説明

フロアスタンド

【課題】簡単な構造のフロアスタンドであって、ワイパーの切り取り後にロールの先端部分が巻き戻りにくく、また、次に使用するときに先端部分が引き出しやすい構造にしたフロアスタンドを提供する。
【解決手段】ロール状に巻回されたワイパー30を支持するためのフロアスタンド1であって、ロールの中心孔31を貫通してロール30を回転可能に軸支する芯棒6と、芯棒の両端部6aを着脱自在に支持する保持部5を備えた本体部材4と、本体部材4に回動可能に軸支されて前記ロール30の上面を被覆する押さえ板7とを有するフロアスタンド1において、前記押さえ板7の先端部には、前記ロール30から引き出されたワイパーの先端部分30aを押さえ板7の上面側に導く長孔16を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアスタンドに関するものであり、特に、ロール状に巻回されたワイパーを支持するためのフロアスタンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業界各般で使用される汚れ拭きとしては、ワイパーと称されて、主として紙製または不織布製の製品が知られている。特に、ロール状に巻回されたワイパーは、例えば室内の壁面に取り付けたホルダーに支持させるか、あるいは、床面に設置されたフロアスタンドに支持させておき、必要とするときにロールから所定の長さを引き出して、ミシン目の切り取り線から切り取って使用するようになっている。
【0003】
しかし、使用後に放置すると、ロールの先端部分(巻端部分)が緩んで垂れ下がったり、あるいは、巻き戻されて先端部がロールに密着したりする現象が発生し、次にワイパーを使用するときに、先端部分が引き出しづらいことが多い。特に、不織布で作られたロール状のワイパーは厚手であり、また大型で長尺に巻回されているのでロールの重量が重く、使い始めは大きな力で引き出さないとロールが回転しない。したがって、先端部分が一度巻き戻されて密着したロールから、再び先端部分を引き出すのは面倒な作業である。
【0004】
プラスチックシートや金属箔シートなどのロール状物品のホルダーで、ロールの管状巻取軸に支持ロール(芯棒)を嵌装して横置きに保持し、かつ、ロールの上部に跨る前後二枚の押さえ板を該ロール上に回動自在に配設するとともに、押さえ板の左右両辺と支持ロールとの間に穴あき扇状の支持ブラケットを掛け渡し、双方の支持ブラケットの穴に前記支持ロールの両端部を係止させることにより、前記押さえ板で常にロールの表面を押圧するようにして、汚れと巻き戻りを防ぐようにしたホルダーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、スタンドの上端近くに設けたカバー板によってロール紙の上部を押さえるように形成し、ペダル操作に連動してカバー板の押さえを解除するとともに、所定長さのロール紙を引き出して、ミシン目に沿って切り取るように形成したスタンド形のホルダーも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】実公昭51−37823号公報。
【特許文献2】特開2003−93268号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の発明は、押さえ板の左右両端辺と支持ロール間を穴あき扇状の支持ブラケットで連結する等、構造が複雑になっている。また、壁面に取り付ける構成であり、フロアに設置する構成ではない。
【0007】
一方、特許文献2記載の発明は、通常はカバー板によってロール紙の上部を押さえておき、ペダル操作に連動してカバー板の押さえを解除するように形成してあるが、ロール紙のロール径が小さくなったときは、ロープやワイヤ等の長さ調整が必要になる。また、繰り出しが不十分で、ロール紙を正しくミシン目から切り取ることができにくいものとなっている。
【0008】
また、特許文献1および特許文献2のいずれのホルダーも、ロールの取り付け・取り外しが簡単でないという問題もある。
【0009】
そこで、簡単な構造のフロアスタンドであって、ワイパーの切り取り後にロールの先端部分が巻き戻りにくく、また、次に使用するときに先端部分が引き出しやすい構造にしたフロアスタンドを提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、ロール状に巻回されたワイパーを支持するためのフロアスタンドであって、ロールの中心孔を貫通して該ロールを回転可能に軸支する芯棒と、該芯棒の両端部を着脱自在に支持する保持部を備えた本体部材と、該本体部材に回動可能に軸支されて前記ロールの上面を被覆する押さえ板とを有するフロアスタンドにおいて、前記押さえ板の先端部には、前記ロールから引き出されたワイパーの先端部分を該押さえ板の上面側に導く長孔を備えたことを特徴とするフロアスタンドを提供する。
【0011】
この構成によれば、押さえ板に設けられた長孔は、押さえ板の下面側に配置されているロールの先端部分を、押さえ板の上面側に導出するという作用を有する。また、長孔を通って押さえ板の上面に引き出されたワイパーの先端部分は、該押さえ板の外側で切り取られ、また切り取りが終って新たに残されたワイパーの先端部分は、次の使用時に使用者が指で摘めるように押さえ板の上面に添って垂れ下がる状態で残される。
【0012】
請求項2記載の発明は、第1脚部材と、該第1脚部材の中間部に回動可能に連結された第2脚部材とを有し、前記第1脚部材に対して前記第2脚部材が折り畳み可能に形成されていることを特徴とする請求項1記載のフロアスタンドを提供する。
【0013】
この構成によれば、フロアスタンドを使用するときは、第2脚部材を開方向に回動させると、第1脚部材と第2脚部材との間が開いて、フロアスタンドを使用できる状態になり、不使用時には第2脚部材を閉じ方向に回動させると、第1脚部材と第2脚部材との間が閉じてフロアスタンドを折り畳むことができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、上記本体部材には、上記押さえ板が上記ロールの上面から上方へ所定量回動されたときに、該押さえ板が当接して保持されるストッパーが設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のフロアスタンドを提供する。
【0015】
この構成によれば、新しいロールに交換するような場合に、押さえ板を上方へ跳ね上げるとストッパーに当接する。従来のストッパーがない構造では、押さえ板が反対側まで大きく回転してしまうが、本発明では、ロールの交換作業に適した開放位置に押さえ板が保持される。
【0016】
請求項4記載の発明は、上記芯棒には、上記ロールの左右幅よりも大きな距離を隔てた左右両側近傍の各位置に、前記ロールの中心孔の内径よりも小さな外径を有する鍔部が設けられていることを特徴とする請求項1,2または3記載のフロアスタンドを提供する。
【0017】
この構成によれば、ロールの中心孔に芯棒を挿入する際に、芯捧の両端部近傍に設けた鍔部のうち、ロールの中心孔に挿入された一方の鍔部が、中心孔に接触しながら芯捧が挿入されていく。そして、ロールの中心孔縁に他方の鍔部が突き当たって芯捧の挿入が停止する。従来の鍔部がないストレート形の心棒では、中心孔の反対側へ芯捧が通り抜けて落下してしまうことが多いが、本発明では、芯捧が反対側へ抜け落ちることがなく、挿入の位置決めができる。
【0018】
請求項5記載の発明は、上記第2脚部材の内側に固定されて第1脚部材に回動自在に取り付けられた基板と、該基板の内側に固設されて上記芯棒の両端部を上方から受け入れる側面視コ字状またはU字状のブラケットとから構成され、該ブラケットの少なくとも上記ロールが引き出されていく前側片の上部を引き出されていく側へ傾斜させるとともに、該前側片の高さが後側片の高さよりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1,2,3または4記載のフロアスタンドを提供する。
【0019】
この構成によれば、ロールが引き出されていく前側片が上方に向かって斜めに開いているので、前側からロールをセットする際に、心棒の両端部をブラケットに受け入れやすい。また、ブラケットの底部は前側片と後側片との間の距離が徐々に狭まっているので、ブラケットに受け入れ後は芯捧にガタが発生しない。さらに、ブラケットの前側片の高さが後側片よりも高いので、ロールからワイパーの先端部分を引出す際に、ロール自体が前方に引かれても、ロールの芯捧が前側片から外れ難い。
【0020】
請求項6記載の発明は、上記ストッパーに紐状連結部材の一端部を取り付けるとともに、該紐状連結部材の他端部が上記芯棒の一端部に取り付けられていることを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載のフロアスタンドを提供する。
【0021】
この構成によれば、ロールを交換する際に、ロールの中心孔から取り外した芯棒が、紐状連結部材を介してストッパーに拘束されるので、交換中に、芯捧が他所へ不慮移動することがない。
【0022】
請求項7記載の発明は、上記本体部材には、取り外された上記芯棒を収納可能な収納部が設けられていることを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6記載のフロアスタンドを提供する。
【0023】
この構成によれば、ロールを交換する際に、ロールの中心孔から取り外した芯棒が、本体部材に設けられている収納部に収容されるので、交換中に、芯捧が他所へ不慮移動することがない。
【発明の効果】
【0024】
請求項1記載の発明は、ワイパーを使用する際に切り取られて新たに残されたワイパーの先端部分が、次の使用時に使用者が指で摘みやすいように、押さえ板の上面に添って外側に垂れ下がる状態で残される。したがって、ワイパー切断後のロールが反対側に巻戻り難く、また次回の使用者が指で摘んで引き出しやすい。また、従来のフロアスタンドの構造を大きく変えずに、押さえ板に長孔を設けるという簡単な追加工だけで、本発明を簡単に実施することができる。
【0025】
請求項2記載の発明は、フロアスタンドを使用しないときは、第1脚部材と第2脚部材を閉じて折り畳むことにより、コンパクトな状態でフロアスタンドを保管できる。一方、フロアスタンドを使用するときは、きわめて簡単に第1脚部材と第2脚部材との間を広げて使用することができるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、保管等が極めて簡便となる効果が期待できる。
【0026】
請求項3記載の発明は、新しいロールに交換するような場合に、押さえ板を上方へ跳ね上げてストッパーに係止させることができるので、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、ロールの交換作業等が極めて簡便になる効果が期待できる。
【0027】
請求項4記載の発明は、芯棒をロールの中心孔に挿入すると、ロールの中心孔縁に鍔部が突き当って挿入の位置決めができ、また芯捧が抜け落ちることもないので、請求項1,2または3記載の発明の効果に加えて、ロールの中心孔への芯捧のセットが容易になるという効果が期待できる。
【0028】
請求項5記載の発明は、芯棒を挿入させるブラケットの開口を広く確保しているので、芯棒の挿入がしやすく、ロールのセットが容易に行える。しかも、ブラケットの底部は徐々に狭まっているので、挿入された芯棒とブラケットとの隙間が少なくなり、芯棒の両端をガタツキなく保持することができる。また、前側片の高さが後側片の高さよりも大きいので、使用時にロールが引き出し側に引っ張られたとしても、芯捧がブラケットから不慮脱落するようなことはない。これにより、請求項1,2,3または4記載の発明の効果に加えて、操作性並びに信頼性の向上が期待できる。
【0029】
請求項6記載の発明は、ロールを交換する際に、取り外した芯棒を紐状連結部材でストッパーに拘束しておくことができるので、取り外した芯棒を紛失するようなことがなくなり、請求項1,2,3,4または5記載の発明の効果に加えて、利便性が向上する。
【0030】
請求項7記載の発明は、ロールを交換する際に、取り外した芯棒を収納部に収納して保管できるので、取り外した芯棒を紛失するようなことがなくなり、請求項1,2,3,4,5または6記載の発明の効果に加えて、さらに利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
簡単な構造のフロアスタンドであって、ワイパーの切り取り後にロールの先端部分が巻き戻りにくく、また、次に使用するときに先端部分が引き出しやすい構造にしたフロアスタンドを提供する目的を達成するために、ロール状に巻回されたワイパーを支持するためのフロアスタンドであって、ロールの中心孔を貫通して該ロールを回転可能に軸支する芯棒と、該芯棒の両端部を着脱自在に支持する保持部を備えた本体部材と、該本体部材に回動可能に軸支されて前記ロールの上面を被覆する押さえ板とを有するフロアスタンドにおいて、前記押さえ板の先端部には、前記ロールから引き出されたワイパーの先端部分を該押さえ板の上面側に導く長孔を備えたことにより実現した。
【実施例】
【0032】
以下、本発明のフロアスタンドについて、好適な実施例をあげて説明する。図1〜図5はフロアスタンドの全体図で、図6はフロアスタンドにおける上部の構造を詳細に示す拡大斜視図である。
【0033】
図1〜図6において、ロール状に巻回されたワイパーを支持するためのフロアスタンド1は、第1脚部材2と第2脚部材3を有する本体部材4と、該本体部材4の左右両側に各々設けられている左右1対の保持部5,5と、該保持部5,5に脱着自在等に取り付けられた芯棒6と、該本体部材4に取り付けられた押さえ板7とにより構成されている。
【0034】
なお、本実施例で使用するロール状のワイパー30(以下、前後の状況によって、単にロール30またはワイパー30という場合もある)は、例えば不織布で作られてロール状に巻回されたもので、ワイパーの先端部分30aを所定長さに引き出して、予め設けられているミシン目で切断して使用されるものを一例とするが、必ずしもミシン目が設けられていないロール状のワイパー30であっても差し支えない。
【0035】
前記第1脚部材2は、左右両側に各々第1支持脚部2a,2aを設けるとともに、該第1脚部2a,2aの上下の両端部を連結部2b,2cで各々連結して、概略矩形状にパイプ材で形成されている。また、第1支持脚部2a,2aの上端部には、外側に突出させたストッパー8,8が形成されている。該ストッパー8,8は、コ字状に屈曲させた金具の両側先端部分を第1支持脚部2a,2aの側面または背面に溶接等で固定し、第1支持脚部2a,2aとの間に矩形状をした環状孔9,9を形成した状態にして取り付けられている。
【0036】
前記第2脚部材3は、パイプ材でコ字形に形成され、左右両側に各々第2支持脚部3a,3aを設けるとともに、該第2支持脚部3a,3aの下側部を連結部3bで連結して、概略コ字状のパイプ材で形成されている。また、第2支持脚部3a,3aの開放された左右の上端部は、第1脚部材2の中間部に上記保持部5,5とジョイントボルト10,10を介して回動可能に連結されている。
【0037】
前記保持部5,5は、図6中に詳細に示しているように、第2脚部材3の左右上端部内側に固定して取り付けられている基板11と、該基板11の内面側に固定して取り付けられているブラケット12とで構成されている。
【0038】
前記基板11の一部は第1支持脚部2aの内面に当接し、かつ該第1支持脚部2aと該基板11を貫通して取り付けられたジョイントボルト10により、第1支持脚部2aの上下方向中間部に回動可能に取り付けられている。
【0039】
前記ブラケット12は、金属板材をプレス成形してなる。また、図6および図7に示すように、前側片12aと底面片12bと後側片12cで上面および内側に開口部分を有するコ字状溝を形成し、かつ前側片12aと後側片12cの一側部から外側に向かって折り曲げられている取付片12d,12eを基板11の内面に固定して取り付けられている。
【0040】
ブラケット12を基板11の内面に固定する方法としては、前述した取付片12d,12eを設けずして、図示は省略するが、前側片12aと後側片12cの端部を直接基板11へ溶接にて固定してもよい。この構成の場合は、ブラケット12の製作工程がより簡単となる。
【0041】
なお、ブラケット12と芯棒6との組み合わせ配置状態等を概略的に示している図7から明らかなように、ブラケット12の前側片12aと後側片12cは、底面片12bから上方へ進むのに従って互いに離れる方向に傾斜して設けられ、とくに、前側片12aはワイパーの先端部分30aが引き出される前側方向へ傾斜しており、後述する芯棒6を挿入する際に、ブラケット12の上部開口の前後方向の間隔が広くて、芯捧6を挿入しやすいように構成してある。
【0042】
また、前側片12aの底面片12bからの高さは、後側片12cの底面片12bからの高さよりも大きく形成されており、ワイパーの先端部分30aを引き出す時に、ワイパー30を回転可能に軸支している芯棒6が前側(引き出し側)に力を受けながら上方に多少浮き上がった場合であっても、芯棒6が前側片12aを乗り越えてロール30がブラケット12から脱落しないように設定してある。
【0043】
前記芯棒6は、両端部6a,6aが左右のブラケット12,12内にそれぞれ着脱自在に受け入れられ、該ブラケット12,12間に掛け渡された状態で取り付けられるもので、ブラケット12,12より内側に位置する左右両側部分に、それぞれ環状の鍔部13,13が装着されている。なお、本実施例の場合では、図3に示すように、ロール幅が寸法W1と寸法W2と寸法W3の3つのタイプのロール30を、1種類の芯棒6に取り付けることができるようになっている。
【0044】
したがって、芯棒6上における左右の鍔部13,13の距離は、最大幅の寸法W3よりも若干大きく設定してあり、また鍔部13,13の外径はロール状物品30の中心孔31の内径よりも若干小さく、ロール30の中心孔31内へ芯棒6を鍔部13と共に挿入できるように構成されている。
【0045】
前記押さえ板7は、図6および図7に示すように、フレーム14と、該フレーム14に固定して取り付けられた覆板15とより構成されている。フレーム14は、左右両側部14a,14aと、該左右両側部14a,14aの前端側を連結している前端部14bと、該左右両側部14a,14aの後端側を内側へほぼ直角に屈曲した係止部14c,14cとを有しており、棒状金属材で平面視概略コ字状に形成されている。
【0046】
前記押さえ板7は、ロール30を上方から押さえて、ロール30の逆転による先端部の巻き込みを防止するためのものであり、種々の実験を行った結果、次に述べるような形状とした。前記押さえ板7の前端部A(フレームの前端部14b)から後端部D(フレームの係止部14c)に至るまでに、2箇所の屈曲部BおよびCが設けられ、屈曲部Bと屈曲部Cはそれぞれ反対方向へ屈曲されて、押さえ板7の側面視がヘ字形を反転して連続した形状となっている。
【0047】
押さえ板7の屈曲部Bから屈曲部CまでのBC部分に対して、前端部Aから屈曲部BまでのAB部分を上向きに傾斜させてあり、AB部分とBC部分の成す角度αを120°〜179°とし、好ましくは角度αを140°〜175°とする。これは、ワイパーの先端部分30aをAB間の長孔16から引き出して、必要量カットした後に、先端部分30aがロール30本体側に巻き戻るのを防止するための最適な角度である。なお、図7の二点鎖線で示すように、BC部分に対してAB部分を下向きに傾斜させて、AB部分とBC部分の成す角度βを120°〜179°とし、好ましくは角度βを140°〜175°としても、前述と同様の作用効果を得ることができる。
【0048】
一方、屈曲部Bから屈曲部CまでのBC部分と、屈曲部Cから後端部DまでのCD部分との成す角度γを135°〜179°とし、好ましくは角度γを150°〜177°とする。これは、ロール30の円周に沿って押さえ板7を効果的に働かせるためである。
【0049】
さらに、押さえ板7の後端部は、フレーム14の左右両側部14a,14aの後端側を内側へほぼ直角に屈曲して係止部14c,14cが形成され、該係止部14c,14cを前記第1支持脚部2a,2aの上部側面に設けられている取付孔17,17に係合させて、前記フレーム14を上下方向へ回動自在に取り付け、ロール30の上面を被覆する構造になっている。
【0050】
また、覆板15は、フレーム14の前部側に取り付けられ、覆板15の前端部15aとフレーム14の前端部14bとの間に長孔16となる隙間を設けて、該フレーム14の左右両側部14a,14aに跨って取り付けられている。押さえ板7の先端部分が上向きに傾斜させてあり、押さえ板7の下面側に配置されているロール30のワイパー先端部分30aを、前記長孔16から押さえ板7の上面側に導出させておくことにより、先端部分30aがロール30本体側に巻き戻るのを防止できる。
【0051】
なお、前述したように、押さえ板7の先端部分を下向きに傾斜させた場合も、前記ワイパー先端部分30aを押さえ板7の下面側から上面側へ導出させておくことにより、先端部分30aがロール30本体側に巻き戻るのを防止できる。
【0052】
ここで、前記長孔16の前後方向の幅(AB部分の内寸法)は1〜50mmとし、好ましくは3〜35mmとする。これは、前述のBC部分に対してAB部分に角度α(または角度β)の傾斜を設けたことと同様に、ワイパーの先端部分30aがロール30本体側に巻き戻るのを防止するためと、さらに、新しいロール30をセットしてスタートさせる際、ワイパーの先端部30aを長孔16へ簡単に挿通できるという、作業の容易性を図るためでもある。
【0053】
次に、このように構成されたフロアスタンド1の使用例を説明する。まず、フロアスタンド1を使用しないとき、ブラケット12から芯棒6をロール30と共に取り外し、第2脚部材3の連結部3b側を第1脚部材2の下連結部2b側に押し付けると、該第2脚部材3がジョイントボルト10を支点にして内側に回転し、図5に示すように、第1脚部材2と第2脚部材3が互いに密着された状態に折り畳んでおくことができる。
【0054】
フロアスタンド1を使用する場合は、ジョイントボルト10,10を支点にして、第2脚部材3を第1脚部材2に対して回転させ、第1脚部材2の下連結部2bと第2脚部材3の連結部3bとの間を開く。この場合、第2脚部材3の上端部が第1脚部材2の側面に当接して回転が規制されるまで回転させることができる。次いで、押さえ板7の側部14aが第1支持脚部2a,2aのストッパー8,8と衝突するまで(図4中に二点鎖線で示す状態)、押さえ板7を上側に回転させると、その衝突した開位置に保持しておくことができる。
【0055】
続いて、ロール30の中心孔31に芯棒6を挿入する。このとき、芯捧6の両端部近傍に設けた鍔部13,13のうち、ロール30の中心孔31に挿入された一方の鍔部13が、中心孔31に接触しながら芯捧6が挿入されていく。そして、ロール30の中心孔31の縁に他方の鍔部13が突き当たって芯捧6の挿入が停止する。このように、芯棒6に設けた鍔部13が抜け止めとなり、芯捧6が反対側へ抜け落ちることがなく、挿入の位置決めができる。
【0056】
次いで、ロール30を取り付けた芯棒6を、左右のブラケット12,12の上側から前側片12aと後側片12cとの間に落とし込む。芯棒6の落とし込みでは、前側片12aと後側片12cとの間の隙間は、上側に向かって大きく開いているので、スムーズに挿入できる。一方、底面片12bに乗るまで芯棒6が落ち込むと、前側片12aと後側片12cとの間隙寸法が小さくなっているので、芯棒6とのブラケット12との隙間が殆どなくなり、ガタツキを押さえた状態でセットされる。また、前側片12aが後側片12cよりも高さが大きいため、フロアスタンド1の使用時に、ロール30が引き出し側に引っ張られたとしても、芯捧6がブラケット12から不慮脱落するようなことはない。
【0057】
こうしてロール30と芯棒6とが保持部5にセットされたら、次にロール30の先端部分30aを押さえ板7の下面側から長孔16に通して上面側へ繰り出す。その後、押さえ板7をロール30の上面に倒して被覆するとセットが完了する。
【0058】
そして、ワイパー30を使用する場合は、長孔16から押さえ板7の上面側に導出されている先端部分30aの一部を使用者が指で摘んで、ミシン目等が前部14bと対応する位置まで先端部分を引き出して、さらに下方に引き下げると、ワイパー30がミシン目で容易に切断される。また、切り取りが終って新たに残された先端部分30aは、次回に使用するときに使用者が指で摘めるように、押さえ板7の上面前端(前部14bの外面)に添って垂れ下がる状態で残される。
【0059】
このように、本発明のフロアスタンド1によれば、ロール状のワイパー30を切断部で確実に切断でき、また切断作業後、押さえ板7の前部上面に、常にワイパーの先端部分30aを残した状態にすることができ、操作性並びに信頼性の向上に寄与できる。
【0060】
図8は、ロール30から抜き出した芯棒6の保持状態を示し、芯棒6の一端部に鎖やチェーン等の紐状連結部材18の一端部を取り付けておき、該紐状連結部材18の他端部をストッパー8の環状孔9に接続しておく。したがって、ロール30を交換する際に、取り外した芯棒6が紐状連結部材18でストッパーに繋がれているので、取り外した芯棒6が他所へ不慮移動することがなく、芯捧6の紛失を防止することができる。
【0061】
また、図示は省略するが、本体部材4の第1脚部材2または第2脚部材3の側面に、取り外した芯棒6の一端部を差し込んで収納できるホルダーを設けておき、不使用時に取り外した芯棒6をホルダーに保持できるようにしてもよい。この構成においても、図8に示す構成と同様に、取り外した芯棒6の紛失を防止することができる。
【0062】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係るフロアスタンドを使用状態で示す斜視図。
【図2】同上フロアスタンドの平面図。
【図3】同上フロアスタンドの正面図。
【図4】同上フロアスタンドの側面図。
【図5】同上フロアスタンドを折り畳み状態で示す側面図。
【図6】同上フロアスタンドの上部分の拡大斜視図。
【図7】同上フロアスタンドの図6のX−X線断面図。
【図8】同上フロアスタンドの芯捧の保持状態を示す要部斜視図。
【符号の説明】
【0064】
1 フロアスタンド
2 第1脚部材
2a 第1支持脚部
3 第2脚部材
3a 第2支持脚部
4 本体部材
5 保持部
6 芯棒
7 押さえ板
8 ストッパー
9 環状孔
11 基板
12 ブラケット
12a 前側片
12b 底面片
12c 後側片
13 鍔部
14 フレーム
15 覆板
16 長孔
30 ロール状のワイパー(単にロールまたはワイパー)
30a ワイパーの先端部分
31 中心孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻回されたワイパーを支持するためのフロアスタンドであって、ロールの中心孔を貫通して該ロールを回転可能に軸支する芯棒と、該芯棒の両端部を着脱自在に支持する保持部を備えた本体部材と、該本体部材に回動可能に軸支されて前記ロールの上面を被覆する押さえ板とを有するフロアスタンドにおいて、
前記押さえ板の先端部には、前記ロールから引き出されたワイパーの先端部分を該押さえ板の上面側に導く長孔を備えたことを特徴とするフロアスタンド。
【請求項2】
上記本体部材は、第1脚部材と、該第1脚部材の中間部に回動可能に連結された第2脚部材とを有し、前記第1脚部材に対して前記第2脚部材が折り畳み可能に形成されていることを特徴とする請求項1記載のフロアスタンド。
【請求項3】
上記本体部材には、上記押さえ板が上記ロールの上面から上方へ所定量回動されたときに、該押さえ板が当接して保持されるストッパーが設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のフロアスタンド。
【請求項4】
上記芯棒には、上記ロールの左右幅よりも大きな距離を隔てた左右両側近傍の各位置に、前記ロールの中心孔の内径よりも小さな外径を有する鍔部が設けられていることを特徴とする請求項1,2または3記載のフロアスタンド。
【請求項5】
上記保持部は、上記第2脚部材の内側に固定されて第1脚部材に回動自在に取り付けられた基板と、該基板の内側に固設されて上記芯棒の両端部を上方から受け入れる側面視コ字状またはU字状のブラケットとから構成され、該ブラケットの少なくとも上記ロールが引き出されていく前側片の上部を引き出されていく側へ傾斜させるとともに、該前側片の高さが後側片の高さよりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1,2,3または4記載のフロアスタンド。
【請求項6】
上記ストッパーに紐状連結部材の一端部を取り付けるとともに、該紐状連結部材の他端部が上記芯棒の一端部に取り付けられていることを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載のフロアスタンド。
【請求項7】
上記本体部材には、取り外された上記芯棒を収納可能な収納部が設けられていることを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6記載のフロアスタンド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−67538(P2009−67538A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−238241(P2007−238241)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(000183462)日本製紙クレシア株式会社 (112)
【Fターム(参考)】