説明

ブレスレットの留め金

【課題】ブレスレットの留め金を閉じる時にはレバーを使用しない構成を提供する。
【解決手段】折れ曲がるよう連結された第1と第2のアーム8、7と、ロックするレバー2を具備する固定システムと弾性手段5とかんぬき装置4とを有する。第1アーム8の一端15はブレスレッド・ストランド14に取り付けられ、その他端16は、第2アーム7の第1端部19に連結される。第2アーム7は、その第2端17,18で軸真11を有し、軸真11の周囲をキャップ1が回転する。レバー2は、キャップ1に第1ピン3aにより回転可能に搭載される。かんぬき装置4は、第2ピン3bによりキャップ1に回転可能に搭載され、留め金が固定位置に押し込まれている時には、第1アーム8に搭載されたフック22と協働し、留め金をロックし、弾性手段5は、レバー2が手動で動かされない時には、レバー2を固定位置に保持し、かんぬき装置4は前記フック22と係合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブレスレットの留め金に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明が対象とするブレスレットの留め金は、互いに折れ曲がるよう連結された第1と第2のアームとを有する。前記第1アームの一端は、前記ブレスレットの留め金のブレスレッド・ストランドに取り付けられ、その他端は、前記第2アームの第1端部に回転可能に連結される。第2アームは、その第2端で横方向に伸びる軸真を有する。前記軸真の周囲を、第1と第2のフラップを具備するキャップが回転し、前記キャップに別のストランドが取り付けられている。更に、第1と第2のアームをロックするレバーを具備する固定システムを有する。
【0003】
このブレスレットの留め金は、バックル留め金とも称し従来公知であり、通常固定システムとしてプッシュボタンを利用している。しかしレバーがこのようなプッシュボタンの代わりに提案されているが、本発明はこれを更に改良したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1654950号明細書
【0005】
操作レバーを実現する留め金は、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されたブレスレットの留め金は、それぞれの端部で互いに関節駆動される(回転可能に連結される)複数本のブランチを有する。このブランチの一方の端部は、ブランチの関節駆動の軸に平行な軸の周囲を回転しフックと一体に構成されたレバーを有する。その他端は、フックをレバーに保持位置に維持するフック要素を有する。
【0006】
このレバーは、トルクをかけるための弾性手段と、トルクによる軸周りの回転を制限しフックをロック要素とロックさせるための位置に制限する手段とを有する。この弾性手段に力がかかると、レバーは弾性手段に対して回転して、ロッキング・フックをフック要素から係合したり開放したりする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この特許文献1によれば、レバーは、ブレスレットの留め金を開くために持ち上げなければならず、これは自然なことであるが、同時にブレスレットの留め金を閉じる際にも持ち上げなければならない。これは動作を複雑にし面倒なことである。
本発明の目的は、ブレスレットの留め金を閉じる間、操作レバーを操作する必要のないようにする構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のブレスレットの留め金は、段落0002に記載された構成に加えて、弾性手段とかんぬき装置を更に有する。前記レバーは、前記かんぬき装置を操作する。前記かんぬき装置は、第2ヒンジにより前記キャップに回転可能に搭載される。
前記かんぬき装置は、前記ブレスレットの留め金が固定位置に押し込まれている時には、前記第1アームに搭載されたフックと協働し、前記ブレスレットの留め金をロックする。前記弾性手段は、前記レバーが手動で動かされない時には、前記レバーを固定位置に保持し、前記かんぬき装置は前記フックと係合している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のブレスレットの留め金の展開図。
【図2】レバーを持ち上げた状態で、閉じられた(留められた)状態のブレスレットの留め金の側面図。
【図3】レバーを持ち上げた状態で、図1のレバーとかんぬき装置の軸を横切る垂直方向断面図。
【図4】レバーを持ち上げた状態で、弾性手段の外側ストリップと前記弾性手段をブレスレットの留め金を固定するネジを横切る垂直方向断面図。
【図5】レバーを持ち上げた状態で、弾性手段の中央ストリップとかんぬき装置とフックを横切る垂直方向断面図。
【図6】レバーを折りたたんだ状態で、ブレスレットの留め金をロックする直前の、かんぬき装置とフックが切り離された状態で、ブレスレットの留め金の構成部品の位置を示す垂直方向断面図。
【図7】レバーを折りたたんだ状態で、係合した状態のかんぬき装置とフックと弾性手段の中央ストリップとを横切る垂直方向断面図。
【図8】レバーを折りたたんだ状態で、弾性手段の外側ストリップと前記弾性手段をブレスレットの留め金の固定するネジを横切る垂直方向断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に於いて、本発明のブレスレットの留め金は第1アーム8を有する。この第1アーム8の一端15に、ブレスレッド・ストランド14が取り付けられている。ここでブレスレットは第1リンクで表されている。第1アーム8の他端16は、第2アーム7の第1端部19の軸真9により関節運動をする(折れ曲がる:即ち軸真を中心に回転する)。この場合、第2アーム7は、2つの側部材35と36で構成される。側部材35と側部材36の間に、ブレスレットの留め金が取り付け(固定)位置にある時には、第1アーム8が挿入される。第2アーム7は、第2端17、18で横方向に伸びる軸真11を有する。軸真11の周囲でキャップ1が、関節運動をする。キャップ1には第1フラップ20と第2フラップ21が具備される。もう一方のブレスレッド・ストランド(図示せず)が、キャップ1に取り付けられ、キャップ1から図の左側に伸びる。
従来と同様に、軸真11は、ノッチ37を具備し、キャップ1の第1フラップ20と第2フラップ21に形成されたオリフィス38と39の間に、締め付け部分40を有するパイプ10により保持される。図1に於いて、本発明のブレスレットの留め金は、固定システムを具備する。この固定システムは、第1アーム8と第2アーム7をロックするレバー2を具備する。
【0011】
固定システムは、本発明の特徴であり以下詳述する。
図1に於いて、レバー2は、キャップ1に、2個の小型ピン(第1ピン)3aで構成される第1ヒンジにより、回転可能に搭載される。この2個の小型ピン3aは、キャップ1の第1フラップ20と第2フラップ21に形成された孔41を貫通する(嵌る)。
図3−8に於いて、レバー2はかんぬき装置4を操作する(動かす)。かんぬき装置4は、キャップ1に、2個の小型ピン3bで形成される第2ヒンジにより、回転可能に搭載される。小型ピン3aと3bとは異なる部品である。小型ピン(第2ピン)3bは、キャップ1の第1フラップ20と第2フラップ21に形成された孔を貫通する(嵌る)。この孔は図1には図示されていない。かんぬき装置4は、レバー2の裏面に形成された隆起部分28により操作される(動かされる)。かんぬき装置4は、第1アーム8に取り付けられたフック22と共に働くよう配置され、ブレスレットの留め金が固定位置に押し込まれた時には、ブレスレットの留め金をロックする。本発明のブレスレットの留め金は弾性手段5を具備する。この弾性手段5は、レバーが手動で動かされない時には、レバー2を固定位置に保持し、かんぬき装置4をフック22に係合させておく。
【0012】
図1に示すように、弾性手段5はプレートの形態を採る(板状である)。このプレートである弾性手段5は、ネジ部材26,27によりキャップ1に固定される。このプレートである弾性手段5は、熊手の形態に打ち抜かれ、中央ストリップ23と2つの外側ストリップ24と25を有する。この中央ストリップ23は、図5−7に示すように、レバー2の裏面に形成された隆起部50に当たる。図4,8に示すように、外側ストリップ24と25は、かんぬき装置4の裏面に形成された隆起部分30に当たる。図4、8は、弾性手段5をキャップ1に固定するネジ部材27も示す。
【0013】
全図に於いて、レバー2は、把持部分31を具備するプレートである。この把持部分31を用いて、ブレスレットの留め金を開ける時に、レバー2を持ち上げる役目をする。それ以外の場合には、このプレートはキャップ1の上部と一体(凸凹がないように)に見える。
【0014】
レバー2とかんぬき装置4がそれぞれ回転する軸である第1と第2のヒンジは、キャップ1に搭載される。キャップ1の一部を構成する第1フラップ20と第2フラップ21とを用いて、これ等のヒンジを平行に配置させる。これ等のヒンジを形成する小型ピン3aと3bは、このために形成された孔内のフラップの外側から搭載され、その後レーザーで溶接される。一変形例に於いては、孔の外側部分は、ヒンジを隠すために仕上げ処理が施されている。従って、図2に示すオリフィス38のみが残り、軸真11を取り外し、ブレスレットの留め金を開くことが出来る。
【0015】
図3−8を参照して、本発明のブレスレットの留め金の動作を説明する。
図3−5は、ブレスレットの留め金を開く方法を示す。
【0016】
図3に、レバー2の回転軸3aとかんぬき装置4の回転軸3bが示されている。この複数の回転軸3a,3bは、それぞれ図1の第1フラップ20,第2フラップ21に搭載された小型ピン3a、小型ピン3bでもある。この2本の回転軸2a,3bは、特許文献1のブレスレットの留め金には存在せず、ブレスレットの留め金を閉じた(留めた)時に、レバーが持ち上がるのを回避するための本発明の主要な特徴を構成する。
【0017】
図4において、弾性手段5を構成する外側ストリップ24,25は、キャップ1にネジ部材27と26により取り付けられる。把持部分31を用いて、レバー2は矢印Aの方向に持ち上げられる。レバー2の隆起部分28は、かんぬき装置4を回転し、外側ストリップ24を曲げる。
【0018】
図5は、弾性手段5の中央ストリップ23の断面図である。この断面図によれば、中央ストリップ23は、レバー2の隆起部50により曲げられ、前記レバー2は隆起した(立ち上がった)ままである。かんぬき装置4は、第1アーム8に搭載されるフック22から離れた位置にある。ブレスレットの留め金の第2アーム7は、その第2端18が図5に示されているが、第1アーム8に押しつけられておらず、ブレスレットの留め金を開くことが出来る。
【0019】
図6−8はブレスレットの留め金を閉じる方法を示す。
図6は、ブレスレットの留め金をロックする直前の、ブレスレットの留め金を構成する要素の位置関係を示す。レバー2は、手動では隆起されず、小型ピン3aを中心に矢印B方向に、中央ストリップ23の復帰力により回転する。レバー2の表面はキャップ1の表面と連続しておりそれと一体に見える。
図6によれば、ブレスレットの留め金がロックされる直前に、かんぬき装置4のヘッドは第1アーム8のフック22の先端と接触している。
【0020】
図7は、弾性手段5の中央ストリップ23を通る断面図である。同図は、ロック位置にあるブレスレットの留め金を構成する要素の位置関係を示す。キャップ1を手で押すことにより、かんぬき装置4のヘッドは、第1アーム8のフック22の下に入り、ブレスレットの留め金をロックする。この位置に於いて、第1アーム8は、第2アーム7の側部材35,36の間にあり、軸真11は、第2アーム7の第2端17、18を貫通して、第1アーム8の端部方向に形成された溝51の底部にある。
【0021】
図8は、弾性手段5の外側ストリップ24とネジ部材27を通る断面図である。ブレスレットの留め金はロック位置にあり、レバー2は折りたたまれてキャップ1の上にある。同図は、外側ストリップ24がかんぬき装置4の隆起部30に当たった状態を示し、これにより、かんぬき装置4のヘッドを第1アーム8のフック22に適正に係合させる。
【0022】
上記したように、本発明のブレスレットの留め金は、操作全体を通してその場所に保持されているレバー2を押さずに、レバー2はキャップ1に押し当てたまま、留めることができる。上記した構成により、レバー2を持ち上げる力は、ブレスレッド・ストランド14に架かる力とは切り離すことができ、かくして、弾性手段5を替えるだけで、力を様々な男性用または女性用のブレスレットに適用できる。
【0023】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。用語「又は」に関して、例えば「A又はB」は、「Aのみ」、「Bのみ」ならず、「AとBの両方」を選択することも含む。特に記載のない限り、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。
【符号の説明】
【0024】
1 キャップ
2 レバー
3a,3b 小型ピン
4 かんぬき装置
5 弾性手段
7 第2アーム
8 第1アーム
9 軸真
11 軸真
14 ブレスレッド・ストランド
15 一端
16 他端
17,18 第2端
19 第1端部
20,21 フラップ
20 第1フラップ
21 第2フラップ
22 フック
23 中央ストリップ
24,25 外側ストリップ
26,27 ネジ部材
28 隆起部分
31 把持部分
35,36 側部材
37 ノッチ
40 締め付け部分
41 貫通孔
50 隆起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに折れ曲がるよう連結された第1と第2のアーム(8、7)と、前記第1と第2のアーム(8、7)をロックするレバー(2)を具備する固定システムとを有するブレスレットの留め金に於いて、
前記第1アーム(8)の一端(15)は、ブレスレッド・ストランド(14)に取り付けられ、その他端(16)は、前記第2アーム(7)の第1端部(19)に回転可能に連結され、
前記第2アーム(7)は、その第2端(17,18)で横方向に伸びる軸真(11)を有し、
前記軸真(11)の周囲を、第1フラップ(20)と第2フラップ(21)を具備するキャップ(1)が回転し、前記キャップ(1)に別のストランドが取り付けられ、
前記レバー(2)は、前記キャップ(1)に第1ピン(3a)により回転可能に搭載され、
前記ブレスレットの留め金は、弾性手段(5)とかんぬき装置(4)を更に有し、
前記レバー(2)は、前記かんぬき装置(4)を操作し、
前記かんぬき装置(4)は、第2ピン(3b)により前記キャップ(1)に回転可能に搭載され、前記第2ピン(3b)は第1ピン(3a)とは異なり、
前記かんぬき装置(4)は、前記ブレスレットの留め金が固定位置に押し込まれている時には、前記第1アーム(8)に搭載されたフック(22)と協働し、前記ブレスレットの留め金をロックし、
前記弾性手段(5)は、前記レバー(2)が手動で動かされない時には、前記レバー(2)を固定位置に保持し、前記かんぬき装置(4)は前記フック(22)と係合している
ことを特徴とするブレスレットの留め金。
【請求項2】
前記弾性手段(5)は、ネジ部材(26,27)により前記キャップ(1)に固定されたプレートの形態を採り、
前記弾性手段(5)は、中央ストリップ(23)と外側ストリップ(24,25)を有する熊手の形状をしており、
前記中央ストリップ(23)は、前記レバー(2)の裏面に形成された隆起部(50)に当たり、
前記2つの外側ストリップ(24,25)は、前記かんぬき装置(4)の裏面に形成された隆起部分(30)に当たる
ことを特徴とする請求項1記載のブレスレットの留め金。
【請求項3】
前記レバー(2)は、把持部分(31)を具備したプレートであり、
前記レバー(2)は、使用されない時には、前記キャップ(1)の上部と一体に見える
ことを特徴とする請求項1記載のブレスレットの留め金。
【請求項4】
前記第1ピン(3a)と第2ピン(3b)の周りを、前記レバー(2)とかんぬき装置(4)がそれぞれ回転し、
前記第1ピン(3a)と第2ピン(3b)は、前記キャップ(1)のフラップ(20,21)に搭載される
ことを特徴とする請求項1記載のブレスレットの留め金。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−196441(P2012−196441A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−54133(P2012−54133)
【出願日】平成24年3月12日(2012.3.12)
【出願人】(507202574)オメガ エスエー (8)