説明

ブロードバンドネットワーク

【課題】 広帯域アクセス網で、シグナリングを使用したコネクション毎のオンデマンドなサービスを行う際に、加入者側のPONの共有の自由度を高めると共に、アクセスノードでのデータの損失を防ぐ。
【解決手段】 サービスノード102では、ONU103〜104のPONレイヤ情報、アクセスノード101のPONレイヤ・ATMレイヤの帯域・コネクション情報をONU、アクセスノードと同期させて保持し、サービスノードからPONレイヤのONU割当て帯域変更を指示する。また、サービスノード102においてサービスノードのATMレイヤ、アクセスノードのATMレイヤ、及びPONレイヤを同時に管理してコネクション受付けを判断した上、サービスノードでアクセスノードのATMレイヤ、PONレイヤがオーバーフローを起こさないようにセル流を流す。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ネットワークの制御に関し、特に、PONを含めた帯域のダイナミックなコネクション制御に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のPON(Passive Optical Network)あるいはPDS(Passive Double Star)の帯域割当て制御は、それぞれのONU(Optical Network Unit)に対する割当てを、光のレイヤで光の終端点間の距離を測定し、光モジュールで認識できるタイミングにどう割り当てるかを目的として制御方式が決められている。
【0003】例えば、5TH IEEE Conference on Optical/Hybrid Network Access Access Flexibility with Passive Double Star System Noriki MIKI and Kenji OKADA(NTT)には、下りは上流での割当てに従い、上りはTDMA(Time Division Multiplex Access)ベースで割当てており、IDを使用した宛先指定方法と、ポインタを使用したタイミング位置指定方法が記載されている。
【0004】あるいは、他のシェアドメディアの1つであるCATV網では、「NEC技法1996年12月号,CATV網におけるインタネット接続」に示されているような、センタ側と端末側でFPP(Framed Pipeline Polling)方式を使用した予約方式が知られている。また、同様なATMバス上での端末への割当て方式として、特開平6−67961号公報には、バスの上流で空きセルを流す時点で割当て端末IDをのせ、IDが一致する端末がセルを上書きする方式が記載されている。
【0005】さらに、広帯域アクセスネットワーク基本モデルでのダイナミックな制御方式の一つとして、「電子情報通信学会信学技法1996年12月号,ベアラコネクション制御を適用したATMアクセスシステム構成に関する検討」には、呼制御信号とB−BCC(Broadband Bearer Connection Control)信号を使用した制御方式に関する記載があり、加入者データ分析等のサービス依存の機能はサービスノードで実現し、アクセスノードのスイッチ制御機能等の個々のサービスに依存しない機能のみをアクセス網機能とすることが望ましいこと、アクセス網はユーザからの呼接続メッセージをトランスペアレントにサービスノードまで転送し、ユーザからの呼接続メッセージを受信したサービスノードは加入者データ分析等の処理を行い、アクセス網に対してB−BCCチャネルを用いて送信すること、アクセス網はこのサービスノードからの制御信号を受けVCの設定/解放を行うことが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記第1の従来技術の制御方式は、光のレイヤの制御を目的としており、装置のイニシャライズ機能として、光のパスの両端で各ONUにどのタイミングを割り当てるかという物理的な制御を行っている。したがって、広帯域アクセスネットワークでコネクション毎にダイナミックな帯域割当てを行う際には制約を与えてしまう。
【0007】即ち、現在開発されているPONネットワークは、フレーム構造の違いはあるが、いずれもスタティックにパスや帯域が設定されており、他のONUで帯域が余っている分を割り当ててコネクションを受け付けることはできず、スタティックに割り当てられたONUの帯域で頭打ちとなってしまい、フレキシブルなネットワーク運用ができない。
【0008】前記第2の従来技術の制御方式は、データパケットを送出する毎に次のパケット分の帯域とタイミングを確保するために、上位レイヤとの関連機能が必要となり、アプリケーションサービスを扱わない広帯域網には適用できない。
【0009】また、前記第3の従来技術の制御方式は、データの流れる方向と制御の方向が一致しているため、PONを用いたアクセスネットワークのUpstreamの制御には適用できない。
【0010】さらに、前記第4の従来技術の制御方式は、コネクション毎にアクセスノード(AN)とサービスノード(SN)間の制御を行う方式であるので、加入者側にPON,PDS等のシェアドメディアが接続された場合の制御については言及しておらず、加入者側にPON、PDS等のシェアドメディアが接続された場合には、シェアドメディアの制御方式を新たに追加する必要がある。
【0011】本発明の目的は、広帯域アクセス網において、シグナリングを使用したコネクション毎のオンデマンドなサービスを行う際に、加入者側のPONにおいても、共有の自由度を高める機能を、容易にかつネットワークとして低コストで実現することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の制御方式を使ったアクセスネットワークにおいては、ONU立ち上げ時等の送出タイミング割当て等の変更発生時と同期して周期的に、PONレイヤが光のパスの両端でやり取りしている制御フレームの情報をアクセスノードで終端すると同時にサービスノードまで情報を流し、サービスノードでは、B−BCCで通知されるアクセスノードのATMレイヤコネクション情報のみならず、PONの制御フレームで通知されるONU、PONの情報も保持して、アクセスノードと同期をとった情報を共有することにより、ONUの帯域割付が必要なときには、前記アクセスノードと同期を取った情報を元にサービスノードでPONのONUへの帯域割付を行い、アクセスノード経由で変更を行うようにしたことを特徴としている。
【0013】具体的には、PONの上り制御フレームに各PONレイヤのパスの帯域情報をのせてONUから送信する。これをアクセスノードの上りPONレイヤ制御フレーム処理部で検出すると、グループ管理部を参照に行き、PONインタフェース番号等の物理条件と契約しているサービスクラス等の条件から、VPI/VCI(Virtual Path Identifier:仮想パス識別子/Virtual Channel Identifier:仮想チャネル識別子)値で示す論理条件に付け替えてATMレイヤへ戻す。これがサービスノードまで流され、サービスノードではPONレイヤ制御フレーム処理部でこれに相当するATMパスを監視し、PONレイヤのリアルタイムな状態情報を得てPONレイヤ帯域管理部で保管する。このときPONのリンク容量の帯域合計の制限やVP毎のサービスクラス等の設定は、ネットワークが設置された時点で事前にサービスノードに通知されている。
【0014】端末は、帯域変更等の要求がある場合にはシグナリングによる要求を行う。これがサービスノードのシグナリングプロトコル処理部で解析され、コネクション/帯域管理部に通知される。コネクション/帯域管理部では、PONレイヤの管理部からの情報と共に、変更可能かを判断する。そして、設定時及び変更時には、アクセスノードのスイッチ部等ATMレイヤ分についてはB−BCCプロトコルにより制御、管理が行われる。PONレイヤについては、下りの制御用にVCを割当て、アクセスノードのPONレイヤ制御フレーム処理部に渡されて制御される。
【0015】すなわち、本発明においては、上り、下り共にPONレイヤの割当てタイミングや帯域に関する情報をアクセスノードで終端せずに、サービスノードにも共有させ、サービスノード側でシグナリングによるコネクション管理や帯域管理と同時にPONレイヤの管理を行う。ただし、その際にサービスノードではアクセスノードの物理的な条件は把握せずに、論理条件だけを扱う。アクセスノードの物理条件はアクセスノードで管理し、物理条件から論理条件へのマッピングを行った後の情報をサービスノードとの間でやり取りする。
【0016】アクセスノードは、ONUからのPONレイヤの制御情報をサービスノードにも送出する手段として、上りPONレイヤ制御フレーム処理部を有し、サービスノードやONUとの協調確認手段として、サービスノードの確認やONU帯域割付変更情報を受信する下りPONレイヤ制御フレーム処理部とグループ管理部を有し、サービスノードとのコネクションレイヤの協調手段として帯域制御部、コネクション制御部を有している。
【0017】サービスノードは、■各ONU割当て位置情報を把握して各ONUの帯域を計算し、■PON当たりのONU割当て帯域総和、■PON当たりのコネクション帯域総和及び■ONU当たりのコネクション帯域総和の■〜■を、上り、下り別に計算する手段および情報を保持する手段としてPONレイヤ帯域管理部を有している。
【0018】また、ユーザからのコネクション接続・解放要求時に、ネットワーク側、アクセスノード‐サービスノード間、PON上のそれぞれが、コネクションを受け付けられるか否かをPONレイヤ帯域管理部あるいはコネクション/帯域管理部のテーブルを参照しながら判断する手段や、コネクション設定・解放後には、PON毎の未使用帯域量総和を計算して格納する手段を有している。
【0019】更に、サービスノードでは、下りのセル送出時に、アクセスノードのATM部、PON部がオーバーフローを起こさないようにセル流を調整して流す機能を有している。具体的には、コネクションを受け付けた際に、スイッチ制御の設定をATM部、PON部がオーバーフローを起こさないようにCDV(セル遅延変動許容値)設定を行っている。
【0020】コネクションに関する変更が発生する度に、アクセスノードでの各ONUに割当てているタイミングがPON制御フレームを使用してサービスノードに通知される。サービスノードでは、各ONUに割当てているタイミング・帯域と、PONの使用帯域合計、各ONU割当て帯域中で実際にコネクションに割当てている帯域を管理している。同時にサービスノードから各ONUの帯域変更要求をPON制御フレームを使用してアクセスノードに対して行う。
【0021】これにより、コネクション要求があった時で、ONU中の空帯域が不足しているが他のONUの空帯域を割当てればコネクションを受け付けられる場合、サービスノードから各ONUに割当てている帯域の変更を指示することによって、要求されたコネクションを受け付けるようにする。
【0022】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の形態を示すアクセスネットワーク機能配置図であり、図2は、当該アクセスネットワーク上で設定されるコネクションを示す図である。本発明のアクセスネットワークは、アクセスノード101、サービスノード102、PON105、ONU#1〜ONU#n(103〜104)から成っている。同様にサービス先にはバックボーンネットワークが広がり最終的には相手先の端末が存在する。
【0023】アクセスノード101と各ONU103〜104の間は、PON105を経由して光のリンク(PONコネクション#1〜#n)114〜116で接続されている。実際のユーザとアクセスネットワーク上にはユーザ用のコネクション115及び117が張られている。上りコネクション115には実際の上りデータ用のコネクション137とサービスノード102で終端されるシグナリング用のコネクション135が含まれる。下りも同様にコネクション117が張られ、実際の下りデータ用のコネクション138とサービスノード102で終端されるシグナリング用のコネクション136が含まれる。
【0024】この時、シグナリングによるコネクション設定要求を行えば、実データ用コネクションは複数持つことが可能であるし、コネクションを解放することも可能である。実際のコネクションの設定、解放には、サービスノード102だけでなく、アクセスノード101の設定も必要だが、そのために、サービスノード102とアクセスノード101の間にB−BCCプロトコル用として下りB−BCCコネクション120と上りB−BCCコネクション121が用意されている。
【0025】また、PONレイヤ情報をアクセスノード101のPONレイヤ終端部106と共有するために、上りPONレイヤ制御信号用コネクション119と下りPONレイヤ制御信号用コネクション122が用意されている。
【0026】アクセスノード101は、上り及び下りが波長多重されている光伝送の光終端を行うとともにPONレイヤのフレーム抽出・組立機能を持つPON終端部(OLT)106と、PON終端部106を制御するPON制御部140と、ATMスイッチ部113と、該ATMスイッチ部の管理を行うATMレイヤ制御部109と、B−BCCプロトコルを終端するB−BCCプロトコル処理部139と、ONU103〜104との間でやり取りし、PONレイヤの送出の制御情報を含むPONレイヤ制御フレームの解析、組み立て、グループ管理部112を含むアクセスノード内への通知、本発明の特徴であるサービスノードへの共有情報組立を行う上りPONレイヤ制御フレーム処理部107及び下りPONレイヤ制御フレーム処理部108と、ONU単位での送出位置、帯域、QOS(Quality of Service:サービス品質)の管理テーブルを持ち、同時にその物理ポートに含まれる各ONUについてもその送出位置、帯域、QOSの管理テーブルを持ち、管理を行うグループ管理部112を備えている。
【0027】ATMレイヤ制御部109は、B−BCCプロトコル処理部139からのB−BCCプロトコルの情報を受け、各コネクション毎のコネクション情報テーブルを持ち、サービスノード102と連動してコネクション制御を行うコネクション制御部111と、各コネクション毎の帯域管理テーブルを持ち、帯域管理や入出力トラフィックの監視、制御を行う帯域制御部110を備えている。
【0028】サービスノード102は、ATMスイッチ125と、該ATMスイッチを制御するスイッチ制御部123と、ユーザからのシグナリングを終端するシグナリングプロトコル処理部126と、アクセスノードとの間でやり取りされるB−BCCプロトコルを終端するB−BCCプロトコル処理部127と、これに加えて本発明の特徴である、PONレイヤ情報のメッセージ解析を行うPONレイヤ制御フレーム処理部129と、後述の6種類のテーブルをもって管理を行うPONレイヤ帯域管理部128と、コネクション毎の帯域テーブルを持ち、サービスノード自身のコネクションや帯域管理あるいはCAC(Connection Admission Control:コネクション受付制御)を行い、また、B−BCCによる情報やPONレイヤ帯域管理部128の情報を参照して、アクセスノード中においてPONレイヤの管理、アクセスノードのCACを行うコネクション/帯域管理部124を備えている。
【0029】PONレイヤ帯域管理部128は、PON毎の収容ONU番号テーブル、ONU毎の上り/下りの割当て帯域・タイミングテーブル、PON毎のONU割当て帯域総和テーブル、ONU毎のコネクションに割り当てた帯域の総和テーブル、PON毎のコネクションに割り当てた帯域の総和テーブル、及びPONの総帯域からコネクションに割り当てた帯域の総和および制御に必要な帯域を除いたPON余り帯域テーブルを備えており、これら6種類のテーブルの管理を行っている。
【0030】次に、本発明の動作について、図1を参照して説明する。まず、各ONU103〜104との間にPONレイヤのパス114〜116が張られる。この処理は基本的に従来技術と同様の手法で各ONUに対する送出位置を上り下り別に決定してONUに指示する。
【0031】すなわち、PON制御部140では、グループ管理部112と連動して下りPONレイヤ制御フレーム処理部108に対してPONレイヤの制御フレーム送出を指示する。PONレイヤの制御フレームがPON105を介してONU103に送出されると、ONU103ではこれを検出し、従来技術と同様にPON制御フレームをPON終端部(OLT)106に対して戻してくる。
【0032】上りPONレイヤ制御フレーム処理部107ではONU103が送出してきた制御フレームを処理し、どのPON上に存在するONUなのかを判断してグループ管理部112に渡す。PON制御部140では、グループ管理部112上に書かれている他のONUについての情報と共にONUに割り当てる上りの送出タイミングを決定し、グループ管理部112に格納する。
【0033】この格納情報を下りPONレイヤ制御フレーム処理部を介して下りのPON制御フレームにのせ、ONU103に通知する。この時、PONコネクション114にどれだけの帯域を割り当てるかは前もって初期値として決めておき、グループ管理部112に格納しておく。ただし、この値は固定にする必要はなく、サービス条件、運用条件等によって決められる。グループ管理部112への格納方法は、ハード的あるいはソフト的に適宜設定できる。下り側については、従来技術と同様にPONレイヤとしての帯域管理手段はなく、帯域制御部110によって各ユーザとの間に張るコネクション117の帯域を制御している。
【0034】グループ管理部112で保持しているPON情報は、PONレイヤ制御フレーム処理部129に周期的に通知される。これは、グループ管理部112で保持している情報を上りPONレイヤ制御フレーム処理部107が制御フレームを終端した後にPONレイヤ制御信号コネクション119を介して上書きして通知することにより実行される。
【0035】PONレイヤ制御フレーム処理部129ではこの通知を受けたことをPONレイヤ制御信号コネクション122を介して下りPONレイヤ制御フレーム処理部108に通知する。下りPONレイヤ制御フレーム処理部108では、このフレームを処理し、その情報をグループ管理部112に通知する。これによって、アクセスノード101とサービスノード102の間で不一致が生じた場合には、それがグループ管理部112で検出される。その場合、グループ管理部112は、上りPONレイヤ制御フレーム処理部107とPONレイヤ制御信号コネクション119を介して再度PONレイヤ制御フレーム処理部129に情報を渡し、PONレイヤ帯域管理部128の内容をグループ管理部112の内容と一致させる。
【0036】PONレイヤ帯域管理部128は、グループ管理部112のテーブルと同様にPONレイヤ制御信号コネクション119を介して通知される上り送信タイミングからONU毎の割当て帯域を計算して保持する。また、PONにつながるONUの割当て帯域総和も計算して保持する。
【0037】下りについての制御情報はアクセスノード101側には保持されていないので、サービスノード102がPONの帯域総和を超えないように制御する。従って、アクセスノード101、ONU103〜104に割り当てる下りの帯域についての情報はPONレイヤ帯域管理部128で保持する。
【0038】ATMレイヤでは、ATMレイヤ制御部109が持つ情報は同時にコネクション帯域管理部124でも管理され、新しくコネクションを設定する場合には、コネクション帯域管理部124を更新し、同時に制御信号133、B−BCCプロトコル処理部127を経由してアクセスノード101側のB−BCCプロトコル処理部139との間でB−BCCプロトコルがやり取りされる。
【0039】B−BCCプロトコル処理部139は、コネクション帯域管理部124の指示内容を解析し、帯域制御部110とコネクション制御部の情報を更新する。ATMレイヤ制御部109はこれに従ってATMスイッチ113の制御を変更する事になる。
【0040】次に、ONUの先につながるユーザ端末がコネクション要求をしてくる場合について説明する。まず、ユーザがユーザシグナリング用コネクション135を使ってシグナリングでコネクション要求を出してくると、このシグナリングをシグナリングプロトコル処理部126が終端し、検出することによって処理が開始される。
【0041】コネクション帯域管理部124では、PONレイヤ帯域管理部128からコネクション要求してきたユーザのONUと上り下りの割当て帯域を参照する。また、コネクション帯域管理部124では、要求されたコネクションの帯域を、PONレイヤ帯域管理部128中に格納されている、その時点でONUに張られているコネクションの帯域の総和に加えた帯域を算出する。更に、該算出値とPONレイヤ帯域管理部128を参照して得たONUの上りあるいは下りの割当て帯域値の比較処理を行う。
【0042】ケース1として、ユーザ端末へ与える総帯域がその時点でONUに割り当てられた帯域を超えることがない場合には、コネクション帯域管理部124はONUに割り当てられた帯域を超えないと判断し、(もしくはコネクション帯域管理部124が他のCAC(Connection Admission Control:コネクション受付制御)アルゴリズムに従ってONUの割当て帯域を変更することなくコネクションを受け付けられると判断した場合には、)コネクション帯域管理部124の管理テーブルを更新し、B−BCCプロトコル処理部127及び139経由でATMレイヤ制御部109の設定を変更し、新しいコネクションを張る。
【0043】同時に、コネクション帯域管理部124は、ONU毎の収容されているコネクション帯域の総和とPON毎の収容されているコネクション帯域の総和を計算し、PONレイヤ帯域管理部128に格納されているそれらの値を更新する。
【0044】ケース2として、要求されたコネクションの帯域が、その時点での収容しているONUへの割当て帯域を超えていて、かつ、PONの他のONU中で張られているコネクションへの帯域分を除いた余り帯域の総和もその要求値に満たない場合には、コネクション帯域管理部124は、要求された新しいコネクション帯域を加算すると、PONレイヤ帯域管理部128中の格納されているONUに割り当てられた帯域値を超えること、及びPONレイヤ帯域管理部128中のPON毎の余り帯域の総和が要求されている帯域以下であることを検出する。
【0045】この場合には、コネクション帯域管理部124は即制御信号132でシグナリングプロトコル処理部126にその旨を通知し、シグナリングプロトコル処理部126でコネクション拒否のプロトコル処理を行う。
【0046】ケース3として、要求されたコネクションの帯域が、その時点での収容しているONUへの割当て帯域を超えていて、かつ、PONの他のONU中で張られているコネクションへの帯域分を除いた余り帯域の総和よりも小さい場合には、コネクション帯域管理部124は、要求された新しいコネクション帯域を加算することにより、PONレイヤ帯域管理部128中の格納されているONUに割り当てられた帯域値を超えることを検出し、かつ、要求されている帯域がPONレイヤ帯域管理部128中のPON毎の余り帯域の総和以下であることを検出する。
【0047】この場合には、各ONUに割り当てられている帯域の再割当てを行い、その後要求されたコネクションを受け付ける。すなわち、各ONUに割り当てられている帯域の再割当て処理時、PONレイヤ帯域管理部128では以前のテーブルはそのままにしておいて、再割当てした後の各テーブル情報を仮保持する。同時にこの仮保持情報をPONレイヤ制御フレーム処理部129を経由して下りPONレイヤ制御フレーム処理部108に通知する。
【0048】下りPONレイヤ制御フレーム処理部108は、この仮保持情報を検出すると、これをグループ管理部112に仮待避させ、また、グループ管理部112を経由してONU103〜104に通知する。この時は、減らすONUから順に制御フレームを送出する。各ONUでは制御フレームによる変更を行い、同時に上りPONレイヤ制御フレーム処理部107に対して制御フレームを送出する。
【0049】上りPONレイヤ制御フレーム処理部107では、この制御フレームを監視することによってONUが帯域変更を行ったことを認識する。それによって、グループ管理部112で仮待避していた情報に正式に書き換え処理が行われる。
【0050】また、PONレイヤ帯域管理部128の情報と同期をとるために上りPONレイヤ制御フレーム処理部107からPONレイヤ制御フレーム処理部129に対して通知が行われる。PONレイヤ制御フレーム処理部129でONUが帯域変更を行ったことを認識すると、PONレイヤ帯域管理部128に仮保持されていた情報を正式な情報として書き換える。
【0051】この後、コネクション帯域管理部124は、再度、前記要求されたコネクションの受付制御を行う。すなわち、コネクション帯域管理部124の管理テーブルを更新し、B−BCCプロトコル処理部127及び139を経由でATMレイヤ制御部109の設定を変更し、新しいコネクションを張る。
【0052】同時に、コネクション帯域管理部124は、ONU毎の収容されているコネクション帯域の総和とPON毎の収容されているコネクション帯域の総和を計算し、PONレイヤ帯域管理部128に格納されているそれらの値を更新する。
【0053】図4は、図1のアクセスネットワ―ク機能配置図において、特に本発明で機能が追加あるいは拡張された部分について明確化したものであり、点線は本発明で新たに追加された機能を示しており、網掛け部は本発明で機能が拡張された部分を示している。
【0054】図3は、本発明の他の実施の形態を示すアクセスネットワーク機能配置図である。この実施の形態においては、PONレイヤ制御フレーム処理部129とアクセスノード101側の同期をとるのに全てB−BCCプロトコル処理部127および139を使用して通信を行っている点で、図1の実施の形態と異なっているが、基本的な動作については図1の実施の形態と同様である。
【0055】
【発明の効果】本発明は、サービスノードにおいて、ONUのPONレイヤ情報、アクセスノードのPONレイヤ・ATMレイヤの帯域・コネクション情報を、ONU、アクセスノードと同期させて保持し、サービスノードからPONレイヤのONU割当て帯域変更ができるように構成しているので、コネクション要求があり、当該ONUの余り帯域が不足している場合に、他のONUの余り帯域分を割り当てることによってコネクション要求を受付けることが可能となる。
【0056】また、本発明は、サービスノードにおいて、サービスノードのATMレイヤ、アクセスノードのATMレイヤ、PONレイヤを同時に管理してコネクション受付けを判断した上、サービスノードでアクセスノードのATMレイヤ、PONレイヤがオーバーフローを起こさないように整流して流すので、下りデータがATM部及びPON部でオーバーフローすることがない。
【0057】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すアクセスネットワーク機能配置図である。
【図2】図1のアクセスネットワーク上で設定されるコネクションを表す図である。
【図3】本発明の他の実施の形態を示すアクセスネットワーク機能配置図である。
【図4】従来のPONにおけるアクセスネットワークに対して本発明で追加された機能を説明するための図である。
【符号の説明】
101 アクセスノード(AN)
102 サービスノード(SN)
103 ONU(Optical Network Unit)#1
104 ONU(Optical Network Unit)#n
105 PON(Passive Optical Network)
106 PON終端部(OLT)
107 上りPONレイヤ制御フレーム処理部
108 下りPONレイヤ制御フレーム処理部
109 ATMレイヤ制御部
110 帯域制御部
111 コネクション制御部
112 グループ管理部
113 ATMスイッチ
114 PONコネクション#1
115 上りVC(Virtual Channel)
116 PONコネクション#n
117 下りVC(Virtual Channel)
118 AN内制御信号
119 PONレイヤ制御信号(AN→SN)
120 B−BCC(Broadband Bearer Connection Control)プロトコル(SN→AN)
121 B−BCC(Broadband Bearer Connection Control)プロトコル(AN→SN)
122 PONレイヤ制御信号(SN→AN)
123 スイッチ制御部
124 コネクション・帯域管理部
125 ATMスイッチ
126 シグナリングプロトコル処理部
127,139 B−BCCプロトコル処理部
128 PONレイヤ帯域管理部
129 PONレイヤ制御フレーム処理部
130,131,132,133,134 SN内制御信号
135 上りシグナリングプロトコル
136 下りシグナリングプロトコル
137 上りユーザコネクション
138 下りユーザコネクション
140 PON制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 加入者がPON経由で接続され、ダイナミックにコネクション制御を行う装置あるいは機能を持つブロードバンドネットワークにおいて、PON機能ブロックとコネクション制御機能ブロックを備え、前記PON機能ブロックから前記コネクション制御機能ブロックに対して、前記PON上の各ONUに割当てられている送出位置、及び帯域に関する情報を通知・確認し、前記コネクション制御機能ブロックが前記PON機能ブロックと同期した情報を共有して前記コネクション制御機能ブロックから前記PON機能ブロックに対してPONレイヤの制御を行うことを特徴とするブロードバンドネットワーク。
【請求項2】 前記PON上の前記各ONUに割当てられている送出位置、及び帯域に関する情報を前記PONの制御フレーム位置を使用して前記PON機能ブロックから前記コネクション機能ブロックに対して通知、確認を行うことを特徴とする請求項1記載のブロードバンドネットワーク。
【請求項3】 前記ダイナミックにコネクション制御を行う装置あるいは機能をサービスノードに配置し、前記PON機能ブロックをアクセスノードに配置するとともに、前記サービスノードが前記PONの情報を持って監視を行い、前記アクセスノードに対して前記PON上の前記ONU割当て位置を変更指示することを特徴とする請求項1記載のブロードバンドネットワーク。
【請求項4】 前記アクセスノードはATM機能を持っており、前記サービスノードは、前記PON上の前記ONU帯域と同時にATMスイッチの制御も行うことを特徴とする請求項3記載のブロードバンドネットワーク。
【請求項5】 前記ダイナミックにコネクション制御を行う装置あるいは機能をサービスノードに配置し、前記PON機能ブロックをアクセスノードに配置するとともに、前記サービスノードが前記PONの情報を持ち、ユーザからのコネクション要求時には前記PONを含めてコネクション受付制御を行って前記サービスノードから前記アクセスノードに対して前記PON上の前記ONU割当て位置を変更指示することを特徴とする請求項1記載のブロードバンドネットワーク。
【請求項6】 前記アクセスノードはATM機能を持っており、ユーザからのコネクション要求時には前記サービスノードが前記PONとATMを同時にコネクション受付制御を行って、前記サービスノードから前記アクセスノードに対してATMスイッチの制御と前記PON上の前記ONU割当て位置を変更指示することを特徴とする請求項5記載のブロードバンドネットワーク。
【請求項7】 前記サービスノードに対して、前記PON上の各ONUに割当てられている送出位置、及び帯域に関する情報を周期的に通知すると同時に前記サービスノードからの確認要求に応答し、前記サービスノードからの各ONUの帯域・送出位置変更指示を受けて前記PONの制御を行うアクセスノードを有していることを特徴とする請求項3、4、5又は6記載のブロードバンドネットワーク。
【請求項8】 前記アクセスノードからの前記PON上の各ONUに割当てられている送出位置、及び帯域に関する情報を保持して、PON毎の未使用帯域、PON毎のONUに割当てている帯域総和を計算して保持し、また、ONU毎の送出割当て位置、ONU毎の割当て帯域、ONU毎の余り帯域を計算して保持して管理し、帯域管理部で判断して各ONUへの割当て変更とATM部の設定変更のいずれか、あるいは両方を前記アクセスノードに指示するサービスノードを有することを特徴とする請求項3又は4記載のブロードバンドネットワーク。
【請求項9】 前記アクセスノードからの前記PON上の各ONUに割当てられている送出位置、及び帯域に関する情報を保持して、PON毎の未使用帯域、PON毎のONUに割当てている帯域総和を計算して保持し、また、前記ONU毎の送出割当て位置、ONU毎の割当て帯域を計算して保持し、ユーザからのコネクション要求がある毎に、コネクションONU毎のコネクションに割当てている帯域総和、ONU毎の余り帯域を計算し直して保持して、コネクション/帯域管理部で判断してコネクション受付処理を行い、ユーザへ通知するとともに、各ONUへの割当て変更とATM部の設定変更のいずれか、あるいは両方を前記アクセスノードに指示するサービスノードを有することを特徴とする請求項5又は6記載のブロードバンドネットワーク。
【請求項10】 前記サービスノードは、要求されたコネクションの帯域が、その時点で収容している前記ONUへの割当て帯域を超えていて、かつ、前記PONの他のONU中で張られているコネクションへの帯域分を除いた余りの帯域の総和よりも小さい場合には、前記各ONUに割り当てられている帯域の再割当てを行い、その後、前記要求されたコネクションの受付を前記アクセスノードに指示することを特徴とする請求項3記載のブロードバンドネットワーク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開平11−17700
【公開日】平成11年(1999)1月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−180274
【出願日】平成9年(1997)6月23日
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)