説明

ブラシ状構造体

【課題】一本のブラシ状構造体で多種類のブラシ状構造体の役割を果たすことができるブラシ状構造体を提供する。
【解決手段】複数のブラシ用毛材1からなる繊維束2の一方の端部3を融着やシリコン樹脂を用い固定して、他端部4を非拘束にし、その繊維束2の一部分を取り巻くように形成された筒体5が形成されて居るブラシ状構造体10であって、該筒体5が繊維束2上を自由に移動することにより非拘束部の長さを変更することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的に応じて非拘束ブラシ毛材長を変化させることにより、狭い範囲の部分や広い範囲の部分を好適に処理することのできるブラシ状構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からブラシ用毛材からなる繊維束の一方の端部を固定して他端部を非拘束にしたブラシ状構造体が知られ、身体や食器や瓶等の器具の洗浄あるいは家具や電子機器等の表面の清掃あるいは塗料の塗装や筆記具等の目的で使用されている。
例えば、頭皮および頭髪を洗浄するに際し、頭皮の皮脂汚れを落とすことができ、頭皮をキズ付けず、頭皮に優しい頭皮ケア用ヘアーブラシ(特許文献1)や手持ち式の研磨装置で用いるのに適したブラシ状砥石(特許文献2)等の既存技術がある。
【0003】
このような従来のブラシ状構造体は非拘束ブラシ毛材長が一定のため、例えば狭い範囲の部分を好適に処理するためには短い非拘束ブラシ毛を持つブラシ状構造体が用いられ、広い範囲の部分を処理するためには長い非拘束ブラシ毛を持つブラシ状構造体が使用されている。このため処理部位の範囲に適合する複数のブラシ状構造体が必要とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−136360号公報
【特許文献2】特開2004−142042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は一本のブラシ状構造体で多種類のブラシ状構造体の役割を果たすことができるブラシ状構造体を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、ブラシ用毛材からなる繊維束の一方の端部を固定して他端部を非拘束にし、その繊維束の一部分を取り巻くように形成された筒体を持つブラシ状構造体であって、該筒体が繊維束上を移動できる事を特徴とするブラシ状構造体に関する。
【0007】
請求項2の発明は、繊維束の太さは直径が0.5〜5cmで、非拘束部の長さが1mm〜15cmの範囲で自由に変えられる事を特徴とする請求項1記載のブラシ状構造体に関する。
【0008】
請求項3の発明は、筒体に繊維束上の移動を抑制する機能を付与した請求項1、2記載のブラシ状構造体に関する。
【0009】
本発明のブラシ状構造体に用いるブラシ用毛材には特に限定はないが、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、塩化ビニール等の合成樹脂から成る
ブラシ用毛材やステンレス、アルミニウム、銅、真鍮等の金属製ブラシ用毛材や竹、シュロ、椰子等の植物や動物の毛から得られたブラシ用毛材、アルミナ繊維等の無機繊維毛材等を例示することができ、それらを単独あるいは複数種を組み合わせて使用することができる。
【0010】
目的の太さや剛性が得られやすい観点からは合成樹脂から成るブラシ用毛材や金属製ブラシ用毛材が好ましく、特に合成樹脂から成るブラシ用毛材が好ましい。
合成樹脂から成るブラシ用毛材にはアルミナ等の砥粒や銀等の金属粉あるいは殺菌剤等の有機物が含まれていても良い。
【0011】
本発明のブラシ状構造体に用いるブラシ用毛材の太さや硬さあるいは断面形状には特に限定はなく、使用目的に応じて選択すれば良く、太さや硬さあるいは断面形状の異なるブラシ用毛材を組み合わせて使用しても良い。
本発明のブラシ状構造体の繊維束の太さや形状は使用目的により自由に選択できる。使いやすさの点から繊維束の太さは直径が0.3cm〜10mが好ましく、0.5〜5cmがより好ましい。
【0012】
本発明のブラシ状構造体に用いるブラシ用毛材の長さには特に限定はないが、非拘束ブラシ毛材長を変化させやすいブラシ用毛材の長さは、1cm〜50cmが好ましく、3cm〜30cmがより好ましい。
【0013】
本発明のブラシ状構造体はブラシ用毛材からなる繊維束の一方の端部を固定して他端部を非拘束にしてある。
固定方法には特に限定はないが、ブラシ用毛材からなる繊維束を紐や針金等で結束する方法、接着剤で固定する方法あるいは毛剤同士を融着させる方法等が例示できる。
【0014】
本発明のブラシ状構造体の一方の端部は非拘束にしてある。この非拘束の端部で、食器や瓶等の器具の洗浄あるいは家具や電子機器等の表面の清掃あるいは塗料の塗装や筆記具等の処理を行う。端部の形状は平面でも凹凸があっても良い。
本発明のブラシ状構造体の非拘束部の長さには特に限定はないが、作業性の観点から0.1mm〜20cmが好ましく、1mm〜15cmの範囲で自由に変えられるとより好ましい。
【0015】
本発明のブラシ状構造体にはブラシ用毛材からなる繊維束の一方の端部を固定して他端部を非拘束にした繊維束を用いるが、これらの繊維束の複数を用いその固定部どうしを更に紐や針金等で結束する方法、接着剤で固定する方法あるいは毛剤同士を融着させる方法等で固定して本発明のブラシ状構造体が製造されていても良い。
【0016】
本発明のブラシ状構造体は、その繊維束の一部分を取り巻くように形成された筒体を持つブラシ状構造体であって、該筒体が繊維束上を移動できる事を特徴とする。
筒体は繊維束の周囲を取り巻くように形成され、かつ繊維束に沿って前後に移動させることができなければならない。このため、筒体の内径は繊維束の外径とほぼ等しいと好ましい。筒体の内径は使用目的に応じて繊維束の外径より多少大きくても小さくても良いが少なくとも該筒体が繊維束上を移動できる内径でなければならない。
筒体の長さは1mmから最長で繊維束長未満であり、好ましくは繊維束長の10〜80%、より好ましくは20〜60%の長さである。
【0017】
筒体を構成する素材や外観形状に限定はないが、素材としてはアルミニウム、ステンレス、真鍮、銅等の金属やナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、塩化ビニール等の合成樹脂、天然ゴムや合成ゴム等のゴム類、竹や木材等の植物を例示することができ、それら素材を単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0018】
筒体には蛇腹体のような伸縮可能な機能を有していると好ましい。
【0019】
本発明のブラシ状構造体には必要により複数の筒体を有していても良い。
【0020】
本発明のブラシ状構造体は、筒体が繊維束上を移動できる事を特徴とするが、ブラシ状構造体の使用時に筒体が勝手に移動してしまうと所望の非拘束部の長さが得られにくい。このため本発明のブラシ状構造体には筒体の移動を適度に抑制する機能を付与した筒体を用いると好ましい。筒体の移動を適度に抑制する方法としては、例えば筒体の全部あるいは一部にゴム弾性を有する素材を用いて繊維束との摩擦を増す方法や筒体に繊維束締め付け機構を設ける等を例示することができる。
【0021】
本発明のブラシ状構造体は、手で持って作業ができる手持ち式にすると本ブラシ状構造体の機能が発揮されやすく好ましい。
【0022】
本発明のブラシ状構造体は、筒体を移動することにより狭い範囲の部分を好適に処理するためには短い非拘束ブラシ毛を持つブラシ状構造体が、広い範囲の部分を処理するためには長い非拘束ブラシ毛を持つブラシ状構造体が得られる。
【0023】
本発明のブラシ状構造体は、身体や食器や瓶等の器具の洗浄具あるいは家具や電子機器等の表面の清掃具あるいは塗料の塗装具や筆記具等に好適に使用できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のブラシ状構造体はブラシ用毛材からなる繊維束の一方の端部を固定して他端部を非拘束にし、その繊維束の一部分を取り巻くように形成された筒体を持つブラシ状構造体であって、該筒体が繊維束上を自由に移動できる事を特徴とするブラシ状構造体であり、これにより一本のブラシ状構造体で多種類のブラシ状構造体の役割を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第一実施形態を示す説明図
【図2】本発明の第二実施形態を示す説明図
【図3】本発明の第三実施形態を示す説明図
【図4】本発明の第四実施形態を示す説明図
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図中、1はブラシ用毛材、2は繊維束、3は 固定部、4は非拘束部、5は筒体、6は蛇腹体、7は固定した筒状体、10は本発明のブラシ状構造体を表す。図1は本発明の第一実施形態を示す説明図である。
【0028】
ブラシ用毛材には太さ直径0.2mm、長さ20cmのポリプロピレン樹脂を用いた。繊維束の太さは0.7cmとした。筒体には塩化ビニール樹脂製の内径0.7cm外径1cm、長さ10cmの筒体を用いた。固定は融着により行い、固定部の長さは5cmとした。
【0029】
複数のブラシ用毛材(1)からなる繊維束(2)は一方の端部(3)が固定され、他方の端部(4)は非拘束状態になっており、その繊維束(2)の一部分を取り巻くように筒体(5)が形成されて居る。この筒体を繊維束(2)の長軸方向に移動することにより非拘束部の長さを変更することができる。
【0030】
図2は本発明の第二実施形態を示す説明図である。ブラシ用毛材には太さ直径0.2mm、長さ20cmのナイロン樹脂を用いた。固定にはシリコン樹脂を用い、固定部の長さを7cmとした。繊維束の太さは0.7cmとした。筒体には軟質塩化ビニール樹脂製の内径0.7cm外径1cm、長さ10cmの筒体を用いた。
【0031】
筒体(5)の中心部に筒状蛇腹体を設け、筒体が伸び縮みできるようにした。
【0032】
図3は本発明の第三実施形態を示す説明図である。ブラシ用毛材には太さ直径0.2mm、長さ20cmのポリプロピレン樹脂を用いた。繊維束の太さは0.7cmとした。固定は融着により行い、固定部の長さは5cmとした。
【0033】
筒体には塩化ビニール樹脂製の内径0.7cm外径1cm、長さ7cmと3cmの2本の筒体を用いた。
【0034】
図4は本発明の第四実施形態を示す説明図である。ブラシ用毛材には太さ直径0.2mm、長さ20cmのポリエステル樹脂を用いた。繊維束の太さは0.7cmとした。固定にはシリコン樹脂を用い、固定部の長さを3cmとした。
【0035】
固定した筒状体には内径1.1cm、外径1,2cm、長さ10cmの塩化ビニール樹脂製の筒状体を、筒体には塩化ビニール樹脂製の内径0.7cm外径1cm、長さ12cmの筒体を用いた。繊維束の固定部(3)近傍に固定した筒状体(7)を形成し、固定した筒状体(7)と繊維束の間に筒体(5)が形成されている。固定した筒状体(7)はブラシ状構造体を保持する保持部として利用される。
【0036】
図1〜4記載の本発明のブラシ状構造体は、筒体((5)を移動することにより非拘束部の長さを変化させることができ、これにより狭い範囲の部分を好適に処理するためには短い非拘束ブラシ毛を持つブラシ状構造体が、広い範囲の部分を処理するためには長い非拘束ブラシ毛を持つブラシ状構造体が得られ、一本のブラシ状構造体で多種類のブラシ状構造体の役割を果たすことができることを確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0037】
身体や食器や瓶等の器具の洗浄具あるいは家具や電子機器等の表面の清掃具あるいは塗料の塗装具や筆記具等目的で使用される。
【符号の説明】
【0038】
1、ブラシ用毛材
2、繊維束
3、 固定部
4、非拘束部
5 、筒体
6、蛇腹
7、固定した筒状体
10、本発明のブラシ状構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ用毛材からなる繊維束の一方の端部を固定して他端部を非拘束にし、その繊維束の一部分を取り巻くように形成された筒体を持つブラシ状構造体であって、該筒体が繊維束上を移動できる事を特徴とするブラシ状構造体。
【請求項2】
繊維束の太さは直径が0.5〜5cmで、非拘束部の長さが1mm〜15cmの範囲で自由に変えられる事を特徴とする請求項1記載のブラシ状構造体。
【請求項3】
筒体に繊維束上の移動を抑制する機能を付与した請求項1、2記載のブラシ状構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−139724(P2011−139724A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−418(P2010−418)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(310000819)
【Fターム(参考)】