説明

フードカバー

【課題】暑い時期、介護現場において、訪問介護員が作った料理をすぐに食べてもらえない場合、冷蔵庫に入れるなどしていたが、要介護者は取り出す事が難しかった。保冷剤を使うなどして卓上でも保冷することは出来たが、保冷時間が短かった。いつでも気軽に使用できるよう、そばに置いていても邪魔にならないようなフードカバーが必要であった。
【解決手段】断熱材を用いて底とカバーになる部分を作り、カバー部の内側に保冷剤やカイロを入れるためのポケットを設ける。カバー部に裾を設け、底部の周囲に切り込みを入れたつばを設ける事で機密性を高め、カバーは正面から左右に開いて展開できるようにし、料理を並べ、保冷剤やカイロを入れる作業をしやすくする。未使用時は折畳んで裾と底部とカバー部に設けた面ファスナーで留めて、保冷バッグや保冷ペットボトルホルダーとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卓上に用意された料理を一定時間保冷または保温することが出来るとともに、保冷バッグや保冷ペットボトルホルダーとしても使うことが出来るフードカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
暑い時期、介護現場において、作った料理を要介護者にすぐ食べてもらえない場合、腐りやすいものは容器に移すなどして冷蔵庫に入れていた。または保冷剤を皿の下にひくか、かぶせたラップの上から置くなどしていた。それらの手間を解消するために、ドライアイスを用いて食卓に料理を置いたまま保冷出来る食卓用保冷カバー機(特許文献1参照)や保冷剤を用いて一定時間保冷出来る折畳み式卓上携帯保冷装置(特許文献2参照)が提案されている。
【0003】
寒い時期には、腐敗の心配は減る。しかしながら逆に料理が冷えすぎてしまい、料理の内容によっては電子レンジやトースターで温めなおさなければならなかった。その手間を解消する器具として食卓用保温具(特許文献3参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−211077号公報
【特許文献1】登録実用新案第3136166号公報
【特許文献1】登録実用新案第3081790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作った料理を冷蔵庫に入れてしまうと、独居の要介護者には取り出すことが難しい。そのために訪問介護員が居る間に食べてもらうか、夏場は腐りにくい物に限定した料理を作っていた。保冷剤を用いてある程度食卓に置いたまま料理を保冷する事は可能だが、保冷時間が短かった。食卓用保冷カバー機(特許文献1参照)はドライアイスを使用するため、無くなると買いに行かなければならない。また未使用時の折畳みが出来なかった。折畳み式卓上携帯保冷装置(特許文献2参照)は蚊帳と保冷剤を置く台の2点式で、設置や取り外しに手間がかかった。食卓用保温具(特許文献3参照)は箱状で、手に力の無いお年寄りが料理を取り出すことは難しい。既存の発明品のいずれも、見た目が重々しく、食欲を刺激されるような外観とは言い難かった。またいつでも気軽に使用出来るよう、未使用時においても、常に身近に置いておける形状の物が必要であった。
本発明は以上の問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
保温性を高めるために、保冷シートを用いて底を作る。底の周囲につばとなる部分を取り付け、立ち上げて底を器状にするため、つばに切込みを入れる。カバー部にも同じく保冷シートを用いて、円錐形の展開図となるよう形成する。その際、隙間を無くして機密性を高めるため、左右の面が左前、または右前に重ねられるよう、円錐形と成ったときの実際の左右の端の接点より長く作る。閉じたとき底とカバー部に隙間が生じるのを防ぐため、カバー部の底辺に裾を作り、使用する際はその裾を底の下に入れ込む。カバー部の内側に保冷剤またはカイロなどを入れるためのポケットを設ける。カバー部の外側は保冷(保温)効果を高めるため、また外観を良くするため、キルティングの布地などで覆う。外側正面にボタンを取り付け、そのボタンに掛けてカバーを閉じるための紐を取りつける。カバー部の外側には、薬やメモ用紙を入れるためのポケットを設ける。
【0007】
本発明品を未使用時、折畳んで保冷バッグや保冷ペットボトルホルダーとしてテーブルの横やベッドにかけておくために、カバーを閉じるための紐と別に、もう一箇所反対側にも紐を取り付ける。この紐とカバーを閉じるための紐の二つの輪にもう一つ紐を通しておくか、通さずに外側に作ったポケットに入れておいて、必要な時取り出して通して使うようにする。バッグの形に折畳んだ時の接着面である、左側の裾の内側の端に各々面ファスナーを取り付ける。底部の裏に、左側裾の内側に取り付けた面ファスナーの対になる面ファスナーを取り付ける。続いて左側裾の外側にも面ファスナーを取り付け、それと対になる面ファスナーを、右側の裾の内側の端に取り付ける。続いてペットボトルホルダーの形に折畳んだ時の接着面である右側の裾の内側3箇所に各々面ファスナーを取り付け、その対になる面ファスナーは、側面に3箇所取り付ける。
以上の構成よりなるフードカバー
【発明の効果】
【0008】
作った料理をすぐ食べてもらえない場合でも、本発明品を用いて保冷することで、保冷剤のみを使用した場合に比べて長く、卓上で料理を保冷することが出来る。そのため独居の要介護者でも、ベッド脇のテーブルに置くなどしておけば、本発明品のボタンにかけてある紐を外してカバーを後ろに倒すだけで容易に食事をとることが出来る。設置する時も、広げた本発明品の底の上に料理を置き、冷凍庫で冷やしておいた保冷剤を内ポケットに入れてカバーを持ち上げて紐をボタンに掛け止めるだけで良いので容易である。また保冷剤は冷凍庫で冷やして繰り返し使用出来るので経済的である。お年寄りには懐かしい食卓カバーの外観を呈している事から、食欲を刺激する効果も期待できる。未使用時は折畳んで保冷バッグや保冷ペットボトルホルダーとなるので、ベッドの横にかけておくなどして、必要なとき気軽に使用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のフードカバーの使用状態を示す斜視図。
【図2】本発明のフードカバーを展開した状態を示す平面図。
【図3】本発明のフードカバーを折畳んで保冷バッグにした状態の前面を示す図。
【図4】本発明のフードカバーを折畳んで保冷バッグにした状態の背面を示す図。
【図5】本発明を折畳んで保冷ペットボトルホルダーにした状態の前面を示す図。
【図6】本発明を折畳んで保冷ペットボトルホルダーにした状態の背面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明すると、保冷(保温)性を高めるために、断熱作用を有する保冷シートを用いて、底部1を形成する(図2)。
この時、カバー部6を用いて底部1を囲って中空状のカバー部6を形成した場合にカバー部6と底部1の間に隙間が生じないことが望ましい。
このため、底部1の周りに複数の切り込みを介して複数のつば部2を形成し、折り返して立ち上げることにより底部1は容器状となる。
【0011】
この時、カバー部6は底部1と同様の保冷シートを用いて形成すると良く、底部1を底面とする円錐形に構成することで、使用時、何らかの外圧を受けた場合に於いても、本発明のフードカバーが押しつぶされ、内部に収納された料理等が潰れる等の事がないよう強度と形状を保たせる(図1)ことが出来る。
【0012】
その際、カバー部6を起こして底部1に設けたつば部2を囲い込みながら立体にしたとき、隙間を無くして機密性を高めるため、カバー部6の両端の面の前後を、左前または右前に重ねられるよう、実際に立体である円錐形を形成した場合より長めに設けてある。
【0013】
閉じたとき底部1とカバー部6に隙間が生じるのを防ぐため、カバー部6の底辺に複数の裾部10を形成し、底部1の下に入れ込む。
カバー部6の内側に保冷剤5等を入れるための内ポケット4を設ける。
カバー部6の外側は保冷、又は保温の効果を高めるため、キルティングの布地などで覆う。
底部1の後方の辺とカバー部6の一部の辺の略中央を一部接合する。カバー部6の外側正面にボタン7を取り付け、このボタン7に掛け止めてカバー部6を閉じるための紐8を輪状にして設ける。カバー部6の外側には、薬やメモを入れるための外ポケット9を設ける。
【0014】
未使用時、折畳んで保冷バッグや保冷ペットボトルホルダーとしてテーブルの横やベッドにかけておくために、カバーを閉じるための紐8と別に、もう一箇所反対側にも紐8を輪状にして設ける。
バッグの形に折畳んだ時の接着面である、左側の裾10の内側の端に各々面ファスナー11を設ける。
底部1の中央一列に、左側の裾10の内側の端に設けた面ファスナー11の対となる面ファスナー12を設ける。
左側の裾10の外側の端に面ファスナー11を設け、右側の裾10の内側の端には、左側の裾10の外側の端に設けた面ファスナー11の対になる面ファスナー12を設ける。
ペットボトルホルダーの形に折畳んだ時の接着面である、右側の裾10の内側の端に設けた面ファスナー12と対になる面ファスナー11を、カバー部6の外側に設ける。
【0015】
本発明品は以上のような構成であるから、これを使用するには、開いたフードカバーの底部1に料理3を並べ、内ポケット4に冷凍庫で冷やしておいた保冷剤5を入れた後、つば部2を底部1が器状になるよう立ち上げ、カバー部6の左右の端を持ち上げて起こし、左右の面を重ねて円錐形を形成して閉じ、カバー部6の裾10を底部1の下に入れ込み、カバー部6の左右が開かないようボタン7に紐8を掛け止める。
【0016】
食べる時はボタン7に掛け止めてある紐8を外してカバー部6を後ろに倒すようにして開く。
【0017】
未使用時は保冷剤5などを取り除いた後、底部1のつば部2を全て内側に折畳み、カバー部6に向かって谷折りし、カバー部6の左側の裾10を、底部1の左端まで折って底部1の裏に設けた面ファスナー12に、カバー部6の左側の裾10の内側に設けた面ファスナー11を重ね乗せて止める。
右側の裾10も底部1の右端まで谷折りし、左側の裾10の外側の面ファスナーの上に重ね乗せて留め、保冷バッグの形状とする。
ペットボトルホルダーの形にする場合は底部1を谷折りにした後、カバー部6の左側の裾10を底部1の中心まで谷折し、カバー部6の右側の裾10も底部1の中心まで谷折りし、右側の裾10の内側の端に設けた面ファスナー11を、カバー部6の外側に設けた面ファスナー12に重ね乗せて止める。
【符号の説明】
【0018】
1 底部
2 つば部
3 料理
4 内ポケット
5 保冷剤またはカイロ
6 カバー部
7 ボタン
8 紐
9 外ポケット
10 裾
11 面ファスナー
12 11の対となる面ファスナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フードカバーの内側に断熱性の素材を用いて、機密性を高めるために底となる部分の周囲につばを設け、前記つばを立ち上げて前記底が器状になるよう、前記つばに切裂きを設け、断熱性の素材を用いて形成するカバー部分の底辺には裾を設け、料理を囲った場合に機密性を高めるために、前記底の下に前記裾を入れ込み、前記カバー部の内側に、保冷剤やカイロを収納するためのポケットを設けた事を特徴とするフードカバー。
【請求項2】
折畳んで保冷バッグや保冷ペットボトルホルダーとして使用するため、前記裾と前記カバー部と前記底部の裏に面ファスナーを設けた事を特徴とする請求項1記載のフードカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−157407(P2012−157407A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17345(P2011−17345)
【出願日】平成23年1月30日(2011.1.30)
【出願人】(710012542)
【Fターム(参考)】