説明

ブラキセラピー方法及びシステム

目標領域200に関するブラキセラピーシステムは、中空の複数のチャネル110を有し、目標領域に植え込まれるアプリケータ100と、追跡装置175と、追跡装置によって受信される信号を生成する追跡信号発生器180と、プロセッサ550と、を有する。追跡装置は、複数のチャネルの少なくとも一部を通って前進され後退されるサイズ及び形状を有することができる。プロセッサは、追跡装置の移動に基づいて、複数のチャネルの1又は複数の位置を決定することができる。プロセッサは、追跡装置からの位置測定情報に基づいて、画像における複数のチャネルのロケーションを決定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、特に高線量率(HDR)ブラキセラピー(小線源治療)に関連する治療技術に関し、特にそれを参照して記述される。しかしながら、本発明は更に、例えば低線量ブラキセラピー、パルス化線量ブラキセラピー、高周波アブレーション、クリオアブレーション、マイクロ波アブレーション、レーザアブレーション、他の治療ソースの位置付け等の他の治療処置に関連するアプリケーションも見い出すことが理解されるべきである。
【背景技術】
【0002】
癌は、多くの場合、外科手術、化学療法、放射線療法等の治療法の組み合わせによって治療される。例えば、腫瘍は、多くの場合、外科的に除去され、その後、患者は、除去されなかった任意の癌細胞を殺すために化学療法又は放射線によって治療される。1つの放射線治療では、線形アクセラレータからのX線ビームが、(複数の)目標領域を通るように方向付けられる。対照的に、ブラキセラピーでは、(複数の)放射性線源又はシードが、内部から目標領域を照射するために、目標領域に挿入される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
HDRブラキセラピーでは、アプリケータが、照射されるべき目標領域を通って延在するように、患者内に位置付けられる。アプリケータは、1つのカテーテル、多数の分離可能なチャネル、いくつかのチャネルを含む装置、1又は複数のニードル、又は臓器特有のデザインでありうる。例えばイリジウム−192ペレット又はシードのような高線量率ソースは、ワイヤの端部上でアプリケータを通って移動され、計画された時間期間の間、1又は複数の位置にとどまる。この治療は、一般に、数日の期間にわたって、1日1又は2回繰り返される。
【0004】
乳癌を治療する例において、乳腺腫瘤摘出術に続いて、アプリケータが、照射されるべき目標領域に外科的に植え込まれる。CTスキャンが、目標領域におけるアプリケータ及び組織の高解像度画像を生成するために実施される。この画像は、ソースがアプリケータに沿ったどの場所に位置付けられるか、及びどれくらいの間位置付けられるかを計画するために、ブラキセラピー計画セッションの間使用される。
【0005】
計画されたブラキセラピー治療は、数日間にわたって1日1又は2回適用される。特に乳房のような軟組織の場合、アプリケータが、治療される組織に対してシフトしうる可能性がある。アプリケータが、適切な位置にあり、計画された治療が、供給されることを確実にするために、CTスキャン及びそれに伴う画像内のアプリケータのセグメント化が、各々のブラキセラピーセッションの前に実施される。これは、時間の浪費であり、面倒なプロセスでありうる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の開示は、本発明の性質及びサマリーを簡潔に示す発明の開示を要求する37 C.F.R.§1.73に従うために提示される。発明の開示は、それが請求項の範囲又は意味を解釈し又は制限するために使用されないという理解の下で提示される。
【0007】
例示的な実施形態の1つの見地によれば、ブラキセラピー方法は、目標領域にアプリケータを位置付けるステップであって、アプリケータが複数の中空のチャネルを有する、ステップと、追跡装置を複数のチャネルの少なくとも一部を通って移動させるステップと、追跡装置の移動に基づいて、複数のチャネルの1又は複数の位置を得るステップと、複数のチャネルの1又は複数の位置に基づいて、放射線量を投与するためのブラキセラピー計画を生成するステップと、を含む。
【0008】
例示的な実施形態の別の見地によれば、コンピュータ可読記憶媒体は、それに記憶されるコンピュータ実行可能なコードを含むことができ、コンピュータ実行可能なコードは、追跡装置に基づいて、目標領域に関するアプリケータの複数のチャネルの1又は複数の位置を得るステップであって、アプリケータが目標領域に位置付けられ、追跡装置が、複数のチャネルの1又は複数を通って移動される、ステップと、複数のカテーテルの1又は複数の位置に基づいて放射線量を投与するためのブラキセラピー計画の少なくとも一部を生成するステップと、をコンピュータ可読記憶媒体がロードされるコンピューティング装置に実行させるように構成される。
【0009】
例示的な実施形態の別の見地によれば、目標領域に関するブラキセラピーシステムは、複数の中空のチャネルを有するアプリケータと、追跡装置と、追跡装置によって受け取られる信号を生成する追跡信号発生器と、プロセッサと、を有する。追跡装置は、複数のチャネルの少なくとも一部を通って前進され、後退されるサイズ及び形状を有することができる。プロセッサは、追跡装置の移動に基づいて、複数のチャネルの1又は複数の位置を決定することができる。
【0010】
ここに記述される例示的な実施形態は、今日のシステム及びプロセスよりも優れた、放射線被曝の低減及び計画されたブラキセラピーの保証される正確さを含む多くの利点を有する。加えて、ここに記述されるシステム及び方法は、既存のアプリケータに後付けされることができ、それに追跡システムを組み込んで製造される必要はない。更に別の利点及び利益が、以下の詳細な説明を読み、理解することによって、当業者に明らかになる。
【0011】
本開示の上述の及び他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明、図面及び添付の請求項から、当業者によって評価され、理解される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】1つの例示的な実施形態のブラキセラピーシステムと共に用いられるアプリケータの概略図。
【図2】目標の解剖学的構造に植え込まれる図1のブラキセラピーアプリケータの第1の図。
【図3】目標の解剖学的構造に植え込まれる図1のブラキセラピーアプリケータの第2の図。
【図4】ブラキセラピーシステムの一部がその上に位置付けられる目標とされる解剖学的構造の概略図。
【図5】ブラキセラピーシステムの概略図。
【図6】ブラキセラピーを実施するための図1−図5のシステムによって使用されることができる方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の例示的な実施形態は、人間の高線量率(HDR)ブラキセラピーに関して記述される。本開示の例示的な実施形態は、人間又は動物にせよ、他のタイプのブラキセラピー及び身体の他の部分に適用されることができることが理解されるべきである。本開示の例示的な実施形態の方法及びシステムの使用は、他のタイプのアプリケータへの応用のために適応されることができる。本開示の例示的な実施形態の方法及びシステムの使用は、これに限定されないが、高周波アブレーション、クリオアブレーション、マイクロ波アブレーション及びレーザアブレーションを含む他のタイプの治療に対する応用のために適応されることができる。
【0014】
図面を参照して、特に図1−図5を参照して、ブラキセラピーシステム10は、複数の中空のチャネル又はカニューレ110を有するアプリケータ100を備えることができ、チャネルは、アプリケータの放射線シード受け取り端部105から、アプリケータの反対側の端部における閉じた先端115まで延在する。チャネル110の特定の形状は、多様でありえ、それに沿って放射性シードをガイドすることを可能にする支柱、カテーテル、チューブ又は他の構造でありうることが当業者によって理解されるべきである。回転ノブ120又は他のアクチュエータが、中空のチャネル110に機能的に接続されることができ、それによって、チャネルは、選択的に半径方向に膨らませられることができる(例えば弓のように曲がる)。例えば、チャネル110は、回転ノブ120を用いることにより、軸方向に縮められる可撓性チューブでありえ、その結果、チャネルは、半径方向に外向きに変形する。
【0015】
引っ張り棒のような膨張機構は、例えば、先端115及びコンプレッサリング125を互いの方に近づけて、ヘッド部分のチャネルを外向きに弓のように曲げるように、アプリケータ100の挿入されたヘッド部分を膨らませるためにアクチュエータ120を介して動作されることができる。チャネルは、中空のチャネルによって規定されるシード供給経路を、照射されるべき組織又は他の目標の解剖学的構造に隣り合うようにさせるために、適当なふくらんだ構造に膨張されることができる。この治療のための可撓性の、変形可能なチャネルを有するそのようなアプリケータは、Cianna Medical(Aliso Veijo, California)から入手可能なCianna SAVI HDRアプリケータである。後述するように、外向きの変形は、アプリケータ10が、効率的に治療を供給するように目標の解剖学的構造内の空隙を埋めることを可能にする。
【0016】
ブラキセラピーシステム10は、可動追跡センサ175を有することができる。センサ175は、フィールド発生器180等によって生成される電磁信号を受け取る電磁センサでありうる。一実施形態において、電磁センサ175は、センサが押し出し及び引っ張り力を介して各チャネル110を通って移動されることを可能にするワイヤ又は他の半硬質ケーブル150に接続されることができる。様々なタイプの電磁追跡システムが利用されることができる。
【0017】
一実施形態において、フィールド発生器180は、それぞれ異なる向きに複数のアンテナを有することができる。センサ175は、チャネル110のさまざまな位置に沿って、さまざまな向きで、アンテナから信号を拾うことができる。例えば相対信号強度、相対位相等のそれらの相対信号特性から、アンテナに対するセンサ175の位置が決定されることができる。別の実施形態において、センサ175は、それぞれ異なる向きを有する受信コイル又はアンテナを有することができる。一実施形態において、センサ175は、アプリケータ100の中を又はそれに沿って走るワイヤによって、例えばワイヤ150に沿って、イメージングシステム500のプロセッサ550と通信することができる。別の実施形態において、ワイヤレス通信経路が使用されることができる。他のタイプのアプリケータ及び他のタイプの追跡システムもまた企図される。
【0018】
一実施形態において、追跡システムは、例えばTraxtal Inc.又はNorthern Digital Inc.から入手可能な、さまざまな追跡コンポーネントを使用することができる。別の例として、可動追跡センサ175は、例えばNorthern Digitalから入手可能なOptotrak Certus運動計測システムのような、光学追跡技法及びコンポーネントを利用することができる。ロケーションセンサ又は送信機及びロケーションモニタ又は受信機のような他の技法及びコンポーネントが使用されることができ、超音波技法及びコンポーネントを含みうる。
【0019】
更に図6を参照して、ブラキセラピー方法が、参照数字600によって概略的に示されている。方法600は、さまざまなタイプのプロシージャののち、例えば、乳腺腫瘤摘出術が、寝台又は他のプラットホーム520上に位置しているように示される目標の解剖学的構造200から、癌塊若しくは潜在的な癌塊又は他の望ましくない組織を除去するために実施されたのち、放射線治療のために用いられることができる。手術後、ステップ602において、アプリケータ100は、その畳まれた状態で、切開口又は目標の解剖学的構造の他の入口ポイントを通じて、挿入されることができ、これは、カテーテル450等を介することを含む。アプリケータ100の畳まれた状態は、アプリケータの断面を最小限にするように、互いに平行であって近接している中空のチャネル110の各々を含むことができる。一実施形態において、アプリケータ100は、一般に、癌塊によって空けられたボリュームにヘッド部分を配置するために、選択された位置にアプリケータを配置するように超音波ガイダンスシステムを使用して位置付けられることができる。他のイメージング技法を含む他のガイダンスシステムが利用されることもできる。アクチュエータ220又はある他の膨張機構を使用して、アプリケータ100のチャネル110は、中空のチャネルによって規定されるシード供給経路を、照射されるべき組織に隣り合うようにするために、適当な膨張した構造に膨らませられることができる。
【0020】
アプリケータの挿入及び膨張後、ステップ604において、1又は複数のマーカのような複数のマーカ又は基準400が、植え込まれたアプリケータ100に近接して目標とされる解剖学的構造200に載置されることができる。各々のマーカ400は、電磁センサユニットを有することができ、例えばCTスキャナ500のような高解像度イメージングモダリティによって撮像可能でありうる。
【0021】
ステップ606において、アプリケータ100及び周囲組織を含む目標領域200の高解像度画像が、CTスキャナ500によって生成されることができ、CT画像メモリに記憶されることができる。囲まれたCTスキャン装置510が、説明の目的で図5に示されているが、本開示は、移動式Cアーム装置又はMRIを含むさまざまなイメージング装置の使用を企図する。
【0022】
ステップ608において、マーカ400の各々の位置及び向きが、例えば電磁追跡システム及びフィールド発生器180のような追跡システムを使用して得られる。例えば、電磁信号は、フィールド発生器180によって生成され、目標の解剖学的構造200に載置されたマーカ400によって受信されることができる。プロセッサ550は、取得された電磁データから、マーカ400の位置及び向きを決定することができる。上述したように、超音波又は光学技術のような他の追跡技法が利用される場合、追跡システムは、マーカ400の位置及び向きの測定を行うために、それらのモダリティを使用することができる。
【0023】
ステップ610において、電磁センサ175又は他の可動追跡装置は、チャネル110のうちの1つに位置付けられ、電磁的又は他の追跡測定信号を取得しながら、チャネルに沿って前進されることができる。このプロシージャは、チャネル110の各々について繰り返されることができ、例えばワイヤ150の使用を通じて、センサ175の前進及び/又は後退によって実施されることができる。ワイヤ150は、手動でチャネル110を通って前進され、後退されることができる。しかしながら、本開示は、ワイヤに機能的に接続されて、ワイヤ150を前進させ、後退させるアクチュエータ又は他の動力を企図し、かかるワイヤは、制御されたスピード下で前進され及び/又は後退されることができる。
【0024】
方法600は、CT画像のセグメント化のために電磁データを利用することができる。ステップ612において、ユーザは、CT画像において電磁的に追跡されたマーカ400を識別することができ、この情報を使用して、CT画像の基準のフレームに電磁測定情報を位置合わせすることができる。結果として得られた位置合わせは、基準の電磁フレームから基準のCT画像フレームへ、チャネル110の位置の電磁測定情報を移すために、利用されることができる。別の実施形態において、システム10は、例えばワイヤ150の移動の制御されたスピードを使用することによって、ユーザ介入なく、CT画像の基準のフレームに、電磁測定情報を位置合わせすることができる。ステップ614において、システム10は、例えばディスプレイ570を用いることにより、電磁測定されたジオメトリを、CT画像上に重ねて視覚的に表示することができる。ユーザは、正確なセグメント化として支柱位置の位置合わせされた電磁測定を受け入れ、拒否し又は編集することができ、放射線治療計画を続行することができる。
【0025】
マーカ400の使用は、追跡測定情報に部分的に基づいて、画像においてチャネル110を位置特定するための1つの技法であることが理解されるべきである。本開示は、マーカ400に付加的に又はその代替として利用される他の技法を企図する。例えば、例示的な実施形態は、位置特定のために画像の相関付け又は処理アルゴリズムを利用することができる。例えば、画像に現れる、既知の位置を有する1又は複数の特徴は、例えばアプリケータ100の一部である、画像相関付けアルゴリズムによって利用されることができる。
【0026】
一実施形態において、プロセッサ550は、チャネル110に沿ったさまざまな位置に関してセンサ175の、患者載置マーカ400に対する相対ロケーションを決定することができ、センサマップを生成することができる。マーカ400が、CT画像においても画像化される場合、チャネル110に沿ったセンサ175の、マーカに対する位置は、CTスキャナの座標系及びCTスキャナが生成するCT画像においても知られることができる。別の実施形態において、センサ175がチャネル110を通じて進むときのセンサ175のさまざまな位置又はロケーションは、センサマップから得られ、組み合わされた画像を生成するために、CT画像に重ね合せられることができ、組み合わせられた画像は、計画セッションメモリに記憶されることができる。
【0027】
一実施形態において、例えば組み合わせられた画像のような、イメージング及び電磁的追跡から得られる情報は、ブラキセラピーを計画するために、ブラキセラピー計画セッションにおいて利用されることができる。この計画セッションは、放射性シードがチャネルのどれに配置されるか、シードの配置のための支柱に沿った位置、及びシードがどれくらいの間当該位置にあるか、を決定することが必要でありうる。例えば、各々の放射性シードは、シードを囲む概して球状の複数の領域の各々において、単位時間当たり既知の線量を生成することができる。それぞれ異なる時間期間の間、チャネル110に沿ったそれぞれ異なるロケーションに放射性シードを位置付けることによって、周囲組織200の領域における総放射線量が決定されることができる。計画セッションにおいて、1又は複数の指定された周囲組織領域において供給されるべき所望の線量が、担当の癌専門医によって決定されることができ、(複数の)シードの位置及び持続時間が、供給される線量分布を所望の線量分布に合致させるように、計算されることができる。一実施形態において、計算は、例えばプロセッサのグラフィックユーザインターフェイスに入力される癌専門医により選択された線量分布に基づいて、治療計画を生成するとともに、シードの位置付けを最適化するように適切にプログラムされるプロセッサ550によって、実施されることができる。
【0028】
さまざまなブラキセラピー方法が、システム10の使用により得られた放射線治療計画に基づいて用いられることができる。例えば、アフターローダが、計画された治療セッションによってプログラムされ、適当な(複数の)放射性シードを充填され、アプリケータ100の装填端部に取り付けられることができる。一実施形態において、各々のシードは、シードの位置付けを確認するために、それ自身の電磁センサ又は他の追跡装置を保持することができる。アフターローダは、計算された持続時間の各々の間、選択されたチャネル110の各々を通じて、チャネルに沿った計算された位置又はロケーションの各々へ、シードを移動させることができる。別の実施形態において、シードは、例えばシードに機能的に接続される移動装置の測定情報(例えばワイヤがアプリケータまで伸張されている長さ)のような、他の情報及び他の装置を使用して、チャネルに沿った位置へ移動されることができる。
【0029】
ブラキセラピーセッションは、セッション中アプリケータが挿入されたままである状態で、数日間にわたって1日に複数回実施されることができる。一実施形態において、方法600又はその一部が、アプリケータが適当な位置からずれていないことを確かめるために、繰り返されることができる。別の実施形態において、プロセッサ550は、目標の解剖学的構造200内のアプリケータ100の位置ずれが生じていないか決定するために、アライメントデータ(すなわち、最近得られた支柱位置)を、元の支柱位置と比較することができる。プロセッサ550が、位置が変わったと判定する場合、1つのオプションは、電磁センサ175の付加の測定が行われるので、アプリケータをその元の位置及び向きに戻す又はできるだけその元の位置及び向きに近付けるように試みることによって、アプリケータ100を再位置付けすることを試みることである。
【0030】
アプリケータ100が、治療が計画された元の位置にない場合、マーカ400及び目標とされる解剖学的構造200に対するアプリケータの現在のロケーション及び元のロケーションの間の変更が、プロセッサ550によって判定されることができる。この変更は、例えば計画画像メモリからの計画画像に影響を及ぼすように、すなわち、変更に従ってアプリケータ100及び目標領域200の相対ロケーションをシフトさせて、変更された治療計画画像を形成するために、プロセッサによって使用されることができる。このシフトされた情報は、新しいブラキセラピー計画を生成するために、プロセッサ550によって使用されることができる。新しいブラキセラピー計画は、アフターローダへロードされることができ、次のブラキセラピーセッションが始められることができる。
【0031】
一実施形態において、線量デリバリの間、チャネル110及びシードの位置は、シードに結合される電磁センサ又は他の追跡装置によって、追跡されることができる。例えば、目標組織200は、3次元(3D)サブ領域に分割されることができる。電磁的に追跡されたシードロケーションは、3Dサブ領域にマップされることができ、各々のサブ領域における蓄積線量は、時間及びソースからの距離に基づいて、連続的に又は間欠的に更新され又はインクリメントされることができ、これは、供給された線量が、プロセッサ550及び/又は臨床医によってモニタされることを可能にする。ブラキセラピー計画からのずれが検出される場合、更新された線量計画が、ずれに基づいて生成されることができ(例えば次の位置におけるシードの持続時間を変更する等)、及び/又は治療が中止されることができる。ブラキセラピーセッション中にチャネル及びシードの追跡を実施することは、セッション中のアプリケータの移動がないことを確実にし、任意の移動が生じる場合、治療計画計算器は、リアルタイムにブラキセラピー計画を再計算することができる。シードに結合される追跡装置からのシード位置のフィードバックは更に、治療計画又は各々のセッションに実際に供給される放射線を示す放射線マップのレコードを生成するために使用されることができる。
【0032】
一実施形態において、外科的配置後のアプリケータ100の撮像は、MRI又は超音波(例えば3D超音波)イメージングを使用して、実施されることができる。本開示は更に、画像(CT、MRI及び/又はUS)における電磁的に追跡された基準マーカ400の自動的な識別を使用することを企図する。一実施形態において、システム10は、電磁的に測定されたジオメトリを、画像(CT、MRI及び/又はUS)に重ねて視覚的に表示することができる。この場合、ユーザは、電磁ジオメトリ及び画像の間の選択的な混合を行うことができる。別の実施形態において、システム10は、セグメント化プロセスの自動的な洗練を初期化するために、支柱位置の位置合わせされた電磁測定情報を利用することができる。
【0033】
乳房に関して記述されたが、前立腺、頭部、頸部及び婦人科部位に関する他のブラキセラピー処理もまた企図される。
【0034】
上述の手順のステップを含む本発明は、ハードウェア、ソフトウェア又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにおいて実現されることができる。本発明は、1つのコンピュータシステムにおいて集中化された形で、又はそれぞれ異なる構成要素がいくつかの相互接続されたコンピュータシステム全体に分散される分散形態で、実現されることができる。ここに記述される方法を実施するために適応される任意の種類のコンピュータシステム又は他の装置が適している。ハードウェア及びソフトウェアの一般の組み合わせは、コンピュータプログラムを有する汎用コンピュータシステムでありえ、コンピュータプログラムは、それがロードされ実行されるとき、ここに記述される方法を実施するようにコンピュータシステムを制御する。
【0035】
上述の手順のステップを含む本発明は、コンピュータプログラム製品に組み込まれることが可能である。コンピュータプログラム製品は、ここに記述されるさまざまなプロシージャ、プロセス及び方法をコンピューティング装置又はコンピュータに基づくシステムに実施させるためのコンピュータ実行可能コードを含むコンピュータプログラムが組み込まれたコンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。コンピュータプログラムは、本文脈において、情報処理能力を有するシステムに直接的に又は以下のいずれか又は両方の後に特定の機能を実施させることが意図される命令の組の、任意の言語、コード又は表記法での任意の表現を意味する:a)別の言語、コード又は表記法への変換;b)異なる材料形態での再生。
【0036】
ここに記述される実施形態の図は、さまざまな実施形態の構造の一般的な理解を提供することが意図され、それらは、ここに記述される構造を使用しうる装置及びシステムのすべてのエレメント及び特徴の完全な記述として働くことは意図されない。多くの他の実施形態が、上述の説明を吟味することにより、当業者に明らかになる。他の実施形態が、利用され、上述の説明から導き出されることができ、構造的及び論理的な置き換え及び変更が、本開示の範囲を逸脱することなく行われることができる。図は更に、描写的なものにすぎず、一定の比率で描かれていないことがある。図の特定の部分は誇張されていることがあり、他の部分は縮小されていることがある。従って、明細書及び図面は、制限的でなく説明的な意味において考察されるべきである。
【0037】
従って、特定の実施形態が、図示され、ここに記述されているが、同じ目的を達成することが意図される任意の構成が、示される特定の実施形態と置き換えられることができることが理解されるべきである。本開示は、さまざまな実施形態の任意の及びすべての適応例又は変形例をカバーすることが意図される。上述の実施形態及びここに具体的に記述されない他の実施形態の組み合わせが、上述の説明を吟味することにより、当業者に明らかになるであろう。従って、本開示は、本発明を実施するために企図される最良のモードとして開示される(複数の)特定の実施形態に制限されず、本発明は、添付の請求項の範囲内にあるすべての実施形態を含むことが意図される。
【0038】
開示の要約が、読者が技術的な開示の性質を速く確かめることを可能にする要約を要求する37 C.F.R.§1.72(b)に従うために提示される。要約は、請求項の範囲又は意味を解釈し又は制限するために使用されないという理解の下で提出される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラキセラピー方法であって、
複数の中空のチャネルを有するアプリケータを、目標領域に位置付けるステップと、
追跡装置を、前記複数のチャネルの少なくとも一部を通って移動させるステップと、
前記追跡装置の移動に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のチャネルのうちの1又は複数の位置を得るステップと、
前記追跡装置からの位置測定情報を使用して、画像における前記複数のチャネルの前記1又は複数の前記位置を特定するステップと、
前記複数のチャネルの前記1又は複数の前記位置に基づいて、放射線量を投与するためのブラキセラピー計画を生成するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記目標領域の近くに前記1又は複数のマーカを位置付けるステップを更に含み、前記複数のチャネルの前記1又は複数の前記位置は、前記1又は複数のマーカに少なくとも部分的に基づいて特定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のチャネルの前記1又は複数の前記位置を得るために電磁信号を利用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ワイヤの端部に前記追跡装置を位置付けるステップと、
前記ワイヤを使用して前記追跡装置を移動させるステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ブラキセラピー計画は、前記複数のチャネルの1つに関する放射性シードのシード位置及び前記シード位置における持続時間を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記目標領域は、乳房、前立腺、頭部、頸部及び婦人科部位のうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記画像に示される1又は複数の特徴に部分的に基づいて前記画像内の前記複数のチャネルの前記1又は複数の前記位置を特定するために、画像相関付けアルゴリズムを適用するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記画像を取得するために、コンピュータトモグラフィ、磁気共鳴イメージング及び超音波イメージングのうち少なくとも1つを実施するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のチャネルの前記1又は複数を表わすジオメトリが重ねられた前記画像を表示するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
コンピュータ実行可能コードが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ実行可能コードは、
追跡装置に少なくとも部分的に基づいて、目標領域に関してアプリケータの複数の中空のチャネルの1又は複数の位置を得るステップであって、前記アプリケータは、前記目標領域に位置付けられ、前記追跡装置は、前記複数のチャネルの1又は複数を通って移動される、ステップと、
前記複数のチャネルの前記1又は複数の前記位置に基づいて、放射線量を投与するためのブラキセラピー計画の少なくとも一部を生成するステップと、
を、前記コンピュータ可読記憶媒体がロードされるコンピューティング装置に実行させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
前記複数のチャネルの前記1又は複数の前記位置を得るために、前記コンピューティング装置に電磁信号を利用させるためのコンピュータ実行可能コードを更に含み、前記チャネルは膨張可能なチャネルである、請求項10に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記コンピューティング装置に、前記目標領域の外側部分に接続される1又は複数のマーカに部分的に基づいて、前記複数の中空のチャネルの前記1又は複数の前記位置を特定させるためのコンピュータ実行可能コードを更に含む、請求項10に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
前記1又は複数のマーカを有する前記目標領域の画像を取得するステップと、
前記1又は複数のマーカに少なくとも部分的に基づいて、前記複数のチャネルの前記1又は複数の位置を位置合わせするステップと、
を前記コンピューティング装置に実施させるためのコンピュータ実行可能コードを更に含む、請求項12に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
前記コンピューティング装置に、前記目標領域の前記画像を取得するためにコンピュータトモグラフィ、磁気共鳴イメージング及び超音波イメージングのうち少なくとも1つを実施させるためのコンピュータ実行可能コードを更に含む、請求項13に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
前記コンピューティング装置に、前記複数のチャネルの前記1又は複数を表わすジオメトリが重ねられた前記画像を表示させるためのコンピュータ実行可能コードを更に含む、請求項13に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
目標領域に関するブラキセラピーシステムであって、
中空であって膨張可能な複数のチャネルを有する、前記目標領域に植え込まれるアプリケータと、
追跡装置と、
前記追跡装置によって受け取られる信号を生成する追跡信号発生器と、
プロセッサと、
を有し、
前記追跡装置は、前記複数のチャネルの少なくとも一部を通って前進され、後退されるサイズ及び形状を有し、
前記プロセッサは、前記追跡装置の移動に基づいて、前記複数のチャネルの1又は複数の位置を決定し、
前記プロセッサは、前記追跡装置からの位置測定情報に少なくとも部分的に基づいて、前記画像における前記複数のチャネルの前記1又は複数のロケーションを決定する、システム。
【請求項17】
前記追跡信号発生器と通信し、前記目標領域の外側部分に載置可能な1又は複数の基準マーカを更に有し、前記プロセッサは、前記1又は複数の基準マーカに部分的に基づいて、前記画像における前記複数のチャネルの前記1又は複数の前記ロケーションを決定する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記追跡装置は、ワイヤの端部に位置付けられる電磁センサを有し、前記ブラキセラピー計画は、前記複数のチャネルの1つに関する放射性シードのシード位置及び前記シード位置の持続時間を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記1又は複数の基準マーカを有する前記目標領域の前記画像を取得する撮像装置を更に有し、前記プロセッサは、前記1又は複数の基準マーカに少なくとも部分的に基づいて、前記複数のチャネルの前記1又は複数の位置を位置合わせし、前記撮像装置は、前記画像を取得するために、コンピュータトモグラフィ、磁気共鳴イメージング及び超音波イメージングのうちの少なくとも1つを実施する、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサは、前記画像に示される1又は複数の特徴を利用する画像相関付けアルゴリズムに部分的に基づいて、前記画像における前記複数のチャネルの前記1又は複数のロケーションを決定する、請求項16に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2011−525828(P2011−525828A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515681(P2011−515681)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/IB2009/052522
【国際公開番号】WO2009/156893
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】