説明

フロー制限手段を有する質量流量確認装置

デバイスによる流体の流率の測定値を確認するフロー確認装置であって、フロー制限手段を含む。このフロー制限手段は、流率の確認を、フロー制限手段の上流側にある要素が実質的に感知させない。このフロー確認装置は、前記デバイスからの前記流体のフローを受け取るように構成されている容器と、前記容器の内部の前記流体の圧力を測定するように構成されている圧力センサと、を含む。出口弁が容器からの流体のフローを受け取り、フロー制限手段が前記流体のフロー経路に沿って、前記容器の上流側に隣接するように配置されている。前記フロー制限手段は、前記フロー経路に沿った前記流体のフローを制限して前記フロー経路においてショックを誘導するように構成され、更に、前記流率の確認を前記フロー制限手段の上流にある要素に対して実質的に非感知的とするのに十分な時間間隔の間だけ前記ショックを維持するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2005年3月23日に出願された同時出願中の米国特許出願第11/0990,120号に関する米国特許法第120条の下での優先権を主張する。なお、この米国出願は、この出願においてその全体を援用する。
【背景技術】
【0002】
物質の処理においては、多くの高精度の測定システムが有用である。これらの高精度測定システムは、限定を意味するのではないが、質量流量コントローラ(MFC)と質量流量計(MFM)とを含む。
【0003】
MFCやMFMの精度を試験する又は確認することは望ましいことであるし、ときには必要である。MFCやMFMの精度を確認する1つの方法として、上昇速度(rate-of rise, ROR)フロー確認装置を用いる方法がある。典型的なRORフロー確認装置は、体積と、圧力トランスデューサと、上りと下りとが1つずつで2つの分離弁と、を含む。これらの弁は、アイドル状態の間は閉じられ、動作が開始されると開かれて、MFC(又はMFM)からの流体のフローがフロー確認装置を通過することを可能にする。いったん流体のフローが安定化すると、下りの弁は閉じられ、その結果として体積内の圧力が上昇し始める。圧力トランスデューサが、この圧力の上昇を測定する。この測定値は、流率を計算するのに用いられ、よって、RORフロー確認装置の性能を確認する。
【0004】
ときには、MFCとRORとの間のフロー経路に接続されている体積の結果として測定誤差が生じる。接続されている体積とは、例えば、RORフロー確認装置から上流に配置されている外部配管(プラミング)である。MFC(又はMFM)からの流体がMFCからフロー経路に沿った配管やそれ以外の接続されている体積を通過して流れると、結果的に圧力が低下することにより、圧力トランスデューサによる圧力測定値に不正確さが生じうる。
【0005】
これらの理由から、質量流量確認装置の上流に配置された配管やそれ以外の要素がフロー確認プロセスの精度に影響することを効果的に防止するシステム及び方法への必要性が存在している。
【発明の概要】
【0006】
デバイスによる流体の流率の測定値を確認するフロー確認装置であって、前記デバイスからの前記流体のフローを受け取るように構成されている容器と、前記容器の内部の前記流体の圧力を測定するように構成されている圧力センサと、を含む。フロー制限手段が、前記容器の上流側に隣接して、前記デバイスから入口を介して前記容器への前記流体のフロー経路に沿って配置されている。前記フロー制限手段は、前記フロー経路に沿った前記流体のフローを制限して前記フロー経路においてショックを誘導するように構成されている。更に、前記フロー制限手段は、前記確認を前記フロー制限手段の上流にある要素に対して実質的に非感知的とするのに十分な時間間隔の間、前記ショックを維持するように構成されている。
【0007】
外部要素がデバイスによる流率の測定値に関する質量流量確認装置による確認に影響を与えるのを防止する装置が説明される。外部要素は、質量流量確認装置から上流の側にある。この装置は、質量流量確認装置の上流側に隣接して配置されたフロー制限手段を含んでおり、その位置は、前記デバイスから前記質量流量確認装置への前記流体のフロー経路に沿っている。このフロー制限手段は、前記フロー経路に沿った前記流体のフローを制限し、前記フロー経路においてショックを誘導するように構成されている。前記フロー制限手段は、更に、前記確認を前記上流の外部要素にとって実質的に非感知的とするのに十分な時間間隔の間だけ前記ショックを維持するように構成されている。
【0008】
デバイスによる流体の流率の測定値を確認する方法であって、容器の出口弁が開放状態に維持されている間、前記流体を前記デバイスから前記容器に向けてフロー経路に沿って移動させるステップと、前記容器の中への前記流体の流率と前記容器の中の前記流体の圧力とが定常状態に至ることを許容するステップと、を含む。この方法は、更に、前記容器の出口弁を閉じて、前記容器内で前記流体の圧力が上昇し始めるようにするステップを含む。この方法は、更に、前記流体の流れを制限し、前記フロー経路に沿っており前記容器の上流側に隣接する位置においてショックを誘導するステップを含む。このショックは、前記流体のバルク速度(bulk velocity)を前記位置と前記容器との間で超音速とすることによって誘導される。このショックは、前記容器の中の前記流体の圧力の上昇速度が測定される時間間隔の間だけ維持され、前記測定された前記圧力の上昇速度は、前記流体の流率を計算するのに用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この明細書における開示では、フロー制限手段を含む質量流量確認装置が説明される。このフロー制限手段は、質量流量確認装置によるフロー確認プロセスから、このフロー制限手段自体の上流でのすべての事象を効果的に切断する。
【0010】
図1は、本発明の1つの実施例に従って構築されたフロー制限手段120を含む質量流量確認装置(MFV)100のブロック図である。後述するように、フロー制限手段120は、MFV100による質量流量の確認を、任意の外部体積及び/又はフロー制限手段120の上流側にある外部的な事象に対して実質的に不感知的にする。
【0011】
MFV100は、包囲された体積すなわち容器110を含むのであるが、容器110は、試験対象であるデバイス130からの流体のフローを容器110の入口(図示せず)において容器受け取るように構成されている。容器110の体積Vは既知である。デバイス130は、典型的には、流体の流率を測定する質量流量コントローラ(MFC)又は質量流量計(MFM)である。下り(下流方向)の出口弁140は、容器からの流体のフローを規制する。MFC130から容器110への流体のフローの遮断をオン及びオフする上り(上流方向)の入口弁(図示せず)がオプションで含まれる場合もある。ただし、図解されている実施例では、フロー制限手段120自体が、調整可能な入口弁として作用している。MFV100は、更に、容器110の内部の流体の圧力を測定するように構成された圧力センサ115と、容器110の内部の流体の温度を測定するように構成された温度センサ125とを含む。
【0012】
図1に図解された実施例では100による試験対象のデバイスは単一の質量流量コントローラ(MFC)130として図解されているが、他の実施例では、複数のMFCがMFV100に接続されMFV100によって試験される場合もある。複数のMFCは、例えば、上述したアメリカ出願である「120出願」のおいて図解され説明されているように気体マニホルドを介してMFV100に接続されていることもありうる。なお、既に述べたことであるがこの120出願は、その全体をこの出願において援用する。
【0013】
コントローラ160がMFV100に接続されている。コントローラ160は、MFC130の性能のインサイチュでの確認を制御し、入口弁と出口弁との動作を制御する。MFV100のある実施例では、コントローラ160は、「上昇速度(rate-of-rise)」の手法によるフロー確認技術を実装しており、その場合には、流体を既知の体積の中に移動させ、ある時間の間に生じる圧力の上昇を測定することによって、流体の流率が決定される。
【0014】
ある例示的な実施例では、試験対象となっているMFC130が、MFV100に接続される。アイドル状態の間は、MFVからMFC130への流体のフローは遮断される。MFV100の確認動作が始動されると、入口弁と出口弁140とが開かれることで、流体がMFC130からMFV100へ移動する。MFCには、フロー設定点(flow set point)が提供される。初期の間は、MFC130からの流体の流率と容器110の中の流体の圧力とは、定常状態に到達することが許容される。
【0015】
いったん定常状態に達すると、出口弁140は閉じられ、容器110内での流体の圧力が上昇を開始する。コントローラは、ある時間の間での圧力の上昇速度(すなわち、圧力の変化率、つまり、圧力の時間に関する導関数)を、容器110の中の圧力センサ115からの圧力測定値を受け取ることによって、決定する。例えば、容器110の中の温度及び圧力測定値は、この時間を通じて、所定の時間間隔で記録される。ある例示的な実施例では、所定の時間間隔は、それぞれが約0.00025秒であり、時間の全体は、約0.1秒から0.3秒の範囲である。もちろん、MFV100の他の実施例では、これとは別の時間間隔や全体時間を用いることが可能である。時間の最後には、出口弁140が開放され、容器110からの流体のフローが排気されることが許容される(例えば、真空ポンプやそれ以外のタイプの排気口又は出力部から)。
【0016】
流体圧力(流体温度で除算された)の上昇速度すなわち時間導関数Δ(P/T)/Δtは、容器110の既知の体積の中の温度及び圧力の測定値に基づいて計算される。計算された上昇速度Δ(P/T)/Δtに基づくと、MFC130から生じる流率を決定し確認することが可能であり、MFC130を適切に較正することができる。
【0017】
流率Qは、コントローラ160によって、Q=(V/T)(TSTP/PSTP)(ΔP/Δt)を用いて計算される。ただし、ここで、Vは容器110の所定の体積、TSTPは標準温度(摂氏0度又は273.15K)、PSTPは標準圧力(1atm又は101.325kPa)、Δ(P/T)Δtを圧力センサ及び温度センサによる温度及び圧力測定値を介して得られた容器温度によって除算された容器圧力の時間導関数である。
【0018】
測定誤差は、外部配管やそれ以外の接続された要素など、MFCとMFVとの間に配置された外部体積の結果として生じる。この外部体積は、典型的には、MFVの上流側に配置され、MFCとMFVとの間の流体のフロー経路上にある。典型的な「外部体積」135が、図1では、MFCとフロー確認装置100との間に示されている。外部体積の例には、限定は意味していないのであるが、外部配管、オリフィス、それ以外の体積などが含まれる。流体がMFCから外部体積135を通過して流れると、その結果として、MFV100の上流にある外部体積において圧力の低下が生じる。この圧力の低下により、流れている流体においては、MFV100の体積較正がなされた容器110と比較して、外部体積の上流側では、密度が高くなる。上流にある外部体積においてより高い密度が生じると、フロー確認装置100の体積較正されたチャンバ110の中の圧力測定値が不正確になり、フロー確認装置によって検出される気体の流率に誤差が生じる。大きな外部体積の場合に対処するには、時間がかかる設定較正が必要となり、その場合には、上流の配管やタイプに関する詳細で正確な情報が必要となる。
【0019】
外部配管などの外部体積によって生じる上述した不正確さを防止するため、フロー制限手段120が容器110に隣接した上流側に配置される。図解されている実施例では、フロー制限手段120のために、MFVによる流率の確認は、流体のフロー経路にショックを誘導することによって、フロー制限手段の上流側にあるどのような外部体積やそれ以外の存在には感知されなく(不感知的に)なる。出口弁が閉じられると、流体の圧力は容器の内部で上昇する。フロー制限手段は、確認プロセスが実行されるのに十分である時間の間は、ショックを維持する。
【0020】
フロー制限手段は、流体のバルク速度を超音波にする任意の要素である。フロー制限手段には、限定を意味しないが、毛細管、多孔性プラグ、オリフィス、ノズル、調整可能な弁などが含まれる。ノズルは、カスタム設計のノズルである。
【0021】
フロー制限手段には、拡散性の媒体(diffusive media)が含まれる場合がある。この拡散性の媒体は、この媒体の軸の長さ方向に沿っており圧力センサの応答時間よりも実質的に長い拡散時間係数を有する。拡散媒体は、上流の外部体積(例えば、配管)に関するすべての情報を遮断する。
【0022】
ある実施例では、フロー制限手段は、調整可能なフロー制限手段でありうる。この実施例では、流体のフローの制限は、1又は複数のファクタに基づいて調整が可能である。これらのファクタには、限定を意味しないが、流体の流率と、流体の分子量と、流体の比熱比とが含まれる。
【0023】
フロー制限手段は、流体のバルク速度をフロー制限手段の上流の要素と容器との間で音速にすることによって、ショックを誘導する。後述するように、流体のバルク速度がある時間の間に超音速に維持される限り、容器の中への流体の流率は、フローの確認がコントローラによって実行される間は、実質的に一定に維持される。
【0024】
フロー確認の読み取り、すなわち、圧力の上昇速度を測定しその測定値から流体の流率を計算するのに必要な時間は、ショックにわたる完全圧縮ナヴィエ・ストークス(full compressible Navier-Stokes)方程式であるt=(V/A)[(γ+1)/c]−(P/PSTP)(VTSTP/QT)によって与えられる。ただし、ここで、tは時間間隔、Vは容器の体積、cはショック・フロントのすぐ上流での音速、Aはフロー制限手段の断面積、γは気体の比熱比、Pは時間間隔の始期における容器の中の初期圧力、PSTPは標準圧力、TSTPは標準温度、Qは容器の中への流体の体積流量、Tは前記容器の中の前記流体の温度である。
【0025】
上述の数式は、限定は意味しないが、毛細管、オリフィス、多孔性プラグ、調整可能弁、ノズルなどを含む任意のタイプの外部体積又はフロー要素に対して一般に妥当する。超音速フロー(v>c)における熱力学的変数がジャンプし、そのフローがほんのいくつかの平均自由経路において亜音速となるとき、流体フロー経路においてショックが生じる。図2A及び図2Bに示されているように、MFV100と上流の配管(又は、それ以外の外部体積)との間でフローが亜音速である限りは、MFV100の中への流率は一定に保たれる。
【0026】
図2Aでは、時間を横軸に取り、その流率がMFV100を用いて確認されている流体の最大マッハ数(maximum Mach number)がプロットされている。他方で、図2Bでは、時間を横軸に取り、図2Aでプロットされているマッハすうにおける流体の対応する流率がプロットされている。これらのプロットは、共に、完全な流体力学的シミュレーションの結果である。図2A及び図2Bからわかるように、フロー要素における最大マッハ数が1よりも大きい限り、MFV100の中への流体の流率は一定に維持される。最大マッハ数が1未満になると、両方のプロットで参照番号200によって示されているように、MFVの中への流体の流率は低下し始める。フロー確認の読取りに利用可能な時間の長さは、参照番号220を用いて図2bに示されている時間によって与えられる。
【0027】
図3は、図1に図解されているMFVによる較正又は確認プロセスの間の異なる時点における、空間座標xの関数である圧力プロファイルのプロットである。空間座標xは、上流外部体積135とフロー制限手段120と容器110とのそれぞれの空間的な尺度を示している。流体のマッハ数が1よりも大きくなり始めるショック・フロントは、x=0.1mに配置されたものとして図解されている。図3からわかるように、参照番号310を用いて示されている0<t<t*という時間の間、MFV100は、上流の外部体積には感知されない。従って、フロー確認動作は、この時間の間に実行される。図3からわかるように、t>1のとき(図3では、参照番号320によって示されている)は、MFVは上流の外部要素に感知されるので、不正確さが入り込む。以上で述べたように、フロー制限手段を用いることにより、0<t<t*という時間の間にフロー確認の読取りがなされるときに、そのような不正確さを回避することができる。
【0028】
動作においては、MFC又はMFVによる流体流率測定値の確認をするのにある方法が用いられる。確認動作が開始されると、容器の出口弁が開かれている間、流体はフロー経路に沿ってMFCからMFVの容器の中へ移動される。初期の間は、容器の中へ流れ込む流体の流率と容器の内部の流体の圧力とは、定常状態に達することが許容される。フロー経路の沿った位置であって、容器の上流側の隣接する位置において、フロー制限手段は、流体フローを制限するのに用いられ、よって、ショックが生じる。フロー制限手段は、流体のバルク速度が上流の配管(又は、それ以外の外部体積)と容器との間で音速になるようにすることにより、ショックを誘導する。フロー制限手段は、上昇速度フロー確認プロセスを実行するのに十分な時間の間は、そのショックを維持する。容器の内部の流体の圧力の上昇速度は、この時間の間に測定される。圧力の測定された上昇速度は、流体の流率を計算するのに用いられる。
【0029】
フロー確認を外部体積が実質的に感知しないようにするフロー制限手段を有するMFVのいくつかの実施例を以上で説明してきたが、これらの実施例の中に内在する概念を他の実施例において同様に用いることができることを理解してほしい。この特許出願の保護は、単に問いの記載によってだけ限定される。特許請求の範囲の中の請求項では、単数形の要素を参照する場合に、特に言及がなされていない場合には、「ただ1つ」を意味するのではなくて、「1つ又は複数」を意味する。この出願における開示を通して説明されこの技術分野の当業者にとって既知である又は既知になる様々な実施例の要素と構造的及び機能的な均等物は、この出願に明示的に含まれるのであって、特許請求の範囲の含まれることが意図されている。更に、明示的に特許請求の範囲において記載されているかどうかとは関係なく、ここに開示されているないようは、公共に与えられることを意図していない。特許請求の範囲のどの構成要素も、その要素が明示的に「手段」(means for)という用語を用いて記載されていない限り、また方法の請求項の場合には「ステップ」(step for)という用語を用いて記載されていない限り、米国特許法第112条第6項の規定に従って解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の1つの実施例に従って構築された調整可能なフロー制限手段を有する上昇速度(ROR)質量流量確認装置を含む気体搬送システムのブロック図である。
【図2A】流率が確認されている流体の最大マッハ数のプロットを図解している。
【図2B】図2Aにおいてプロットされているマッハ番号における流体の対応する流率のプロットである。
【図3】図1に図解されている質量流量確認装置による確認プロセスの間の異なる時刻における圧力プロファイルのプロットを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスによる流体の流率の測定値を確認するフロー確認装置であって、
前記デバイスからの前記流体のフローを受け取るように構成されている容器と、
前記容器の内部の前記流体の圧力を測定するように構成されている圧力センサと、
前記デバイスから前記容器への前記流体のフロー経路に沿って配置されており前記容器の上流側に隣接するフロー制限手段と、
を備えており、前記フロー制限手段は、前記フロー経路に沿った前記流体のフローを制限して前記フロー経路においてショックを誘導するように構成され、更に、前記流率の確認を前記フロー制限手段の上流にある要素に対して実質的に非感知的とするのに十分な時間間隔の間だけ前記ショックを維持するように構成されていることを特徴とするフロー確認装置。
【請求項2】
請求項1記載のフロー確認装置において、前記フロー制限手段は、更に、前記流体のバルク速度を前記フロー制限手段の上流にある前記要素と前記容器との間で超音速とすることによりショックを誘導し、前記流体の前記バルク速度を前記時間間隔の間だけ超音速に維持することにより前記容器の中への前記流体の流率が前記時間間隔の間は実質的に一定に維持されることを特徴とするフロー確認装置。
【請求項3】
請求項1記載のフロー確認装置において、前記容器の出口からの前記流体のフローを規制するように構成された出口弁を更に備えており、
前記フロー制限手段は、更に、前記容器の中への流体の流率が定常状態に到達し前記出口弁が閉じられた後で前記フロー経路においてショックを誘導することにより、前記流体の圧力が前記容器の内部で上昇するように構成されていることを特徴とするフロー確認装置。
【請求項4】
請求項1記載のフロー確認装置において、前記フロー制限手段は、毛細管と多孔性プラグとオリフィスと調整可能弁とノズルとの中の少なくとも1つを含むことを特徴とするフロー確認装置。
【請求項5】
請求項1記載のフロー確認装置において、前記フロー制限手段は、1つ又は複数のファクタに基づいて前記流体のフローの制限を調整するように動作可能である調整可能なフロー制限手段を含むことを特徴とするフロー確認装置。
【請求項6】
請求項5記載のフロー確認装置において、前記1つ又は複数のファクタは、前記容器の中への前記流体の流率と、前記流体の分子量と、前記流体の比熱比とを含むことを特徴とするフロー確認装置。
【請求項7】
請求項1記載のフロー確認装置において、
前記容器の内部の前記流体の温度を測定するように構成されている温度センサと、
前記出口弁を制御するように構成されており、更に、前記出口弁が閉じてから前記時間間隔の間は前記容器の中の前記流体の圧力の上昇速度を測定することによって、また、前記測定された上昇速度を用いて前記デバイスからの前記流体の流率を計算することによって、前記デバイスによる前記流体の流率の測定値を確認するように構成されているコントローラと、
を更に備えていることを特徴とするフロー確認装置。
【請求項8】
請求項7記載のフロー確認装置において、前記コントローラは、Vを容器の体積、Tを前記容器の中の前記流体の温度、TSTPを摂氏0度で定義された標準温度であり約273.15kである温度、PSTPを1atmで定義された標準圧力、ΔP/Δtを前記時間期間の間の前記流体の圧力の上昇速度として、数式Q=(V/T)(TSTP/PSTP)(ΔP/Δt)を用いて前記デバイスからの前記流体の流率を計算するように構成されていることを特徴とするフロー確認装置。
【請求項9】
請求項7記載のフロー確認装置において、前記時間間隔は、tを前記時間間隔、Vを前記容器の体積、cを前記ショックのショック・フロントのすぐ上流にある音の速さ、Aを前記フロー制限手段の断面積、γを気体の比熱比、Pを前記時間間隔の始期における前記容器の中の初期圧力、PSTPを標準圧力、TSTPを標準温度、Qを前記容器の中への前記流体の体積流量、Tを前記容器の中の前記流体の温度として、t=(V/A)[(γ+1)/c]−(P/PSTP)(VTSTP/QT)によって与えられることを特徴とするフロー確認装置。
【請求項10】
請求項1記載のフロー確認装置において、前記デバイスは、MFC(質量流量コントローラ)とMFM(質量流量計)との少なくとも一方を含むことを特徴とするフロー確認装置。
【請求項11】
請求項1記載のフロー確認装置において、前記フロー制限手段の上流にある前記要素は、外部配管コンポーネントと外部体積とオリフィスとの中の少なくとも1つを含むことを特徴とするフロー確認装置。
【請求項12】
外部要素が流率確認装置による流体の流率の確認に影響を与えるのを防止する装置であって、前記流率確認装置は、質量流量コントローラから前記流体のフローを受け取るように構成されている容器と、前記容器からの前記流体のフローを制御するように構成された出口弁と、を含んでおり、前記外部要素は前記流率確認装置の上流側に配置されている、装置において、
前記質量流量コントローラから前記容器への前記流体のフロー経路に沿って配置されており前記容器の上流側に隣接するフロー制限手段を備えており、
前記容器への前記流体の流率が定常状態に到達し前記出口弁が閉鎖され前記容器の中の前記流体の圧力が上昇するようになった後で、前記フロー制限手段は、前記フロー経路に沿った前記流体のフローを制限して前記フロー経路においてショックを誘導するように構成され、
前記フロー制限手段は、更に、前記流率測定値の確認を前記外部要素に対して実質的に非感知的とするのに十分な時間間隔の間だけ前記ショックを維持するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12記載の装置において、前記フロー制限手段は、毛細管と多孔性プラグとオリフィスと調整可能弁とノズルとの中の少なくとも1つを含むことを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項13記載の装置において、前記フロー制限手段は、1つ又は複数のファクタに基づいて前記流体のフローの制限を調整するように動作可能である調整可能なフロー制限手段を含んでおり、前記1つ又は複数のファクタは、前記容器の中への前記流体の流率と、前記流体の分子量と、前記流体の比熱比とを含むことを特徴とする装置。
【請求項15】
デバイスによる流体の流率の測定値を確認する方法であって、
容器上の出口弁が開放状態に維持されている間、前記流体を前記デバイスから前記容器に向けてフロー経路に沿って移動させるステップと、
前記容器の中への前記流体の流率と前記容器の中の前記流体の圧力とが定常状態に至ることを許容するステップと、
前記容器の出口弁を閉鎖することにより前記容器の中の前記流体の圧力が上昇を開始するようにするステップと、
前記フロー経路に沿っており前記容器の上流側に隣接する位置において前記流体のフローを制限し、前記流体のバルク速度を前記位置と前記容器との間で超音速とすることによってショックを誘導して、ある時間間隔の間だけ前記ショックを維持するステップと、
前記時間間隔の間での前記容器の中の前記流体の圧力の上昇速度を測定し、前記圧力の前記測定された上昇速度を用いて前記流体の流率を計算するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
被試験デバイス(DUT)のインサイチュ確認のためのフロー確認装置であって、
DUTに接続可能な入口と、
前記DUTとこのフロー確認装置とを通過して気体を引き出す真空ポンプに接続可能な出口と、
所定の体積を有する容器と、
前記入口を前記容器に接続する拡散性媒体と、
前記容器を前記出口に接続して前記容器から前記出口へのフローを制御する出口弁と、
前記容器に動作的に接続されており前記容器の中からの温度測定値を提供する少なくとも1つの温度センサと、
前記容器に動作的に接続されており前記容器の中からの圧力測定値を提供する圧力トランスデューサと、
を備えていることを特徴とするフロー確認装置。
【請求項17】
請求項16記載のフロー確認装置において、前記拡散性媒体は毛細管を含むことを特徴とするフロー確認装置。
【請求項18】
請求項16記載のフロー確認装置において、前記拡散性媒体は多孔性プラグを含むことを特徴とするフロー確認装置。
【請求項19】
請求項16記載のフロー確認装置において、前記拡散性媒体は直列に接続された複数の離間されたフロー制限手段を含むことを特徴とするフロー確認装置。
【請求項20】
請求項16記載のフロー確認装置において、前記少なくとも1つの温度センサは前記容器の中からの平均的な温度測定値を提供するように構成されている1又は複数の温度センサを含むことを特徴とするフロー確認装置。
【請求項21】
請求項16記載のフロー確認装置において、前記温度センサと前記圧力トランスデューサと前記弁とに接続されタイマを含むコントローラを更に備えており、前記MFVが前記DUTと前記真空ポンプとの間に接続されると、前記真空ポンプは動作し、前記DUTはフロー設定点を提供され、前記コントローラは、
前記弁を開放し、
前記容器の中のフローと圧力とが定常状態に到達することを許容し、
前記弁を閉鎖し、時刻t=0における前記所定の体積の前記容器の中の温度Tと圧力Pとを記録し、
時刻t=Nまで所定の間隔で前記所定の体積の前記容器の中の温度Tと圧力Pとを記録し、
時刻t=0からt=Nまでの前記所定の体積の前記容器の中の温度測定値と圧力測定値とに基づいて、前記容器の圧力を前記容器の温度で除した関数の時間導関数Δ(P/T)/Δtを計算し、
時刻t=0からt=Nまでの前記所定の体積の前記容器の中の温度と圧力との時間導関数に基づいて、前記DUTによって生じた流率を計算するようにプログラムされていることを特徴とするフロー確認装置。
【請求項22】
請求項21記載のフロー確認装置において、前記コントローラは、更に、前記フロー計算ステップをs回反復し、s回を通じて前記DUTによって生じる平均流率を計算するようにプログラムされていることを特徴とするフロー確認装置。
【請求項23】
請求項21記載のフロー確認装置において、Vvesselを前記容器の前記所定の体積、TSTP/を摂氏0度の標準温度(273.15K)、PSTPを1atmの標準圧力(101.325kPaと定義される)、Δ(P/T)/Δtを時刻t=0からt=Nまでの前記所定の体積の前記容器の中の温度と圧力とに基づく前記容器の圧力を前記容器の温度で除した関数の時間導関数として、前記流率QはQ=(VvesselSTP/PSTP)(Δ(P/T)/Δt)を用いて計算されることを特徴とするフロー確認装置。
【請求項24】
請求項16記載のフロー確認装置において、前記容器の前記所定の体積は20cc未満であることを特徴とするフロー確認装置。
【請求項25】
請求項16記載のフロー確認装置において、前記拡散性媒体、前記容器及び前記出口弁と並列に前記入口と前記出口との間に接続されたバイパス弁を更に備えていることを特徴とするフロー確認装置。
【請求項26】
被試験デバイス(DUT)のインサイチュ確認方法であって、
所定の体積を有する容器を前記DUTと真空ポンプとの間に接続するステップと、
前記容器と前記DUTとの間でフローを拡散させるステップと、
前記DUTと前記容器とを通過して気体が引き出されるように前記真空ポンプを動作させるステップと、
前記DUTにフロー設定点を提供し、前記容器の中のフローと圧力とが定常状態に達することを許容するステップと、
前記容器と前記真空ポンプとの間のフローを停止させるステップと、
時刻t=0における前記所定の体積の前記容器の中の温度Tと圧力Pとを記録するステップと、
時刻t=Nまで所定の間隔で前記所定の体積の前記容器の中の温度Tと圧力Pとを記録するステップと、
時刻t=0からt=Nまでの前記所定の体積の前記容器の中の温度測定値と圧力測定値とに基づいて、前記容器の圧力を前記容器の温度で除した関数の時間導関数Δ(P/T)/Δtを計算するステップと、
時刻t=0からt=Nまでの前記所定の体積の前記容器の中の温度と圧力との時間導関数に基づいて、前記DUTによって生じた流率を計算するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26記載の方法において、前記フロー計算ステップはs回反復され、s回を通じて前記DUTによって生じる平均流率が計算されることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項26記載の方法において、Vvesselを前記容器の前記所定の体積、TSTP/を摂氏0度の標準温度(273.15K)、PSTPを1atmの標準圧力(101.325kPaと定義される)、Δ(P/T)/Δtを時刻t=0からt=Nまでの前記所定の体積の前記容器の中の温度と圧力とに基づく前記容器の圧力を前記容器の温度で除した関数の時間導関数として、前記流率QはQ=(VvesselSTP/PSTP)(Δ(P/T)/Δt)を用いて計算されることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項26記載の方法において、前記容器の前記所定の体積は20cc未満であることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項26記載の方法において、前記容器と前記DUTとの間の前記フローは毛細管を用いて拡散されることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項26記載の方法において、前記容器と前記DUTとの間の前記フローは多孔性プラグを用いて拡散されることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項26記載の方法において、前記容器と前記DUTとの間の前記フローは直列に接続された複数の離間されたフロー制限手段を用いて拡散されることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項26記載の方法において、前記容器の中からの前記温度測定値は、前記所定の体積の前記容器の中の複数の位置で同時に測定された温度測定値から計算された平均温度測定値を含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
被試験デバイス(DUT)のインサイチュ確認のためのフロー確認装置であって、
DUTに接続可能な入口と、
前記DUTとこのフロー確認装置とを通過して気体を引き出す真空ポンプに接続可能な出口と、
所定の体積を有しており前記入口に接続された容器と、
前記容器を前記出口に接続して前記容器から前記出口へのフローを制御する出口弁と、
前記容器に動作的に接続されており前記容器の中からの温度測定値を提供する少なくとも1つの温度センサと、
前記容器に動作的に接続されており前記容器の中からの圧力測定値を提供する圧力トランスデューサと、
前記温度センサと前記圧力トランスデューサと前記弁とに接続されタイマを含むコントローラであって、前記MFVが前記DUTと前記真空ポンプとの間に接続されると、前記真空ポンプは動作し、前記DUTはフロー設定点を提供されるコントローラと、
を備えており、前記コントローラは、
前記弁を開放し、
前記容器の中のフローと圧力とが定常状態に到達することを許容し、
前記弁を閉鎖し、時刻t=0における前記所定の体積の前記容器の中の温度測定値Tと圧力測定値Pとを記録し、
時刻t=Nまで所定の間隔で前記所定の体積の前記容器の中の温度測定値Tと圧力測定値Pとを記録し、
時刻t=0からt=Nまでの前記所定の体積の前記容器の中の温度測定値と圧力測定値とに基づいて、前記容器の圧力を前記容器の温度で除した関数の時間導関数Δ(P/T)/Δtを計算し、
時刻t=0からt=Nまでの前記所定の体積の前記容器の中の温度と圧力との時間導関数に基づいて、前記DUTによって生じた流率を計算するようにプログラムされており、
vesselを前記容器の前記所定の体積、TSTP/を摂氏0度の標準温度(273.15K)、PSTPを1atmの標準圧力(101.325kPaと定義される)、Δ(P/T)/Δtを時刻t=0からt=Nまでの前記所定の体積の前記容器の中の温度と圧力とに基づく前記容器の圧力を前記容器の温度で除した関数の時間導関数として、前記流率QはQ=(VvesselSTP/PSTP)(Δ(P/T)/Δt)を用いて計算されることを特徴とするフロー確認装置。
【請求項35】
請求項34記載のフロー確認装置において、毛細管が前記容器を前記入口に接続することを特徴とするフロー確認装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−534925(P2008−534925A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503004(P2008−503004)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/007711
【国際公開番号】WO2006/104640
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(592053963)エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド (114)
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED