ブラシ用具
【課題】塗布や洗浄、さらには清掃などを確実に行うことが可能である。
【解決手段】基材にブラシ毛材を突出させてなるブラシ本体を有するブラシ用具であり、ブラシ毛材は、基材に設けられたブラシ根元部4a1と、このブラシ根元部4a1から先端方向へ延びるブラシ自由端部4a2と、を有し、ブラシ自由端部4a2の径を、ブラシ根元部4a1の径より小さくし、ブラシ自由端部4a2の先端を、尖らない形状にした。また、ブラシ自由端部4a2は、先端方向へ延びるに従い徐々に小径にし、また一定の径で先端方向へ延び、また一定の径で先端方向へ延びる複数段部を有し、また先端を加工した変形部を有する。
【解決手段】基材にブラシ毛材を突出させてなるブラシ本体を有するブラシ用具であり、ブラシ毛材は、基材に設けられたブラシ根元部4a1と、このブラシ根元部4a1から先端方向へ延びるブラシ自由端部4a2と、を有し、ブラシ自由端部4a2の径を、ブラシ根元部4a1の径より小さくし、ブラシ自由端部4a2の先端を、尖らない形状にした。また、ブラシ自由端部4a2は、先端方向へ延びるに従い徐々に小径にし、また一定の径で先端方向へ延び、また一定の径で先端方向へ延びる複数段部を有し、また先端を加工した変形部を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、塗布や洗浄、さらには清掃などを確実に行うことが可能なブラシ用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からブラシ用具として化粧用ブラシがあり、基材から外方にブラシ毛材を突出させてなるブラシ本体を有し、例えば皮膚のマッサージ、皮膚の洗浄、油成分の除去、化粧料の塗布や洗浄、身体の洗浄などに用いられている。この化粧用ブラシは、ポリアミド、ポリアクリル、ポリエステルなどの樹脂繊維をブラシ毛材として用い、このブラシ毛材をそれぞれ所定の長さに切断し、この切断した同じ太さのブラシ毛材を集めて束にしたものがある。
【0003】
このような化粧用ブラシには、所定の長さに切断した同じ太さのブラシ毛材の切断部を球状に加工したもの(引用文献1〜3)、また切断部を曲げ加工したものがある(引用文献3〜5)。
【0004】
また、例えばマスカラブラシには、塗布液容器の取出口から、キャップに固着された基材の先端に設けられたブラシ本体を出し入れすることにより、ブラシ本体を塗布液としてのマスカラに浸して外部に取り出すようになされているものがある(引用文献6)。
【0005】
この塗布液容器の取出口の内側には、柔軟性を持ったゴム材でなる円環状のしごき部材が設けられ、ブラシ本体を取出口から引き抜くとき、ブラシ本体の周囲に付着している余分な塗布液を小さい内径を有するしごき部材によってしごき落とすことにより、外部に取り出したブラシ本体から塗布液をぼた落ちさせないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−22815
【特許文献2】特開平5−228018
【特許文献3】特開2003−79427
【特許文献4】特開2003−189930
【特許文献5】特表2000−505669
【特許文献6】特開2009−201893
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の所定の長さに切断した同じ太さのブラシ毛材の切断部を球状に加工したもの(引用文献1〜3)や切断部を曲げ加工したもの(引用文献3〜5)では、ブラシ毛材として樹脂繊維を用い、必要な長さに切断して束ねており、ブラシ毛材のブラシ根元部から毛先のブラシ自由端部まで同じ太さである太い糸を用いた場合には、硬くてブラシ自由端部が跳ねることがあり、このブラシ自由端部が皮膚に接触した際に無用な刺激を与えるおそれがある。また、化粧料の塗布や洗浄を行う場合には、液がブラシ毛材の毛先のブラシ自由端部の跳ねによって液が飛び散り周囲を汚すことがある。
【0008】
このため、例えば、ブラシ毛材に細い系を用いると、ブラシ根元部から毛先のブラシ自由端部まで柔軟性がありすぎブラシ毛材に腰の強さがない。このため塗布や洗浄では、ブラシ毛材が横に寝てしまいブラシ毛材の側面でただ滑るようになでてしまい塗布や洗浄の効果が得られない。
【0009】
また、ブラシ毛材が同じ太さの細い糸を用いると、化粧料が特に口紅やマスカラ、アイライ等では、化粧料の粘性が高いので、引用文献6に示すような塗布液容器を用いた場合には、ブラシ本体を塗布液容器から引き抜いたとき、ブラシ毛材がしごき部材によって引き抜き方向と逆方向に押し付けられることにより、その方向に一斉に倒れるような動作をし、このときのしごき部材の締りによってブラシ毛材が化粧料の粘性に負けてブラシ中心方向に寝てしまい、液を塗布する効果が得られなかった。
【0010】
この発明は、以上の点を考慮してなされたもので、塗布や洗浄、さらには清掃などを確実に行うことが可能なブラシ用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0012】
請求項1に記載の発明は、基材にブラシ毛材を突出させてなるブラシ本体を有するブラシ用具であり、
前記ブラシ毛材は、前記基材に設けられたブラシ根元部と、このブラシ根元部から先端方向へ延びるブラシ自由端部と、を有し、
前記ブラシ自由端部の径を、前記ブラシ根元部の径より小さくし、
前記ブラシ自由端部の先端を、尖らない形状にしたことを特徴とするブラシ用具である。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記ブラシ自由端部は、先端方向へ延びる従い徐々に小径にしたことを特徴とする請求項1に記載のブラシ用具である。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記ブラシ自由端部は、一定の径で先端方向へ延びることを特徴とする請求項1に記載のブラシ用具である。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記ブラシ自由端部は、一定の径で先端方向へ延びる複数段部を有することを特徴とする請求項1に記載のブラシ用具である。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記ブラシ自由端部は、先端を加工した変形部を有することを特徴とする請求項1に記載のブラシ用具である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明では、ブラシ毛材は、ブラシ根元部の径よりブラシ自由端部の径を小さくし、さらにブラシ自由端部の先端を、尖らない形状にしたことで、使用時にブラシ根元部によって強さがあり、しかもブラシ自由端部によって柔軟性があることから、塗布や洗浄、さらには清掃などを確実に行うことが可能である。例えば、化粧用ブラシでは、ブラシ自由端部が皮膚に接触した際に無用な刺激を与えるおそれがなく、また化粧液がブラシ毛材のブラシ自由端部の跳ねによって飛び散り周囲を汚すことがない。
【0018】
請求項2に記載の発明では、ブラシ自由端部は、先端方向へ延びる従い徐々に小径にしたことで、ブラシ自由端部によって塗布や洗浄、さらには清掃などを確実に行うことが可能である。
【0019】
請求項3に記載の発明では、ブラシ自由端部は、一定の径で先端方向へ延びることで、ブラシ自由端部によって塗布や洗浄、さらには清掃などを確実に行うことが可能である。
【0020】
請求項4に記載の発明では、ブラシ自由端部は、一定の径で先端方向へ延びる複数段部を有することで、ブラシ自由端部によって塗布や洗浄、さらには清掃などを確実に行うことが可能である。
【0021】
請求項5に記載の発明では、ブラシ自由端部は、先端を加工した変形部を有することで、変形部によって塗布や洗浄、さらには清掃などを確実に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施の形態の化粧用ブラシの斜視図である。
【図2】ブラシ本体の側面図である。
【図3】ブラシ毛材の構成を説明する図である。
【図4】ブラシ毛材の成形を説明する図である。
【図5】化粧用ブラシをマスカラに浸して外部に取り出す使用を説明する図である。
【図6】化粧用ブラシの使用を説明する図である。
【図7】ブラシ毛材を示す図である。
【図8】他のブラシ毛材を示す図である。
【図9】第2の実施の形態の化粧用ブラシを説明する図である。
【図10】第3の実施の形態の化粧用ブラシを説明する図である。
【図11】第4の実施の形態の掃除用ブラシを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明のブラシ用具の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、化粧用ブラシ、歯ブラシ、掃除用ブラシについて説明するが、この発明はこれに限定されない。
【0024】
[第1の実施の形態]
この実施の形態の化粧用ブラシ1は、マスカラブラシであり、図1に示すように、化粧用ブラシ1は、キャップに差し込み保持される円筒状の支持部2を閉塞する先端部材2aに基材3が突出保持されている。
【0025】
基材3には、多数の糸4aで構成されたブラシ毛材4が放射方向に外方に延長するように植毛され、これによりブラシ本体5が構成されている。
【0026】
基材3は、1本の線材を折り返してなる2本の線材3a及び3b間に、矢印aで示す長さ方向に、ブラシ毛材4を構成する多数の糸4aを配列させた状態でより合わせることにより、線材3a及び3bの接触面でなる螺旋状保持面3cによって糸4aを挟着保持することにより、基材3から放射方向に外方にブラシ毛材4の糸4aを延長させるような構成を形成している。
【0027】
このようにして、ブラシ毛材4は、螺旋状保持面3cに沿う方向に糸4aを整列させた構成を有し、ブラシ本体5は基材3から外方にブラシ毛材4を突出させてなる。
【0028】
このブラシ毛材4の糸4aは、図3に示すように、基材3に設けられたブラシ根元部4a1と、このブラシ根元部4a1から外方へ延びるブラシ自由端部4a2とを有している。このブラシ自由端部4a2の径は、ブラシ根元部4a1の径より小さくし形成され、ブラシ自由端部4a2の先端を、尖らない形状に形成されている。
【0029】
図3(a)の実施の形態では、ブラシ根元部4a1と、ブラシ自由端部4a2は、一定の径で先端方向へ延び、ブラシ自由端部4a2の小径部4a20の先端は延び方向に対して直交するように切断して尖らない形状にしている。
【0030】
図3(b)の実施の形態では、ブラシ根元部4a1と、ブラシ自由端部4a2は、一定の径で先端方向へ延び、このブラシ自由端部4a2は、一定の径で先端方向へ延びる段部4a21,4a22を有する構成であり、2個の段部を形成しているが、複数段部であればよく、この先端は延び方向に対して直交するように切断して尖らない形状にしている。
【0031】
図3(c)の実施の形態では、ブラシ根元部4a1は、一定の径で先端方向へ延びるが、ブラシ自由端部4a2は、先端方向へ延びる従い徐々に小径にし、この小径部4a23の先端は延び方向に対して直交するように切断して尖らない形状にしている。
【0032】
このブラシ毛材4の糸4aは、ポリアミド、ポリアクリル、ポリエステルなどの樹脂繊維を用いて、図4に示すようにして、ブラシ根元部4a1と、ブラシ自由端部4a2が加工される。ブラシ毛材4の糸4aの太さは、ブラシ根元部4a1において0.10〜0.20(mm)に選定され、ブラシ自由端部4a2において0.001〜0.05(mm)に選定される。
【0033】
図4(a)の実施の形態では、ブラシ毛材4の糸4aの一部を溶解液100に所定時間浸すことで、浸した部分が同じ太さで小径になり、図3(a)の実施の形態のブラシ根元部4a1と、ブラシ自由端部4a2が形成される。また、同様にして、ブラシ毛材4の糸4aの一部を溶解液100に所定時間、2回に分けて浸すことで、図3(b)の実施の形態のブラシ根元部4a1と、ブラシ自由端部4a2が形成される。
【0034】
図4(b)の実施の形態では、ブラシ毛材4の糸4aの一部を溶解液100に浸し、少しずつ所定時間を掛けて溶解液100から露出させることで、図3(c)の実施の形態のブラシ根元部4a1と、ブラシ自由端部4a2が形成される。この実施の形態では、溶解液によってブラシ毛材4にブラシ根元部4a1と、ブラシ自由端部4a2を形成しているが、熱加工、研磨加工、プレス加工等でも形成することができる。
【0035】
この化粧用ブラシ1の使用は、図5に示すように、塗布液容器200の取出口201から、キャップ202に固着された基材3に設けられたブラシ本体5を出し入れすることにより、ブラシ本体5を塗布液としてのマスカラに浸して外部に取り出す。
【0036】
取出口201の内側には、柔軟性を持ったゴム材でなる円環状のしごき部材210が設けられ、ブラシ本体5を取出口201から引き抜くとき、ブラシ本体5の周囲に付着している余分な塗布液を小さい内径を有するしごき部材210によってしごき落とす。
【0037】
このように、ブラシ毛材4は、それ自体一定の剛性をもっているので、しごき部材210を通るとき一端一斉に倒れるが、しごき部材210を通過した後は、ブラシ根元部4a1の復元力によって起立するので、塗布液はこの起立したブラシ毛材4の表面に付着したまま残る。
【0038】
したがって、図6(a)に示すように、ブラシ毛材4の各糸4aのブラシ自由端部4a2に付着した塗布液を用いてまつ毛90に塗布できる。このまつ毛90の根元に塗布液を塗布する際に、図6(b)に示すように、糸4aのブラシ自由端部4a2の先端が目の周りの皮膚に触れたとしても、ブラシ自由端部4a2の太さを細くしたことにより、皮膚に対して柔らかく接触することができるので、たとえ何回も塗布操作をしたとしても、皮膚に対する負担を大きくしないようにできる。
【0039】
また、皮膚に対する塗布液の量が多くなり過ぎたとき、糸4aのブラシ自由端部4a2の先端が柔らかく皮膚に接触する利点を利用して、余分に塗り過ぎた部分に糸4aのブラシ自由端部4a2の先端を拭くように接触させることにより、余分な塗布液を除去することができる。
【0040】
また、ブラシ毛材4の糸4aのブラシ自由端部4a2は、図7及び図8に示すように、外方へ延びる先端を加工した変形部4a3を有するように形成してもよい。図7は図3(a)の実施の形態を示し、図8は図3(c)の実施の形態を示している。
【0041】
図7(a)及び図8(a)の実施形態の変形部4a3は、先端につば部を形成し、図7(b)及び図8(b)の実施形態の変形部4a3は、先端を玉形状に形成し、図7(c)及び図8(c)の実施形態の変形部4a3は、先端を半玉形状に形成し、図7(d)及び図8(d)の実施形態の変形部4a3は、先端を折り曲げ、図7(e)及び図8(e)の実施形態の変形部4a3は、先端を鍵状に折り曲げ、図7(f)及び図8(f)の実施形態の変形部4a3は、先端を矢状に形成し、図7(g)及び図8(g)の実施形態の変形部4a3は、先端を放射状に広げ、図7(h)及び図8(h)の実施形態の変形部4a3は、先端を−状に広げ、図7(i)及び図8(i)の実施形態の変形部4a3は、先端を星状に広げ、図7(j)及び図8(j)の実施形態の変形部4a3は、先端を波状に曲げたものである。この変形部4a3は、熱加工、研磨加工、プレス加工等で形成される。
【0042】
このように、ブラシ自由端部4aは、外方へ延びる先端を加工した変形部4a3を有し、この変形部4a3により塗布を一層確実に行うことができる。すなわち、マスカラブラシのブラシ毛材4の糸4aは、ブラシ自由端部4a2が変形部4a3によって先端は軟弱な針状を無くすが、先端に変形加工を加えることで柔らかすぎることがなくなる。例えば、まつ毛90に塗布するときは、図6(a)に示すように、マスカラブラシの中心方向にまつ毛90が入り易いが、塗布終了でマスカラブラシからまつ毛90を離す時に先端が余りに柔軟すぎると、まつ毛90に対してマスカラブラシの動きが少しでも斜めになる。このとき、ブラシ自由端部4a2の先端がまつ毛90の強度に負けて変形してしまうが、変形部4a3によってまつ毛90の強度に負けて変形することがなくなり、まつ毛90に多量に塗布されたマスカラを払拭することがない。
【0043】
また、例えば、まつ毛90の強度に負けてブラシ自由端部4a2の先端に変形が生じない方法として、ブラシ毛材4の糸4aに対してまつ毛90が直角であるような使い方を維持できれば、ブラシ自由端部4a2の先端を変形さすことはなく塗布が終了するが、直角を維持させた使い方を強制するわけにはいかない。また、まつ毛90全体の形状は、上方に丸味があり顔面外方向に丸味があり、またまつ毛90がそれぞれに未広がりとなっているので直角使用などできない。このように、塗布終了でまつ毛90がブラシ自由端部4a2の先端に触れてしまうが、変形部4a3によってまつ毛90の強度に負けて変形することがなくなり、まつ毛90に多量に塗布されたマスカラを払拭することがない。
【0044】
[第2の実施の形態]
この実施の形態の化粧用ブラシ11は、図9に示すように、塗布液としてマスカラをまつ毛に塗布するように用いる場合とは別に、リップブラシ、アイシャドウブラシ、アイブロウブラシ等のように、塗布液を直接に皮膚に塗布するようなブラシである。
【0045】
この実施の形態の化粧用ブラシ11は、ブラシ毛材14が第1の実施の形態のブラシ毛材4と同様に構成されるから説明を省略するが、シャフト13は全体が断面円形の合成樹脂材料でなり、その先端に先端方向に突出する多数の糸14aの束でなるブラシ毛材14を形成し、これによりブラシ本体15を構成している。
【0046】
ブラシ毛材14の先端面の形状は、皮膚に対する塗布液の塗布形状に適合するように選定され、図9(a)の場合は、ブラシ毛材14の糸14aを円柱状に束ねた外観形状をもつと共に、先端面が円形状を有する。
【0047】
これにより、図9(a)のブラシ本体15を有する化粧用ブラシ11は、ブラシ毛材14の先端面を皮膚に接触させて横方向に移動することにより、皮膚の比較的広い部位に塗布液を塗布することができる。
【0048】
図9(b)の場合は、ブラシ毛材14の糸14aを偏平横長に束ねた外観形状をもつと共に、先端面が横長方向に傾斜した長楕円形状を有する。
【0049】
これにより、図9(b)のブラシ本体15を有する化粧用ブラシ11は、ブラシ毛材14の先端面を皮膚に接触させて横長の方向に移動することにより、皮膚の比較的狭い部位に線状に塗布液を塗布することができる。
【0050】
図9(c)の場合は、ブラシ毛材14の糸14aを円柱状に束ねた外観形状をもつと共に、先端面が円錐形状を有する。
【0051】
これにより、図9(c)のブラシ本体15を有する化粧用ブラシ11は、ブラシ毛材14の先端面の突出部分を皮膚に接触させて横方向に移動することにより、皮膚の極く細い部位に塗布液を塗布することができる。
【0052】
図9(d)の場合は、ブラシ毛材14の糸14aを偏平横長に束ねた外観形状をもつと共に、先端面が長手方向に向って2等辺形状に突出した帯形状を有する。
【0053】
これにより、図9(d)のブラシ本体15を有する化粧用ブラシ11は、ブラシ毛材14の先端面の突出部分を皮膚に接触させて幅方向に移動することにより、皮膚の比較的狭い部位に線状に塗布液を塗布することができる。
【0054】
[第3の実施の形態]
この実施の形態の化粧用ブラシ21は、図10に示すように、歯を磨くための歯ブラシである。
【0055】
この実施の形態の化粧用ブラシ21は、ブラシ毛材24が第1の実施の形態のブラシ毛材4と同様に構成されるから説明を省略するが、基材23のヘッドから外方にブラシ毛材24の糸24aを延長させるようなブラシ本体25を有する。
【0056】
このようにブラシ本体25は、図10(b)に示すように、前歯の裏側のような複雑な形状を持つ部分を磨くが、ブラシ毛材24は第1の実施の形態のブラシ毛材4と同様に構成されるから、図10(c)に示すように、使用時にブラシ根元部24a1によって強度があり、洗浄を確実に行うことが可能であり、しかもブラシ自由端部24a2によって柔軟性があり、ブラシ自由端部24a2が皮膚に接触した際に無用な刺激を与えるおそれがなく、歯垢を確実に除去することができる。
【0057】
すなわち、歯ブラシのブラシ毛材24は、ポリアミド、ポリアクリル、ポリエステルなどの樹脂繊維を用い、このブラシ毛材24を切断して基材23のヘッドに植毛し、ブラシ毛材24の長さは、約10.0mm〜17.0mmであり、歯91の隙間又は奥の方までブラシ毛材24が確実に届く。また、歯91の変形、隙間が広い狭い、さらに隙間の形状が多種類であるから約10.0mm〜17.0mmとしており、このような長さであってもブラシ根元部24a1によって腰があることから、ブラシ自由端部24a2が歯91や歯肉に当たっても倒れたり曲がったりすることなく、歯91の隙間又は奥の方まで届く。
【0058】
また、ブラシ毛材24の太さは、約0.08mm以上では、ブラシ毛材24の弓なり強さはあるが歯91の間の狭い隙間に入らない、一方ブラシ毛材24の太さが約0.08mm以下0.01mmに近づくほど、ブラシ毛材24の弓なり強さが弱く、歯91の狭い隙間に強引に入り込む程の力がなく途中で折れ曲がってしまうことがある。したがって、ブラシ根元部24a1の太さを約0.08mm以上に選定し、ブラシ自由端部24a2の太さを約0.01mm〜0.08mmに選定し、好ましくは0.01mm〜0.06mmに選定することで、ブラシ根元部24a1によって強さがあることから、ブラシ自由端部24a2が歯91や歯肉に当たっても倒れたり曲がったりすることなく、歯91の隙間又は奥の方まで届く。
【0059】
さらに、図10(c)(d)に示すように、ブラシ自由端部24aの先端に変形部24a3を形成すると、変形部24a3によって歯91の隙間奥や歯周に対して掻き出すことができ、歯垢を確実に除去することができる。
【0060】
[第4の実施の形態]
この実施の形態の掃除用ブラシ31は、図11に示すように、清掃などの掃除に用いるブラシである。
【0061】
この実施の形態の掃除用ブラシ31は、ブラシ毛材34が第1の実施の形態のブラシ毛材4と同様に構成されるから説明を省略するが、基材33から外方にブラシ毛材34の糸34aを延長させるようなブラシ本体35を有する。
【0062】
このようにブラシ本体35は、図11(b)に示すように、例えばピアノの鍵盤92のような狭い隙間の清掃を行うが、ブラシ毛材34は第1の実施の形態と同様に構成されるから、使用時にブラシ根元部34a1によって強さがあり、清掃を確実に行うことが可能であり、しかもブラシ自由端部34a2によって柔軟性があり、ブラシ自由端部34a2が鍵盤92の狭い隙間のごみを確実に除去することができる。
【0063】
すなわち、ブラシ毛材34は、ポリアミド、ポリアクリル、ポリエステルなどの樹脂繊維を用い、このブラシ毛材34を切断して基材33のヘッドに植毛しており、ブラシ根元部34a1によって強さがあることから、ブラシ自由端部34a2が鍵盤92に当たっても倒れたり曲がったりすることなく、鍵盤92の隙間又は奥の方まで届く。
【0064】
さらに、図13(c)に示すように、ブラシ自由端部34aの先端に変形部34a3を形成することで、変形部34a3によって鍵盤92の隙間や奥に対してごみを掻き出して確実に除去することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明は、塗布や洗浄、さらには清掃などを行うブラシ用具に適用可能であり、塗布や洗浄、さらには清掃などを確実に行うことが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1,11,21 化粧用ブラシ
2,12,22,32 支持部
3,13,23,33 基材
4,14,24,34 ブラシ毛材
4a,14a,24a,34a 糸
4a1,14a1,24a1,34a1 ブラシ根元部
4a2,14a2,24a2,34a2 ブラシ自由端部
4a3,14a3,24a3,34a3 変形部
5,15,25,35 ブラシ本体
31 掃除用ブラシ
【技術分野】
【0001】
この発明は、塗布や洗浄、さらには清掃などを確実に行うことが可能なブラシ用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からブラシ用具として化粧用ブラシがあり、基材から外方にブラシ毛材を突出させてなるブラシ本体を有し、例えば皮膚のマッサージ、皮膚の洗浄、油成分の除去、化粧料の塗布や洗浄、身体の洗浄などに用いられている。この化粧用ブラシは、ポリアミド、ポリアクリル、ポリエステルなどの樹脂繊維をブラシ毛材として用い、このブラシ毛材をそれぞれ所定の長さに切断し、この切断した同じ太さのブラシ毛材を集めて束にしたものがある。
【0003】
このような化粧用ブラシには、所定の長さに切断した同じ太さのブラシ毛材の切断部を球状に加工したもの(引用文献1〜3)、また切断部を曲げ加工したものがある(引用文献3〜5)。
【0004】
また、例えばマスカラブラシには、塗布液容器の取出口から、キャップに固着された基材の先端に設けられたブラシ本体を出し入れすることにより、ブラシ本体を塗布液としてのマスカラに浸して外部に取り出すようになされているものがある(引用文献6)。
【0005】
この塗布液容器の取出口の内側には、柔軟性を持ったゴム材でなる円環状のしごき部材が設けられ、ブラシ本体を取出口から引き抜くとき、ブラシ本体の周囲に付着している余分な塗布液を小さい内径を有するしごき部材によってしごき落とすことにより、外部に取り出したブラシ本体から塗布液をぼた落ちさせないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−22815
【特許文献2】特開平5−228018
【特許文献3】特開2003−79427
【特許文献4】特開2003−189930
【特許文献5】特表2000−505669
【特許文献6】特開2009−201893
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の所定の長さに切断した同じ太さのブラシ毛材の切断部を球状に加工したもの(引用文献1〜3)や切断部を曲げ加工したもの(引用文献3〜5)では、ブラシ毛材として樹脂繊維を用い、必要な長さに切断して束ねており、ブラシ毛材のブラシ根元部から毛先のブラシ自由端部まで同じ太さである太い糸を用いた場合には、硬くてブラシ自由端部が跳ねることがあり、このブラシ自由端部が皮膚に接触した際に無用な刺激を与えるおそれがある。また、化粧料の塗布や洗浄を行う場合には、液がブラシ毛材の毛先のブラシ自由端部の跳ねによって液が飛び散り周囲を汚すことがある。
【0008】
このため、例えば、ブラシ毛材に細い系を用いると、ブラシ根元部から毛先のブラシ自由端部まで柔軟性がありすぎブラシ毛材に腰の強さがない。このため塗布や洗浄では、ブラシ毛材が横に寝てしまいブラシ毛材の側面でただ滑るようになでてしまい塗布や洗浄の効果が得られない。
【0009】
また、ブラシ毛材が同じ太さの細い糸を用いると、化粧料が特に口紅やマスカラ、アイライ等では、化粧料の粘性が高いので、引用文献6に示すような塗布液容器を用いた場合には、ブラシ本体を塗布液容器から引き抜いたとき、ブラシ毛材がしごき部材によって引き抜き方向と逆方向に押し付けられることにより、その方向に一斉に倒れるような動作をし、このときのしごき部材の締りによってブラシ毛材が化粧料の粘性に負けてブラシ中心方向に寝てしまい、液を塗布する効果が得られなかった。
【0010】
この発明は、以上の点を考慮してなされたもので、塗布や洗浄、さらには清掃などを確実に行うことが可能なブラシ用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0012】
請求項1に記載の発明は、基材にブラシ毛材を突出させてなるブラシ本体を有するブラシ用具であり、
前記ブラシ毛材は、前記基材に設けられたブラシ根元部と、このブラシ根元部から先端方向へ延びるブラシ自由端部と、を有し、
前記ブラシ自由端部の径を、前記ブラシ根元部の径より小さくし、
前記ブラシ自由端部の先端を、尖らない形状にしたことを特徴とするブラシ用具である。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記ブラシ自由端部は、先端方向へ延びる従い徐々に小径にしたことを特徴とする請求項1に記載のブラシ用具である。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記ブラシ自由端部は、一定の径で先端方向へ延びることを特徴とする請求項1に記載のブラシ用具である。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記ブラシ自由端部は、一定の径で先端方向へ延びる複数段部を有することを特徴とする請求項1に記載のブラシ用具である。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記ブラシ自由端部は、先端を加工した変形部を有することを特徴とする請求項1に記載のブラシ用具である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明では、ブラシ毛材は、ブラシ根元部の径よりブラシ自由端部の径を小さくし、さらにブラシ自由端部の先端を、尖らない形状にしたことで、使用時にブラシ根元部によって強さがあり、しかもブラシ自由端部によって柔軟性があることから、塗布や洗浄、さらには清掃などを確実に行うことが可能である。例えば、化粧用ブラシでは、ブラシ自由端部が皮膚に接触した際に無用な刺激を与えるおそれがなく、また化粧液がブラシ毛材のブラシ自由端部の跳ねによって飛び散り周囲を汚すことがない。
【0018】
請求項2に記載の発明では、ブラシ自由端部は、先端方向へ延びる従い徐々に小径にしたことで、ブラシ自由端部によって塗布や洗浄、さらには清掃などを確実に行うことが可能である。
【0019】
請求項3に記載の発明では、ブラシ自由端部は、一定の径で先端方向へ延びることで、ブラシ自由端部によって塗布や洗浄、さらには清掃などを確実に行うことが可能である。
【0020】
請求項4に記載の発明では、ブラシ自由端部は、一定の径で先端方向へ延びる複数段部を有することで、ブラシ自由端部によって塗布や洗浄、さらには清掃などを確実に行うことが可能である。
【0021】
請求項5に記載の発明では、ブラシ自由端部は、先端を加工した変形部を有することで、変形部によって塗布や洗浄、さらには清掃などを確実に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施の形態の化粧用ブラシの斜視図である。
【図2】ブラシ本体の側面図である。
【図3】ブラシ毛材の構成を説明する図である。
【図4】ブラシ毛材の成形を説明する図である。
【図5】化粧用ブラシをマスカラに浸して外部に取り出す使用を説明する図である。
【図6】化粧用ブラシの使用を説明する図である。
【図7】ブラシ毛材を示す図である。
【図8】他のブラシ毛材を示す図である。
【図9】第2の実施の形態の化粧用ブラシを説明する図である。
【図10】第3の実施の形態の化粧用ブラシを説明する図である。
【図11】第4の実施の形態の掃除用ブラシを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明のブラシ用具の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、化粧用ブラシ、歯ブラシ、掃除用ブラシについて説明するが、この発明はこれに限定されない。
【0024】
[第1の実施の形態]
この実施の形態の化粧用ブラシ1は、マスカラブラシであり、図1に示すように、化粧用ブラシ1は、キャップに差し込み保持される円筒状の支持部2を閉塞する先端部材2aに基材3が突出保持されている。
【0025】
基材3には、多数の糸4aで構成されたブラシ毛材4が放射方向に外方に延長するように植毛され、これによりブラシ本体5が構成されている。
【0026】
基材3は、1本の線材を折り返してなる2本の線材3a及び3b間に、矢印aで示す長さ方向に、ブラシ毛材4を構成する多数の糸4aを配列させた状態でより合わせることにより、線材3a及び3bの接触面でなる螺旋状保持面3cによって糸4aを挟着保持することにより、基材3から放射方向に外方にブラシ毛材4の糸4aを延長させるような構成を形成している。
【0027】
このようにして、ブラシ毛材4は、螺旋状保持面3cに沿う方向に糸4aを整列させた構成を有し、ブラシ本体5は基材3から外方にブラシ毛材4を突出させてなる。
【0028】
このブラシ毛材4の糸4aは、図3に示すように、基材3に設けられたブラシ根元部4a1と、このブラシ根元部4a1から外方へ延びるブラシ自由端部4a2とを有している。このブラシ自由端部4a2の径は、ブラシ根元部4a1の径より小さくし形成され、ブラシ自由端部4a2の先端を、尖らない形状に形成されている。
【0029】
図3(a)の実施の形態では、ブラシ根元部4a1と、ブラシ自由端部4a2は、一定の径で先端方向へ延び、ブラシ自由端部4a2の小径部4a20の先端は延び方向に対して直交するように切断して尖らない形状にしている。
【0030】
図3(b)の実施の形態では、ブラシ根元部4a1と、ブラシ自由端部4a2は、一定の径で先端方向へ延び、このブラシ自由端部4a2は、一定の径で先端方向へ延びる段部4a21,4a22を有する構成であり、2個の段部を形成しているが、複数段部であればよく、この先端は延び方向に対して直交するように切断して尖らない形状にしている。
【0031】
図3(c)の実施の形態では、ブラシ根元部4a1は、一定の径で先端方向へ延びるが、ブラシ自由端部4a2は、先端方向へ延びる従い徐々に小径にし、この小径部4a23の先端は延び方向に対して直交するように切断して尖らない形状にしている。
【0032】
このブラシ毛材4の糸4aは、ポリアミド、ポリアクリル、ポリエステルなどの樹脂繊維を用いて、図4に示すようにして、ブラシ根元部4a1と、ブラシ自由端部4a2が加工される。ブラシ毛材4の糸4aの太さは、ブラシ根元部4a1において0.10〜0.20(mm)に選定され、ブラシ自由端部4a2において0.001〜0.05(mm)に選定される。
【0033】
図4(a)の実施の形態では、ブラシ毛材4の糸4aの一部を溶解液100に所定時間浸すことで、浸した部分が同じ太さで小径になり、図3(a)の実施の形態のブラシ根元部4a1と、ブラシ自由端部4a2が形成される。また、同様にして、ブラシ毛材4の糸4aの一部を溶解液100に所定時間、2回に分けて浸すことで、図3(b)の実施の形態のブラシ根元部4a1と、ブラシ自由端部4a2が形成される。
【0034】
図4(b)の実施の形態では、ブラシ毛材4の糸4aの一部を溶解液100に浸し、少しずつ所定時間を掛けて溶解液100から露出させることで、図3(c)の実施の形態のブラシ根元部4a1と、ブラシ自由端部4a2が形成される。この実施の形態では、溶解液によってブラシ毛材4にブラシ根元部4a1と、ブラシ自由端部4a2を形成しているが、熱加工、研磨加工、プレス加工等でも形成することができる。
【0035】
この化粧用ブラシ1の使用は、図5に示すように、塗布液容器200の取出口201から、キャップ202に固着された基材3に設けられたブラシ本体5を出し入れすることにより、ブラシ本体5を塗布液としてのマスカラに浸して外部に取り出す。
【0036】
取出口201の内側には、柔軟性を持ったゴム材でなる円環状のしごき部材210が設けられ、ブラシ本体5を取出口201から引き抜くとき、ブラシ本体5の周囲に付着している余分な塗布液を小さい内径を有するしごき部材210によってしごき落とす。
【0037】
このように、ブラシ毛材4は、それ自体一定の剛性をもっているので、しごき部材210を通るとき一端一斉に倒れるが、しごき部材210を通過した後は、ブラシ根元部4a1の復元力によって起立するので、塗布液はこの起立したブラシ毛材4の表面に付着したまま残る。
【0038】
したがって、図6(a)に示すように、ブラシ毛材4の各糸4aのブラシ自由端部4a2に付着した塗布液を用いてまつ毛90に塗布できる。このまつ毛90の根元に塗布液を塗布する際に、図6(b)に示すように、糸4aのブラシ自由端部4a2の先端が目の周りの皮膚に触れたとしても、ブラシ自由端部4a2の太さを細くしたことにより、皮膚に対して柔らかく接触することができるので、たとえ何回も塗布操作をしたとしても、皮膚に対する負担を大きくしないようにできる。
【0039】
また、皮膚に対する塗布液の量が多くなり過ぎたとき、糸4aのブラシ自由端部4a2の先端が柔らかく皮膚に接触する利点を利用して、余分に塗り過ぎた部分に糸4aのブラシ自由端部4a2の先端を拭くように接触させることにより、余分な塗布液を除去することができる。
【0040】
また、ブラシ毛材4の糸4aのブラシ自由端部4a2は、図7及び図8に示すように、外方へ延びる先端を加工した変形部4a3を有するように形成してもよい。図7は図3(a)の実施の形態を示し、図8は図3(c)の実施の形態を示している。
【0041】
図7(a)及び図8(a)の実施形態の変形部4a3は、先端につば部を形成し、図7(b)及び図8(b)の実施形態の変形部4a3は、先端を玉形状に形成し、図7(c)及び図8(c)の実施形態の変形部4a3は、先端を半玉形状に形成し、図7(d)及び図8(d)の実施形態の変形部4a3は、先端を折り曲げ、図7(e)及び図8(e)の実施形態の変形部4a3は、先端を鍵状に折り曲げ、図7(f)及び図8(f)の実施形態の変形部4a3は、先端を矢状に形成し、図7(g)及び図8(g)の実施形態の変形部4a3は、先端を放射状に広げ、図7(h)及び図8(h)の実施形態の変形部4a3は、先端を−状に広げ、図7(i)及び図8(i)の実施形態の変形部4a3は、先端を星状に広げ、図7(j)及び図8(j)の実施形態の変形部4a3は、先端を波状に曲げたものである。この変形部4a3は、熱加工、研磨加工、プレス加工等で形成される。
【0042】
このように、ブラシ自由端部4aは、外方へ延びる先端を加工した変形部4a3を有し、この変形部4a3により塗布を一層確実に行うことができる。すなわち、マスカラブラシのブラシ毛材4の糸4aは、ブラシ自由端部4a2が変形部4a3によって先端は軟弱な針状を無くすが、先端に変形加工を加えることで柔らかすぎることがなくなる。例えば、まつ毛90に塗布するときは、図6(a)に示すように、マスカラブラシの中心方向にまつ毛90が入り易いが、塗布終了でマスカラブラシからまつ毛90を離す時に先端が余りに柔軟すぎると、まつ毛90に対してマスカラブラシの動きが少しでも斜めになる。このとき、ブラシ自由端部4a2の先端がまつ毛90の強度に負けて変形してしまうが、変形部4a3によってまつ毛90の強度に負けて変形することがなくなり、まつ毛90に多量に塗布されたマスカラを払拭することがない。
【0043】
また、例えば、まつ毛90の強度に負けてブラシ自由端部4a2の先端に変形が生じない方法として、ブラシ毛材4の糸4aに対してまつ毛90が直角であるような使い方を維持できれば、ブラシ自由端部4a2の先端を変形さすことはなく塗布が終了するが、直角を維持させた使い方を強制するわけにはいかない。また、まつ毛90全体の形状は、上方に丸味があり顔面外方向に丸味があり、またまつ毛90がそれぞれに未広がりとなっているので直角使用などできない。このように、塗布終了でまつ毛90がブラシ自由端部4a2の先端に触れてしまうが、変形部4a3によってまつ毛90の強度に負けて変形することがなくなり、まつ毛90に多量に塗布されたマスカラを払拭することがない。
【0044】
[第2の実施の形態]
この実施の形態の化粧用ブラシ11は、図9に示すように、塗布液としてマスカラをまつ毛に塗布するように用いる場合とは別に、リップブラシ、アイシャドウブラシ、アイブロウブラシ等のように、塗布液を直接に皮膚に塗布するようなブラシである。
【0045】
この実施の形態の化粧用ブラシ11は、ブラシ毛材14が第1の実施の形態のブラシ毛材4と同様に構成されるから説明を省略するが、シャフト13は全体が断面円形の合成樹脂材料でなり、その先端に先端方向に突出する多数の糸14aの束でなるブラシ毛材14を形成し、これによりブラシ本体15を構成している。
【0046】
ブラシ毛材14の先端面の形状は、皮膚に対する塗布液の塗布形状に適合するように選定され、図9(a)の場合は、ブラシ毛材14の糸14aを円柱状に束ねた外観形状をもつと共に、先端面が円形状を有する。
【0047】
これにより、図9(a)のブラシ本体15を有する化粧用ブラシ11は、ブラシ毛材14の先端面を皮膚に接触させて横方向に移動することにより、皮膚の比較的広い部位に塗布液を塗布することができる。
【0048】
図9(b)の場合は、ブラシ毛材14の糸14aを偏平横長に束ねた外観形状をもつと共に、先端面が横長方向に傾斜した長楕円形状を有する。
【0049】
これにより、図9(b)のブラシ本体15を有する化粧用ブラシ11は、ブラシ毛材14の先端面を皮膚に接触させて横長の方向に移動することにより、皮膚の比較的狭い部位に線状に塗布液を塗布することができる。
【0050】
図9(c)の場合は、ブラシ毛材14の糸14aを円柱状に束ねた外観形状をもつと共に、先端面が円錐形状を有する。
【0051】
これにより、図9(c)のブラシ本体15を有する化粧用ブラシ11は、ブラシ毛材14の先端面の突出部分を皮膚に接触させて横方向に移動することにより、皮膚の極く細い部位に塗布液を塗布することができる。
【0052】
図9(d)の場合は、ブラシ毛材14の糸14aを偏平横長に束ねた外観形状をもつと共に、先端面が長手方向に向って2等辺形状に突出した帯形状を有する。
【0053】
これにより、図9(d)のブラシ本体15を有する化粧用ブラシ11は、ブラシ毛材14の先端面の突出部分を皮膚に接触させて幅方向に移動することにより、皮膚の比較的狭い部位に線状に塗布液を塗布することができる。
【0054】
[第3の実施の形態]
この実施の形態の化粧用ブラシ21は、図10に示すように、歯を磨くための歯ブラシである。
【0055】
この実施の形態の化粧用ブラシ21は、ブラシ毛材24が第1の実施の形態のブラシ毛材4と同様に構成されるから説明を省略するが、基材23のヘッドから外方にブラシ毛材24の糸24aを延長させるようなブラシ本体25を有する。
【0056】
このようにブラシ本体25は、図10(b)に示すように、前歯の裏側のような複雑な形状を持つ部分を磨くが、ブラシ毛材24は第1の実施の形態のブラシ毛材4と同様に構成されるから、図10(c)に示すように、使用時にブラシ根元部24a1によって強度があり、洗浄を確実に行うことが可能であり、しかもブラシ自由端部24a2によって柔軟性があり、ブラシ自由端部24a2が皮膚に接触した際に無用な刺激を与えるおそれがなく、歯垢を確実に除去することができる。
【0057】
すなわち、歯ブラシのブラシ毛材24は、ポリアミド、ポリアクリル、ポリエステルなどの樹脂繊維を用い、このブラシ毛材24を切断して基材23のヘッドに植毛し、ブラシ毛材24の長さは、約10.0mm〜17.0mmであり、歯91の隙間又は奥の方までブラシ毛材24が確実に届く。また、歯91の変形、隙間が広い狭い、さらに隙間の形状が多種類であるから約10.0mm〜17.0mmとしており、このような長さであってもブラシ根元部24a1によって腰があることから、ブラシ自由端部24a2が歯91や歯肉に当たっても倒れたり曲がったりすることなく、歯91の隙間又は奥の方まで届く。
【0058】
また、ブラシ毛材24の太さは、約0.08mm以上では、ブラシ毛材24の弓なり強さはあるが歯91の間の狭い隙間に入らない、一方ブラシ毛材24の太さが約0.08mm以下0.01mmに近づくほど、ブラシ毛材24の弓なり強さが弱く、歯91の狭い隙間に強引に入り込む程の力がなく途中で折れ曲がってしまうことがある。したがって、ブラシ根元部24a1の太さを約0.08mm以上に選定し、ブラシ自由端部24a2の太さを約0.01mm〜0.08mmに選定し、好ましくは0.01mm〜0.06mmに選定することで、ブラシ根元部24a1によって強さがあることから、ブラシ自由端部24a2が歯91や歯肉に当たっても倒れたり曲がったりすることなく、歯91の隙間又は奥の方まで届く。
【0059】
さらに、図10(c)(d)に示すように、ブラシ自由端部24aの先端に変形部24a3を形成すると、変形部24a3によって歯91の隙間奥や歯周に対して掻き出すことができ、歯垢を確実に除去することができる。
【0060】
[第4の実施の形態]
この実施の形態の掃除用ブラシ31は、図11に示すように、清掃などの掃除に用いるブラシである。
【0061】
この実施の形態の掃除用ブラシ31は、ブラシ毛材34が第1の実施の形態のブラシ毛材4と同様に構成されるから説明を省略するが、基材33から外方にブラシ毛材34の糸34aを延長させるようなブラシ本体35を有する。
【0062】
このようにブラシ本体35は、図11(b)に示すように、例えばピアノの鍵盤92のような狭い隙間の清掃を行うが、ブラシ毛材34は第1の実施の形態と同様に構成されるから、使用時にブラシ根元部34a1によって強さがあり、清掃を確実に行うことが可能であり、しかもブラシ自由端部34a2によって柔軟性があり、ブラシ自由端部34a2が鍵盤92の狭い隙間のごみを確実に除去することができる。
【0063】
すなわち、ブラシ毛材34は、ポリアミド、ポリアクリル、ポリエステルなどの樹脂繊維を用い、このブラシ毛材34を切断して基材33のヘッドに植毛しており、ブラシ根元部34a1によって強さがあることから、ブラシ自由端部34a2が鍵盤92に当たっても倒れたり曲がったりすることなく、鍵盤92の隙間又は奥の方まで届く。
【0064】
さらに、図13(c)に示すように、ブラシ自由端部34aの先端に変形部34a3を形成することで、変形部34a3によって鍵盤92の隙間や奥に対してごみを掻き出して確実に除去することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明は、塗布や洗浄、さらには清掃などを行うブラシ用具に適用可能であり、塗布や洗浄、さらには清掃などを確実に行うことが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1,11,21 化粧用ブラシ
2,12,22,32 支持部
3,13,23,33 基材
4,14,24,34 ブラシ毛材
4a,14a,24a,34a 糸
4a1,14a1,24a1,34a1 ブラシ根元部
4a2,14a2,24a2,34a2 ブラシ自由端部
4a3,14a3,24a3,34a3 変形部
5,15,25,35 ブラシ本体
31 掃除用ブラシ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材にブラシ毛材を突出させてなるブラシ本体を有するブラシ用具であり、
前記ブラシ毛材は、前記基材に設けられたブラシ根元部と、このブラシ根元部から先端方向へ延びるブラシ自由端部と、を有し、
前記ブラシ自由端部の径を、前記ブラシ根元部の径より小さくし、
前記ブラシ自由端部の先端を、尖らない形状にしたことを特徴とするブラシ用具。
【請求項2】
前記ブラシ自由端部は、先端方向へ延びる従い徐々に小径にしたことを特徴とする請求項1に記載のブラシ用具。
【請求項3】
前記ブラシ自由端部は、一定の径で先端方向へ延びることを特徴とする請求項1に記載のブラシ用具。
【請求項4】
前記ブラシ自由端部は、一定の径で先端方向へ延びる複数段部を有することを特徴とする請求項1に記載のブラシ用具。
【請求項5】
前記ブラシ自由端部は、先端を加工した変形部を有することを特徴とする請求項1に記載のブラシ用具。
【請求項1】
基材にブラシ毛材を突出させてなるブラシ本体を有するブラシ用具であり、
前記ブラシ毛材は、前記基材に設けられたブラシ根元部と、このブラシ根元部から先端方向へ延びるブラシ自由端部と、を有し、
前記ブラシ自由端部の径を、前記ブラシ根元部の径より小さくし、
前記ブラシ自由端部の先端を、尖らない形状にしたことを特徴とするブラシ用具。
【請求項2】
前記ブラシ自由端部は、先端方向へ延びる従い徐々に小径にしたことを特徴とする請求項1に記載のブラシ用具。
【請求項3】
前記ブラシ自由端部は、一定の径で先端方向へ延びることを特徴とする請求項1に記載のブラシ用具。
【請求項4】
前記ブラシ自由端部は、一定の径で先端方向へ延びる複数段部を有することを特徴とする請求項1に記載のブラシ用具。
【請求項5】
前記ブラシ自由端部は、先端を加工した変形部を有することを特徴とする請求項1に記載のブラシ用具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−34892(P2012−34892A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178595(P2010−178595)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(594190884)東京パーツ株式会社 (39)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(594190884)東京パーツ株式会社 (39)
【Fターム(参考)】
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