説明

ブラジャー用ハンガー

【課題】 カップ部分の形崩れを起こすことなくブラジャーを乾すことができるようにしたハンガーを提供する。
【解決手段】 ブラジャーを乾す際に用いられるブラジャー用ハンガーにおいて、ブラジャー(20)のカップ部分(21)が被せられることにより該カップ部分の立体的形状を保持して形崩れを少なくする2つの椀部(14)と、該2つの椀部を支持する支持部(13)と、該支持部の両端部が取付けられ、上記カップ部分を上記椀部に被せた状態でブラジャーを吊り下げるハンガー本体(11)と、を備える。2つの椀部はその盛り上がり部分を上方に指向させるのがよく、又支持部はバー状をなし、2つの椀部を支持する部分を両端部に対して横方向にオフセットした形状がよく、又2つの椀部は支持部に着脱可能とするのがよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブラジャー用ハンガーに関し、特にカップ部分の形崩れを起こすことなくブラジャーを乾すことができるようにしたハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
女性が下着を洗濯して乾す場合、そのまま屋外に乾すのは心理的な負担が大きいことから、洗濯した下着をネット状の袋やカーテンで目隠しすることが行われている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0003】
また、ブラジャーを洗濯して乾す場合、ブラジャーの紐部分を洗濯クリップなどで挟んで物干し竿や物干しロープから吊り下げて乾燥させることが多いが、かかる方法でブラジャーが乾燥するとブラジャーの乳房を覆うカップ部分に形崩れが起きやすい。
【0004】
そこで、吊り下げ可能な縦ポールの途中に肩紐ポールを横方向に延びて固定し、その下側に2本の本体ポールを間隔をあけかつ横方向に延びて固定し、2本の本体ポールには4枚のプレートをブラジャーのカップ部分の間隔をあけて取付け、中央の2つのプレートにはねじ棒を前方に突出して取付け、ブラジャーの肩紐を肩紐ポールに引っ掛け、2本のねじ棒の先端をブラジャーのカップ部分の奥方に当て、カップ部分の形崩れを解消するようにしたブラジャー用ハンガーが提案されている(特許文献4)。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3031948号公報
【特許文献2】実開平01−157689号公報
【特許文献3】実開平01−104985号公報
【特許文献4】実公平01−35750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献4記載のブラジャー用ハンガーでは2本のねじ棒をブラジャーのカップ部分の奥方に押しつけても、カップ部分の丸い立体的形状を保持することはできず、乾燥した時には依然として形崩れが起きるおそれがあった。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑み、カップ部分の形崩れを起こすことなくブラジャーを乾すことができるようにしたブラジャー用ハンガーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明に係るブラジャー用ハンガーは、ブラジャーを乾す際に用いられるブラジャー用ハンガーにおいて、ブラジャーのカップ部分が被せられることにより該カップ部分の立体的形状を保持して形崩れを少なくする2つの椀部と、該2つの椀部を支持する支持部と、該支持部の両端が取付けられ、上記カップ部分を上記椀部に被せた状態でブラジャーを吊り下げるハンガー本体と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の主たる特徴は乾す際にブラジャーのカップ部分を2つの椀部に被せてカップ部分の立体的形状を保持するようにした点にある。これにより、ブラジャーが乾燥した時に形崩れを起こすことがなくなる。
【0010】
2つの椀部はその盛り上がり部分を横方向に向かせてもよいが、その場合にはブラジャーのカップ部分を洗濯クリップなどで椀部に取付けておく必要がある。他方、椀部の盛り上がり部分を上方に向かせておくと、ブラジャーのカップ部分を洗濯クリップなどで椀部に取付ける必要がない。
【0011】
さらに、上述のように椀部の盛り上がり部分を上方に向かせておくと、例えば洗濯ハンガーにTシャツなどをかけてブラジャーを周囲から隠す、いわゆる目隠しをするときにTシャツ内に空気の流通するスペースが形成され、Tシャツとブラジャーを迅速に乾かせることができる。その結果、特許文献1〜3のように袋やカーテンで目隠しをするという煩わしい作業を行うことなく、女性の心理的な負担を解消できる。
【0012】
即ち、2つの椀部はその盛り上がり部分を上方に指向させて支持部に支持されているのが好ましい。
【0013】
さらに、椀部には通気用の穴又はスリットを形成すると、ブラジャーのカップ部分への通気性が向上し、短時間で乾燥させることができる。
【0014】
支持部は2つの椀部を支持できればその形状は特に限定されない。しかし、真直なバーやプレートにすると、ブラジャーの横紐がバーやプレートと干渉し、これを回避しようとすると、横紐が椀部を斜めに引っ張って椀部の形崩れの原因となるおそれがある。
【0015】
そこで、支持部はバー状となし、支持部の2つの椀部を支持する部分を支持部の両端部に対して横方向にオフセットされた形状とすると、横紐を椀部からそのまま下方に垂れさせることができ、椀部の形崩れを抑制できる。
【0016】
2つの椀部は支持部に固定してもよく、着脱可能に支持するようにしてもよい。特に、2つの椀部を支持部に対して着脱できるようにすると、ブラジャーが乾燥した後、カップ部分を椀部に被せたままブラジャーをハンガーから外し、箪笥などに収納しておくことができ、収納中における形崩れも抑制できる。
【0017】
また、支持部はその両端部をハンガー本体に固定してもよく、ハンガー本体に着脱可能に取付けるようにしてもよい。特に、支持部の両端部をハンガー本体に着脱できるようにすると、支持部及び椀部を取り外し、ハンガー本体を通常のハンガーとして利用することもできる。
【0018】
椀部、支持部及びハンガー本体は上述の機能を実現できれば特に材質は限定されず、金属材料、プラスチック材料、木材等、あるいはこれらを適宜組み合わせて用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図5は本発明に係るブラジャー用ハンガーの好ましい実施形態を示す。本例のハンガー10において、ハンガー本体11は例えばプラスチック材料を用い、左右の傾斜辺部分11Aの外端に縦辺部分11Bを下方に連続させ縦辺部分11Bの下端に水平辺部分11Cを水平方向内方に連続させ水平辺部分11Cの対向する端部の間を小径の連結バー11Dで連結したほぼ三角形状に製作されている。
【0020】
ハンガー本体11の頂点にはフック12が回転自在に取付けられ、又ハンガー本体11の水平辺部分11Cには係止ピン11Eが突設され、左右の係止ピン11Eには支持バー(支持部)13の両端部位13Aの貫通穴13Bが着脱可能に外嵌されるようになっている。
【0021】
この支持バー13は例えばプラスチック材料を用いて製作され、支持バー13の中間部位13Cは両端部位13Aに対してクランク状に折り曲げられ、つまり横方向にオフセットされている。
【0022】
また、支持バー13の中間部位13Cには図4に示されるように係止片部13Dが相互に間隔をあけかつ起立して形成され、支持バー13の係止片部13Dには2つの椀部14の係止受部14Aが着脱可能に嵌合されている。
【0023】
この椀部14はプラスチック材料を用いて半球形状に製作され、2つの椀部14の間は連結片部14Bによって相互に連結され、椀部14の内面には係止受部14Aが一体に形成され、係止受部14Aには嵌入凹部14Cが形成されて支持バー13の係止片部13Dが嵌入され、これによって2つの椀部14は盛り上がり部分を上方に指向させて支持バー13に着脱可能に取付けられている。
【0024】
この2つの椀部14には盛り上がり部分の頂上に通気用の穴14Dが形成されるとともに、その周囲には通気用の複数のスリット14Eが形成され、又椀部14の連結片部14Bにはブラジャー20のカップ部分20Aの間を引っ掛けるフック14Fが形成されており、2つの椀部14、連結片部14B及びフック14Fによってブラジャー用ホルダーが構成される。
【0025】
洗濯したブラジャー20を乾す場合、図1に示されるように、ブラジャー20のカップ部分21を2つの椀部14に被せ、ブラジャー20の横紐22を支持バー13のクランク形状の部分から下方に垂れさせ、ハンガー10のフック12を物干し竿や物干しロープに引っ掛ければよく、ブラジャー20には日光と外気の流れによってすぐに乾燥する。
【0026】
その際、ハンガー10の本体部分11に例えばTシャツを被せると、ブラシャー20を周囲から目隠しすることができ、女性は心理的な負担を感じることなくブラジャー20を乾すことができる。
【0027】
また、洗濯したTシャツをハンガー10に掛けると、Tシャツの胸と背中の部分が相互にピタッとくっつき、Tシャツ内に空気が流れず、乾燥し難くなるおそれがあるが、本例のハンガー10では2つの椀部14が盛り上がり部分を上に向けて取付けられているので、Tシャツの胸と背中の部分の間に空間が形成され、Tシャツ内に空気がスムーズに流れ、迅速に乾燥させることができる。
【0028】
ブラジャー20が乾燥すると、ブラジャー20のカップ部分21は椀部14によって形崩れを回避された状態で乾いているので、ブラジャー20をハンガー10から外して取り入れることができる。
【0029】
また、本例では椀部14が着脱可能になっているので、ブラジャー20のカップ部分21を椀部14に被せたまま椀部14を支持バー13から外すと、椀部14でカップ部分21の形状を保持したまま箪笥等に収納することができ、収納中におけるブラジャー20のカップ部分21の形崩れを回避することができる。
【0030】
また、本例のハンガー10では支持バー13がハンガー本体11に対して着脱できるので、支持バー13を外すと、ハンガー本体11を通常のハンガーとして用いることもできる。
【0031】
なお、上記の例では1つのハンガー本体11に1組の支持バー13及び椀部14を支持するようにしたが、左右の係止ピン11Eを複数段形成して2組以上の支持バー13及び椀部14を支持するようにしてもよい。
【0032】
また、椀部14は盛り上がり部分を上に向けてハンガー本体11に支持するようにしたが、横向きに支持するようにしてもよい。また、支持バー13はクランク状にオフセットするのではなく、真直な形状としてもよい。
【0033】
また、椀部14は支持バー13に着脱可能にとしたが、支持バーに固定するようにしてもよい。さらに、支持バー13はハンガー本体11に着脱可能としたが、ハンガー本体11に固定するようにしてもよい。
【0034】
また、ハンガー本体はほぼ三角形状としたが、四角形状その他の形状としてもよい。また、ハンガー本体11、支持バー13及び椀部14はプラスチック材料で製作したが、プラスチック材料以外の材料、例えば金属材料や木材で製作するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るブラジャー用ハンガーの好ましい実施形態におけるブラジャーを乾燥させている状態を示す概略斜視図である。
【図2】上記実施形態における全体構成を示す概略斜視図である。
【図3】上記実施形態における支持バー及び椀部をハンガー本体から外した状態を示す概略斜視図である。
【図4】上記実施形態における椀部を支持バーから外した状態を示す概略斜視図である。
【図5】上記実施形態における椀部の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0036】
10 ブラジャー用ハンガー
11 ハンガー本体
13 支持バー(支持部)
14 椀部
14D 穴
14F スリット
20 ブラジャー
21 椀部
22 横紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラジャーを乾す際に用いられるブラジャー用ハンガーにおいて、
ブラジャーのカップ部分が被せられることにより該カップ部分の立体的形状を保持して形崩れを少なくする2つの椀部と、
該2つの椀部を支持する支持部と、
該支持部の両端部が取付けられ、上記ブラジャーのカップ部分を上記椀部に被せた状態で該ブラジャーを吊り下げるハンガー本体と、を備えたことを特徴とするブラジャー用ハンガー。
【請求項2】
上記2つの椀部はその盛り上がり部分を上方に指向させて上記支持部に支持されている請求項1記載のブラジャー用ハンガー。
【請求項3】
上記支持部はバー状をなし、上記2つの椀部を支持する部分が両端部に対して横方向にオフセットされている請求項2記載のブラジャー用ハンガー。
【請求項4】
上記2つの椀部が上記支持部に着脱可能に支持されている請求項1ないし3のいずれかに記載のブラジャー用ハンガー。
【請求項5】
上記支持部が上記ハンガー本体に着脱可能に取付けられている請求項1記載のブラジャー用ハンガー。
【請求項6】
上記椀部には通気用の穴又はスリットが形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載のブラジャー用ハンガー。
【請求項7】
ブラジャーのカップ部分が被せられることにより該カップ部分の立体的形状を保持して形崩れを少なくする2つの椀部と、
該2つの椀部の間を相互に連結する連結片部と、
該連結片部に設けられ、上記ブラジャーのカップ部分の間の部分が引っ掛けられるフックと、
を備えたことを特徴とするブラジャー用ホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−194489(P2008−194489A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94517(P2008−94517)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3111045号
【原出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(390011109)岡崎産業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】