すように支柱20の接続部の外周面、すなわちフランジ21,22の外周面、に前記各スリット2間の各短冊状片部3がフランジ21,22の上側面に対し直交するようにしてフランジ防護カバーA(シート本体1)を配置する。そして、フランジ21,22の外周縁に合わせて各短冊状片部3を外側へ湾曲させる。この状態で、その周方向に並んだ各バンド挿通孔5に順次金属製の締付用バンド26を挿通する。詳しくは、周方向に並んだ4個のバンド挿通孔5のうち初めのバンド挿通孔5には外側から挿通し、その後順に各バンド挿通孔5に挿通する。以下同様にして、各バンド挿通孔5に締付用バンド26を挿通する。
【0017】
バンド挿通孔5に挿通した各締付用バンド26の両端部は、そのまま支柱20の外周面に沿って巻回し、その両端を強く締め止めする。ネット27は、支柱20の上端部に設けられた掛止部(図示せず。)に掛止する。図4に示すようにフランジ防護カバーAは支柱20の周面全体を覆うのではなく、ネット27が接触する側のみに取着される。これにより、フランジ21,22がフランジ防護カバーAの短冊状片部3により完全に覆われ、ネット27がフランジ21、22のボルト24及びナット25に直接に接触することがなくなる。
【0018】
このように、本発明に係るフランジ防護カバーAは、軟弾性の素材からなる屈曲自在なシート本体1から形成され、その中央部にシート本体1を断面円弧状に湾曲させたときその中心軸線に沿うように開設される複数のスリット2を設けて構成される。そして、コンクリート製の支柱20の接続部の外周面に各スリット2間の短冊状片部3がフランジ21,22の上側面に対し直交するようにしてシート本体1を配置すると共に、フランジ21,22の外周縁に合わせて各短冊状片部3が外側へ湾曲するようにシート本体1を該フランジ21,22に覆設する。よって、風によってネット27が煽られても該ネット27が直接にボルト24やナット25に接触することがなくなり、ネット27の破損が防止される。また、各スリット2の長さによって各短冊状片部3が外側へ湾曲する度合いが異なるので、フランジ21,22の外径の異なる支柱20にも十分に使用して対応でき、至便である。
【0019】
また、前記シート本体1に該シート本体1をフランジ21,22に覆設したとき、その周方向に沿って並ぶように複数のバンド挿通孔5を開設し、該各バンド挿通孔5に締付用バンド26を挿通して締め止めするようにすれば、フランジ防護カバーAが締付用バンド26によって支柱20にしっかりと覆設され外れることがなく、長期に亘り使用できる。
【符号の説明】
【0020】
1 シート本体
1a 側端縁
1b 側端縁
2 スリット
3 短冊状片部
4 切り裂け防止孔
5 バンド挿通孔
20 支柱
20a 下部支柱
20b 上部支柱
21 フランジ
22 フランジ
23 ボルト挿通孔
24 ボルト
25 ナット
26 締付用バンド
27 ネット
A フランジ防護カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部支柱の上端外周面と上部支柱の下端外周面にそれぞれ周設されボルト締めすることにより接続されるフランジに覆設するフランジ防護カバーであって、
軟弾性の素材からなる屈曲自在なシート本体から形成され、その中央部に前記シート本体を断面円弧状に湾曲させたときその中心軸線に沿うように開設される複数のスリットを設け、
前記支柱の接続部の外周面に前記各スリット間の短冊状片部が前記フランジの上側面に対し直交するように前記シート本体を配置すると共に、前記フランジの外周縁に合わせて前記各短冊状片部が外側へ湾曲するようにして前記シート本体を該フランジに覆設したことを特徴とするフランジ防護カバー。
【請求項2】
前記シート本体に該シート本体を前記フランジに覆設したときその周方向に沿って並ぶように複数のバンド挿通孔を開設し、前記各バンド挿通孔に締付用バンドを挿通して締め止めするようにした請求項1記載のフランジ防護カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−177466(P2011−177466A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47537(P2010−47537)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000243939)名伸電機株式会社 (38)