説明

フレキシブル電子装置

【課題】 所要の機能を有する複数のユニットを一体化し、衣服や装飾品に付帯させた状態において各ユニットが協動して動作するようにしたフレキシブル電子装置であって、装置全体における各ユニットの位置の自由度を高めたフレキシブル電子装置を提供する。
【解決手段】 フレキシブルケーブル20は、表面が絶縁により被覆されているとともに、両端に電気的接続のための端子21および22を各々有し、両端子が接続されることにより閉ループ回路を構成する。複数のノードユニット10は、フレキシブルケーブル20が挿通される空芯コイルを具備し、フレキシブルケーブル20との間の電磁結合およびフレキシブルケーブル20による閉ループ回路を介して電力の授受および他のノードユニットとの間の信号の授受を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、衣服や装飾品に組み込み、身体に付帯させることが可能なフレキシブル電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電子装置として、例えば特許文献1に開示されたものがある。同文献に記載された衣服または身体付帯型情報処理装置は、コンピュータシステムにおける所要の機能を実現するデバイスを含む複数のボタン型の機能ブロックと、この複数の機能ブロック間を接続し、電源を供給するとともに信号の伝送路となる可撓性を有するケーブルにより構成されるバスとを有する。ここで、ケーブルには、機能ブロックを着脱自在に係止する接続部が複数設けられており、複数の機能ブロックは、これらの接続部に係止されて、バスに接続されるようになっている。この情報処理装置は、可撓性を有するケーブルにボタン型の機能ブロックを複数並べた構成になるので、様々な衣服や装飾品に付帯させた状態において、コンピュータシステムとして動作させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−5561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に開示された情報処理装置は、ケーブル上の固定された各位置にある接続部にしか各機能ブロックを係止させることができず、ケーブル上における機能ブロックの位置の自由度が低いという問題があった。
【0005】
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、所要の機能を有する複数のユニットを一体化し、衣服や装飾品に付帯させた状態において各ユニットが協動して動作するようにしたフレキシブル電子装置であって、装置全体における各ユニットの位置の自由度を高めたフレキシブル電子装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、電磁誘導を利用した通信機能または受電機能の少なくとも1つを備えた複数のノードユニットと、前記複数のノードユニットを任意の位置に付着させ、前記複数のノードユニットとの間に電力の授受または信号の授受のための電磁結合を形成する媒体とを具備することを特徴とするフレキシブル電子装置を提供する。
かかる発明によれば、複数のノードユニットを媒体の任意の位置に付着させ、各ノードユニットに電力の授受や他のノードユニットとの信号の授受を行わせることができる。従って、装置全体における各ノードユニットの位置の自由度を高めつつ、各種の機能を営むフレキシブル電子装置を構成することができる。また、この発明によるフレキシブル電子装置は、可撓性を有する媒体を用いる態様では、全体の形状を自由に変形させることが可能であり、特許文献1に開示の装置に比べて変形の自由度が高いという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】この発明の第1実施形態であるフレキシブル電子装置の構成の概略を示す図である。
【図2】同実施形態において給電機能を備えたノードユニット10の一例であるノードユニット10Aと、受電機能および通信機能を備えたノードユニット10の一例であるノードユニット10Bの構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態によるフレキシブル電子装置の具体例であるオーディオプレーヤの構成を模式的に示す図である。
【図4】同オーディオプレーヤにおけるノードユニット10Hとイヤホン130との結合部分の構成例を示す斜視図である。
【図5】この発明の第2実施形態であるフレキシブル電子装置に用いるフレキシブルケーブル20Aの構成例を示す透視図である。
【図6】同フレキシブルケーブル20Aの変形例である一端開放型フレキシブルケーブル20Bと両端開放型フレキシブルケーブル20Cの構成例を示す透視図である。
【図7】同フレキシブルケーブル20Aの他の変形例である電源ノードユニット付フレキシブルケーブル20Dの構成例を示す透視図である。
【図8】この発明の第3実施形態であるフレキシブル電子装置に用いる各種のユニバーサルジョイントの構成を示す斜視図である。
【図9】同実施形態において、複数のユニバーサルジョイントの組み合わせにより構成された2個のノードユニット間の結合部分の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態を説明する。
<第1実施形態>
図1は、この発明の第1実施形態であるフレキシブル電子装置を模式的に示す図である。このフレキシブル電子装置は、各々所要の機能を有する複数のノードユニット10と、導線を内包しており、可撓性を有するフレキシブルケーブル20とにより構成されている。ここで、各ノードユニット10は、貫通孔を有している。そして、フレキシブルケーブル20は、各ノードユニット10の貫通孔に挿通されている。フレキシブルケーブル20は、弾力性を持った絶縁被覆が施されており、その外径は各ノードユニット10の貫通孔の内径よりもやや短い。従って、各ノードユニット10は、ある程度以上の力を加えればフレキシブルケーブル20に沿って移動可能であるが、そのような力を加えない限り、フレキシブルケーブル20の途中に位置固定される。
【0009】
フレキシブルケーブル20の両端には、相互に電気的接続が可能なコネクタ21および22が各々設けられている。これらのコネクタ21および22は、フレキシブルケーブル20内の導線と電気的に接続されている。従って、コネクタ21および22が接続された状態では、フレキシブルケーブル20内の導線は閉ループ回路を構成する。本実施形態によるフレキシブル電子装置は、このようにコネクタ21および22の接続を行い、フレキシブルケーブル20をネックレス状にした状態で動作する。
【0010】
フレキシブル電子装置に用いられる各ノードユニット10は、フレキシブルケーブル20内の導線との間の電磁誘導を利用した通信機能および受電機能またはフレキシブルケーブル20内の導線との間の電磁誘導を利用した給電機能の少なくとも一方を備えている。
【0011】
図2には、給電機能を備えたノードユニット10の一例であるノードユニット10Aと、受電機能および通信機能を備えたノードユニット10の一例であるノードユニット10Bの構成が示されている。
【0012】
図2に示すノードユニット10Aおよび10Bと同様、本実施形態によるフレキシブル電子装置を構成する各ノードユニット10は、長尺状の空芯コイル11を備えている。この空芯コイル11は、上述したノードユニット10の貫通孔を取り囲むようにノードユニット10内に固定されており、空芯コイル11全体がフレキシブルケーブル20の周囲に巻き回された状態となっている(図示の例では1回だけ巻き回されている)。従って、空芯コイル11に電流が流れると、フレキシブルケーブル20を中心にその周囲を円を描くように流れる磁束が空芯コイル11により発生される。
【0013】
図2において、ノードユニット10Aは、空芯コイル11に接続された交流電源12と、バッテリ13と、このバッテリ13を交流電源12に接続するか否かの切り換えのためのスイッチ14とを備えている。ここで、交流電源12は、例えば発振回路であり、スイッチ14がONの状態において、バッテリ13からの電源供給を受けて発振し、交流電流を空芯コイル11に流す。図1におけるコネクタ21および22が接続されており、フレキシブルケーブル20の導線が閉ループ回路を構成している状態では、空芯コイル11に電流が流れると、電磁誘導により、フレキシブルケーブル20の導線に交流電流iが誘導される。この交流電流iは、フレキシブルケーブル20が挿通された各ノードユニット10の電源電流となる。
【0014】
ノードユニット10Bは、空芯コイル11と、整流回路15と、ノード機能部16と、送信部17と、受信部18とを有する。ここで、整流回路15は、フレキシブルケーブル20の導線と空芯コイル11との間の電磁誘導により空芯コイル11に誘導された交流電流を整流し、この結果得られる直流電圧を電源電圧として、ノード機能部16、送信部17および受信部18に供給する。すなわち、上述したノードユニット10Aは、ノードユニット10Bに対して電磁誘導を利用した非接触給電を行い、ノードユニット10Bは、電磁誘導を利用した非接触受電を行うものである。
【0015】
ノード機能部16は、ノードユニット10Bに与えられた機能を果たす回路である。このノード機能部16は、MPU(Micro-Processor Unit)であるかも知れないし、オーディオデコーダであるかも知れない。フレキシブル電子装置を実現するに当たっては、その全体機能の各一部を担う各種のノード機能部16を持ったノードユニット10が用意される。
【0016】
送信部17は、ノード機能部16が他のノードユニット10に宛てて送る送信情報を受け取り、所定周波数のキャリアをこの送信情報に基づいて変調し、これにより得られる送信信号を空芯コイル11に与える。これにより空芯コイル11に与えられた送信信号に相当する信号電流がフレキシブルケーブル20の導線に流れ、通信相手であるノードユニット10に辿り着く。
【0017】
フレキシブルケーブル20に通信機能を持ったノードユニット10が複数接続されている状況では、フレキシブルケーブル20の導線には、図示しない他のノードユニット10の送信信号に対応した信号電流(交流電流)が流れる。この場合、電磁誘導によりこの信号電流に対応した受信信号電圧(交流)がノードユニット10Bの空芯コイル11の両端に発生する。受信部18は、この空芯コイル11の両端に発生した受信信号電圧から他のノードユニット10の送信信号を復調し、ノード機能部16に供給する。
【0018】
好ましい態様では、フレキシブル電子装置を構成する各ノードユニット10は、IDが与えられており、例えば、あるノードユニット10sが他のノードユニット10rに情報を送る場合には、ノードユニット10sは、ノードユニット10sを特定する発IDと、ノードユニット10rを特定する着IDと、ノードユニット10r宛の情報であるペイロードとからなるパケットを構成し、このパケットを示す送信信号を図2の送信部17相当の回路によりフレキシブルケーブル20に送出する。この場合、他のノードユニット10rは、自己のIDを着IDとして含むパケットを図2における受信部18相当の回路により受信する。このようなパケット通信機能を各ノードユニット10に持たせることによりインテリジェントなフレキシブル電子装置を実現することが可能である。
【0019】
図3はフレキシブル電子装置の具体的構成例であるオーディオプレーヤを示すものである。このオーディオプレーヤは、4個のノードユニット10E、10F、10Gおよび10Hとフレキシブルケーブル20とにより構成されている。ノードユニット10Eは、前掲図2のノードユニット10Aおよび10Bの構成を加え、さらにノード機能部16としてプッシュボタンスイッチ等による早戻しスイッチ101を有する。また、ノードユニット10Fは、前掲図2のノードユニット10Bのような構成を有しており、ノード機能部16としてプッシュボタンスイッチ等による早送りスイッチ102とメモリ103を有する。このメモリ103には音楽の圧縮符号化データが記憶されている。また、ノードユニット10Gは、前掲図2のノードユニット10Bのような構成を有しており、ノード機能部16としてプッシュボタンスイッチ等による再生/停止スイッチ104とオーディオデコーダ105を有する。また、ノードユニット10Hは、前掲図2のノードユニット10Bのような構成を有しており、ノード機能部16として変調器106とパワーアンプ107と外部負荷駆動コイル108を有する。
【0020】
このような構成において、ノードユニット10Eは、前掲図2のノードユニット10Aと同様、フレキシブルケーブル20に接続された各ノードユニット10F、10Gおよび10Hに対して非接触給電を行う。早戻しスイッチ101、再生/停止スイッチ104の操作イベントは、例えば上述したようなパケットの形態で、ノードユニット10F宛に送られ、メモリ103の読み出し制御に用いられる。同ノードユニット10Fの早送りスイッチの操作イベントも、同様にメモリ103の読み出し制御に用いられる。メモリ103から読み出される音楽の圧縮符号化データは、パケット化されてノードユニット10G宛に送られ、オーディオデコーダ105により復号化される。この復号化により得られたPCMオーディオサンプルは一定個数ずつパケット化されてノードユニット10H宛に送られ、変調器106により例えばPWM(Pulse Width Modulation)変調波とされ、パワーアンプ107により増幅される。このパワーアンプ107の出力信号は、外部負荷駆動コイル108と電磁結合された外部のイヤホン等の音響出力装置に与えられる。
【0021】
上述したノードユニット10Hの外部負荷駆動コイル108とイヤホン等との電磁結合を実現するための装置構成としては、例えば図4に示すものが考えられる。この例において、ノードユニット10Hの上面には面ファスナ111が設けられている。イヤホン130には接続ユニット120が接続されている。この接続ユニット120は、その下面にノードユニット10Hの面ファスナ111との接着が可能な面ファスナ121が設けられており、その内部にはコイル122が設けられている。そして、このコイル122に発生する電圧はイヤホン130に送られる。
【0022】
このような構成において、面ファスナ121を面ファスナ111に当接させることにより接続ユニット120をノードユニット10Hの上面に固定することができる。この状態において、ノードユニット10内の外部負荷駆動コイル108は、接続ユニット120内のコイル122と近接し対向する。従って、パワーアンプ107(図3参照)から外部負荷駆動コイル108に与えられる信号が電磁誘導によりコイル122に伝達され、イヤホン130から音として出力される。
【0023】
以上は本実施形態によるフレキシブル電子装置のあくまでも一実現例である。本実施形態において、フレキシブルケーブル20に如何なる機能を持ったノードユニット10を接続するかは任意である。本実施形態においては、必要な個数の所望のノードユニット10をフレキシブルケーブル20に挿通させるだけで所望の機能を持ったフレキシブル電子装置を構成することができる。その際、フレキシブルケーブル20上において各ノードユニット10の定位置といったものはなく、各ノードユニット10の位置は自由である。また、フレキシブルケーブル20自体が自由に変形可能であるため、フレキシブル電子装置全体の形状を自由に変形させることができる。従って、本実施形態によるフレキシブル電子装置は、上述した特許文献1に開示のものよりも変形の自由度が高く、衣服や装飾品に組み込み、身体に付帯させる際の利便性が格段と向上するという効果が得られる。
【0024】
<第2実施形態>
次にこの発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、上記第1実施形態におけるフレキシブルケーブル20に改良を加えたものである。図5は、本実施形態によるフレキシブルケーブル20Aの透視図である。このフレキシブルケーブル20Aは、軸長が長い空芯コイル201と、この空芯コイル201の中を空芯コイル201の軸方向に延び、両端が空芯コイル201の両端と電気的に接続された導線202と、空芯コイル201および導線202を内包する紐状の絶縁物203とにより構成されている。
【0025】
上記第1実施形態では、ノードユニット10との間の電磁誘導により発生した電流を流す閉ループ回路を構成するために、フレキシブルケーブル20をネックレス状に接続する必要があった。しかし、本実施形態では、その必要はない。フレキシブルケーブル20Aの内部において、空芯コイル201と導線202が閉ループ回路を構成しているからである。
【0026】
本実施形態において、各ノードユニット10は、上記第1実施形態における空芯コイル11(図2参照)の代わりに、図5に示す空芯コイル11Aを備えている。この空芯コイル11Aのコイル巻き線は、フレキシブルケーブル20Aを挿通させるためにノードユニット10に設けられた貫通孔の周囲を取り囲んでいる。従って、前掲図1のようにフレキシブルケーブル20Aをノードユニット10の貫通孔に挿通させた状態において、フレキシブルケーブル20Aは、図5に示すように、各ノードユニット10の空芯コイル11Aに挿通される。この状態において、各ノードユニット10は、各々の空芯コイル11Aとフレキシブルケーブル12Aとの電磁結合およびフレキシブルケーブル20Aを介して他のノードユニット10との間の電力の授受および信号の授受を行うことができる。従って、各種の機能を持ったフレキシブル電子装置を構成することができる。
【0027】
また、本実施形態におけるフレキシブルケーブル20A内の空芯コイル201とノードユニット10の空芯コイル11Aとの間の相互インダクタンスは、上記第1実施形態におけるノードユニット10とフレキシブルケーブル20内の導線との相互コンダクタンスよりも高くすることができる。従って、ノードユニット10間の電力伝達、信号伝達の効率を上記第1実施形態よりも高くすることが可能である。
【0028】
本実施形態には各種の変形例が考えられる。
(1)例えば、フレキシブルケーブル20Aは、図5に示すような1本の完成したものを用意する他、図6(a)に示すように一端にコネクタ205が設けられた一端開放型のフレキシブルケーブル20Bや、図6(b)に示すように両端にコネクタ205が設けられた両端開放型のフレキシブルケーブル20Cを用意してもよい。ここで、コネクタ205は、フレキシブルケーブル20Bまたは20C内の空芯コイル201の端部と導線202の端部を端子として取り出している。そして、フレキシブルケーブル20B同士、フレキシブルケーブル20C同士またはフレキシブルケーブル20Bと20Cをコネクタ203により接続すると、一方のフレキシブルケーブル内の空芯コイル201および導線202が他方のフレキシブルケーブル内の導線202および空芯コイル201と各々繋がるようになっている。従って、フレキシブルケーブル20Bおよび20Cを各種組み合わせることにより任意の長さのフレキシブルケーブル20Aを構成することができる。
【0029】
(2)図7に示すように、空芯コイル201および導線202の各端部に交流電圧を出力する電源ノードユニット204をフレキシブルケーブルの一端に設け、電源ノードユニット付フレキシブルケーブル20Dを構成してもよい。この場合、既に接続されている電源ノードユニット204以外のノードユニットにフレキシブルケーブルに挿通させればよい。
【0030】
(3)図5〜図7に示す各例では、導線202は、空芯コイル201の内側を通っているが、空芯コイル201の外側を通してもよい。
【0031】
(4)フレキシブルケーブルのインダクタンスを高めるために、空芯コイル201の代わりに、例えば針金等の可撓性の芯を持ったコイルを用い、導線202をこのコイルの外側に布線し、導線202の両端をコイルの両端に各々接続してもよい。
【0032】
<第3実施形態>
次にこの発明の第3実施形態について説明する。上記第1実施形態および第2実施形態では、各ノードユニット間の電磁結合を実現するための手段としてフレキシブルケーブルを用いた。これに対し、本実施形態では、各ノードユニット間の電磁結合を実現するための手段として、図8(a)に示すコイルジョイント31、図8(b)に示す磁性体ジョイント32、図8(c)に示す交差型コイルジョイント33等のユニバーサルジョイントを用いる。
【0033】
コイルジョイント31は、中空円筒状のカバー311と、このカバーの側面から突出した接続部312とを有している。カバー311内部では、中空部分を取り囲むようにコイル(図示略)が巻回されており、このコイルの両端に接続されたリード端子312aおよび312bが接続部312から突出している。このリード端子312aおよび312bには、ノードユニットにおける電源の授受および信号の授受のための2つの端子が接続される。交差型コイルジョイント33は、その両側の結合対象物を90度回転させて結合するのに用いられるジョイントである。この交差型コイルジョイント33は、中空円筒状のカバー331および332を90度の角度で交差させて連結したような立体構造を有している。カバー331内には中空部分を取り囲むようにコイル(図示略)が巻回されており、カバー332内にも中空部分を取り囲むようにコイル(図示略)が巻回されている。そして、カバー331内のコイルとカバー332内のコイルは、各々の両端同士が接続され、一本のエンドレスループを構成している。磁性体ジョイント32は、2つのコイルジョイント31同士またはコイルジョイント31と交差型コイルジョイント33とを磁気的に結合するためのL字型のジョイントであり、垂直部32Vおよび水平部32Hからなる。そして、垂直部32Vの上端面には雌ネジ孔321が設けられ、水平部32Hの先端部分には貫通孔322が設けられている。この磁性体ジョイント32は、垂直部32Vをコイルジョイント31または33の中空部分に挿入させて用いられる。
【0034】
図9(a)は、2個のノードユニット10Lおよび10M間を以上説明した各ユニバーサルジョイントの組み合わせにより結合した構成例を示す図、図9(b)はその等価回路図である。
【0035】
図9(a)において、ノードユニット10Lは、コイルジョイント31の接続部312に固定されており、ノードユニット10Mは、他のコイルジョイント31の接続部312に固定されている。
【0036】
ノードユニット10Lに固定されたコイルジョイント31は、2個の磁性体ジョイント32からなる磁気回路を介して交差型コイルジョイント33のカバー331と結合されている。図9(a)では、この2個の磁性体ジョイント32が磁性体ジョイント32aおよび32bとなっている。
【0037】
ここで、磁性体ジョイント32aは、その垂直部32Vaをコイルジョイント31のカバー311の中空部に下方から挿入した状態で、その水平部32Haの先端近傍部分を交差型コイルジョイント33のカバー331の下端部に当接させている。また、磁性体ジョイント32bは、その垂直部32Vbを交差型コイルジョイント33のカバー331の中空部に上方から挿入した状態で、その水平部32Hbの先端近傍部分をコイルジョイント31のカバー311の上端部に載せている。
【0038】
そして、磁性体ジョイント32bの垂直部32Vbの下端部は、交差型コイルジョイント33のカバー331の下側の開口部から露出し、磁性体ジョイント32aの水平部32Haの先端近傍部分と対面している。そして、ネジ41aが水平部32Haの先端近傍部分の貫通孔322(図8(b)参照)を通り、垂直部32Vaの下端部にある雌ネジ孔321(図8(b)参照)に螺着されている。
【0039】
同様に、磁性体ジョイント32aの垂直部32Vaの上端部は、コイルジョイント31のカバー311の上側の開口部から露出し、磁性体ジョイント32bの水平部32Hbの先端近傍部分と対面している。そして、ネジ41bが水平部32Hbの先端近傍部分の貫通孔322(図8(b)参照)を通り、垂直部32Vaの上端部にある雌ネジ孔321(図8(b)参照)に螺着されている。
【0040】
以上のように結合されることにより、磁性体ジョイント32aおよび32bは、長方形枠形状の磁気回路を構成している。そして、コイルジョイント31のカバー311内のコイル(図示略)は、この磁気回路の2本の縦辺のうちの一方を取り囲んでおり、交差型コイルジョイント33におけるカバー331内のコイル(図示略)は、この磁気回路の2本の縦辺のうちの他方を取り囲んでいる。
【0041】
交差型コイルジョイント33のカバー332と、ノードユニット10Mに接続されたコイルジョイント31も、2個の磁性体ジョイント32からなる長方形枠形状の磁気回路を介して結合されている。なお、この結合部分の構成は、上述したコイルジョイント31と交差型コイルジョイント33のカバー331との結合部分の構成と同様なので説明を省略する。
【0042】
図示のようなxyz直交座標系を想定した場合、コイルジョイント31のカバー311の中空部と、この中空部に挿入された磁性体ジョイント32aの垂直部32Vaは、y軸廻りの回転を許容する関節として機能し、交差型コイルジョイント33のカバー331の中空部とこの中空部に挿入された磁性体ジョイント32bの垂直部32Vbも、y軸廻りの回転を許容する関節として機能する。また、交差型コイルジョイント33のカバー332の中空部と、この中空部に挿入された磁性体ジョイント32の垂直部32V(図8(b)参照)は、z軸廻りの回転を許容する関節として機能し、ノードユニット10Mの固定されたコイルジョイント31のカバー311の中空部と、この中空部に挿入された磁性体ジョイント32の垂直部32V(図8(b)参照)も、z軸廻りの回転を許容する関節として機能する。従って、図9(a)の構成では、ノードユニット10Lおよび10M間の複数のユニバーサルジョイントからなる部分は、様々な形に変形することができ、ノードユニット10Lおよび10Mの相対的な位置関係を自由に変更することができる。
【0043】
ノードユニット10Lおよび10M間は、電気的には図9(b)に示すように2個のトランスT1およびT2を介して接続される。ここで、トランスT1の1次側コイルは、図9(a)においてノードユニット10Lに固定されたコイルジョイント31のカバー311内のコイルであり、2次側コイルは、交差型コイルジョイント33のカバー331内のコイルであり、これらの1次側コイルおよび2次側コイルが共有するヨークは、磁性体ジョイント32aおよび32bからなる磁気回路である。また、トランスT2の1次側コイルは、交差型コイルジョイント33のカバー332内のコイルであり、2次側コイルは、図9(a)においてノードユニット10Mに固定されたコイルジョイント31のカバー311内のコイルであり、これらの1次側コイルおよび2次側コイルが共有するヨークは、2個の磁性体ジョイント32からなる磁気回路である。このような構成によれば、ノードユニット10Lおよび10M間で、トランスT1およびT2を介して、電力の授受や信号の授受を行うことができる。
【0044】
以上、2個のノードユニット10Lおよび10M間の結合部分の構成を例に挙げたが、同様の構成により、さらにノードユニット10Lおよび10Mを他のノードユニット10と結合することも可能である。その場合においても、結合部分を多関節にすれば、各ノードユニット間の位置関係を自由に変形することが可能である。また、各ノードユニット間で、電力の授受や信号の授受を行うことができる。
【0045】
<他の実施形態>
以上、この発明の第1〜第3実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態が考えられる。
【0046】
(1)上記第1実施形態において、空芯コイル11の代わりに、リング状の磁性体コアにコイル巻き線を巻き回したトロイダルコイルをノードユニット10内に設け、このトロイダルコイルのリング状のコア内にフレキシブルケーブル20を挿通させてもよい。
【0047】
(2)上記第1実施形態および第2実施形態において、フレキシブルケーブル20または20Aとして、例えばフェライト粉末を混入させた柔らかいプラスチックまたは柔らかいチューブに磁性流体を封入したような磁性体によって構成されたフレキシブルケーブルを用いてもよい。この場合、ノードユニット10側のコイルは、このフレキシブルケーブルが挿通される空芯コイルでよい。この態様では、ノードユニット10のコイルに交流電流が流れると、フレキシブルケーブル内を通る磁束が変化し、この磁束の変化に対応した電圧が他のノードユニット10の空芯コイルに誘発される。従って、この態様においても、各ノードユニット10は、各々の空芯コイルとフレキシブルケーブルとの間の電磁結合およびフレキシブルケーブルを介して、他のノードユニット10との間で電力の授受および信号の授受を行うことができる。
【符号の説明】
【0048】
20,20A,20B,20C,20D……フレキシブルケーブル、31……コイルジョイント、32……磁性体ジョイント、33……交差型コイルジョイント、10,10A,10B,10E,10F,10G,10H,10L,10M……ノードユニット、11,11A……空芯コイル、12……交流電源、13……バッテリ、14……スイッチ、15……整流回路、16……ノード機能部、17……送信部、18……受信部、111,121……面ファスナ、108……外部負荷駆動コイル、122……コイル、120……接続ユニット、130……イヤホン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導を利用した通信機能または受電機能の少なくとも1つを備えた複数のノードユニットと、
前記複数のノードユニットを任意の位置に付着させ、前記複数のノードユニットとの間に電力の授受または信号の授受のための電磁結合を形成するフレキシブルケーブルであって、軸長が長いコイルと、前記コイルの軸方向に延び、両端が前記コイルの両端と電気的に接続された導線と、前記コイルおよび導線を内包する紐状の絶縁物とを有するフレキシブルケーブルと、
を具備し、
前記複数のノードユニットは、コイルを具備し、
前記複数のノードユニットに前記フレキシブルケーブルを挿通させた状態において、各ノードユニットが各々のコイルと前記フレキシブルケーブルとの電磁結合および前記フレキシブルケーブルを介して電力の授受および他のノードユニットとの間の信号の授受を行うようにしたことを特徴とするフレキシブル電子装置。
【請求項2】
前記フレキシブルケーブルは、
軸長が長いコイルと、前記コイルの軸方向に延び、一端が前記コイルの一端と電気的に接続された導線と、前記コイルおよび導線を内包する紐状の絶縁物と、前記コイルの他端と前記導線の他端とを各々端子として取り出してなるコネクタとを各々有する第1および第2の一端開放型のフレキシブルケーブルを、一方のコイルが他方のコイルに接続され、一方の導線が他方の導線に接続されるように各々のコネクタを介して接続して構成されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル電子機器。
【請求項3】
前記フレキシブルケーブルは、
軸長が長いコイルと、前記コイルの軸方向に延びた導線と、前記コイルおよび導線を内包する紐状の絶縁物とを有し、前記コイルの両端と前記導線の両端とを端子として取り出してなるコネクタが両端に設けられている1または複数の開放型のフレキシブルケーブルを介して前記第1および第2の一端開放型のフレキシブルケーブルを接続して構成されていることを特徴とする請求項2に記載のフレキシブル電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−182985(P2012−182985A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−92571(P2012−92571)
【出願日】平成24年4月16日(2012.4.16)
【分割の表示】特願2007−174644(P2007−174644)の分割
【原出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】