説明

フリーザ仕様コンベヤ装置

【課題】被加工物品を常温領域とフリーザ領域との間で移載することなく連続して搬送し、保守メンテナンス時に合成樹脂製コンベヤベルトのベルト張力をコンベヤフレームを改造することなく簡便に設定するとともにフリーザ領域の温度変化に伴う合成樹脂製コンベヤベルトのベルト伸縮変動を簡便に調整することが可能なフリーザ仕様コンベヤ装置を提供すること。
【解決手段】被加工物品Mを常温領域NAとフリーザ領域FAとの間で連続して搬送する合成樹脂製コンベヤベルト110と常温領域NAに配置して合成樹脂製コンベヤベルト110を循環走行させる駆動軸120と従動軸130とを備え、合成樹脂製コンベヤベルト110のベルト伸縮を調整するベルト伸縮調整手段140が従動軸130を支点として揺動自在に設けられているフリーザ仕様コンベヤ装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物を合成樹脂製コンベヤベルトを用いて搬送するコンベヤ装置に関するものであって、特に、食品、薬品、検査品などの被加工物品を常温領域とフリーザ領域との間で連続して搬送するフリーザ仕様コンベヤ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食品、薬品などの加工分野において、被加工物品からなる搬送物を合成樹脂製コンベヤベルト上に載置した状態で搬送しながら様々な加工を施すことが行われている。
【0003】
このような従来の食品、薬品などの加工分野において用いられる合成樹脂製コンベヤベルトとして、例えば、合成樹脂製リンクプレートの後方端縁に沿って配置された複数のブシュ孔と前記リンクプレートに隣接される合成樹脂製リンクプレートの前方端縁に沿って配置された複数のピン孔と、ブシュ孔とピン孔を交互に挿通する連結ピンとでヒンジ連結し、連結ピンがピン長手方向の片側寄りの位置に抜け留め用凸部を備え、前記連結ピンがピン長手方向の片側端面に鍔状ストッパーを備え、前記合成樹脂製リンクプレートの側壁に鍔状ストッパーを格納する窪み部を設けたものが採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−334834号公報(第1頁、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したような従来の合成樹脂製コンベヤベルトを食品、薬品、検査品などの被加工物品を常温領域とフリーザ領域との間で連続して搬送するフリーザ仕様コンベヤ装置に採用する場合、合成樹脂製コンベヤベルトは、組みつけ施工の際に常温下でフリーザ仕様コンベヤ装置に組みつけ施工したり、保守メンテナンスの際に常温下で取り外し取り付け作業を実施するため、実際の加工搬送時にフリーザ領域において合成樹脂製コンベヤベルトが例えばマイナス70度程度に冷却されると過度に収縮し、合成樹脂製コンベヤベルトを駆動させる駆動スプロケットや従動スプロケットの異常噛み合いや過度のベルト張力などを生じ、噛み合い騒音を発生させたり、合成樹脂製コンベヤベルト、駆動スプロケット、従動スプロケットなどに異常な磨損を発生させたりする虞れがあるという問題があった。
【0006】
特に、食品、薬品、検査品などの被加工物品に応じてフリーザ領域における冷却温度を変更しなければならない加工雰囲気下にあっては、合成樹脂製コンベヤベルトのベルト伸縮変動を調整することが困難であるため、様々な被加工物品の加工条件に適合できないという汎用上の問題があった。
また、従来のフリーザ仕様コンベヤ装置では、合成樹脂製コンベヤベルトが様々な被加工物品の加工条件に適合できないため、常温領域とフリーザ領域との間で被加工物品を相互に異なる合成樹脂製コンベヤベルトに移し替えて搬送しなければならず、搬送稼動率が悪化するという被加工物品の取り扱い上の厄介な問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、従来の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、被加工物品を常温領域とフリーザ領域との間で移載することなく連続して搬送し、保守メンテナンス時に合成樹脂製コンベヤベルトのベルト張力をコンベヤフレームを改造することなく簡便に設定するとともにフリーザ領域の温度変化に伴う合成樹脂製コンベヤベルトのベルト伸縮変動を簡便に調整することが可能なフリーザ仕様コンベヤ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る本発明は、被加工物品を常温領域とフリーザ領域との間で連続して搬送する合成樹脂製コンベヤベルトと前記常温領域に配置して合成樹脂製コンベヤベルトを循環走行させる駆動軸と従動軸とを備えたフリーザ仕様コンベヤ装置において、前記合成樹脂製コンベヤベルトのベルト伸縮変動を調整するベルト伸縮調整手段が、前記駆動軸及び従動軸の少なくとも一方を支点として揺動自在に設けられていることにより、前述したような課題を解決したものである。
【0009】
請求項2に係る本発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記ベルト伸縮調整手段が、前記駆動軸及び従動軸の少なくとも一方の両端に揺動自在に軸支した左右一対の支持アームと該左右一対の支持アームの先端に両端支持した架設状態の支持軸と該支持軸に回転自在に取り付けられて合成樹脂製コンベヤベルトの内周面を押圧負荷する少なくとも1つ以上のベルト押圧用フリーローラとで構成されていることにより、前述したような課題をさらに解決したものである。
【0010】
請求項3に係る本発明は、請求項2に係る発明の構成に加えて、前記ベルト押圧用フリーローラが、前記支持軸に抱持状態で取り付ける二分割可能なローラ部材から構成されていることにより、前述したような課題をさらに解決したものである。
【0011】
請求項4に係る本発明は、請求項2または請求項3に係る発明の構成に加えて、前記合成樹脂製コンベヤベルトの伸縮変動を可変調整する重錘が、前記左右一対の支持アームに着脱自在に取り付けられていることにより、前述したような課題をさらに解決したものである。
【0012】
請求項5に係る本発明は、請求項2または請求項3に係る発明の構成に加えて、前記合成樹脂製コンベヤベルトの伸縮変動を可変調整する重錘が、前記支持軸の軸端に着脱自在に取り付けられていることにより、前述したような課題をさらに解決したものである。
【発明の効果】
【0013】
そこで、本発明のフリーザ仕様コンベヤ装置は、被加工物品を常温領域とフリーザ領域との間で連続して搬送する合成樹脂製コンベヤベルトと前記常温領域に配置して合成樹脂製コンベヤベルトを循環走行させる駆動軸と従動軸とを備えていることにより、被加工物品を常温領域とフリーザ領域との間で移載することなく連続して搬送することができるばかりでなく、以下のような本発明に特有の効果を奏することができる。
【0014】
すなわち、請求項1に係る本発明のフリーザ仕様コンベヤ装置は、合成樹脂製コンベヤベルトのベルト伸縮を調整するベルト伸縮調整手段が設けられていることにより、合成樹脂製コンベヤベルトを駆動させる駆動軸の駆動スプロケットや従動軸の従動スプロケットなどの円滑な噛み合いと安定したベルト張力が確保されるため、従来のように被加工物品を常温領域の合成樹脂製コンベヤベルトからフリーザ領域の合成樹脂製コンベヤベルトに移し替えて搬送する必要もなく、搬送加工を常温領域とフリーザ領域との間で連続して実現できるとともに、優れた耐久性を発揮することができる。
【0015】
そして、合成樹脂製コンベヤベルトのベルト伸縮を調整するベルト伸縮調整手段が駆動軸及び従動軸の少なくとも一方を支点として揺動自在に設けられていることにより、駆動軸及び従動軸を配置した常温領域において合成樹脂製コンベヤベルトのベルト伸縮変動を調整することが可能となるため、合成樹脂製コンベヤベルトを保守メンテナンスする際に装置全体をメンテナンス作業の容易な常温に戻したり、メンテナンス作業の苛酷なフリーザ領域で実施する必要がなく、簡便に達成することができる。
【0016】
請求項2に係る本発明のフリーザ仕様コンベヤ装置によれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、ベルト伸縮調整手段が、駆動軸及び従動軸の少なくとも一方の両端に揺動自在に軸支した左右一対の支持アームとこれら左右一対の支持アームの先端に両端支持した架設状態の支持軸とこの支持軸に回転自在に取り付けられて合成樹脂製コンベヤベルトの内周面を押圧負荷する少なくとも1つ以上のベルト押圧用フリーローラとで構成されていることにより、左右一対の支持アームと支持軸とベルト押圧用フリーローラとの総重量が合成樹脂製コンベヤベルトのデッドスペースを構成する内周面に押圧負荷されるため、従来のコンベヤ装置に付設されるテイクアップ手段のような複雑な装置構成やコンベヤ幅方向の余計な設置スペースを必要とすることなく、合成樹脂製コンベヤベルトの伸縮変動をフリーザ領域の冷却温度に応じて簡便な機構により調整することができる。
【0017】
請求項3に係る本発明のフリーザ仕様コンベヤ装置によれば、請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、ベルト押圧用フリーローラが支持軸に抱持状態で取り付ける二分割可能なローラ部材から構成されていることにより、保守メンテナンス時などに少なくとも1つ以上のベルト押圧用フリーローラを支持軸に対して抜き差しせずに取り付けることが可能になるため、ベルト押圧用フリーローラの簡便な取り外しにより合成樹脂製コンベヤベルトの伸縮変動を可変自在に調整することができる。
【0018】
請求項4に係る本発明のフリーザ仕様コンベヤ装置によれば、請求項2または請求項3に係る発明が奏する効果に加えて、合成樹脂製コンベヤベルトの伸縮変動を可変調整する重錘が左右一対の支持アームに着脱自在に取り付けられていることにより、重錘の増加分だけ増大させた支持アームの回動モーメントが常温領域において合成樹脂製コンベヤベルトの内周面を押圧負荷されるため、合成樹脂製コンベヤベルトのベルト伸縮変動を調整する際の保守メンテナンスをコンベヤフレームをコンベヤ幅方向に拡幅するなどの格別の改造を要することなく簡便に達成するとともに、常温領域においてフリーザ領域の冷却温度に応じたベルト張力に簡便かつ自在に設定することができる。
【0019】
請求項5に係る本発明のフリーザ仕様コンベヤ装置によれば、請求項2または請求項3に係る発明が奏する効果に加えて、合成樹脂製コンベヤベルトの伸縮変動を可変調整する重錘が支持軸の軸端に着脱自在に取り付けられていることにより、重錘の増加分を最大限に増大させた支持アームの回動モーメントが常温領域において合成樹脂製コンベヤベルトの内周面を押圧負荷されるため、合成樹脂製コンベヤベルトのベルト伸縮変動を調整する際の保守メンテナンスをコンベヤフレームをコンベヤ幅方向に拡幅するなどの格別の改造を要することなく簡便に達成するとともに、常温領域においてフリーザ領域の冷却温度に応じたベルト張力に簡便かつ自在に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施例であるフリーザ仕様コンベヤ装置の概略図。
【図2】図1に示すベルト伸縮調整手段の拡大図。
【図3】合成樹脂製コンベヤベルトの内周側から見たベルト伸縮調整手段の構成図。
【図4】図1に示すフリーザ仕様コンベヤ装置の保守メンテナンス時の概略図。
【図5】本発明の第2実施例で用いたベルト伸縮調整手段の説明図。
【図6】本発明の第3実施例で用いたベルト伸縮調整手段の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、被加工物品を常温領域とフリーザ領域との間で連続して搬送する合成樹脂製コンベヤベルトと常温領域に配置して合成樹脂製コンベヤベルトを循環走行させる駆動軸と従動軸とを備えたフリーザ仕様コンベヤ装置において、合成樹脂製コンベヤベルトのベルト伸縮変動を調整するベルト伸縮調整手段が駆動軸及び従動軸の少なくとも一方を支点として揺動自在に設けられ、被加工物品を常温領域とフリーザ領域との間で移載することなく連続して搬送し、保守メンテナンス時に合成樹脂製コンベヤベルトのベルト張力をコンベヤフレームを改造することなく簡便に設定するとともにフリーザ領域の温度変化に伴う合成樹脂製コンベヤベルトのベルト伸縮変動を簡便に調整するものであれば、その具体的な態様は、如何なるものであっても構わない。
【0022】
すなわち、本発明のフリーザ仕様コンベヤ装置は、被加工物品を合成樹脂製コンベヤベルトを用いて搬送するものであって、特に、常温領域とフリーザ領域との間で連続して搬送する必要がある食品、薬品、検査品などの被加工物品が対象である。
【0023】
そして、本発明のフリーザ仕様コンベヤ装置に用いる合成樹脂製コンベヤベルトの具体的なベルト形態については、駆動軸に取り付けられたリターンローラと従動軸に取り付けられたリターンローラとの間に掛け回されて被加工物品を載置状態で搬送するものであれば良く、例えば、特開平11−334834号公報などにおいて公知の合成樹脂製コンベヤベルトであっても何ら差し支えない。
【0024】
また、本発明に採用するベルト伸縮調整手段の具体的な形態については、駆動軸及び従動軸の少なくとも一方のスプロケット軸を支点として揺動自在に設けられてベルト伸縮変動を調整するものであれば良く、具体的には、駆動軸及び従動軸の少なくとも一方の両端に揺動自在に軸支した左右一対の支持アームとこれら左右一対の支持アームの先端に両端支持した架設状態の支持軸とこの支持軸に回転自在に取り付けられて合成樹脂製コンベヤベルトの内周面を増減自在に押圧負荷する少なくとも1つ以上のベルト押圧用フリーローラとで構成されている形態、さらには、合成樹脂製コンベヤベルトの伸縮変動を可変調整する棒状の重錘が左右一対の支持アームに着脱自在に取り付けられている形態、合成樹脂製コンベヤベルトの伸縮変動を可変調整する円盤状の重錘が支持軸の軸端に着脱自在に取り付けられている形態、さらには、支持アームを伸縮自在としてモーメント力が調整自在になっている形態、あるいは、これらを組み合わせた如何なる形態であっても良い。
【0025】
さらに、前述したベルト押圧用フリーローラの取り付け個数あるいは取り付け位置については、合成樹脂製コンベヤベルトの伸縮変動に応じて任意に選択できることは言うまでもない。また、棒状あるいは円盤状の重錘の取り付け個数についても、合成樹脂製コンベヤベルトの伸縮変動に応じて任意に選択できることは言うまでもない。
【実施例】
【0026】
以下、本発明の実施例であるフリーザ仕様コンベヤ装置100を図1乃至図3に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の一実施例であるフリーザ仕様コンベヤ装置の概略図であり、図2は、図1に示すベルト伸縮調整手段の拡大図であり、図3は、合成樹脂製コンベヤベルトの内周側から見たベルト伸縮調整手段の構成図であり、図4は、図1に示すフリーザ仕様コンベヤ装置の保守メンテナンス時の概略図である。
そして、図5は、本発明の第2実施例で用いたベルト伸縮調整手段の説明図であり、図6は、本発明の第3実施例で用いたベルト伸縮調整手段の説明図である。
【0027】
まず、本発明の第1実施例であるフリーザ仕様コンベヤ装置100は、図1乃至図3に示すように、冷凍食品製造分野で用いるコンベヤ装置であって、冷凍食品となる被加工物品Mを搭載した状態で常温領域NAとフリーザ領域FAとの間で垂直曲がり面内を連続的に循環して搬送する合成樹脂製コンベヤベルト110と前記常温領域NAに配置して合成樹脂製コンベヤベルト110を循環走行させる駆動リターンローラ121を設けた駆動軸120と従動リターンローラ131を設けた従動軸130とを備えている。
【0028】
そして、図2乃至図3に示すように、前述した合成樹脂製コンベヤベルト110のベルト伸縮を調整するベルト伸縮調整手段140が、コンベヤ搬出側の常温領域NAに配置されて7個の従動側リターンローラ131を取り付けた従動軸130を支点として揺動自在に一体に設けられている。
これにより、駆動軸120に取り付けられて駆動源から動力伝達される駆動スプロケット(図示せず)や従動軸130に取り付けられた従動スプロケット(図示せず)の円滑な噛み合いと駆動軸120に取り付けられた駆動側リターンローラ121と従動軸130に取り付けられた従動側リターンローラ131との間で安定したベルト張力を確保するとともに、従動軸130を配置した常温領域NAで合成樹脂製コンベヤベルト110のベルト伸縮変動を調整している。
なお、図1に示す符号150は、合成樹脂製コンベヤベルト110を円滑に走行案内させるアイドラーホィールである。
【0029】
そこで、本実施例のフリーザ仕様コンベヤ装置100が最も特徴とするベルト伸縮調整手段140の具体的な構成について、図2乃至図3に基づいて以下に詳しく説明する。
【0030】
すなわち、前述したベルト伸縮調整手段140は、従動軸130の両端に揺動自在に軸支した左右一対の支持アーム141とこれら左右一対の支持アーム141の先端に両端支持した架設状態の支持軸142とこの支持軸142に回転自在に嵌挿されて合成樹脂製コンベヤベルト110の内周面を押圧負荷する7個のベルト押圧用フリーローラ143とで構成されている。
なお、図3に示すように、7個の従動側リターンローラ131および7個のベルト押圧用フリーローラ143のうち、合成樹脂製コンベヤベルト110の両端部に位置するものは、合成樹脂製コンベヤベルト110の蛇行を規制防止するために、それぞれフランジ付きリターンローラあるいはフランジ付きフリーローラとなっている。
これにより、左右一対の支持アーム141と支持軸142と7個のベルト押圧用フリーローラ143との総重量で合成樹脂製コンベヤベルト110の内周面を外周側に向けて押圧負荷している。
【0031】
また、図示しないが、前述したベルト押圧用フリーローラ143を支持軸142に抱持状態で取り付ける二分割可能なローラ部材により構成した場合には、保守メンテナンス時などにベルト押圧用フリーローラ143を支持軸142に対して抜き差しせずに取り付けることが可能になるようにしても構わない。
この場合には、ベルト押圧用フリーローラ143の簡便な取り外しにより合成樹脂製コンベヤベルト110の伸縮変動を可変自在に調整することができる。
【0032】
このようにして得られた本実施例のフリーザ仕様コンベヤ装置100は、被加工物品Mを常温領域NAとフリーザ領域FAとの間で連続して搬送する合成樹脂製コンベヤベルト110と前記常温領域NAに配置した駆動軸120と従動軸130とを備えるとともに、合成樹脂製コンベヤベルト110のベルト伸縮を調整するベルト伸縮調整手段140を従動軸130のスプロケット軸131を支点として揺動自在に一体に設けていることにより、従来のように被加工物品を常温領域の合成樹脂製コンベヤベルトからフリーザ領域の合成樹脂製コンベヤベルトに移し替えて搬送する必要もなく、搬送加工を常温領域NAとフリーザ領域FAとの間で連続搬送しながら実現して優れた耐久性を発揮することができる。
【0033】
また、このようなベルト伸縮調整手段140によれば、図4に示すような合成樹脂製コンベヤベルト110を保守メンテナンスする際に装置全体をメンテナンス作業の容易な常温に戻したり、フリーザ温度に復帰させたりするフリーザ領域FAの温度変化に伴う合成樹脂製コンベヤベルト110のベルト伸縮変動を簡便に調整することができ、しかも、メンテナンス作業をフリーザ温度に維持した状態のフリーザ領域FAで実施する必要がなく、簡便に達成することができる。
【0034】
そして、ベルト伸縮調整手段140が、従動軸130のスプロケット軸131の両端に揺動自在に軸支した左右一対の支持アーム141とこれら左右一対の支持アーム141の先端に両端支持した架設状態の支持軸142とこの支持軸142に回転自在に嵌挿されて合成樹脂製コンベヤベルト110の内周面を外周側に向けて押圧負荷する7個のベルト押圧用フリーローラ143とで構成されていることにより、従来のコンベヤ装置に付設されるテイクアップ手段のような複雑な装置構成や設置スペースを必要とすることなく、合成樹脂製コンベヤベルト110の伸縮変動をフリーザ領域FAの冷却温度に応じて簡便な装置機構により調整することができるなど、その効果は甚大である。
【0035】
つぎに、本発明の第2実施例であるフリーザ仕様コンベヤ装置200について、図5に基づいて説明する。
ここで、本発明の第2実施例であるフリーザ仕様コンベヤ装置200におけるベルト伸縮調整手段240の具体的な構成を除く基本的な装置構成については、前述した第1実施例のフリーザ仕様コンベヤ装置100と全く同じであるため、第1実施例のフリーザ仕様コンベヤ装置100に関する明細書、および、図1乃至図4に示す100番台の符号を200番台の符号に読み替えることによって、ベルト伸縮調整手段240の具体的な構成を除く基本的な装置構成については、その説明を省略する。
【0036】
そこで、本実施例のフリーザ仕様コンベヤ装置200が最も特徴とするベルト伸縮調整手段240の具体的な構成について図5により詳しく説明する。
【0037】
すなわち、第2実施例のフリーザ仕様コンベヤ装置200におけるベルト伸縮調整手段240は、従動軸230の両端に揺動自在に軸支した左右一対の支持アーム241とこれら左右一対の支持アーム241の先端に両端支持した架設状態の支持軸242とこの支持軸242に回転自在に嵌挿されて合成樹脂製コンベヤベルト210の内周面を押圧負荷する7個のベルト押圧用フリーローラ243と前述した左右一対の支持アーム241に着脱自在に取り付けて合成樹脂製コンベヤベルト210の伸縮変動を可変調整する棒状の重錘244とで構成されている。
これにより、左右一対の支持アーム241と支持軸242とベルト押圧用フリーローラ243と重錘244との総重量で合成樹脂製コンベヤベルト210の内周面を外周側に向けて調整自在に押圧負荷している。
【0038】
このようにして得られた第2実施例のフリーザ仕様コンベヤ装置200は、前述した第1実施例のフリーザ仕様コンベヤ装置100が奏する搬送加工を常温領域NAとフリーザ領域FAとの間で連続搬送しながら実現して優れた耐久性を発揮し、合成樹脂製コンベヤベルト210を保守メンテナンスする際に装置全体をメンテナンス作業の容易な常温に戻したり、メンテナンス作業の苛酷なフリーザ領域FAで実施する必要がなく、簡便に達成するという効果に加えて、ベルト伸縮調整手段240が左右一対の支持アーム241と支持軸242と7個のベルト押圧用フリーローラ243と重錘244とで構成されていることにより、重錘244の増加分だけ増大させた支持アーム241の回動モーメントが常温領域NAにおいて合成樹脂製コンベヤベルト210の内周面を外周側に向けて押圧負荷されるため、合成樹脂製コンベヤベルト210のベルト伸縮変動を調整する際の保守メンテナンスをコンベヤフレームをコンベヤ幅方向に拡幅するなどの格別の改造を要することなく簡便に達成するとともに、常温領域NAにおいてフリーザ領域FAの冷却温度に応じたベルト張力に簡便かつ自在に設定することができるなど、その効果は甚大である。
【0039】
つぎに、本発明の第3実施例であるフリーザ仕様コンベヤ装置300について、図6に基づいて説明する。
ここで、本発明の第3実施例であるフリーザ仕様コンベヤ装置300におけるベルト伸縮調整手段340の具体的な構成を除く基本的な装置構成については、前述した第1実施例のフリーザ仕様コンベヤ装置100と全く同じであるため、第1実施例のフリーザ仕様コンベヤ装置100に関する明細書、および、図1乃至図4に示す100番台の符号を300番台の符号に読み替えることによって、ベルト伸縮調整手段340の具体的な構成を除く基本的な装置構成については、その説明を省略する。
【0040】
そこで、本実施例のフリーザ仕様コンベヤ装置300が最も特徴とするベルト伸縮調整手段340の具体的な構成について図6により詳しく説明する。
【0041】
すなわち、第3実施例のフリーザ仕様コンベヤ装置300におけるベルト伸縮調整手段340は、従動軸330の両端に揺動自在に軸支した左右一対の支持アーム341とこれら左右一対の支持アーム341の先端に両端支持した架設状態の支持軸342とこの支持軸342に回転自在に嵌挿されて合成樹脂製コンベヤベルト310の内周面を押圧負荷する7個のベルト押圧用フリーローラ343と前述した支持軸342の軸端に着脱自在に取り付けて合成樹脂製コンベヤベルト310の伸縮変動を可変調整する円盤状の重錘344とで構成されている。
これにより、左右一対の支持アーム241と支持軸342と7個のベルト押圧用フリーローラ343と重錘344との総重量で合成樹脂製コンベヤベルト310の内周面を外周側に向けて調整自在に押圧負荷している。
【0042】
このようにして得られた第3実施例のフリーザ仕様コンベヤ装置300は、前述した第1実施例のフリーザ仕様コンベヤ装置100が奏する搬送加工を常温領域NAとフリーザ領域FAとの間で連続搬送しながら実現して優れた耐久性を発揮し、合成樹脂製コンベヤベルト310を保守メンテナンスする際に装置全体をメンテナンス作業の容易な常温に戻したり、メンテナンス作業の苛酷なフリーザ領域FAで実施する必要がなく、簡便に達成するという効果に加えて、ベルト伸縮調整手段340が左右一対の支持アーム341と支持軸342と7個のベルト押圧用フリーローラ343と円盤状の重錘344とで構成されていることにより、重錘344の増加分だけ増大させた支持アーム341の回動モーメントが常温領域NAにおいて合成樹脂製コンベヤベルト310の内周面を外周側に向けて押圧負荷されるため、合成樹脂製コンベヤベルト310のベルト伸縮変動を調整する際の保守メンテナンスをコンベヤフレームをコンベヤ幅方向に拡幅するなどの格別の改造を要することなく簡便に達成するとともに、常温領域NAにおいてフリーザ領域FAの冷却温度に応じたベルト張力に簡便かつ自在に設定することができるなど、その効果は甚大である。
【符号の説明】
【0043】
100,200,300 ・・・ フリーザ仕様コンベヤ装置
110,210,310 ・・・ 合成樹脂製コンベヤベルト
120,220,320 ・・・ 駆動軸
121,221,321 ・・・ 駆動リターンローラ
130,230,330 ・・・ 従動軸
131,231,331 ・・・ 従動リターンローラ
140,240,340 ・・・ ベルト伸縮調整手段
141,241,341 ・・・ 支持アーム
142,242,342 ・・・ 支持軸
143,243,343 ・・・ ベルト押圧用フリーローラ
244,344 ・・・ 重錘
150,250,350 ・・・ アイドラローラ
M ・・・ 被加工物品
NA ・・・ 常温領域
FA ・・・ フリーザ領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物品を常温領域とフリーザ領域との間で連続して搬送する合成樹脂製コンベヤベルトと前記常温領域に配置して合成樹脂製コンベヤベルトを循環走行させる駆動軸と従動軸とを備えたフリーザ仕様コンベヤ装置において、
前記合成樹脂製コンベヤベルトのベルト伸縮変動を調整するベルト伸縮調整手段が、前記駆動軸及び従動軸の少なくとも一方を支点として揺動自在に設けられていることを特徴とするフリーザ仕様コンベヤ装置。
【請求項2】
前記ベルト伸縮調整手段が、前記駆動軸及び従動軸の少なくとも一方の両端に揺動自在に軸支した左右一対の支持アームと該左右一対の支持アームの先端に両端支持した架設状態の支持軸と該支持軸に回転自在に取り付けられて合成樹脂製コンベヤベルトの内周面を押圧負荷する少なくとも1つ以上のベルト押圧用フリーローラとで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のフリーザ仕様コンベヤ装置。
【請求項3】
前記ベルト押圧用フリーローラが、前記支持軸に抱持状態で取り付ける二分割可能なローラ部材から構成されていることを特徴とする請求項2に記載のフリーザ仕様コンベヤ装置。
【請求項4】
前記合成樹脂製コンベヤベルトの伸縮変動を可変調整する重錘が、前記左右一対の支持アームに着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のフリーザ仕様コンベヤ装置。
【請求項5】
前記合成樹脂製コンベヤベルトの伸縮変動を可変調整する重錘が、前記支持軸の軸端に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のフリーザ仕様コンベヤ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−111281(P2011−111281A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269016(P2009−269016)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】