説明

フレキシブルな原稿をその反射光で目視で評価するための検査装置

【目的】 検査用の面への妨害的な光の影響を少なくすると共に、光源から出て直接に観察者の眼に入る妨害的な光を極力避けるような、検査用の装置を提供する。
【構成】 検査装置は、凹面形に曲った板2がついているデスク1と、見本紙葉支持体5と、複数の管状光源8を有する照明装置7でなっている。照明装置7の放射面9は観察者15から見て実質的に凸面形に作られている。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、フレキシブルな原稿(Vorlage)をその反射光で目視で評価するための検査装置に関し、特に多色印刷のカラー検査のための検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷工業においては、印刷の品質の評価のためにカラー検査装置が用いられ、それらカラー検査装置においては、印刷されたシートが、デスク型の検査テーブル上におかれ、決まった照明と観察の条件下で、目標とされる原稿と比較される。検査の際の間違いを避けるために、カラー検査装置においては、外からの妨害的な光の影響を検査用の面から遠ざけると共に、観察者の眼が、反射、または同じ光から発せられた他種の光密度(Lichtdichte)によって乱されることを防止するような算段が講じられている。
【0003】
被印刷体の光沢特性が重視されるべきであるので、色検定(Farbabgleiche)は、照明は0°、観察は45°として行われるべきである。簡単で安価な手段でもって、眩惑とか反射のない印刷後紙葉のための検査用の面を得るために、紙葉載せ面の、観察者の方に向いた部分面を、一つのくさび形の上置きを用いて角度つきに形成することが公知になっている(西独特許 32 16 991 A1)。
【0004】
この場合、それによって検査用の面が不連続になり、眩惑や反射のないことが部分領域でしか得られないということが不利である。
【0005】
ドイツの雑誌 Deutscher Drucker誌の 38/26巻、11号の XIXページに、一つのカラー検査用キャビンが示されていて、そのものは、印刷されたシートのための載せ面が凹面形であることにより、反射や、観察者の眩惑を少なくするはずである。外からの光に対しては、このキャビンは、側方と載せ面上方でカバーされて(gekapselt)いる。この方式においても、まだ、キャビンの中での照明に起因する妨害的な輝く光の効果(Glanzlichteffekte)があり得る。
【0006】
米国特許 4,173,034で示された方式においては、光源の前方に配置された、並進移動も回転も可能な遮光装置が用いられていることにより、望ましくない反射が部分的には防止されている。検査用の面の部分領域だけしかその範囲に入らないことが不都合である。
【0007】
印刷機のための一つの操作台において、比較のための原稿を垂直に配置することが公知になっていて、そこでは、原稿は、観察者に近接/離反できると共に垂直方向にも移動可能な下支えの上に固定されている。この場合、上記の照明と観察の角度が原稿の各位置で確保され得るのではない、ということが不利である(特願平 5-3954号)。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】
本考案の目的は、検査用の面への妨害的な光の影響を少なくすると共に、光源から出て直接に観察者の眼に入る妨害的な光を極力避けるような、検査用の装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この課題は、本考案によれば、少なくとも一つの原稿のための、観察者から見て凹面形の載せ面を有する検査装置において、照明装置の放射面が、観察者から見て実質的に凸面形に作られていることによって解決される。
【0010】
【作用】
その、凸面形に配置された照明装置は、原稿の上に投射される光線を、妨害的な反射が起こらないように分散させる働きをする。
【0011】
本考案の一つの変形例においては、照明装置の放射面と原稿のための載せ面が、同じ曲り方で曲がった円筒形に作られており、それら曲りの中心点の線は一致している。
【0012】
検査装置を観察者の作業性(Ergonomie)に適合させるために、照明装置および/または原稿のための載せ面が関係し合って移動し得るようにでき、それにより、最適の観察角度が得られる。
【0013】
一つの実用的な実施態様においては、照明装置が幾つかの曲った管状光源を含んでいて、縁部分にある管状光源同志間の距離が、中央部分にある管状光源同志間の距離よりも小さくされている。それにより、照明の均一性が改善される。
【0014】
【実施例】
次に、本考案の実施例について図面を参照して説明する。
【0015】
図1に示されているように、検査装置は、凹面形に曲った板2がついているデスク1で成っている。板2は、一方では、検査されるべき原稿のための載せ面としての役目をなすが、他方で、印刷技術的機械の制御のための操作要素3や表示装置4を含んでいてよい。表示装置4の表面は、良好な視認性が得られるように、同様に凹面形に作られていてよい。さらに、一つの見本紙葉支持体5が設けられていて、この見本紙葉支持体5は、板2の表面と、その見本紙葉支持体5の、共通の曲り中心点の線6の回りで旋回可能なように支持されている。見本紙葉支持体5は、検査されるべき原稿と比較されるときの参照対象としての役目をする原稿の取り付けのための役目をする。板2と見本紙葉支持体5の上方には、複数の管状光源8を有する一つの照明装置7が配置されていて、それら管状光源8の光る面が、観察者から見て凸面形の面9の上にあり、その凸面形の面9は、板2上、および見本紙葉支持体5上の載せ面と同様に円筒形に作られており、その曲りの中心点の線は、曲りの中心点の線6と一致している。天井の照明11からの偽光10を遮るために、幾つかの部分で成る形の屋根12が設けられている。
【0016】
図2においては、原稿のための旋回可能な一つの載せ面13が設けられており、その載せ面13の傾斜は、観察者15の観察角度14に適合させられ得る。照明装置7は、一つのフレーム16に固定されている。外側にある管状光源8同志間の距離bは、さらに内側にある管状光源8同志間の距離aよりも小さい。それにより、照明の均一性が改善され得る。
【0017】
【考案の効果】
以上説明したように本考案は、照明装置の放射面が、観察者から見て実質的に凸面に作られていることにより、検査用の面への妨害的な光の影響を少なくすることともに、光源から出て直接に観察者の眼に入る妨害的な光を極力避けることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案による検査装置の概略図である。
【図2】旋回可能な載せ面を有している装置の概略図である。
【符号の説明】
1 デスク
2 板
3 操作要素
4 表示装置
5 見本紙葉支持体
6 曲りの中心点の線
7 照明装置
8 管状光源
9 面(光源の)
10 偽光
11 天井の照明
12 屋根
13 載せ面
14 観察角度
15 観察者
16 フレーム

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 観察者から見て凹面形をした、少なくとも一つの原稿のための載せ面と、決まったタイプの光を原稿上に放射して観察面において決まった照度を生じさせるような、面状に放射する照明装置とを含む、フレキシブルな原稿をその反射光で目視で評価するための検査装置において、前記照明装置(7)の放射面(9)が、観察者(15)から見て実質的に凸面形に作られていることを特徴とする、フレキシブルな原稿をその反射光で目視で評価するための検査装置。
【請求項2】 前記放射面(9)と前記載せ面(2,5,13)が、同じ曲り方で曲っている、請求項1記載の検査装置。
【請求項3】 前記放射面(9)と前記載せ面(2,5,13)が円筒形に作られている、請求項2記載の検査装置。
【請求項4】 前記放射面(9)と前記載せ面(2,5,13)の曲りの中心点の線(6)が一致している、請求項3記載の検査装置。
【請求項5】 前記照明装置(7)と前記載せ面(13)が観察角度(14)に関して移動可能に配置されている、請求項1記載の検査装置。
【請求項6】 前記照明装置(7)が幾つかの管状光源(8)を含んでいる、請求項1記載の検査装置。
【請求項7】 縁部分にある前記管状光源(8)同志間の距離が、中央部分にある前記管状光源(8)同志間の距離よりも小さくされている、請求項6記載の検査装置。
【請求項8】 前記管状光源(8)が曲っている、請求項8記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【登録番号】第3016888号
【登録日】平成7年(1995)8月2日
【発行日】平成7年(1995)10月9日
【考案の名称】フレキシブルな原稿をその反射光で目視で評価するための検査装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平7−117
【出願日】平成7年(1995)1月19日
【出願人】(390009232)ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト (347)
【氏名又は名称原語表記】HEIDELBERGER DRUCKMASCHINEN AKTIENGESELLSCHAFT