説明

フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物および該組成物を含む表面処理剤並びに該表面処理剤で表面処理された物品

【課題】フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物に関し、詳細には、基材への密着性に優れ、撥水撥油性、低動摩擦性、離型性、耐擦傷性、汚れの拭き取り性に優れた被膜を形成するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物、およびそれを含む表面処理剤を提供する。
【解決手段】平均組成式(1)で示されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物。


式中Rfは−C2dO−(dは1〜6の整数であり、繰り返し単位ごとに異なっていてよい)の繰り返し単位5〜100個を含む2価の直鎖型フルオロオキシアルキレン基、A及びBは、互いに独立に、Rf2基または下記式(2)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物に関し、詳細には、基材への密着性に優れ、撥水撥油性、低動摩擦性、離型性、耐擦傷性、汚れの拭き取り性に優れた被膜を形成するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物、およびそれを含む表面処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パーフルオロオキシアルキレン基含有化合物は、その表面自由エネルギーが非常に小さいために、撥水撥油性、耐薬品性、潤滑性、離型性、防汚性などを有する。その性質を利用して、工業的には紙・繊維などの撥水撥油防汚剤、磁気記録媒体の滑剤、精密機器の防油剤、離型剤、化粧料、保護膜など、幅広く利用されている。
【0003】
しかし、その性質は同時に他の基材に対する非粘着性、非密着性であることを意味しており、基材表面に塗布することはできても、その被膜を密着させることは困難であった。
【0004】
一方、ガラスや布などの基材表面と有機化合物とを結合させる剤としては、シランカップリング剤が良く知られている。シランカップリング剤は、1分子中に有機官能基と反応性シリル基(一般にはアルコキシシリル基)を有する。アルコキシシリル基は、空気中の水分などによって自己縮合反応を起こしてシロキサンとなり被膜を形成する。それと同時に、アルコキシシリル基がガラスや金属などの表面と化学的・物理的に結合することによって、耐久性を有する強固な被膜となる。シランカップリング剤はこの性質を利用して各種基材表面のコーティング剤として幅広く利用されており、パーフルオロオキシアルキレン基の特徴を基材表面に付与するためにシランカップリング剤を応用した化合物が開示されている。
【0005】
例えば、特開昭58−167597(特許文献1)では、下記式で示されるフルオロアミノシラン化合物をガラスに塗布することで、高い撥水撥油性を実現している。
【化1】

(式中、R、Rは炭素数1〜4のアルキル基、RはCHCHCH又はCHCHNHCHCHCH、hは0〜8の整数、iは2又は3である)
しかし、この化合物はパーフルオロオキシアルキレン鎖が短く、パーフルオロオキシアルキレン基の持つ特徴、特に、潤滑性、離型性、防汚性を十分に出すことができなかった。
【0006】
長いパーフルオロオキシアルキレン鎖を有するものとしては下記式で示される構造のパーフルオロポリエーテル変性アミノシランが開示されている(特許文献2)。
【化2】

(式中、Xは加水分解性基、Rは一価炭化水素基、Rは水素原子又は一価炭化水素基、RはNH基を介在してもよいアルキレン基を示す。jは14〜49の整数、kは2又は3である。)
上記パーフルオロポリエーテル変性アミノシランは末端がフッ素含有基であるため撥水撥油角は高いが、主鎖に分岐構造を有するため汚れ拭取り性や潤滑性を満足するものではなかった。
【0007】
最近では、外観や視認性をよくするためにディスプレイの表面に指紋を付きにくくする技術や、汚れを落とし易くする技術の要求が年々高まってきており、これらの要求に応えることのできる材料の開発が望まれている。
【0008】
主鎖に分岐を有さないパーフルオロオキシアルキレン鎖を用いた処理剤として、下記式で示される構造のパーフルオロポリエーテル変性シランが開示されている(特許文献3)。
【化3】

(式中、Rfは二価の直鎖型パーフルオロポリエーテル基、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基、Xは加水分解性基、lは0〜2、mは1〜5の整数、aは2又は3である。)
該パーフルオロポリエーテル変性シランで処理したレンズや反射防止膜は、油汚れが付き難く、拭取り易く、分岐を有するパーフルオロポリエーテル変性シランよりも滑り性、離型性に優れていた。また、両末端が基材に固定されることから、耐摩耗性が従来のパーフルオロポリエーテル変性シランより優れていた。しかし、両末端が基材に固定されるため、直鎖型パーフルオロポリエーテル本来の潤滑性を十分に引き出すことができず、改良の余地が残されていた。また、硬化後の未反応末端は、撥水撥油性、離型性、潤滑性を悪くしており、これら、非フッ素基末端を減らすことで、性能を向上させるという課題が残されていた。
【0009】
潤滑性を向上させた処理剤としては、下記式で示される構造のパーフルオロポリエーテル変性シランが開示されている(特許文献4)。
[化4]
(ZQ)βRf(QZα2−β
(式中、Rfは2価のパーフロロエーテル残基を含む基、Qは2価の有機基、Z及びZはオルガノポリシロキサン残基、Aは末端反応性シリル基を有する一価の基を示す。αは1〜8の整数、βは0より大きく2未満の数である。)
しかし、この化合物は末端にフッ素含有基を有さないため撥水撥油性、低動摩擦性、離型性に劣っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭58−167597号公報
【特許文献2】特開2000−143991号公報
【特許文献3】特開2003−238577号公報
【特許文献4】特開2007−297589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
汚れの拭取りやすさは、汚れの離型性が同等の場合、被膜表面の滑り性に依存する。基材への密着性が同等である2つの被膜がある場合、表面の滑り性が良い被膜の方が、そうでない物に比べて耐摩耗性や耐擦傷性に優れる。そこで、優れた撥水撥油性、低動摩擦性、低離型性を同時に満たす表面を実現できる表面処理剤の開発が待たれていた。これが実現できれば、優れた撥水撥油性、低動摩擦性、低離型性の表面を長期間保持できることになる。
【0012】
そこで、本発明は、フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物に関し、詳細には、基材への密着性に優れ、撥水撥油性、低動摩擦性、離型性、耐擦傷性、汚れの拭き取り性に優れた被膜を形成するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物、およびそれを含む表面処理剤に関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、末端にフッ素基を有する片末端加水分解性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーと、両末端加水分解性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの混合物より成る組成物が、撥水撥油性、低動摩擦性、離型性、耐擦傷性、汚れの拭き取り性に優れた被膜を形成することを見出した。
【0014】
即ち、本発明は、下記平均組成式(1)で示されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物

(式中Rfは−C2dO−(dは1〜6の整数であり、繰り返し単位ごとに異なっていてよい)の繰り返し単位5〜100個を含む2価の直鎖型フルオロオキシアルキレン基、A及びBは、互いに独立に、Rf2基または下記式(2)
【化5】

で示される基から選ばれる基であり、Rf2はF、H、末端が−CF基または−CFH基である1価のフッ素含有基であり、Qは2価の有機基であり、Zはシロキサン結合を有する2〜7価のオルガノポリシロキサン残基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基であり、Xは加水分解性基であり、aは2又は3、bは1〜6、cは1〜5の整数であり、βは0または1の整数)であり、全末端基の合計モル数に対する末端Rf2基のモル数の割合が30モル%以上75モル%以下である、片末端に加水分解性基を有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーおよび両末端に加水分解性基を有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーを含むフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物および、該組成物を含む表面処理剤並びに該表面処理剤で表面処理された物品を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物を硬化して得られる被膜は、加水分解性シリル基を介して基材に強固に密着する。本発明のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物は加水分解性基を片末端に有するもの(以下「片末端形ポリマー」と呼ぶ)と、両末端に有するもの(以下「両末端形ポリマー」と呼ぶ)の混合物である。片末端形ポリマーの立体的な自由度は、両末端形ポリマーより大きく、表面滑り性に寄与している。片末端形ポリマーは単独でも優れた密着性を示すが、両末端形ポリマーと混合させることにより、膜全体として基材へのより強固な密着性を示すものと考えられる。さらに、本発明の組成物は末端がフッ素化されているフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーを含むため、フッ素基が被膜表面に配向し易く撥水撥油性、離型性等により優れた被膜を提供することができる。
【0016】
本発明のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物は、基材への密着性に優れ、撥水撥油性、低動摩擦性、離型性、耐擦傷性、汚れの拭き取り性に優れた被膜を与えることができ、種々のコーティング用途に長期に渡って有効に使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は化合物1のNMRである。
【図2】図2は化合物2のNMRである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上記式(1)において、Rfは2価のフルオロオキシアルキレン基であり、低動摩擦性の観点から直鎖状である。該フルオロオキシアルキレン基としては、−C2dO−(dは1〜6の整数)の繰り返し単位を5〜100個、好ましくは10〜80個、より好ましくは15〜60個を含むものが望ましい。なお、dは繰り返し単位毎に異なっていてよく、好ましくは1〜4である。
【0019】
上記式で示される繰り返し単位−C2dO−としては、例えば下記の単位等が挙げられる。なお、Rf1は、繰り返し単位の1種類であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
【化6】

【0020】
上記繰り返し単位を含むRfとして、下記一般式(3)、(4)で示される基から選ばれるものが好ましい。
[化7]
−C2e(CFCFCFO)2e− (3)
(式中、pは5〜100の整数、eは1〜3の整数である。)
【0021】
[化8]
−C2e(OC(OCFOCF− (4)
(式中、f=0〜80、g=0〜80、f+gは5〜100の整数、eは1〜3の整数である。繰り返し単位はランダムに結合されていてよい。f+gは、好ましくは10〜80、より好ましくは15〜60である。f+gが上記上限より大きいと密着性や硬化性が悪くなる可能性があり、上記下限より小さいとフルオロオキシアルキレン基の特徴を十分に発揮することができない。)
【0022】
中でも、下記式(5)で示されるものが低動摩擦性の観点から好ましい。
[化9]
−CF(OC(OCFOCF− (5)
(式中、f=0〜80、g=1〜80及びf+g=5〜100の整数で、繰り返し単位はランダムに結合されていてよい。)
【0023】
式(1)において、A及びBは、互いに独立に、Rf2基または下記式(2)
【化10】

で示される基から選ばれる基であり、Rfは、F、Hまたは末端が−CF基または−CFH基である1価のフッ素含有基であり、好ましくは、パーフルオロ基である。
【0024】
式(2)において、Xは互いに異なっていてよい加水分解性基である。このようなXとしては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜10のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基などの炭素数2〜10のオキシアルコキシ基、アセトキシ基などの炭素数1〜10のアシロキシ基、イソプロペノキシ基などの炭素数2〜10のアルケニルオキシ基、クロル基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基などが挙げられる。中でもメトキシ基、エトキシ基、イソプロペノキシ基、クロル基が好適である。
【0025】
Rは、炭素数1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、及びエチル基、又はフェニル基などであり、中でもメチル基が好適である。aは2又は3であり、反応性、基材に対する密着性の観点から、3が好ましい。bは1〜6、好ましくは1〜3の整数、cは1〜5、好ましくは1〜3の整数である。
【0026】
式(2)において、QはRf基とZ基との連結基、または、Rf基と−(CH−基との連結基であり、好ましくは、アミド結合、エーテル結合、エステル結合、又はビニル結合から成る群より選ばれる1以上の結合を含んでよい、炭素数2〜12の炭化水素基であり、例えば下記の基が挙げられる。
【0027】
【化11】

【0028】
式(2)おいて、Zはシロキサン結合を有する2〜7価のオルガノポリシロキサン残基であり、ケイ素原子数2〜13個、好ましくは、ケイ素原子2〜5個の鎖状または環状オルガノポリシロキサン残基である。但し、2つのケイ素原子がアルキレン基で結合されたシルアルキレン構造、即ちSi−(CH−Si、を含んでよい。本発明のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物は、分子中にシロキサン結合を有することにより耐摩耗性、耐擦傷性に優れたコーティングを与えることができる。
【0029】
該オルガノポリシロキサン残基は、炭素数1〜8、より好ましくは1〜4のアルキル基又はフェニル基を有するものが良い。また、シルアルキレン結合におけるアルキレン基は、炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレン基であるのが良い。このようなZとしては、下記に示されるものが挙げられる。
【0030】
【化12】

【0031】
【化13】

【0032】
【化14】

【0033】
【化15】

【0034】
【化16】

【0035】
末端に−CF基を有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物は、以下の方法で調製することができる。
【0036】
先ず、両末端カルボン酸のパーフルオロオキシ化合物の末端を部分フッ素化することにより下記に示すポリマーの混合物を得る。末端−CF基の導入率は、供給するフッ素ガスの量を調整しフッ素化を制御することによって任意に調整できる。カルボン酸を有するポリマーは酸吸着材に吸着させることで分種することができ、19F−NMR及びH−NMRにより片末端形ポリマーと両末端形ポリマーの混合比率を決定することができる。
【化17】

上記式において、Rfは2価のフルオロオキシアルキレン基である。特に−C2dO−の繰り返し単位を5〜100個、好ましくは10〜80個、より好ましくは15〜60個を含むものが望ましい。dは繰り返し単位毎に異なっていてよく、1〜6の整数、好ましくは1〜4の整数である。
【0037】
該ポリマー組成物中の末端カルボン酸基に、アミド結合、エーテル結合、エステル結合、又はビニル結合を介して、非置換又は置換の炭素数3〜17の炭化水素基からなり末端に脂肪族不飽和基を含有する基を導入する。導入方法は公知の方法に従えばよい。例えば、−CHOCHCH−基によってRf基と−(CH−基(c=1)が連結基されているフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーは以下の方法により製造することができる。まず、前記ポリマー組成物中に残存しているカルボン酸末端を水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等を用いた還元、あるいは接触水素化することにより、下記に示すポリマーの混合物を得ることができる。下記式において、Rfは上述の通り。
【化18】

【0038】
その後、公知の方法によりパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの末端ヒドロキシル基に末端不飽和基を有する化合物を導入する。該方法として、例えば、臭化アリルを硫酸水素テトラブチルアンモニウムの存在下で反応させた後、水酸化ナトリウム溶液等を滴下してアルカリ性にすることで、下記に示すポリマーの混合物を得ることができる。下記式において、Rfは上述の通り。
【0039】
【化19】

【0040】
次に、末端不飽和基含有ポリマーの末端に加水分解性シリル基を導入する。上記工程で得られた末端不飽和基含有ポリマー組成物と、一方の末端にSiH結合を有し他方の末端に加水分解性基を有する有機ケイ素化合物を付加反応させることにより行う。加水分解性基としてはXのために上述したものが挙げられる。該有機ケイ素化合物としては、末端アルコキシ基含有オルガノハイドロジェンシラン等が挙げられる。例えば、上記末端不飽和基含有ポリマー組成物にトリメトキシシラン(HSi(OCH)を付加反応させた場合には、下記に示す組成物が製造される(式中、Rfは上述の通り)。付加反応は公知の反応条件で行えばよく、付加反応触媒、例えば白金族化合物の存在下で行えばよい。
【0041】
【化20】

【0042】
また、当該工程は不飽和基含有ポリマー組成物とSiH結合を多数有する有機ケイ素化合物、例えば2〜8個のSiH基を有する有機ケイ素化合物を反応させて行ってもよい。該反応によって得られるポリマーは分子中に残存するSiH基を多数有するため、該残存SiH基に不飽和基及び加水分解性基を有する有機ケイ素化合物、例えばビニルトリメトキシシラン等をさらに反応させることにより、末端の加水分解性基の数を増やすことができる。
【0043】
また、上記不飽和基含有ポリマー組成物を、末端にSiH結合を有するアルコキシシラン化合物、例えばテトラメチルジシロキサン(HM)とビニルトリメトキシシラン(VMS)の1:1付加反応物と反応させることにより下記に示すポリマーの混合物を得ることができる。該付加反応は公知の反応条件で行えばよく、付加反応触媒、例えば白金化合物の存在下で付加反応させるのがよい。下記式において、Rfは上述の通り。
【0044】
【化21】

【0045】
また、末端に−CFH基を有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物は以下の方法で調製することができる。先ず、両末端カルボン酸のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの末端カルボキシル基を、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等を用いた還元反応や貴金属触媒を用いた接触水素化反応によりヒドロキシル基にし、下記に示すポリマーの混合物を得る。水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等の量を調整することにより末端ヒドロキシル基の導入率を目的のものとすることができる。下記式において、Rfは上述の通り。
【0046】
【化22】

【0047】
上記ポリマー混合物のヒドロキシル基に臭化アリルを硫酸水素テトラブチルアンモニウムの存在下で反応させた後アルカリ性にすることにより、末端ヒドロキシル基はアリルエーテル基に、−CFCOOH基は−CFH基となり下記に示すポリマーの混合物を得ることができる。下記式において、Rfは上述の通り。
【化23】

【0048】
上記フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーを、テトラメチルジシロキサン(HM)とビニルトリメトキシシラン(VMS)の1:1(モル比)付加反応物と白金化合物の存在下で付加反応させることで、下記に示すポリマーの混合物を得ることができる。該付加反応は公知の反応条件で行えばよく、付加反応触媒、例えば白金化合物の存在下で付加反応させるのがよい。下記式において、Rfは上述の通り。
【0049】
【化24】

【0050】
本発明のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物は、全末端基の合計モル数に対する末端Rf基のモル数の割合が30モル%以上75モル%以下、好ましくは40モル%以上70モル%以下であるものがよい。前記上限値超では、基材と反応できる加水分解性基の数が少なく密着性が悪くなり、前記下限値未満では、両末端形ポリマーの特性が支配的となり優れた低動摩擦性、低剥離性、高撥水撥油性が得られなくなる。
【0051】
本発明のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物は、片末端形ポリマー40〜90モル%、好ましくは55〜85モル%、及び両末端形ポリマー10〜60モル%、より好ましくは15〜45モル%の比率で成るフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物であるものがよい。片末端形ポリマーが多すぎると基材と反応できる加水分解性基の数が少なく、密着性が悪くなる。両末端形ポリマーが多すぎると両末端形ポリマーの特性が支配的となり、優れた低動摩擦性、低剥離性、高撥水撥油性が得られなくなるため好ましくない。
【0052】
また、本発明のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物は両末端が無官能であるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーを含んでいてもよい。無官能性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーは、片末端形ポリマーと両末端形ポリマーの合計に対して13〜125モル%、好ましくは18〜95モル%の比率で含まれることが望ましい。
【0053】
本発明は、上記フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物を主成分とする表面処理剤を提供する。該表面処理剤は、該フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物の末端加水分解性基を予め公知の方法により部分的に加水分解し、縮合させて得られる部分加水分解縮合物を含んでいてもよい。
【0054】
表面処理剤には、必要に応じて、加水分解縮合触媒、例えば、有機錫化合物(ジブチル錫ジメトキシド、ジラウリン酸ジブチル錫など)、有機チタン化合物(テトラn−ブチルチタネートなど)、有機酸(酢酸、メタンスルホン酸、フッ素変性カルボン酸など)、無機酸(塩酸、硫酸など)を添加してもよい。これらの中では、特に酢酸、テトラn−ブチルチタネート、ジラウリン酸ジブチル錫、フッ素変性カルボン酸などが望ましい。添加量は触媒量であり、通常、フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー及び/又はその部分加水分解縮合物100重量部に対して0.01〜5重量部、特に0.1〜1重量部である。
【0055】
該表面処理剤は、適当な溶剤を含んでよい。このような溶媒としては、フッ素変性脂肪族炭化水素系溶剤(パーフルオロヘプタン、パーフルオロクタンなど)、フッ素変性芳香族炭化水素系溶剤(m−キシレンヘキサフルオライド、ベンゾトリフルオライド、1,3トリフルオロメチルベンゼンなど)、フッ素変性エーテル系溶剤(メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)など)、フッ素変性アルキルアミン系溶剤(パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリペンチルアミンなど)、炭化水素系溶剤(石油ベンジン、ミネラルスピリッツ、トルエン、キシレンなど)、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)を例示することができる。これらの中では、溶解性、濡れ性などの点で、フッ素変性された溶剤が望ましく、特には、m−キシレンヘキサフルオライド、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、パーフルオロトリブチルアミン、エチルパーフルオロブチルエーテルが好ましい。
【0056】
上記溶媒はその2種以上を混合してもよく、フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー及びその部分加水分解縮合物を均一に溶解させることが好ましい。なお、溶媒に溶解させるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物の最適濃度は、処理方法により異なるが0.01〜10重量%、特に0.05〜5重量%であることが好ましい。
【0057】
表面処理剤は、刷毛塗り、ディッピング、スプレー、蒸着処理など公知の方法で基材に施与することができる。また、硬化温度は、硬化方法によって異なるが、例えば刷毛塗りやディッピングで施与した場合は、室温から80℃の範囲が望ましい。硬化湿度としては、加湿下で行うことが反応を促進する上で望ましい。また、硬化皮膜の膜厚は、基材の種類により適宜選定されるが、通常0.1nm〜100nm、特に1〜20nmである。
【0058】
上記表面処理剤で処理される基材は、特に制限されず、紙、布、金属及びその酸化物、ガラス、プラスチック、セラミック、石英など各種材質のものであってよく、これらに撥水撥油性、離型性、低動摩擦性、防汚性を付与することができる。
【0059】
本発明の表面処理剤で処理される物品及び処理としては、カーナビゲーション、携帯電話、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、PDA、ポータブルオーディオプレーヤー、カーオーディオ、ゲーム機器、眼鏡レンズ、カメラレンズ、レンズフィルター、サングラス、胃カメラ等の医療用器機、複写機、PC、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネルディスプレイ、保護フイルム、反射防止フイルム、など光学物品の指紋、皮脂付着防止コーティング;浴槽、洗面台のようなサニタリー製品の撥水、防汚コーティング;自動車、電車、航空機などの窓ガラス、ヘッドランプカバー等の防汚コーティング;外壁用建材の撥水、防汚コーティング;台所用建材の油汚れ防止用コーティング;電話ボックスの撥水、防汚及び貼り紙、落書き防止コーティング;美術品などの撥水性、指紋付着防止付与のコーティング;コンパクトディスク、DVDなどの指紋付着防止コーティング;ナノインプリント用金型等の離型剤;その他、塗料添加剤、樹脂改質剤、無機質充填剤の流動性、分散性を改質、テープ、フィルムなどの潤滑性の向上等が挙げられる。
【実施例】
【0060】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0061】
下記(6a)、(6b)及び(6c)より成る混合物は、両末端カルボン酸のパーフルオロオキシ化合物(ソルベイソレクシス社製 C4000)を、フッ素ガスを用いて部分フッ素化して調製したものを用いた。混合物中の各化合物の割合は、カルボン酸を有するポリマーを酸吸着剤に吸着させることで分取し、19F−NMRにより決定した。
【化25】

【0062】
[実施例1]
反応容器に、上記式で示される(6a)52モル%、(6b)24モル%及び(6c)24モル%より成る混合物(混合物中の全末端基の合計モル数に対する末端−CF基の割合は50モル%)50g、1,3トリフロロメチルベンゼン40g及びテトラヒドロフラン10gの混合溶媒を入れて溶解し、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムの40%トルエン溶液30gを滴下した。室温で3時間撹拌後、適量の塩酸を加え、十分に攪拌し水洗した。さらに、下層を取り出し、溶剤を留去したところ、液状の生成物40gを得た。19F−NMRにより、得られた生成物の混合物中の全末端基の合計モル数に対する末端−CF基の割合は50モル%であり、下記(7a)、(7b)及び(7c)より成る混合物であることを確認した。
【0063】
【化26】

【0064】
反応容器に、上記(7a)、(7b)及び(7c)より成る混合物40g、臭化アリル3.5g、硫酸水素テトラブチルアンモニウム0.4gを入れて50℃で3時間攪拌した後、得られた混合物に、30%水酸化ナトリウム水溶液5.2gを滴下して55℃で12時間熟成した。その後、フッ素系溶剤PF5060(3M社製)と塩酸を適量加え攪拌した後、十分に水洗した。さらに、下層を取り出し、溶剤を留去したところ、液状の生成物30gを得た。19F−NMR及びH−NMRにより、得られた生成物の混合物中の全末端基の合計モル数に対する末端−CF基の割合は50モル%であり、下記(8a)、(8b)及び(8c)より成る混合物であることを確認した。
【0065】
【化27】

【0066】
次に、上記(8a)、(8b)及び(8c)より成る混合物30g、1,3トリフルオロメチルベンゼン20g、ヒドロシリル基含有アルコキシシラン(03MS、信越化学工業株式会社製)3g、塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液0.10g(Pt単体とし2.5×10−8モルを含有)を混合し、70℃で一週間熟成させた。その後、溶剤及び未反応物を減圧溜去したところ液状の生成物29.8gを得た。
【0067】
得られた生成物のNMRを図1に示す。H−NMR(TMS基準、ppm)データを次に示す。

【0068】
混合物中の全末端基の合計モル数に対する末端−CF基の割合は50モル%であった。得られた生成物は下記式に示され(9a)52モル%、(9b)24モル%及び(9c)24モル%より成る混合物である(組成物1)。
【0069】
【化28】

【0070】
[実施例2]
上記式(8a)、(8b)及び(8c)より成る混合物30gを1,3トリフルオロメチルベンゼン20gに溶解させ、塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液0.10g(Pt単体とし2.5×10−8モルを含有)とテトラメチルジシロキサン(HM)とビニルトリメトキシシラン(VMS)の1:1(モル比)付加反応物(HM−VMS)2.5gを滴下して、90℃で2時間熟成し、溶剤及び未反応物を減圧溜去したところ、液状の生成物31.5gを得た。
【0071】
なお、上記HM−VMSは下記の方法で調製した。
テトラメチルジシロキサン(HM)40gとトルエン40gとを混合し、80℃に加熱した。ビニルトリメトキシシラン(VMS)44.2gと塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液2g(Pt単体として1.1×10−7モルを含有)の混合物をゆっくりと滴下した。得られた混合物を蒸留精製し、下記に示す1:1付加反応物(HM−VMS)84gを得た。
【化29】

【0072】
実施例2で得られた生成物のNMRを図2に示す。H−NMR(TMS基準、ppm)データを次に示す。尚、測定の際にトルエンを添加したため、2.4ppm付近にトルエンのピークが観測されているが、得られた化合物とは関係ないピークである。

【0073】
混合物中の全末端基の合計モル数に対する末端−CF基の割合は50モル%であった。得られた生成物は下記式に示され(10a)52モル%、(10b)24モル%及び(10c)24モル%より成る混合物である(組成物2)。
【化30】

【0074】
[実施例3〜7]
上記式(6a)、(6b)及び(6c)より成り、全末端基の合計モル数に対する末端−CF基の割合が30モル%、40モル%、60モル%、70モル%、75モル%であるパーフルオロポリエーテル組成物を夫々用いた以外は実施例1と同様の方法で組成物3〜7を調製した。
【0075】
表面処理剤及び硬化膜の調製
実施例1〜7で得たパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物(組成物1〜7)を、濃度20wt%になるように、1,3トリフロロメチルベンゼンに溶解させて、表面処理剤1〜7を得た。各6枚のスライドガラス上に、各表面処理剤10mgを真空蒸着し(処理条件は、圧力:3.8×10−3Pa、温度:740℃)、40℃、湿度80%の雰囲気下で24時間放置し、硬化皮膜を形成させた。得られた表面処理済スライドガラスのうち3枚は直ちにフッ素系溶剤AK225(旭硝子社製)でかけ流し洗浄後、接触角、動摩擦係数を測定し、次に剥離試験を実施した。また、残りの3枚は耐擦傷性試験を行なった。
【0076】
比較例1及び2の表面処理剤及び硬化膜は、上記(6a)、(6b)及び(6c)より成り、全末端基の合計モルに対する末端−CF基の割合が25モル%および80モル%のパーフルオロポリエーテル組成物を夫々用いた他は実施例2と同様の方法で調製し、評価試験を実施した。比較例3〜8の表面処理剤及び硬化膜は、組成物1〜7に代えて以下に示す化合物または組成物を用いた他は実施例と同様の方法で調製し評価試験を実施した。
【0077】
[比較例3]
【化31】

【0078】
[比較例4]
下記式で示され、(11a)50モル%、(11b)25モル%及び(11c)25モル%の混合物より成る組成物。
【化32】

【0079】
[比較例5]
【化33】

【0080】
[比較例6]
【化34】

【0081】
[比較例7]
【化35】

【0082】
[比較例8]
【化36】

【0083】
得られた硬化膜を下記の方法により評価した。
【0084】
[撥水撥油性の評価]
上記にて作製したスライドガラスを用い、接触角計DropMaster(協和界面科学社製)を用いて、硬化皮膜の水に対する接触角及びオレイン酸に対する接触角を測定した。
【0085】
[動摩擦係数の測定]
ベンコット(旭化成社製)に対する動摩擦係数を、表面性試験機14FW(新東科学社製)を用いて下記条件で測定した。
接触面積:35mm×35mm
荷重:200g
【0086】
[離型性の測定]
オートグラフAG−IS(島津製作所製)にて下記条件で測定した。
粘着剤処理(粘着テープをテストピースに貼る):ニットーNo.31B(幅19mm)
圧着条件:20g/cm荷重
エージング:25℃/24時間
剥離速度:300mm/分、180°方向
【0087】
[マジックインク拭取り性]
処理表面に油性マジック(ゼブラ株式会社製『ハイマッキー』)を塗り、ティッシュペーパー(カミ商事株式会社製エルモア)によりマジックインクの拭取り性を、下記指標を用い、目視により評価した。
◎:1回の拭取り操作で簡単に完全に拭取れる。
○:1回の拭取り操作では少しインクが残る。
△:1回の拭取り操作では半分ほど残る。
×:全く拭きとれない。
【0088】
[耐擦傷性の評価]
ラビングテスター(新東科学社製)を用いて、下記条件で擦った後の硬化被膜の水接触角及びマジックインク拭取り性を評価した。
試験環境条件:25℃、湿度40%
擦り材:試料と接触するテスターの先端部(1cm)にスチールウールBONSTAR#0000を固定したもの。
移動距離(片道)30mm
移動速度1800mm/分
荷重:1kg
擦り回数:400回
【0089】
評価結果を表1に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
実施例1〜7のパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物は、撥水撥油性が高く動摩擦係数が小さい。比較例3、5の化合物は両末端に加水分解性基を有するパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー単体であり、分子の両末端が基材に固定されるため動摩擦係数が高く、撥水撥油性、離型性が実施例より劣っていた。比較例4の組成物は末端フッ素基を含有しないため撥水撥油性、離型性が実施例より劣っていた。比較例8の加水分解性基を有さないパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーは基材と結合する箇所がないため、ポリマーが基材に固定されず所望の表面特性を発揮することができない。また、比較例6、7の化合物のようにパーフルオロオキシアルキレン鎖が分岐構造を有するものは動粘度が高いため動摩擦係数が高くなり、離型性が実施例より劣っていた。
【0092】
上記耐擦傷性の評価のために硬化被膜を擦った後の評価結果を表2に示す。
【0093】
【表2】

【0094】
表2より、実施例1〜7のパーフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーは、スチールウールで擦っても膜の特性をほぼ維持できるが、比較例1〜8では膜が容易に剥がれ落ちてしまうことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物は、撥水撥油性、低動摩擦性、離型性、耐擦傷性に優れた硬化皮膜を与えることができ種々のコーティング用途に長期に渡って有効に使用し得る。また、汚れを拭き取り易く、眼鏡レンズ、反射防止膜、偏光板、TV、タッチパネルディスプレイ、携帯電話、装飾品、精密金型の皮膜として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記平均組成式(1)で示されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物

(式中Rfは−C2dO−(dは1〜6の整数であり、繰り返し単位ごとに異なっていてよい)の繰り返し単位5〜100個を含む2価の直鎖型フルオロオキシアルキレン基、A及びBは、互いに独立に、Rf2基または下記式(2)
【化1】

で示される基から選ばれる基であり、Rf2はF、H、末端が−CF基または−CFH基である1価のフッ素含有基であり、Qは2価の有機基であり、Zはシロキサン結合を有する2〜7価のオルガノポリシロキサン残基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基であり、Xは加水分解性基であり、aは2又は3、bは1〜6、cは1〜5の整数であり、βは0または1の整数)であり、全末端基の合計モル数に対する末端Rf2基のモル数の割合が30モル%以上75モル%以下である、片末端に加水分解性基を有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーおよび両末端に加水分解性基を有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーを含むフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物。
【請求項2】
片末端に加水分解性基を有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー40〜90モル%、両末端に加水分解性基を有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー10〜60モル%から成ることを特徴とする請求項1に記載のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物。
【請求項3】
Rfが下記式(5)
[化2]
−CF(OC(OCFOCF− (5)
(式中、f=0〜80、g=1〜80及びf+g=5〜100の整数で、繰り返し単位はランダムに結合されていてよい。)で示される2価の直鎖型フルオロオキシアルキレン基である請求項1または2に記載のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物。
【請求項4】
β=1で、Zが、ケイ素原子2〜5個の鎖状または環状オルガノポリシロキサン残基である請求項1〜3のいずれか1項に記載のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物。
【請求項5】
Qが、アミド結合、エーテル結合、エステル結合、及びビニル結合からなる群より選ばれる1以上の結合を含んでよい、炭素数2〜12の炭化水素基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物。
【請求項6】
加水分解性基Xが、アルコキシ基、オキシアルコキシ基、アシロキシ基、アルケニルオキシ基、及びハロゲン基からなる群より選ばれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物及び/又は該フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの部分加水分解縮合物を含有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー組成物を主成分とする表面処理剤。
【請求項8】
請求項7に記載の表面処理剤で処理された物品。
【請求項9】
請求項7に記載の表面処理剤で処理された光学物品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−116947(P2011−116947A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225128(P2010−225128)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】