説明

フロー培養機

【課題】疾病に関連する遺伝子群から発現因子を探る場合に、培地液量を少なく抑えつつ、生体環境に近い刺激を生体細胞に確実に負荷してフロー培養を行えるようにする。
【解決手段】底面を隔膜31で形成したカップ状のケース19と、ケース19の内外で隔膜31とともに第1室41及び第2室43を形成する内側水路ブロック15,外側水路ブロック17を具備し、隔膜31の第1室41側に生体細胞をセット可能とした生体細胞セット部5と、所定の溶存酸素濃度に維持した培養液47を貯留する第1の培養液貯留部7と、培養液47よりも溶存酸素濃度を低く維持した培養液47aを貯留する第2の培養液貯留部9と、培養液47を第1室41を通して循環させる第1循環ポンプ11と、培養液47aを第2室43を通して循環させる第2循環ポンプ13を備え、内側水路ブロック15の隔膜対向面51に、乱流発生用突起51aを複数設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、疾病に関連する遺伝子群から発現因子を探るのに用いられる生体細胞の遺伝子発現状態解析方法において、擬似生体環境下に生体細胞を曝してフロー培養を行うのに好適なフロー培養機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、疾病に関連する遺伝子群から発現因子を探る場合、静置培養では生体環境に近い刺激を負荷することができないので、生体細胞に対して生体環境に近い刺激を負荷し得るフロー培養装置が広く用いられている。
【0003】
このフロー培養装置を用いて疾病に関連する遺伝子群から発現因子を探る場合、生体細胞を添加した培養カップを装置にセットしてフロー培養を行い、培養後において、生体細胞から培地を除去するのに続いて、iso−geneを添加して細胞を溶解して成る溶出液を回収し、この回収した溶出液内のRNAの発現状態を解析するようにしていた。
【非特許文献1】アルバート ジェイ バーンズ(Albert J.Banes)、外2名、「ストリーマー(Streamer)」、テクニカル レポート(Tech Report)、フレクセル インターナショナル コーポレーション(FLEXCELL INTERNATIONAL CORPORATION)、2003年10月9日、第101号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来において、生体細胞に対して生体環境に近い刺激を負荷可能なフロー培養装置を用いて疾病に関連する遺伝子群から発現因子を探る場合には、多量(200〜500ml)の培地液を必要とするうえ、生体細胞に生体環境に近い刺激を負荷仕切れない場合があるといった問題を有しており、この問題を解決することが従来の課題となっていた。
【0005】
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたものであり、例えば、疾病に関連する遺伝子群から発現因子を探る場合、培地液量を少なく抑えたうえで、生体環境に近い刺激を確実に負荷して、生体細胞をフロー培養することが可能であるフロー培養機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、擬似生体環境下に生体細胞を曝してフロー培養を行うのに用いるフロー培養機であって、カップ状を成し且つ底面を透過膜で形成したケースと、このケースの内側に位置してケース底面の透過膜との間で第1室を形成する内側水路ブロックと、上記ケースの外側に位置してケース底面の透過膜との間で第2室を形成する外側水路ブロックを具備し、第1室及び第2室を仕切るケース底面の透過膜の第1室側に生体細胞をセット可能とした生体細胞セット部と、所定の溶存酸素濃度に維持した培養液を貯留する第1の培養液貯留部と、この第1の培養液貯留部に貯留した培養液よりも溶存酸素濃度を低く維持した培養液を貯留する第2の培養液貯留部と、第1の培養液貯留部に貯留した溶存酸素濃度の高い培養液を生体細胞セット部の第1室を通して循環させる第1循環ポンプと、第2の培養液貯留部に貯留した溶存酸素濃度の低い培養液を生体細胞セット部の第2室を通して循環させる第2循環ポンプを備え、上記生体細胞セット部の第1室を形成する内側水路ブロックの透過膜対向面に、乱流発生用突起を複数設けた構成としたことを特徴としており、このフロー培養機の構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上記した構成としているので、例えば、疾病に関連する遺伝子群から発現因子を探る場合、短時間で且つ多くの培地液を必要とすることなく、生体細胞に対して生体環境に近い刺激を確実に負荷してフロー培養することができるという非常に優れた効果がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のフロー培養機において、生体細胞の遺伝子の発現状態を解析する方法に用いる場合、まず、生体細胞セット部におけるケース底面の透過膜の内側に生体細胞を配して静置培養する。
【0009】
次いで、生体細胞セット部のケースの内側に内側水路ブロックを配置してケース底面の透過膜との間で第1室を形成すると共に、ケースの外側に外側水路ブロックを配置してケース底面の透過膜との間で第2室を形成する。
【0010】
そして、第1循環ポンプにより生体細胞を配したケース底面の透過膜の第1室側に対して第1の培養液貯留部に貯留した溶存酸素濃度の高い培養液を流すと共に、第2循環ポンプによりケース底面の透過膜の第2室側に対して第2の培養液貯留部に貯留した溶存酸素濃度の低い培養液を流して、この培養液の流れ,酸素勾配を加えた培養液の流れ,低比重リポタンパクを加えた培養液の流れ及び酸素勾配と低比重リポタンパクを加えた培養液の流れのうちのいずれかの刺激に上記生体細胞を曝してフロー培養を行う。
【0011】
この後、培養後の生体細胞から培地を除去するのに続いて、iso−geneを添加して細胞を溶解して成る溶出液を回収し、この回収した溶出液内のRNAの発現状態をDNAマイクロアレイ又はリアルタイムPCR法を用いて解析する。
【実施例】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明のフロー培養機の実施例を説明する。
【0013】
図1〜図6は、本発明のフロー培養機の一実施例を示しており、この実施例では、本発明のフロー培養機を生体細胞の遺伝子の発現状態を解析するシステムに用いた場合を示し、図1及び図3に示すように、この遺伝子発現状態解析システムは、フロー培養機1と、RNA回収手段110と、解析手段120を備えている。
【0014】
フロー培養機1は、ベース3上に載置された生体細胞セット部5と、第1の培養液貯留部7と、第2の培養液貯留部9と、第1循環ポンプ11と、第2循環ポンプ13とから主として構成されており、ベース3はステンレスの材質で帯板状に作られていて、ベース3を持ち上げることで培養機全体の持ち運びが可能となっている。
【0015】
生体細胞セット部5は、内側水路ブロック15と外側水路ブロック17と観察室を兼ねるケース19とを有している。外側水路ブロック17は、底部が透明版によって閉塞された開口窓21となっていて、ベース3に設けられた生体細胞観察窓23の窓枠25に固定支持され、第2取入口27と第2取出口29とを有している。
【0016】
ケース19は、フランジ部19aを有する上方が開放されたカップ状に作られていて、底面は薄いフィルム状の透過膜で作られた隔膜31となっている。
【0017】
内側水路ブロック15は、図4にも示すように、外側水路ブロック17とともにケース19を固定支持するブロックホルダ16を一体的に具備しており、このブロックホルダ16は、第1取入口33及び第1取出口35を有していると共に、外側水路ブロック17の上端縁に支持されたケース19のフランジ部19aを上から押えつける押えフランジ37を有している。そして、外側水路ブロック17の周面に設けたねじ部17aに締結キャップ39を螺合して、上記押えフランジ37をケース19のフランジ部19aを介して外側水路ブロック17の上端縁に押付固定することで、内側水路ブロック15,外側水路ブロック17及びケース19の三者を一体的に固定支持するようにしており、これにより、隔膜31を介して第1室41及び第2室43が作られるようになっている。
【0018】
第1、第2室41、43は、Oリング等のシール部材45によって水密状態に仕切られており、隔膜31で仕切られた上位側となるケース19の内側、すなわち、ケース19の内側に位置する内側水路ブロック15とケース底面の隔膜31との間が第1室41となり、隔膜31で仕切られた下位側となるケース19の外側、すなわち、ケース19の外側に位置する外側水路ブロック17とケース底面の隔膜31との間が第2室43となっている。
【0019】
第1室41は、内側水路ブロック15に設けた貫通孔52を介して第1取入口33及び第1取出口35と接続連通していると共に、第2室43は、第2取入口27及び第2取出口29と接続連通しており、図5及び図6にも示すように、第1室41を形成する内側水路ブロック15の隔膜対向面(透過膜対向面)51には、第1取入口33からの培養液47を第1取出口35まで流す間に乱流を生じさせる乱流発生用突起51aが複数設けてある。この場合、乱流発生用突起51aには、図5に示すような円柱形状を成すものや、図7に示すような平板状を成すものを採用することができる。
【0020】
第1培養液貯留部7及び第2培養液貯留部9は、図3に示すように、ベース3の上面に並列に配置されていて、第1培養液貯留部7は生体細胞セット部5の第1室41用としてあると共に、第2培養液貯留部9は生体細胞セット部5の第2室43用としてある。
【0021】
第1培養液貯留部7は、図1に示すように、循環用入口53及び循環用出口55を有する貯留タンク57内に培養液47を充填していると共に溶存酸素検出センサ59及び撹拌子61を具備して成り、その外には、フィルタ63を介して大気中から酸素を取入れる大気取入れ口65を有している。培養液47は、溶存酸素濃度が約20%で、主成分はおもに低比重リポタンパク(LDL)と白血球とでできている。
【0022】
溶存酸素検出センサ59は、培養液47の酸素濃度が約20%となるよう監視するものである。具体的には、溶存酸素検出センサ59の検出値に基づき図外の吸引装置を作動して吸引口67から吸引を行ない、大気取り入れ口65から空気を取り入れることで、培養液47内の溶存酸素濃度が約20%となるよう制御管理すようになっている。一方、撹拌子61は、駆動モータ69によって回転する磁石71の磁力により回転が与えられて、貯留タンク57内の培養液47を撹拌するよう機能する。
【0023】
第1循環ポンプ11は、培養液47を吐出する吐出ポンプ部73と、この吐出ポンプ部73で吐出された同一吐出量の培養液47を吸込む吸込ポンプ部79とで構成され、この実施例では、吐出ポンプ部73及び吸込ポンプ部79が交互に切換わるダイヤフラムポンプとなっている。
【0024】
即ち、左右一対のダイヤフラム81,81によって独立した第1ポンプ室83と第2ポンプ室84とが形成され、第1ポンプ室83及び第2ポンプ室84の各ポンプ取入口85,85と各ポンプ取出口87,87には、ポンプ取入口85からポンプ取出口87へのみ流れを許す一方向弁89,89がそれぞれ設けられている。
【0025】
つまり、ダイヤフラム81に対して駆動モータ91からの回転動力を偏心カム軸93及び駆動リンク95を介して図1矢印方向の往復運動として付与することで、第1ポンプ室83を吐出ポンプ部73として機能させ、これと同時に、第2ポンプ室84内を拡大させることで、第2ポンプ室84を吸込ポンプ部79として機能させる。
【0026】
一方、第2培養液貯留部9は、図2に示すように、循環用入口53a及び循環用出口55aを有する貯留タンク57a内に培養液47aを充填していると共に溶存酸素検出センサ59a及び撹拌子61aを具備して成り、その外には、フィルタ63aを介して大気中から酸素を取入れる大気取入れ口65aを有している。培養液47aは、溶存酸素濃度が約5%で、主成分はおもに低比重リポタンパク(LDL)でできている。
【0027】
溶存酸素検出センサ59aは、培養液47aの酸素濃度が約5%となるよう監視するものである。具体的には、溶存酸素検出センサ59aの検出値に基づき図外の吸引装置を作動して吸引口67aから吸引を行ない、大気取入れ口65aから空気を取入れることで、培養液47a内の溶存酸素濃度が約5%となるよう制御管理すようになっている。一方、
撹拌子61aは、駆動モータ69aによって回転する磁石71aの磁力により回転が与えられて、貯留タンク57内の培養液47aを撹拌するよう機能する。
【0028】
第2循環ポンプ13も、培養液47aを吐出する吐出ポンプ部73aと、吐出ポンプ部73aで吐出された同一吐出量の培養液47aを吸込む吸込ポンプ部79aとで構成され、この実施例では、吐出ポンプ部73a及び吸込ポンプ部79aが交互に切換わるダイヤフラムポンプとなっている。
【0029】
即ち、左右一対のダイヤフラム81a,81aによって独立した第1ポンプ室83aと第2ポンプ室84aとが形成され、第1ポンプ室83a及び第2ポンプ室84aの各ポンプ取入口85a,85aと各ポンプ取出口87a,87aには、ポンプ取入口85aからポンプ取出口87aへのみ流れを許す一方向弁89a,89aがそれぞれ設けられている。
【0030】
つまり、ダイヤフラム81aに対して駆動モータ91aからの回転動力を偏心カム軸93a及び駆動リンク95aを介して図2矢印方向の往復運動として付与することで、例えば、第1ポンプ室83a内を圧縮することで、第1ポンプ室83を吐出ポンプ部73として機能させ、これと同時に、第2ポンプ室84a内を拡大させることで、第2ポンプ室84aを吸込ポンプ部79aとして機能させる。
【0031】
第1ポンプ室83a及び第2ポンプ室84aの各ポンプ取入口85a,85aは、第2培養液貯留部9の循環用出口55a及び第2室43の第2取出口29とシリコン製のゴムチューブ99を介してそれぞれ接続連通しており、第1ポンプ室83a及び第2ポンプ室84aの各ポンプ取出口87a,87aは、第2室43の第2取入口27及び第2培養貯留部9の循環用入口53aとシリコン製のゴムチューブ101を介してそれぞれ接続連通している。
【0032】
シリコン製のゴムチューブ99,101は、ケース19を交換する際に内側水路ブロック15を外側水路ブロック17から取外す際に、自由に屈曲することで、内側水路ブロック15の取外しに何等支障が起きないようになっている。なお、シリコン製のゴムチューブ99,101には三方弁103が設けられており、この三方弁は、初期作動時に第1,第2循環ポンプ11,13を作動させながら弁体103aを開とすることで、チューブ99,101内及び第1,第2室41,43内の空気を外へ排出するように機能する。
【0033】
上記したフロー培養機1では、予め静置培養させた生体細胞(例えば、HUVEC;人臍帯静脈上皮細胞)を配したケース19の底面に位置する隔膜31の第1室41側に溶存酸素濃度の高い培養液47を流すと共に隔膜31の第2室43側に溶存酸素濃度の低い培養液47aを流して、この培養液47,47aの流れ,酸素勾配を加えた培養液47,47aの流れ,低比重リポタンパクを加えた培養液47,47aの流れ及び酸素勾配と低比重リポタンパクを加えた培養液47,47aの流れのうちのいずれかの刺激に生体細胞を曝露させるようにしている。
【0034】
RNA回収手段110では、上記フロー培養機1によるフロー培養後の生体細胞から培地を除去すると共にiso−geneを添加して細胞を溶解して成る溶出液を回収するようになっている。また、解析手段120では、RNA回収手段110で回収した溶出液内のRNAの発現状態をDNAマイクロアレイ又はリアルタイムPCR法を用いて解析するようになっている。
【0035】
そこで、上記した遺伝子発現状態解析システムを使って、生体細胞の遺伝子の発現状態を解析する手順を説明する。
【0036】
(1)細胞の調整
まず、フロー培養機1のケース19の隔膜31の第1室41側に生体細胞としてのHUVECを2×10cell添加し、37℃COインキュベータ内において一晩培養する。
【0037】
(2) セット及び培養開始
次いで、図4に示すように、フロー培養機1の生体細胞セット部5にケース19をセットするのに続いて、フロー培養機1の第1循環ポンプ11及び第2循環ポンプ13を作動させて第1培養液貯留部7及び第2培養液貯留部9をそれぞれ駆動し、生体細胞セット部5のHUVECを配した第1室41側に溶存酸素濃度の高い培養液47を流すと共に第2室43側に溶存酸素濃度の低い培養液47aを流す。
【0038】
この際、以下の4通りの刺激パターンa〜dのうちのいずれかの刺激パターンに上記HUVECを任意の時間曝してフロー培養を行う。
a.培養液47,47aの流れ
b.酸素勾配を加えた培養液47,47aの流れ
c.低比重リポタンパクを加えた培養液47,47aの流れ
d.酸素勾配と低比重リポタンパクを加えた培養液47,47aの流れ
但し、流れの強さ及び曝露時間は、目的によって異なる。
(3)RNAの回収
次に、RNA回収手段110において、フロー培養機1の生体細胞セット部5のケース19から培地が除去されるのに続いて、以下のア〜クの処理がなされる。
ア.iso−geneを1ml添加
イ.クロロホルムを0.2ml添加
ウ.遠心分離器(12000G,15分,4℃)による水相部回収
エ.イソプロパノールを0.5ml添加
オ.遠心分離器(12000G,10分,4℃)による上澄除去及び沈殿物回収
カ.エタノール(70%)を1ml添加
キ.遠心分離器(7500G,5分,4℃)による上澄除去及び沈殿物回収
ク.乾燥(風乾又は5〜10分間真空乾燥)
上記処理の後、RNA回収手段110において、細胞を用途に応じた溶媒に溶解して成るRNA溶出液を回収する。
(4)解析
そして、解析手段120において、回収した溶出液内におけるRNAの発現状態のDNAマイクロアレイ解析又は定量的リアルタイムPCR解析を行う。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のフロー培養機の一実施例を示す正面説明図である。(実施例1)
【図2】図1におけるフロー培養機の第2培養液貯留部側の正面方向からの説明図。(実施例1)
【図3】図1におけるフロー培養機の平面説明図である。(実施例1)
【図4】図1におけるフロー培養機の生体細胞セット部の拡大断面説明図である。(実施例1)
【図5】図1におけるフロー培養機の生体細胞セット部の内側水路ブロックの平面説明図である。(実施例1)
【図6】図5の内側水路ブロックの断面説明図である。(実施例1)
【図7】内側水路ブロックの他の構成例を示す平面説明図である。
【符号の説明】
【0040】
1 フロー培養機
5 生体細胞セット部
7 第1培養液貯留部
9 第2培養液貯留部
11 第1循環ポンプ
13 第2循環ポンプ
15 内側水路ブロック
17 外側水路ブロック
19 ケース
31 隔膜(透過膜)
41 第1室(透過膜の一方側)
43 第2室(透過膜の他方側)
47 溶存酸素濃度の高い培養液
47a 溶存酸素濃度の低い培養液
51 隔膜対向面(透過膜対向面)
51a 乱流発生用突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
擬似生体環境下に生体細胞を曝してフロー培養を行うのに用いるフロー培養機であって、
カップ状を成し且つ底面を透過膜で形成したケースと、このケースの内側に位置してケース底面の透過膜との間で第1室を形成する内側水路ブロックと、上記ケースの外側に位置してケース底面の透過膜との間で第2室を形成する外側水路ブロックを具備し、第1室及び第2室を仕切るケース底面の透過膜の第1室側に生体細胞をセット可能とした生体細胞セット部と、
所定の溶存酸素濃度に維持した培養液を貯留する第1の培養液貯留部と、
この第1の培養液貯留部に貯留した培養液よりも溶存酸素濃度を低く維持した培養液を貯留する第2の培養液貯留部と、
第1の培養液貯留部に貯留した溶存酸素濃度の高い培養液を生体細胞セット部の第1室を通して循環させる第1循環ポンプと、
第2の培養液貯留部に貯留した溶存酸素濃度の低い培養液を生体細胞セット部の第2室を通して循環させる第2循環ポンプを備え、
上記生体細胞セット部の第1室を形成する内側水路ブロックの透過膜対向面に、乱流発生用突起を複数設けたことを特徴とするフロー培養機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−202499(P2007−202499A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−26459(P2006−26459)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000114891)ヤマト科学株式会社 (17)