説明

ブリスターパック

【課題】開封時に凸部を押圧する等の操作を必要とすることなく、凸部内の収容部から被包装物が不用意に飛び出すことなく、容易に開封することができ、しかも子供にとっては開封しにくいように構成され、誤飲防止等を可能にしたブリスターパックを提供する。
【解決手段】ブリスターケースの周囲に、ブリスターシートと貼着シートとをシールする環状シール部を設け、該環状シール部の外側に、易剥離領域を隔てて、ブリスターシートと貼着シートとをシールするシール領域が設けられ、該易剥離領域は、前記環状シール部及び前記シール領域におけるシール強度よりも弱いシール強度の弱シール領域、若しくはブリスターシートと貼着シートとがシールされていない非シール領域とされ、且つ前記シール領域には、前記易剥離領域側に向かって前記貼着シートをブリスターシートから剥離する際の開封起点部が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリスターパック、さらに詳しくは、主として手で引き裂いて開封する方式のブリスターパックであって、子供には開封が困難であるが、成人にとっては相応に開封可能で、錠剤やカプセル等の医薬品、食品、化粧品等の被包装物の包装に用いるブリスターパックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、錠剤やカプセル等の医薬品の包装には、プラスチック製の成形シートに複数の凸部を形成し、この凸部内の収容部に固形剤からなる医薬品を収容してシールシートで密封し、服用時には上記凸部を押圧することにより固形剤からなる医薬品でシールシートを押し破って取り出すようにした、いわゆるPTP包装と称されるブリスターパックがある。このPTP包装のブリスターパックは、固形剤が個々に包装されていること、計数管理が容易であること、コンパクトで保管等が容易であること、取り出し操作が比較的簡単であること等の利点から、固形剤の包装に多用されている。そして、このようなPTP包装のブリスターパックに関する発明として、たとえば下記特許文献1のような特許出願がなされている。
【0003】
ところが、この特許文献1に開示されたような従来のPTP包装のブリスターパックは、取出し操作が比較的簡単であるとはいえ、凸部を一つずつ押圧して固形剤を押出さなければならず、たとえば老人等のように握力の弱い使用者が使用する場合には、取出しが困難となることもあった。
【0004】
そこで、このような問題点を解決するために、たとえば下記特許文献2のような特許出願がなされている。この特許文献2に記載された発明は、1回に取り出される収容部のみを開封して所定数量の被包装物を正確に且つ簡単に取り出すことができ、且つ錠剤、カプセル剤はもちろんのこと、顆粒剤、ゼリー、液剤などの被包装物や、崩壊錠のように壊れ易い被包装物の包装にも適用できるようなブリスターパックを提供するものである。
【0005】
このブリスターパックは、複数の凸部を形成した成型シートにシールシートを貼り合わせて各凸部内の収容部を個別密封し、上記シールシートにスリットを設けて、このスリットによりシールシートを1回に取り出される収容部全体を覆う開封部に区画し、この開封部におけるシールシートの破断強度を、シールシートと成型シートとの接着強度よりも高く設定し、上記開封部の縁部に掴み部を設けて、この掴み部を引っ張ることにより開封部を成型シートから引き剥がし可能に構成したものである。
【0006】
しかしながら、このようなブリスターパックにおいては、区画された開封部を成型シートから引き剥がすことによって、被包装物を取り出すように構成されているので、取り出す際に錠剤やカプセル等の被包装物が不用意に飛び出す可能性がある。
【0007】
一方、上記のような従来のPTP包装のブリスターパックは、取出し操作が比較的簡単であり、子供にとっても内容物を容易に取り出すことができ、医薬品においては薬剤の誤飲等を生じさせる可能性がある。
【0008】
その一方で、このような子供の誤飲等を防止するために、子供が開封しにくいように構成されたブリスターパックも開発されている。しかし、子供が開封しにくいように構成されたブリスターパックは、成人にとっても開封しにくい場合があり、特に老人等のように握力の弱い使用者が使用する場合には、取出しが困難となることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−226360号公報
【特許文献2】特開2001−46469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、PTP包装等として使用するブリスターパックを開封する際において、従来のように凸部を押圧する等の操作を必要とすることなく、また凸部内の収容部から被包装物が不用意に飛び出すおそれがなく、老人等のように握力の弱い使用者が使用する場合においても容易に開封することができ、しかも子供にとっては開封しにくいように構成されており、子供の誤飲防止等を好適に図ることができるブリスターパックを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、被包装物を収容可能な収容部を有するブリスターケースを具備したブリスターシートと、該ブリスターケースの収容部の開口部分を覆うように前記ブリスターシートに貼着される貼着シートとからなるブリスターパックにおいて、前記ブリスターケースの周囲には、ブリスターシートと貼着シートとをシールする環状シール部が設けられ、該環状シール部の外側には、易剥離領域を隔てて、ブリスターシートと貼着シートとをシールするシール領域が設けられ、該易剥離領域は、前記環状シール部及び前記シール領域におけるブリスターシートと貼着シートとのシール強度よりも弱いシール強度でシールされた弱シール領域、若しくはブリスターシートと貼着シートとがシールされていない非シール領域とされ、且つ前記シール領域には、前記易剥離領域側に向かって前記貼着シートをブリスターシートから剥離する際の開封起点となる開封起点部が設けられ、該開封起点部からシール領域における貼着シートをブリスターシートから剥離する剥離力により、前記易剥離領域を介して前記環状シール部における貼着シートとブリスターシートとのシールを剥離しうるように構成されていることを特徴とするブリスターパックを提供する。
【0012】
開封起点部としては、たとえばシール領域において貼着シートとブリスターシートとを点状にシールするポイントシール部と、該ポイントシール部を介して断続的に形成されたスリットとで構成されたようなものを採用することができる。また、開封起点部を起点としてブリスターシートから剥離される貼着シートを剥離する際に、シール領域において貼着シートの折り曲げを容易にするための折曲部を形成することも可能である。さらに、貼着シートとしては、たとえば合成樹脂製フィルムにアルミニウムをラミネートしてブリスターシートに対して剥離可能に構成されたアルミニウムラミネートフィルムのようなものを使用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のブリスターパックは、上述のように、ブリスターケースの周囲に、ブリスターシートと貼着シートとをシールする環状シール部が設けられ、該環状シール部の外側には、易剥離領域を隔てて、ブリスターシートと貼着シートとをシールするシール領域が設けられ、該易剥離領域は、前記環状シール部及び前記シール領域におけるブリスターシートと貼着シートとのシール強度よりも弱いシール強度でシールされた弱シール領域、若しくはブリスターシートと貼着シートとがシールされていない非シール領域とされ、且つ前記シール領域には、前記易剥離領域側に向かって前記貼着シートをブリスターシートから剥離する際の開封起点となる開封起点部が設けられたものであるため、使用者は、上記開封起点部を起点として、シール領域において貼着シートをブリスターシートから剥離することができ、そのシール領域における剥離力により、易剥離領域においても貼着シートをブリスターシートから剥離することができ、さらに、前記シール領域の剥離力を、易剥離領域を介して環状シール部にも作用させることができ、その結果、環状シール部においても、貼着シートとブリスターシートとのシールを剥離することができる。
【0014】
特に、被包装物の収容部分であるブリスターケースの周囲では、環状シール部においてブリスターシートと貼着シートとがシールされているのみであり、その環状シール部の外側に、上記のような弱シール領域若しくは非シール領域とされた易剥離領域が設けられているので、易剥離領域におけるブリスターシートからの貼着シートのスムーズな剥離力が、そのまま環状シール部に作用することとなり、環状シール部で貼着シートをブリスターシートから剥離する場合においても、ブリスターケースに無理な力が作用することもなく、被包装物を取り出す際に被包装物が不用意に飛び出すようなおそれもない。
【0015】
このように、本発明においては、貼着シートをブリスターシートから剥離する際に、無理な力を加える必要がなく、また被包装物の不用意な飛び出し等を生じさせることなく、被包装物をブリスターケースの収容部から取り出すことができ、また従来のように被包装物が収容された凸部を押圧する等の操作を必要とすることもない。従って、たとえば老人等のように握力の弱い使用者が使用する場合であっても、貼着シートをブリスターシートからスムーズに剥離させることができ、被包装物の取出しが困難となることもない。
【0016】
さらに、上記のように開封起点部を起点とし、一旦シール領域で貼着シートをブリスターシートから強い剥離力で剥離した後、易剥離領域では弱い剥離力で貼着シートをブリスターシートから剥離することができ、その後は環状シール部において貼着シートをブリスターシートから強い剥離力で剥離しなければならないので、開封起点部を起点とした後の貼着シートをブリスターシートから剥離する操作や、ブリスターケースの収容部の開封の操作が単純ではなく、従って、子供にとっては開封しにくいように構成されているので、子供の誤飲等を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一実施形態としてのブリスターパックの平面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】ブリスターパックを連設したブリスターパック連設体の平面図。
【図4】開封時にブリスターパックを反転させた状態を示す断面図。
【図5】開封起点部を開封起点として剥離シートをブリスターシートから剥離する直後の状態を示す断面図。
【図6】剥離シートをブリスターシートから剥離する状態を示す断面図。
【図7】他実施形態のブリスターパックの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のブリスターパックは、上述のように、被包装物を収容可能な収容部を有するブリスターケースを具備したブリスターシートと、該ブリスターケースの収容部の開口部分を覆うように前記ブリスターシートに貼着される貼着シートとからなるブリスターパックにおいて、前記ブリスターケースの周囲には、ブリスターシートと貼着シートとをシールする環状シール部が設けられ、該環状シール部の外側には、易剥離領域を隔てて、ブリスターシートと貼着シートとをシールするシール領域が設けられ、該易剥離領域は、前記環状シール部及び前記シール領域におけるブリスターシートと貼着シートとのシール強度よりも弱いシール強度でシールされた弱シール領域、若しくはブリスターシートと貼着シートとがシールされていない非シール領域とされ、且つ前記シール領域には、前記易剥離領域側に向かって前記貼着シートをブリスターシートから剥離する際の開封起点となる開封起点部が設けられ、該開封起点部からシール領域における貼着シートをブリスターシートから剥離する剥離力により、前記易剥離領域を介して前記環状シール部における貼着シートとブリスターシートとのシールを剥離しうるように構成されているものである。
【0019】
ブリスターシートの形状は、特に限定されるものではないが、たとえば平面略長方形状に形成することができる。また、貼着シート2の形状も特に限定されるものではないが、ブリスターシートに貼着されるものであるので、ブリスターシートの形状に合わせて形成することが望ましい。また、ブリスターケースの形状も特に限定されるものではなく、たとえば平面円形状のものや、平面楕円形状のものを使用することができる。
【0020】
また、ブリスターシート1の材質も問うものではなく、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系合成樹脂、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等の種々の合成樹脂の素材を用いることが可能である。
【0021】
さらに、貼着シート2の材質も問うものではないが、アルミニウムと合成樹脂製シートとをラミネートしてブリスターシートに対して剥離可能に構成されたいわゆるアルミラミネートシートで構成されたものを用いるのが望ましい。このようなアルミラミネートシートで貼着シート2を構成することによって、特に子供にとっては開封操作が困難となり、誤飲防止をより好適に防止することが可能となる利点がある。
【0022】
このようなアルミラミネートシートとしては、たとえば脂肪族ポリアミドやポリエチレンテレフタレート等からなるベースフィルムにアルミニウムを積層し、そのアルミニウムにポリ塩化ビニルやポリプロピレン等を積層して多層構造にしたようなものが用いられる。
【0023】
ただし、上記のようなアルミラミネートシートで貼着シート2を構成することは、本発明の必須の条件ではなく、たとえばアルミニウム等の金属を含まない合成樹脂製シートからなるようなものを使用することも可能である。この場合、2種以上の合成樹脂をラミネートしたシートを用いることも可能であるが、ラミネートしていない単層の合成樹脂製シートを用いることも可能である。
【0024】
開封起点部としては、たとえばシール領域において貼着シートとブリスターシートとを点状にシールするポイントシール部と、該ポイントシール部を介して断続的に形成されたスリットとで構成されたようなものを採用することができる。このスリットは、貼着シートとブリスターシートとに貫通して形成されることが望ましいが、ブリスターシートのみに形成することも可能である。また、ポイントシール部は、複数設けられていてもよく、1箇所のみに設けられていてもよい。
【0025】
また、開封起点部を起点としてブリスターシートから剥離される貼着シートを剥離する際に、シール領域において貼着シートの折り曲げを容易にするための折曲部を形成することも可能である。この折曲部としては、ブリスターシートのみに貫通して形成されたスリット状のようなものを採用することができ、また貫通せずに深さ方向に半分程度裁断されたハーフスリット状に形成されたようなものを採用することもできる。開封起点部として、上記のようなポイントシール部と、スリットとで構成されたようなものを採用する場合、スリットからなる開封起点部の両端部は、折曲部に近接して形成するか、若しくは連続して形成することが望ましい。
【0026】
環状シール部の形状も特に限定されるものではなく、たとえば円形のリング状のような形状とすることができる。環状シール部はブリスターケースの周囲に形成されるので、ブリスターケースの形状に合わせて形成するのが望ましい。
【0027】
また、易剥離性領域やシール領域の平面形状も特に限定されるものではない。尚、本発明のブリスターパックの用途も、医薬品、食品、化粧品等、その用途は問うものではない。
【0028】
以下、本発明のブリスターパックのより具体的な実施形態について図面に従って説明する。
【0029】
一実施形態のブリスターパックは、図1及び図2に示すように、ブリスターシート1と、貼着シート2とで構成されている。ブリスターシート1は、被包装物3を収容可能な収容部4を有する凸状のブリスターケース5を具備して構成されている。このブリスターケース5は、図1に示すように、平面円形のものである。貼着シート2は、図2に示すように、前記ブリスターケース5の収容部4の開口部分4aを覆うように、前記ブリスターシート1に貼着されている。
【0030】
ブリスターシート1は、ブリスターケース5を含めて全体が合成樹脂で構成されている。
【0031】
また貼着シート2は、合成樹脂製シートにアルミニウムをラミネートしたアルミニウムラミネートシートで構成されている。
【0032】
貼着シート2は、ブリスターシート1に貼着されるものであり、そのように貼着シート2がブリスターシート1に貼着された状態において、ブリスターケース5の周囲には、図1に示すように、平面円形のリングからなる環状シール部6が形成されている。この環状シール部6は、熱等によりブリスターシート1を貼着シート2にシールすることによって形成されている。
【0033】
そして、前記環状シール部6の外側には、該環状シール部6においてブリスターシート1と貼着シート2とがシールされたシール強度よりも弱いシール強度の弱シール状態でシールされた易剥離領域7が、前記環状シール部6を包囲するように形成されている。この易剥離領域7は、図1に示すように、平面略長方形状に形成されている。
【0034】
そして、その易剥離領域7の外側は、前記易剥離領域7のシール強度よりも強く、前記環状シール部6のシール強度と同程度のシール強度でシールされたシール領域8として形成されている。すなわち、このシール領域8は、前記ブリスターケース5、環状シール部6、易剥離領域7を除く全域に、且つ該易剥離領域7を包囲するように形成されている。また該シール領域8は、図1に示すように、面積の大きい前方辺部8aと、該前方辺部8aと反対側の面積の小さい後方辺部8bと、該後方辺部8bと同程度の面積の側方辺部8c、8dとからなる。
【0035】
前記シール領域8の前方辺部8aには、ブリスターパックを開封する起点となる開封起点部9が設けられている。この開封起点部9は、図1に示すように、前記シール領域8において貼着シート2とブリスターシート1とを点状にシールする複数のポイントシール部10と、該ポイントシール部10を介して断続的に形成されたスリット11によって構成されるものである。この場合、スリット11はブリスターシート1のみに形成することも可能であるが、本実施形態では貼着シート2からブリスターシート1に貫通して形成されている。前記開封起点部9は、図1に示すように、全体が略弓形の軌道を描いて形成されている。
【0036】
また、前記開封起点部9を起点として前記貼着シート2を前記ブリスターシート1から剥離する際に、貼着シート2の折り曲げを容易にするための折曲部12が、前記開封起点部9の両端部9a、9bに連続して形成されている。この折曲部12は、ブリスターシートのみに貫通してスリット状に形成されている。
【0037】
そして、このような構成からなるブリスターパック13は、後方辺部8b側で相互に連設されているとともに、側方辺部8c、8d側においても相互に連設されていることによって、図3に示すように、複数のブリスターパック13が連設されたブリスターパック連設体14が得られることとなる。
【0038】
この場合、一のブリスターパック13の後方辺部8bと、その一のブリスターパック13に隣接するブリスターパック13の後方辺部8bとの境界線部分にはミシン目15が形成されている。また、一のブリスターパック13の側方辺部8cと、その一のブリスターパック13に隣接するブリスターパック13の側方辺部8c、8dとの境界線部分にもミシン目15が形成されている。ただし、このようなミシン目15を形成することは条件となるものではなく、ミシン目15を形成せずに複数のブリスターパック13を連接してブリスターパック連設体14を構成することも可能である。
【0039】
本実施形態のブリスターパック13は、たとえばカプセル、錠剤等の医薬品の包袋用として用いられる。その際、被包袋物として単位あたりの医薬品(カプセル剤であれば1カプセル、錠剤であれば1錠)が1つのブリスターパック13の収容部4内に収容されるので、上記図3に示すようなブリスターパック連設体14には、ブリスターパック13が連設された個数分の医薬品が収容されることとなる。たとえば上記図3の例では、10個のブリスターパック13が連設されてブリスターパック連設体14が構成されているので、10カプセル又は10錠の医薬品が収容されることとなる。
【0040】
このようなブリスターパック連設体14は、一般のPTP包装等の場合と同様に、製薬メーカーによって販売される商品としての流通時や、調剤薬局等から患者に提供される処方時等において、複数のブリスターパック13が連設されたままの状態で使用される。
【0041】
患者等、医薬品を投与する使用者が使用する際にも、ブリスターパック連設体14の状態で開封や被包装物の取り出しを行うことができるが、予めブリスターパック連設体14をブリスターパック13ごとに分断した後に、開封や被包装物の取り出しを行うことも可能である。
【0042】
尚、本実施形態では、便宜上、1個の被包袋物を収容しうるものをブリスターパック17とし、そのブリスターパック13を複数連設したものをブリスターパック連設体14として説明したが、本発明における「ブリスターパック」とは、本実施形態における1個の被包袋物を収容しうるブリスターパック13のみならず、上記ブリスターパック連設体14のように、1個の被包袋物を収容しうるものをさらに複数連設したようなものも含む意味であり、従ってブリスターパックに具備されている収容部4の個数も問わないものである。
【0043】
次に、このような構成からなるブリスターパックを開封する場合について説明する。上述のように、患者等の使用者は、複数のブリスターパック13が連設されたブリスターパック連設体14の状態で開封や被包装物の取り出しを行うことができ、また予めブリスターパック連設体14をブリスターパック13ごとに分断した後に、開封や被包装物の取り出しを行うこともできる。
【0044】
しかしながら、いずれの手順を採用しても、被包装物を取り出す操作及び作用は共通するので、ここでは、便宜上、1個のブリスターパック13のみに着目し、そのブリスターパック13を開封して被包装物を取り出す操作と作用について説明する。
【0045】
先ず、図4に示すようにブリスターパック13のブリスターケース5を下向き、すなわちブリスターケース5の収容部4の開口部分4aを上向きとし、その状態で、図5に示すように開封起点部9に沿って貼着シート2及びブリスターシート1を分断するとともに、該開封起点部9を起点として、貼着シート2をブリスターシート1から剥離し、貼着シート2を持ち上げる。
【0046】
この場合において、開封起点部9は、上述のように、シール領域8において貼着シート2とブリスターシート1とを点状にシールする複数のポイントシール部10を介して断続的に形成されたスリット11によって構成されているため、開封前の状態においては、ポイントシール部10によってシール領域8における貼着シート2が連設された状態となっているので、開封起点部9の位置において貼着シート2がブリスターシート1から不用意に分断されることもない。
【0047】
一方、開封時においては、貼着シート2及びブリスターシート1を強制的に持ち上げることによって、複数のポイントシール部10が切離され、複数のスリット11が連続する状態となるので、開封起点部9に沿って貼着シート2及びブリスターシート1を分断することが可能になるとともに、貼着シート2をブリスターシート1から剥離することが可能となる。
【0048】
また、この場合において、開封起点部9は、上述のように全体が略弓形の軌道を描いて形成され、且つ該開封起点部9の両端部9a、9bに連続して折曲部12が形成されているため、貼着シート2は、図5に示すように、折曲部12の線に沿ってスムーズに折り曲げられることとなる。
【0049】
そして、折曲部12の線に沿って折り曲げられた貼着シート2及びブリスターシート1を把持し、さらにシール領域8の前方辺部8aから後方辺部8b側に向かって、貼着シート2及びブリスターシート1を持ち上げると、貼着シート2はブリスターシート1から剥離されることとなる。
【0050】
この場合において、シール領域8におけるブリスターシート1と貼着シート2とがシールされたシール強度よりも弱いシール強度の弱シール状態でシールされた易剥離領域7が、前記折曲部12の位置に近接して、該折曲部12よりも後方辺部8b側に形成されているため、上記のように折曲部12の線に沿って折り曲げられた貼着シート2をシール領域8の前方辺部8aから後方辺部8b側に向かって剥離させることで、その剥離力が易剥離領域7に好適に作用することとなる。
【0051】
この結果、易剥離領域7において、大きな負荷を伴うことなく貼着シート2をブリスターシート1から剥離することができる。そして、易剥離領域7においてブリスターシート1から剥離された貼着シート2は、環状シール部6に到達することとなる。
【0052】
この場合、環状シール部6におけるブリスターシート1と貼着シート2とがシールされたシール強度は、易剥離領域7におけるブリスターシート1と貼着シート2とがシールされたシール強度よりも強いため、本来であれば、その環状シール部6において貼着シート2のブリスターシート1からの剥離が一旦停止する可能性がある。
【0053】
しかしながら、剥離シート2は、上述のように開封直後において開封起点部9の複数のスリット11に沿って分断され、その後に折曲部12の線に沿って折り曲げられた状態とされているため、その折曲部12の位置からシール領域8の前方辺部8aから後方辺部8b側に向かって剥離させる剥離力を、易剥離領域7(易剥離領域)に好適に作用させることができ、さらに易剥離領域7においては、大きな負荷を伴うことなく貼着シート2をブリスターシート1からスムーズに剥離することができるので、その易剥離領域7におけるスムーズな剥離力を、そのまま環状シール部6に作用させることができる。
【0054】
この結果、環状シール部6におけるブリスターシート1と貼着シート2とのシール強度が、易剥離領域7におけるブリスターシート1と貼着シート2とのシール強度よりも強いとはいえ、環状シール部6におけるシール幅が短いので、環状シール部6におけるブリスターシート1と貼着シート2とのシール状態は、一瞬にして解除することができ、その環状シール部6において貼着シート2をブリスターシート1から好適に剥離することができる。
【0055】
また、環状シール部6は、易剥離領域7に包囲されているため、環状シール部6において貼着シート2をブリスターシート1から剥離した後、再度、易剥離領域7において、大きな負荷を伴うことなく貼着シート2をブリスターシート1から剥離することができる。そして、易剥離領域7においてブリスターシート1から剥離された貼着シート2は、シール領域8の後方辺部8bに到達することとなる。
【0056】
そして、易剥離領域7において、大きな負荷を伴うことなく貼着シート2をブリスターシート1から剥離することができるので、その剥離力によって、シール領域8の後方辺部8bにおいても貼着シート2をブリスターシート1から好適に剥離させることができる。ただし、上記のような環状シール部6におけるブリスターシート1と貼着シート2とのシール状態を解除すれば、ブリスターケース5の収容部4の開口部4aが開口することとなるので、シール領域8の後方辺部8bにおいて貼着シート2は必ずしもブリスターシート1から剥離する必要はなく、シールされた状態のまま残存させてもよい。
【0057】
以上のように、本実施形態では、開封起点部9に沿って貼着シート2をブリスターシート1とともに分断することができるとともに、該開封起点部9を起点として、シール領域8において貼着シート2をブリスターシート1から剥離することができ、そのシール領域8における剥離力により、易剥離領域7においても貼着シート2をブリスターシート1から剥離することができ、さらにシール領域8の剥離力を、易剥離領域7を経て環状シール部6にも作用させることができ、その結果、環状シール部6においても、貼着シート2とブリスターシート1とのシールを剥離することができる。
【0058】
特に、被包装物の収容部分であるブリスターケース5の周囲では、シール幅の小さい環状シール部6においてブリスターシート1と貼着シート2とがシールされているのみであり、その環状シール部6の外側は、環状シール部6を包囲するように易剥離領域7が設けられているので、環状シール部6で貼着シート2をブリスターシート1から強制的に剥離する場合においても、ブリスターケース5に無理な力が作用することもなく、被包装物を取り出す際に被包装物が不用意に飛び出すようなおそれもない。
【0059】
このように、貼着シート2をブリスターシート1から剥離する際に、無理な力を加える必要がなく、また被包装物の不用意な飛び出し等を生じさせることなく、被包装物をブリスターケース5の収容部から取り出すことができ、従って、たとえば老人等のように握力の弱い使用者が使用する場合であっても、貼着シート2をブリスターシート1からスムーズに剥離させることができ、被包装物の取出しが困難となることもない。
【0060】
さらに、上記のように開封起点部9を起点とし、一旦シール領域8で貼着シート2をブリスターシート1から強い剥離力で剥離した後、易剥離領域7で弱い剥離力で貼着シート2をブリスターシート1から剥離することができ、その後は環状シール部6において貼着シート2をブリスターシート1から強い剥離力で剥離しなければならないので、開封起点部9を起点とした後の貼着シート2をブリスターシート1から剥離する操作や、ブリスターケース5の収容部4の開封の操作が単純ではなく、従って、子供にとっては開封しにくいように構成されており、子供の誤飲等を防止することが可能となる。
【0061】
尚、上記実施形態では、易剥離領域7として、環状シール部6においてブリスターシート1と貼着シート2とがシールされたシール強度よりも弱いシール強度の弱シール状態でシールされた弱シール領域として形成されたものを採用したが、これに限らず、ブリスターシートと貼着シートとがシールされていない非シール領域として形成されたものを採用することも可能である。
【0062】
また上記実施形態では、折曲部12が、ブリスターシートのみに貫通してスリット状に形成されていたが、これに限らず、貫通せずに深さ方向に半分程度裁断されたハーフスリット状に形成することも可能である。
【0063】
さらに上記実施形態では、折曲部12が、開封起点部9の両端部9a、9bに連続して形成されていたが、必ずしも連続して形成させる必要はなく、連続させずに近接して形成することも可能である。
【0064】
また上記実施形態では、易剥離領域7が平面略長方形状に形成されていたが、易剥離領域7の形状も該実施形態に限定されるものではない。たとえば図7に示すように、内側に円弧面を有する平面略コ字状の易剥離領域7a、7bを相対面して設けたような形状のものであってもよい。
【0065】
この図7の実施形態においては、易剥離領域7a、7bと環状シール部6との間が離間して設けられており、その離間した部分もシール領域8として形成されている。この点で、離間させずに、易剥離領域7が環状シール部6に連続して設けられていた図1の実施形態と相違している。また、この図7の実施形態においては、易剥離領域7a、7bの相互間も離間して設けられており、その離間した部分もシール領域8として形成されている。
【0066】
さらに上記実施形態では、開封起点部9が、略弓形の軌道を描いて形成されていたが、開封起点部9が描く軌道の形状も該実施形態に限定されるものではない。さらに環状シール部6の形状も該実施形態の円形のリング状に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0067】
1 ブリスターシート
2 貼着シート
3 被包装物
4 収容部
5 ブリスターケース
6 環状シール部
7 易剥離領域
8 シール領域
9 開封起点
10 スリット
11 ポイントシール
12 折曲部
13 ブリスターパック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を収容可能な収容部(4)を有するブリスターケース(5)を具備したブリスターシート(1)と、該ブリスターケース(5)の収容部(4)の開口部分(4a)を覆うように前記ブリスターシート(1)に貼着される貼着シート(2)とからなるブリスターパックにおいて、前記ブリスターケース(5)の周囲には、ブリスターシート(1)と貼着シート(2)とをシールする環状シール部(6)が設けられ、該環状シール部(6)の外側には、易剥離領域(7)を隔てて、ブリスターシート(1)と貼着シート(2)とをシールするシール領域(8)が設けられ、該易剥離領域(7)は、前記環状シール部(6)及び前記シール領域(8)におけるブリスターシート(1)と貼着シート(2)とのシール強度よりも弱いシール強度でシールされた弱シール領域、若しくはブリスターシート(1)と貼着シート(2)とがシールされていない非シール領域とされ、且つ前記シール領域(8)には、前記易剥離領域(7)側に向かって前記貼着シート(2)をブリスターシート(1)から剥離する際の開封起点となる開封起点部(9)が設けられ、該開封起点部(9)からシール領域(8)における貼着シート(2)をブリスターシート(1)から剥離する剥離力により、前記易剥離領域(7)を介して前記環状シール部(6)における貼着シート(2)とブリスターシート(1)とのシールを剥離しうるように構成されていることを特徴とするブリスターパック。
【請求項2】
開封起点部(9)が、シール領域(8)において貼着シート(2)とブリスターシート(1)とを点状にシールするポイントシール部(10)と、該ポイントシール部(10)を介して断続的に形成されたスリット(11)とで構成されている請求項1記載のブリスターパック。
【請求項3】
開封起点部(9)を起点としてブリスターシート(1)から剥離される貼着シート(2)を剥離する際に、シール領域(8)において貼着シート(2)の折り曲げを容易にするための折曲部(12)が形成されている請求項1又は2記載のブリスターパック。
【請求項4】
貼着シート(2)が、合成樹脂製シートにアルミニウムをラミネートしてブリスターシート(1)に対して剥離可能に構成されたアルミニウムラミネートシートで構成されている請求項1乃至3のいずれかに記載のブリスターパック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−148525(P2011−148525A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11196(P2010−11196)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000129057)株式会社カナエ (39)
【Fターム(参考)】