説明

ブリスターストリップ付き受動型吸入器

粉末形態の吸入用調合薬を複数個のブリスターポケット付きのブリスターストリップから送り出す受動型吸入器が提案される。この吸入器は、金属製突き通し要素を有し、2つの突き通し要素が少なくとも本質的にV字形をなして互いに遠ざかって延びると共に少なくとも本質的に扁平である。接触部材が、突き通し要素によってブリスターポケットの蓋に形成される別々の開口部相互間の領域でブリスターポケットの蓋に接触するよう突き通し要素相互間に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載された吸入器に関する。
【0002】
本発明は、粉末形態の吸入用調合薬を投与分の状態で収容した複数個のブリスターポケット(ブリスターとも呼ばれている)を備えたブリスターストリップから粉末形態の吸入用調合薬を送り出す吸入器に関する。
【背景技術】
【0003】
英国特許第2407042(A)号明細書は、巻取り型ブリスターストリップを備えた吸入器を開示している、この吸入器は、手動式の回動可能なアクチュエータを有し、このアクチュエータは、ブリスターストリップを段階的に動かすコンベヤを作動させる。アクチュエータは、突き通し具及び関連のマウスピースを支持する。アクチュエータを回動させることにより、ブリスターストリップを前方に動かすことができ、そしてブリスターストリップのブリスターポケットを次々に穴あけすることができる。患者が吸息すると、空気流が先に穴あけされたブリスターポケットを通過し、その結果、ブリスターポケット内の吸入用調合薬が空気と混ざり合い、患者に放出される。
【0004】
本発明は、受動型吸入器、即ち、患者又はユーザが吸息することによって空気流を発生させ、かかる空気流が吸入用調合薬を同伴して所望のエーロゾルを形成するようになった吸入器に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】英国特許第2407042(A)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ブリスターポケットを穴あけする突き通し部材の設計は、良好な放出特性を達成する上で重要である。しかしながら、研究結果の示すところによれば、現行設計の突き通し手段は、結果的に、最適化された放出特性をもたらさず且つ/或いは製造するのが困難であり且つ/或いは手の込んだ設計のものになっている。
【0007】
本発明の目的は、最適化された放出特性及び/又は簡単な設計の吸入器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1記載の吸入器によって達成される。有利な実施形態は、従属形式の請求項の内容である。
【0009】
本発明では、突き通し部材は、少なくとも本質的にV字形をなして互いに遠ざかって延びる2つの突き通し要素を有する。突き通し要素のV字形の結果として、蓋又は任意他のカバーの2つの主要なフラップが入れ物を突き通したときに形成される。特に、フラップは、突き通し要素によって互いに向かって且つ/或いは突き通された入れ物の互いに反対側の端部から遠ざかって曲げられる。
【0010】
本発明の一態様によれば、突き通し部材は、開封又は開放されるべき入れ物、例えばブリスターポケットの蓋に2つの別々の開口部だけを形成するこれら2つの突き通し要素だけを有する。この場合、突き通し要素は、少なくとも本質的に扁平であり又は平べったく、好ましくは板状である。これにより、最適放出特性の実現及び単純な設計が可能である。
【0011】
本発明の別の態様によれば、少なくとも本質的にV字形をなして配置された突き通し要素は、互いに間隔を置いて配置されている。接触部材が、突き通し要素によって蓋に形成される別々の開口部相互間の領域で蓋に接触するよう突き通し要素相互間に配置されている。これにより、最適化された放出特性の実現及び簡単な設計が可能である。
【0012】
好ましくは、接触部材は、突き通し要素に互いに連結され、特に、突き通し要素を支持し又は保持し、好ましくは、これらには限られない。好ましくは、接触部材は、長手方向であると共に/或いは嶺状又はブリッジ状である。
【0013】
特に板材又はシート材料を切断することによって板材から突き通し部材及び/又は突き通し要素を形成することが特に好ましく、その結果、突き通し要素を所望のV形状に曲げることができ、突き通し要素は、共通の部材、特に接触部材によって互いに連結される。
【0014】
特に、蓋は、突き通し部材によってのみ穴あけされる。好ましくは、突き通し部材は、これら2つの突き通し要素だけを有する。
【0015】
本発明の異なる態様及び異なる特徴は、互いに別個独立に且つ任意の組み合わせ状態で実現可能である。
【0016】
本発明の別の利点、特徴、性質及び態様は、特許請求の範囲の記載及び図面を参照して幾つかの好ましい実施形態についての以下の説明を読むと明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】マウスピースカバーが取り外された状態の吸入器の概略断面図である。
【図2】マウスピースカバーが閉鎖された状態の吸入器の概略断面図である。
【図3】マウスピース及び突き通し部材の付近の吸入器の拡大断面図である。
【図4】突き通し側から見えるインサートを備えた突き通し部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図中、同一の参照符号は、関連の説明が繰り返されていなくても、同一又は類似の部分を示すために用いられている。特に、同一又は対応の利点及び機能が達成される。
【0019】
図1は、吸入器1を概略断面図で示している。
【0020】
吸入器1は、好ましくはバンド状キャリヤ、例えばブリスターストリップ2から粉末状の吸入用調合薬を投与するのに役立つ。ブリスターストリップ2は、個数が有限であり、無端又は閉ループを形成しているわけではない。ブリスターストリップは、一回分のぽろぽろの吸入用調合薬、特に粉末10をそれぞれ直接収容した多数個のブリスターポケット3を有している。調合薬は、予備計量される。
【0021】
吸入器1は、好ましくは、入れ物、この場合、ブリスターポケット3が閉じられている(密封されている)依然として未使用のブリスターストリップ2のためのリザーバ4を有している。ブリスターストリップ2は、好ましくは、リザーバ4内にロールアップされ又は巻き取られている。図示の例では、リザーバ4は、ブリスターストリップ2をできるだけ容易に外方に動かし又はリザーバ4から引き出すことができるように形成されている。
【0022】
図示の例では、ブリスターストリップ2は、リザーバ4内に直接受け入れられる。しかしながら、これに代えて、カセット、容器、ドラム又はこれらと同等のものをブリスターストリップ2と共に吸入器1又はリザーバ4内に嵌め込み又は挿入しても良い。
【0023】
吸入器1は、好ましくは、ブリスターストリップ2の段階的前進運動をブリスターポケット3一つ分だけ矢印5aの方向に行わせるコンベヤ5を有している。その目的は、ブリスターポケット3を連続的に、それぞれブリスターポケット3を開封して空にすることができる開封及び/又は取り出し位置6に給送することにある。
【0024】
ブリスターポケット3をそれぞれ好ましくは、突き通し部材7によって開封又は開放することができ、この突き通し部材は、位置6でそれぞれ整列(又は位置合わせ)状態にあるブリスターポケット3の蓋を穴あけし又は切断開放する。突き通し部材7は、中空であると共に/或いは吸入器1の隣接のマウスピース8と流体結合状態にある。
【0025】
吸入中又は吸入のために、患者又はユーザ(図示せず)は、マウスピース8を自分の口の中に入れて吸息する。突き通し部材7が部分的に貫入したそれぞれ開封状態のブリスターポケット3は、それにより吸い込みによって空になる。周囲空気の空気流9が吸い込まれて開封状態のブリスターポケット3中に流れ、その結果、ぽろぽろの粉末10(吸入用調合薬を形成しており、マウスピース8の下で実際に開封状態のブリスターポケット3に入れられた状態で図1にのみ概略的に示されている)が吸い込まれた周囲空気と共にマウスピース8を介してエーロゾル雲11として小出しされるようになっている。この状況は図1に概略的に示されている。
【0026】
吸入器1は、好ましくは、手動式のレバー状アクチュエータ12を有し、このアクチュエータは、吸入器1のハウジング12aに回動可能に取り付けられている。突き通し部材7及びマウスピース8は、アクチュエータ12に取り付けられると共にこれによって支持されている。
【0027】
アクチュエータ12は、突き通し部材7がマウスピース8の下で位置6にあるそれぞれ整列関係をなすブリスターポケット3の蓋を穴あけするように作動可能(回動可能)である。
【0028】
アクチュエータ12が図1に示されている位置から(この場合、反時計回りの方向に)回って図3に示されている部分開放位置に至ると、突き通し部材7は、最後に穴あけされたブリスターポケット3から引っ込められる。
【0029】
次に、ブリスターストリップ2を、ブリスターポケット3一つ分だけ前方に動かして次のブリスターポケット3が位置6に来るようにする。これについては後で詳細に説明する。
【0030】
アクチュエータ12が図1に示されている位置に回って戻ると、即ち、アクチュエータ12を手動で戻すと、ブリスターストリップ2の次の整列状態にあるブリスターポケット3が突き通し部材7によって穴あけされ、それにより開封される。次に、新たな次の吸入が可能であり、即ち、吸入器1が作動される。
【0031】
吸入器1は、好ましくは、ブリスターストリップ2の使用済み部分を受け入れ又は収納する受け入れスペース又は装置13を有している。受け入れスペース又は装置13は、使用済み部分を巻き取ることができるよう形成されている。図1は、リザーバ4が本質的に充填状態にあり、受け入れスペース13が依然として本質的に空の状態にある状況を示している。
【0032】
コンベヤ5は、好ましくは、運搬ホイール14を有し、この運搬ホイールは、ブリスターポケット3相互間に係合することができ、ブリスターストリップ2を圧力ロック又は圧力嵌め状態で運搬することができる。これにより、ブリスターストリップ2を所望に応じて且つ/或いは必要に応じて非常に確実に又は正確に動かし又は割送りすることができる。
【0033】
コンベヤ5又はその運搬ホイール14は、かくしてブリスターポケット3が空になった後、好ましくはリザーバ4と受け入れ装置13との間、特に取り出し位置6と受け入れ装置13との間に配置される。
【0034】
アクチュエータ又はレバー12の回動軸線は、運搬ホイール14の回転軸線と同軸である。具体的に説明すると、アクチュエータ又はレバー12は、運搬ホイール14のアクスルによって支持されるのが良い。
【0035】
吸入器1は、マウスピースカバー15を有する。マウスピースカバー15は、吸入器1の基本原理のみを説明する図1には示されておらず、吸入器1のより現実的であるが依然として概略的な断面図である図2には示されている。図2は、マウスピースカバー15が閉鎖された状態で吸入器1を示しており、この場合、ブリスターストリップ2は、説明上の目的で部分的に省かれている。
【0036】
マウスピースカバー15は、カバー軸線16回りに回動可能であり、このカバー軸線は、図2及び図3に示されており、この例では、図面の平面(紙面)に垂直に延びている。
【0037】
アクチュエータ12の回動軸線は、好ましくは、カバー軸線16に同軸に又はこれと一致して延びる。運搬ホイール14の回転軸線は、カバー軸線16及びアクチュエータ12の回動軸線に同軸に延びている。
【0038】
コンベヤ5又はその運搬ホイール14は、好ましくは、マウスピースカバー15により、即ち、マウスピースカバー15の回動運動によって駆動される。具体的に説明すると、マウスピースカバー15を開くと、ブリスターストリップ2が前方に動かされる。好ましくは、マウスピースカバー15の開放運動の一部だけでコンベヤ5又はその運搬ホイール14が作動され又は動かされてブリスターストリップ2が前方に動かされる。
【0039】
図2に示されている完全閉鎖位置から始めて、マウスピースカバー15を開くと、例えば最大約10°、20°又は30°の第1の角度までの開放運動の第1段階において、ブリスターストリップ2は、マウスピースカバー15と運搬ホイール14との間のそれぞれのフリーホイール(図示せず)に起因して動かない。
【0040】
まず最初に、突き通し部材7を先に穴あけされると共に、通常/すでに空になっているブリスターポケット3から引っ込めるためにアクチュエータ12を動かし又は開放しなければならない。アクチュエータのこの開放運動は、手動で実施できる。しかしながら、アクチュエータ12は、好ましくは、マウスピースカバー15を開けると自動的に開く。具体的に説明すると、マウスピースカバー15を最大第1の角度まで開くのが良い。マウスピースカバー15がこの角度、例えば約20°に達すると、アクチュエータ12は、特に付勢手段又はばね手段(図示せず)等に起因して自動的に弾いて開き、その開放位置に至る。しかしながら、アクチュエータ12が開放運動の第1段階において、マウスピースカバー15と一緒に動いて(例えば、ラチェット機構体、ばね等に起因して)ついにはアクチュエータ12がその開放位置又は第1の角度に達するようにすることも可能である。
【0041】
アクチュエータ12の開放位置は、外部からの何らかの潜在的な影響を回避し又は少なくとも最小限に抑えるために、好ましくは、突き通し部材7が外部まで露出されることがなく且つ/或いは吸入器1が完全には開かれないように設定される。
【0042】
アクチュエータ12の開放位置を制限するため、アクチュエータ12の開放又は回動範囲は、マウスピースカバー15の開放又は回動範囲よりも小さく且つ/或いは好ましくはせいぜい20°、特に約10°以下に制限されている。
【0043】
しかしながら、アクチュエータ12は、その開放位置が限定されず、マウスピースカバー15まで、特にマウスピースカバー15と一緒に開き又は回動できるようにすることも可能である。
【0044】
マウスピースカバー15の次の開放(第2段階)の際、コンベヤ5又はその運搬ホイール14を作動させてブリスターストリップ2をブリスターポケット3一つ分だけ、空にされるべき次のブリスターポケット3まで前方に動かし又は割送りする。このブリスター運動は、好ましくはマウスピースカバー15の完全開放まで起こる。
【0045】
マウスピースカバー15が完全に開放され、即ち、その端位置に達した場合にのみ、次のブリスターポケット3を穴あけのための位置6に保つために、ブリスターストリップ2の運動は、それぞれの機構体(図示せず)により設定され又は固定されると共に/或いはマウスピースカバー運動から切り離される。しかしながら、マウスピースカバー15が完全に開かれないで再び閉じられた場合、ブリスターストリップ2を後方に動かす。これにより、吸入器1の作動が容易になり、特に、マウスピースカバー15の不完全な又は意図しない動作の結果として、ブリスターストリップ2の望ましくない運動が生じ、最終的に次のブリスターポケット3の望ましくない開封が生じることがないようにする。
【0046】
好ましくは、マウスピースカバー15が完全に開かれ又は回動されて第1の角度まで戻され或いは最後に穴あけされたブリスターポケット3が位置6に戻された場合にのみ開放状態のアクチュエータ12を再び閉鎖することができるようにするロック(図示せず)が設けられる。かくして、ブリスターポケット3のない又はこれを備えたブリスターストリップ2の一領域に突き通し部材7を押しつけることはできない。
【0047】
マウスピースカバー15を完全に開き、次のブリスターポケット3を位置6に動かすと、すでに整列関係にあり依然として密閉状態にあるブリスターポケット3を穴あけするためにアクチュエータ12を回動して戻すことができ、即ち、閉鎖することができる。すると、吸入器1は、いつでも吸入可能な状態にあり、即ち、上述したように作動される。
【0048】
吸入後、マウスピースカバー15を回動させてその閉鎖位置に戻すことにより吸入器1を閉鎖することができる。
【0049】
上述したようなマウスピースカバー15の運動により又は任意他の適当な仕方でコンベヤ5又はその運搬ホイール14を作動させるため、上述したフリーホイール及び適当な伝動装置、滑りクラッチ又は任意他の適当な継手等によりマウスピースカバー15をカバー後、特に運搬ホイール14に結合する。好ましくは、フリーホイール、伝動装置、継手等は、運搬ホイール14又はそれぞれのアクスルに組み込まれ又はこれに隣接して配置される。
【0050】
好ましくは、マウスピースカバー15は、アクチュエータ及び/運搬ホイール14のアクスル又は軸線を軸方向に覆う。
【0051】
図3は、マウスピース及び開封状態のブリスターポケット3が取り出し位置6にある状態で、突き通し部材7を拡大断面図で示している。突き通し部材7又は吸入器1は、好ましくは、インサート17を有し、このインサートはマウスピース8に連結され、特に、マウスピース8の出口スペース又は管18内に延びていることが理解できる。
【0052】
好ましくは、インサート17は、マウスピース8又はその出口管18内に圧力嵌め状態で保持されている。しかしながら、他の構成上の解決手段の採用も又可能である。
【0053】
インサート17は、突き通し部材7に隣接して配置されている。特に、突き通し部材7は、インサート17を形成し又は保持し、或いは、この逆の関係が成り立つ。
【0054】
突き通し部材7は、好ましくは、特に図3に示されているようにインサート17及び/又はマウスピース8を介してアクチュエータ12に連結される。
【0055】
吸入器1又はマウスピース8は、好ましくは、周囲空気の空気流9を流入させることができる少なくとも1つ、この場合、多数個の空気開口部19を有している。
【0056】
吸入器1、突き通し部材7及びマウスピース8及び/又はインサート17は、開封状態のブリスターポケットを流通した空気のための供給径路20及びさらに、好ましくは、空気がブリスターポケット3をバイパスするようにするためのバイパス径路21を形成している。経路20,21の両方は、好ましくは、マウスピース8内又はその出口管18内及び/又は経路20,21を通過したそれぞれの流れが混ざり合う混合ゾーン22のところで終端する。
【0057】
特に、空気開口部19を通って流入した空気流9は、開封状態のブリスターポケット3を通ると共に供給経路20を通って流れる供給空気流23及びバイパス経路21を通って流れるバイパス空気流24に分流される。
【0058】
図3は、空気が流れる際のエーロゾルの発生状況を概略的に示している。開封状態のブリスターポケット3を通って流れる供給空気流23は、吸入用調合薬(粉末10)を同伴してマウスピース8又はその出口管18内に特に供給空気流がバイパス空気流24と混ざり合う混合ゾーン22まで流れる。かくして、図3に概略的に示されているようにエーロゾル雲11が発生する。
【0059】
この実施形態では、突き通し部材7は、図3に示されると共に図4の突き通し部材7の斜視図に示されているように2つの突き通し要素25,26から成る。
【0060】
第1の突き通し要素25は、図3に示されているようにブリスターポケット3の蓋27に第1のブリスター開口部(入口開口部)を形成するのに役立つ。第2の突き通し要素26は、図3に概略的に示されているように蓋27に別個の第2のブリスター開口部(出口開口部)を形成する。かくして、供給空気流23は、第1の開口部を通って流入し、そして第2の開口部を通って流出することができる。第2の開口部は、供給経路20に流体結合され、この供給経路は、この場合、好ましくは、突き通し部材7及び/又はインサート17内に設けられたチャネルによって形成される。このチャネルは、混合ゾーン22に開口している。
【0061】
この実施形態では、バイパス経路21は、好ましくはインサート17によって形成された好ましくはバイパスチャネル29を通って混合ゾーン22に通じ又はこれによって形成される。具体的に説明すると、バイパスチャネル29は、チャネル28を同心状に又は半径方向に包囲する。しかしながら、他の構成上の手段の採用が可能である。
【0062】
特に、突き通し部材7は、一体形であると共に/或いは本質的に板状であると共に/或いは開封されるべきブリスターポケット3に向かって突き出ると共に延びている2つの突き通し要素25,26を有し又は形成している。
【0063】
好ましくは、突き通し部材7は、蓋27を穴あけし、即ち、ブリスターポケット3を定位置6で開封し、特に、蓋27に2つの別々の開口部28,29を形成する2つの突き通し要素25,26だけを有している。
【0064】
好ましくは、突き通し要素25,26は、少なくとも本質的に扁平であり又は板状である。
【0065】
本発明によれば、突き通し要素25,26は、少なくとも本質的にV字形をなして互いに遠ざかって延び又は配置されている。特に、突き通し要素25,26は、互いに遠ざかって傾けられており、その結果、これら相互間の距離は、突き通し部材7又は蓋27を形成する板から遠ざかる距離の増大につれて増大する(突き通し要素25,26がブリスターポケット3内に延びる場合)。
【0066】
突き通し要素25,26は、本質的に小出し方向に且つ/或いは蓋27又は入れ物/ブリスターポケット3の任意他のカバーに本質的に垂直に延びる突き通し平面34に対して傾けられている。
【0067】
好ましくは、突き通し要素25,26の主延長平面及び突き通し平面34は、全ての表面が互いに交差する共通線(交差線)を有する。換言すると、この交差線回りに一方の突き通し要素を幾何学的に回転させて他方の突き通し要素に位置させることができ又はこの逆の関係が成り立つ。しかしながら、突き通し要素25,26の他の向きの採用も又可能である。
【0068】
突き通し平面34に対する突き通し要素25,26の角度は、約30°〜60°、好ましくは約40°〜50°であり、即ち、突き通し要素25,26相互間の角度は、好ましくは、約80°〜100°である。
【0069】
好ましくは、突き通し要素25,26は、蓋27又はブリスターストリップ2の表面又は主平面、ブリスターストリップ2の長手方向広がり、ブリスターストリップ2の前進運動5a及び/又は穴あけ中におけるブリスターポケット3に対する突き通し部材7の相対運動方向に対して傾けられている。具体的に言えば、この傾きは30°〜60°、好ましくは約40°〜50°、最も好ましくは約45°である。
【0070】
好ましくは、突き通し要素25,26は、互いに間隔を置いて配置されている。 好ましくは、接触部材30が突き通し要素25,26相互間に配置されており、接触部材30は、突き通し要素25,26により蓋27に形成された開口部28,29相互間の非破裂領域で蓋27に接触することができるようになっている。
【0071】
好ましくは、接触部材30は、蓋27に開口部28,29相互間の領域で直接接触する扁平な又は嶺状接触領域を有する。
【0072】
好ましくは、接触部材30又はその接触領域は、第1の開口部28を通ってブリスターポケット3内に入ると共に第2の開口部29を通ってブリスターポケット3から出る供給空気流23の規定された流れを補償し、特に、蓋27と突き通し部材7との間における供給空気の望ましくない漏れを阻止し、即ち、供給空気流23が開封状態の入れ物/ブリスターポケット3をバイパスすることができないようにするために入れ物/ブリスターポケット3又は蓋27の少なくとも幅全体にわたって延びている。
【0073】
好ましくは、突き通し要素25,26は、共通部材、特に接触部材30によって互いに連結され又は保持され又は支持される。
【0074】
好ましくは、突き通し要素25,26は、そのそれぞれの自由端部までテーパすると共に/或いはそれぞれ先端部31を有している。
【0075】
好ましくは、突き通し部材7及び/又は突き通し要素25,26は、板材、特に板金で作られる。
【0076】
この実施形態では、突き通し要素25,26は、それぞれの傾斜位置に曲げられている。
【0077】
好ましくは、突き通し要素25,26は、それぞれ、本質的に直線状の縁部に沿って突き通し部材7の扁平な板状の領域にのみ連結されている。
【0078】
好ましくは、突き通し部材7は、金属及び/又は板材で作られている。突き通し部材7は、好ましくは、インサート17とは別個に形成され又は作られる。
【0079】
好ましくは、突き通し部材7は、インサート17又は吸入器1の任意他の適当なコンポーネントによって圧力嵌め状態に保持されている。好ましくは、圧力嵌めによる連結は、突き通し部材7が、突起33が挿通する少なくとも1つの貫通穴32を有し、突き通し部材7を固定するためにこの突起の自由端部が変形されることによって達成されている。突起33は、インサート17又は吸入器1の任意他の適当なコンポーネントから突き出ている。突起33は、好ましくは、プラスチックで作られ、従って、所望の圧力嵌めによる連結を単純な仕方で、特に変形により、好ましくは圧力及び/又は熱に起因して達成できるようになっている。貫通穴32は、好ましくは、突き通し部材7の扁平な又は板状の領域に設けられる。
【0080】
この実施形態では、突き通し部材7は、好ましくは、少なくとも2つの箇所のところで、好ましくは、2つの突起33が対応の2つの貫通穴32を貫通することにより保持され又は連結されている。
【0081】
注目されなければならないこととして、図3は、潜在的に考えられる構成例を非常に概略的にしか示しておらず、特に、縮尺通りには示していない。壁として他の構成上の手段の採用が可能である。
【0082】
好ましくは、吸入器1は、携帯可能であり、機械的原理のみで動作し且つ(或いは)手持ち型である。
【0083】
好ましくは、「ブリスターストリップ」及び「ブリスターポケット」という用語は、調合薬のための入れ物又はそれどころか大量貯蔵部を備えた他の種類の貯蔵手段も又含むものと極めて広義に理解されなければならない。
【符号の説明】
【0084】
1 吸入器
2 ブリスターストリップ
3 ブリスターポケット
4 リザーバ
5 コンベヤ
5a 前進運動
6 開封及び/又は取り出し位置
7 突き通し部材
8 マウスピース
9 空気流
10 粉末
11 エーロゾル雲
12 アクチュエータ
12a ハウジング
13 受け入れ装置
14 運搬ホイール
15 マウスピースカバー
16 カバー軸線
17 インサート
18 出口管
19 空気開口部
20 供給経路
21 バイパス経路
22 混合ゾーン
23 供給空気流
24 バイパス空気流
25 第1の突き通し要素
26 第2の突き通し要素
27 蓋
28 第1の開口部
29 第2の開口部
30 接触部材
31 先端部
32 貫通穴
33 突起
34 突き通し平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入用調合薬を投与分の状態で収容した複数個の入れ物、例えばブリスターポケット(3)を備えた好ましくはバンド状のキャリヤ、例えばブリスターストリップ(2)から吸入用調合薬を送り出す吸入器(1)であって、
好ましくは、前記ブリスターストリップ(2)の段階的前進運動を可能にするコンベヤ(5)と、
開封されるべき入れ物の蓋(27)を穴あけする突き通し部材(7)と、を有し、
前記吸入器(1)が、開封状態のブリスターポケット(3)からそれぞれの投与分を放出するために好ましくは、吸入の際の吸息により周囲空気の空気流(9)を吸い込み又は送り出すことができるよう設計されている吸入器において、
前記突き通し部材(7)は、前記蓋(27)に2つの別々の開口部(28,29)だけを形成する2つの突き通し要素(25,26)だけを有し、前記突き通し要素(25,26)は、少なくとも本質的にV字形をなして互いに遠ざかって延びると共に少なくとも本質的に扁平であると共に/或いは
前記突き通し部材(7)は、少なくとも本質的にV字形をなして互いに遠ざかって延びる2つの突き通し要素(25,26)を有し、接触部材(30)が、前記突き通し要素(25,26)によって前記蓋(27)に形成される別々の開口部(28,29)相互間の領域で前記蓋(27)に接触するよう前記突き通し要素(25,26)相互間に配置されている、
ことを特徴とする吸入器。
【請求項2】
前記突き通し要素(25,26)は、穴あけされるべき前記蓋(27)、前記蓋(27)又はキャリヤの表面又は主平面、前記キャリヤの長手方向延長部、前記キャリヤの前進運動(5a)及び/又は穴あけされるべき入れ物に対する前記突き通し部材(7)の突き通し運動に対して傾けられている、
請求項1記載の吸入器。
【請求項3】
前記突き通し要素(25,26)は、その自由端部がテーパしている、
請求項1又は2記載の吸入器。
【請求項4】
前記突き通し要素(25,26)は、約80°〜約100°の角度だけ互いに対して傾けられている、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の吸入器。
【請求項5】
前記突き通し部材(7)は、板材で作られ、前記突き通し要素(25,26)は、板材の一部を傾斜位置に曲げることにより形成されている、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の吸入器。
【請求項6】
前記板材は、板金、特にばね鋼又はステンレス鋼である、
請求項5記載の吸入器。
【請求項7】
前記突き通し要素(25,26)は、互いに間隔を置いて配置されている、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の吸入器。
【請求項8】
前記接触部材(30)は、前記蓋(27)に非破裂領域で接触する平べったい又は嶺状の接触領域を有し又は形成する、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の吸入器。
【請求項9】
前記接触部材(30)は、開いている又は開封されるべき前記キャリヤ又は入れ物の幅全体にわたって延びている、
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の吸入器。
【請求項10】
前記突き通し要素(25,26)は、特に前記接触部材(30)によって共通の、好ましくは平べったい部材により保持され又はこれに連結されている、
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の吸入器。
【請求項11】
前記突き通し部材(7)は、本質的に扁平であり又は板状であると共に/或いは穴あけされるべき前記入れ物に対して前記突き通し部材(7)の突き通し運動に本質的に垂直に延びている、
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の吸入器。
【請求項12】
前記吸入器(1)は、前記突き通し部材(7)を保持し又は形成する好ましくは成形及び/又は一体形インサート(17)を有する、
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の吸入器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−515594(P2012−515594A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546986(P2011−546986)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【国際出願番号】PCT/IB2010/000115
【国際公開番号】WO2010/084415
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)