説明

フロントフォークアッセンブリの組立方法

【課題】フロントフォークアッセンブリを効率よく組み立てできるフロントフォークアッセンブリの組立て方法を提供すること。
【解決手段】一対のフォーク11と、この一対のフォーク11を略平行に固定するステム12と、これら一対のフォーク11の間に配置されるホイール13と、このホイール13をフォーク11に回転自在に取り付けるアクスル15と、を備えるフロントフォークアッセンブリ10を組み立てる。フロントフォークアッセンブリの組立方法は、一対のフォーク11を略平行に配置するとともに、この一対のフォーク11の間にホイール13を配置し、アクスル15でホイール13を一対のフォーク11に取り付ける手順と、一対のフォーク11をステム12に取り付ける手順と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントフォークアッセンブリの組立方法に関する。詳しくは、それぞれ挿通孔を有する複数の部品と、これら挿通孔に挿通されたアクスルと、を備えるフロントフォークアッセンブリ組立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動二輪車の前輪部分であるフロントフォークアッセンブリは、一対のフォーク、ステム、ホイール、ブレーキパネル、アクスルなどの部品で構成される。これらの部品のうち、フォーク、ステム、ホイール、およびブレーキパネルには、挿通孔が形成されている。
【0003】
このフロントフォークアッセンブリは、例えば、以下の手順で組み立てられる(特許文献1参照)。
すなわち、まず、図5(a)に示すように、ステム12を組み立てて(ST1)、このステム12を立てた状態で、図5(b)に示すように、ステム12の挿通孔にフォーク11を挿通し(ST2)、図5(c)に示すように、ボルト122で締め付けて、これらフォーク11をステム12に固定してアッセンブリ化する(ST3)。これにより、一対のフォーク11を平行に配置する。そして、図5(d)に示すように、このアッセンブリを別ステーションに搬送する(ST4)。
【0004】
一方、図6(a)に示すように、ホイール13を用意し(ST5)、図6(b)に示すように、このホイール13にブレーキパネル14を取り付けた後(ST6)、図6(c)に示すように、カラー151を取り付けてアッセンブリ化する(ST7)。そして、図7(a)に示すように、このアッセンブリ化したホイール13を、既にアッセンブリ化してた一対のフォーク11の間に配置し(ST8)、図7(b)に示すように、一対のフォーク11、ホイール13、およびブレーキパネル14の挿通孔、ならびに、カラー151にアクスル15を挿通する(ST9)。その後、図7(c)に示すように、このアッセンブリを反転させ(ST10)、図7(d)に示すように、ナット152を締め付けて、アクスル15を固定する(ST11)。
【0005】
この方法によれば、一工程毎に部品の取り付けを確実に行うことができるので、工程毎に分業しやすく、作業工程の一部を自動化して、フロントフォークアッセンブリを容易に組み立てることができる。
【特許文献1】特許第2773754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、製造コストを低減するため、上述のフロントフォークアッセンブリの組立作業をさらに自動化することが要請されている。
しかしながら、上述の組立方法では、一対のフォークの相対位置は、これら一対のフォークをステムに取り付けることによって決定される。よって、フォークの貫通孔の相対位置がずれている場合には、このフォークにホイールを取り付けると、ホイールがフォークに対して傾斜するおそれがある。
そのため、ホイールとフォークとの相対位置を再度調整するための設備が必要となり、作業効率が低下するおそれがあった。
【0007】
本発明は、フロントフォークアッセンブリを効率よく組み立てできるフロントフォークアッセンブリの組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のフロントフォークアッセンブリの組立方法は、一対のフォーク(例えば、後述のフォーク11)と、当該一対のフォークを略平行に固定するステム(例えば、後述のステム12)と、前記一対のフォークの間に配置されるホイール(例えば、後述のホイール13)と、当該ホイールを前記フォークに回転自在に取り付けるアクスル(例えば、後述のアクスル15)と、を備えるフロントフォークアッセンブリ(例えば、後述のフロントフォークアッセンブリ10)の組立方法であって、前記一対のフォークを略平行に配置するとともに、当該一対のフォークの間にホイールを配置し、前記アクスルで前記ホイールを前記一対のフォークに取り付ける手順と、前記一対のフォークをステムに取り付ける手順と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、まず、フォークを略平行に配置するとともに、これら一対のフォークの間にホイールを配置し、アクスルによりホイールをフォークに取り付ける。その後、これらフォークをステムに取り付ける。
したがって、フォークをステムに取り付ける前にホイールをフォークに取り付けることで、ホイールをフォークとの相対位置を高い精度で調整できるため、作業効率を向上できる。
【0010】
また、ホイールをフォークに取り付ける際には、ホイールやフォークなどの部品を略水平にした状態で積層することで組み立てることができるので、組み立て方向を変更する回数をできるだけ抑えることができ、組み立てを自動化する際に、設備を簡素化できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フォークをステムに取り付ける前にホイールをフォークに取り付けることで、ホイールをフォークとの相対位置を高い精度で調整できるため、作業効率を向上できる。また、ホイールをフォークに取り付ける際には、ホイールやフォークなどの部品を略水平にした状態で積層することで組み立てることができるので、組み立て方向を変更する回数をできるだけ抑えることができ、組み立てを自動化する際に、設備を簡素化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明一実施形態に係るフロントフォークアッセンブリの組立方法により組み立てられるフロントフォークアッセンブリ10の分解斜視図である。
【0013】
フロントフォークアッセンブリ10は、自動二輪車の前輪部分であり、一対のフォーク11、ステム12、ホイール13、ブレーキパネル14、アクスル15を含んで構成される。
【0014】
一対のフォーク11は、それぞれ、長尺状の部材であり、先端側には、挿通孔111が形成されている。
ステム12は、一対のフォーク11が挿通される一対の挿通孔121が形成されており、これら挿通孔121のそれぞれにフォーク11を挿通してボルト122で締め付けることにより、これら一対のフォーク11を略平行に保持する。
【0015】
ホイール13は、略円盤状であり、ホイール13の中心には挿通孔131が形成されている。
ブレーキパネル14は、略円盤状であり、ホイール13に取り付けられる。このブレーキパネル14の中心には、挿通孔141が形成されている。
ホイール13は、ブレーキパネル14が取り付けられた状態で、一対のフォーク11の間に配置される。
【0016】
アクスル15は、一対のフォーク11、ホイール13、およびブレーキパネル14のそれぞれの挿通孔111、131、141と、円筒状のカラー151とに挿通され、ナット152で締め付けられることにより、ホイール13をフォーク11に回転自在に固定する。
【0017】
次に、上述のフロントフォークアッセンブリの組立方法を、図2〜図4を参照しながら説明する。
まず、ST1では、図2(a)に示すように、アクスル15を略鉛直方向に立てておき、図2(b)に示すように、一方のフォーク11を略水平にした状態で搬送して、このアクスル15を一方のフォーク11に挿通する。さらに、同様に、図2(c)〜(e)に示すように、アクスル15をブレーキパネル14、ホイール13、およびカラー151に挿通する。そして、図2(f)に示すように、アクスル15を他方のフォーク11に挿通して、図2(g)に示すように、アクスル15の先端をナット152で締め付けて、アッセンブリ化する。このようにして、一対のフォーク11を略平行に配置するとともに、この一対のフォーク11の間にホイール13を配置し、アクスル15でホイール13を一対のフォーク11に取り付ける。
【0018】
ST2では、図2(h)に示すように、これらのアッセンブリを立て起こす。つまり、ST1が完了した状態では、アクスル15が略鉛直であるが、このアクスル15を略水平にする。
ST3では、図3に示すように、アッセンブリ化された一対のフォーク11をステム12に挿通し、フォーク11の位置を調整する。
ST4では、図4に示すように、ボルト122を用いて、これら一対のフォーク11をステム12に固定する。
【0019】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)まず、フォーク11を略平行に配置するとともに、これら一対のフォーク11の間にホイール13を配置し、アクスル15によりホイール13をフォーク11に取り付ける。その後、これらフォーク11をステム12に取り付ける。
したがって、フォーク11をステム12に取り付ける前にホイール13をフォーク11に取り付けることで、ホイール13をフォーク11との相対位置を高い精度で調整できるため、作業効率を向上できる。
【0020】
また、ホイール13をフォーク11に取り付ける際には、ホイール13やフォーク11などの部品を略水平にした状態で積層することで組み立てることができるので、組み立て方向を変更する回数をできるだけ抑えることができ、組み立てを自動化する際に、設備を簡素化できる。
【0021】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本実施形態では、ST1において、アクスル15の先端をナット152で締め付けたが、この締め付けは、本締めでも仮締めでもよい。ナット152を仮締めした場合には、ST4においてフォーク11とステム12との相対位置を調整して、フォーク11をステム12に固定した後、本締めを行う。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るフロントフォークアッセンブリの組立方法により組み立てられるフロントフォークアッセンブリの分解斜視図である。
【図2】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリのホイールとフォークとをアッセンブリ化する手順を説明するための図である。
【図3】前記実施形態に係るアッセンブリ化したフォークをステムに取り付ける手順を説明するための図である。
【図4】前記実施形態に係るフォークをステムに固定する手順を説明するための図である。
【図5】本発明の従来例に係るフロントフォークアッセンブリのフォークとステムとをアッセンブリ化する手順を説明するための図である。
【図6】前記実施形態に係るフロントフォークアッセンブリのホイールをアッセンブリ化する手順を説明するための図である。
【図7】前記実施形態に係るアッセンブリ化したホイールをアッセンブリ化したフォークに取り付ける手順を説明するための図である。
【符号の説明】
【0023】
10 フロントフォークアッセンブリ
11 フォーク
12 ステム
13 ホイール
14 ブレーキパネル
15 アクスル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のフォークと、当該一対のフォークを略平行に固定するステムと、前記一対のフォークの間に配置されるホイールと、当該ホイールを前記フォークに回転自在に取り付けるアクスルと、を備えるフロントフォークアッセンブリの組立方法であって、
前記一対のフォークを略平行に配置するとともに、当該一対のフォークの間にホイールを配置し、前記アクスルで前記ホイールを前記一対のフォークに取り付ける手順と、
前記一対のフォークをステムに取り付ける手順と、を備えることを特徴とするフロントフォークアッセンブリの組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−1105(P2009−1105A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−162881(P2007−162881)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】